小児医療の問題点

こちらでも...

2008年2月29日 晴れのち雨
比較的暖かい一日でした。

こちらでも、小児医療の崩壊が進行しています。

医師不足で小児科夜間救急を中止 鈴鹿中央総合病院 2月29日11時29分配信 中日新聞
魚拓

『【三重県】鈴鹿市内の救急患者を受け入れているJA三重厚生連の「鈴鹿中央総合病院」(同市安塚町)が、夜間の小児科の救急受け入れを中止した。小児科医師不足が原因。同市内では小児専門の二次救急医療機関は同病院しかなく、住民からは「地域医療が心配」との声が上がっている。市は小児科医師を派遣している三重大医学部(津市)と協議するため、日程調整に入った。』

地域の小児医療はギリギリの線まで追いつめられています。医局との話し合いでも恐らく結果はおなじでしょう。

『鈴鹿市によると、病院側から「2月から平日は午後10時半以降、休日は午後5時からの診療ができない」との通知が1月29日、「FAXで突然送られてきた」という。』

うーむ、どうも悪意を感じてしまうのですが...この表現は....。

『同本部によると、鈴鹿中央総合病院の小児科医師が対応したケースは年間70件近くあり、市には「病院まで遠くなり心配」との声が寄せられている。

 同病院は「これまで三重大医学部の医師3人で対応してきたが、24時間態勢では臨床と研究の両立ができないという医局の意向」と説明している。』

24時間体制だと、最低7人の小児科医が必要だと聞いたことがあります。この病院には何人の小児科医がいたのか?ははっきりしません。

研究も医師の仕事の一つです。それが阻害されるのであれば、派遣できないということでも仕方がないでしょう。時間外にどれだけの「本当に救急処置を要する患者さん」が来ていたのか?全体の時間外外来数も見てみたい事例です。

ほとんど、眠れなかったのでは?ないかと....ここでも、人間としての最低限の生活が保障されないから医師は去って行くのでしょうね。

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番組を観ました

本日2稿目です。

NHKの『医師を追い込むコンビニ受診・小児科が危ない』を観ました。前半の苫小牧市立病院の悲惨な当直....。あれだけ、重症が多いとストレスだろうな...。とつくづく感じました。

後半の、兵庫県立柏原病院の小児科の例は、産科併設で新生児を診る必要がある状況で、夜眠れない状態が続いていたと...よく4年間も辞職せずに続けられたな...。という思いです。

『子供を守ろう、小児科医を守ろう』というスローガンは日本において希有なものでした...今後、このような気持ちになっていただける親御さんが増えることをのぞみます。

私も、相当疲れていますが...時折、『先生ありがと...』と子供や親御さんから声をかけられて、再び「もういっちょ頑張るか!」という気持ちになっています。そのような、エネルギーをくれる方々に感謝!

番組の中で司会と対談している伊関先生は、私どもの主催している講演会に是非とも来ていただきたいと願う先生の一人であります。現在、日本の医療現場がおかれている状況を適確に表現されていました。

久しぶりにテレビ番組を観た一日でした。

追記です。伊関先生のブログの関連エントリーはココです。

もう一つ追記。県立柏原病院の小児科を守る会:公式HPはココです。

さらに追記です。伊関先生のお名前が誤変換されていました。謹んで、訂正させていただきます。

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NHK番組のお知らせ

2008年2月14日 晴れ

今夜20時よりNHK教育で『医師を追い込むコンビニ受診・小児科が危ない』という番組があります。おそらく、県立柏原病院の小児科を守る会のことが放映されるのでは?と思っていますが....参考になると思いますのでご覧下さい。

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中原先生の過労死認定

2007年3月14日 曇り
地域における医療は様々な原因から衰退の途をたどっています。医療を支える人員は確保を難しくなり、その労働環境は日に日に過酷となっていきます。その中で、自分の限界まで頑張って体を壊す、あるいは命を落とすなどのことはありうることです。中原先生の過労自殺の件については拙ブログでも昨年4月にとりあげました。→小児科医の遺言状そして、過労死認定を行わない労働基準監督署を相手取り起こした訴訟の判決が本日、東京地裁にてありました。全面勝訴です。

『東京都中野区の「立正佼成会付属佼成病院」の小児科医・中原利郎さん(当時44歳)が自殺したのは、過密勤務などでうつ病になったためで、労災にあたるとして、妻、のり子さん(50)が新宿労働基準監督署を相手取り、遺族補償給付の不支給処分の取り消しを求めた訴訟の判決が14日、東京地裁であった。

 佐村浩之裁判長は「欠員となる医師の補充に悩んだことや過密な勤務などが原因でうつ病にかかり、自殺に及んだ」と労災を認定し、処分の取り消しを命じた。』

小児科医の遺言状では、中原先生が自死を選ぶまでの過酷な勤務状況、そして病院の経営の中で「評価されない」小児医療の辛さが切々と綴られています。私自身も小児科医であり、とても他人事とは思えません。その時代からは若干、小児医療をとりまく環境は変化してきてはいますが、依然としてその不採算性から、この世界に飛び込む人員は不足しているといわざるを得ないでしょう。

『判決は、自殺の背景に、全国的に小児科医が不足している現状があったと指摘しており、医療行政にも影響を与えそうだ。』

厚生労働省にこの声が届きますように。

追記です。既に、動きは始まっていました。
勤務医開業つれづれ日記:【速報&お願い】小児科 故中原先生 過労死行政訴訟に勝訴 厚労大臣へ手紙を書こう!

