大野事件

2月18日_不当逮捕の日

2008年2月18日 晴れ
風はなかったのですが、とても寒い一日でした。

さて、2年前の2月18日に福島県立大野病院の産婦人科医は福島県警に不当逮捕されました。1年前の同じ日に抗議の意味をこめて、拙ブログでも以下の記述を行いました。

『我々は福島事件で逮捕された産婦人科医の無実を信じ支援します。』

昨年の2月18日、福島県立大野病院産婦人科医の先生が福島県警に逮捕拘留されました。逮捕のきっかけとなった事故は当時29歳の妊婦さんが全前置胎盤のため帝王切開にて分娩したところ、不幸にも前回の帝切の切開線にかからない後壁付着の癒着胎盤となっており、当該医師はその時点で考え得る最善を尽くされましたが、妊婦さんは術中突然おこった致死性不整脈により亡くなられたというものです。
福島県立大野病院はこの事故のあと、外部の人間も含めて事故報告書を作成しており、当該医師についても行政処分をおこなっております。しかし、逃亡の恐れ、証拠隠滅の恐れという考えもつかないような理由により、その産婦人科医の先生は福島県警に逮捕拘留され、業務上過失致死、医師法違反にて刑事起訴されています。その、第1回公判が先程開かれておりますが....拙ブログでも、この事故については予見が不可能であること、胎盤を剥離することは適切な処置であること、大出血に際しても考え得る適切な処置を行っていることなどから、過失は存在しないと考えております。また、異状死体の届出義務を記した医師法第21条に抵触するとの起訴理由については、そもそも異状死体の定義について現在定まったものがないこと、また、事故後当該医師は大野病院院長と協議しており、届け出義務は当該医師にはなく、院長にあったものと考えます。

そして、1年後の本日。この不当な逮捕を風化させないためにも、取り上げたいと思います。

1年前の本日、福島県警は福島県立大野病院産婦人科医師を不当に逮捕、拘留しました。これは、極めて強権的で許すべき行為ではありません!

現在、この刑事事件の公判は進行中で、被告の先生に対して有利に進められていますが、この先生の被った痛手は消え去るものではないと思います。また、日本の医療界に与えた影響は計り知れないものがあり、この逮捕により地域の病院でどれだけの医師が萎縮したか...。考えると空恐ろしいものがあります。

正当な医療行為の中で生じた残念な医療事故。これに対しては、刑事的な処罰をもってのぞむべきではありません!ましてや、警察に捕えられ反論の自由を奪われるということが、どれだけ不当なことか!

再び掲げます。『我々は福島事件で逮捕された産婦人科医の無実を信じ支援します。』ご賛同くださる方々の書き込みを歓迎します。

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2月18日という日

2007年2月18日 曇り

追記します(2007年2月18日):新小児科医のつぶやき:2.18にて企画されているキャンペーンに私も賛同いたします。尚、この件につき、ご賛同の意をお持ちの方はどうぞコメントに書き込んで下さい。一般の方々大歓迎です。

『我々は福島事件で逮捕された産婦人科医の無実を信じ支援します。』

昨年の2月18日、福島県立大野病院産婦人科医の先生が福島県警に逮捕拘留されました。逮捕のきっかけとなった事故は当時29歳の妊婦さんが全前置胎盤のため帝王切開にて分娩したところ、不幸にも前回の帝切の切開線にかからない後壁付着の癒着胎盤となっており、当該医師はその時点で考え得る最善を尽くされましたが、妊婦さんは術中突然おこった致死性不整脈により亡くなられたというものです。
福島県立大野病院はこの事故のあと、外部の人間も含めて事故報告書を作成しており、当該医師についても行政処分をおこなっております。しかし、逃亡の恐れ、証拠隠滅の恐れという考えもつかないような理由により、その産婦人科医の先生は福島県警に逮捕拘留され、業務上過失致死、医師法違反にて刑事起訴されています。その、第1回公判が先程開かれておりますが....拙ブログでも、この事故については予見が不可能であること、胎盤を剥離することは適切な処置であること、大出血に際しても考え得る適切な処置を行っていることなどから、過失は存在しないと考えております。また、異状死体の届出義務を記した医師法第21条に抵触するとの起訴理由については、そもそも異状死体の定義について現在定まったものがないこと、また、事故後当該医師は大野病院院長と協議しており、届け出義務は当該医師にはなく、院長にあったものと考えます。

