医療

2009年11月26日 (木)

新型ワクチンを考える

2009年11月26日 晴れ
久しぶりの晴れです。

新型インフルエンザの大流行で外来は、ほとんどパニック状態。この状態に、更に拍車をかけているのが、新型インフルエンザワクチンの接種です。貴重なワクチンは無駄にせず、なるべく多くの患者さんに接種していきます。多忙な外来の合間をぬって、集団接種を行います。『この状態がいつまで続くのか?』スタッフにも疲労の色がにじみます。

ワクチンは病原体を弱毒化あるいは無毒化して体の中に入れる手技のことです。弱毒化するものは生ワクチン、無毒化するものは不活化ワクチンと称されます。生ワクチンは最悪の場合、その病気が発症する可能性があります。不活化ワクチンの場合は理論的に、その病気が発症することはありません。しかし、その他のいろいろなワクチン関連の副反応がみられます。この世界に副作用のない薬がないのと同様に、ワクチンも限りなく小さな可能性ですが、副反応が起こることがあります。でも、感染症の脅威に対する場合、得られる利益が副反応に比較して著しく大きい場合は、ワクチンのメリットがあると言えるでしょう。

さて、新型ワクチンに関する報道で気になるのは重大な副反応としてあげられている数の多さです。これまで、約600万人に接種が行われ、接種後死亡したかたが26人とのことです。そのすべての方々が、50〜90歳の基礎疾患を抱える人たちだったとのこと...。詳細に検討する必要がありますが、本当にワクチン副反応なのか?基礎疾患の増悪による死亡なのか?キチンと答えを出さないといけないでしょう。

今回の新型インフルエンザは、高齢者に感染すること自体がとても少ないといわれ、現在90歳以上の方々には抗体が認められるとのことです。そういえば、例年の季節性インフルエンザで問題となる、高齢者が多く入っている施設での流行事件の報道も皆無です。(現時点では...)

それに対して、感染者の80%が20歳以下であるとされる状況をどう考えるべきか?

今回の新型インフルエンザワクチンは高齢者でしかも基礎疾患を抱える人々よりも、若年、そして子供に対して広く接種すべきだったのではないかと...。


話は少し変わりますが、今回の新型インフルエンザワクチンは、非常に厳しい監視の中で接種が行われています。基礎疾患のある方に接種した場合、その基礎疾患などの情報を都道府県に報告までさせているのです。通常の予防接種ではこのような体制をしいていません。このような状況で行われているので、副反応の報告も逐一、都道府県を通して国に上申されることになります。季節性インフルエンザワクチン接種後の高齢者死亡もいままでは、ワクチンとの関連を考えずに処理していたかもしれません。(明らかに基礎疾患との関連がある場合です)それが、すべて副反応として上申されているとすれば...通常のワクチンに比較してバイアスがかかったデータを作るかもしれません....。

その部分も考えにいれて、報道を聞いておく必要があります。

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2009年11月17日 (火)

やはり

2009年11月17日 雨のち晴れ
夜半にかけて徐々に晴れて来ました。獅子座流星群は見ることができるのか??

さて、かなりのブーイングでした、新型インフルエンザワクチンの10ml包装。ようやく、来年には廃止される予定のようです。読売新聞より...

『新型インフルエンザ用ワクチンの容器について、厚生労働省は17日、来年1月以降に出荷されるワクチンの容器を1ミリ・リットル入りと妊婦用の0・5ミリ・リットル入りの2種類とし、10ミリ・リットル入りの大瓶の使用を取りやめると発表した。

 大瓶は小規模な医療機関などから「使い切れずに余ったワクチンが無駄になる」といった批判が出ていた。厚労省は「現場の声を取り入れた対応」と説明している。

 季節性インフルエンザ用ワクチンでは通常1ミリ・リットル入りの小瓶が使用されるが、厚労省は新型用ワクチンについて、輸送の効率化や大量製造に適していることから、大瓶を使用。今月上旬までに出荷された約330万ミリ・リットルのうち、約180万ミリ・リットルが大瓶だった。

 しかし、ワクチンは開封後、24時間以内に使い切らなければならず、大瓶の場合、子供だと約30〜45回分が入っている。規模が小さい医療機関では通常の診療をしながら接種していると、大瓶のワクチンを1日で使い切れないため、休診日などにまとめて予約を受け、集団接種を実施するといった方法で対応していた。

