経済・政治・国際

2009年10月 5日 (月)

パラダイムシフト

2009年10月5日 曇りのち雨

これまでの晴天がうそのように...曇天です。



いままで、日本の経済は製造業や土建などで支えられてきたといって過言でないでしょう。地域の議会をみるとたいていは地元の土建業者由縁の議員さんがいます。公共事業をとることにより、生活の糧としてきたのです。しかし、その一方で、生活に密着した医療や介護に関しては、やや切り詰められてきたという現実はあります。介護職の方々の苦労は大変なもので、介護職を続けて行くことが出来ず、他の業種に仕事を替えなければならない人たちの例も数多くみてきました。
日本の産業構造は大きくパラダイムシフトするべきであろうと考えています。医療や介護などの社会保障にもう少し、お金と人材を注ぐべきであろうと感じます。社会保障費を年2200億円づつ減らそうなんて....とんでもない。必要なところにお金を使うべきですし、現政権であればひょっとするとそれが出来るかもしれません。



政府、緊急雇用対策に本格着手
10月5日(月) 12時13分配信

 政府は5日、厳しい雇用情勢を踏まえ、緊急雇用対策に本格的に着手する方針を固めた。菅副総理兼国家戦略担当相と長妻厚労相が午後に会談し、緊急雇用対策本部の設置も視野に具体的な対応を協議する。介護従事者の処遇を改善して雇用創出につなげる案などが検討される見通しだ。平野官房長官は会見で、雇用情勢が「大変厳しい環境にあることは間違いない」と強調。対策本部の設置を前向きに検討する考えを表明した。

共同通信

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2009年9月30日 (水)

理性的な報道?

2009年9月30日 曇りのち雨
蒸し暑い!

民主党が政権を獲ったときの政権公約の中に『八ツ場ダム』の建設中止が項目として入れられていました。ダム建設に伴う利権の絡みが地元民の反対行動にいろいろと影響しているのは予想されていました。しかし、これまで報道は地元民に対するレンビの情を表すのみで、偏っていると言わざるを得ない状況でした。最初はダム建設反対だった地元民が、何故ダム建設を容認し、そして建設中止に激しく抵抗するのか?その部分にメスを入れた報道です。

『“八ツ場ダム”隠され続ける地元への巨額補償金

2009年9月29日(火)10時0分配信 日刊ゲンダイ

「八ツ場ダム」中止騒動はエスカレートの一途だ。現地視察した前原国交相に、群馬県長野原町など水没する5地区住民が反発し、「ダムを造れ」という声が連日、大マスコミを通じて流れている。「建設を白紙にするのはやめて欲しい」とか、「ようやく家を移したのに、政権が代わったからといって、今になって建設中止はおかしい」とか、旅館経営者から地元のおばちゃんまでダム建設推進一色だ。この地区の住民は長年、ダム建設反対だった。それが、手のひらを返した推進一色は、部外者には奇異に映る。何が隠されているのか。

●道路建設や地元対策で、すでに3200億円の税金を投下

 群馬は総理大臣を4人も出した保守王国だし、長野原町には古くから地元のドンもいる。テレビに出て、ダム中止に怒りをあらわにする住民は、「群馬を牛耳ってきた自民党の関係筋ばかり」(事情通)だという。そうでない地元民は、「おかしいと思っても口に出せない。あからさまにダム建設の中止を訴えれば、あとで何をされるか分からない」と語る。しっぺ返しを恐れているから、反対の声が聞こえてこないわけだ。ダム中止反対は、いわば「つくられた民意」(前出の事情通)というから変な話だ。

 もうひとつ、彼らを“推進派”に押しやっているのが「補償金」だ。これまでほとんど報じられていないが、この問題が地元民を縛っている。

「補償金問題は表に出ず、ブラックボックスになっているのが現実です」

 こう指摘するのは、「八ッ場ダム・足で歩いた現地ルポ」の著者で、ジャーナリストの鈴木郁子氏だ。水没する世帯や田畑の所有者に対する具体的な説得は1980年代から始まった。しかし、ハッキリしないことばかりだ。

「立ち退きのための補償金については個々の家の資産によってマチマチで、どこも言いたがりませんし、情報公開を取っても非開示なのです」(前出の鈴木郁子氏)

 日刊ゲンダイ本紙の取材では最高の家で10億円近いが、確たる話ではない。自公政権時代の国交省は地元説明会でさえ、下流都県から契約済みの家に支払われる感謝のお金に関する資料は配布しなかったという。一説には1戸当たり800万円くらいとされていたようだが、よほど公表したくない金額なのかと勘ぐられても仕方ない。

 移転を決意した人にとって、こうした補償制度が見直されたり、元に戻ることが怖い。それで「ダム建設を計画通りに進めてほしい」の合唱になるわけだ。すでにダム建設予定地周辺には、道路建設費も含めて3217億円の税金が投じられている。ダム本体建設にはさらに1400億円が予定され、そういった工事をアテにしている地元民も多い。地元観光協会や旅館関係者はダム完成後の新しい観光地に期待している。ここで中止は死活問題というのもうなずける。

 しかし、民主党は生活再建を支援するための特別措置法を準備し、何も過去の補償金を召し上げるつもりもない。国が買い上げた田畑をもう一度借りて農業を続ける方法だってある。

 世間は水没住民に同情する人ばかりではない。騒動拡大以来、長野原町の役場には全国から「ダム建設中止は当然だ」「地元だけの損得で反対するな」という抗議の電話が殺到している。

 政権交代の意味を深く考えない民放テレビのワイドショーや大新聞は「地元民がかわいそう」の論調でやっているが、この調子だと「地元エゴじゃないか」の大反発を食らいかねない情勢だ。

(日刊ゲンダイ2009年9月26日掲載)』

ようやく、双方に平等な報道がみられるようになってきました。突っ走りすぎる報道は時に大やけどをする可能性があることを感じなければなりません。

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2009年9月25日 (金)

弁舌

2009年9月25日 晴れのち曇り

これだけの目新しい方針を世界に示した日本国首相はいたのかな?これまで綿々と続いてきた自民党政権の中では、あまり記憶にありません。政権交代し新たな局面を迎えた日本の外交。外交デビューとしてはスムースにそしてしっかりと世界に対して『日本のビジョン』を示したのではないでしょうか?ただ、今後はこれを実行にうつすことが肝要です。

『新政策で日本経済再生…首相が国連総会で演説
 【ニューヨーク=小林弘平】鳩山首相は24日昼(日本時間25日未明)、国連総会で一般討論演説を行い、新たな経済政策を通じて日本経済を再生させ、世界経済をけん引する決意を表明した。

 首相は英語で演説し、東洋や西洋、先進国や途上国など、価値観や利害が対立する分野で日本が「世界の『架け橋』となるべく全力を尽くす」と宣言。具体的には、〈1〉世界的な経済危機への対応〈2〉気候変動問題〈3〉核軍縮・不拡散〈4〉平和構築・開発・貧困〈5〉東アジア共同体の構築――の五つの課題に重点的に取り組む方針を示した。

 世界経済について、首相は「予断を許さない状態が続いている」と指摘。「政権交代を通じた経済政策の見直しにより、日本経済は復活ののろしを上げる」と述べ、衆院選政権公約(マニフェスト)で掲げた子ども手当の支給、ガソリン税の暫定税率の廃止などの消費刺激策を実施し、経済再生を図ると強調した。

 開発・貧困の問題に関しては、途上国支援を強化する方針を示した。特にアフガニスタンの復興支援として、職業訓練などの社会復帰支援の検討も含め、有益な貢献を果たすと表明した。

 首相は、アジア重視の立場から、「新しい日本は、歴史を乗り越えてアジアの国々の『架け橋』となる」と述べ、近隣諸国との関係に影を落とす歴史問題の克服を訴えた。また、日本として国連安全保障理事会常任理事国入りを目指す方針を表明した。

(2009年9月25日02時17分 読売新聞)』

夢で終わらぬよう、頑張ってほしいと思います。

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2009年9月24日 (木)

駄々をこねる

2009年9月24日 晴れ
すこしづつ季節が冬に向かっています。インフルエンザは徐々に蔓延中。

国政は空白が許されない分野です。このほど、民主党が大勝し政権が交代しましたが、その前に難題は山積しています。一刻の猶予も許されない問題として、新型インフルエンザの問題などがありますが、しっかりと体制を組んで、よりよい方向へと進んでほしいものです。社民党と国民新党との連立を組んだのは、参院での審議に迫力を与え自分たちの求める方向へ国政を導くためでしょう...。マスコミでは、辻本副大臣の駄々こねが紹介されていますが、これが本当ならば、彼女には「その資格はない」といって差し支えないと考えます。

『社民・辻元氏が駄々っ子状態 民主ため息 9月20日18時18分配信 産経新聞

 頑固に「護憲」を掲げる社民党が、鳩山由紀夫首相が率いる連立政権でさっそく足をひっぱり始めた。社民党きっての論客である辻元清美衆院議員の国土交通副大臣起用をめぐっても大混乱。組閣翌日に副大臣辞任というハプニングが起きる寸前だった。社民党は衆参12人の小所帯だが、外交・安保政策だけでなく、政権運営面の「火種」となりかねないドタバタぶりに、民主党からは「付き合いきれない」(党幹部)とため息が漏れている。(原川貴郎)

  ■ドレスで認証式、副大臣会議に現れた辻元清美氏

 18日午後、国会内の社民党控室で、辻元氏は国交副大臣就任を駄々っ子のように拒み続けた。

 辻元氏「やだ、やだ、やだ、やだ!」

 阿部知子政審会長 「そんなのダメ。やりなさい!」

 辻元氏「(福島瑞穂)党首が閣議で署名しちゃってるんですよ。もうどうしてくれるんですか、幹事長!」

 混乱は17日夜に始まった。前原誠司国交相から電話で副大臣就任の要請を受けた辻元氏は、社民党国対委員長であることを理由に断り、対応を重野安正幹事長に一任した。

 これを受け、重野氏は党首の福島瑞穂消費者・少子化担当相氏と協議しようとしたが、電話がつながらず、福島氏は18日午前の閣議で、辻元氏の名前が掲載された副大臣名簿に署名してしまった。

 ところが、福島氏は閣議後の記者会見で「サインはしていない。平野博文官房長官からは『調整中の方がまだ何人かいる』とのことだった」と署名の事実を否定。最後は署名したことを認めたが、なぜ辻元氏の意向を踏まえず署名したのかは定かではない。

 辻元氏の抵抗を受け、社民党幹部は18日夜の副大臣認証式までに閣議決定を撤回させようと動いたが、官邸サイドは「できません」ときっぱり拒否。重野氏は国民新党幹部に「連立政権として十分な意思疎通ができていない」と不満をぶちまけたが、もはや白旗を上げるしかなかった。

 社民党の混乱に民主党幹部は「党内の連携ミスの責任をこちらに押しつけられても困る」とあきれ顔。辻元氏が国対委員長職に固執した理由は分からないが、辻元氏は平成15年に秘書給与流用事件で詐欺容疑で逮捕され、翌年2月に有罪判決を受けた。自民党幹部は「内閣に入ってくれた方が攻撃しやすい」とほくそ笑んでいる。』

わざとやってるととられてもおかしくない醜態です。与えられた職務を素直に受け入れ、その職責を全うすることが彼女の仕事でしょう。

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2009年9月20日 (日)

ブレがみられる。

2009年9月20日 晴れ
暑かった...。

さて、政権が民主党へと渡り、様々な面で政治が動いています。民主党は参院での単独多数を実現できないために、社民および国民新党との連立を行いましたが、私個人の意見としては「これはマズい選択である」と感じています。

まず、コレだけ隔たった政治的思想が一朝一夕にまとまるものではないということ...。政治家は自分の意見をそう簡単に崩してはならない。そして、簡単に崩すような方は、政治家には向いていない。ということです。

毎日新聞から。

「<子ども手当>「所得制限を」社民と国民新(毎日新聞 - 09月20日 19:41)

 民主党が衆院選で目玉政策として掲げた子ども手当創設に関し、社民、国民新両党の閣僚が20日、NHKの討論番組で、所得制限を設けるべきだとの認識を示し、所得制限をしない立場の民主党との隔たりが改めて浮き彫りになった。

 番組で、社民党党首の福島瑞穂消費者・少子化担当相は「限られた予算をどう有効に使うか知恵を絞り、社民党は所得制限を設けるべきだとの考えだった」と表明。国民新党代表の亀井静香金融・郵政担当相も「細かい所得制限は無理でも、大まかに1000万円とか何らか(の制限)を付けるのがいいのではないか」と同調した。

 これに対し、同じ番組に出演した藤井裕久財務相は「政治に対する信頼は、マニフェスト(政権公約)に書いたものを断固守るということだ。民主党のマニフェストには断固所得制限なしでやると書いてある」と反論する一方、「3党(連立)合意があるから話はこれからしなければならない」と協議には応じる姿勢を示した。

 民主党はマニフェストで、中学卒業まで1人につき月2万6000円(10年度は半額)を支給する子ども手当創設を提示。3党の連立政権合意では、子ども手当創設は盛り込んだが、細かい仕組みは先送りして書き込んでいない。【西田進一郎】」

国民は民主党のマニフェストを読んで、そして民主党を選択したのです。それを、国民新党と社民党がごちゃごちゃいうから、腰を折ってしまった。ということになれば、政治的には「国民に対する背任」であると言わざるを得ないでしょう。

そして、そのマニフェストに反するコトをごちゃごちゃと並べる閣僚には、最悪辞めて頂く覚悟で臨むべきです。連立を組んだのであれば、最大与党の言うことを聞け!という凄みがあってしかるべきです。

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2009年7月28日 (火)

報道に罪はないのか?

2009年7月28日 晴れのち雨
気温はそう高くないが、湿度は高く、体感温度はやや高めです。

しばらく忙しく更新できないでいました。今日は少し時間ができました。

報道により辛い思いをしている方々はいるでしょう。しかし、報道に罪が認められることは稀にしかありません。東京女子医大で起こった心房中隔欠損症手術時の人工心肺事故では、現在、無罪が確定した被告に対して、不十分な調査に基づく報道でその名誉を毀損したと思われる事例がありましたが、今回、高等裁判所では『報道機関の罪』が認められませんでした。

地方3紙の賠償責任なし=通信社記事掲載の名誉棄損認めず−女子医大事故報道・高裁

<以下引用>
『地方3紙の賠償責任なし=通信社記事掲載の名誉棄損認めず−女子医大事故報道・高裁
 東京女子医大病院(東京都新宿区)の医療事故に関する共同通信社の記事で名誉を傷つけられたとして、刑事事件で無罪が確定した佐藤一樹医師(45)が同社と配信記事を掲載した地方紙3社に損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁は28日、3社に計385万円の支払いを命じた一審判決を取り消し、原告側の請求を棄却した。一審と同様、共同通信の責任も認めなかった。
 3社は秋田魁新報社(秋田市)、上毛新聞社(前橋市)、静岡新聞社(静岡市)。
 判決で都築弘裁判長は、通信社の配信システムを、「全国民に情報を伝達するために有用で、国民の知る権利に奉仕する報道の一形態として尊重すべきだ」と述べた。
 その上で、共同通信は正確な記事を配信できる態勢を整えており、記事の正確性のチェックなど必要な措置を取っていると指摘。3社について「取材するに当たっての注意義務を共同通信が履行することを期待できた」として、注意義務違反はなかったと認定、過失責任を否定した。
 一審東京地裁は「通信社の記事でも、真実性について高い信頼性が確立しているとは言えない」として、掲載紙側の責任は免れないとしていた。
 判決によると、3社は2002年7月、心臓手術を受けた小学6年女児の死亡事故について、佐藤被告の医療ミスが原因とする共同通信の配信記事をそれぞれ掲載した。
 佐藤医師は業務上過失致死罪に問われたが、一、二審とも無罪とされ、今年4月に確定した。(2009/07/28-20:37)』
<引用終わり>

報道機関はその影響力の大きさから、ときにヒトを傷つけることがあります。しかし、その罪が認められることが稀なのはどうしてでしょうか??刃をもつものに、十分な抑制力をもって対処しなければ暴走するだけでしょう...。

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2009年7月23日 (木)

厄介者を追い払うような行為

2009年7月23日 晴れ
昨日がこの天気だったらどんなに良かっただろうと思う一日です。

さて、三位一体の改革という地方への補助金、交付金カットが行われ、地方自治体は財政的に厳しくなりました。特に、ドンブリ勘定で多くの施設を作ってしまった自治体は、その維持費に苦しむことになります。大分県は特に前の知事が公共事業を精力的に推し進めたためか...『なぜ、この施設が作られたのか?』理解に苦しむこともあります。大分市にある大洲運動公園は現在、大分県が管理していますが、その利用者のうちほとんどが大分市の住民であることから、県はこの施設の管理を大分市に移管しようとしています。

県の施設がその施設の存在する地域への依存度が高いとされる場合、その地域への管理移管を行う理由となるのでしょうか?まるで厄介者を追い払うかのような所業です。

これが、医療施設であった場合はどうでしょうか?病院だって、診療所だってドンドン切って行きますよ!県の財政のためなら、そこまで切り込んで行きますというのでしょうか??ね...医者が逃げても知りません。看護師さんもいなくなっていいです。根底にはそういった思想があるのでは??

大洲総合運動公園 大分市移管、棚上げに [2009年07月23日 09:06]
魚拓

<以下、引用>
『大洲総合運動公園 大分市移管、棚上げに [2009年07月23日 09:06]

 県から大分市への大洲総合運動公園(青葉町)の移管が実質的に棚上げになった。市が移管の条件にしている「老朽化した施設の補修計画」で合意できなかったため。県は市との協議が調い次第、すぐに移管できるよう公園の指定管理者(本年度は県公園協会)との契約を1年ごとに更新してきたが、当面合意する見込みがないため、来年度は3年(2012年度まで)契約にした。この間移管はないという。
 大洲総合運動公園は06年度に指定管理者制度を導入した。来年度から県教委が管轄する県立総合体育館も含めて一元管理する方針。サービスやコスト面での効果を検証しながら3年契約にしたという。
 運動公園は大分市民による利用が全体の約8割を占めており、市も一定の維持管理費を負担している。これを踏まえ、04年度から移管協議を進めてきた。
 市側は移管に伴い、「建設から一定の年数がたっており、相応の改修が必要」として、新大分球場のスコアボードの完全電光化や施設のバリアフリー化を要求。これに対し、県は厳しい財政状況の中、多額の経費投入は難しいとして、国庫補助を活用した整備や改修対象の絞り込みなどを提案している。
 県は指定管理者に対して毎年度約7千万円の管理委託料を払っている。財政事情が厳しい中、負担を軽減するため、できるだけ早期に移管手続きを完了させたい意向で、「現段階では決着していないが、引き続き協議していく」(公園・生活排水課)方針。
 市にとってはJR大分駅周辺整備事業への財政負担が大きいことも悩みの種で、「当面は公園移管に伴う予算が使えない」といった事情もある。市企画課は「12年度の指定管理者の更新をめどにどのような形で引き継ぐのが最も適切なのか考えていく」としている。』
<引用終わり>

大分市はもっとゴネていいのでは?と感じます。いまのやり方は県内から受け入れられないよ!と教えるべきです。

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2009年7月 7日 (火)

専門的なグループ...医閙

2009年7月7日 曇り
牽牛と織姫さまの年一回の逢瀬は来年に持ち越しです。

さて、お隣の中国では、医療者に対して専門的に恫喝し、金銭をかすめ取るようなグループが存在し、それが、世間的にまかり通ってるようです。中国で医療を施すには相当のリスクを背負い込むような気概が必要でしょう。

<医療ミス>医者と患者の戦争勃発?!暴動が多発、賠償金のプロまで登場—中国 7月6日0時9分配信 Record China
魚拓

<以下、引用>
『<医療ミス>医者と患者の戦争勃発?!暴動が多発、賠償金のプロまで登場—中国
7月6日0時9分配信 Record China

2009年7月3日、中国新聞網は、医療行為をきっかけとした暴動が相次いでおり、医療関係者や司法関係者の不安を招いていると報じた。

大きな注目を集めたのが6月21日に福建省南平市の病院で起きた乱闘騒ぎ。腎結石の手術を受けた患者の病態が急変し死亡したが、遺族は医療ミスだとして賠償を要求。病院が拒否したため親族を引き連れ病院に乗り込み医者を軟禁した。ほかにも河南省では妊婦が出産時に死亡したとして遺族ら60人が医師を殴打する事件が発生したほか、浙江省では官僚の娘が病院で飛び降り自殺し治療の甲斐なく死亡した後に、父親が100人余りを引き連れ病院を破壊する事件が起きている。

専門家によると、こうした暴動事件の背景には「医閙」(医者を騒がすの意)と呼ばれる組織がかかわっているという。「医閙」は病院を脅して賠償金をせしめるプロフェッショナルで、遺族も不満を解消するために組織を利用しているという。病院側も騒動をおさめるために金銭での解決を図ったり、ひどい場合には現場の医療スタッフに責任を押しつけてしまうという。

中国医師協会の殷大奎(イン・ダークイ)会長は患者との衝突は深刻な社会問題であり、医療関係者の仕事へのプライドを傷つけるものだと指摘した。医者は法律に従って仕事を進めており、患者も法にしたがって欲しいと呼びかけている。(翻訳・編集/KT)』
<引用終わり>

『腎結石の手術を受けた患者の病態が急変し死亡したが、遺族は医療ミスだとして賠償を要求。病院が拒否したため親族を引き連れ病院に乗り込み医者を軟禁した。』この事例が本当に医療ミスだったのか?仮にミスであったとしても、乱闘に訴えるならば遺族側に相当のペナルティを負わせるべきでしょうね...。

『河南省では妊婦が出産時に死亡したとして遺族ら60人が医師を殴打する事件が発生した』出産にも100%の安全はありません。それを、暴力に訴えて気持ちを鎮めようとする等...あまりに幼稚な国民性ですね...。

『浙江省では官僚の娘が病院で飛び降り自殺し治療の甲斐なく死亡した後に、父親が100人余りを引き連れ病院を破壊する事件が起きている。』飛び降りたのは自身の意思であったでしょうにね...。医師は必死に治療したのではないでしょうか?

報道の常ですが、これらが本当に起こったことか?わかりません。しかし、本当にあったことならば、中国国民はその精神性において、かなり粗雑で幼稚な印象を受けます。

さすがに、日本ではこのような専門的グループはみられませんが、福島県立大野病院事件等、かなり理不尽な事例もみられます。法治国家である限り最低限のマナーは守られるべきです。

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2009年7月 4日 (土)

独立記念日のできごと

2009年7月4日 晴れ
湿度は高く、体感温度もかなり高い!

『7月4日に生まれて』というトムクルーズの映画がありましたが....。7月4日はアメリカ合衆国にとって特別な日です。その日にあわせ、中距離弾道ミサイルを発射した北朝鮮は、まさに国際社会におけるheelでしょう...。

北ミサイルに米反発「独立記念日に米国へ挑戦」

<以下、引用>
『【ワシントン=本間圭一】オバマ米政権は、北朝鮮が4日の米独立記念日に合わせて弾道ミサイルを発射したことから、米国に対する挑発行為として深刻に受け止めている。

 当面は、先に国連安保理が採択した制裁決議の徹底を図る構えだが、北朝鮮が今後、行動をエスカレートさせた場合、制裁強化などの検討に入る可能性も捨て切れない。

 米紙ワシントン・ポストは4日、今回のミサイル発射を「独立記念日に米国へ挑戦」と形容した。また、ある米政府当局者がCNNテレビで「北朝鮮の行動は無益だ」と非難した通り、米国は北朝鮮批判のトーンを強めており、今後は金融制裁や船舶検査を定めた6月の制裁決議の履行を徹底し、ミサイル発射を容認しない姿勢を示す考えだ。

 米国では、今回発射されたミサイルが、ハワイなどを射程に収めた長射程のものでなく自国領への直接の脅威とならないため、冷静に受け止める向きもある。

 しかし、オバマ大統領は2日、AP通信とのインタビューで、北朝鮮への対応に関して「さらに多くのことをする余地がある」と言明しており、北朝鮮が今後、長距離ミサイルを発射した場合、安保理制裁決議の一層厳格な適用や、米国単独の制裁強化に乗り出す可能性がある。

(2009年7月4日20時39分 読売新聞)』
<引用終わり>

アメリカを矛先にして暴れ続ける北朝鮮。アメリカの注目がないと、今後のコトがうまく進まないのでしょうか?核を持ち、ミサイルを持てば、アメリカから何らかの譲歩を引き出せる。そういう危険な賭けを続けるのでしょうね....。その裏で、苦しみ続ける国民達...。なぜ、こうも理不尽なのか?思ってしまいます。

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2009年6月28日 (日)

格差

2009年6月28日
晴れのち雷雨!!熱帯なのか?と思いました。

日本は医療において「間違いなく」恵まれた国であろうと思います。国民皆保険で、ある程度の高度医療ならば、ほとんど負担はなくて、その恩恵に与ることができます。ただ、世界を見渡すと、一部では輸血もできない、点滴もあるのか?といった国が存在します。

ペシャワール会が行っているパキスタン、アフガニスタンもその範疇に入るのかもしれません...。あるブログを書かれている先生が行かれているラオスでもそのようです。

日本の医療水準は、その国力によりはぼ最高の水準を維持している。これを認識しておかなければなりません。

さて、話は若干飛びますが....。ときどき読む、「曽野綾子」さんのエッセイでこのような記述が...。

<以下引用>
『おかしいのは、日本人が世界のどこででも法が行使されるものと勘違いしている点である。ペルーでも、現在の日本のように整然と法が適用され、フジモリ氏はその法の下に警察か軍に身柄を守られて裁かれ得ると考える日本人が実に多いことが最近になってわかった。ペルーだけでない。世界ではまだ法が権力によって即時に変えられるか守られない国家はいくらでもある。』
<引用終わり>
曾野綾子:夜明けの新聞の匂い:死んだ侍 から

いろいろな問題点はありますが、日本は基本的に法治国家としてキチンとしたものをもっています。医療においても予防接種等の先進国の中では異様に遅れている部分はありますが、そのレベルはたいしたものです。しかし、そのレベルを維持するために、非常に安価な医療費、そして先進国の中で最も少ないレベルに入る医師数で現場は火の車になって犠牲になりながら働いている。それが、現実です。

今後は、医療費の負担をどのように考えるか?国を挙げての議論が必要となるでしょう。

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2009年6月22日 (月)

映画のような話...