http://www5f.biglobe.ne.jp/~nakahara/には中原先生の行政訴訟判決の速報が載せられています。その中で、国が控訴をあきらめるように、以下のpdfファイルをA4用紙に横に印刷して切り取って官製はがきに貼付けて厚生労働大臣に送ろうというキャンペーンが繰り広げられています。みなさん、ご協力いただければ幸いです。
http://www5f.biglobe.ne.jp/~nakahara/youseihagaki.pdf

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哀悼の意...過労死された小児科医の先生へ向けて

2007年2月23日 曇りのち晴れ
まずは、31歳という若さでこの世を去らねばならなかった...この同業の先生に心より哀悼の意を捧げたいと思います。そして、のこされた家族の方々の残念な思いは、いかばかりのものか?言葉にできません。

さて、読売新聞の記事(2月23日)

『北海道労働局が、道北地方の公立病院などに勤務していた男性小児科医(当時31歳)の突然死について、過度な時間外労働による過労が原因として、遺族が申請していた労災を認め、遺族補償年金の支給を決定していたことが23日、分かった。』

医師の現在の就労状況を考えると、過労死が起こるのは仕方がないかもしれないと思っています。私自身、同程度の時間外労働をこなしており、いつ自分が?という思いもあります。しかし、過労死の認定がなされたことは、遺族の方々にとってはある意味の救いとなったのではないかと感じます。

『同労働局によると、医師の過労死が労災認定されるのは珍しいという。』

その通りです。医師は時間外で働いて当たり前という暗黙の了解があるのでしょうか?医師も人間です。なぜ、他職種と同様な基準で認定しないのでしょうか?その部分を深くえぐった報道を期待します!

『労働局などによると、男性は公立病院に2002年4月から03年7月まで臨時職員として勤務し、同年8月から正職員になった。同年10月1日からは北海道富良野市の民間病院に勤務し、同6日に自宅で心疾患のため突然死した。
 男性は、公立病院で頻繁に夜間呼び出しされるなど、時間外労働が月100時間を超す過密勤務で、民間病院でも長時間勤務を余儀なくされていたという。04年11月、遺族が旭川労基署に労災申請していた。』

労災認定まで2年と3ヶ月。時間外労働が100時間を超える過密勤務は、医師であれば大抵の方は経験しています。そこまでしなければ、この国の医療水準を保っていけない。その状況をこそ問題にすべきです!

最後に、再びこの同業の先生の御冥福を祈りたいと思います。どうか、天国ではゆっくりとお休みください。

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2人体制に移行予定!

2006年9月21日 晴れ
生後2ヶ月前の児が発熱で入院しています。当初尿路感染症が疑われましたが、どうも何らかのウィルス感染症の様です。その他、急性腹症で精査の結果、腸炎と診断した児、無菌性髄膜炎の疑いの児などです。

さて、私の勤めている病院は小児科ができて20年以上となりますが、これまですべて一人医長でやってきました。私は6年前より勤務していますが、2年前に常勤医での枠ができましたが、この小児科日照りで、どなたも就職していただける先生はいませんでした。

しかし、ひょんなことで私と一緒に働いていただける医師を得ることができました。◯月より就任予定です。これまで一人で、「これをしたい」と思ってもできなかったことが、少しづつできるようになると思います。

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勧めません

本日2回目の投稿です。

chisato inuo:小児救急というブログの記事の中から....

『今年3月、長崎県内の病院小児科医を対象にアンケートを行った長崎大小児科医局長(当時)の宮副初司医師は言葉をなくした。「子どもが医師になるとして小児科医を勧めますか」という質問に、「はい」と答えた医師が、58人中1人もいなかったのだ。』

実をいうと、私も勧めません。自分の子供には...どんな仕事でもそうかもしれませんが....
「私は何とか耐えてきているが、子供は耐えれないかもしれない」程度のキツさがある仕事であると思います。
余程、「自分は小児科医になりたい」という希望がなければ勧めることはしないでしょう。それどころか、医師になることも勧めません。

そんなに甘い仕事ではないと思います。別の方面で、もう少し楽に暮らしていける仕事があれば、そちらを選択するように誘導するかもしれません...

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都会での小児医療の崩壊

2006年8月7日 晴れ
結構な猛暑です。盆が近づき、県外の帰省客の受診が増加しています。

さて、都市部でも小児医療は崩壊してきているようです。
山口大、小児科医派遣打ち切り(中国新聞)

『山口大医学部(宇部市)は、山口県厚生農協連合会が経営する柳井市の周東総合病院への小児科医の派遣を来春で打ち切る方針を固めた。大学の医局で小児科医を確保するのが難しいため。病院側は小児科医を公募すると同時に、周辺に小児科の二十四時間態勢の診療機関がなくなるとして、地元の医師会や行政に協力を求め、夜間診療施設の開設を早急に検討する。
 山口大医学部付属病院には小児科医九人が所属。八年前に比べて六人減った。特に、この三年間で新たに迎えたのは一人だけ。小児科は三十九床あり、小児科長の古川漸教授は「付属病院の患者を診療するだけでも大変。派遣は続けたいが、対応できない状態」と強調する。
 今年五月、三十年間続けてきた小児科医の派遣を打ち切ると病院側に連絡した。
 同病院によると、小児科には現在、山口大からの医師二人が常勤している。うち一人は来年三月に退職し、下関市で開業する予定。一人では夜間救急の対応はできなくなる。
 柳井市と山口県周防大島町、熊毛郡内のエリアで、二十四時間態勢の小児科は同病院だけ。圏域人口は約九万人。小児科への休日や夜間外来は月に二百四十人前後で、うち二十人前後が入院している、という。二〇〇五年度の入院患者数は五百二十七人。地域別では柳井市二百五人、同県田布施町百十一人、同県平生町八十四人、周防大島町五十人などだった。
 夜間救急対応ができなくなれば、圏域住民は車で一時間程度かかる岩国市か周南市に向かわざるを得なくなる。周東総合病院の守田知明病院長は「地域医療を守るため、小児科の夜間救急は続けたい。そのためには医師会や開業医、行政の協力が欠かせない」と訴えている。』

