育児

2007年3月 9日 (金)

生きる権利

2007年3月9日 晴れ
晴れて風が強い日は、杉の花粉が舞う様です。小児でも杉、檜の花粉に対するアレルギーは増加傾向で、発症年齢はより低くなってきているように感じます。

さて、どうしてもマスコミの方々は「こうのとりのゆりかご」という正式名称のついた「遺棄された赤ちゃんを保護する施設」のことを、まるで人間をモノとしかとらえていない様な「赤ちゃんポスト」という猥雑な名前で呼ぼうとする様です。このネーミングがどれだけの読者を感情の上でミスリードしているのか?わかりません....

記事は毎日新聞から....

『自民党の竹原孝昭議員は「市民の間にも賛否両論ある。全国レベルの問題なのになぜ(結論を)急ぐのか。総理大臣まで慎重に扱ってほしいと言っている」などと保健福祉局に質問。同局が「(許可すると)決定して厚生労働省へ行ったわけではない」などと説明した。竹原議員は「命の尊厳という良い面もあれば悪い面もある。匿名で預けられるのであれば、育児放棄につながるかもしれない」などの懸念も示した。』

総理がそういうふうに仰ったことで、方針を変える必要はないと思います。そして、慎重に議論しているんですよね、熊本市議会は...。「命の尊厳という良い面もあれば悪い面もある。匿名で預けられるのであれば、育児放棄につながるかもしれない」...この竹原議員には、(こんなことできるわけはありませんが...)一度、生まれたてホヤホヤの赤ちゃんに戻っていただいて、寒い夜、お外に遺棄されてみて下さいと言いたいです。以前のエントリーでも申し上げましたが、特に新生児は体温を保持する能力が弱く、容易に環境温に体温が左右されます。特に寒い夜、屋外に遺棄された場合は、低体温のため命を落とすこともあるのです。自分で動くこともできない赤ちゃんは、その場合、死を待つだけです。
赤ちゃんにも生きる権利があります。それを最低限で保証しようというのが、この「こうのとりのゆりかご」ではないのでしょうか?育児放棄云々言っているうちに、失われる命もあるのですよ...。

『共産党の益田牧子議員も公的相談窓口の必要性を訴え「授かった命が良い環境で育つことを検討してほしい。善意を行政が応援してほしい」と続けた。』

まったく、その通りの意見であると感じます。赤ちゃんが命を拾った後のことを考えることが一番大切なことです。

続きを読む "生きる権利"

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2006年6月 4日 (日)

少子化の進行2

2006年6月4日 曇り
昨日に引き続き少子化についてです。

拙ブログ:少子化の進行のコメント

『・女性が多くの子供を産むと、必然的に育児の負担が増大するため、仕事との両立が難しい。
・仮に育児に専念したいと思っても、男性の収入だけでは経済的に厳しく、仕事せざるを得ない。』
という御意見が寄せられました。これは、まったくその通りであると思います。そして、その根底にある問題としては、

  日本の仕事社会では「子供のことで仕事を休むなんて...」という暗黙の無理解がある。

ということなのではないか?と、あくまで私見ですが感じています。そして、その無理解が改善されない限り、本当の意味での「子育てがしやすい社会」には変化していかないのではないか?と考えます。

さて、今日の毎日新聞の記事...猪口少子化担当相:「子育てと仕事、両立を」−−松戸で講演 /千葉では...

『猪口担当相は日本の少子化の現状と政府の少子化対策を説明した後、「最初の子供が生まれると、働く女性の7割が退職している。子育てと仕事の両立が困難だからだ。現在の働き方は、労働の中断が全くないことを前提にしたもので、これからは子育て支援型の会社が認められるようになってほしい」と語った。』

少なくとも、この問題は猪口少子化担当相は理解しているとおもいます。今後はそれをどうやって、国策に反映するかですね...。

続きを読む "少子化の進行2"

| | コメント (6) | トラックバック (1)

2006年6月 3日 (土)

少子化の進行

2006年6月3日 曇りのち晴れ
今日は地域の輪番で午前中が外来でした。季節が良くなってきたためか、外来はいつもの忙しさではありませんでした。

さて、6月1日の記事。出生率1・25、最低更新 人口動態統計共同通信では...

『出生数から死亡数を引いた「自然増加数」は、統計を取り始めた1899(明治32)年以来、初の減少となるマイナス2万1000人(データのない1944−46年を除く)。厚労省が昨年12月に発表した推計を裏付け、05年が「人口減少元年」となった。』とのことです。ついに、日本の人口は減少に転じました。

ここでいう、「出生率」ですが、これは合計特殊出生率(注1)といって、一人の女性が一生のうち何人のこどもを産むのかを推計した数値です。よって、理論的にはこれが2以上にないと人口は将来的に減少する事となります。

(注1)合計特殊出生率:女子の年齢別の出生率を合計したもの。女性一人当たりの平均子供数を表す。「広辞苑」

小泉政権は猪口大臣を据えて少子化に対する対応を行っていますが、「財源不足」もあり対策を打ち出せないでいるようです。しかし、この問題はややもすると将来の「国の存亡」にも影響してくる問題であるということを認識しなければならないと考えます。少子化が進行すれば、人口の高齢化が進みます。高齢で働けない方が増え、それを支える就労人口は虚弱となり、国の社会保障は破綻する可能性がでてきます。今の若い世代には恐らくここまでの認識はないのでは?と思います。自分が年老いて、介護を必要とするような状態となった時、誰が面倒を見るのでしょう...。そして、その財源は?誰が負担するのでしょう...。その感覚で考えていくと、自ずとある一定数の「次の日本を担う世代」が必要ということを理解できると思います。

繰り返しますが、日本の人口は減少に転じました。今後は、早急に日本の次の世代を担う者たちを作っていかなければいけません。そのためには、国の政策、社会が「子供を育てやすい」環境に変化していく事が必要と考えます。(といっても、抜本的な解決策はうかばないのですが....)