2009年6月22日 晴れのち雨
久しぶりの雨です。なんだか、今年の梅雨はおかしい...。

映画『トゥルーライズ』『ピースメーカー』などは、テロリストが核兵器を奪取し、大都市においてそれを使おうとするという設定です。未然に阻止されますが、それが現実であったなら?背筋が寒くなります。

冷戦後のロシアなどでは、核兵器の管理が杜撰となり流出した可能性もあるようです。また、核兵器技術者は世界に流出し、いろいろな『これまで核兵器を持ち得なかった国々』で、その腕をふるっています。パキスタンもしかりです。大国のみで核兵器を独占し、冷戦の状態であった時代には核兵器は非常に厳しく管理され拡散することはなかったでしょう。しかし、最近の核保有国ではどうでしょうか?少し、コワい気がします。

パキスタンの核兵器奪取、米国に使用…アル・カーイダ幹部 2009年6月22日(月)21時24分配信 読売新聞
魚拓

<以下、引用>
『パキスタンの核兵器奪取、米国に使用…アル・カーイダ幹部
2009年6月22日(月)21時24分配信 読売新聞

 【カイロ支局】国際テロ組織アル・カーイダのアフガニスタン地域の幹部ムスタファ・アブ・ヤジド容疑者は、カタールの衛星テレビ「アル・ジャジーラ」が21日に放映したインタビューで、パキスタンの核兵器を奪取して、米国に対して使用する意図を語った。ロイター通信が伝えた。

 米国がパキスタンの核のイスラム武装勢力への流出阻止を重点課題としていることに関し、同容疑者は「核兵器は米国の手には渡らない。ムジャヒディン(イスラム戦士)が手に入れ、米国に対し使用する」と述べた。』
<引用終わり>

恐ろしい話です。核兵器によるテロがおこれば....。世界はどのようになってしまうのか?想像がつきません...。

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2009年6月21日 (日)

アメリカは日本を追いかける?

2009年6月21日 曇りのち雨
猛暑が続いています。

さて、日本はいわずと知れた、国民皆保険制度が定着している国です。健康保険に加入していないヒトはいないことになりますが、保険料を滞納すると一部で医療を受けられなくなります。アメリカは自由の国、現在のところは合衆国全体で皆保険制度に近い制度を導入しているのは、ここに紹介されている、マサチューセッツ州だけでしょうか?ヒラリー・クリントンが数年前から導入を提案している、国民皆保険制度。この面では米国は日本を手本にし追いかけている状況となります。

医療に関しては、とかく米国に追随する傾向がみられますが、その制度に関して、日本は非常に先進的であるのでは?と感じます。アメリカにならい、自由診療を拡大しようとしたりすることは、アメリカの医療保険会社に日本の医療を売り渡す行為に近いと国民そして政治家は強く認識しなければなりません。

MRICのメルマガにて流れていた記事です。

<以下、引用>
『2回目 全米初・マサチューセッツの州民皆保険(ヘルスケア改革法の舞台裏)

 前回は、全米で初の州民皆保険を定めたマサチューセッツ・ヘルスケア改革法の成立とその背景についてご紹介しました。今回はそれがどのように運用されていて、どのような評価を受けているのか、またこの改革法を推進した立役者についてご紹介したいと思います。


●無保険者へのペナルティ

 2007年にスタートしたヘルスケア改革法によって、マサチューセッツ州では44万2千人が新たに健康保険に加入することになりました。これで、2005年の時点で55万人いるといわれた州内の無保険は、約10万人へと劇的に減少し、全人口の3パーセントだけになりました。ちなみにこの3パーセントの保険を持たない層というのは、特に健康問題を持たない若年労働者たちだと言われています。

 このように短期間に無保険者が激減したのは驚きですが、その理由は低所得者向けに保険料の補助があることに加えて、保険料を払っていないと罰金が課される制度が設けられたからです。州税の申告をする際の用紙に、保険への加入を記す箇所があるので、州は誰が保険に入っていて誰が入っていないかを把握できるのです。

 罰金の金額は所得に応じていますが、初年度の2007年は最大で219ドル(2万円)でした。そして翌年の2008年に最大912ドル(9万円)に急上昇しました。912ドルというのは、一番安い保険プランのちょうど半額です。

 今後も順次、罰金の金額を上げてゆくとのことで、保険に入った方が罰金を払うよりどんどん有利になってきます。このことから、今後数年で無保険者は限りなくゼロに近くなることが見込まれています。』
<引用終わり>

ひょっとすると、日本における健康保険滞納者に対する施策としても参考になるかもしれませんね...。実際に制度を上手く運用するために、アメリカはlどのような手法をとるのか?国民性の違いはありますが、「上手い!」と感じてしまいます。

<以下、引用>
『●州民のヘルスケア改革法の受け止め方

 では、このヘルスケア改革法は州民たちにどのように受け止められているでしょうか。一般にアメリカ人は、自由に価値を求め、個人主義で自己責任を尊ぶ国民だといわれています。それゆえ、健康保険を持つことを義務としたり、保険料を払えない人に州が税金を配分して補助したりする公的保険システムは、「社会主義的Socialistic」とさえ言われ、嫌われたりすることがあります。ところがマサチューセッツでは、実際のところ、かなり好意的に受け入れられているようです。

 それは、2008年7月にハーバード公衆衛生大学院とブルークロス・ブルーシールド・マサチューセッツ財団によって実施された州民への調査から分かります。この調査では、ランダム・サンプリングされた18歳以上の州民1,015人を対象に、州民皆保険を定めたヘルスケア改革法の認知度や、改革法の賛否が質問されています。

 まず認知度ですが、「とてもよく知っている」から「少しだけ知っている」までを合わせると94%に上っていました。6%は「まったく知らない」と答えていたわけですが、改革法が成立したすぐ後の2006年9月の調査では、「まったく知らない」人が20%もいたことを鑑みれば、急速に認知度が上がっているといえるでしょう。

 そして改革法を知っていると答えた人のうち、改革法に賛成の人は69%に上り、改革法反対の22%を大きく上回っていました。また、連邦貧困レベル300%(4人家族で年収約600万円以下)の人々には州が保険料を補助することに賛成の人は77%で、やはり反対の18%を上回っていました。そして、改革法が州内の無保険者を減らすことに成功していると答えた人は71%でした。

 これらのことから多くの州民が改革法を支持しており、その成果を肯定的に評価していることが分かります。』
<引用終わり>

しっかりとした情報開示と、補助すべき人たちへの適切で理解度の得られやすい補助を行うことで、制度は急速に認知され、人々の間に広がっています。このヘルスケアがあれば、マサチューセッツ州は人口が増えるのではないでしょうか?

<以下、引用>
『●誰が公的保険に反対してきたか

 しかし、公的保険に反対している勢力があったのも確かです。それでは、どのような主体が反対してきたのでしょうか。公的保険が登場すると、それまで自由に価格を設定できた保険や薬剤の市場が侵されると考える保険会社や製薬会社までは容易に想像されます。しかし最も強い反対勢力のひとつだったのは、実は医師の団体でした。

 もちろん医師と一口に言ってもさまざまな立場があります。概して高度医療や専門的医療をする医師達はヘルスケア改革法に反対していて、プライマリ・ケアに従事している医師たちは賛成しているそうです。それでも大勢としては医師達もやはり、公的保険によって価格が一定程度制限されるようなシステムには、賛同しかねるという傾向にありました。このことから日本で1961年に国民皆保険が実施されたとき、医師の自由裁量権が制限される事への危惧から、日本医師会をはじめとする医師の団体が猛反対したことが想起されます。

 ただアメリカの医療においては、医師の裁量権が既に制限されていることも事実です。ポール・スターが1984年のピューリッツァー賞受賞作『アメリカ医療の社会的変容』で予言したように、アメリカにおいて医師は、もはや自律的な専門職として患者の必要性を判断して医療を行うことはなくなっています。保険会社に治療が保険でカバーされるかどうかとお伺いを立てて、カバーされる方法で医療を行っています。あるいは保険でカバーされない場合は、患者に自費で払えるかどうかを確認して治療内容を決めています。

 「アメリカの医師は、すでに保険会社に規制されているのだから、何をいまさら政府に規制されることに反対するのですか」と、元マサチューセッツ州保険局長で現ハーバード公衆衛生大学院講師の健康保険専門家ナンシー・タンブル氏に聞いてみました。すると、「行政にコントロールされるよりも、保険会社の方がましだと思っているのよ。医師はなにもしなくても高給取りだから、現状が変わらない方がいいと思っているのよ」。そう彼女は答えてくれました。』
<引用終わり>

医療をある程度平等に、一般の人たちに分け与えることは、医師の裁量権を抑圧することになる。現在でも、民間の医療保険会社に医療の限度を問い合わせながら、そのヒトにあった程度の医療を提供しているアメリカの医師たちも、公的保険に移行することは反対するのですね...。プライマリケアよりも高度専門医療を行っている医師の方が確かに影響は大きいでしょうね、しかし、米国の医療の現状はあまりに格差がありすぎて悲惨です。医師の裁量権はある程度ガマンしても、社会に寄与する方が理解をえられるのでは?

<以下、引用>
『●NPOの活躍

 ところで、そもそもこのヘルスケア改革法の骨子である、すべての州民が保険を持てるようにするという理念は、州の内外の多くのNPO(非営利組織)やNGO(非政府組織)が、20年来アドボカシー活動を続けて実現させてきたものです。そうしたNPOには「みんなのためのヘルスケア(Health Care For All)」や「コミュニティの触媒(Community Catalyst)」などがあります。

 「みんなのためのヘルスケア」は、医療サービスの受け手、特に弱者が中心のヘルスケア・システムを作り上げることを目標にしたNPOです。納得いく手頃な料金で、それぞれの文化を尊重した質の高いヘルスケア・システムの実現を目指し、マサチューセッツ州内で活動を展開してきました。「コミュニティの触媒」の方は、やはり同様の目標を持ち、全国規模のネットワークで活動する、1997年に設立されたNPOです。

 こうしたNPOは、州政府や連邦政府、消費者団体、政治家、保険財団、病院団体などと緊密なパートナーシップを結び、リーダーシップを与えたり、情報提供などの支援をしたりしながら、ヘルスケア・システムを改革してゆくための働きかけをしています。

 長年「コミュニティの触媒」で皆保険制度の成立のための活動をしてきたディレクターのスーザン・シェリー氏は、改革のためには政治家や行政官などの政策決定者たちに「ヒーローになる機会Hero Opportunity」を与えることが重要だと主張していました。社会的不平等が顕著に現れる健康格差をなくすためにはヘルスケア・システムを改革することが緊要で、その改革に関わることで人々のヒーローになれる。こうしたことを関係者に納得いくように知らせて、実際にヒーローとして扱うことで、彼らの改革への意欲を鼓舞し、政策を大きく動かすことが可能になった、と言っていました。

 前回も記しましたが、当時の州知事ミット・ロムニーは、ヘルスケア改革法成立前夜のウォールストリート・ジャーナル誌の記事において、確かに紛れもなくヒーローの扱いでした。それは、彼をヒーローに仕立て上げたシャリー氏のような立役者達がいたからです。改革法が成立した裏舞台にこうした草の根的なNPOのアドボカシー活動があったことは、特筆に価すると思います。

 シェリー氏はまた、NPO同士の同盟関係も重要だと言っていました。健康格差をなくそう、質の高い手頃な医療を実現させようといった目標を持つNPOには、ヘルスケア・システムの改革を主たる目標とする団体のほかにも、消費者団体、コミュニティ団体、人種的不平等を解消しようとする団体、貧困者団体などさまざまな団体があります。社会的地位も人種・民族も異なる人々で構成されている諸団体は、通常ならば、それぞれの場所でばらばらに活動をしています。

 そこでシェリー氏らの「コミュニティの触媒」は、目標を同じくする諸団体が互いを知り結束できるように集会を設けたり、ニューズレターを発行したりという広報活動をして、NPOの同盟を作り上げていきました。それぞれは小さな団体ですが、それらがひとつにまとまると大きな力になります。政治家達は彼らが投票権を持っていることをよく知っているので、彼らの声に耳を貸さずにはいられません。こうしてヘルスケア・システムの改革は、重要な政治課題となってきたのです。

 マサチューセッツにおいて、このようなNPOの活動がいかにヘルスケア改革法の成立の推進のための役割を果たしてきたかを知ることは、日本で医療改革が展開される際の大きな示唆を与えてくれると思います。』
<引用終わり>

草の根の運動がもとのエネルギーとなり、政治家を上手く動かして、マサチューセッツ州は大きな事業を成し遂げました。そして、それは日本の制度を(おそらく)参考にしています。日本の医療制度は確かに問題点もあるでしょう。しかし、闇雲に米国を追随するのではなく、日本にあった医療制度改革が行われることを望みます。

日本は国民皆保険を導入していながら、GDPに占める医療費の割合は米国の約半分です。いたずらに医療費(社会保障費)を減じるだけの政策では、このアメリカが追いかける先進性をもった医療制度が崩壊してしまうでしょう。

続きを読む "アメリカは日本を追いかける?"

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2009年6月16日 (火)

アメリカ版国民皆保険制度

2009年6月16日 晴れ
東京ではゲリラ豪雨のようですが、こちらは晴れていました。

アメリカ合衆国は自由の国。チャンスがあれば大金持ち、しかし、スラムで暮らす人たちもいて、貧富の差がかなり大きい国でもあります。医療保険は民間の医療保険会社が握っており、医療保険に入れない方々は無保険の状態であることもあります。「Sicko」という映画がありましたが、切断した指においても、お金によりつなぐことの出来る本数も決まります。乳児死亡率はお隣のキューバよりも悪く、自由ではあるが平等ではない世界です。

数年前より、クリントン元大統領夫人のヒラリー•クリントン氏(現:国務大臣)は、日本にならった、国民皆保険制度の導入を訴えています。そして、政権内部で彼女が大きな権力を持った今...。再びこの「アメリカ版国民皆保険制度」が注目を集め始めました。

CNNより
医療保険の改革は必須 米大統領が医師会で強調
魚拓

<以下、引用>
『医療保険の改革は必須 米大統領が医師会で強調

(CNN) オバマ米大統領は15日、シカゴ市内で開かれた米国医師会(AMA)の年次総会で演説した。大統領は、医療保険改革によって国民皆保険が実現し、医師も治療が効率化すると述べ、改革に取り組む必要性を強調した。

大統領は、医療保険改革が米財政の長期安定にとって最重要事項であるとコメント。公的保険の拡充で治療方法や収入に制約が生じることに対する医師の懸念を認めたうえで、そのような思考は誤りだと述べた。

大統領はまた、保険未加入の国民4600万人の取り込みに向けて、医師や患者、保険会社、製薬会社に対して米政府との連携を呼びかけ、コスト抑制と効率アップを図りながら実効性のある制度を確立するよう促した。

大統領はさらに、医師側に不要な検査や治療の抑制と、医療過誤訴訟による損失に備えた引当金の制限が必要だと述べ、保険会社側には持病のある人々の保険加入を認めるよう求めた。医療費請求手続きのペーパーレス化や、予防医療の必要性も指摘した。

AMAのロハック次期会長は、オバマ大統領が今回の演説で、過剰な書類手続きや医療過誤訴訟への備え、医学生の抱えるローン負担といった医師側の問題に言及したことを歓迎した。AMAは改革法案の議会通過に、大きな影響力を及ぼすとみられている。米議会は近く少なくとも3件の改革案を審議するが、民主党と共和党の立場は大きく隔たっている。』
<引用終わり>

この「アメリカ版国民皆保険制度」の動向は、日本の健康保険制度に微妙な影響をもたらすとみられています。アメリカでこれまで甘い汁を吸っていた医療保険会社は、そのシェアを狭められます。その結果、日本の市場を狙って動く可能性がある。そして、その動きは水面下で徐々に進行しているとの考え方です。

実際、アメリカの医療保険会社のCMは結構な頻度で目にします。政府の方針も、アメリカ寄りととらえることも出来ます。自由診療の認可などもそうです...。政府はひょっとすると国民の健康を、アメリカの医療保険会社に売り渡そうとしているのかもしれませんね...。

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2009年6月12日 (金)

覇権争い??

2009年6月12日 晴れ
暑い!

泉大津市の医師大量一斉退職事件は...裏に何かありそう?

泉大津市立病院医師が一斉退職 6月12日11時29分配信 産経新聞
魚拓

<以下、引用>
『泉大津市立病院医師が一斉退職
6月12日11時29分配信 産経新聞
 大阪府泉大津市の市立病院(215床)で、院長と内科医計6人が6月末で一斉退職することが12日、わかった。市から名誉院長への就任を打診された同病院の飯田さよみ院長(59)が3月中旬に辞意を表明してから、同じ大学出身の内科医が5月までに相次いで辞表を提出。診療態勢にも影響が出ており、病院側は医師確保を急いでいる。

 市立病院によると、3月中旬、飯田院長が市から名誉院長就任の打診を受けたが、辞意を表明。その後、同じ大学の医局出身の血液内科、腎臓内科、糖尿内科などを専門とする医師5人が「一身上の都合」として辞表を提出している。

 一斉退職後、病院側は他の大学から糖尿内科と腎臓内科の医師を確保できる見込みだが、血液内科の医師が7月から不在となる。』
<引用終わり>

院長から名誉院長への就任打診というのは...どうでしょ。別の医局から次の院長候補を予定しておいて、その席をあけることなのかもしれませんね...。

うーむ、ちょっときなくさい...。

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2009年6月 9日 (火)

医師招聘の難しさ

2009年6月9日 曇り
更に蒸し暑さが...。

医師をその地域に招くことは現状では非常に難しく、その地域の首長さんが頑張っても、まず無理であろうと感じます。住民自体が考え方を変えて、そこに赴任する医師をサポートする形にしなければ、うまく行かないようです。首長選挙で公約に『医師3人を招聘する』として当選した市長さんが、医師を招聘できず、市議会で陳謝したもようです。

大城・八幡浜市長:医師確保できず、市議会で陳謝 /愛媛 6月9日16時1分配信 毎日新聞
魚拓

<以下、引用>
『大城・八幡浜市長:医師確保できず、市議会で陳謝 /愛媛
6月9日16時1分配信 毎日新聞
 八幡浜市の大城一郎市長は8日、6月定例市議会本会議の総括説明で、「市長選で『直ちに3人の医師確保』を公約としたが、今日まで結果を出せない状況にある。認識の甘さがあったことは否めず、大変申し訳なく思っている」とおわびした。今後について「国、県の協力をいただきながら、医師の確保を最優先に取り組みたい」と述べ、理解を求めた。
 一方、空席となっている副市長人事について、大城市長は本会議終了後の議員全員協議会で、現在県南予地方局八幡浜支局長の橋本顕治氏(58)を選任することに同意を求める議案を最終日(23日)に追加提案する考えを説明した。
 6月定例市議会はこの日開会、市長給料を10%カットする条例改正案や、市長退職金制度(退職手当額1947万円)を廃止する条例制定案、2億9320万円の09年度一般会計補正予算案など16議案を一括上程した。一般質問は11、12日。【門田修一】

6月9日朝刊』
<引用終わり>

医師はモノではありません。一介の人間です。『確保』というコトバはどちらかというと、人間というよりモノを扱うときのように感じてしまいます。

何故、医師がその地域にこないのか?そして、逃げて行くのか?それを、首長ももちろん、議員さんも、そして住民のみなさまも感じて、考えていただければ、より良い方向に動くのでは?と感じます。

現在、大学の医局においても医師は不足しています。医師に『この地域であれば、医療を継続してやってみよう!』と思わせる地域が、医師を招聘することが出来るでしょう。

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2009年6月 8日 (月)

厚生労働省の医系技官とは...

2009年6月8日 曇り
湿度が高い!

さて、厚生労働省には医師免許を取得後に臨床経験をほとんど積まずに入省する医系技官と呼ばれる方々がいます。もちろん、立派な働きをされる方々もいらっしゃいますが、臨床経験の乏しさから、医療の現場には酷な通達を出される方もいらっしゃいます。今回の新型インフルエンザ騒動では、厚生労働省が朝令暮改とも呼べるような通達の濫発を行い、現場は大きく混乱しました。役人の世界と臨床家の世界、溝は深いですね...。医療行政を行うものたちが、もう少し臨床経験を積んだものであったなら...。

MRICの記事です。

『【通知を濫発した厚労省】

 4月28日、WHOは、新型インフルエンザの継続的な人から人への感染がみられる状態になったとして、パンデミック警報レベルをフェーズ4に引き上げました。それ以降、厚労省は、かねてより作成していた「行動計画」と「ガイドライン」に従い、成田空港等で大規模な検疫を開始するとともに、都道府県や医療現場に、多くの通知や事務連絡を驚異的なスピードで出し続けました。その一部は厚労省
のHPで公開されています(http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/kenkou/influenza/hourei.html)。その中には、症例定義(PCR実施基準)、外来の取り扱い、入退院基準、確定診断など、事細かな内容が含まれており、厚労省が医療現場の箸の上げ下ろしまで指示しているが分かります。

 このような行政指導を通じ、厚労省は司令塔としての役目を果たそうとした訳ですが、その指示は現場の実態と乖離していたため、医療現場は大混乱に陥りました。知人の開業医は、「新型インフルエンザ自体より、厚労省の対応に振り回され、医療スタッフは疲弊してしまった」と語っています。

 特に、PCRに関する通知は医療現場に甚大な影響を与えました。この通知により、PCRを受ける患者は、メキシコ・北米への渡航歴があり、簡易診断キットでA型陽性となった人に限定されたため、多くの患者が適切に診断されず、国内での蔓延を発見するのが遅れてしまったのです。現に、5月8日に国内で最初に診断されたのは、厚労省のルールに従わず、渡航歴がないのにPCRを受けた患者ですし、国立感染症研究所は、4月下旬には国内に新型インフルエンザが進入していた可能性が高いと報告しています。医療現場でPCRを行う第一義は、厚労省が公衆衛生データを取るためではなく、患者の治療なのです。この点に関し、厚労省と医療現場には大きな乖離があったように思います。

 また、「行動計画」に従って、全国の病院に約800カ所の「発熱外来」が急遽作られました。そして、厚労省は「新型インフルエンザの患者は発熱外来へ、それ以外の患者は一般医療機関へ」と指示しました。しかしながら、これは机上の空論です。なぜなら、全ての患者は新型インフルエンザか否か分からない状態で病院を訪れるからです。つまり、全国すべての医療機関が、新型インフルエンザかもしれない患者が来ることを想定した準備をしなければならないのです。ところが厚労省は、発熱外来以外の一般医療機関には、その準備のための物資・予算を渡しませんでした。これでは、「発熱外来」など名前だけで実態の伴わないものになってしまいます。この姿勢は、食糧も物資も補給しないが戦闘命令だけは出す、旧日本陸軍の参謀本部を彷彿とさせます。参謀本部は、ロジスティックを軽視して、多数の兵士を無駄死にさせました。余談ですが、「発熱外来」は諸外国にはありません。

 本来、医療とは、患者と医師が十分に相談し、状況に応じて柔軟に対応すべきものです。第三者である厚労省が、行政指導を通じて介入すべきではありません。そんなことをすれば、治療が手遅れになったり、過剰になったりして、患者・医師は大きな負担を強いられます。まさに、前述の開業医のコメントの通りです。ちなみに、日本感染症学会は5/21に「一般医療機関における対応は(厚労省ガイドラインとは)当然異なって然るべき」と緊急提言しています。厚労省の行政指導を見るに見かねたのでしょう。』

この新型インフルエンザ騒動が始まる前から、発熱外来の有用性、検疫の必要性などについてギモンを呈する声はありました。実地医家は気づいていたのです、机上の論理を振り回しても現場は混乱するだけだと....。その声を揉みつぶして、新型インフルエンザに関するパフォーマンスが始まりました。

『【予算が足りない!】

 では本来、厚労省に求められている役割とは何でしょうか? それは、医師の判断を封じ込めるルールを作ることではなく、医療機関が新型インフルエンザに対応できるだけの予算・物資・人員を供給することだと考えます。現場の医師が「この患者にはPCRが必要だ」と判断したとき、それを実現できるだけの体制を用意するべきでした。長年の医療費削減政策によって、日本の病院の73%(うち自治体病院の91%)は赤字ですから、必要な物資を購入したり、雇用する余力はありません。

 ところが厚労省には、この問題に取り組んだ形跡が全くありません。新型インフルエンザ対策(発熱外来設置など)に使える医療機関の整備予算は、平成20年度の補正予算と平成21年度予算を合わせて、38億円です。これでは感染予防のための、個室を整備できません。また、発熱相談など、国民への情報開示に至っては、わずか5000万円です。これでは十分な新型インフルエンザ対策ができるはずがありません。

 5月28日の参議院・予算委員会で、民主党の鈴木寛議員は、新型インフルエンザ対策充実のため、医療体制の整備やPCR検査体制拡充について質問しました。鈴木議員は、「国内感染の発見の遅れは、PCR法による検査が渡航歴のある人に限られていたことが一因。PCR法での検査は、1日当たり全国で約1000人分しかできる体制にない。今後、予想される第二波などに備えて、検査体制を充実させるべきではないか」と主張しましたが、厚労省の上田博三・健康局長からは具体的な回答は得られませんでした。新型インフルエンザの診断体制の予算は、全て併せて7.5億円で、絶対的に不足しています。

 鈴木議員は、新型インフルエンザ対策として約800億円の新規の予算確保を求めましたが、麻生太郎総理大臣は、「2009年度補正予算を組み替えたり、新たな補正予算を組む予定はない」と答弁しました。新型インフルエンザ対策は、補正予算の最大の目玉になるべきテーマですが、麻生総理の答弁には呆れるばかりです。

 ちなみに、米国のオバマ大統領は4月29日に新型インフルエンザ対策として、議会に15億ドルの予算を求めました。あまりにも対照的です。』

国会の審議でもこのような状態とは...末期的ですね。新型インフルエンザが現在のところ弱毒株ですので、甘くみているのでしょうか?第2波の時にはひょっとすると毒性は増しているかもしれません。また、充分な医療提供体制を組んでおかないと、インフルエンザによる合併症で多数の死者を出す可能性は残ります。充分な予算を組むべきです。

『【参議院予算委員会における参考人隠し】

 今回の新型インフルエンザ騒動における厚労省の対応には多くの改善点があります。しかしながら、もっと議論すべきが厚労省の隠蔽体質です。それが明らかになったのは、5月25日の参議院予算委員会です。詳細は、中田はる佳氏の論文をお読みください(http://medg.jp/mt/2009/05/-vol-125.html)。