 厚労省には都道府県や医療機関から、大瓶による出荷の見直しを求める意見が多数寄せられていた。これを受けて、来年1月以降は大瓶で予定していた出荷分をすべて1ミリ・リットル入りに切り替えることにした。ただ、製造計画が固まっている年内の出荷分は、従来通り大瓶が使用される。』

うちではもう一日集団接種の日を準備して残った10mlバイアルを使い上げる予定です。成人の分も10mlバイアルが6本来ており、これも使い上げるのが大変なようです。残りが出た場合、どうしても使い上げることができなければ、その医療機関の医療従事者に使用してもかまわないという見解が示されていますが、できるだけ努力するべきと思っています。

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2009年11月14日 (土)

きたなー!

2009年11月14日 晴れ
昨日は凄まじい雷雨でしたが、今日は一転、晴れ!

付近は新型インフルエンザが爆発的に流行し、学校は軒並み休校しています。外来もかなりの数で、昼休みもとれないほど...。その中でも、新型インフルエンザのパンデミックワクチンを何とかやりくりして集団接種しています。

数日前、早朝に別件で病院にいっていましたが。外来で、小さな児(2歳児)をかかえたお母さんが....。その前の日の夕方にお父さんがインフルエンザAを発症していました。お母さんは妊婦さんで、これも心配でしたが、その児は顔色不良でグッタリしており、多呼吸が著明。SatO2は60%代??。

うーむ、とにかく酸素投与。マスクで5ℓ程度を行うと、SatO2は80代後半まで上昇しましたが、胸部聴診では、右呼吸音はほとんど聴取できず、胸写を施行。右心縁シルエットアウト、右上葉は虚脱し、右のvolume lossは明らか。左も、粒状影が散在。ガスではpCO2 40代でしたが、早晩人工呼吸が必要になる可能性が高いとして、後方病院に転送しました。

新型インフルエンザに伴い発症する、急速に進行する呼吸障害。まさに、そのものです。

この児は軽症の気管支喘息の既往があり、不定期に投薬がなされていました。今回の、新型インフルエンザでは、軽症の気管支喘息の児がこのように急速な進行を示す呼吸障害を呈することがあり、注意が必要です。しかし、多くは急速な回復を示すようです。

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2009年11月10日 (火)

奮闘中...

2009年11月10日 雨
時折、激しく降っています。

10mlバイアルで配られた新型ワクチン...今日も41人の子供に接種し、最後まで使いきりました。

200911101546000

0.2mlと0.3mlの混じり合った必要量。事前に出来るだけ無駄のないように、準備していなければなりません。

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2009年11月 7日 (土)

パンデミックワクチンの優先接種

2009年11月7日 晴れ
久しぶりに気温が上昇し、日が差し込む室内では暑いほど

さて、11月2日より特に小児の基礎疾患患者に対する新型インフルエンザパンデミックワクチンの優先接種が開始されました。事前に、各医療機関に対して、基礎疾患を有する患者数の調査が来て、そのうちの何割かが供給されました。ちなみに、私の勤務する病院では10mlバイアルが6本、1mlバイアルが38本供給されました。そして、これで『小児の基礎疾患のある患者さんと入院患者さんに接種しなさい』という但し書き付きです。

それからが大変です。小児に対するインフルエンザワクチン接種量は年齢によって異なり、0.2mlのこともあれば、0.3mlのこともあります。10mlバイアルを24時間以内で使いきらなくてはならないため、リストアップした患者さん40人から50人を接種日時を決めて集団接種です。

私のところでは、小児科医は一人であるため、診療時間内に接種を行うことは難しく、昼休みに設定せざるを得ませんでした。同日に入院患者さんの接種も行われ、結果として2mlのワクチンが余ることになりましたが、その分も、電話作戦で順次、接種対象者で希望者を募り、残りなく接種。

私の勤務する病院は、小児科医は一人ですが、幸いなことに動いてくれるコメディカルスタッフがいます。開業医の先生で、10mlバイアルをいくつももらってしまった方々は大変だろうと思います。リストアップから、接種をどうすれば限りなく有効に使えるのか?を考えるのは...小さいところでは不可能かもしれません。

そして、すべての方々に接種できる量のワクチンがなく、そして、これだけ騒がれている新型インフルエンザ...。誰もが、『うちの児にワクチンを射たせたい』と思っているでしょう。子供の中に、基礎疾患で順位を付けて、『あなたの児には射てます』『あなたの児には射てません』ということが、どれだけ医療者にストレスをかけるのか?