そして、1年後の本日。この不当な逮捕を風化させないためにも、取り上げたいと思います。

1年前の本日、福島県警は福島県立大野病院産婦人科医師を不当に逮捕、拘留しました。これは、極めて強権的で許すべき行為ではありません!

拙ブログでこの事件を扱ったエントリーは以下の通りです。

弁護側冒頭陳述
検察側冒頭陳述
ブログ御紹介
お詫び(誤解)
死因は?
公判の続報
公判が始まりました。
福島県立大野病院事件の続報
大野事件の続き...
大野事件の続き
はじまりました。
産科婦人科学会の見解
医療と司法という記事
産科の状況
警察という組織
医療の限界

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お詫び...(誤解)

2007年1月30日 晴れ
今日はお詫びです。福島県立大野病院産婦人科医不当逮捕事件で逮捕時の状況を誤解していました。

拙ブログでの理解は...
「診療中にマスコミの前で逮捕」というものでしたが、実際には「数日前より家宅捜索の連絡があり自宅待機していた、警察署に任意で同行を求められ、署内で逮捕状を執行した。」というもののようです。ただし、テレビでは同行する状況が流されており、その部分では誤解がなかったのかもしれません。

誤った情報を流してしまい、謹んでお詫び申し上げます。そして、拙ブログでの認識を上記の状況に変更させていただきます。尚、このエントリーはしばらく(数日の間)トップに掲載させていただきます。

日経メディカルオンラインから...
『--逮捕されたときの状況とそのときの気持ちを聞きたい。
加藤医師 インターネットなどでいろいろな情報を見ていると、診療中に逮捕されたとの記載もあったが、そうではない。逮捕されたのは土曜日で、その3~4日前に警察から病院に連絡があり、家宅捜索に入るため、朝から待機するように言われた。土曜日は外来が休みだが、急患などに備えて近隣の病院の先生に応援に来てもらうよう手配もした(編集部注:当時、福島県立大野病院の産婦人科医は、加藤医師一人)。午前中に2時間くらい家宅捜索があり、「警察署で話を聞く」と言われた。その前にも3回くらい警察署で話をしており、それと同じかなという感覚だった。(所属している)大学にも電話し、「警察に連れて来られた。逮捕されたら、どうしようか」などと冗談で言っていった。ところが警察の取調室に入ったら、突然逮捕状が読み上げられた。「これは、こうだからこうしたんですよ」などと説明もしたが、もちろん聞き入れてもらえなかった。』

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大野事件の続き...

2006年9月16日 雨
非常に強い台風が近づいてきています。現在のところ中心気圧は925ヘクトパスカル、中心付近の最大風速は50m/sと勢力は保持したまま、九州に接近中。予想では「直撃」コースです。以前の台風で私の勤めている病院は病室のガラスが割れ、患者さんがケガをされたことがありました。今回はそういったことがなければ良いが...と案じています。

さて、大野事件の続報が...ソースは「毎日新聞」。

大野病院医療事故:裁判所が争点初提示 初公判12月に−−公判前整理手続き /福島(毎日新聞)