 当初、この委員会では、民主党の鈴木寛議員が新型インフルエンザについて質問する予定でした。鈴木議員は、参考人として、現役検疫官の木村盛世氏と国立感染症研究所感染症情報センター主任研究官の森兼啓太氏を招致していました。しかしながら、当日開始時間になっても予算委員会は始まらず、開始予定時刻を1時間もオーバーしました。これは、舛添大臣は両氏の出席を認めていたのに、与党が木村氏・森兼氏の出席を拒んだためです。与謝野財務大臣、鳩山総務大臣、舛添厚労大臣、塩谷文科大臣も1時間、待ちぼうけだったようです。

 私が聞くところでは、厚労省は「木村、森兼氏は政府を代表する立場ではない」として、別の委員に差し替えるように鈴木寛事務所に依頼するとともに、与党の予算委員会理事たちに参考人招致に反対するように陳情しました。木村・森兼氏は、政府代表ではなく、専門家としての意見を聞くために呼ばれた訳ですから、これは屁理屈です。そもそも国会の参考人を、官僚にとって都合が悪いから妨害するなど、常識的には考えられないことです。多くの国民は、まさか厚労省がこのような姑息な手段を用いて、自らに不都合な情報を隠蔽しているとは知らないでしょう。

 結局、25日は参考人招致が認められず、28日の午前中に審議されることとなりました。このことはメディアでも報道され、政府に不利な発言をすると考えられる参考人を隠ぺいしたのではないかと批判されています。ところが、この件の責任者である上田博三健康局長など、関係者が処分されたという話は聞きません。「厚労省」を「自衛隊」と置き換えれば、事態の深刻さをご理解頂けるのではないでしょうか。厚労省は「シビリアン・コントロール」から外れています。
朝日新聞 「与党、水際対策批判した検疫官の出席拒否 野党は反発」:http://www.asahi.com/politics/update/0525/TKY200905250417.html
ロハスメディカル 「新型インフル 参院予算委で"参考人隠し」:http://lohasmedical.jp/news/2009/05/25145547.php

木村盛世氏はご存知のかたもいらっしゃると思いますが、今回の検疫体制に厚生労働省の検疫官でありながら異を唱えた方です。既に省内ではすごく肩身のせまい思いをされているでしょう...。参考人隠しが官僚主導で行われたのであれば、これは許しがたい所業です。

『【参議院予算委員会仕切り直し】

 5月28日に仕切り直された参議院・予算委員会では、以下の4人の医師が参考人として呼ばれ、新型インフルエンザの集中審議が行われました。与党推薦参考人として、尾身茂・自治医科大学教授(元厚労官僚、元WHO西太平洋事務局長)、岡部信彦・国立感染症研究所感染症情報センター長の2人と、野党推薦参考人として、前述の木村、森兼氏の2人です。国立感染症研究所(以下、感染研)と言えば厚労省の下部組織ですから、岡部氏と森兼氏は、木村氏と同様、厚生労働技官です。ある意味で、新型インフルエンザ対策の指揮官である上田博三・厚労省健康局長の支配を受ける難しい立場にありながら、医師として専門家として、正しいと考えることを、それぞれに堂々と発言したことに敬意を表します。

 鈴木寛議員の「なぜ厚労省は、検疫に異論を唱える職員等の意見に耳をかさないのか。その背景をどう感じていたか」との質問に、木村氏は「検疫ではN95マスクなどで防御した検疫官の姿が報道され、政府のパフォーマンスに利用されたのではないか」「そもそも行動計画の作成には医系技官がかかわっているが、果たして十分な情報収集を行い、議論を尽くしたものなのか」といった回答をしました。森兼氏も、「検疫は全く無駄とは言えないが、要は人、手間、コストのバランスだと思う。検疫に目が向きすぎていた面があり、少なくても国内感染者が出た時点で、検疫をやめて国内対策を重視すべきだった」と述べましたし、岡部氏も「行動計画においては適時適切に修正を行うこととなっているので、これを是非利用していただければと思う」と締めくくりました。

 このような勇気ある発言ができる専門家たちが、この国を守るために不可欠な存在となります。一方、政府官邸の専門家諮問委員会の長でもある尾身氏は、検疫は万能薬ではないとしつつも一定の効果があったと述べ、そのひとつは「国内の発症例が報告される迄に時間を稼げて診断薬を調整し、各地方自治体に配布することができた」と指摘しました。この理屈は、科学者としてはかなり無理があると思います。国内で渡航歴のない患者はPCRで診断させてもらえなかったのですから、その間、発見が遅れ、単に国内感染者を増やすまで待っていただけだ、と考える方が自然です。また、水際作戦で時間稼ぎするくらいで出来ることなら、予めやっておくべきでしょう。それでも最後には、「縦軸に感染力、横軸に病原力を置いた二次元的な対策を作る、検疫においてもアジャストするということはこれからの課題で、厚生省がすぐにやるべきこと」と締めくくりました。これは、まさに正鵠を射た発言です。

 4人の専門家が異口同音に検疫見直しの必要性を指摘しましたが、上田博三・健康局長の回答は、「現時点では、検疫法の改正が必要か否かを検討するのは時期尚早」というものでした。今秋には新型インフルエンザの再来が予想されるのですから、「検討を開始」するくらいはすべきですし、参加した全ての専門家の意見を無視して、上田健康局長が決める資格があるようには思えません。』

騒動の当初、連日テレビには、PPEを装着した検疫官の姿が映し出されました。サーモグラフィを使用した発熱患者の選別も何度も映し出されましたが、これは、パフォーマンス、プロパガンダとしては非常に有用です。しかし、検疫により水際で阻止できる可能性は当初より否定されていたのです。SARS:急性重症呼吸器症候群では発熱が確認されてから感染力を持つまでに時間がかかることがほとんどで、その間に患者さんを隔離すれば、感染の拡大を阻止できるという基礎的な事実がありましたが、インフルエンザでは発熱が確認される前に、飛沫感染で感染を拡大してしまう、つまり、自分も相手も知らずのうちに感染を成立させてしまう特性があり、水際対策では感染拡大を抑えきれないということになります。この点についても騒動が始まる前から、多数の指摘があったのにも関わらす、厚生労働省は検疫、発熱外来というSARSに対する備えを踏襲しました。

『【医系技官の存在】

 このように新型インフルエンザ対策に関わった厚労官僚たちは、大臣、国会議員、専門家の意見を聞き流し、暴走しています。なぜ厚労省は、このような対応をとってしまうのでしょうか?この問題は、新型インフルエンザ対策を取り仕切った医系技官の存在を抜きに語ることはできません。

 医系技官とは医師免許を持つキャリア官僚で、霞ヶ関に約250人存在する一大勢力です。医政局長、健康局長という二つの局長ポジションをもち、医療行政を一手に担います。また、研究費の配分や人事を通じて、国立感染症研究所などの国立病院・研究所を実質的に支配しています。これは、米国ではFDAやCDCの長官が政治任用であることとは対照的です。

 医系技官のキャリアパスは独特です。医学部卒業後に1-2年の臨床研修を経て厚労省に入省し、その後、様々な部署や省庁をローテートし、閉鎖的な「ムラ社会」で出世を競います。彼らは、権限や予算獲得を追い求め、行政官としての実績を積んでいきます。この状況は、WHOやCDCが、十分な現場経験を持つ医師を中心に運営されていることとは対照的です。例えば、テレビにしばしば登場するWHOのKeiji Fukuda氏は大学卒業後、一貫して感染症対策に従事しています。彼らは、グローバルな「感染症対策ムラ」で昇進を競い、そのために公衆衛生の専門知識と、この分野での業績が求められます。今回の新型インフルエンザ騒動で、厚労省がWHOと十分に連携できなかったのは、両者のレベル・行動原理が違うからだと言うことも可能です。

 霞ヶ関に医系技官が必要な理由は、医療は専門性が高く、医師でなければ分からないからだと説明されてきました。また、事務官にとっても医系技官は便利な存在だったでしょう。医系技官が政策立案に関与することで、国民や政治家に対して医学的な正当性をアピールすることが出来たからです。しかしながら、多くの国民が「医系技官は医者ではない」と認識するようになり、その存在理由が問われています。例えば舛添大臣は、医系技官改革の必要性をこれまでに幾度も訴えています。

 現在、医系技官はこのようなジレンマに悩み、一部の人たちは、専門家並みの医学知識があることをアピールしようとして墓穴を掘っています。今回の医系技官の暴走も、このように考えると理解しやすいと思います。更に、5月22日に政府の「基本的対処方針」が出され、検疫が縮小するまで、実に1ヶ月を要しましたが、これは医系技官が面子に拘ったからだと言われています。この1ヶ月は関西における感染蔓延を考えれば致命的だったと言わざるを得ません。わずか5日間で学校閉鎖勧告を撤回したCDCの柔軟さとは対照的です。しかも、この方向転換は難渋を極めました。舛添大臣は5月19日、医系技官が選んだ専門家諮問委員とは別に、独自に四名の専門家アドバイザーを任命し、彼らの意見を聞くという「パフォーマンス」を演じなければならなかったのです。その中に、上記の森兼氏も含まれます。勿論、全ての専門家が機内検疫の即時中止、国内体制の整備を訴えました。この模様は、マスメディアで大きく報道され、医系技官も方針転換せざるを得なくなりました。しかしながら、舛添大臣の「パフォーマンス」は官邸の反発を買い、東京新聞はこれを5月22日の朝刊で大きく報道しました(インフル対策指揮の舛添厚労省 官邸「独断専行」批判も)。誰が官邸に情報を入れたかは、説明の必要もないでしょう。

 このように、我が国の医療行政は、医師が尊重すべき科学的正しさや良心ではなく、担当者の面子や思惑にあまりにも翻弄されすぎています。既に南半球では新型インフルエンザの大流行が起こりつつあり、今秋、日本への再上陸は避けられそうにありません。このままでは、また同じような迷走劇を繰り返し、大きな被害が出る可能性は高いでしょう。そうした今、我々は何をしなければならないでしょうか? 次回、この問題を議論したいと思います。』

厚生労働省の医系技官は変わらなければならないでしょうね...。メンツなどというショーモナイ拘りにしがみついて、国の医療行政を翻弄するのは許されないことです。今回の騒動で、問題点をはっきりと示されたらいいなと感じます。

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2009年6月 7日 (日)

花で飾ることによる効果

2009年6月7日 曇りのち晴れ
今日のお月さまは、ほぼ満月。少し雲はかかってますが、キレイです。

さて、ちょっと聞いただけでは関連性について『??』となる効果です。自宅の入り口や路地裏を花で飾ることにより空き巣の被害を少なくする防犯効果があるようです。

路地裏の花で防犯効果、空き巣被害4分の1に…東京・杉並 6月6日18時5分配信 読売新聞
魚拓

<以下、引用>
『路地裏の花で防犯効果、空き巣被害4分の1に…東京・杉並
6月6日18時5分配信 読売新聞

拡大写真
人通りの少ない路地裏に花を植える「花咲かせ隊」のボランティア=栗原怜里撮影
 東京都杉並区が、人通りの少ない路地裏で花を育てるなど、街を美化する取り組みを進めたところ、昨年1年間の空き巣被害が、近年では最多だった2002年に比べ、4分の1以下に減ったことがわかった。

 地域の人たちが花の世話や観賞のために路地を行き来することによる「監視の目」が防犯に役立っているとみられ、全国の自治体から視察や問い合わせが相次いでいる。

 杉並区には狭い路地に家が密集する地域が多く、かつては空き巣多発地域として知られていた。00年に1353件だった空き巣被害は、01年に1485件、02年には1711件まで増加した。

 こうした状況に危機感を抱いた区では03年10月、自主防犯パトロール隊への支援策などを盛り込んだ「安全美化条例」を施行。協力が得られた住民の自宅周辺に防犯カメラを設置し、警視庁OBによるパトロール隊も結成するなどした結果、03〜05年の被害は何とか1000件前後に抑え込んだ。

 ところが、06年には1206件と増加に転じた。このため区は、なぜ被害に遭うのかを探ろうと、05年に空き巣に入られた100世帯を対象に調査を実施。その結果、玄関先や庭先に花を飾っている家の被害は2軒しかないことがわかった。

 そこで区は、「花咲かせ隊」を公募するなど以前から行っていた「フラワー作戦」を06年以降、本格化させた。人通りの少ない路地裏の花壇や玄関先に草花を植えてもらおうと、年約600万円の予算をつけて花の苗や種を地域住民に配布。花咲かせ隊は、現在では109団体872人の住民が登録するまでに増えた。昨年からは小学生などの手も借りて、区内で3000か所ほど確認された落書きを消す活動も進めている。

 こうした取り組みもあり、一昨年の被害は過去最少の385件に減少。昨年も387件、今年は4月末までの被害が118件で、過去2年をさらに下回るペースになっている。

 通行人も花に関心を持つようになり、人通りがまばらだった路地裏にも人の姿が見られるようになった。同隊の活動に参加する主婦佐山朝子さん(59)は「街の美化と防犯の一石二鳥。活動を通じて近所付き合いも前より密接になった」と話す。

 同区の取り組みに協力する警視庁の幹部は「防犯対策の基本は地域の人が外に出て人の目を増やすこと。こうした地域一体の対策は、多くの自治体で犯罪抑止の参考になる」と指摘する。実際、杉並区には昨年だけで、静岡や沖縄、福岡県などから約20自治体の担当者が視察に訪れ、今年も視察希望が寄せられているという。
最終更新:6月6日18時5分』
<引用終わり>

花を育てることは、それだけその場所に手を入れなければなりません。当然、そこにヒトがいる時間が長くなり、空き巣も敬遠するようになるのでしょう。おもしろい効果です。

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2009年6月 2日 (火)

すごい道具

800pxf22_raptor_at_2008_miramar_air 2009年6月2日 晴れのち曇り

暑い...です。

さて、日本が次期主力戦闘機として考えている(とされる)F-22ラプター。調べると、確かにすごい戦闘機のようです。開発コンセプトはfirst look, first shot, first killで相手に攻撃する暇を与えないということ...。高いステルス性はレーダーで監視した場合、小鳥と同じくらいにしか反応せず、機体を見つけることも、レーダーにて誘導される空対空ミサイルもほとんど役に立たないとされます。

そして、その分類は航空支配戦闘機というジャンルになるようです。

しかし、その調達費用はべらぼうに高く、1機あたり160億円程度であり、冷戦終結後の米国で景気後退の影響もあり、当初予定された調達数よりはるかに少ない機体で生産を中止しています。

生産する側(ロッキード・マーティン/ボーイング)としては、開発コストを回収する為には、もっと作りたいでしょうね....。日本やイスラエルなどに輸出できれば嬉しいはず。しかし、このような重要機密満載の機体は、そう簡単に輸出させてくれません。

米上院歳出委、空軍への輸出向けF22戦闘機開発の打診検討 6月2日13時16分配信 ロイター

魚拓

<以下、引用>

『米上院歳出委、空軍への輸出向けF22戦闘機開発の打診検討

6月2日13時16分配信 ロイター

 6月1日、米上院歳出委は輸出向けF22戦闘機の開発について空軍への打診を検討。写真はF22ラプター。嘉手納上空で1月15日撮影。提供写真(2009年 ロイター/Clay Lancaster, U.S. Air Force)
 [ワシントン 1日 ロイター] 米上院歳出委員会の防衛分科会は、ロッキード・マーチン<LMT.N>の最新鋭ステルス戦闘機F22の輸出向け機種の開発について、米空軍に実現性を調査するよう要請することを検討している。関係筋が1日、ロイターに明らかにした。
 同筋は匿名を条件に「少なくとも、2010年度予算案に、その可能性を探るとの文言が挿入される可能性はある」と述べた。
 ゲーツ米国防長官は今年4月に発表した2010年度の国防予算計画で、ミサイル防衛(MD)計画の縮小に加え、ロッキード・マーチンのF22戦闘機について、今年9月までの2009年度中に4機を発注した後は新規発注を停止する方針を示した。
 レキシントン・インスティテュートの防衛アナリスト、ローレン・ソンプソン氏によると、日本の防衛省は導入を計画している次期主力戦闘機(FX)として、F22戦闘機を40─60機購入することを希望している。
 主要な防衛関連会社数社のアドバイザーを務める同氏によると、日本は輸出向けの最新鋭戦闘機の開発費用としていくら拠出してもかまわないとの姿勢を示している。アナリストの試算では、高度な機密を要する部品を取り除くなどして輸出用の機種を開発するコストは約10億ドル。
 日本政府は、日本への攻撃を抑止するためにはF22のような戦闘機が必要だとしている。ソンプソン氏によると、北朝鮮のミサイル発射などの一連の挑発行為で、次期主力戦闘機の導入問題が再び注目されているという。
 米空軍は最近これまでの方針を翻し、F22戦闘機の輸出用機種の開発は不可能ではないとの姿勢を示した。ソンプソン氏によると、米上院歳出委員会の防衛分科会の議長を務めるダニエル・イノウエ上院議員は、F22戦闘機の日本への輸出を支持し、規制解除に向け努力しているという。
 ただ、米上院軍事委員会に以前補佐官としてかかわったグレッグ・キリー氏は、輸出に関する規制解除には約1年かかり、米国の軍事機密技術の輸出を禁止する法律の厳しいハードルを乗り越える必要があるため、日本への輸出に関する合意が承認されるにはさらに時間がかかるとの見方を示した。
 キリー氏は、こうした手続きの間にロッキードの生産を継続させるための資金の拠出には米議会の4つの委員会の賛成を得る必要があるが、こうした委員会内には、最近日本に対してF22戦闘機は輸出しないと言明したゲーツ国防長官に対抗する動きは今のところないと指摘。同氏は「F22戦闘機の輸出は実現しないと思われる」としている。

最終更新:6月2日13時16分』

<引用終わり>

すごい道具です。これを持てば、お隣の国から制空権を奪われることもないでしょう...。

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2009年5月28日 (木)

上手くいくかな??

2009年5月28日 雨
日差しのない分、涼しい一日です。

さて、医療費亡国論から幾久しく...。国の政策により、医師定員は低く維持されてきました。OECD各国の中で人口あたりの医師数は下から数えた方が早い順位となります。また、勤務医と比較して開業医のQOLが高い中で、病院勤務医は徐々に減少。もともと医師不足の状況の中、勤務医から開業医へのシフト、勤務のきつい専攻科目から比較的勤務しやすい診療科へのシフト。さらに、新臨床研修制度により、大学病院から有名な都会の市中病院へと医師の流れが起きました。地域を支える病院は現在、医師を招聘することができない状況に追い込まれています。

熊本県山鹿市のお話....
山鹿市 市立病院の医師不足解消 医学生に奨学金制度 予算案提案へ 10年勤続で返済免除 5月28日7時8分配信 西日本新聞
魚拓

<以下引用>
『山鹿市 市立病院の医師不足解消 医学生に奨学金制度 予算案提案へ 10年勤続で返済免除
5月28日7時8分配信 西日本新聞
 山鹿市は27日、山鹿市立病院の医師不足を解消するため、大学の医学部1年生を対象にした奨学金制度を創設すると発表した。卒業後、同病院に10年間勤務すれば、返済を全額免除する。県内の市町村で初の試み。関連条例案と1000万円の予算案を6月1日に開会する定例議会に提案する。可決されれば、7月にも募集を始める。

 市健康増進課によると、入学金(限度額100万円)と授業料(年間限度額150万円)、生活費(月額7万5000円)を卒業までの最長6年間、学生に貸す。学生は卒業後2年以内に医師免許を取得し、市立病院に10年間勤務すれば、返済を免除。他の病院に勤務した場合は5%の利息を含めて一括返済しなければならないとしている。

 募集定員は3人、年齢や出身地は問わない。選考は市立病院の病院幹部や市職員が行う。

 市立病院には診療科が10科あり、常勤医は15人。小児科は現在、非常勤医による週2回の診療のみ、産婦人科も休診が続いている。同病院は「地域医療を守るには約20人の常勤医が必要。時間はかかるが、確実な医師確保につなげたい」としている。

 県医療政策総室によると、同様の奨学金制度を設けているのは全国で13市あり、九州は大分県中津市が導入済み。

=2009/05/28付 西日本新聞朝刊=』
<引用終わり>

このような、奨学金制度は自治医科大学を手本にしていると思います。自治医科大学では貸与される金額は2000万円を超え、金利は利息制限法いっぱいの利息がつきます。在学期間の1.5倍、出身都道府県の意向に添って勤務すると、その時点で、返還を免除されるということになります。

僻地診療所なども派遣先となるため、総合的な力を要求されます。そして、現在の専門分化した医療体系の中では、『取り残された』感覚を味わうこともあります。この感覚は、お金では購うことのできないものであり、そのため、義務年限の途中で辞める事例も結構な頻度でみられます。

「卒業後、同病院に10年間勤務すれば、返済を全額免除する。」ということでありますが、この施設が十分に魅力的な場所であり、返還を免除されるまで勤務されればいいのですが....。なかなか、全例そう上手くいくとは...考えにくいところです。

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2009年5月27日 (水)

新型インフルエンザA/H1N1への対応

2009年5月27日 雨
久しぶりの雨です。少し雷も...。

さて、教えていただいた情報。乳児小児が新型インフルエンザに罹患した場合の対応についてCDCがまとめています。

小児における新型インフルエンザ A (H1N1)ウイルス感染に対する予防と治療の暫定的手引き
魚拓

<以下、引用>
『小児における新型インフルエンザ A (H1N1)ウイルス感染に対する予防と治療の暫定的手引き アメリカ東部時間2009年5月13日午後3時30分 CDC(原文)

 本文書は、新型インフルエンザA(H1N1)ウイルス感染の小児を治療する臨床医に対する暫定的手引きを提供する。さらなる情報が利用可能になると、本手引きは改訂される可能性がある。

乳幼児・小児と新型H1N1ウイルス

 現時点では、流行している新型インフルエンザA(H1N1) ウイルスが子どもに感染を起こした場合どのような影響をもたらすのかについては、詳しくは判っていない。しかし、季節性インフルエンザ、過去のパンデミックの経験から、5歳以下の乳幼児および医学的に高危険群にある小児では、さまざまなインフルエンザ合併症の発現に気を付ける必要がある。5歳以下の乳幼児のうち、季節性インフルエンザで重篤な合併症を起こす危険性が高いのは、とくに2歳以下の乳幼児である。

 子どもの場合には、インフルエンザの病状は他の呼吸器ウイルス感染による病状と、臨床症状からだけでは区別が付けにくい。成人に比べると、子どもでは典型的なインフルエンザ症状(例えば、発熱と咳)が発現しにくく、幼児では発熱とむずかるだけで受診することが多く、咳や他の呼吸器症状を呈することがないこともある。

 子どもではインフルエンザに関連した死亡例は、少数ではあるが季節性インフルエンザでもあり、全米で年間およそ92例である。インフルエンザとブドウ球菌、とくにMRSAの重感染による死亡例は子どもでも時折みられてきた。

重篤例にみられる症状

1.無呼吸
2.多呼吸
3.呼吸不全
4.チアノーゼ
5.脱水
6.意識状態の変化
7.著しい易刺激性

発達障害の子ども、および慢性疾患をもつ子ども

 ある群の子どもは、インフルエンザ感染に伴う合併症の危険に晒される。2003-2004年シーズンの季節性インフルエンザで死亡した153例の子どもの検討では、33%は基礎疾患をもっており、このような子どもはインフルエンザ関連合併症をきたす危険性が高く、20%は他の慢性疾患があり、47%は罹患前には健康な子どもであった。慢性神経疾患、神経筋疾患は全体の約1/3に及んでいた。

 他に、6ヶ月未満の乳児、免疫抑制状態にある子ども、妊婦、慢性腎疾患、心疾患、HIV/AIDS、糖尿病、喘息とその他の呼吸器疾患、鎌状赤血球症、慢性疾患で長期にわたりアスピリンを使用している子どものすべてが高危険群に入る。さらに、呼吸機能に影響を与えるさまざまな疾患、例えば知的障害や発達障害、脳性麻痺、脊髄神経障害、痙攣性疾患、代謝性疾患、その他の神経筋疾患などの子どもは、高危険群としてよい。

 その他、合併症の危険性が高くなる子どもとしては、栄養障害のある子ども、長期間嘔吐と下痢を繰り返し補充液を飲用している子ども、また代謝性疾患のひとつである中鎖acyl-CoA dehydrogenase (MCAD)欠損症で長くは絶食状態が続けられない子どもなどが挙げられる。神経系疾患、代謝性疾患をもつ子どもの多くは、自分から体調が悪い、悪くなってきたと申告できないので、インフルエンザ感染の診断が遅れ、合併症が加わりやすいことになる。さらに、HIV感染の子どもで抗レトロウイルス薬を服用してこなかった子どもを対象とした検討で、インフルエンザはもっとも重篤な疾患で、入院を余儀なくされていた。この場合、細菌感染の頻度は非HIV感染児に比べてより高いものであった。

子どもについての特別な配慮

 アスピリンやアスピリンを含有する薬剤(例、サルチル酸ビスマスーPepto Bismol)は、新型インフルエンザ A (H1N1)の確定例、疑診例のいずれでも、18歳以下の子どもには処方してはならない。Reye症候群併発の可能性があるからである。解熱のためには、他の解熱剤、アセトアミノフェンまたは非ステロイド抗炎症剤が推奨される*。

 4歳以下の子どもでは、まずヘルスケア・プロヴァイダー(日本では小児科医)に相談し、勝手に市販の風邪薬を服用させてはならない。

 *註:わが国では、ボルタレン、ポンタールの使用が禁止されている。

新型インフルエンザ A (H1N1)ウイルスの抗ウイルス剤による治療と予防

 この新型インフルエンザ A (H1N1)ウイルスは、抗ウイルス薬、ザナミビルとオセルタミビルなどのニューラミダーゼ阻害剤に感受性がある。しかしアマンタジンやリマンタジンには抵抗性である。

 新型インフルエンザ A (H1N1)ウイルス感染の治療と予防に、オセルタミビル、ザナミビルが使用できる。ウイルス薬を使用する際には、”CDC: current recommendations”を参照のこと。抗ウイルス薬を推奨するかどうかは、抗ウイルス効果、副作用、ウイルスの薬剤感受性などの変化により変更されていく。現時点での情報は、”CDC: side effects associated with oseltamivir and zanamivir”を参照のこと。