小児救急を担当する病院の小児科が閉鎖されるという記事です。527人/年の入院患者さんを診ているので、これは大変な損失であると思いますが、「よくも2人という人数でこれだけの数を診ていたな...」というのが率直な感想です。恐らく、寝る暇もなくて...仕方なく、辞める道を選んでいったのではないかと....
特に、病院での仕事を続ける小児科医は減少している様です。小児科医の仕事がもう少し魅力的になるような政策を厚生労働省には期待するのみです...(悲)

こちらは、県立こども病院の独立法人化が決まった、静岡からです。
静岡市:平日夜間の小児2次救急医療、2病院から1病院に−−来月から /静岡(毎日新聞)

『 静岡市は来月1日から、平日夜間の重症の子どもの治療を行う「小児2次救急医療」体制を現在の2病院から1病院に縮小する。小児科医不足により小児科医の過酷な労働実態が背景にあり、市保健衛生総務課では「小児医療救急体制を維持するためのやむを得ない措置」と話している。
 現在の体制は旧静岡市で5病院、旧清水市で3病院がそれぞれ当番制をとる2病院体制だった。しかし、8病院の常勤小児科医の人数は03年度の43人から05年度の40人に減少。人数不足により、昼間の診療から夜間の救急当番まで最長36時間連続勤務になるなど過酷な労働状況が生じ、「このままでは医師が倒れてしまう」(同課)と縮小を決めた。対象は平日のみで、土・日・祝日、年末年始の2次救急は従来通りの2病院体制を継続するという。』

「人数不足により、最長36時間連続勤務になる」ということですが..恐らく、人数不足になる以前から多分、36時間勤務ではないかと思います。都市部もギリギリの状態でやってます。小児医療の体制を整備したいのであれば、小児科医を増やすことが必要です。繰り返しになるかもしれませんが、若い医師たちが小児科を志しやすい環境を整えることが必要と思います。厚生労働省には重ねて環境の整備をお願いする次第です...。

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小児の時間外受診

2006年8月1日 晴れ
いよいよ8月、暑さは本番です。

小児の時間外受診について、沖縄タイムスから...
6割「緊急性なし」/子どもの救急センター利用

『小児救急外来を訪れた子どもの症状の約六割は「緊急性なし」—。こんな実態が、二十九日に那覇市で開かれた第三回こども救急フォーラムで紹介された。採算の厳しさや人手不足もあり、各医療機関の小児救急部門はパンク寸前。医師らは「救急機関に行くかどうか、親も症状を冷静に見極めて」と呼び掛けた。
 フォーラムは、県立南部医療センター・こども医療センター小児科の主催。保育士や父母ら約二百人が参加。医師や看護師が、小児医療を取り巻く問題について語った。
 那覇市立病院小児科の屋良朝雄医師は、同院急病センター小児科の受診患者の保護者を対象に昨年実施したアンケートで、32%が「夜間にセンターを利用することにあまり抵抗がない」を選んだことを紹介。「コンビニ感覚で、安易に夜間の救急を利用する傾向がある」と述べた。一方で「核家族化が進み、孤立した親が不安感を募らせることも背景にある」とも指摘した。
 同医療センター小児科の安慶田英樹医師は、厚労省が全国の医療機関を対象に実施したアンケートで、小児救急患者のうち緊急性のない軽症は61%、「受診不要」も28%いた例を紹介した。
 安慶田医師は「同じ三八度の発熱でも、救急診療が必要な症状も、そうでない症状もある。判断材料を、われわれ医療の側からも発信していきたい」といい、日本小児科学会の作成した冊子「こどもの救急」から主な症状の判断基準を紹介した。
「こどもの救急」はインターネットでも見ることができる。アドレスはhttp://kodomo-qq.jp

小児の救急をやっている施設では、小児救急よりも「小児の時間外受診」をメインに処理しなくてはならない状態となるところがあります。みんな青色吐息でやっているのが実情ではないか?とも思います。何とか、時間外受診の数を減らし本来の救急に力を注ぐことができるようになれば...と考えます。

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医師は不足している

2006年7月19日 雨
日本列島には前線が停滞し、各地で豪雨の被害が報告されています。現時点でこの豪雨で10人の方が亡くなられ、16人が今も行方不明であるとのことです。被害に遭われた方々には、心よりお悔やみ申し上げるとともに、被災地の被害がこれ以上拡大しないことを祈るばかりです。

さて、今日はこのような記事です。
地域、診療科の偏在解消を 医師不足で厚労省検討会(共同通信)

『医師不足の解消などを協議している厚生労働省の「医師の需給に関する検討会」は19日、「長期的には必要な医師の供給は満たされるが、地域や診療科によって偏在があり、医師不足解消のための取り組みが必要」とする内容を盛り込んだ最終報告書案をまとめた。
 報告書案は週48時間労働で現在の医療レベルを満たすために必要な医師数を27万7000人と試算。2004年度の国内の医師数は26万8000人で、将来は供給の伸びが需要を上回るとの見通しを示した。
 一方、医師不足が指摘されている診療科については「休日夜間診療を、開業医にも分担させる」(小児科)、「病院外来で助産師が妊婦健診や分娩(ぶんべん)の介助をする」(産婦人科)など医師の負担を軽くする対応を求めた。』