『◇第3回公判前整理手続き
 県立大野病院で帝王切開手術中に女性(当時29歳)が死亡した医療事故で、業務上過失致死と医師法違反の罪に問われた同病院の産婦人科医、K被告(39)の第3回公判前整理手続きが15日、福島地裁であった。今回は裁判所から初めて争点についての考えが示された。手続き終了は11月となり、初公判は12月にずれ込む見通しだ。
 手続きでは、裁判所から「胎盤の癒着がわかった段階で、大量出血を予見して剥離(はくり)を中止し、子宮を摘出すべきだったか」が主たる争点との考えが初めて示された。これについて弁護側は手続き後の記者会見で、「止血をするために胎盤をはがすことは臨床では当然のことで、出血を放置して子宮を摘出することは危険だ」と主張した。これに対し検察側は、「大量出血をする前に子宮を摘出すべきだと主張しており、(止血することが重要だとする弁護側の主張は)前提となる事実が異なっているように思われる」と話した。
 次回は10月11日に行われ、弁護側が主張を記載した「予定主張等記載書面」を改めて提出する。11月10日に検察側が意見を述べて手続きを終了する見込みだ。』

記事は一部、加工しております。
「胎盤の癒着がわかった段階で、大量出血を予見して剥離(はくり)を中止し、子宮を摘出すべきだったか」とのことですが、癒着胎盤がはっきりしたのはどの時点であったのか?これは論点にならないのでしょうか?
私は、小児科医で専門外なのですが、子宮から胎盤が「はがれにくい」ことは本当に稀なことで、そのほとんどが癒着胎盤なのでしょうか?

若い、妊娠可能性のある女性の子宮を摘出するということは非常に高度な判断ではないのか?と思ってしまいます。検察側の「大量出血をする前に子宮を摘出すべきだ」という主張は、スジの通ったものですが...実際の臨床の現場ではどうでしょうか?自分であればいわば「身を切られるような」判断となると感じます。

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大野事件の続き

2006年7月23日 雨
雨が降り続いています。九州南部で河川の氾濫などがおこり、多数の死傷者が出ている様です。早く、この災害が終息することを祈るのみです...。

さて、福島県立大野病院産婦人科医不当逮捕事件の公判前整理手続きが始まり、検察と弁護側は真っ向からぶつかっている様です。

大野病院医療事故:全面対決の構図に−−公判前整理手続き /福島(毎日新聞)

『 県立大野病院の医療事故で起訴された産婦人科医の加藤克彦被告(38)の公判前整理手続きが21日始まり、弁護側が全面否認の方針を示したことで、法廷では被告弁護側と検察側が真っ向から対立する構図となった。
 午前10時から始まった手続きには裁判官3人、検察官3人、弁護士8人と加藤被告が集まり、1時間50分間行われた。
 手続き後に会見した加藤医師の弁護団は総勢11人。加藤医師が手術用はさみで胎盤をはがしたことについて弁護団は会見で「そうした措置は珍しくない」と述べた。また、大量出血も「胎盤をはがしたあとの出血量は異常に多いわけではなかった」とし、大量出血の原因については「まだ分からない」と述べた。
 弁護側は検察側に起訴状などに関する求釈明に応じるように求めており、この日も再度要請した。福島地検は「釈明の必要があるものは釈明した。まだ手続きの途中で、この時点で弁護側が『検察側が十分に応じていない』と発表することは早計であり、誠に遺憾」との見解を示した。』

以前の記事でも申し上げましたが無罪となり「不当な逮捕拘留をおこなわれた」ケースであると社会一般に広く認識していただきたいと望んでおります。

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はじまりました。

2006年7月21日 雨
福島県立大野病院産婦人科医不当逮捕事件に関連して動きです。

<帝王切開死亡事故>第1回公判前整理手続き行う 福島地裁(毎日新聞)

『福島県立大野病院で帝王切開手術中に女性(当時29歳)が死亡した医療事故で、業務上過失致死と医師法違反の罪に問われた同病院の産婦人科医、加藤克彦被告(38)の第1回公判前整理手続きが21日、福島地裁で行われた。弁護側は、無罪を主張する方針を示した。初公判は10月ごろの見込みという。』