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2006年5月31日 (水)

おしゃぶりについて

本日、2つ目の記事です。

「おしゃぶりであご変形」 母子がコンビに賠償提訴

だんだん、訴訟もアメリカナイズされているのでしょうか?

『訴状によると、おしゃぶりはドイツのメーカーが開発し、コンビが輸入した。少女は生後2カ月ごろから1歳まで1日約15時間使用。その後も3歳10カ月で歯科医に止めるよう言われるまで、就寝中に使った結果、あごが変形したほか、歯並びが悪くなった。
 歯並びは矯正治療で改善したが、「受け口」や舌足らずな発音、口でしか呼吸しないなどの症状が残ったという。』

訴状に対するコメントは避けますが、今後の指導はどうあるべきか?をまとめてみます。

小児歯科学会:おしゃぶりについての考え方には小児歯科学会と小児科学会の間で取り決められた方針が記載されています。

『おしゃぶり使用の考え方
  おしゃぶりは出来るだけ使用しない方がよいが、もし使用するなら咬合の異常を防ぐために、次の点に留意する。

(1) 発語やことばを覚える1歳過ぎになったら、おしゃぶりのフォルダーを外して、常時使用しないようにする。
(2) おそくとも2歳半までに使用を中止するようにする。
(3) おしゃぶりを使用している間も、声かけや一緒に遊ぶなどの子どもとのふれあいを大切にして、子どもがして欲しいことや、したいことを満足させるように心がける。子育ての手抜きとし便利性からだけでおしゃぶりを使用しないようにする。
(4) おしゃぶりだけでなく指しゃぶりも習慣づけないようにするには、(3)の方法を行う。
(5) 4歳以降になってもおしゃぶりが取れない場合は、情緒的な面を考慮してかかりつけの小児科医に相談することを勧める。』

要約すると、「なるべく子供と触れ合って、おしゃぶりを使わなくても育児できるようにしてください。」ということですね。一時期、「鼻呼吸を確立するためには、おしゃぶりを年長児になるまで使いましょう。」というようなキャンペーンがはられていましたが....これには、根拠が少ないようです。マスコミからの情報は、鵜呑みにせず良く吟味して使用した方がよいという一例でもあるかもしれません。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006年5月 5日 (金)

テレビ視聴と言語発達

2006年5月5日 晴れ 風が強い
今日は地域の輪番で、朝8時30分より夕方5時までしっかりしぼられました....私のいる病院は、小児科医は1人でその他の科の先生も、定員割れしている状態で、小児科の輪番の時は、私が一人で全館当直です...
少し疲れましたが、何とか記事を書く気力だけは残りました...(苦笑)

さて、今日は少し前から指摘されている、「テレビ視聴と言語発達」についてです。

まずは、単語の説明です。「発達」という言葉は「成長」という言葉に似ています。もう一つ「発育」という言葉があるのですが、意味の使い分けから行くと、「発育」は主に体の大きさが大きくなることを指し、「発達」という言葉は精神面や行動面の進歩を指します。「成長」は「発育」+「発達」みたいな意味であるとされます。よって、「言語発達」という言葉は、「言語」を使えるようになる進歩を示しています。

しばらく前から、テレビを長時間視聴している児に、「言葉の遅れ」をみることが多いという研究結果が出されるようになりました。実際に乳幼児検診などでみていても、その他の面では発達に遅れがみられず、言葉だけが遅れてくる児をみることが時々あります。

その児のお母さんにテレビを長時間みていませんか?と聞くと、結構な確率で「見せています」との返事が返ってきます。そこで、「テレビの時間を減らすよう努力してください」と伝えて、2ヶ月後ぐらいに来ていただくと、言語面がほぼ正常まで戻ることもあります。

何故、テレビを長時間視聴すると言語発達が遅れるのか?はっきりとした原因は不明な様ですが、テレビから一方的に入ってくる情報は、その児が「喋らなくても楽しめる」ものとなります。それに対して、人間との会話は当然「喋らないと楽しめない」ものです。喋る必要がなくなれば、言葉は発達しなくてもよいという事になります。(「必要は発明の母」と似たような論理です)

以前より、文献を読んでテレビと言語発達との関係を知っていましたが、経験的にもそれに合致する患者さんたちがいることは、学問と臨床の2方向から確認したこととなり、恐らく間違いなくこの2つの事象の関連性はあるものと思います。

最後に、日本小児科学会の提言から...
①.2歳以下の子どもには,テレビ・ビデオを長時間見せないようにしましょう.
内容や見方によらず,長時間視聴児は言語発達が遅れる危険性が高まります.
②.テレビはつけっぱなしにせず,見たら消しましょう.
③.乳幼児にテレビ・ビデオを一人で見せないようにしましょう.
見せるときは親も一緒に歌ったり,子どもの問いかけに応えることが大切です.
④.授乳中や食事中はテレビをつけないようにしましょう.
⑤.乳幼児にもテレビの適切な使い方を身につけさせましょう.
見おわったら消すこと.ビデオは続けて反復視聴しないこと.
⑥.子ども部屋にはテレビ・ビデオを置かないようにしましょう.

続きを読む "テレビ視聴と言語発達"

| | コメント (0) | トラックバック (0)