小児医療の問題点

2008年2月29日 (金)

こちらでも...

2008年2月29日 晴れのち雨
比較的暖かい一日でした。

こちらでも、小児医療の崩壊が進行しています。

医師不足で小児科夜間救急を中止 鈴鹿中央総合病院 2月29日11時29分配信 中日新聞
魚拓

『【三重県】鈴鹿市内の救急患者を受け入れているJA三重厚生連の「鈴鹿中央総合病院」(同市安塚町)が、夜間の小児科の救急受け入れを中止した。小児科医師不足が原因。同市内では小児専門の二次救急医療機関は同病院しかなく、住民からは「地域医療が心配」との声が上がっている。市は小児科医師を派遣している三重大医学部(津市)と協議するため、日程調整に入った。』

地域の小児医療はギリギリの線まで追いつめられています。医局との話し合いでも恐らく結果はおなじでしょう。

『鈴鹿市によると、病院側から「2月から平日は午後10時半以降、休日は午後5時からの診療ができない」との通知が1月29日、「FAXで突然送られてきた」という。』

うーむ、どうも悪意を感じてしまうのですが...この表現は....。

『同本部によると、鈴鹿中央総合病院の小児科医師が対応したケースは年間70件近くあり、市には「病院まで遠くなり心配」との声が寄せられている。

 同病院は「これまで三重大医学部の医師3人で対応してきたが、24時間態勢では臨床と研究の両立ができないという医局の意向」と説明している。』

24時間体制だと、最低7人の小児科医が必要だと聞いたことがあります。この病院には何人の小児科医がいたのか?ははっきりしません。

研究も医師の仕事の一つです。それが阻害されるのであれば、派遣できないということでも仕方がないでしょう。時間外にどれだけの「本当に救急処置を要する患者さん」が来ていたのか?全体の時間外外来数も見てみたい事例です。

ほとんど、眠れなかったのでは?ないかと....ここでも、人間としての最低限の生活が保障されないから医師は去って行くのでしょうね。

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2008年2月14日 (木)

番組を観ました

本日2稿目です。

NHKの『医師を追い込むコンビニ受診・小児科が危ない』を観ました。前半の苫小牧市立病院の悲惨な当直....。あれだけ、重症が多いとストレスだろうな...。とつくづく感じました。

後半の、兵庫県立柏原病院の小児科の例は、産科併設で新生児を診る必要がある状況で、夜眠れない状態が続いていたと...よく4年間も辞職せずに続けられたな...。という思いです。

『子供を守ろう、小児科医を守ろう』というスローガンは日本において希有なものでした...今後、このような気持ちになっていただける親御さんが増えることをのぞみます。

私も、相当疲れていますが...時折、『先生ありがと...』と子供や親御さんから声をかけられて、再び「もういっちょ頑張るか!」という気持ちになっています。そのような、エネルギーをくれる方々に感謝!

番組の中で司会と対談している伊関先生は、私どもの主催している講演会に是非とも来ていただきたいと願う先生の一人であります。現在、日本の医療現場がおかれている状況を適確に表現されていました。

久しぶりにテレビ番組を観た一日でした。

追記です。伊関先生のブログの関連エントリーはココです。

もう一つ追記。県立柏原病院の小児科を守る会:公式HPはココです。

さらに追記です。伊関先生のお名前が誤変換されていました。謹んで、訂正させていただきます。

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NHK番組のお知らせ

2008年2月14日 晴れ

今夜20時よりNHK教育で『医師を追い込むコンビニ受診・小児科が危ない』という番組があります。おそらく、県立柏原病院の小児科を守る会のことが放映されるのでは?と思っていますが....参考になると思いますのでご覧下さい。

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2007年3月14日 (水)

中原先生の過労死認定

2007年3月14日 曇り
地域における医療は様々な原因から衰退の途をたどっています。医療を支える人員は確保を難しくなり、その労働環境は日に日に過酷となっていきます。その中で、自分の限界まで頑張って体を壊す、あるいは命を落とすなどのことはありうることです。中原先生の過労自殺の件については拙ブログでも昨年4月にとりあげました。→小児科医の遺言状そして、過労死認定を行わない労働基準監督署を相手取り起こした訴訟の判決が本日、東京地裁にてありました。全面勝訴です。

『東京都中野区の「立正佼成会付属佼成病院」の小児科医・中原利郎さん(当時44歳)が自殺したのは、過密勤務などでうつ病になったためで、労災にあたるとして、妻、のり子さん(50)が新宿労働基準監督署を相手取り、遺族補償給付の不支給処分の取り消しを求めた訴訟の判決が14日、東京地裁であった。