治療

 新型インフルエンザ A (H1N1)ウイルス感染の抗ウイリス治療には、オセルタミビルか、ザナミビルが推奨される。これまでは、1歳以上の子どもの治療にはオセルタミビルが承認されてきた。新型インフルエンザ A (H1N1)ウイルスに感染した1歳以下の乳児に対しても、最近緊急処置としてオセルタミビル治療が承認された(Emergency Use Authorization; EUA)。オセルタミビル量は、1歳以上の子どもでは体重により決め、1歳以下の子どもでは月齢により決める。ザナミビルは7歳以上の子どもで承認されており、吸入法が用いられる(表1)。

 ザナミビル、オセルタミビルによる治療は、症状のはじまりとともにできるだけ早く開誌すべきである。季節性インフルエンザでの検討によると、治療効果は病状を認めてから48時間以内に開始するのがもっとも効果的である。しかし、季節性インフルエンザでの他の検討によると、病状を発してから48時間以降に治療を開始した場合でも、死亡率の低下、入院期間の短縮などの点で効果が認められている。治療期間は5日間が推奨されている。

1歳以下の乳児の治療(表2)

 1歳以下の乳児は、1歳以上の子どもの場合と比べて、通常の季節性インフルエンザでは併発症に関して高危険群に入る。とくに6ヶ月未満の乳児のインフルエンザ合併症の併発の危険性は高い。1歳以下の乳児は、過去のパンデミックの折にも併発症の危険性が高かったことが知られている。1歳以下の乳児の季節性インフルエンザ治療におけるオセルタミビル、ザナミビルの使用に関して安全性データは限られているが、少なくとも重篤な有害事象はきわめて稀である。

 新型インフルエンザA (H1N1)感染を起こした1歳未満の乳児のオセルタミビル治療は、EUAの承認の下、最近FDAによる承認も得られた。使用量は月齢から決める。”CDC guidelines for treatment guidance in this age group”を参照のこと。またEUAに”ついての情報は、”Emergency Use Authorization of Tamiflu (oseltamivir)”を参照。

抗ウイルス薬による予防(表3)

 新型インフルエンザ A (H1N1)感染に対する抗ウイルス薬による予防には、オセルタミビルかザナミビルが推奨される。オセルタミビルは、1歳以上の子どもには承認されている。しかし1歳以下の乳児にも、EUAの承認の下に新型インフルエンザ A (H1N1)感染の予防にオセルタミビルを使用することはできるが、EUAは、予防投薬について3ヶ月未満の乳児例には、状況が命に関わるとの判断がなければ適用されないとしている。1歳以上の子どもの使用量は体重により決め、1歳以下の乳児の使用量は月齢で決める。ザナミビルは5歳以上の子どもに予防投薬が承認されている。

 ウイルスに暴露後の予防投薬期間は、新型インフルエンザA (H1N1)ウイルス感染が確定し病状の悪化した例に遭遇した日から10日間である。かなり限られた場合ではあるが、抗ウイルス薬は感染例に暴露される前の予防にも用いることができる。詳しくは”CDC: anti-viral guidance link”を参照のこと。

健康を維持するための一般的注意

 新型インフルエンザ A (H1N1)ウイルスの感染を特異的に予防するワクチンは、まだ入手できない。多くの子どもが毎年秋~冬に行っている季節性インフルエンザが、この新型インフルエンザA (H1N1)ウイルスに対しても、そこそこの予防効果があると期待するのは難しい。しかし部分的にせよ効果があるかどうかの検討は始まっている。

 父母と介護者には、その子どもの他のワクチンが予定通り済んでいるかどうかを確かめることにより子どもの健康を維持することの方が重要である。HIV/AIDSなど、治療を必要とする慢性疾患をもつ子どもの父母は、個別の疾患の治療薬をきちんと服用しているかどうかをぜひ確かめてほしい。

子どもを診ている診療所小児科医へのメッセージ

 その子どもの家族が電話で相談をしてきたときのために、health care providerが使用できる3-5分のショート・メッセージを用意していただきたい。その折には、新型インフルエンザ A (H1N1)の基本的知識、緊急対応するべき状況とは?、子どもの健康を維持する方法は?、詳しい情報を得るための手段などについても述べていただきたい。

他のガイダンス情報

一般
在宅の病児のケア
臨床医向けのガイダンス
抗ウイルスガイドライン

表1:オセルタミビル、ザナミビルの推奨された治療量・予防量
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090527_cdc_03


*いずれもCDC: H1N1 Flu; “Interim Guidance on Antiviral Recommendations for Patients with Novel Influenza A (H1N1) Virus Infection and Their Close Contacts”より引用。』
<引用終わり>


新型インフルエンザに罹患した小児は特に2歳以下や慢性疾患を抱える児などについて重篤な経過をとることも予測され、オセルタミビルなどで治療すべきであるということでしょうね...。アスピリン、ジクロフェナク(ボルタレンなど)、メフェナム酸(ポンタールなど)は処方しないようにしましょう。解熱には、アセトアミノフェンを使います。

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2009年5月25日 (月)

脅威

2009年5月25日 曇り
そう暑い一日ではありませんでした。

既に、日本は射程内となっています。

国際社会、一斉に非難=長崎原爆並みの威力か−短距離ミサイルも発射・北核実験 5月25日20時18分配信 時事通信
魚拓

<以下、引用>
『国際社会、一斉に非難=長崎原爆並みの威力か−短距離ミサイルも発射・北核実験
5月25日20時18分配信 時事通信
 【ソウル25日時事】北朝鮮が25日、核実験を強行したことを受け、日米韓など国際社会は「国際平和と安全の脅威」(オバマ米大統領)、「世界の平和と安定に対する深刻な脅威で重大な挑戦」(韓国政府)などと一斉に非難の声を上げた。国連安全保障理事会は日本時間26日午前に緊急会合を行い、対応を協議する見通しで、北朝鮮への新たな制裁措置を定めた新決議採択も視野に各国の外交的駆け引きも本格化しそうだ。
 韓国合同参謀本部によると、北朝鮮はさらに咸鏡北道舞水端里から1発、江原道元山周辺から2発の短距離ミサイルを日本海に向けて発射した。核実験は咸鏡北道吉州地域の地下実験場で行われ、2006年10月の前回核実験よりも大きな爆発があったとみられる。ロシア国防省当局者は爆発の規模について「10−20キロトン」と最大で長崎原爆並みの威力だったとの見方を明らかにした。
 北朝鮮は事前に米国や中国などに実験の実施を事前通報していたとされる。ただ中国外務省も「国際社会の反対を無視して再び核実験を行った」と「断固として反対する」との声明を発表、国際社会の懸念に同調した。ロシア外務省も決議違反と非難した。
 今後は安保理での協議に焦点が移るとみられるが、北朝鮮の友好国である中ロは厳しい対抗措置には難色を示すことも考えられ、新決議採択の場合には調整が難航することも予想される。』
<引用終わり>

アラスカまで届くロケット技術、キチンと核爆発を起こし制御できる技術。これが合わさると、大陸間弾道弾を作ることができます。この脅威を使って、かの国は世界を脅し続けるでしょう...。自分たちの利益を求めて...。

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2009年5月21日 (木)

対立構造はどうして作られたか?

2009年5月21日 曇りのち雨

すごく強い風が吹いた後、雷雨でした。湿度、気温ともに高く...インフルエンザの流行も阻止できるか??

MRICで配信された記事です。虎ノ門病院泌尿器科部長の小松先生が書かれた文章。

要約すると『日本医師会は、やはり開業医の先生方のための団体であり、勤務医の先生の意見は尊重されてこなかった。そして、そのため医療費の増額を求めても、我田引水のように思われて、なかなか大衆の方々に本当の意味で医療費増額が必要なことを理解させることが出来ない。』『現場に仕事を押し付けるときに政府にいいように使われている』ということでしょうか?

かくして、勤務医と開業医のみなさまの間に対立構造ができている。ということも主張のひとつでしょう。

クリアーカットで理解しやすい文章です。

続きを読む "対立構造はどうして作られたか?"

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2009年5月14日 (木)

理想と現実

2009年5月14日 晴れ
夏の足音はドンドン近くなってきます。汗が吹き出ます。

さて、医療からは、ちょっと離れた問題。『戦争はない方がよい、そのため戦争を起こす軍隊はないほうがよい。日本の自衛隊は規模、装備からしても立派な軍隊であり、(特に日本は)持つべきでない』という理論を持っておられる方々がいます。確かに、地球上から紛争、戦争をなくすためには、武器という武器が地球上からなくなるということが近道でしょう。

しかし、現実はコレだけ世界中に高性能な武器が流通し、核兵器でさえも国家のコントロールを超えて、テロリストの手に渡るかもしれないという御時世。自衛隊や在日米軍がなければ、お隣の国から侵略をうけても仕方がないでしょう。

その自衛隊が、国際協力のためソマリア沖に海賊から各国船団を守る目的で展開しています。私個人として、これは他国を侵略するものでもない立派な国際貢献とみますが、自衛隊そのものの存在に対して異をとなえるグループは『海自派遣』自体に反対を示します。

今回、その反対勢力の係累にあたる団体の船団がソマリア沖で海自により護衛されたというepisodeがあったようです。

「反対、でも守って」 ピースボート、海自が護衛 ソマリア沖 5月14日7時57分配信 産経新聞
魚拓

<以下、引用>
『「反対、でも守って」 ピースボート、海自が護衛 ソマリア沖 5月14日7時57分配信 産経新聞

 海賊対策のためアフリカ・ソマリア沖に展開中の海上自衛隊の護衛艦が、民間国際交流団体「ピースボート」の船旅の旅客船を護衛したことが13日、分かった。ピースボートは海賊対策での海自派遣に反対しており、主張とのギャップは議論を呼びそうだ。

 海自の護衛艦2隻は11日から13日にかけ、ソマリア沖・アデン湾を航行する日本関係船舶7隻を護衛。うち1隻がピースボートの船旅の旅客船だった。ピースボートは社民党の辻元清美衆院議員が早稲田大在学中の昭和58年に設立。船旅は寄港地の非政府組織(NGO)や学生らとの交流などを目的としている。

 ピースボート事務局によると、船旅の企画・実施会社が護衛任務を調整する国土交通省海賊対策連絡調整室と安全対策を協議し、海自が護衛する船団に入ることが決まったという。

 ピースボートは市民団体による海自派遣反対の共同声明にも名を連ねている。事務局の担当者は「海上保安庁ではなく海自が派遣されているのは残念だが、主張とは別に参加者の安全が第一。(企画・実施会社が)護衛を依頼した判断を尊重する」と話している。』
<引用終わり>

現状では、世界中から武器をなくすことも、軍隊をなくすことも、テロ組織をなくすことも不可能です。このような船団を護ることさえも、海上自衛隊でなければできないのが現実です。自衛隊がなくてもかまわないと思ってる(と私には感じられる)人たちは、このような恩恵に浴するべきではないと思うし、最悪の場合、日本が侵略され、相当数の同胞が殺されてもかまわないと思っていることになると感じます。

日本を守っている人たちにもっと感謝すべきであるし、敬意を払うべきであると感じます。

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2009年5月11日 (月)

罪と罰...。

2009年5月11日 晴れ
相変わらずさわやかな一日。気温はグングン上昇するも、風がキモチいい一日。

さて、社会という多数の人間が暮らすコミュニティー。それを維持するためには、一定の範囲での規制が必要です。例えば、『他人が所有するものを無断で自分のものとしてはならない』...無断で自分のものとすることがまかり通れば、社会としてまともに維持できないからです。また、通常の状況では『他人を殺してはいけない』というのも、自由にヒトを殺しても許されるなら、今の日本のような社会は維持できません。

教育の現場でも、こういったある程度の規制はもちろんあるでしょう。教室に通ってくる生徒たち全てに、教育を受ける等しく存在するならば、その環境を維持しなければなりません。でも、以前に比較して教室は雑然としている場合が多く、学級崩壊といわれる状況においては、授業中に席を立って歩き回るなど...私達が子供のころには考えられなかった状況がみられています。

もちろん、教師となられる方々の資質は一様ではないし、必ずしも尊敬に値するような行動をされない方もいるのはわかっていますが、いろいろなことを教わる教員の方々に対する畏敬の念は明らかに減少してきているように感じます。モンスターペアレントが出現し、学校側はビクビクしながら、マスコミの方々に悪く書き立てられないように対応を考えます。教育の現場って、昔はそんなものではなかったような気がします。もう少し自由に、自分の意見を表出することができて、それが、子供たちにいい形(もちろん悪い形もありますが...)で染み込んで行ったような...。

体罰をネットで調べると、体罰は、父母や教員などが、子供や生徒などの管理責任の下にあると考えられる相手に対し、教育的な名目を持って、身体刑を加えることを指す。とでてきます。そして、現在の先進国では、教師による体罰を認めていないことが大半であり、学校現場では『あってはならない』事象であるといえます。

体罰裁判、原告が逆転敗訴
魚拓

<以下引用>『体罰裁判、原告が逆転敗訴- 2009.05.08 11:01

2002年、熊本で臨時教員の男性が当時小2だった男児の胸元をつかんで叱責した行為を、体罰だとして男児の両親が賠償を求めていた裁判。その最高裁判決で原告が逆転敗訴した。「教育の範囲を逸脱」と教員の体罰を認めた1、2審の判決が破棄され、「やや穏当を欠くが、違法とは言えない」と結論付けたのだ。

この判決に対し「この程度で訴える親がおかしい」「当然の判決」と歓迎するコメントが目立つ。「モンスターペアレント問題に一石を投じた」との見解もあるようだ。

だが、判決は妥当としながらも「何をもって体罰とするか」の線引きには、微妙と感じる人が少なくない。胸元をつかむ行為や大声での威圧は、ケースによっては体罰と判断されうるからだ。「(この教員は)キレちゃったんでしょうね」というのは『YUNAさま永田町日記』のブロガー。自らの塾講師の経験と照らし、「キレる行為は教育の範囲内か体罰か」と問うている。

今回の判決で「体罰が増えることになりはしないか」(専業主夫 大関直隆の“Live and let live.”)と心配する声もある。「何が体罰かということよりも、子どもにどんなダメージを与えたのかという議論」(同)が大切と指摘する。

「一定の体罰の容認なしには教育現場がなりたたない」との意見も見られ、体罰の定義を含め、教育のあり方を根本から考える必要性を感じる。』
<引用終わり>

この事件?がどのような状況において生じたのか?これについても知りませんし、胸ぐらをつかんで怒鳴るのが『体罰』にあたるのか?これについてもわかりません。

しかし、学校で他の児が正当に授業を受けるために必要なことはしなければならないと感じます。ただそれが、このcaseのように恫喝であってはならないのかもしれません。判決の中で、『やや穏当を欠くが』という文言が付されたのは、そのためであると思います。教室という小さな社会を維持するために『罪に対する(恫喝でない)罰』は必要なのかもしれませんね...。

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2008年8月28日 (木)

哀悼の意

2008年8月28日 雨

遠きアフガニスタンで銃撃され亡くなられた31歳の男性を追悼するかのような雨です。志に燃えて、国内に比較して危険な彼の地に入り、農業指導をしていたこの青年の冥福を祈ります。

このような人道支援には危険がつきものです。時として、このような悲惨な事件が起こるでしょう。そして、それを超えても支援を続ける人たちに尊敬の念を禁じ得ません。

「治療を必要としている人がいるからそこに行く。」のような強い意志を感じます。

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2008年7月30日 (水)

打開策とはいえない...

2008年7月30日 晴れ時々雷雨
熱帯型の気候です。

「第1回厚生労働省と全国知事会との定期協議」が開かれました。その中で、知事さん達は窮状を訴え、研修医の義務的配置まで飛び出しました...。そんなことすると...医師になろうというような殊勝なヒトは極々少なくなります。義務で縛り付けるなら、何らかのインセンティブが必要です。

「地方の医師確保、国の積極的関与が必要」7月29日22時30分配信 医療介護CBニュース
魚拓

『深刻な医師不足にどう対処するか—。7月28日に東京都千代田区の都道府県会館で開かれた「第1回厚生労働省と全国知事会との定期協議」で、知事会の代表者らは自らの自治体の窮状を訴え、国による医師不足対策の強化を求めた。とりわけ離島やへき地などの医師確保対策として、臨床研修制度の見直しや医師配置への公的関与を強く求めた。』

地域での医師確保には、その地域の魅力、そして地域医療への興味をかきたてることが必要です。現状では余り、このような方策は上手くいってはいませんが...入り口ともいえるような研修先は全くない訳ではありません。医師の診療科選択や、地域への派遣に公的関与が取りざたされますが、愚かな手だてであると言わざるを得ません。一生縛り付けておくことはできないし、そもそも憲法違反でしょう...。そして、うまくいっても、数年はそこでやって、義務があければ「はい、さようなら!」です。ヒトを惹き付ける環境でなくてはなりません。

『高浜壮一郎・愛媛県副知事は、「都市部と地方における研修医の募集定員の適正化を図ってほしい。地方に手厚く(医師を配分する)、という方針があると聞いているが、ぜひ早期に具体化してほしい」と訴えた。
 「研修医の自由を奪うのはどうかと思うが…」と前置きした上で、臨床研修医制度の大胆な見直しが必要だとした藤井喜臣・鳥取県副知事。「地方はまさに今、厳しい状況にあるのが現実。あまりに研修医の受け入れが多いところについては受入れ枠を制限する、それぞれの地域の中で研修をするなどの思い切った政策を」と主張した。安田敏春・三重県副知事などからも同様の要望が出た。
 また高浜氏は、研修プログラムについて、「地域医療に関する内容を増やしてほしい。地域医療に使命感を持って取り組む医師が養成されることを期待する」と語った。』

「研修医の自由を奪うのはどうかと思うが…」...こちらの知事さんのところへは、研修医が行くの敬遠する様になるでしょうね...。愚かです...。強制的に配置しても上手く行くはずはありません。もっと、地域の魅力を増加させるべきです。うまくいってる病院は、地域にあっても研修医、医師共に増えます。呼び込める能力を開発して行くべきでしょう。

『高浜氏は「教員や警察官は、どんな地域でも人材が確保されており、各地域で足りなくなるということはない。だが、医者はそういうわけにはいかないのが現状。しかし、医療も教育や治安の維持と同様、地域社会の根幹を成す重要なものだ。一定の公的な関与の下で、地域に医師を配置する仕組みがあってしかるべきではないか」と、医師の配置に国が積極的に関与する必要性を訴えた。』

やはり、ベースに全体的な医師不足が横たわっているからでしょう...。まだまだ、売り手市場ですしね...。待遇の悪いところからは、逃散するでしょうね。教員と警察官は充分な数が養成されていると思います。防衛医科大学校で卒業生に選択する科目を制限し強制するということが現実に行われようとしていますが...これにより、防衛医大の入学志願者がどのように影響をうけるか?は興味の湧く所です。義務や強制により配置することが後にどのような影響をのこすのか?よくよく考慮して発言を行うべきでしょうね。

『研修後一定期間、医師不足地域での勤務を義務付けることについては、「以前から厚労省でも検討している。要望も多いので今後も検討する」としながらも、「義務化すると何らかの副作用が出てくる可能性が高い。義務化するよりは、何らかのインセンティブを設けるべきではないか」との考えを示した。』

義務づけられた派遣医師はいわゆるスケープゴートとなりそうです。かわいそ...すぎる。このような義務化は地域医療の現場での人材不足を根本的に解決する打開策とはならないでしょう。

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2008年7月28日 (月)

新臨床研修制度の影響

2008年7月28日 晴れ

地域での輪番の当番日。2日前より全身に小さな出血斑:petechiaeが出現。擦過したところが大きな出血斑となるとのことで来院。コレは...と思って採血すると血小板は8,000/μl....。とりあえず即、入院していただきました...。

さて、日本は先進国の中で、有数の医師が少ない国です。その中で、地域への医師供給は大学医局が整理し何とか最小限の供給を維持して来たといって過言ではありません。その医局に医師が入って来なくなる状況にしたのは新臨床研修制度であるといえます。

地域への医師供給のバランスは崩壊し、地域の病院では医師確保に軒並苦しむことになります。

<臨床研修制度>大学医局の8割が医師引き揚げ 日医初調査 7月26日10時58分配信 毎日新聞
魚拓

『新人医師が2年間の研修先を自由に選べる新臨床研修制度が導入された04年度以降、大学病院の医局の約8割が人手不足などで地域の医療機関への医師派遣を中止・削減したことが、日本医師会の調査で分かった。派遣を受けられなくなった医療機関の6割以上が診療制限や診療科の閉鎖に追い込まれていた。大学から一般病院へと医師不足が広がった過程をデータで裏付けたのは初めて。』

公式のデータで裏付けられたということですね...。

『臨床研修制度が地域医療に与えた影響についての初の全国調査。今年3〜5月、大学病院の1821医局を対象に実施し、1024医局から回答を得た。

 その結果、04年4月以降、大学から地域の病院への医師派遣を中止したり、派遣数を減らした医局は77%に達した。うち78%の医局が「臨床研修制度による人員不足」を理由に挙げた。

 医局が医師を引き揚げた医療機関は3003施設に上り、このうち17%が診療科を閉鎖、45%が外来のみの診療や診療時間短縮などの制限に踏み切ったという。診療科別では産婦人科、内科、リハビリテーション科の順に、引き揚げの割合が高かった。』

ココまでの大きな影響です。医療崩壊に(特に地域医療について)追い込んだ大きな一因であろうと考えます。

『地域別に見ると、人口10万人当たりの医師数の下位9県(埼玉、茨城など)で減らされた派遣医師数は一病院平均0.28人。全国平均(0.22人)より約3割多く、もともと医師が少ない地域ほど大学からの人材供給が滞り、地域の医師不足を加速していた。

 分析した日本医師会総合政策研究機構(日医総研)は「大学病院の人材配分システムが機能しなくなったことが医師不足を顕在化し、地域間格差を広げた」と指摘している。』

もともと、人材不足の地域が大きな影響を受けているとすれば、もともと人材不足の日本全体がこの「新臨床研修制度」の影響を大きく受けたのでしょうね....。ということも言えそうです。

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2008年7月25日 (金)

2200億円へのこだわり

2008年7月25日 晴れ
最高気温が38度まで上昇したところがあったようです。

小泉純一郎首相がはじめた「骨太の方針」で社会保障費は年間2200億円づつ毎年減らして行くという方針が示されました。しかし、現状の医療崩壊...などが影響して方針は変更になりつつあります。社会保障費の自然増は年間8700億円とされます。そして、この自然増から2200億円差し引いたものまで、社会補償費増額を許そうというのが今度の密談の結果、決まったようです。

額賀財務相と舛添厚労相、社会保障2200億円抑制で合意 7月25日15時0分配信 ロイター
魚拓

『[東京 25日 ロイター] 額賀福志郎財務相は25日午後、舛添要一厚生労働相との会談後に記者会見し、2009年度予算の概算要求基準(シーリング)において社会保障費の自然増を2200億円抑制することで合意したと発表した。
 この結果、社会保障費の増加額は自然増8700億円から2200億円を差し引いた6500億円となる。
 額賀財務相は「社会保障は2200億円の削減を行うことが基本であり、その実現に向けて努力する必要がある」と強調。ただ「仮に社会保障に関連して新たな安定財源、つまり税制上の措置が確保された場合には、その取り扱いについて必要に応じ予算編成過程で検討していく」とも付け加えた。
 基礎年金国庫負担割合の引き上げ、少子化対策、高齢者医療の見直しなどの取り扱いについては「概算要求基準上、別途検討課題とすることにした」としている。
 (ロイターニュース 志田 義寧記者)

最終更新:7月25日15時0分』

ということは、前の方針では自然増の8700億円とあわせて、年間1兆以上削減していたことになりますね....。それでは現場は潰れてしまうでしょう...今度の案のほうが納得できると思います。

しかし、何故同じ2200億円なのでしょうか?メンツを立てる必要があったのでしょうか.....。

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2008年7月24日 (木)

心臓検診...

2008年7月24日 晴れ
今年も、心臓検診の二次検診がまわってきます。小学校1年では、これまで指摘されなかった先天性心疾患がみつかることもあり....ちょっとブルーに...なることも。

いままで元気で、普通に運動もできてるのに、心臓を止めて行う手術が必要なの??といわれてしまうことが多いのが....ASD:心房中隔欠損症です。この心奇形は注意して聞かないと、雑音やⅡ音の固定性分裂を聞き取ることができません。(というより私の耳が弱いのかもしれません...)

心臓検診で心電図上、右心負荷の所見、不完全右脚ブロックを指摘されて二次検診に回ってきます。その時にじっくりと時間をかけて聴診すると、雑音やⅡ音の幅広い、固定性の分裂が聞こえてきます。エコーで心室中隔の奇異性運動があれば、かなりのシャント量です。小児循環器の専門医に伺いをたてて、いずれ手術というコースに...。

それまで、「一点の曇りもない」と信じていた親御さん達に、心臓の壁に穴があいていてそこに血液が流れる、そして、ほっておくとひょっとするとアイゼンメンジャー症候群になるかもしれない。ということを伝えるにはなかなか難しいものがあります。(悲)

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2008年7月23日 (水)

総合医の定義....レス

本日2稿目です。

まず、私は専門医を否定するものではありません。医療の進歩、そして専門医でなければ救えないそういった患者さんがいることは明らかです。ただ、患者さんの一般的な入り口として総合医があってもよいのでは?という考え方です。そして、総合医的な仕事はこれまでも開業医の先生方が担ってきた...ということもいえるでしょう。でも、総合病院の新患担当にこういった能力をもった医師がいれば...患者さん、そして医療者とも、より幸せなのではないか??というキモチです。

さて、拙ブログ:総合医の定義...に以下のような貴重なコメントをいただきました。

『はじめまして、こんにちは。
総合医には重症度の見極めが重要ということに同意します。しかしながら、「幅広い領域」で正確に見極めをするのは難しいでしょう。重症を知らなければどこで専門医が介入すべきかわからないと思うからです。早すぎればただの「紹介状屋さん」ですし、遅すぎれば「謝罪と賠償」が待ってます。正確な見極めが出来るようになるにはかなりの時間がかかるものと思うのですが、誰がどのくらいの期間で養成するのでしょうね。総合医が誕生したけど前線で24時間戦うのは体力的に無理、なんてことにならなければいいのですが。』

現在の医療現場におられる先生の貴重なコメントであろうと感じます。

>しかしながら、「幅広い領域」で正確に見極めをするのは難しいでしょう。

確かに難しいことですね...医療である限り100%を期待はできないでしょう。ただ、私の「どさまわり」の経験からすると、数年間のへき地中核病院勤務はこのようなタイミングの見極めに必要な能力を養成するのに、充分とはいえませんが...かなり寄与します。ただ、制度として「誰が、どのような機関で、どのくらいの期間で」養成するのか?というのを決めるのは難しいと思います。

>総合医が誕生したけど前線で24時間戦うのは体力的に無理、なんてことにならなければいいのですが。

その危惧はゴモットモですね。どの程度の規模でやるのか?これにかかってくると思います。

余談となるかもしれませんが...感じていることの一つは...。へき地の病院勤務されて、一人当直を経験された先生方は総合医の能力の一端を既に持ってらっしゃるのでは?ということです。自分の専門科以外の患者さんを診なければならないとき、相当の苦労をされたはずです。認定医、専門医をとられている先生も、潜在的に総合医の能力を持ってらっしゃるということです。+αでそれなりの経験を積めば総合医と呼ぶにふさわしい医師となるのではないかと...感じます。

ただ、『そんな努力をする暇はない』ということも理解できます。

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思い出す...