現在の医療レベルを満たすための医師数をどうやって算出したのでしょうか?27万7000人の中には、リタイヤした医師や結婚出産で働けない時期のある女性医師をどうやって計算に組み入れているのでしょうか?
以前の記事でも示しましたが、日本はOECD加盟国の中で、ほぼ最低レベルの人口あたりの医師数を示しています。27万7000人という試算が狂っているのならば、供給の伸びが需要を上回るとは言えないでしょう。

厚生労働省は必要な医師数について問題のある認識を示し続けています。偏在ではなく不足なのです。

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貴重なコメントをいただきました。

2006年6月24日 曇りのち晴れ
明日が地域の輪番のため、今日はフリーでした。

拙ブログの記事:それぞれの病院の役割に以下のような貴重なコメントをいただきました。書き込まれた方は、ハンドルネームやその内容から類推しますと非常に骨のある立派な小児科医であると思われます。現在の小児医療の問題に関して鋭く指摘されており、拙ブログを読まれた方にも一緒に考えていただきたく、コメントをここにコピーさせていただきました。

『Yosyan先生
兵庫県立こども病院は本当に最低の小児病院でしたね。阪神大震災で受診患者がまったくいなかったのみならず、すぐそばで起きた明石花火大会事故の心肺停止小児患者を一切受け入れなかったのですから。小児病院というのは三次医療をやるぞ、と言いながら実は自分の診たい患者を診ているだけなんですよ。
がんセンターと小児病院を同じレベルで扱うのは間違いです。がんセンターはがん診療に特化している病院で、もちろん小児もいますよね。小児病院は小児診療に特化しているだけで既に特別な病院なのです。決して「小児の難病」のみに特化すべきではないと思います。小児病院と名乗りながら子どもを分け隔てなく受け入れるわけでもなく、特殊中の特殊病院として存在し、それを周りの住民のみならず小児科医も受け入れている・・・笑止千万ですね。』

『behubehu先生
小児病院はすべての子どもに開かれるべきだと思いませんか?あなたのような小児科医が大多数を占めているために、日本の小児病院が腐ったままなのです。兵庫も、千葉も、私が知っている小児病院は、本当にお寒い小児病院です。自分の専門分野の診たい患者だけ一生懸命で、救急患者を毛嫌いする、「何のための小児病院なの?」と問いかけたくなる病院でしたよ。表面上は最後の砦を気取ってはいますがね。』

私は実は「小児病院」というところで働いた事がありません。そして、私のいる自治体には、公的な小児病院はなく、中央の病院の小児科が重症の患者さんを一手に引き受けてくれています。私はそこで働いた事はあるのですが、重症児を持つとほとんど1週間家に帰れないなどというのが当たり前の状態でした。その当時に比較すると、若干人員は増えており、少しゆとりができてきたものと思いますが....それでも、病院の小児科は青色吐息でやっているのが実情であると感じています。

日本の医療はfree accessですので、ちょっとした感冒などの発熱でも、ナショナルセンターといわれる国立の基幹病院に受診する事ができます。しかし、欧米ではそうでないところが多い様です。北米では、予約のない患者さんは基本的にERで診ることになっているようですが、そうするとトリアージの過程で軽症とみなされた患者さんはどんどん順番が下がり数時間待ちということもざらであるとも聞いています。

さて、小児病院ですべての子どもに開かれるべきであるという思想はすばらしいものと思います。私も、現在の小児病院が北米型のERの機能を備え(単に機能といいますが、人員や予算も必要以上に潤沢である必要があります)ており、受診される患者さんも「軽症ならば数時間待つ事もあります」という前提を理解していただければ、是非そうするべきであるとも考えています。

しかし、現状は「小児科医さま」が御指摘のごとく、『本当にお寒い小児病院です』の状況ですので、いきなり1次から3次まで小児病院でまかないなさいということは困難なことではないかと思います。

ただ、「小児科医さま」が仰る...
<阪神大震災で受診患者がまったくいなかったのみならず、すぐそばで起きた明石花火大会事故の心肺停止小児患者を一切受け入れなかったのですから。
というのは、実情を知りませんのでどういった事情であったのか?コメントする事はできませんが、小児病院側が納得できる理由なく受け入れを拒んだとすれば悲しいことであろうと感じます。

この記事はしばらくの間、拙ブログのトップに置いておこうと思っています。忌憚ない御意見をいただければ幸いです。

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小児科医の不足

2006年6月28日 晴れのち曇り
5年分の疾病分類でテンテコマイ状態です。トホホ...