官僚の皆様方には、到底、理解できないでしょうね...。

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2009年11月 4日 (水)

脳症、心筋炎

2009年11月4日 晴れ
冷え込んでいます。

さて、新型インフルエンザ流行に伴い、残念なことに小児の死亡例が報道されることが多くなってきました。懸命の治療にも関わらず亡くなってしまった子供たちと、その家族の方々に対し衷心より哀悼の意を表します。

さて、ここまで我が国での新型インフルエンザに関した死亡例は約40例程度、感染者は400万人程度と推定されることから、感染者10万人に1人程度の死亡率とされます。これは、実をいうと『恐ろしく少ない』数字です。世界各国と比較すると、5分の1から10分の1程度の値です。何故だかは解りませんが、通常の季節性インフルエンザよりも少ない数字であると思われます。

日本の医療システムなどの影響か?キチンと治療されて、亡くなる率も低いのであろうと考えられます。もちろん、この中の治療というのは、ノイラミニダーゼ阻害剤を早めに使うということだけを表しているつもりではありません。呼吸障害のきた小児などをキチンと治療できたりする補助療法も発達しているのです。いままでの情報から考えて、ひょっとすると40代、50代の感染者に発症する呼吸障害と、幼児に発症する呼吸障害は、その機序が異なるのか?と考えるようになりました。

一部の学者の方々が紹介される、成人での3から5病日に発症する呼吸障害は死亡率が高いようで、肺の間質障害が基礎にあるのかもしれません?(私見です!)これに対しては、ひょっとするとノイラミニダーゼ阻害剤が早期に必要なのかもしれません....。

ただ、小児に発症している呼吸障害は、比較的軽症の気管支喘息を基礎にもっている児が多く、その呼吸障害の原因は粘稠な喀痰が気道を閉塞することであるということが、どうもわかってきました。そして、発症も『あっというま』であり、数日発症までかかる成人例とはおそらく違う病態をみているのでは?という気がします。これらの小児の呼吸障害はキチンと治療できれば『そこまで怖くないのでは?』という気がします。そして、急速な発症であり、ノイラミニダーゼ阻害剤はおそらく無効であろうとも推定されます。

報道でよく流される幼児の死亡例は発症後数時間の経過であることもあり、その多くは重症の脳症や心筋炎であろうと考えます。こういったケースは残念ながら、発症後はなかなか救命することは難しいかもしれません。そしてノイラミニダーゼ阻害剤も、おそらくは無効であり、早期に発見して集中治療を行うことが発症後に重要となります。

新型インフルエンザのパンデミックワクチンの有効率はどの程度か?これはわかりませんが、通常の季節性インフルエンザワクチンが、そのシーズンの流行株を予想して作られていることを考えると、パンデミックワクチンは『現在流行している株』を不活化して作られていることから、有効性は高いと推定されます。このワクチンを広く小児に接種すれば、ひょっとすると脳症や心筋炎などの非常にラッシュな経過の児を減らすことができるのではないかと考えてしまいます。

今回の新型インフルエンザは高齢者に感染することは非常に稀であり、重症化することも非常に少ないとされます。もちろん感染しないことに勝る手だてはありませんが、成人や高齢者が感染した場合はノイラミニダーゼ阻害剤で早期に治療し、小児はワクチンで守る。という手もあったのでは?などと...あくまで私見ですが...愚考します。

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2009年10月28日 (水)

すべきこと_新型インフルエンザA/H1N1に対して

2009年10月28日 晴れ
台風の影響も去り、澄み切った青空が広がります。

今日も、新型インフルエンザの患者さんが多数、訪れました。ワクチンに関しては情報が錯綜し、大変なことになっています。第2陣は基礎疾患のある1才から9才までの児に接種となっていますが....。どこで線引きするか?あとでもめそうです。とりあえず、11月2日より接種開始とのことですので、それまでに出来るだけの準備をします。

さて、今日は神奈川県警友会けいゆう病院の菅谷憲夫先生の講演を聞くことができました。これまで、すこしモヤモヤとして、『こうすべきだ!』という方針が曖昧でしたが、理論的に非常に整理されていて、方針を決めることができました。