 佐村浩之裁判長は「欠員となる医師の補充に悩んだことや過密な勤務などが原因でうつ病にかかり、自殺に及んだ」と労災を認定し、処分の取り消しを命じた。』

小児科医の遺言状では、中原先生が自死を選ぶまでの過酷な勤務状況、そして病院の経営の中で「評価されない」小児医療の辛さが切々と綴られています。私自身も小児科医であり、とても他人事とは思えません。その時代からは若干、小児医療をとりまく環境は変化してきてはいますが、依然としてその不採算性から、この世界に飛び込む人員は不足しているといわざるを得ないでしょう。

『判決は、自殺の背景に、全国的に小児科医が不足している現状があったと指摘しており、医療行政にも影響を与えそうだ。』

厚生労働省にこの声が届きますように。

追記です。既に、動きは始まっていました。
勤務医開業つれづれ日記:【速報&お願い】小児科 故中原先生 過労死行政訴訟に勝訴 厚労大臣へ手紙を書こう!

http://www5f.biglobe.ne.jp/~nakahara/には中原先生の行政訴訟判決の速報が載せられています。その中で、国が控訴をあきらめるように、以下のpdfファイルをA4用紙に横に印刷して切り取って官製はがきに貼付けて厚生労働大臣に送ろうというキャンペーンが繰り広げられています。みなさん、ご協力いただければ幸いです。
http://www5f.biglobe.ne.jp/~nakahara/youseihagaki.pdf

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2007年2月23日 (金)

哀悼の意...過労死された小児科医の先生へ向けて

2007年2月23日 曇りのち晴れ
まずは、31歳という若さでこの世を去らねばならなかった...この同業の先生に心より哀悼の意を捧げたいと思います。そして、のこされた家族の方々の残念な思いは、いかばかりのものか?言葉にできません。

さて、読売新聞の記事(2月23日)

『北海道労働局が、道北地方の公立病院などに勤務していた男性小児科医(当時31歳)の突然死について、過度な時間外労働による過労が原因として、遺族が申請していた労災を認め、遺族補償年金の支給を決定していたことが23日、分かった。』

医師の現在の就労状況を考えると、過労死が起こるのは仕方がないかもしれないと思っています。私自身、同程度の時間外労働をこなしており、いつ自分が?という思いもあります。しかし、過労死の認定がなされたことは、遺族の方々にとってはある意味の救いとなったのではないかと感じます。

『同労働局によると、医師の過労死が労災認定されるのは珍しいという。』

その通りです。医師は時間外で働いて当たり前という暗黙の了解があるのでしょうか?医師も人間です。なぜ、他職種と同様な基準で認定しないのでしょうか?その部分を深くえぐった報道を期待します!

『労働局などによると、男性は公立病院に2002年4月から03年7月まで臨時職員として勤務し、同年8月から正職員になった。同年10月1日からは北海道富良野市の民間病院に勤務し、同6日に自宅で心疾患のため突然死した。
 男性は、公立病院で頻繁に夜間呼び出しされるなど、時間外労働が月100時間を超す過密勤務で、民間病院でも長時間勤務を余儀なくされていたという。04年11月、遺族が旭川労基署に労災申請していた。』

労災認定まで2年と3ヶ月。時間外労働が100時間を超える過密勤務は、医師であれば大抵の方は経験しています。そこまでしなければ、この国の医療水準を保っていけない。その状況をこそ問題にすべきです!

最後に、再びこの同業の先生の御冥福を祈りたいと思います。どうか、天国ではゆっくりとお休みください。

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2006年9月21日 (木)

2人体制に移行予定!

2006年9月21日 晴れ
生後2ヶ月前の児が発熱で入院しています。当初尿路感染症が疑われましたが、どうも何らかのウィルス感染症の様です。その他、急性腹症で精査の結果、腸炎と診断した児、無菌性髄膜炎の疑いの児などです。

さて、私の勤めている病院は小児科ができて20年以上となりますが、これまですべて一人医長でやってきました。私は6年前より勤務していますが、2年前に常勤医での枠ができましたが、この小児科日照りで、どなたも就職していただける先生はいませんでした。

しかし、ひょんなことで私と一緒に働いていただける医師を得ることができました。◯月より就任予定です。これまで一人で、「これをしたい」と思ってもできなかったことが、少しづつできるようになると思います。

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2006年8月12日 (土)

勧めません

本日2回目の投稿です。

chisato inuo:小児救急というブログの記事の中から....