2008年7月23日 晴れ
猛暑です。

さて、本当に医療とはかけ離れたお話かもしれません。20年以上前に流れていた『宇宙戦艦ヤマト』というアニメの中で、破壊された地球環境をキレイにしてくれるのは「コスモクリーナー」という機械でした。

その「コスモクリーナー」を彷彿とさせるような....そんな話です。
アメリカ
温暖化を防ぐにはCO2削減より吸引 2008年7月23日(水)0時0分配信 クーリエ・ジャポン

魚拓

『米コロンビア大学の海洋学者ウォーレス・ブロッカーは、1975年に温暖化の警鐘を鳴らした環境問題のパイオニアだ。当時は、地球の温度は下がっていると信じる科学者が多いなか、彼は大気中のCO2濃度と気候変動の関係を指摘し、地球の気候がいかに激変しうるかを説いた。

 ブロッカーは、人類が化石燃料を手放すことは不可能だと考えている。原子力発電は放射性廃棄物の問題があるし、風力発電はあまりに頼りない。液体水素燃料は新たな流通インフラの整備が必要だし、太陽エネルギーはコストが高いため、普及させるのが難しい。

 大気中のCO2濃度は、産業革命前の280ppmからすでに100ppmも増えており、ブロッカーは「この調子で行けば800~900ppmに達する可能性もある」と指摘する。彼の主張は「もしCO2の排出量を減らせないのであれば、この問題に対処するセイフティー・ネットを作らなくてはならない」というものだ。

 ブロッカーは、ある富豪から500万ドルの出資を受け、科学者と技術者からなるチームを結成。CO2を吸引する「気体洗浄装置」を開発した。これは潜水艦内の空気を洗浄するシステムを応用したもので、吸引したCO2は圧縮して地中に埋める。人類がいまの生活を続ければ、今後20年間に排出されるCO2を吸引して液化すると、ミシガン湖ほどの大きさになるという。』

まるで、CO2に汚された地球を救うような「コスモクリーナー」を思い出す様な一文です。しかし、この機械を動かすために必要なエネルギーはどうやって絞り出すか?そのエネルギーを絞り出すために、CO2を排出したら....元も子もないように感じます。

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2008年7月20日 (日)

養成数増加を支えきれるのか?

2008年7月20日 晴れ
ものすごく暑い日です。

さて、医師数に関する記事。
講演会:医師不足を論じ、86人が聴き入る−−勤労センター /和歌山 7月20日18時2分配信 毎日新聞
魚拓

『県社会保障推進協議会の講演会「今、医療崩壊を問う」が19日、和歌山市西汀丁の市勤労者総合センターであり、財団法人国民医療研究所の日野秀逸所長が深刻化する医師不足などを論じ、86人が熱心に聴き入った。
 日野所長は、医師不足問題について、人口10万人当たりの平均医師数(04年)が日本は200人なのに対し、欧州各国はじめ先進国が加盟するOECD(経済協力開発機構)の平均は310人だとして、医師養成を抑制してきた国の政策を批判。今年6月、国が医師増を目指す政策に転換したことを「世論と運動の成果」と評価した。【山下貴史】

7月20日朝刊

最終更新:7月20日18時2分』

日野所長の仰ることは至極まっとうで理解できますが...【今年6月、国が医師増を目指す政策に転換したことを「世論と運動の成果」と評価した。】の部分には小さな心配をもっています。それは、医師を育てる機関の容量です。これまで医師養成数は抑制されてきました。医育機関はずっと抑制されて来たのです。つまり、そう簡単に医師養成数を増やして上手く行くのか??医育機関はパンクしないか??です。

いくつかのブログでも、「これ以上のキャパシティーがない」と受け取れる記述が出てきます。年間400人程度の養成数増加に大学は耐えて行けるのでしょうか?心配です。

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2008年7月19日 (土)

原子力発電の是非...

2008年7月19日 晴れ
とにかく暑かった....。

いま、地球では温室効果ガスの著しい増加に伴い、地球温暖化が進行している様です。特にCO2は人間の経済活動に伴い多く発生し...ココ100年で驚く程の濃度増加です。人間の生活のためエネルギーは必要ですが、そのエネルギーを得るために化石燃料を燃やせばCO2は排出されます。CO2を排出しないエネルギーは核分裂あるいは核融合といった化学反応によらないエネルギー、質量が消失して行く時にエネルギーに変わるような反応、あるいは自然エネルギーを利用するもの、水素を燃やす場合や水素から水を作る時に出るエネルギーを電気として取り出す燃料電池などがあります。地球温暖化がCO2の著しい増加によるものであり、排出するCO2を削減する必要があるならば、そういった代替手段を考慮しなければならないでしょう。

原子力発電はそのうちの核分裂反応を利用してエネルギーを取り出すものです。ウラン235などの核に中性子が衝突すると、核が分裂しますが....その際、僅かに質量が減少し、それがエネルギーに変化します。アインシュタインの相対性理論から導き出される、その際のエネルギーはE=mC*C(ここでm:質量、C:光速)で僅かな質量から莫大なエネルギーが取り出せるとされています。ですから、ウラン235のような不安定な核種をものすごく高濃度に集めて、僅かな時間で多くの核分裂反応を起こさせた場合は、爆弾になります。そして、それが原子爆弾なのです。しかし、通常はこのような爆発的な反応を起こさせない様に発電所ではちょうど良い具合に『臨界』という状態を保って、継続的にエネルギーを取り出します。

確かに、チェルノブイリの事故、アメリカのスリーマイル島の事故など高レベルな放射性物質が露出される様な事故はつきまとうでしょう....しかし、それぞれの事故には決定的な問題点がありました...チェルノブイリの事故では黒鉛減速沸騰軽水圧力管型原子炉(RBMK)という設計の原子炉が使用されていましたが、その設計に問題がありました。

チェルノブイリ事故以来、残りの全RBMK炉は、安全性を向上する為のいくつかのアップデートを受けた。そのなかで最大の改良は、RBMK制御棒設計の改良である。以前の設計では、炉の出力を積極的に上げるため、制御棒の下に黒鉛の棒を付けるように設計されていた。この設計では炉心中心部が核毒により出力が低下し、事故当時のように炉心上下に出力のピークが分かれていた場合、単純に運制御棒が原子炉に挿入すると炉の核反応速度を下げるか炉を止める代わりに出力が上がってしまっていた。この設計上の欠陥は、チェルノブイリ事故で原子炉を停止するために非常用ボタンを押した時、最初の爆発を引き起こした原因となった。Wikipedia:黒鉛減速沸騰軽水圧力管型原子炉より引用

因に、日本ではこの形式の原子炉は建設されていませんし、運転もされていません。

また、スリーマイル島の事故では....加圧水型原子炉(かあつすいがたげんしろ、(英)Pressurized Water Reactor、PWR)という一次冷却材である加圧水(圧力の高い軽水)を300℃以上に熱し、蒸気発生器によって二次冷却材の軽水を沸騰させ、最終的に高温高圧の蒸気としてタービン発電機を回し、電力を生み出す原子炉が安全弁の不具合、計器の不具合、人為的ミスが重なり事故を起こしました。

初め二次冷却水の給水ポンプが故障で停まり蒸気発生器への二次冷却水の供給が滞ったため除熱が出来ないことになり、一次冷却系を含む炉心の圧力が上昇し加圧器逃し安全弁が開いた。このとき弁が開いたまま固着し圧力が下がってもなお弁が開いたままとなり、蒸気の形で大量の原子炉冷却材が失われていった。原子炉は自動的にスクラム(緊急時に制御棒を炉心に全部入れ、核反応を停止させる)し非常用炉心冷却装置(ECCS)が動作したが、すでに原子炉内の圧力が低下していて冷却水が沸騰しておりボイド(蒸気泡)が水位計に流入して水位を押し上げたため加圧器水位計が正しい水位を示さなかった。このため運転員が冷却水過剰と勘違いし、ECCSは手動で停止されてしまう。このあと一次系の給水ポンプも停止されてしまったため、結局2時間20分も開きっぱなしになっていた安全弁から500トンの冷却水が流出し、炉心上部3分の2が蒸気中にむき出しとなり、崩壊熱によって燃料棒が破損した。Wikipedia:スリーマイル島原子力発電所事故より引用

ミスの連鎖がこの不幸な事故を起こしました。最終的には炉心融解を来たしましたが、幸いにもチェルノブイリに比較して軽い被害で済んでいます。

日本では、原子力発電に携わる方々の怠慢に起因すると思われる事故が起こっています。しかし、幸いなことに一般の方々への健康被害が生じる様な大きな事故はおこっていません。原発の設置場所が活断層の上であるといった問題はあります。原子力に関わる人々のレベルを向上すること...更なる技術の向上があれば、比較的安全にエネルギーを手に入れることができるのではないかと感じます。

yshooでのアンケートでは...

と実に50%の回答者がCO2の削減のため原子力発電を増やすべきであると答えています。

我が国は、世界で唯一の被爆国です。そのため、核エネルギーの平和的利用についても、わだかまりがあるのは仕方がないことかもしれません。しかし、このまま化石燃料に依存していくならば....その先には破滅が待っているでしょう。もっとクリーンな代替エネルギーを開発するまで、原子力に頼るのは仕方がないことかもしれません...。

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2008年7月17日 (木)

総合医の定義....

2008年7月17日 晴れのち雨
時折、雷がなるような天気でした。気温はさほどでもないのですが、湿度が高く、体感温度としては非常に「暑い」一日でした。

さて、『総合医』について拙ブログ:総合医...にて取り上げました。昨今のテレビドラマの影響か?医師はヒトにあらず、神のごとくに全てにおいて完璧。という感覚が一般の方々に定着しつつあるようですので、『総合医』というと離島の診療所でバチスタの手術をやってのけるようなスーパードクターと受け取られてしまわないか?心配でもあります。

今日は、『総合医』とは何ぞや?その定義はどのようなものか?多いに私見を交えた上(笑)で考えてみます。

さて、まずは出来合の定義。日本医師会HPより。

『日本医師会グランドデザイン2007各論においても、「最新の医療情報を熟知して、必要な時には専門医も紹介できる『地域医療、保健、福祉を担う総合的な能力を有する医師』が求められる。」としております。
 それを受けた養成カリキュラム(案)においては、一般目標を「頻度の高い疾病と傷害、それらの予防、保健と福祉など、健康にかかわる幅広い問題について、わが国の医療体制の中で、適切な初期対応と必要に応じた継続医療を全人的視点から提供できる総合診療医としての態度、知識、技能を身につける。」としております。それを身につけるため、「医療専門職としての使命、全人的視点、医療の制度と管理、予防・保健、地域医療・福祉、臨床問題への対応、継続的なケア」の7項目の行動目標が定められております。』

ということで...
【頻度の高い疾病と傷害、それらの予防、保健と福祉など、健康にかかわる幅広い問題について、わが国の医療体制の中で、適切な初期対応と必要に応じた継続医療を全人的視点から提供できる医師】が総合医の定義といえそうです。

臨床だけできてもまだまだ...その患者さんを支えるために、臨床面以外からのアプローチもできなくてはならないということですね....。うーむ、これは養成するのに大変な努力が必要そうです。ただ、自分の経験からいうと、いなかの病院などである程度継続して働いた医師には恐らく、そういった能力が知らず知らずについているのでは?限られた資源で、どうやってこの患者さんを支えて行くのか?家族はどこまで頼りにできるのか?どういう方策で行けば、みんなより幸せに暮らすことができるのか??こんなコトをずっとずっと考えなくてはなりません。

ココからは全くの私見です。

総合医に必要とされる臨床能力は....。基本的にはプライマリーケアがほぼ網羅されることと考えます。感冒等から非常に重症な病態で専門医による診療が必要とされるものまで、適切な診断及び治療あるいは治療の過程に乗せてあげれる能力が必要です。そのためには、幅広い分野での適切な診断能力が必須となり、そして、もっとも重要なのが重症度の見極めとなります。重症で手が付かないならば、良い状態で専門医に渡せる能力。これも重要な「総合医」なるものの能力でしょう。

決して、『総合医』は離島などの診療所で、心臓外科領域の手術がデキルようなスーパードクターではないと思います。患者さんを全人的に診て、正確な診断、そして処置、必要ならば良い状態で専門医にキチンと紹介できる....。そのような、能力をもった医師のことと考えます。

それができることにより....医師のサラリーが下がってしまい、結果として医療費の抑制に働くのであれば、これは素直に納得できるものではありません。医療費抑制のための方策でないならば、『総合医』というものを認定することには反対するものではありません。

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2008年7月16日 (水)

比較するには...

2008年7月16日 晴れ
暑い....。

少しづつ、夏風邪が流行ってきて、無菌性髄膜炎も増えてきている様です。
さて、しばらくオヤスミしましたが...何とか書ける状況となりました。

医療費はそもそもまだ削減しないといけないものなのか?これは大きなギモンです。

07年度医療費、過去最高の33.4兆円 7月16日17時26分配信 医療介護CBニュース
魚拓

『厚生労働省は7月16日、2007年度の概算医療費が過去最高の33.4兆円に上ったと発表した。前年度の医療費32.4兆円と比較した伸び率は3.1%。70歳以上の高齢者で5.4%増加したほか、70歳未満でも1.2%増えた。前年度から1兆円、01年度(30.4兆円)からは3兆円増えたことになる。』

高齢者が増えて、医療費が増えるのは現状では至極当然の様な気がしますが...。ただ、もう少し予防的な医療を施せば、圧縮は可能かもしれません。対GDP比で示されていないので、この額面で増えた医療費が比率ではどうかと....?比較するには対GDP比が必要でしょう。また、公共事業費との比較も必要と考えます。

『07年度の高齢者一人当たりの医療費は前年度から2.0%増加し、75.7万円になった。70歳未満の16.1万円と比べると、4.7倍の開きがある。』

医療費を必要とする高齢者が増えているので、医療費の増大は仕方がないことか...と。見捨てることなどできません。

『また、主な診療科別の診療所(医科)一施設当たり医療費は、内科9707万円(同2.0%増)、小児科6793万円(同3.2%減)、外科9744万円(同2.0%増)、整形外科1億1546万円(同1.7%増)、皮膚科7130万円(同2.2%減)、産婦人科6105万円(同2.3%増)など。』

うーむ。ということは小児科診療所は収入が減ってるとのことでしょうか?ね....何か複雑なキモチです。

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2008年7月11日 (金)

総合医...

2008年7月11日 晴れ

あくまで私見ですが...医師は総合的な能力を持っているべきであると思います。その上で、専門性もしっかりと持って行ければ一番良いと...。総合的な能力を持つ医師を積極的に評価しようとする試みが少しづつ動きはじめそうです。

『舛添要一・厚生労働大臣は7月10日、自治医科大学を視察し、「総合医」を創設するとともに、学会等による認定医制の導入に前向きな姿勢を示した。

 これは自治医大学長の高久史麿氏の発言を受けたものだ。高久氏は、1次医療機関は総合医(総合的な診療能力を持ったかかりつけ医)、2次医療機関には総合医よりは専門性が高いが、専門医よりは幅広く診る医師、3次医療は大学病院などの専門医が担うという3層構造で医療を担うべきとした。

 その上で、日本医師会、日本プライマリ・ケア学会、日本家庭医療学会、日本総合診療医学会の4団体が共同で、「かかりつけ医〔総合(診療)医〕認定制」を創設すべきだとした。その際、現在は専門医資格しか広告できないが、この認定医も広告を可能にするよう求めた。』

専門医は当然、重要で必要なものです。専門性を磨くことも必要です。しかし、同様に幅広い診療能力をもった医師も必要であると感じます。(特にいなかでは...)

『高久氏は、「約20年前、家庭医構想が打ち出されたときには、“人頭割り”につながる懸念から、日医が反対して頓挫した。あのときに、家庭医を創設していれば、今のような患者が病院に殺到して病院がパンクするような状況は生じていなかった」と述べ、患者を総合的に診る医師の必要性を強調。

 昨春、厚生労働省が「総合科」「総合科医」構想を打ち出したときにも、同様に日医などが反対した経緯がある。しかし、この時、反対意見が多かったのは、「学会ではなく国が審査・認定する」といった形で検討されていると見られていたため。これに対して、高久氏の提言は、あくまで学会が主導で進める「総合医」であり、その基準なども学会が作るべきという点で異なる。』

国が基準を作るのは難しい。そして、危険ですらあります。学会の中で、納得し得る基準ができて認定されるのであれば、受け入れやすいかもしれません。

『医師不足の折、舛添大臣が主宰した「安心と希望の医療確保ビジョン」でも、「総合的な診療能力を持つ医師の育成」が打ち出されている(『「医師の養成数増加」を提言、閣議決定』を変更)を参照)。「総合医」のほか、後述する医学部定員の問題なども含め、同ビジョンを具体化するための作業委員会が今週末か来週初めに設置され、年末の予算編成に反映させるために議論が進められる。』

ただ、あくまで医師は絶対数が不足しているのであり、養成数は増やす必要があります。総合的に診れる医師が増えた所で、医師養成数を抑制しようなどとは考えていただいては困ります。

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2008年7月10日 (木)

黒字ですか...

2008年7月10日 晴れ
朝は涼しかったです。

さて、日本は国民皆保険制度で、医療費は一部手出し、そして一部は保険者から支出されます。診療報酬体系は医療施設に厳しく、その経営はなかなか難しい...。そして、保険者は黒字であるとのこと....。保険料収入は診療報酬として払い出す分より明らかに大きく、組織の運営費を除いても黒字ということなのでしょうね....。レセプトの時、しょーもないことでいろいろと査定されますが....保険者は黒字なんですね!
何か間違ってる様に思います。

保険者黒字は医療費抑制の結果—日医 7月9日21時14分配信 医療介護CBニュース
魚拓

『日本医師会は7月9日の定例記者会見で、この日開かれた中医協で公表された「医療経済実態調査(保険者調査)」の結果について、見解を発表した。

 調査では、保険者全体の経常収支差が4192億円の黒字であることが明らかになった。組合健康保険は2372億円、政府管掌健康保険も1117億円の黒字で、国民健康保険は323億円の赤字だった。
 この結果について、中川俊男常任理事は「保険料収入の割に給付費(支出)が少ないため。給付費は医療費に比例し、給付費が少なかったのは医療費抑制の結果、つまり国民と医療現場への締め付けの結果である」と指摘。その上で、「2008年度当初予算における政管健保の国庫負担『肩代わり』案のようなことが、今後も前向きに検討されるべき」とした。』

年間2200億の社会保障費減額は本当に必要なのでしょうか?コレだけ、黒があれば、それを国に上納すべきでは??みんな考えることでしょうね....。


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2008年7月 7日 (月)

驚いた....

2008年7月7日 晴れ
七夕の日です。とっても暑い!

さて、彼の国の首脳部は...オリンピック期間中のハンセン病患者入国を禁止しました....。

患者の入国禁止撤回を=北京五輪委、厚労省に要望−ハンセン病市民学会 7月7日16時6分配信 時事通信
魚拓

『北京五輪組織委員会が大会期間中にハンセン病患者らの入国を禁止した問題で、支援者や学識者らでつくるハンセン病市民学会(熊本市)などは7日、厚生労働省で会見し、舛添要一厚労相と組織委側に対し、文書で禁止措置の撤回を要望したことを明らかにした。
 同組織委は6月2日、五輪期間中の外国人の出入国に関する「法律指針」を公表。ハンセン病患者らの入国禁止を掲げた。
 同学会の神美知宏共同代表は「中国がオリンピックという場で、ハンセン病などへの間違った理解と偏見を世界に発信することは黙認できない。オリンピックが差別を植え付ける場になってはならない」と話した。』

ハンセン病に関してはwikipediaから...。

『ハンセン病(ハンセンびょう、Hansen's disease)とは、抗酸菌の一種であるらい菌 (Mycobacterium leprae) の末梢神経細胞内寄生によって引き起こされる感染症。病名は1873年にらい菌を発見したノルウェーのアルマウェル・ハンセン (Gerhard Henrik Armauer Hansen) に因む。以前はハンセン氏病とも呼ばれた。東洋医学では大風(麻風)、癘風とも呼ばれる。 らい菌の発見以前はハンセン病という概念自体が存在せず、ハンセン病に似た症状の皮膚病を広く癩病(らいびょう、leprosy)と総称していた。そのため、歴史的文献における癩病はハンセン病とは限らない。らい菌の発見以後は、癩病はハンセン病の同義語として使われるようになった。なお、日本では癩病は差別用語として忌避される。また、英語圏でも、leper(らい者)は、非常に悪い印象があり、注意が必要である。』

更に、感染に関しては....

『感染は未治療のらい菌保有者(特に菌を大量に排出するL型患者)の鼻汁や組織浸出液が感染源となり経鼻・経気道的におこる(飛沫感染説:ヌードマウスに菌のスプレーを与えた動物実験による:伝染は一瞬と考えられる)。ただし感染・発病率は非常に低く、ほとんどの感染が排菌中の患者との濃密な接触環境下に置かれた場合に起こるとされている。また、らい菌と接触する人の95%は自然の免疫で感染を防ぐことが出来る。 感染時期のほとんどは小児期である。大人から大人への感染発病も極めて例外的である。日本においては小児期以降の感染による発病は近年では認められていない。 また、ハンセン病治療薬の一つであるリファンピシンで治療された患者からは伝染性はないことは証明されており、適切な治療を行っていれば感染源になることはない。

つまり、患者さんとの厳格な隔離は必要でなく、ましてオリンピック期間中に入国を制限する等は、感染防止の面から考えてほぼ何も役に立たないといえます。日本も誤った認識に基づき、ついこの間まで強制的隔離を続け、重大な人権侵害を続けてきました。彼の国が、この過ちを繰り返さない様...祈るのみです。

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2008年7月 6日 (日)

邪推....

2008年7月6日 晴れ
すっごい暑い日です。

さて、インドネシアからの看護師、介護福祉士受け入れが始まる様です。記事は、産経新聞より....。

門戸開放 実務手探り 看護・介護にインドネシア人 第1陣300人来日へ 7月5日8時1分配信 産経新聞
魚拓

『日本の病院や介護施設で働くインドネシア人看護師や介護福祉士の第1陣300人が7月下旬から8月上旬にかけて来日する。病院や福祉施設の深刻な人手不足や国際化が、日本の医療介護現場の門戸を開いた形だ。しかし、言葉や生活習慣の違いを乗り越え、満足のいくサービスを日本人に提供できるのか、課題は多い。』

日本語はかなり難しいでしょうね....日常の微妙なニュアンスを読み取れる様になるには、かなりの修練が必要ではないかと感じます。また、人手不足は特に看護職においては、現場の環境悪化などにより現場から逃散する影響もあるでしょう.....。日本人の看護職をもう少し大事にすることも必要ではないかと....。

『厚生労働省によると、平成19年度の看護関係の有効求人倍率は全職種平均の0・97倍を大きく上回る2・3倍。介護関係も2・1倍。18年時点で約4万人の看護師不足が推計されている。インドネシア人の受け入れは、日本側にとって、過酷勤務で人手不足となっている医療・介護現場へのスタッフの充足や、高齢化社会をにらみ人材の安定的確保を図る狙いがある。』

私の周りには、潜在看護師....いっぱいいます。長く働き続けることができないような過酷な現場です。現在の日本人看護師よりも人件費で安く雇える外国人看護師を入れて医療費は更に削減し、現場の人材確保は何とかなるなんてことを国は考えているのでは??と邪推します。

『来日した看護師・介護福祉士は現場に出る前に半年間、日本語などを訓練。その後、現場に出て、助手として働く。しかし、看護師は3年、介護士は4年の間に、国家試験に合格しないと、帰国しなければならない。

 厚労省によると、19年度の看護試験の合格率は90・3%。福祉士試験51・3%。日本語で試験を受けなくてはいけないため、インドネシア人には難関となりそうだ。』

日本語で試験を受けるとすれば、かなりの難関になるはずです。それほどの人数は定着しないのでは??ひょっとすると、「国は看護師不足をそのままにしてほっておいた訳ではない」というようなexcuseのために用意されたものというわけではないでしょうか??(これも邪推です。)

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2008年7月 1日 (火)

現場を知ることの大切さ...

2008年7月1日 曇り

激甚災害の被災地で何が起きているのか?何が必要なのか?これを理解せずに、真に有効な援助を行うことはできません。その援助が仇となることもあります。

現在の日本における医療の現場は、いわば激甚災害の被災地とも言えるかもしれませんが、その被災地に真に有効な援助を行うためには、現場を真に理解する必要があります。厚生労働省の医系技官は日本の医療をコントロールする中枢ともいえますが....その方々の臨床経験は、はなはだ乏しく、現場の医療者、患者さんの本当に必要とするコトを見抜くことができないようです。

舛添厚生労働大臣はインタビューの中で、以下のように吠えました。

『だからこれはもう改革ですよ。言うことをきかないヤツは首を切ると。だから例えば、医学部を出て免許を持っているか知らないけど、インターンぐらいやったかもしらんけど、臨床も何もやらないでずっとやってて、それで、あんた日本のお医者のトップに立つのかね、と。おかしいだろう、と。だから臨床やるかどうかは別にして、とにかく現場2年ぐらい、腕に自信がないなら病院の事務長としても入ってもいいから、とにかく病院の実態を見てくださいよ、と。そして帰ってくれば、いい政策ができる。』

なかなか痛快。厚生労働省の医系技官の中には、病院の査察に入る方もあり、そのときの態度はそりゃーもう...「とんでもねー」態度であると聞いたことがあります。術後に心電図モニターしてて、加算をとっていた場合、カルテにキチンと「何故、心電図モニターを続けたのか?」その理由を記載されていないと、加算はとれない。過去一年間さかのぼって、心電図モニターでの加算をとったものをチェックして、その病院の分、全部、返納させた...というようなことも(あくまで伝聞ですが....)聞いたことがあります。

更に、最後に「こんなことやってるから、おまえたちはミスをしてしまうのだ...」と仰ったとも....。(コレもあくまで伝聞です。)

現場2年とはいわず、5年ぐらいは居てもらわないと、現場の苦しさは理解できないのではないでしょうか?その経験がなければ、医系技官として採用しないぐらいの制度にするべきです!