さて、このような記事が...格差の現場:/6止 足りない 子供を守る医療さえ /宮崎(毎日新聞)

『西諸県地域2市2町(人口約8万4500人)で唯一、小児科の救急・入院に対応していた小林市立市民病院。同科の常勤医2人のうち1人は昨年、所属先の宮崎大医学部が派遣をやめた。もう1人も今年3月、開業のため退職した。以降、休診が続く。』
九州の小児科医局は医局員確保が難しいところが多いのではないか?と思っています。いままで、派遣できていたところを、派遣中止しなければ「回せない」という状況であると考えます。

『西諸県のように全国の地方で、小児科などの医師不足が深刻化している。2年前に導入された国の新臨床研修制度により新人医師の研修が義務づけられ、研修先が自由に選べるようになった。研修医たちは高収入で経験も積める都会の大病院を目指し、地方離れが進んだとされる。
 小林市の6月議会一般質問。九州各地の大学に医師派遣を要請した堀泰一郎市長は「異口同音に『小児科医自体が減っているから、ない袖は振れない』と断られた」と苦悩を明かした。』
新臨床研修制度は研修の効率はあがるものではないか?と思っていますが...医師の適正分布(地域まで幅広く医師が分布する)にはいささか悪影響があるようです。卒業したての若い医師たちは、症例数が多く充分に研修できる病院へと流れます。それは、給料の問題もあるとは思いますが、多くの方は「良い研修」を求めて都会の症例数の多い市中病院へ行くのだと思います。
「小児科医の数が減っているか?」ははっきりとした見解を持っていませんが、少なくとも医局に入り、病院勤務医として地方の病院を回る小児科医は減ってきている印象を受けます。「ない袖を振れない」医局は多いのではないか?と思います。

『「病院まで往復2時間もかかると『付き添いの合間に、ちょっと洗濯に自宅に帰る』ということもできない。母親が子供1人に付き切りになる」と母親の負担増を懸念する。』
厚生労働省は、国会の答弁でも述べていますが...「人口5万に一つの医療施設を維持できるとは言えなくなる。」としており、今後の医療施設のあり方の流れは「集約化ありき」です。産科の問題も大きいですが、小児科も今後、厳しい集約化を行わなければ、その地域全体の小児医療が立ち行かなくなってしまうということが起こるのかもしれません。

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医師不足の記事

2006年5月28日 曇り時々晴れ

昨日が地域の輪番だったので、今日は一日お休みです。でも、入院患者さんがいれば、1回は病棟に顔を出すのですが....

日赤病院、67%が医師不足=小児科、産科で深刻−初の全国調査との記事が目に入りました。日赤病院は正式には赤十字病院といって、日本赤十字社が運営している、ほぼ公的といってよい病院群です。こういった病院でも医師は不足している状況が明らかになっているという記事です。

「日本赤十字社(東京)が全国で運営する92すべての病院のうち、67%に当たる62病院が医師不足を訴えていることが28日、分かった。」

「日赤は「特に小児科と産婦人科の医師不足が深刻。解消の特効薬はない」としており、小児科を休診したり、お産の受け入れをやめたりする病院が地方で相次ぎ、地域の医療全体に影響が及んでいる。」

『日本の医療は地方から崩壊が進んでいる』ということなのでしょうね....

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小児科の不採算性

2006年5月26日 雨
今週は、時間外の呼び出しや、その他の仕事が多く疲労が蓄積し、とうとう昨日は更新できずに眠ってしまいました。

さて、前の記事のコメントで紹介するとしていました文献です。同じ日本小児科学会雑誌のものです。

「良質な医療の提供と効率化を目指した病院小児科改革」

<要旨>

当院小児科は、2002年4月より、それまで4名だった小児科医を7名まで増員し、2交代制による小児科24時間体制で、主に小児救急医療に対応できるようにした。収益増を目標にはせず、医療の質の改善と効率化を目指し、過剰医療の削減と業務内容の特化を図った。その結果、救急受診患者数と入院患者数は大幅に増加したが、診療収入の増加は僅かだった。しかし、当院小児科は、診療内容の特化や過剰医療の削減による業務の効率化により、7名の小児科医で、時間的に過剰労働にならずに小児科24時間体制を維持している。当院はすでに急性期病院として運営されており、他科に比し小児科の診療単価があまりにも低いため、小児科は診療収入を増やす努力をしても、病院全体への収入の面での貢献は僅かでしかない。良質の医療を効率よく提供できるように努力することの方が、病院の質の向上と負担の軽減の面から、より病院に貢献できるのではないかと考えている。

[日本小児科学会雑誌 110巻 5号 703〜707 (2006年)]

ここで、過剰医療の削減とは本文中に「受診回数の減、入院期間の短縮を目指す」とされ、業務内容の特化とは「紹介患者、救急患者については100%受け入れる」ということで、その他の部分、例えば慢性重症患者さんや新生児救急、一般の日常診療の部分についてはできるだけ排除している様です。そして、小児科医の過剰労働を排除するために、「当直制ではなく2交代制にて運営する」とされています。

この改革を行う事で、小児科の時間外外来患者さんは平成13年から平成16年にかけて約6.2倍に増加、全体の外来患者さんは55.6%増加しているというすごい数字です。しかし、診療収入は外来で120.6%増加したが、入院では10.7%しか増加せず、全体として36.1%の増加にとどまったようです。

更に、小児科の60%以上の患者さんは時間外加算(注1)されていますが、それでも病院全体の平均外来単価(注2)の51.3%でしかないとのことで、「いかに小児診療が不採算であるか」が如実に語られています。

ここまでくると、「日本の小児医療の評価には構造的な欠陥がある」とまで思えそうです。良質の医療を効率的に提供しようと改革を断行した病院小児科が、病院内の収入の面では「肩身の狭い」思いをする事になっています。

「小児科の不採算性」は日本の診療報酬体系に起因するものと考える事ができます。

(注1)時間外加算:時間外に外来受診した場合、通常時間に受診した場合の報酬に加えて病院に支払われる報酬のこと。
(注2)平均外来単価:その患者のその日の外来受診で病院がもらえる報酬の事を外来単価という。診療科ごとに合計し患者数で除したものが各診療科平均外来単価で、病院全体で平均をだしたものが「病院全体の平均外来単価」となる。