『今年3月、長崎県内の病院小児科医を対象にアンケートを行った長崎大小児科医局長(当時)の宮副初司医師は言葉をなくした。「子どもが医師になるとして小児科医を勧めますか」という質問に、「はい」と答えた医師が、58人中1人もいなかったのだ。』

実をいうと、私も勧めません。自分の子供には...どんな仕事でもそうかもしれませんが....
「私は何とか耐えてきているが、子供は耐えれないかもしれない」程度のキツさがある仕事であると思います。
余程、「自分は小児科医になりたい」という希望がなければ勧めることはしないでしょう。それどころか、医師になることも勧めません。

そんなに甘い仕事ではないと思います。別の方面で、もう少し楽に暮らしていける仕事があれば、そちらを選択するように誘導するかもしれません...

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2006年8月 7日 (月)

都会での小児医療の崩壊

2006年8月7日 晴れ
結構な猛暑です。盆が近づき、県外の帰省客の受診が増加しています。

さて、都市部でも小児医療は崩壊してきているようです。
山口大、小児科医派遣打ち切り(中国新聞)

『山口大医学部(宇部市)は、山口県厚生農協連合会が経営する柳井市の周東総合病院への小児科医の派遣を来春で打ち切る方針を固めた。大学の医局で小児科医を確保するのが難しいため。病院側は小児科医を公募すると同時に、周辺に小児科の二十四時間態勢の診療機関がなくなるとして、地元の医師会や行政に協力を求め、夜間診療施設の開設を早急に検討する。
 山口大医学部付属病院には小児科医九人が所属。八年前に比べて六人減った。特に、この三年間で新たに迎えたのは一人だけ。小児科は三十九床あり、小児科長の古川漸教授は「付属病院の患者を診療するだけでも大変。派遣は続けたいが、対応できない状態」と強調する。
 今年五月、三十年間続けてきた小児科医の派遣を打ち切ると病院側に連絡した。
 同病院によると、小児科には現在、山口大からの医師二人が常勤している。うち一人は来年三月に退職し、下関市で開業する予定。一人では夜間救急の対応はできなくなる。
 柳井市と山口県周防大島町、熊毛郡内のエリアで、二十四時間態勢の小児科は同病院だけ。圏域人口は約九万人。小児科への休日や夜間外来は月に二百四十人前後で、うち二十人前後が入院している、という。二〇〇五年度の入院患者数は五百二十七人。地域別では柳井市二百五人、同県田布施町百十一人、同県平生町八十四人、周防大島町五十人などだった。
 夜間救急対応ができなくなれば、圏域住民は車で一時間程度かかる岩国市か周南市に向かわざるを得なくなる。周東総合病院の守田知明病院長は「地域医療を守るため、小児科の夜間救急は続けたい。そのためには医師会や開業医、行政の協力が欠かせない」と訴えている。』

小児救急を担当する病院の小児科が閉鎖されるという記事です。527人/年の入院患者さんを診ているので、これは大変な損失であると思いますが、「よくも2人という人数でこれだけの数を診ていたな...」というのが率直な感想です。恐らく、寝る暇もなくて...仕方なく、辞める道を選んでいったのではないかと....
特に、病院での仕事を続ける小児科医は減少している様です。小児科医の仕事がもう少し魅力的になるような政策を厚生労働省には期待するのみです...(悲)

こちらは、県立こども病院の独立法人化が決まった、静岡からです。
静岡市:平日夜間の小児2次救急医療、2病院から1病院に−−来月から /静岡(毎日新聞)

『 静岡市は来月1日から、平日夜間の重症の子どもの治療を行う「小児2次救急医療」体制を現在の2病院から1病院に縮小する。小児科医不足により小児科医の過酷な労働実態が背景にあり、市保健衛生総務課では「小児医療救急体制を維持するためのやむを得ない措置」と話している。
 現在の体制は旧静岡市で5病院、旧清水市で3病院がそれぞれ当番制をとる2病院体制だった。しかし、8病院の常勤小児科医の人数は03年度の43人から05年度の40人に減少。人数不足により、昼間の診療から夜間の救急当番まで最長36時間連続勤務になるなど過酷な労働状況が生じ、「このままでは医師が倒れてしまう」(同課)と縮小を決めた。対象は平日のみで、土・日・祝日、年末年始の2次救急は従来通りの2病院体制を継続するという。』