『だから、まあ徹底的にやろうとしているのは技官ね。医系、薬系含め技官人事、誰も手をつけないで聖域になっている。私は東大法学部だから、事務官の局長かなんかは全部分かる。ところが局長でも医政とか健康局長なんかはGHQの指令で医師免許がないといけないことになっている、と。そんなバカなことはないんで。医師免許なんかなくたって、事務能力のある局長がいて、下の課長の何人かに優秀な医者がいればいい。その医者も臨床やったことない外に出たことないなんてのじゃなくて、ちゃんとやって患者の面倒を見たことある人。看護師でもいい。外の血も入れて交流していかないとダメなんで、まさに厚生労働省改革というのは、これまでの失敗とウソで塗り固めた状況を変えるということ。』

是非!コレを断行していただきたい!舛添厚生労働相に期待します。

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2008年6月30日 (月)

DPCについて

2008年6月30日 曇りのち晴れ

DPCについては以前のエントリーで触れました。DPCにはいい面と悪い面があり...悪い面が前面に立たないようにするべきです。また、現在の風潮は「全ての急性期病院でDPCを採用すべし」ですが...それは危険....。これまでも、厚生労働省はハーメルンの笛よろしく、甘い汁で病院群をその土俵に導いては、土俵から突き落とすような所業を繰り返してきました。すべての急性期病院がDPCの土俵にあがったとき、それまでの歴史が繰り返される可能性は否定できないでしょう。

DPCへの理解求め日医に働き掛け―日病協 6月30日14時30分配信 医療介護CBニュース

『日本病院団体協議会(議長・山本修三日本病院会会長)は6月27日の代表者会議で、投薬や注射、入院などの費用が病名ごとに決められた一日当たりの定額制になる診断群分類別包括評価(DPC)について、病院団体としての考え方を整理した上で、日本医師会に理解を求めていく方針を決めた。診療報酬改定関連の具体的な対応を話し合う実務者会議で今年夏をめどに意見集約し、日医に働き掛ける。』

日本病院会は診療情報管理士という資格を認定する資格者を養成する通信制学校をもっています。そして、この診療情報管理士はDPCの導入と深い関わりをもっています。平たくいいますと....診療情報管理士がいなければ、その病院はDPCを導入できないとまでいえそうです。つまり、日本病院会としてはDPCが拡大して、診療情報管理士の養成数が増えると...自身に対する何らかの利益がある。とみることができます。

そのような立場であれば、DPCに対して異を唱えることはできないでしょうね....。

『その上で、出来高による算定にもモラルハザードの問題が付きまとうと指摘。「モラルハザードがあるというだけでは、DPCを批判する理由にはならない。もしもモラルハザードがあるのならば、それをなくせばいい」と強調した。日医の主張についても、「おそらく理解不足があるのかなと思う」との認識を示し、DPCに対する病院団体のスタンスを説明していく考えを示した。』

確かに、出来高でいっても、逆の意味であるモラルハザードは生じるでしょう。しかし、必要な治療であっても経済的な観点から施行できないという事態は生じません。この潮流に乗っていくと、アメリカ型の医療にたどり着くようで....心配はつきません。

すべての病院がDPCに乗ってしまって、厚生労働省がズバっと給付する金額を下げてしまったらどうでしょうか?病院のみならず、患者さんにも大きな被害が出そうです。前にならえ方式でこの波に乗るのは今ひとつオススメできません。

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2008年6月26日 (木)

中原先生の奥様

2008年6月26日 曇り

MRIC: Medical Research Information Centerのメルマガに流されていた文章です。

中原利郎先生は東京にある私立病院に勤務されていました。いろいろな経緯から、1999年8月に病院の屋上から飛び降りて自ら命を絶たれました。亡くなる前の勤務状況等から、「過労」による死亡であることは明らかであると思われますが....勤務先であった病院は現在に至っても、「過労死」と認めようとはしません。

妻である中原のり子さまが次のような文章を書き下ろされていますので、引用させていただきます。

『労死事件の概要

平成11年8月16日 中原利郎、勤務先佼成病院の屋上から投身自殺(44歳)

平成13年9月17日 新宿労基署に遺族補償給付を申請

平成16年12月7日 東京地裁(行政部)労災不認定取消訴訟を提起

平成19年3月14日 原告勝訴判決!

平成19年3月28日 被告控訴せず→労災認定

 1999年8月16日の朝、小児科医だった夫の中原利郎は真新しい白衣に着替えて、勤めていた病院の屋上から身を投げました。享年44歳でした。亡くなる6ヶ月前には、6人いた医師が3人に減ったこともあって、月に8回当直し完全な休日は2日といったような働き方をしていました。管理職になって採算のことも考えねばならず、精神的にも肉体的にも疲れきった様子でした。夫は、「命を削りながら当直をしている」とか「部長会議は、地獄のように辛い」とこぼしていました。亡くなる2~3ヶ月前には「病院に殺される」と言うようにもなっていました。そんな夫の働き方を、東京地裁は昨年3月、過重労働であると認め、国に不支給決定を取り消すよう命じる判決を言い渡しました。国は控訴せず、勝訴が確定しました。

 8年かけて国は、夫が小児科医師として激務であったと認定したにもかかわらず、勤務先だった病院は、夫の働きは過重労働ではなかったと未だに主張し続けています。「月の当直が6回から8回になっても、さほど生活全般に影響が出るほどの変化とはいえない勤務先」などという論点で、「過労死」であったことさえ否定するのです。この病院の認識は、現実からかけ離れているように思います。“病院は、過重労働の勤務医を守ってくれないのか”夫が亡くなってからの9年間ずっと考えていたキーワードです。小児科に限らず勤務医の働き方は、医師の犠牲的精神で乗り越えられる限界を超えています。深刻化する医師不足に、厚生労働省は、ようやく医師増員などの「医療確保ビジョン」を打ち出しましたが、それだけで医療現場の危機を救うことはできるのでしょうか。労災認定された労働実態を、病院が認識し改善する。医師が人間らしく働ける労働環境をつくってほしい。そんなメッセージを伝えるのが、遺された私の役目だと思っています。

 今回のシンポジウムで、疲れ切った医師にいのちを委ねたくない市民と、疲れ切ったまま医療に従事したくない医師と、疲れ切った医師を働かせ続けたくない病院長と一緒に、あなたも考えてみませんか。勤務医の職場環境改善のために病院にできること。医療者の健康を守ることが医療安全につながること。参加者全員で、「あなたを診る医師がいなくなる!」、こんなタイトルのシンポジウムが
必要でなくなる社会を目指したいと思います。』

この文章の中には、勤務先を名指しするものがありません。ネット上では、明らかになっている事柄ですが...良心的で、フェアーであると思います。よって、拙ブログでも名指しはしません。

当時に比較して、小児科医の労働環境は若干の改善があったかもしれませんが、依然として私のように一人で診療し続ける小児科医もいます。まだまだ、環境を改善させる努力が必要でしょう。

そして、シンポジウムの御紹介....

6月28日(土)  東京医科歯科大学にてシンポジウム開催 あなたを診る医師がいなくなる! ~過重労働の医師を病院は守れるのか~ http://sky.geocities.jp/shyuju2008/sym062808.html

 勤務医の労働環境を考えるシンポジウム実行委員会
(実行委員長:松崎道男/松崎内科クリニック院長、元虎の門病院輸血部長、医療安全対策室長)

日時:2008年6月28日(土) 13時半~16時20分(開場12時40分)
会場:東京医科歯科大学講堂(5号館4階)
交通:JR中央線 総武線「御茶ノ水」駅(御茶ノ水橋口)、
東京メトロ丸ノ内線「御茶ノ水」駅(医科歯科口)すぐ

司会:田辺 功 氏/医療記者歴40年、近著に『ドキュメント 医療危機』
進行役:塚田 真紀子 氏/著書に『研修医はなぜ死んだ?』、共著に『壊れゆく医師たち』

シンポジスト(五十音順)
●伊関 友伸 氏「地域の財産としての病院のあり方」
/城西大経営学部准教授 医療経営アドバイザー、近著『まちの病院がなくなる』

●岩田 喜美枝 氏「過重労働の是正―女性医師が働き続けるために―」
/資生堂副社長  元厚労省雇用均等・児童家庭局長

●前村 大成 氏「過重労働、管理者としてその後すべき対応」
/元都立府中病院院長 医師の労働環境問題に取り組んだ経緯あり

●松村 理司 氏「“救急”を断らない病院を支えるもの」
/洛和会音羽病院院長 勤務医の過重労働軽減と病院の質向上に奮闘中

 2人の医療ジャーナリストが司会・進行役を務めながら、患者・患者家族、医療関係者、医療系学生、子育て中の母親たち、一般希望者と熱い議論を交わしていく予定です。是非ともいらしてください。そして、多くの方々に伝えてください。このままでは、あなたを診る医師がいなくなってしまうことを。そうならないように、どうしたらいいのかを。

対象:患者・患者家族 医療関係者 医療系学生 一般希望者(定員300名)
会費:100円(資料代として)

主催:小児科医師中原利郎先生の過労死認定を支援する会
共催:NPO法人医療制度研究会 全国医師連盟 『知ろう!小児医療 守ろう!子ども達』の会 県立柏原病院の小児科を守る会 I-Cube
後援:構想日本

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2008年6月25日 (水)

かけひき....

2008年6月25日 雨
土砂降りでした。

政治家の間のかけひきか....。現在の医療現場をみるとそんな甘いコトいってられない。逼迫しています。

自民が「骨太の方針2008」を了承 6月25日11時19分配信 産経新聞
魚拓

全文を引用します。
『自民党は25日午前、党本部で政調全体会議を開き、政府の「経済財政改革の基本方針」(骨太の方針2008)の原案を大筋了承した。社会保障費の伸びの抑制をはじめとする歳出削減方針の堅持については一部議員に反対論が残ったものの、最後は谷垣禎一政調会長が文言修正の一任を取り付けた。ただ、「最大限の削減を行う」との表現は変更しない方針だ。26日の総務会でも了承される見通しで、政府は27日に閣議決定する予定。』

一部議員に反対論が残ったもののの中の一部議員はイコール道路族でしょうか??
社会保障費に対して「最大限の削減を行う」という文言を残したならば、まだまだ限界を超えた削減が続くかもしれません。とるべきところからはとる方針で税収を増やすべきでしょう。

この骨太の方針を決定する過程には国民の願いは反映されていないように感じます。

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2008年6月24日 (火)

尾辻議連の動き

2008年6月23日 晴れ
久しぶりに爽やかな一日でした。

厚生労働省は「医師の絶対数は充足している。現状の医師不足は地域或は診療科による偏在によるもの。」という大ボラを吹いてきました。医療費亡国論という妄論に毒されて、厚生労働省は限界点を超えるまで医師数、医療従事者数の抑制を続け現状の医療崩壊にたどりついたのですが...その認識はまだまだ甘いと言わざるを得ません。

医師養成数の大幅増と社会保障費の大幅増。これのみが、10年後に現状を打破してくれる方策でしょう...。骨太の方針で示された、年間2200億円づつ社会保障費を削減する方針は、コレを実行にうつすと間違いなく医療の崩壊を招きます。どうか、ココは現実を見つめ、方針の大幅転換を願いたいところです。

超党派の「医療現場の危機打開と再建をめざす国会議員連盟」(会長・尾辻秀久参院議員)は舛添厚労相に対して意見を申しました。そして、少しづつ動きのある気配です。

医学部定員増の決議を厚労相に提出―超党派議連
魚拓

『超党派の「医療現場の危機打開と再建をめざす国会議員連盟」(会長・尾辻秀久参院議員)は6月18日、舛添要一厚生労働相と大田弘子経済財政担当相に対し、医学部定員の削減についての閣議決定と、社会保障費の年間2200億円削減方針の見直しを求める決議を個別に提出した。17日に福田康夫首相と閣議決定の見直しについて合意した厚労相は、勤務医の労働環境にも言及し、「(勤務医不足は)偏在だけの問題ではない。全力を挙げてやる」と述べ、医師の増員対策に注力する意向を表明した。』

医師数の大幅増と医療費の大幅増はセットでなくてはなりません。日本での医師の待遇が悪ければ、国外にドンドン流出します。閣議決定の見直しはほぼ決定事項のようです。

『議連の決議は、▽「医学部定員の削減に取り組む」という従来の閣議決定を見直し、医学部定員を大幅に増加▽社会保障費の年間2200億円の削減方針を見直し、必要な医療予算を十分確保▽「わが国の医療現場は、あらゆる人々の理解と協力によって支えていかねばならない」との意識を国民全体に涵養(かんよう)▽勤務医の就業環境と待遇の改善に取り組む病院、医育機関、自治体、団体等への支援を抜本的に拡充―の4点。』

どれも、現在の医療現場を救うために必要な事項であると感じます。

『医学部定員については、削減に取り組むとした1997年の閣議決定を見直すとしており、具体的には定員を毎年400人ずつ増やし、現在の8000人を10年後に1万2000人にまで増やすことを打ち出している。診療に従事する医師数が2割弱増え、現在の約26万4000人から30万6000人にまで増加すると見込んでいる。』

毎年、400人づつ定員を増やすということは、これは大変なことです。人員の整備もそうですが...キチンとお金を付けないと上手く行くはずがありません...。

『厚労相は17日の首相との会談で、医師の数を増やす必要性について言及。閣議決定を事実上撤回することなどで合意した。議連の申し入れを受けて厚労相は、18日の「安心と希望の医療確保ビジョン」会議で、医師増員やスキルミックスなどの方針を打ち出した。また、勤務医の労働環境について、「労働基準法違反といってもよいような状態。一週間に80時間働いている人(の労働時間)を40時間に減らすだけでも、勤務医が倍要るということ。偏在だけの問題ではない。全力を挙げてやる」と、その改善も含む抜本的な対策を講じる考えを表明した。』

頼もしいコトバです。しかし、ヒトと同時にお金ももってこなければ上手くいきません。道路を作るお金をやはりシフトするべきでしょう。税収に関しても考えなければなりません。日本は所得税の累進課税が不十分のカタチであるとされます。また、企業に対する課税も....問題ありとのことです。医療福祉を支えて行くためのお金を考えておかなければなりません.....

『大田担当相は「歳出・歳入一体改革は重要だが、医療本体の機能を損なってまで財政を再建すればいいとは思っていない」と述べた。17日に示した「骨太の方針2008」の素案について、「後発医薬品や重複検査など、既定経費の中で効率化できるものはせねばならない。しかし、医療現場で起こる医師不足、救急医療、勤務医の待遇改善、産科や小児科の問題にはしっかりと対応すると素案に書いた。財源については、無駄をゼロにして、政策を立て直す。それでもというときは、負担の議論をセットで考える」とした。
 これに対し、議連の尾辻会長は「くれぐれもシーリングの時に変なことをしないように」とクギを刺した。』

ここは、コトバに弱さを感じます。「それでもというときは、負担の議論をセットで考える」とのことですが、財源の出所などについては明確に示していません....。政府はノラリクラリといったところでしょうか?

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2008年6月22日 (日)

サイバー犯罪の結末

2008年6月22日 雨
やはり時折、熱帯性スコールに襲われます。

大阪府知事:橋下徹氏を殺人予告にて脅迫したとの罪でSEの男性が逮捕されました。ネット上の書き込みのIPアドレスより犯人の特定を行った様ですが....。通常のプロバイダでは、変動するIPアドレスとなっていると考えます。SEという職種から考えると、会社や自身の固定アドレスから書き込みを発信したのか?それとも、変動するアドレスからの情報も特定が可能なのでしょうか?

いずれにしろ、ネット上の匿名性はかなりの部分でなくなってきたということでしょうね。

橋下知事暗殺をネットで呼びかけの男逮捕 府警 6月22日15時24分配信 産経新聞
魚拓

『インターネットの掲示板に橋下徹・大阪府知事の暗殺を呼びかける書き込みをしたとして、府警捜査1課と東署は22日、脅迫容疑で、東京都世田谷区船橋、システムエンジニア、安永博一容疑者(35)を逮捕した。安永容疑者は大阪市出身で、「橋下知事の財政再建プログラムに反感を持っていた。目立とうという気持ちもあった」と供述しているという。』

大阪府はこれまでの経営に問題があったものと認識しています。そのツケを今払わされているのでしょう...。辛いのだけど、ココは頑張る必要があります。

『調べでは、安永容疑者は6月6日午前1時40分ごろ、自宅のパソコンを使ってインターネットの掲示板に「『浪花の金正日』橋下徹を殺害しよう!」「橋下をテロで暗殺したい奴集まれ」などと書き込み、橋下知事を脅迫した疑い。
 掲示板を見た人が12日に警察庁に通報。府警がIPアドレスを分析し、安永容疑者を割り出した。』

まさか、ここまで早くに自分を割り出され逮捕されるとは思っていなかったのでしょうね...。しかし、その所業は刑法違反です。

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2008年6月21日 (土)

点滴専門???

2008年6月21日 雨
豪雨が続いています。

点滴による治療は、特に脱水状態にある患者さんに対しては有効であると思われますが....栄養補給のために行ってもあまり効果はないものと考えられます。誤嚥などで食べれない患者さんに対して、栄養状態を改善するためにする場合は、末梢静脈からの点滴では追いつかず、中心静脈栄養という方法がとられます。

また、全く食べれない患者さんに、ビタミン剤抜きの点滴を長期間行った場合、代謝性アシドーシスやウェルニッケ脳症という特殊の脳症を起こしたりすることがありますが....通常の食事が摂れている方にはビタミン剤の点滴を行っても元気にはなりません。ただ、プラセボ効果といって『この点滴は効く』と信じると症状の改善がみられる効果が絡みますので、点滴をすると少し調子が良くなったと思われる方が多いと思われます。

また、『調子の悪い』という症状の裏に心不全が絡んでいる場合、また、腎不全が絡んでいる場合などは点滴をすることにより生命にトドメを刺されることもあります。点滴は注意して行わなければなりません....。

東京恵比寿に仕事の合間に10分間で点滴を行い、元気を出していただこうという点滴専門スペースができているようですが....この効果はギモンです。そして、ホントに悪い心不全をもった患者さんに点滴をしてしまって、突然死なんてことが起こらなければいいなと....。

【トレンド】疲れた体には「10分点滴」!? 点滴専門スペース「TENTEKI 10」体験リポート 6月21日10時0分配信 nikkei TRENDYnet
魚拓

『東京・恵比寿にある「点滴専門スペース」がビジネスマンの注目を集めている。手軽に点滴が受けられ、時間もわずか10分だという。

 病院で体力回復のために点滴を受けることは一般的だ。東京・恵比寿の恵比寿ガーデンプレイスクリニックでは以前からビタミン注射のニーズは高かったが、一般診療と同じ窓口での受付だったので、「残業前にちょっとエネルギーチャージ」というときには、待ち時間に不便を感じる利用者が多かったという。そこで、予約や待ち時間なしで気軽に点滴を受けられる専門スペース「TENTEKI 10(てんてき・てん)」をクリニック内に開設。4月のオープン以来リピーターも増え、利用者も20代から60代まで幅広い。』

体力回復のために点滴を行うことはありませんし、それで体力が回復されることもありません。脱水状態にあり、輸液を行うことにより症状が改善することはあります。末梢からの点滴に入っているエネルギーは食べ物から摂取できるエネルギーの10分の1にも満たないでしょう。本当に、体を支えるエネルギーを入れるならば、前述のように中心静脈栄養という方法をとらなければなりません。これは鎖骨下や内頚静脈、ソケイ部の静脈から心臓に近い大静脈までカテーテルを挿入し、そこに必要な高濃度の点滴を行う方法です。末梢からの点滴ではそのような高濃度の点滴を行うことはできません。

『まずは、受付。保険適用外の自費診療となるので、保険証は不要だ。既往症やアレルギーなどの質問に答える問診表に記入し、メニューを選ぶ。メニューの基本は、ビタミンCやB群が含まれた総合ビタミン点滴「ベーシックパック」(2000円)。これに、9つのオプションメニュー(2500円〜3500円)を組み合わせることもできる。男性には疲労回復や眼精疲労、睡眠不足などに最適なトコフェロール、Lアスコルビン酸が主な成分の「ブルーパック」(3000円)、女性には、しみ、そばかす、くすみなどを軽減する「ホワイトパック」(3000円)の人気が高い。体調などにより、オプションメニューをいくつか組み合わせてオリジナルメニューを作ることも可能だ。』

総合ビタミン剤に含まれるビタミンCやB群は水溶性ビタミンとされ、点滴にて血管内に入りますが、速やかに腎臓から尿として排泄されます。ニンニク注射をしたあとのおしっこが同じ匂いがするのは、このためです。保険診療でなく自費ですから、このようなお値段となるのでしょうね....。

でも、米国では生食500ml点滴するのに、50万程度とられることもあるとのことです。

『なんとなくニンニクのような香りがかすかに香る。これは担当医によると、ビタミンB1が体中を巡っているときに生じる匂い。いわゆる“ニンニク注射”と呼ばれているものだ。ニンニク注射とはニンニクが入っているわけではなく、主成分は、このビタミンCやB群なのである。点滴後はなんとなく気分がスッキリ。眼が冴えるような気分も感じられる。「翌朝の目覚めがよくなったとおっしゃる方が多いですね」と看護師さん。事実、この翌日はいつもよりスッキリと目が覚め、内側から元気がみなぎってくるような気分だった。』

おそらく、プラセボ効果によるものでしょうね...症状の改善は...。

『「病気ではないけれど、なんとなく身体がだるい、調子がすぐれない、東洋医学でいうところの『未病』の方の不調を解消し、より快適に過ごしていただくことが目的です。点滴は注射よりも体に対する負担が軽く、血液内へ直接投与するため、口から体内に取り入れるよりも効率よく吸収されます」と担当医は語る。マッサージやサプリメントなどと同様に、手軽に疲れた体を癒やす選択肢としておすすめできる方法だ。 』

ここには、点滴による副作用は記載されていません。心不全のあるかたへの副反応...感染の危険性などを考慮すると、元気に働かれている程度の人々に軽々しく行うべきではないと感じます。

ただ、危険性を納得された上で施行するのは止める所ではありません。

(追記です。)

こちらにも関連した記事があります。

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2008年6月20日 (金)

レス_論点のズレ

本日、2稿目となります。

三重県の整形外科診療所にて起こった点滴後の敗血症事件...拙ブログ:論点のズレにてとりあげました。そのエントリーに貴重なコメントをいただきましたので新たにエントリーを立ててお答えしたいと考えます。

666AKS様より

いつも読ませていただいています。事故が起こるのは1つだけが原因ということは稀で、複合しておこるといわれています。
(1)混注の際、アルコール性の消毒剤を使わなかった。ボトルのキャップはアルコールで荒れたと文句をいうはずがないですよね。(2)消毒剤の希釈濃度が不適切。取扱説明書の5%グルコン酸クロルヘキシジンの希釈倍数は最大100倍で、それも損傷した皮膚や手術室、病室の消毒など汚染を考慮していない場合です。(3)作成したボトルを不必要に保存した。作り置きも当日使い切っていれば菌の増殖は少なかった。どれかがなければここまでのことは起こらなかったのにと思います。消毒剤を節約することで、どれだけお金が浮いたのでしょう。遺伝子操作した大腸菌を滅菌せず廃棄して、停職となった教授もいましたが。この辺りの節約感覚は異常と思います。

仰る通り、様々な原因が複合的に絡んで多くのミスが誘導されます。ハインリッヒの法則はこのことを、逆の方向からみたものと考えています。さて、件のエントリーでは、新聞記事中に「素手で消毒綿を調製」したことがあたかも今回の事件の原因であるかのような書かれ方でしたので...「それは違うんじゃないの」ということを訴えたかったという次第です。その点については御同意いただけると考えております。

また、「消毒剤を節約することで、どれだけお金が浮いたのでしょう。遺伝子操作した大腸菌を滅菌せず廃棄して、停職となった教授もいましたが。この辺りの節約感覚は異常と思います。」確かに異常ですね...。でも、この異常さが生まれる背景には何があるのでしょうか?昨今の社会保障費削減の流れの中で、開業医も潰れる時代です。何が何でもコストを下げる努力をするのでは??

厚生労働省が進めるDPCにおいても、何が何でもコストを下げる努力を導きます。このような杜撰な衛生管理が生まれる素地を現在の医療政策が作っているのではないか?どうしても、この考えから抜けることができません....。

Level3様より

>(1)混注の際、アルコール性の消毒剤を使わなかった。ボトルのキャップはアルコールで荒れたと文句をいうはずがないですよね

これは点滴を作っていた看護師さんの手に対してのことでしょう.

>消毒剤を節約することで、どれだけお金が浮いたのでしょう。

国の政策による「医療費削減」はいろいろなところに歪みを生じさせています.この病院の所行に問題がなかったとは言いませんが,社会的な背景にも注意しておく必要があるでしょう.これでもまだ国は社会保障費を減額しようとしています.このままではこれから先,もっとあちこちに歪みが生じて問題が噴出するでしょう.その時に「医療者だけ」を責めるようなことはしないで頂きたい.問題の根はもっと深いのです.