最後に、この論文の中の強いメッセージを.....
「小児科医の使命感による過剰な献身的努力は、日本の小児医療が社会基盤として未熟であることを、社会から隠してしまっている可能性がある。つまり、小児科医の過剰な献身的努力が、社会の要望に応えられる小児医療体制の構築を遅らせていることになる。」.....考えさせられます。

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小児救急外来とニーズ

2006年5月24日 晴れ
今日はこのほど届いた、日本小児科学会誌の中から『小児救急外来受診における患者家族のニーズ』という原著です。

<要 旨>

目的:小児救急外来受診における患者家族のニーズを明らかにする。

方法:2004年1月19日〜25日の1週間に全国6地区、48医療機関でアンケート調査を施行した。問診票と併用する形で診察前に記入を依頼した。4,949名が回答した。

結果:年齢は3歳未満41%、7歳未満73%、曜日別患者数は平日7〜9%、土曜日23%、日曜日35%。受診時間帯別患者数は深夜帯(0〜7時)12%、日勤帯(8時〜16時)51%、準夜帯(17時〜23時)37%。来院にかかる時間は30分以内がほとんど(87%)。交通手段は自家用車が多い(84%)。受診理由は急病に対する親の不安・早期治療希望89%、非改善・小児科医の診察希望37%、親の仕事27%であった。症状は頻度別に発熱、嘔吐、インフルエンザが心配(11%)、咳嗽・喘鳴、腹痛等であった。救急医療施設の情報入手法はかかりつけ医28%、知人・親戚23%、自治体情報誌21%であった。今後の情報入手手段としてインターネットや携帯電話を利用したい66%、電話相談に期待する77%であった。受診不要と判定された者は28%であった。

結論:小児救急外来受診は乳幼児が多く、週末の需要が高い。主たる受診理由は親の不安・早期治療希望で、他には小児科医の診察希望と親の仕事がある。半数がかかりつけ医や知人から小児救急医療機関についての情報を得ている。今後の新しい情報手段としてインターネットや電話相談が期待されている。

[日本小児科学会雑誌 110巻5号 696〜702 (2006年)]

小児救急外来を受診する理由は、「親の不安・早期治療希望」がもっとも多く約9割を占めている様です。この他、受診した子供の兄弟順では1人目が最も多いという結果も本文中に示されており、少子化により親御さんが子供の病気に慣れない状況が生じ、また祖父母の貴重な援助も核家族化により余り受けられなくなったことなどが複合的に影響して受診数が増えているということの様です。これは、既に構造的な問題となっており、なかなか改善させる事は難しいと感じます。

こういった親御さんの不安に対処するための体制を作るとなれば、恐らく今の数倍、小児科医は必要であろうと思います。近くの、ある市立病院では小児科医は7人以上で、24時間体制で診ています。今後は、地域の小児科も集約化を進め、このようなセンター施設で診ていく他は、方法がないのでは?とも考えています。

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小児科志望の数

2006年5月23日 曇りのち雨

厚生労働省が行った、初期研修2年目の医師に行ったアンケートの結果が発表されています。

『新人医師が2年間義務付けられている臨床研修の修了後の進路として、不足が指摘されている小児科を希望する人が、内科、外科に次いで多いことが23日、厚生労働省の調査でわかった。』ということです。
少し、良い風が吹いてきたか?とも思いますが....

『小児科と同様、医師不足が問題となっている産婦人科は4・8%で8位だった。』と、周産期を支えるもう一つの車輪の方は、必ずしも「良い風が吹いている」とはいえない状況です。

また、このアンケートの回収率は『今年3月に研修2年目だった医師7344人を対象に行い、2500人から回答があった。』と約3割程度であり、アンケートに答えた方と答えなかった方の間に何らかのバイアスが生じれば、ひょっとすると全体の傾向から離れたような結果となっているのかもしれません...

そして、厚生労働省はこの結果をもって一安心している様ですが...この3年目の医師たちが育つまで、まだまだ年月がかかるということを考えに入れておかなければなりません。

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小児科の救急診療

2006年5月22日 晴れのち雨
昨日に続き、病院は結構な大忙しでした。日勤帯では、久しぶりに腸重積の児がきて、何とか空気整復で整復できました。外来は6時30分までかかりましたが、病棟でカルテを記載していると、全館にコードブルー(緊急呼び出し放送)で救急室へ、くも膜下出血の患者さんと、脳内出血の患者さんが続いて搬入されたようでした。どちらも、意識状態が悪く気道確保の上、脳外科のある施設に搬送1例、当院で保存的に...1例。

話は変わりますが、南日本新聞に鹿児島市夜間急病センターの記事が...

『運営する同市医師会によると、4月の利用者総数は2089人で昨年4月の1487人に比べ4割増えた。新設の外科が213人、内科は549人(前年411人)、小児科1223人(同1055人)。市外からの患者も多いという。』夜間診療で多くみえるのが、小児の患者さんですが、この統計でも半分以上が小児患者さんです。

『一方、小児科は患者の増加が問題になりそうだ。同科には特に休日、患者が押し寄せる。4月の最高は1日99人。連休中の5月4日は137人にのぼり、待ち時間は最長2時間近くに及んだという。同日担当した太原博史医師は「初めて診る子には、普段の状態や病歴など問診が多く慎重になる。時間がかかり、早急な診察や措置が必要な子には気の毒」。』一人の担当医でこの数を診ているのか?が疑問ですが...かなりのハードさです。私も、地域の輪番で、冬期の休みに日勤帯の外来をする事がありますが、これほどの数にはなりません。この位の数になると、重症、非重症をキチンと短時間で分別できる技量がないと危険ですし、最低限の応急処置をできる能力が必要と思われます。