「人数不足により、最長36時間連続勤務になる」ということですが..恐らく、人数不足になる以前から多分、36時間勤務ではないかと思います。都市部もギリギリの状態でやってます。小児医療の体制を整備したいのであれば、小児科医を増やすことが必要です。繰り返しになるかもしれませんが、若い医師たちが小児科を志しやすい環境を整えることが必要と思います。厚生労働省には重ねて環境の整備をお願いする次第です...。

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2006年8月 1日 (火)

小児の時間外受診

2006年8月1日 晴れ
いよいよ8月、暑さは本番です。

小児の時間外受診について、沖縄タイムスから...
6割「緊急性なし」/子どもの救急センター利用

『小児救急外来を訪れた子どもの症状の約六割は「緊急性なし」—。こんな実態が、二十九日に那覇市で開かれた第三回こども救急フォーラムで紹介された。採算の厳しさや人手不足もあり、各医療機関の小児救急部門はパンク寸前。医師らは「救急機関に行くかどうか、親も症状を冷静に見極めて」と呼び掛けた。
 フォーラムは、県立南部医療センター・こども医療センター小児科の主催。保育士や父母ら約二百人が参加。医師や看護師が、小児医療を取り巻く問題について語った。
 那覇市立病院小児科の屋良朝雄医師は、同院急病センター小児科の受診患者の保護者を対象に昨年実施したアンケートで、32%が「夜間にセンターを利用することにあまり抵抗がない」を選んだことを紹介。「コンビニ感覚で、安易に夜間の救急を利用する傾向がある」と述べた。一方で「核家族化が進み、孤立した親が不安感を募らせることも背景にある」とも指摘した。
 同医療センター小児科の安慶田英樹医師は、厚労省が全国の医療機関を対象に実施したアンケートで、小児救急患者のうち緊急性のない軽症は61%、「受診不要」も28%いた例を紹介した。
 安慶田医師は「同じ三八度の発熱でも、救急診療が必要な症状も、そうでない症状もある。判断材料を、われわれ医療の側からも発信していきたい」といい、日本小児科学会の作成した冊子「こどもの救急」から主な症状の判断基準を紹介した。
「こどもの救急」はインターネットでも見ることができる。アドレスはhttp://kodomo-qq.jp

小児の救急をやっている施設では、小児救急よりも「小児の時間外受診」をメインに処理しなくてはならない状態となるところがあります。みんな青色吐息でやっているのが実情ではないか?とも思います。何とか、時間外受診の数を減らし本来の救急に力を注ぐことができるようになれば...と考えます。

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2006年7月19日 (水)

医師は不足している

2006年7月19日 雨
日本列島には前線が停滞し、各地で豪雨の被害が報告されています。現時点でこの豪雨で10人の方が亡くなられ、16人が今も行方不明であるとのことです。被害に遭われた方々には、心よりお悔やみ申し上げるとともに、被災地の被害がこれ以上拡大しないことを祈るばかりです。

さて、今日はこのような記事です。
地域、診療科の偏在解消を 医師不足で厚労省検討会(共同通信)

『医師不足の解消などを協議している厚生労働省の「医師の需給に関する検討会」は19日、「長期的には必要な医師の供給は満たされるが、地域や診療科によって偏在があり、医師不足解消のための取り組みが必要」とする内容を盛り込んだ最終報告書案をまとめた。
 報告書案は週48時間労働で現在の医療レベルを満たすために必要な医師数を27万7000人と試算。2004年度の国内の医師数は26万8000人で、将来は供給の伸びが需要を上回るとの見通しを示した。
 一方、医師不足が指摘されている診療科については「休日夜間診療を、開業医にも分担させる」(小児科)、「病院外来で助産師が妊婦健診や分娩(ぶんべん)の介助をする」(産婦人科)など医師の負担を軽くする対応を求めた。』

現在の医療レベルを満たすための医師数をどうやって算出したのでしょうか?27万7000人の中には、リタイヤした医師や結婚出産で働けない時期のある女性医師をどうやって計算に組み入れているのでしょうか?
以前の記事でも示しましたが、日本はOECD加盟国の中で、ほぼ最低レベルの人口あたりの医師数を示しています。27万7000人という試算が狂っているのならば、供給の伸びが需要を上回るとは言えないでしょう。

厚生労働省は必要な医師数について問題のある認識を示し続けています。偏在ではなく不足なのです。

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