アルコールを使用して、殺菌は出来るが手が荒れてしまい、そこにMRSAが生えてしまったという事例を聞いたことがあります。医療における常ですが...100%の処置、治療、方策はないということです。手が荒れて仕方がないのであれば、ヒビテン、ステリクロンなどに変更するのは合理的な考えであると感じます。
この診療所の行いは決して許されることではありません。しかし、年間2200億円といわれる社会保障費削減の時代においては起こるべくして起こった出来事かも知れませんね...。

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究極の判断

2008年6月20日 雨
ホント、熱帯のスコールです...。

我が国では死刑制度があります。裁判で死刑が確定し執行されるまでには数多くの段階が踏まれ、最終的に法務大臣の決済で執行されます。この決済は『究極の判断』といえるでしょう。そして、その判断を行うことは相当のストレスがかかると感じます。

このようなストレスフルな判断を行わなければならない法務大臣をして『死に神』呼ばわりすることは、どうでしょうか?この記事を書き下ろした朝日新聞の記者には、「生死のギリギリの場面での判断をなさってみなさい」というほかありません。

日本では終身刑という制度はなく、死刑につぐ重刑は『無期懲役』となります。しかし、この無期懲役でも模範囚となるならば、一般の社会に戻ることができます。凶悪犯罪に手を染めたものが、模範的な囚人となり社会に戻ったあとの再犯が最近問題となっていますが、死刑制度を倫理的な問題とするならば、再犯を防ぐ方策を確立させなければなりません。

ことわっておきますが...ココでは死刑の是非を論じているつもりではありません。

朝日「死に神」報道に法相激怒 「死刑執行された方に対する侮辱」6月20日11時12分配信 産経新聞
魚拓

『今月17日に宮崎勤死刑囚(45)ら3人の死刑執行を指示した鳩山邦夫法相を、朝日新聞が18日付夕刊で「死に神」と報道したことについて、鳩山法相は20日の閣議後会見で、「(死刑囚は)犯した犯罪、法の規定によって執行された。死に神に連れていかれたというのは違うと思う。(記事は)執行された方に対する侮辱だと思う」と強く抗議した。』

この朝日新聞の記者さんは「反死刑論者」であったのでしょうか?前述した通り、この最終判断には相当なストレスがつきまとうと考えます。「死に神」というコトバで揶揄するほど軽いものではないと思います。

『「死に神」と鳩山法相を表現したのは、18日付朝日新聞夕刊のコラム「素粒子」。約3年の中断を経て死刑執行が再開された平成5年以降の法相の中で、鳩山法相が最も多い13人の死刑執行を行ったことに触れ、「2カ月間隔でゴーサイン出して新記録達成。またの名、死に神」とした。
 会見で、鳩山法相は「私を死に神と表現することがどれだけ悪影響を与えるか。そういう軽率な文章を平気で載せる態度自身が世の中を悪くしていると思う」と朝日新聞の報道姿勢を批判した。』

まったく同感。朝日新聞の根本の姿勢がこのように軽いものであると露呈した一事であると考えます。

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2008年6月19日 (木)

論点のズレ...

2008年6月19日 雨
ほとんど熱帯のスコールといってよいような激しい雨でした。

三重県の整形外科診療所で、点滴を受けた患者さんが体調不良となり、うち一人が亡くなった事件で、患者さんの血液からセラチア菌が検出されましたが、そのセラチア菌が点滴針を穿刺する際に使用する消毒用綿に検出されました。

点滴を調製する際に、ボトルの下面を消毒綿で消毒しますが、その際にセラチア菌がボトル内に混入し、それが調製されてから時間が経過するとともに増殖。患者さんに点滴された際に、敗血症を生じたものと推定されます。

記事は時事通信から...
薄い消毒液使う=脱脂綿取り扱いは素手−点滴患者死亡・三重 6月19日18時1分配信 時事通信
魚拓

『三重県伊賀市の診療所「谷本整形」で点滴を受けた患者らが腹痛などを訴え、女性1人が死亡した事件で、同診療所が点滴室の脱脂綿を消毒する際、メーカーの基準より20倍以上も薄い消毒液を使っていたことが19日、県の調べで分かった。看護師らが脱脂綿を素手で取り扱っていたことも判明。県はずさんな衛生管理が感染の原因になったとみて、さらに詳しく調べている。』

20倍以上も薄い消毒液を使えば、恐らく消毒効果はほとんど期待できないでしょう。ただ、脱脂綿を素手で取り扱っていたのは....どうでしょうか?この事件との因果関係は...難しい。

『県健康福祉部によると、谷本整形では点滴室と中待合室の2カ所で点滴液を調合。注射針の消毒に使う脱脂綿を消毒する際、中待合室では消毒用アルコールを、点滴室では殺菌薬を使っていた。セラチア菌が検出されたのは点滴室の綿だけだった。』

恐らく、殺菌薬もアルコールもともに素手で扱っていたはずです。でも、アルコールの方は検出されていないのですね....。つまり素手で扱うことは直接的に、これらの綿球にセラチア菌を生やす原因にはならないと思われます。ココにちょっとした論点のズレがみられます。マスコミの恐ろしさですね。

『点滴室の殺菌薬は「グルコン酸クロルヘキシジン」5%液。メーカーの使用基準は「10〜50倍希釈」とされていたが、看護師らは1000倍に薄めて使っていた。同部は「この濃度ではほとんど消毒効果がない」としている。』

なぜ、1000倍に薄めて使用する必要があったのでしょうか?単純に考えて、19本分消毒液を節約することが出来るからでしょうね....。それは、この診療所全体の支出を減らすことになり、ひいては自分たちの給料にもヒビクからでしょう。医療費の切り詰めはこのようなところにもひびきます。

『脱脂綿は消毒液容器に入れ、滅菌した水5リットルと殺菌薬5ccを混ぜて作り置きし、綿が少なくなるたびに綿と殺菌薬を補充していた。この際、看護師らは手袋やピンセットを使わずに素手で扱っていたという。』

この作り置きで、消毒綿の中にセラチアが増殖したのでしょうね....。せめて、毎日1回は新しく作り直せば、このようなことは起こらなかった可能性があります。

また、注射針穿刺時に使用する消毒用綿球は現在ではディスポーサブルとなり、一つ一つが袋に封入されています。これを採用しなかったのは、現在の開業医に科せられた「経営の厳しさ」があるものと考えます。こういった裏の部分を丁寧に取り上げてほしいと思います....マスコミの皆様方には。

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2008年6月18日 (水)

やはり、社会舗装国...

2008年6月18日 晴れのち曇り
湿度が高く、ムシムシする一日でした。

骨太の方針にて年間2200億円の削減を求められている社会保障費ですが...ここへきて見直しの方向が示されていますが『財源は?』とのこと....。道路財源に手を伸ばしたいが、道路族は猛反対の用意です。産業構造が変わらない限り、土建屋の方々の取り分はずっとずっと必要なんでしょうね...。(悲)

<骨太方針08>社会保障費に「別枠」…諮問会議が素案 6月17日21時52分配信 毎日新聞
魚拓

『政府の経済財政諮問会議(議長・福田康夫首相)は17日、経済財政運営の基本方針を示す「骨太の方針08」の素案をまとめた。全体としては歳出削減方針は堅持する一方、社会保障分野では「医師不足、少子化対策、後期高齢者医療制度の運用改善など重要課題には必要な取り組みを行う」と明記、社会保障費の抑制方針とは「別枠」で歳出を確保する方針を示した。例外扱いを認めることで、歳出削減のタガが緩む懸念が出てきた。』

社会保障費全体として年間2200億円削減という政策は青色吐息の医療現場にとどめの毒を盛る様なものです。日本の肥大化した公共事業費はどのように扱うのでしょうか....ココまではみえてきません。

『福田首相は同日の諮問会議で「重要施策に必要な歳出は財源を捻出(ねんしゅつ)したい」と表明。財源手当てとして「ムダ・ゼロの徹底や(09年度から一般財源化する)道路特定財源の見直し」などを挙げた。ただ、道路予算の大幅な削減には自民党内や地方の反発が強く、調整難航は必至の情勢だ。』

現在、日本はすさまじい借金大国です。何らかの方法で歳出削減を考慮しなければならないのは十分理解できます。でも、この状況に至って、新たな道路を作るのはどうでしょうか?福祉や医療を軽視し、ひょっとすると余り使われないかもしれない道路にお金をつぎ込む。そのための財源確保のため社会保障費が削られるのであれば国民としても納得がいかないものではないでしょうか...?

ホントに社会保障費が増えて、患者さんに益する医療ができるといいなと思います。

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2008年6月17日 (火)

とうとう来ましたか...

2008年6月17日 曇り

うーむ、とうとう来ました。医師の診療科は細分化されていますが、それは非常に専門性の高さが要求されるからです。そして、診療科を選択する自由はこれまで保障されていました。(一部のJ医大などでは、そうもいきませんでしたが...)防衛医科大学校では卒業して医師になり診療科を選択する際に、学校や国にいわれた診療科を選択することになるようです。この情報が巷間に流れれば、防衛医科大学校に入学する学生はいなくなるのでは??などと心配してしまいます。

僻地の産科医さまのブログより産科医療のこれから:防衛医大の6年生を一部御紹介させていただきます。

『防衛医大のお友達からメールがありました(>▽<)!!! なんか6年生がひどいことになっているようです。 防衛医大は埼玉県にあるのですが、 そこは日本で最も医師の少ない地域!

産婦人科ではこの春の緊急派遣で福島に医者をさらわれ、 当然のように退職者も出てとぼろぼろの人手不足。 もうみんなで馬車馬のように、日々暮している状態なのだそうです。

さて、そんな国が唯一動かせる「防衛医大」 では 今年からいきなり、 専攻する診療科を学校(と国)から指定されるようになる そうです。つまり、

「○○科には何人、○○科には何人行くように」 って事を今年度の卒業生が集められて言われたそうです。』

極めて個人的な意見ですが、『医師はある程度普遍的なプライマリーケアができて、その上で自分のスペシャリティー(専門の科目)を持つべきであろう』と思っています。しかし、このスペシャリティーは自分で選択することが必要です。そうでなければ、医業を続けるモチベーションが失われてしまうでしょう...。

医療に対する国の施策は最近...どれも、先を読めていない後手後手にまわったもののような感を禁じ得ません。防衛医科大学校から産科医を徴収したことについても、ネット上の医療界では....こういう展開になることは予想されていたことです。

後手後手に回り、次から次へと失策を繰り返す官僚の方々には、そろそろ医療政策の土俵から退場していただきたい!と切に思います!

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2008年6月15日 (日)

社会舗装国....

2008年6月15日 雨
結構な土砂降りです。

日本は先進国の中でも、社会保障費よりも公共事業費の方が突出している特異な国であることを以前より書いています。本田宏先生はその講演の中で日本を模して「社会舗装国」としました!コリャ、言い得て妙です。

近畿自治体病院交流集会:地域医療を守ろう 埼玉の医師が記念講演−−大津 /滋賀 6月15日15時1分配信 毎日新聞
魚拓

『崩壊は加速の一途
 「日本の医療は非常事態」——。後期高齢者医療制度など国の医療費抑制政策や、医師不足、地方財政悪化などで窮地に立つ地域医療を守ろうと、公立病院の関係者らが集まり、大津市雄琴6の琵琶湖グランドホテルで14日、「第18回近畿自治体病院交流集会」を開催。「医療制度研究会」副理事長で、埼玉県済生会栗橋病院副院長の本田宏医師が「正しい知識を伝えないと医療崩壊は加速の一途をたどる」と講演し、参加した約200人は真剣に聴きいった。』

医療崩壊の限界点はひょっとすると既に過ぎてしまったのかもしれませんが....。多くの人々に現状を理解していただくのは重要で必要なことです。

『医療費最低、自己負担は最高
 本田医師は「日本の医療制度の問題点と解決策」をテーマに、まず「日本の医療費は先進国中最低で自己負担額は最高」と紹介。米国からの視察団が「患者が雑魚寝(入院病室が大部屋)でまるで50年代のよう」と驚いたことを挙げ、「大部屋も『3時間待ち3分診療』も普通と思っているから危ない。欧米人は日本で入院したがらない」と明かした。』

確かに、普通ではないでしょ...現状は...ね。

『ささらに、日本の医師数26万人は人口当たり世界63位で、先進国で作る「経済協力開発機構(OECD)」の平均から14万人不足していると指摘。300床規模の日米の公立病院を比較すると、「ボストンの医師370人に対し、日本は39人。秘書やレジデント(研修医)に至ってはゼロで、途上国並み」と説明。会場に「人が余っている病院はありますか?」と問いかけても、手を挙げる人はいなかった。』

14万人不足している上に、環境によりシフトしてますので....驚く様な医師不足が出現してます。

『一方で、日本の道路密度は先進国でも群を抜いて高く、本田医師は「日本は社会保障国ではなく『社会舗装国』」と批判。「国は『医師は年3000〜4000人増えている』とごまかすが、それではOECDの平均に届くだけで40年かかる」と断じ、「このままでは医療ばかりか日本が崩壊する。食い止めるのは国民みんなの社会的責任。周りの人に現状を伝えてほしい」と呼びかけていた。』

医療崩壊においては、既にもう遅いという意見もありますが...多くの方々に理解してもらる努力は続けるべきです。

しかし、この「社会舗装国」という例えは、ずいぶん洗練されていると感じます。

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2008年6月14日 (土)

邂逅

2008年6月14日 晴れのち曇り

東北地方で大きな地震がおこり、少なくとも3名の方々が亡くなりました。御冥福をお祈り申し上げます。

さて、今日は第43回日本小児腎臓病学会が福岡市にて開かれており、一部出席できました。急用が生じて途中棄権(笑)でしたが、有力なブロガーとお会いしました。ブログ「印旛沼の風」を書かれているクーデルムーデル様です。予想通りの爽やかな出で立ちの青年医師でした。

きくところでは、3人の小児科医で頑張られておられるとのこと...。地域の人口規模を考えると、決して楽な状況ではないでしょう。お互い、頑張りたいものです。

小児泌尿器の教育講演では、画像診断の話の中で、Gd-DTPAを使用したMRU(MRIを使用した尿路造影)のお話を聞くことができました。今後のため検討してみたいと思います。

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2008年6月12日 (木)

浅はかすぎる...

2008年6月12日 雨のち曇り

制度を作る時に参考にする基礎データが「参考にするべきでないデータ」の場合、その制度は意味をなさないことになります。そして、この浅はかすぎる行動は国の診療報酬を決める際にもみられていました。

診療報酬改定めぐり、異なるデータ使用か 6月12日22時40分配信 医療介護情報CBニュース
魚拓

『4月の診療報酬改定で、医師が再診時に算定することができる「外来管理加算」の要件に“5分ルール”が導入されたことについて、厚生労働省が中央社会保険医療協議会(中医協)に提出した参考資料が、外来管理加算とは関係がない時間外診療に関する調査データを基に作成されたことが、全国保険医団体連合会(保団連)の情報開示請求で明らかになった。保団連は「外来管理加算の対象となる再診患者に対する診療時間に基づいておらず、調査データの不正流用だ」と指摘。一方、厚労省は「今後の診療報酬改定の検討資料とすることを目的に実施した調査で、不正流用には当たらない」と説明している。保団連は6月12日までに、参考資料がどのように作成されたのかなどをただす質問状を厚労省に提出した。』

外来管理加算とは関係がない時間外診療に関する調査データを基に作成されたことが、全国保険医団体連合会(保団連)の情報開示請求で明らかになった。ということです...。どうやっても、医療費を削るという目的を強く感じます。医療崩壊にも拍車をかけるでしょう。

『しかし、厚労省の原徳壽医療課長が昨年12月7日の中医協基本問題小委員会で、「内科診療所における医師一人当たりの患者一人当たり平均診療時間の分布を調査したところ、平均診療時間が5分以上である医療機関が9割という結果だった」とした資料=グラフ参照=を提示。外来管理加算の時間要件(“5分ルール”)が決定した。』

強引に決められた経緯があるのですね....。

『しかし、資料では、平均診療時間が30分以上という医療機関が圧倒的に多く、疑念を持った保団連が情報公開法に基づき、厚労省に資料(グラフ)の出典開示を請求した。その結果、外来管理加算の対象となる再診患者に対する診療時間の調査は実施されておらず、厚労省が2007年度に業者委託して実施された「時間外診療に関する実態調査結果」の数値を基に作成されたことが分かった。』


200806123

内科での診療は恐らく20分から30分程度かかることが多いと思います。しかし、多忙な時には、そんなこと言ってられません。次から次にくる患者さんをこなして行かなくてはなりません。5分どころか3分でも回らないと考えます。時間要件は意味がありません。

『これに対し、保団連は「外来管理加算の時間要件という全く別の目的に使用したのは、明らかな不正行為と考えられる。しかも、厚労省の資料は、診療時間を患者数で割っただけの単純なもので、外来管理加算の算定要件に規定されている『診察時間』と著しく乖離(かいり)している。4月以降、全国の医療現場で大変な混乱が生じており、開示請求で根拠が崩れた“5分ルール”を、すぐに撤廃することを求める」などと、厚労省に強く抗議している。』

医療者をだまし討ちにするような根拠のない診療報酬改定はすぐにでも見直すべきです。厚生労働省は汚く、そして浅はかすぎる...。

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2008年6月11日 (水)

作り置き....

2008年6月11日 雨 土砂降り

本当に点滴を作り置きして...いたならば。感染事故が起こっても不思議ではありません。以前、セラチアだったか?脳外科の病院で敗血症による連続の死亡事故が起こった際も、中心静脈カテーテルの閉塞を予防するために使用するヘパリンというクスリを使い回ししていたことが原因となったといわれています。

<点滴被害>院内感染か 院長「看護師が薬作り置き」と陳謝 2年前にも症状 6月11日12時20分配信 毎日新聞
魚拓

『三重県伊賀市の診療所「谷本整形」で点滴治療を受けた患者らが腹痛、発熱などの症状を訴え、1人が死亡した問題で、診療所の谷本広道院長は11日、看護師の一人が点滴薬剤の「作り置き」をしていたことを明らかにした。発症との因果関係は分からないという。』

まずは、この事故により亡くなられた患者さんに、深甚なる哀悼の意を表します。
発症との因果関係を証明するには、点滴から細菌を検出し、その細菌が患者さんから検出されなければなりません。通常、非常に特殊なクスリでなければ数時間の作り置きはまず問題にならないと思いますが....。どの程度の時間、作り置きしたのでしょうか?

『三重県と県警などによると、これまでの診療所への聞き取りなどで▽点滴に使った鎮痛薬「ノイロトロピン」などのアンプルは調合済みのものが使われ、濃度や量を間違えた可能性は低い▽人為的に毒物などを入れた形跡は現時点では見つかっていない▽50人以上の患者が点滴を受けているのに、発症者は60〜80歳代の体力の落ちた高齢者に集中−−などが判明。点滴で細菌感染が起きたとの見方を強めた。』

真相はどうなのか?事故を防止するために何をすればいいのか?責任問題のみに終始せず、医療の現場に益する情報が広く伝わることを希望します。

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2008年6月 9日 (月)

恐怖

2008年6月9日 晴れ

突如出現した2トントラックにひかれる恐怖。
そのトラックが止まった後、その運転席から飛び降りた狂人に、追いかけられ....。ナイフで刺される恐怖。
急速に薄れていく意識の中で、被害者の方々は何を思ったのでしょうか?

背景に社会の不条理があるにせよ、これだけ多くの罪のない方々を殺めたことは....許されざるものです。殺人は「被害者に対して弁明する機会を与えない最悪の犯罪」であると考えます。再犯の問題もあり、このような犯罪を起こしたものは、生涯において社会にもどることのない刑罰を与えられるべきであろうと...。

それが、弁明する機会も与えられず社会から退場させられた被害者の方々と、この狂人との間に横たわる罪と罰のバランスをわずかながら負より正に戻すものとなるでしょう....。

どうか、被害者の方々の魂が少しでも和らぎます様に....。

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2008年6月 5日 (木)

官僚の思惑...

2008年6月5日 晴れ

朝は靄がかかっていましたが、久しぶりの爽快な天候でした。

医療介護情報CBニュースに痛快な記事が...全文を引用します。
療養病床削減は「民間病院を減らす手段」
魚拓

『療養病床削減は「民間病院を減らす手段」
6月5日22時24分配信 医療介護情報CBニュース

 自民党の木村義雄衆院議員は6月4日、「療養病床問題を考える国会議員の会」(会長・中山太郎衆院議員)の会合で、療養病床削減について、「『民間病院を減らしたい』という官僚の発想から出たもの」と述べ、民間病院の病床を削減する格好の手段だったとの見方を示した。

 木村議員は意見交換の中で、「なぜ療養病床が削減になったかというと、療養病床は民間病院に多い。ベッド数削減に当たって、『公的病院ではなく民間病院を減らしたい』という官僚の発想から言うと、療養病床を減らすのが一番よかった。療養病床は圧倒的に民間病院にあり、官の病院にはわずかしかないから、『狙われた』ということだ」と述べた。

 また、「介護保険はゴールドプランや新ゴールドプランで受け皿の基盤整備をとことんやってからスタートしたからよかった。ところが療養病床削減は、全くそれをやらず、受け皿を後から考えるという議論だ。『あんた死刑だよ』と言っておいて、残りの期間どうやるんだということ」と指摘。高齢者の受け入れ先を整備しないままの見切り発車だと批判した。』

いやはや...思ったことをズバッと言い切ってます。(笑)お役人さんたちの(言い方は悪いですが...)計略だったのですね....。日本では公共事業費を何とかして減らす方向に動かなくてはなりません....医療費をこれ以上、削ればいろいろな所に歪みが生じます。産業構造自体の変革が必要なのかもしれませんね...。

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2008年6月 4日 (水)

気管カニューレの交換

2008年6月5日 曇り時々雨

何らかの原因で人工呼吸が長期間にわたり必要となる患者さんには気管切開を行うことになります。気管切開は気管の中に直接管を留置する手技です。通常、第2~3気管軟骨輪上に実施されます。これは、第1気管軟骨輪の損傷は肉芽形成が起こりやすく第5気管軟骨以下では気管腕頭動脈瘻のような合併症の危険性があるためで、その位置が一番合併症が少ないからです。さて、気管に前から孔をあけて、そこにカニューレという管を留置することになりますが....。これを定期的に交換しなければなりません。その、交換時には結構、気を使うことになります。
気管の後ろ側は薄い皮の様になっており、これを突き破った場合は縦隔、食道に達します。気管切開孔に用いる気管カニューラはその形がカーブしており、こういった合併症を起こしにくくなってはいますが...気管切開孔にも肉芽が形成されるので、徐々に狭くなってきます。カニューラを気管切開孔に通す時に、チカラが必要になってきます...。鈍い感覚で、その部分を通っていくので...嫌な感じなのです。

新聞報道を引用するにあたり、お亡くなりになった85歳女性の患者さん及び御遺族の皆様に深甚なる弔意を表します。

◎富山市民病院 気管挿入ミスで窒息死
魚拓

『富山市民病院(泉良平院長)で昨年五月、二十代の男性医師が同市内の女性患者=当時 (85)=に対し、呼吸を確保するための「気管カニューレ」を使用する際に誤って気管 を破るなどして装着したため、女性が窒息死していたことが二日、分かった。同病院から 届け出を受けた富山中央署は、業務上過失致死の疑いもあるとみて慎重に捜査している。』

残念な事故です。お亡くなりになられた患者さんに、哀悼の意を捧げます。

『富山市民病院によると、女性は昨年四月、急性硬膜下血腫のため入院し、血腫の除去手 術を受けた後、集中治療室を経て一般病棟に移った。五月下旬、男性医師が気管カニュー レを交換したが、約三十分後に心肺停止状態になっているのを女性看護師が見つけた。病 院側は心臓マッサージを施すとともに、強心剤の投与などを行ったが、女性は約二時間後 に死亡した。』

急性硬膜下血腫の手術のあと、少なくとも1ヶ月以上に渡り気管切開が必要な状態であるというのは、人工呼吸器が手放せない状態であったのか?それとも、舌根が沈下するため気道確保の方法として気管切開を維持し続けたのか?いずれにしても重症です。気管切開がなければ生きれない状態であったのでしょう...。

『病院側によると、気管カニューレは気管の奥を突き破る不完全な状態で装着され、気道 が十分確保されていなかった。さらに、男性医師は気管カニューレの交換後、正常に呼吸 しているかについて十分な確認を怠った。』

少し悪意を感じてしまうのは仕方がないのでしょうか?「十分な確認を怠った」という表現は、側にいなければ書けないことではないでしょうか?過失はあったかもしれないが、少なくとも悪意をもって、この処置を行った訳ではないでしょう。このような事故は頻度は少ないかもしれませんが、100%起こりえないというものではありません。医療に完全はないのです。結果は悪かったが、最大限の努力をしたと感じる表現はなかったのか?いぶかしみます。

『今回の医療事故は、発生から一年以上を経過しての公表となった。富山市民病院は昨年 二月に医療事故等公表基準を設けおり、患者の死亡時には半年をめどに速やかに公表する ことになっている。同病院は、示談が成立するまで遺族の同意が得られず、公表が遅れた としている。』

これは当たり前のことでしょう!遺族が公開への同意を示さなければ、報道陣に公開することはできません。遺族の同意を得られたならば、半年以内に公開していたと考えます。報道の「医療側を悪者にいしよう」という悪しき意図が見え隠れします。

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2008年6月 1日 (日)

維持するには何が必要か?

2008年6月1日 曇りのち晴れ

今日はNHKのETV特集で夕張の状況が流されていました。地域の医療を維持するためには何が必要なのか?規模を縮小し、患者さんを在宅で診る様にして、無駄を省きました。市立病院であった時の職員さんは一旦解雇し、受け手となる医療法人に再び雇用します。ギリギリまで削り、年間4億の収益がでました。しかし、暖房光熱費に5000万近く支出。運営は厳しくなりました。

市には、援助を求めても「出せない」の一点張り。民間である医療法人には破綻の危機が迫ります。

公設民営で医療施設を運営する場合、公は医療を行う場所を提供します。中身の運営は民間の団体にまかせます。最低限の施設の管理は公に責任があるのでは?運営上、問題のあるレベルであれば、実効性のある解決策を示さなければならないでしょう。

それを、先送りにし...法人の運営方法に問題があるとした夕張市の対応には反吐(へど)がでます。

今後、このような自治体病院が増えるし、私の在籍する病院もどうだかわかりません....。お役人さんとの対話の方法も身につけておかなければいけないでしょう....。

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2008年5月31日 (土)

因果関係....