以下に要旨をまとめますと...。

『今回の新型インフルエンザの特徴は、高齢者は何らかの免疫があるためか重症化せず、入院では10代から20代が多数を占め、死亡例では40代、50代にピークがみられる。(これは、アメリカやオーストラリアでの統計をもとにしていっています)

 ニューヨークでの流行は5月中旬に始まり6月末で終息に向かい約6週間の経過であった。7月8日までに909名の入院があり、季節性インフルエンザと異なり、高齢者の重症化は少なく、小児と青少年の入院が多かった。909名の入院患者のうち、225例(24.8%)がICU、124例(13.6%)が人工呼吸管理、47例(5.0%)が死亡した。75%の患者には何らかの基礎疾患がみられたが、何らリスクのない患者の入院も21%に及んでいる。

 そして、注目すべきは、多くのニューヨーク市民が、オセルタミビル(タミフル)等のノイラミニダーゼ阻害剤の治療が遅れたか、全く投与されていなかったことである。(死亡例の多くは、発症後5日以上経過して投与開始されていました。日本では約48時間以内に投与されるのが普通です。)世界の専門家は「今回の新型インフルエンザにおいて、オセルタミビルの早期投与が重症肺炎の併発を防ぐ」と考えている。日本ではインフルエンザの迅速診断と、早期のオセルタミビル投与が確立されており、それが、今回の新型インフルエンザでも(世界の先進国と比較しても)非常に低い死亡率をたたき出している原因であると思われる。

 ただ、小児において発症する急性脳症は、その発症がインフルエンザ感染の初めての症状となることも多く、オセルタミビルなどの早期投与では防ぐことは困難である。これに対しては、早期発見し集中治療を行うことしかないだろう。新型インフルエンザのパンデミックワクチンは有効である可能性が高く、小児に広く接種すれば脳症の発症率を下げることが出来るかもしれない。

 動物実験(マウス、フェレット、サル)において今回の新型インフルエンザは季節性インフルエンザに比較して重度の肺病変を起こすことが多いとの結果が得られている。季節性は上気道炎で終わっても新型は重症の肺炎を合併する可能性が高いと考えなければならない。

 各年代の血清中の中和抗体を調べると、1920年以前に生まれた人たち(90才以上)は100%抗体を持っていることが確認されている。しかし、それ以降では抗体を持たないことも明らかになっているが、それらの方々も死亡、入院は少なく、何らかの免疫があるものと思われる。

 WHOの薬物治療ガイドラインの作成には私(菅谷先生)も参加したが、呼吸困難を訴える患者、肺炎患者、脳症患者などを重症として、重症患者は全例をオセルタミビルで治療することが決められた。日本でも10代であっても、WHOのガイドラインに準じてオセルタミビルによる治療が必要である。

 一方、軽症の健康小児、成人では、必ずしも、ノイラミニダーゼ阻害剤による治療は必要ないとされた。その、主要な理由はコストである。世界の多くの国では健康な方にもオセルタミビルを投与するだけの備蓄を持っていない。この勧告は、現状を追認したものである。

 今回の新型インフルエンザ感染症では、発病早期は軽症であった健康成人も3から5病日にかけて重症肺炎を併発し死亡した症例が数多く報告されている。重症化してからノイラミニダーゼ阻害剤を使用しても効果は期待できない。したがって、日本では感染が疑われたら、健康小児、成人であっても早期にノイラミニダーゼ阻害剤を使用することが必要であり、医学的にも正しいと思う。

 新型インフルエンザのパンデミックワクチンは有効である可能性がかなり高い、しかし、国産のワクチンは足りず、現在の流行には間に合わない。そして、現在の日本では早期診断しオセルタミビルを早期に投与する環境が整い、それが新型インフルエンザの死因のうち多くを占める重症肺炎を予防することが出来る方法でもある。それを考えるとパンデミックワクチンに拘泥することなく、日本で既に確立したインフルエンザ診療を実施し続けることが、最善の対策となるであろう。』

 季節性インフルエンザと新型インフルエンザの違いがはっきりと解ってきたように思います。現在流行している、新型インフルエンザに関しては、早期に発見して治療導入する方針で良さそうです。