『微熱での受診、平日には仕事を抱える親が昼に時間を取れず、連れてくるケースもあるという。同医師は「利便性だけが浸透し、夜間診療所化してしまった。本来の目的である急患対応が遅れかねない」と懸念する。』これは、夜間診療を行っている施設はどこも同じ悩みを抱えているのだと思います。ここまで、核家族化が進行し、育児について祖父母の貴重な援助も得られないとなると、育児不安から夜間にも受診する数が増えるのであろうと考えます。また、両親共働きで仕事を休めず、その時間帯しか医療施設に連れて行けないという方もいる様ですが...こういった要望に応えていくためには、いまのような青色吐息状態の小児科医療では追いつかず、小児科を支える人間が増えなければならないように思います。

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一般的な理解

2006年5月9日 曇り
だんだん、蒸し暑くなってきました。今日は「白血病治療と感染予防」シリーズはお休みさせていただき、日頃より参考にさせていただいているブログの記事を御紹介いたします。

新小児科医のつぶやき:士気がそうですが、この中でYosyan先生は

「しかし報酬のわりには報われるものが少ないと痛切に感じている事は間違いありません。それはかつて医師に払われた高い敬意が失われた事です。医師への敬意というものは無形のものですが、医師にとって仕事への最大のモチベーションの一つになっています。これは金銭的に容易には代替出来ないものです。」と述べていますが、この点は良く感じる事です。私が小さいころ、住んでいた別の町で開業されていた内科小児科医の先生がおられました。その方のご子息と私が同級だった事もあり、親しくさせていただいていたのですが、人間的によくできた先生であった事もあり近辺の方々からも尊敬の念をもってみられていました。自分が医師になることを選ぶのは、このずっと後になりますが、この先生に対する尊敬の念が少なからず後押ししたものとも思っています。

医師に対する敬意が何故なくなってきたのか?これに思いを馳せると...様々な不祥事などが浮かんできますが...それだけではないと感じています。学校の教師や警察官の方々、そして一般の方々、お互いの尊敬の念は時代とともに少しずつ目減りしてきているのではないでしょうか?昔は、学校の先生等はそれ自体が侵すべくもない「先生」であったはずです。社会全体が変化し、このようなモラルが崩壊するような時代になってきているのではないか?そう感じずにはいられません。

最後に、御紹介した記事に投稿されたコメントは「一般的な理解」なのでしょうね。もう少し、一般の方々に理解していただけるよう、ブログを続けたいと思いを新たにしました...

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小児科医という仕事

2006年5月1日 晴れ
ゴールデンウィークのまっただ中。暑くなりました。
今日は午前中から、外来がなにやら賑やかで...午前中50人、午後30人程度の受診でした。中には時間をかけざるを得ない患者さんがいて、外来の椅子からお尻が離れない状態でした。

さて、これまでちょっとネット上を探して、小児科医関係のブログを見つけてきました。
新小児科医のつぶやき
ある小児科医のブログ
enjoy JOI blog
29才のハローワーク

これらのブログの中で、「何故、小児科医となったのか?」が触れられているものがありました。いろいろなきっかけがあると思います。私の場合は、どうだったのか?記憶をたどってみたいと思います。

まず、自分はある「卒業後に義務が発生する医科大学」の出身のため、卒業後へき地診療所に一定期間赴任しなければなりませんでした。その場合は一人で赴任することとなるため、ある程度の幅広い技術の習得が必要でした。このことは、いわゆるマイナー科目といわれる(眼科、耳鼻咽喉科など)方面を選択するには非常に厳しいということで、内科、あるいは小児科、外科などのメジャー科目を選択せざるを得ないということです。

また、卒業前に大学での臨床実習で回ったのは、麻酔科、小児科でどちらも、キビキビした動きの求められる専攻科目でした。そのころから、自分はこういった比較的速い動きを要する科目が好きなのではないか?と思っていました。

卒業後、初期研修を受ける際、私たち(同じ大学の卒業生)には研修先の選択の自由はありませんでした。地元の中央病院がほとんどの受け入れ先だったためです。そして、その受け入れ先の病院で今後、一番自分のためになるのは、恐らく小児科であろうと思われたため、迷わず小児科を選択しました。

その時代には珍しいスーパーローテート(注1)にて研修を受けましたが、最後の10ヶ月は小児科、新生児科を研修する事ができました。結構な症例数がある病院で、研修医も少なかった事から、受け持った患者さんの数は250を超えていたと思います。いわゆるcommon disease(注2)といわれる病気から比較的めずらしい病気まで経験しました。

(注1)スーパーローテート:外科、内科、小児科、産婦人科、救急などの主要科目をまんべんなく研修する方式。
(注2)common disease:通常よく見られる病気のこと。小児科では肺炎や急性胃腸炎などの感染症が圧倒的に多い。

その後は、一番最初の小児科医の現状で触れたような流れで今の仕事をしています。

「小児科医になって良かったか?」
といわれれば、概ね良かったのではないか?と答えると思います。
みなさんご存知のごとく、小児科医を巡る環境は劣悪です。それでも、特に「自分が診断した患者さん」が病気を乗り越え成長する姿をみると、「これが小児科医の喜びの一つなのだな」とも思い、自分を支えているのか?とも思います。ただ、最初の4から5年はいつもビクビクして生活していました。「自分は何かを見落としていないか?」、自分の能力に自信がもてず「重症児がきたらどうしよう」などの思いです。いまは、大抵のことには驚かないまでシンゾーに毛が生えてしまったのですが...