いよいよ始まりました。「無罪となって欲しい」と願います。

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産科婦人科学会の見解

2006年5月17日 雨 風が強い
福島県立大野病院の産婦人科医不当逮捕事件で、産科婦人科学会が本日あらためて見解を発表しました。

その中で、「本件の転帰に関してはたいへん心を痛め、真摯に受け止めておりますが、外科的治療が施行された後に、結果の重大性のみに基づいて刑事責任が問われることになるのであれば、今後、外科系医療の場において必要な外科的治療を回避する動きを招来しかねないことを強く危惧するものであります。」と、強い調子で『結果責任』の追求をすることにより生ずる不利益を訴えています。

今後は、このような(私見ではありますが)過失のない医療事故については、司法の手で裁くのではなく、臨床経験の豊富な医師と法曹界の人間、また一般の方々の意見を交えた形での専門機関にまずは委ねるという事が必要であろうと思います。また、無過失で結果が重大な場合には、それを補償する制度も必要であろうとも考えています。現在の日本においては、このような医療事故の場合は、医療サイドに過失がない場合は民事的にも補償されません。それを救済する制度は必要なように思います。

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医療と司法という記事

2006年5月2日 晴れのち曇り
日中と夜の間の気温差が激しく、喘息の患者さんには少しきつい気候の様です。

いつも参考にさせていただいている、ある産婦人科医のひとりごとに、こんな記事をみました。

「医療と司法」
外科医で弁護士の古川俊治先生がコメントしておられます。

「手術などの治療には、最善を尽くしても不可避な危険性があります。福島県の産婦人科医の場合も、癒着胎盤など非常に難しい状態で、ほかの医師が担当したとしても、妊婦の死亡は防げなかった可能性が低くはありません。そんな治療で逮捕されるのなら、リスクの高い治療をしなければならない専門の医師は萎縮し、自己防衛として、危ない治療は断るようになるでしょう。」
拙ブログの中でも申し上げていますが、医療には限界があります。医師は所詮、人間であり神ではありません。「人間の生命を自由に操れる」そのような存在ではないのです。ただ、神に近づく様、日夜努力をしています。今回の大野事件では、予見の可能性が著しく低く、そして一旦始まった出血をコントロールすることは不可能に近い、まさに医療の限界の症例であったと思われますが、それを「過失あり」として逮捕、拘留、起訴することは、日本の医療に対して少なからずNegativeな影響を与えるものでしょう。→医療の限界

「また、今回のケースが本当に「異状死」に該当するのかどうかも疑問の余地があります。本来、警察に「異状死」の届け出が必要なのは、人の死亡を伴う重い犯罪の関連が疑われる場合です。医療事故に関しては、一般的には過失を自覚していなければなりません。福島県の産婦人科医の場合も不可避の合併症だという判断で、届け出なかったのだと思います。」
これも、拙ブログの中でとりあげました。異状死については、医師法第21条に届け出義務の規定が記されていますが、この「異状死」についての定義は曖昧で、各学会からガイドラインが出されており、統一された見解がないのが実情です。その、異状死の届け出義務を指摘して逮捕するなどは、まさしく専制的な処罰方法であるといわざるを得ません。→異状死体とは

この記事は、まさに私たちが訴えて来た、最近の法曹界と医療界のあいだの関係を簡潔にわかりやすく示したものといえます。今後、医療事故を専門に検討する第3者機関や無過失補償制度、刑事免責制度等が導入されなければ、日本の医療は「焼け野原」のように無惨な姿をさらすようになるのかもしれません。

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産科の状況

2006年4月27日 雨のち晴れ
福島県立大野病院事件、無過失補償制度、そして、産科の現状を国会で議論されています。涙が出るようなお話です。


映像1
映像2

本当に、本当に産科医のみなさま、おつかれさまです。ただただ、状況が好転するのを祈るのみです。
この問題は、国家レベルの「喫緊」の問題です。この記事を御覧のみなさま、どうかこの問題に目をお向けください。

続きを読む "産科の状況"

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