 因に、ザナミビルとオセルタミビルの効果についての議論がありました。効果は、オセルタミビルの方が『切れがよい』とのことです。現在は厚生労働省からの10代へのオセルタミビル投与は控えるようにとの勧告が生きていますが、ザナミビル(リレンザ)での効果が今ひとつであれば、インフォームドコンセントをとったうえで投与するのはOKとの認識です。また、明らかに重症例では初めからオセルタミビルでいくべきであるとのことでした。
 
 また、重症例では剖検の結果などから、細菌感染の合併が多く、抗生剤を適切に使用するべきであるとの認識も示されました。

 そして、基礎疾患のある症例に対して、予防投与として半量を10日間投与する方法がありますが、これについては、否定的な認識でした。世界は、予防投与よりも早期発見、早期治療の方向です。(因に、基礎疾患のある小児に対するオセルタミビル予防投与に関しては国立成育医療センター:国立小児病院が「今後、予防投与を行わない」旨の通達を出したようです。)

 以上、結構ためになった話でした。

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2009年10月22日 (木)

新型は『いとこ??』

2009年10月22日 晴れ
少しづつ寒くなってきました。

新型インフルエンザが猛威を振るっています。近辺の学校で、いつもどこかは学級閉鎖や学校閉鎖が起こってきています。外来にも、インフルエンザを思わせる症状で来院する児が急増しています。幸いにして私の周りには重症例がいません。

さて、この新型インフルエンザ...過去に流行した季節性インフルエンザの『いとこ』や『はとこ』にあたるのでは?という議論があります。なぜ?このような議論が...?ですが、通常のインフルエンザに比較して中高年にはあまり重症例がみられず、子供が多く罹患しているのは、昔流行しtらウィルスに似通っているためであろうという考え方です。

確かに、子供から親に感染した症例は非常に少ないと感じていました。

本当に中高年が比較的安全なら、乳幼児にワクチンを広く接種するべきですね。

『新型インフル、成人に免疫?…過去の季節性感染で(読売新聞 - 10月22日 14:48)

 新型インフルエンザに対して、成人の多くはある程度の免疫を持つ可能性があることが分かってきた。

 データを分析すると、患者が増えているのは圧倒的に未成年。さらに新型用のワクチンの臨床試験では、1回の接種で成人の大半が十分な免疫を獲得できたことから、過去の季節性インフルエンザの免疫が、新型にもある程度働くという解釈で、厚生労働省のワクチンに関する専門家の意見交換会の見解がほぼ一致した。「ほとんどの人に免疫がない」とされてきた新型対策の見直しにつながる可能性がある。

 全国約5000の定点医療機関から報告されたインフルエンザ患者数は、ほとんどが新型になった6月末以降、10月11日までで計20万人余り。年齢層別では10〜14歳が最も多く、未成年が85%。最新のデータでは新規患者の90%が未成年だった。大阪大の岸本忠三・元学長(免疫学)は、「子どもと大人の発症率の差は行動の違いだけで説明がつかない。過去に類似したウイルスに感染したことが影響している可能性が高い」と指摘する。

 20〜50歳代の200人に行われた国産の新型用ワクチンの臨床試験では、1回の接種で78%が十分な免疫を獲得した。国立感染症研究所の田代真人・インフルエンザウイルス研究センター長は「1回の接種で効果が出るのは、過去の免疫が呼び覚まされたから。今回の新型は、過去に流行した季節性の『いとこ』か『はとこ』なのだろう」と話す。

 だからと言って、成人が新型に感染しないというわけではない。米国でも当初、10歳代で新型が流行したが、その後ほかの世代に感染は拡大し、最終的に入院患者の半数が18歳以上となった。

 感染研の安井良則主任研究官は「今は、集団生活を送っている子供が感染の中心だが、時間をかけて成人に感染が広がっていく。成人の方が感染すれば重症化する危険性が高く、十分な注意が必要」と強調している。』

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2009年10月20日 (火)

パンデミックワクチン

2009年10月20日 曇りのち晴れ
朝は朝焼けがすごくキレイ。でも、雨にはならず日中より秋空が...。

さて、本日よりパンデミックワクチンの接種開始です。私の勤務する病院では職員170名程度に対して、供給されたワクチンはわずかに19本。つまり38人分でした。実に22%。