小児科医という仕事をこれからも一生続けていけるかどうか?これはわかりません。小児科医を巡る環境がどのように動いていくか?モチベーションを保つために必要なものが、手元にあり続けるのか?
でも、今はまだ自分にとって「小児科医という仕事」は、まだやりがいを感じる事ができる、そんな仕事です。

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小児科医とストレス...

2006年4月22日 雨
日本小児科学会が発表しようとしている(23日に金沢の全国会で発表する予定)小児科医と過労、ストレスなどについての研究の新聞記事がでていました。

「小児科医のストレスや疲労度は労働者の平均より高く、長時間労働や睡眠時間の短さがストレスと密接に関係していることが、日本小児科学会プロジェクトチームの調査で分かった。金沢市で開かれている同学会で23日発表する。
 医師のストレスに関する本格的な調査は初めて。社会問題化する小児科医不足の一因に過重労働があり、同学会は「週の労働時間を60時間以内とする」ことなどを緊急提言する。」

確かに、睡眠時間は少ないですが...ストレスには、それ以外の要素もあるのでは?考えますが....

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それぞれの病院の役割

4月16日の毎日新聞で以下の内容の記事が出されていました。

「 県立こども病院(安曇野市)を巡り、高度専門医療に加えて救急性のある産科・小児科の一般診療を行う方針を田中知事が示した問題で、大西雄太郎・県医師会長は15日、長野市内で会見し「一般診療を導入すると、現状の水準維持が困難になる。高度医療に特化するべきだ」と述べ、知事の方針に反対した。県医師会は今後、県に対して見解を伝える予定だ。

 同席した須沢博一・松本市医師会長は、同病院がある中信地区では、初期症状から入院が必要な患者まで対応する病院は完備されているとし、「重篤な患者の救命に携わるこども病院に風邪などの救急患者が来ると、感染の危険が高まるうえ、逆に人件費もかかる」と指摘した。

 さらに、大西会長は「医療については、専門家団体の医師会に相談すべきだ」と述べ、県が独自に方針転換したことにも反発した。」

私は、片田舎の公立病院で一人小児科医長です。数年前の経験からですが、数日前より発熱がみられ、徐々に眠り込むようになってきた児が来院されました。グッタリしており全身状態はやや不良で、意識は傾眠と障害されていました。まずは点滴を確保して血液検査したところ、肝臓の酵素であるGOT/GPTがどちらも1万を超えるような凄い数値でした。(正常値はどちらも40程度です)意識障害+肝酵素著明高値から劇症肝炎を疑い、頼りにしている3次施設に搬送しました。搬送先でPT(プロトロンビン時間;肝臓の予備力を反映)の異常低値を確認され診断は確定。その後、2ヶ月程度かかりましたが、血漿交換という血液の中の一部を交換する治療法や持続的血液濾過透析という透析治療の一種を施行され奇跡的に救命できたということがありました。

血漿交換や持続的血液濾過透析などという治療法は、スタッフの揃った集中治療室でなければ行う事が難しく、一人医長の私のところではとても行う事はできません。私のところで治療していたならば、まず助かる事はなかったと思います。私も過労のため倒れているでしょうし、診療もストップしていたでしょう。

このことは、それぞれの病院でそれぞれの役割があることを示しているものと思います。つまり、私が勤めている、いなかの病院の小児科は診療の入り口を担当し、重症で手におえない患者さんは適切に後方病院へ搬送する。患者さんは多いのですが重症患者さんを抱え込まないようにすれば、何とかやっていけます。後方病院は紹介された重症患者さんに出来うる限りの濃厚な医療を行う。熟練した多くのスタッフが必要です。しかし、この状態で感冒等の一般診療を引き受けると、患者数が増えて濃厚な医療は出来なくなります。

長野県では小児医療の3次施設は長野県立こども病院であると思いますが、そこで一般の救急医療を受け入れるとなると、いままで培って来た高次医療を提供する機能に少なからず影響がでることが考えられます。場合によっては、いままで助けられた生命が助けられなくなる可能性まででてくると思います。県の宝である県立こども病院の機能を崩壊させないためには、田中知事に方針転換の撤回をお願いするしかありません。

参考になるHPです。ある産婦人科医のひとりごと。

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小児科医の遺言状

2006年4月14日 くもり
少し肌寒い一日でした。

今日のお話を始める前に、不遇と苦痛の中で病院の屋上から身を投げた小児科医 中原利郎先生の御冥福をお祈り申し上げます。

もう既に、この小児科医の遺言状を御覧になっておられると思います。(このHPは2006年2月に公開されている様です。)

私は、あるメーリングリストでこの情報が流れ、このHPを知った次第ですが、この内容をみて「とても、他人事とは思えない」という感を持ちました。小児科の不採算性とそれに続いて起こる人材確保の困難、めぐりめぐって労働環境の悪化がもたらされ、本当に過酷な勤務が続きます。また、医療政策は引き続き医療費抑制に傾いており、採算性の悪い小児科には病院からの過重な要求が突きつけられます。

私は、この中原先生を存じ上げませんが、文章の内容からすると『本当にまじめに小児医療に向き合っていた』先生であろうと推測されます。このようなまじめな医療者が、社会から評価されず自死を選ぶことになるというのは、「日本の小児医療政策はどこかおかしい」そう思えてなりません。

最後に、天国に行かれた中原先生、どうかゆっくりとお休みください。

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