この際、病棟のスタッフは捨てて、一番暴露されると思われる外来スタッフを重点に接種を行うことになりました。外来でもすべてを充足することができません....。

一部のスタッフは仕方なく接種をあきらめていましたが...。
200910200859000

一本のワクチンには、実は厳密に1.0mlが入っている訳ではなく、少し多めに入っています。上手く液を吸うと、1本=約1.2mlとなります。19本吸った場合、約3.8mlが余ります。この部分を使うと、約7人のスタッフに使用することができます。

本来ならばこのような使用方法は避けるべきと思いますが、何しろ非常に貴重なワクチン。何とかして、診療に安心して従事できるスタッフを作らなければ、乗り切れません。

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2009年10月19日 (月)

ワクチン接種開始

2009年10月19日 晴れ
朝は少し雲が多かったのですが、午後になり秋空が広がります。

さて、新型インフルエンザは、その流行の猛威を緩める気配がありません。私の外来でも毎日数人以上のインフルエンザA抗原陽性例がみられます。これは、定点あたり数人以上の流行となり、『蔓延状態』と考えられます。現在のところ、脳症や呼吸障害などの重症例は経験しておりませんが、従来の季節性インフルエンザと比較して、小児に重症例が多く発生しているのかもしれないとのデータがあるようです。

本日よりこの新型インフルエンザA/H1N1に対するパンデミックワクチンが医療従事者を対象に接種開始となりました。私の勤務する病院でも午後になり、薬局に『新型インフルエンザワクチンが搬入された』との情報が私に伝えられました。しかし、私の病院には職員数約170人に対して、供給されたのは19本(つまり38人分)のみでした。院内で協議して誰に優先的に接種するか?決めることになります。

社会を支えるために必要なヒトに優先的に接種するべきですが、どのように決めるのか?紛糾しそうです。

読売新聞の記事
『新型ワクチン接種始まる…まず医療従事者に
10月19日12時16分配信 読売新聞

 国内初となる新型インフルエンザ用ワクチンの接種が19日、医療従事者約100万人を対象に始まった。

 厚生労働省などによると、この日は少なくとも23府県で接種が始まり、残る自治体でも26日までに接種が開始される。重症化リスクが大きいとされる妊婦(約100万人)や基礎疾患がある人(約900万人)への接種が来月から始まるのを前に、患者に直接接する医師、看護師や救急現場の職員らが新型に罹患(りかん)した場合でも重症化を防ぐ狙いがある。

 茨城県つくば市の筑波メディカルセンター病院では、この日午前10時から同病院の会議室で接種が始まった。医師、看護師、介護職員ら450人と、同市消防本部の救急隊員96人、県防災航空隊員18人が対象で、3日間かけて実施する。

 会場を訪れた看護師らは、検温をして予診票に体調などを記入。医師の問診の後、接種を受け、約30分間待機して体調に変化がないかを見ていた。外来担当の女性看護師(27)は「これで絶対かからないというわけではないが、かかっても軽く済むのならありがたいですね」と話した。

 一方、甲府市朝日の井上内科小児科医院には16日午後に計5ミリ・リットル(10回分)のワクチンが届いた。19日は午前9時過ぎから、同医院の看護師数人に接種開始。井上利男院長(70)が1ミリ・リットル入りのびんから接種1回分の0・5ミリ・リットルを注射器に注入し、看護師の右腕に注射した。看護師の長沼和子さん(61)は「新型は感染力が強いから不安だったけど、これで少し安心しました」と話した。

          ◇

 新型インフルエンザのワクチンの安全性について、接種した人に副作用が出た場合、医療機関から直接、厚生労働省に報告される。同省は2週間ごとに副作用発生情報をまとめる方針だ。

 死亡などの重い副作用が発生した場合、必要に応じて専門家チームを現地に派遣。接種を継続できるかどうか検討する。

 同省はまず、国立病院機構の医療従事者2万人を対象に、ワクチン接種による副作用の発生頻度などを把握する。

 11月中旬から始まる妊婦への接種については、新生児への影響を日本産婦人科医会が、全国331の出産施設から情報を収集する。同省によると、これまで季節性インフルエンザワクチンで新生児に異常が増えるとのデータはないという。
最終更新:10月19日14時13分』

この記事からは、井上内科小児科医院では職員全員分?が供給されているようですね...。関東と九州では供給量が違うのでしょうか?既に始まっている大流行...ワクチンなしで対応しなければならない職員がいることに...悲しさを感じます。

国、都道府県はこの後手後手の対応を反省しなければなりません。

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