2008年5月31日 曇り

確かに、e抗原陽性のB型肝炎キャリアーまたは慢性肝炎のかた、あるいはミュータントのタイプでe抗原陰性でも血中のB型肝炎ウィルスの量が多いかたからは『針刺し』での感染成立の確率が高いといえます。そのことがまだ余り周知され理解されていない時代の予防接種で感染が拡大した可能性はあります。

予防接種でB型肝炎に感染したとして3人の方々が国を相手取り損害賠償の民事訴訟をおこしました。

「予防接種で肝炎」と提訴
魚拓

『乳幼児期の集団予防接種で注射器が使い回されB型肝炎ウイルスに感染したとして、広島県内の患者3人が国に計9900万円の損害賠償を求める訴訟を30日、広島地裁に起こした。全国B型肝炎訴訟の一環で同日、福岡、札幌、鳥取の各地裁でも同様の提訴があり、全国では12都道府県の患者計33人について、国に計約11億7000万円の損害賠償を求めた。』

予防接種はその性格から、副反応が生じる可能性があります。(全ての医療処置でそうですが....)そして、広くその恩恵を得るために多くの方々に受けていただかなくてはなりません。あるとき、百日咳を含む3種類のワクチンに瑕疵があり、予防接種が中止されたことがありました。その後は、乳児の間に急速に百日咳が拡大し明らかな死亡数の増加をもたらしました。予防接種の恩恵とはこのようなもので、守られている時には気付かないといったものです。

我々にとって、非常に重要な予防接種。それを推し進めるためには、切っても切り離せない副反応への備えが必要です。予防接種にまつわる副反応には生命に危険のない軽微なものから、アナフィラキシーや施行後しばらくして起こる急性散在性脳脊髄炎などの重篤で命の危険を伴うものがあります。ごくごく頻度が低い(百万回に1回程度の頻度)このような副反応に対してもキチンと補償するハラでなければ予防接種を受けるヒトは増えないし、施行する医師も気が気ではないでしょう。

今回の、予防接種によりB型肝炎が感染したというような事例は、予防接種の副反応という範疇から考えると少し異色であると言わざるを得ませんが、使い回しが起こった時点で「使い回しにより、B型肝炎の感染が拡大する」という考え方が至極一般的となっていれば、補償を行うべきであろうと考えます。一般にその考え方が浸透していなければ、どうでしょうか?
因果関係を超えて補償するのであれば、それは「無過失補償制度」に通ずる考え方となります。

『弁護団によると、原告は41―50歳で、広島市の男性2人と三原市の女性1人。6歳までに県内などで集団予防接種を受け、現在は慢性肝炎を患っている。訴状では「国は注射針を連続使用した場合肝炎ウイルスが感染する可能性を認識し、未然防止の義務があったのに怠った」と指摘。1人当たり3300万円を求めた。

 広島訴訟の我妻正規弁護団長は提訴後の会見で「肝臓がんや肝硬変を患い、不安を抱える患者に1日も早い救済策を講じるよう求める」と述べた。』

予防接種は前述した通り、気がつかないうちに我々を守ってくれている様な存在であり、非常の重要な医療処置です。広く予防接種を行うためには、腰を据えた副反応に対する補償対策が必要です。当時の水準に照らし合わせ、明らかな過失がないという判断であれば、この場合、補償を受けることができないのでしょうか?

このようなものに対しても、「無過失補償制度」が必要であると...考えさせられます。

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2008年5月29日 (木)

百日咳の流行

2008年5月29日 曇りのち晴れ

成人を中心とする百日咳の流行がみられています。私も、家族内での感染流行を経験しました。小児では、血液検査でリンパ球数の著明増加を伴う白血球の増加と症状等で診断がつきやすいのですが、成人ではそのような所見がありません。2から3ヶ月程度続く頑固な咳。そして、家族内で感染している様な徴候がある。というのが診断の端緒となるでしょう。

ここで百日咳とはどんな病気か??ですが...
グラム陰性桿菌の百日咳菌(Bordetella pertussis)による呼吸器感染症の一種で、特有の発作性咳が長期間持続することから百日咳と呼ばれる。特に、生後6ヶ月以内の幼弱な乳児においては、生命の危険を伴うとされる。初期は軽い風邪症候群のような症状のカタル期(約2週間持続)、中期は重い咳の発作が起こる痙咳期(約2 - 3週間持続)、回復期の3段階。咳発作は夜間が起こりやすく、24時間で平均15回程度。発作時には嘔吐、チアノーゼ、無呼吸、顔面紅潮・眼瞼浮腫(百日咳顔貌)、結膜充血の症状が見られ、尿失禁、肋骨骨折、失神も見られる。

大人の百日ぜき、増加止まらず=近年の水準大きく上回る−流行形態が変化・感染研 5月27日12時32分配信 時事通信
魚拓

『今春以降、百日ぜき患者の報告数増加に歯止めが掛からず、過去10年で突出して多かった2000年の水準をも大きく上回っていることが27日、国立感染症研究所のまとめで分かった。成人患者が4割近くを占めている。
 安井良則主任研究官は「小児中心の流行形態が変化し、大人の間で流行するようになった。現在の小児科定点の調査では、実態把握は困難だ」としている。
 同研究所によると、12日から18日までの1週間に全国約3000カ所の定点医療機関から報告された患者は325人。1カ所当たりで、近年多くても0.02〜0.04人程度だったのが、0.1人を超えた。
 都道府県別では、広島45人、愛媛26人、埼玉、愛知各24人、千葉23人が多かった。
 今年に入ってからの累積は2177人で、2000年の同時期(1365人)の約1.6倍。20歳以上の割合は年々増加し、今年はこれまでのところ37.5%を占めている。』

成人で長期間咳が続く方々には、百日咳も考慮に入れた診療が必要です。その診断においては、咽頭からのBordetella pertussisの培養ですが...急性期でないと検出しにくいこと。培養の手技がやや特殊であるなど...難しいと思われます。ある程度、発症から時間が経過しているならば百日咳抗体を検査することであろうと考えます。私の経験例でも、百日咳山口株が高値で振り切れていました。

痙咳期であればなかなか治療が難しい。(治療しても症状の軽快は余りない)ですが...診断すれば、やはり感受性があると思われるエリスロマイシンなどを使用する様にしています。

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2008年5月26日 (月)

採血器具での感染

2008年5月26日 晴れ
徐々に確実に暑くなっています。

糖尿病の患者さんなどはインスリンなどを使用している時、頻回の自己血糖測定が必要となることがあります。その採血を補助するために開発されてきたのが、今回問題となった採血補助具です。

人間の皮膚は、外界からの病原体から保護する第一の関門となります。皮膚が健常であるならば、外界から(皮膚を通して)血中に病原体が侵入することはありえません。

しかし、注射針などを穿刺すると、その部分の皮膚は欠損することになり、そこから病原体が侵入する可能性ができます。

今回、問題となったのは採血のための針ではなく、採血補助具の方です。当然、針はディスポーザブルにするべきですが、針に近い部分の補助具の部分も同時にディスポーサブルにすべきであったということです。採血補助具の種類により、その患者さん専用で使用すべきもの、多数の患者さんでも安全に使用できるものに分かれます。糖尿病の患者さんを多数抱える病棟では、この採血補助具は非常に使用頻度も多く、患者さん専用にしているところは余りないでしょう。

私の勤務する病棟でも採血補助具を調べましたが、使っていない「一部がディスポーザブルでない器具」が見つかり即刻、廃棄としました。

採血器具、島根県内20機関で使い回し…厚労省が全国調査へ 5月26日8時52分配信 読売新聞
魚拓

『島根県益田市の診療所が、血糖値測定用の針付き採血器具を使い回していた問題で、同県ではこの診療所も含め、計20の医療機関で同様の不適切な使用が行われていたことが県の調査で分かった。

 厚生労働省は2006年3月、医療機関などに出した通知で、同種器具の使い回しを禁止しており、使用実態に関する全国調査を行うことを決めた。

 島根県は問題発覚後、県内の全医療機関(753施設)を調査。浜田市立の2診療所、4私立病院、13私立診療所でも使い回しを確認した。いずれも、針は使う度に交換していたが、本体に血液が付着していた可能性がある。』

針を変えるだけでは十分ではない。先の部分がディスポーサブルになるものなどを使用する必要があります。

『浜田市は25日、市立の2診療所で計86人に使い回していたと発表した。市国民健康保険弥栄(やさか)診療所(阿部顕治所長)は07、08年に開いた健康イベントの血糖値測定コーナーで、ペン型採血器具1個を使い、参加者計71人から採血。07年11月には健康教室で2人の採血をした。同波佐(はざ)診療所(北条宣政所長)では厚労省の通知以降、所内の検査で同種の器具1個を13人に使った。両診療所とも、本体は交換せずに、アルコールでふいただけといい、市は器具を使った全員を対象に、26日から感染症などについて検査をする。』

特に、HBe抗原陽性のB型肝炎キャリアー、B型急性肝炎、慢性肝炎の患者さんの血液には多量のB型肝炎ウィルスが含まれ、ちょっとした針刺しでも十分に感染が成立する可能性があります。今一度、病院で使用されている採血補助具のチェックするべきです。

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2008年5月24日 (土)

方針の転換

2008年5月24日 雨
厚生労働省もそろそろ現状を直視できるようになりつつあるようです。

「医療の必要なし」として削減の予定であった、医療型「療養病床」(25万床)のうち4割と介護型「療養病床」ですが...。これを撤回しました。

<療養病床>削減を断念「25万床維持必要」 厚労省 5月24日15時0分配信 毎日新聞
魚拓

『長期入院する慢性病の高齢者向け施設である医療型「療養病床」(25万床)を11年度末までに4割減らす計画について、厚生労働省は削減を断念し、現状維持する方針に転換した。都道府県ごとに需要を調査した結果、25万床前後の確保が必要と判断した。厚労省は療養病床削減により医療給付費を3000億円削減する方針だったが、今回の計画断念で高齢者の医療費抑制政策全般にも影響を与えることは必至だ。』

さらりと書いていますが....そもそも医療費は抑制すべきなのか??これは大きなギモンです。もちろん、効率化は進める必要があります。

『政府は06年2月、「入院している人の半分は治療の必要がない」として、当時38万床あった病床のうち介護型療養病床(13万床)を全廃し、医療型療養病床を4割減らして15万床にする方針を決定。達成に向け、「医療の必要度が低い」と判定された人の入院費を減額し、そうした入院患者を多く抱えていた場合は病院経営が成り立たなくなるようにした。

 しかし一連の病床削減策は、入院先を求めて住み慣れた地域をやむなく離れたり、自宅にお年寄りを引き取った家族が介護に悲鳴を上げるケースなどを生んだ。「患者追い出しを誘導し、行き場のない医療難民を大量に生む」との強い批判も招いた。』

この方法は、厚生労働省の常套手段でした。「飴で釣っておいて、梯子を上った所で、突然その梯子を外す。」長期入院を多く抱えざるを得ない施設は、長期療養型病床へ転換をはかりました。3ヶ月以上入院していると、入院費は大幅に減額され実質赤字となるからです。仕方がなく、その流れに乗って施設の改造を行いました。そして、降って湧いた様な...削減の方針です。現場からすれば、余りに酷い!
方針が提示された後には、社会的理由で家庭では診て行けない患者さんが家庭に戻されました。いろいろな事例が起こりました....。厚生労働省の責任は極めて重いといえます。

『このため厚労省は07年4月、医療型療養病床のうち回復期リハビリ病棟(2万床)を削減対象から外したうえで、都道府県を通じて実情調査。必要とする療養病床数を積み上げたところ、当初計画を7万床上回る約22万床に達することが判明した。一方で削減対象から外したリハビリ病棟は今後少なくともいまの1.5倍、3万床程度は必要になるとみられている。需要数を合わせると現状と同じ25万床前後となり、削減計画の見直しに追い込まれた。』

要は、現状維持が必要ということでしょうね....。社会的入院はできるだけ減らすべきですが、それを減らすのであれば、受け止める受け入れ先をキチンと整備するべきです。

『【ことば】療養病床

 慢性病の高齢者向け長期入院施設。ピーク時の06年2月には、医療保険が適用される医療型(25万床)、介護保険適用の介護型(13万床)の計38万床あった。双方の入院患者や施設の実態に違いはないと指摘される。厚労省は、医療の必要性がない社会的入院の受け皿となっているとみて、高齢者の医療費抑制のため削減する考えだった。』

現在の家庭では、共働きなどで介護力は低下しています。それを、受け止めてきたのは療養病床であったと思われます。それを、医療の必要なしという一言で削減の対象にするというのは...あまりに現実から乖離しています。そろそろ、目を覚ますときです...官僚のみなさま....。

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身体検査

2008年5月24日 日付が変わっちゃいました...

航空機のパイロットは特に旅客機においては多数の人命をあずかる重要な、お仕事です。その健康状態が完全か?どうかはその重要性から特に厳しく管理されています。

視力や、意識を失う可能性の有無。アルコールは当然、乗務前にはいけません。風邪薬は3日前からダメと聞いたことがあります。

国土交通省も旅客機のパイロットについて、その資格更新にあたり、既往歴、現病歴をチェックしている様です。

日本人副操縦士らも不適切=「航空身体検査」でスカイネット 5月23日14時0分配信 時事通信
魚拓

『スカイネットアジア航空(宮崎市)が、パイロットの飛行に必要な「航空身体検査証明」を不正に取得させていた問題で、新たに日本人2人を含む3人が不適切な方法で証明書を取得・保持していたことが23日、分かった。』

うーむ、どのような内容でしょうか?日航機が羽田沖に着陸中、機長が逆噴射させ滑走路前の海に墜落した事例では、機長は妄想型精神分裂症(当時の呼称です)を発症していたことが解っています。そのように重大な問題が隠されていたのであれば、許されることではないでしょう。

『国交省や同社によると、3人のうちメキシコ人機長(48)は、日本で最初の検査証明を取得する前の2006年10月、腹部ヘルニアの治療を受けたが、これを検査の指定医に申告せずに昨年2月から3回にわたって証明を取得した。』

腹部ヘルニアとは...ソケイヘルニアのことでしょうか?詳しくはわかりませんが...ソケイヘルニアの治療歴があれば、資格は剥奪されるのでしょうか?むしろ、治療せずに飛んでいて、飛行中に嵌頓していれば大変なことでしょうに...。

『このほか、日本人副操縦士(37)は昨年2月に網膜はく離の予防手術を受けたことを指定医に相談せず、そのまま検査証明を保持。別の日本人副操縦士(45)も、昨年10月の右目の治療を指定医に相談しなかった。』

視力の大部分を出している黄斑部以外にレーザー凝固を行ったということでしょうか?視力に関係する部分なので、全てはOKというわけではないでしょうけどね...。報告した上で、対処してほしかったですね....。

恐らく、パイロットが資格を更新できない時に、会社全体に与える影響をおそれ、このようなコトに至ったのではないかと...思います。

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2008年5月18日 (日)

エコ替え??

2008年5月18日 晴れ
風が強い。

テレビでは、ある自動車会社がCMを流しています。そのコンセプトは『エコ替え』...。

燃費の悪いクルマを燃費の良いクルマに買い替えて、CO2の排泄量を減らしましょう。ということらしいです。

確かに、ハイブリッド車などの非常に燃費の良いクルマは、走ってるだけで地球環境に与える良い影響があるでしょう...。でも、クルマを買い替えるということは、廃車となるクルマがある訳で...その処理に費やすエネルギーもあるはずです。また、新しいクルマを作るために必要なエネルギーもあるはず。

オーバーオールでみると、CO2の排泄量は『エコ替え』により減るのでしょうか?増えることはないのでしょうか?ギモンです。

今あるクルマを動く間は使って、次に燃費の良いクルマを購入するということではいけないのか?

地球環境の保護のために、いろいろな動きがありますが、その動きの裏には大企業の思惑が蠢いているように感じて仕方ありません。

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2008年5月17日 (土)

夕張の苦悩

2008年5月17日 晴れ

御存知と思うところですが...夕張は冬期には零下20度となる極寒の地です。当然、その地にある住居や施設には、冬期にも人間が凍死しないように環境を整える必要があります。暖房が必要ですが、その暖房の効率が問題となります。
住居の窓、壁などから室内の熱は外気に逃げ続けます。特に、設備が古く、断熱の悪い施設であれば尚のこと....。暖房の熱が逃げ、その分だけ余分に石油、或は石炭、その他のエネルギーが必要です。エネルギーは言い換えるとお金です。効率の悪い施設はそれだけで、その施設の経営を圧迫します。

夕張は財政破綻で話題を振りまきましたが、その裏には旧炭坑町という非常に裕福な時代があり、炭坑のなくなった後も市の経営を通常考えられる正常な経営にもどさず、放漫経営を続けた結果なのです。夕張市職員の罪は重い!

そして、ここまでの状況ながら、市職員の多くは満額の退職金をいただいたのち、別の地域に移り住んでいます。当初より予想された事態ですが、その対応には「何とかする」という約束があったようです。でも、辞められた職員さんとした約束は反故となっているようです。更に罪は重いでしょう。

夕張医療センターは公設民営で経営されています。その受け手である「夕張希望の杜」の理事長である村上智彦氏は定期的にメールマガジンを発行しています。その、2008年5月16日号では、村上氏の苦悩がにじみます。御本人に許可をいただき、ここに全文を紹介します。

<正念場>

今月は夕張医療センターが開業して最大の危機を迎えています。

開業当初から行政の対応の遅れや、老朽化して充分なメインテナンスを怠ってきた建物の補修、整備をしてこなかった医療機器の修理といった事で莫大な損害を被ってきました。

例えば開業数か月でボイラーが故障して、その修理に90万円以上の経費がかかりました。

公設民営という運営方法は、公が建物を提供し医療の方針を決めて、運営を民間の指定管理者が効率的にやるというのが基本で、医療機関の診療報酬は2か月遅れで入るので、通常は最初に数億円の運転資金を準備して民間の指定管理が運営しやすいようにするのが一般的です。もちろんこれは行政が住民の安全・安心を守るという気持ちがあればの話です。

夕張市は財政破綻している関係で資金が無い、というか本来住民の安全保障のためには資金を準備すべきだったはずなのですが、丸投げにしてしまいました。

暖房光熱費が以前は年間7000万円という莫大な金額でした。

これは燃料が石炭で無料だった時代の建物と暖房方法のままにしてあったためで、環境問題で炭酸ガスの排出を抑えようという今の流れからは考えられないものです。

道庁や市はこれに対して暖房費を節約するための改修工事をしてくれましたが、実際には専門家の分析で10%程度の削減にしかなりませんでした。

北海道のガラスメーカーであるフクソーガラスさんが断熱2重サッシを寄贈して下さり、これによる断熱効果は30%であとは現場の節約により暖房光熱費を節減しても年間5000万円にもなりました。

これは収入の12%位になり、通常の病院では暖房光熱費が5%程度で新しい建物であれば3%程度という事を考えますと、とても運営を続けていける数値ではありません。

その分従業員の給与を抑えて苦労を強いて来ました。

もちろんこのような事は開業当初からある程度予想されたので、契約時に話をしたのですが、当時の首長や役場の幹部職員は「公的な医療機関は必要なので何とかします」といってぎりぎりまで先延ばしをして、契約を結びました。

その方達は全員退職して、残った職員の皆さんは知らぬ存ぜぬを繰り返す事になりました。

言い方を変えますと「欠陥住宅を嘘をついて売りつけて、契約書を盾に入居者に補修を押し付けている」状態です。公設民営方式の公の役割を全て放棄してしまっている訳です。

抗議をしたところ「人件費が高いからだ」「運営が悪いからだ」と言われましたが、うちの法人は暖房光熱費が5%程度なら十分黒字になっています。

経営の専門家に運営状況を評価してもらったところ、1年目にしたら十分に優秀で今後は黒字が見込めると言われました。

患者数も3000人を超えて在宅医療が増えて、10月には医師の数も4人に増えて他の医療機関への支援も可能になる様な状況です。

しかし過大な維持管理費のために資金ショートしそうになっています。

今は夕張市、道庁、国に現状を報告して対応をお願いしています。職員には住民の1人として他の住民の皆さんに正しく状況を伝えて、住民自身がここの医療が必要なのか考えて声を出して欲しいとお願い
しました。

1人よりも70人以上いる職員とその家族が真剣に自分達の地域の将来を考え、それを周囲に伝えることが必要だと思いました。

地域を守るのは最終的には住民自身です。誰かに責任を押し付けて自ら行動しないと破綻するという事を経験しているのは夕張市民だけです。

まだ先は見えませんが、これが出来なければこの町は消えていくのだと思います。行動せずに批判だけしているのは簡単ですが、その事が地域を疲弊させているように私には思えます。

 医療法人財団 夕張希望の杜
   理事長 村上智彦


ずっしりと重い文章です。
どうか、この難局を越えられる様、願っております。

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2008年5月16日 (金)

財源の使い道...

2008年5月16日 晴れのち雨
蒸し暑くなってきました。しかし、朝晩は冷え込んでおり、気管支喘息の児が悪化します。

道路の発達していない時期、自動車重量税や揮発油税などの税金は、その道路の発達に大きく寄与したことでしょう。しかし、現在では...。どうでしょう...。

道路特定財源は道路のために使われる公共事業費です。骨太の方針で、国は毎年2200億円づつ社会保障費を削って行くとしました。先進国の中では珍しい、社会保障費が公共事業費よりも少ない国であるのにです。

対GDP比でみても、社会保障費に含まれる医療費はアメリカの約半分です。これ以上、削る必要があるのでしょうか?もちろん、いろいろな面で効率化を進める必要はあるでしょう。しかし、医療の現場は、もう待ったなしの、切羽詰まった状況です。

俗にガソリン税と呼ばれる、揮発油税の税率低減には反対です。しかし、その使途には十分な考慮がいるでしょう。日本の医療、福祉を救うために一助となれば....。


福田首相、一般財源化へ作業加速を指示=道路関係閣僚会議が初会合 5月16日13時2分配信 時事通信
魚拓

『政府は16日午前、「道路特定財源等に関する関係閣僚会議」の初会合を国会内で開いた。福田康夫首相は、道路特定財源の2009年度からの一般財源化に向け、作業の加速化を指示するとともに、「無駄の排除はすべての改革の大前提」と強調した。さらに「使途の議論がいささかぶんどり合戦的に先行しているが、本末転倒だ」述べ、道路関連支出を精査した上で使途の議論を進める考えを明らかにした。』

精査の過程で雑音が入らなければいいのですが.....。日本の産業構造が変わるくらいの改革を期待します。

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2008年5月 4日 (日)

まともな匂いのする記事

2008年5月4日 晴れのち曇り
ゴールデンウィーク真っ盛りの今日は、地域の輪番で日直してました。一人日直なので、外傷の患者さんがくれば、縫合もし....化学療法中の患者さんで高熱が出た方には血液検査、血液培養をしたのち入院していただきます。

本業は小児科医なので(笑)もちろん小児の患児たちもたくさんみえます。熱が続いて、咳嗽がひどい児は胸写を撮ると右下肺野にベットリとした影がありました。全身状態も今ひとつ。入院です。

さて、記事は産經新聞から...
疲れ果てる勤務医の実態 医師不足、低月給…国は“特効薬”示せず 5月2日22時39分配信 産経新聞
魚拓

『医療の最前線に立つ勤務医が疲れ果てている。現場からは医師不足による過重労働が原因との声が上がっているが、国は負担軽減を図る“特効薬”をいまだに示せていない。
 医師への過度な負担が医療行為の「質」に影響を与えるのは必至で、医療崩壊につながるとの懸念は絶えない。』

そうなんです...今日も疲れ果てました...。国の失政以外の何ものでもありません...。これ以上、社会保障費削るなんて、とんでもない...。

『厚生労働省によると、日本の医師数は推計25万7000人(平成16年)。内訳は病院の勤務医が16万4000人、開業医(診療所勤務の医師を含む)が9万3000人となっている。
 世界保健機関(WHO)が平成18年に発表した報告書では、人口10万人当たりの日本の医師数は198人。
 これに対しフランス337人、イタリア420人、スペイン330人、ロシア425人−など。
 日本は経済協力開発機構(OECD)に加盟する30カ国中27位(2004年)と圧倒的に少ない。
 日本は総数で加盟国平均の38万人に約12万人も足りない。
 日本の大学医学部の入学定員は約7500人で、引退や死亡した医師を差し引くと、毎年約4000人の増加にすぎず、加盟国平均に達するには30年以上かかると試算されている。
 医師不足が特に深刻なのは産科と小児科だ。産科医は6年に1万1400人だったが、16年は1万600人と減少した。
 小児科医も6年に1万3300人だったのが16年に1万4700人とわずかに増えただけで、現状の勤務実態に比べ、あまりに貧弱だ。』

この羅列された数字は、拙ブログでも口を酸っぱくして書き続けたことです。(口を酸っぱくして書き続けたという表現は少しオカしいですが...)

『医師不足顕在化の背景には、国が長年にわたり医療費抑制策を推進してきたことがある。
 しかも16年に始まった医師免許取得後2年間の臨床研修必修化に伴い若い研修医が都会の病院に集中、大学病院の医師確保が難しくなり、大学から各地の中核病院に派遣されていた医師の引き揚げが相次ぎ、医師の「偏在」という新たな問題も生まれた。』

医師数の制限、医学部定員の抑制は厚生労働省が「医療費を抑制するために」行ってきたことです。その長年の努力が実り??今のお寒い状況が生まれました。とにかく、国が悪い!

『一方、厚労省が昨年10月に公表した医療経済実態調査によると、勤務医の平均月収は国公立病院などが102〜119万円で、民間病院は134万円。
 これに対し開業医は211万円と勤務医の平均月収の約1・6倍も高かった。』

これは、多分要らんコト。の部分であると思います....。開業医の先生方が悪い訳ではない...現在の診療報酬の制度が否応無くそのような結果に導いているのであり、それを是正して公立病院の医師の月収をキチンと引き上げればよいことです。要は、対GDP比でアメリカの約半分の医療費を増やし、増えた分が勤務医に行き渡る様にすることです。(決して、開業医の先生方の収入を落とせと行っている訳ではありません...)また、無駄は省くべきで...不要なクスリは使わない、医療機器に使うお金も省いて行かなければなりません。その分を人件費に回すべきです。病院1ベッド当たりの職員数を増やし、医療の現場は再び生き生きとしたものに戻る様、願うばかりです。

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2008年5月 1日 (木)

日本という国

2008年5月1日 雨のち曇り

世界には、貧困のため日本の乳幼児死亡率の実に数十倍という国があります。人々は、飢えに苦しみ、社会のインフラなど整備の期待すべくもありません。そのような国では、道路は整備されず陸路で移動するよりも軽飛行機で移動する方が様々な面で危険が少ないとされます。

その一方で、日本へ目を向けると、都会から地域までクルマの通れる道は整備され、そして道路の周囲もキチンと綺麗に整備されている。このような国が世界にどの程度存在するでしょうか?日本に生きることは幸せであるといえます。

新たな道路を整備すること。現在使用している道路を維持すること。どちらも、お金が必要です。ガソリンにかかる税金は、揮発油税・地方道路税というものですが、これらは道路特定財源とされ、道路に対してのみ使用されます。つまり、ガソリンを購入することにより、公共事業に自動的に投資することになります。ここで、我が国における公共事業費と社会保障費のバランスを考えると、先進国の中では非常に珍しい、公共事業費が社会保障費を上回っている国でもあります。そして、あの悪しき「骨太の方針」では、社会保障費を年間2200億円づつ削減するとなっているのです。

今回のガソリン税暫定税率をめぐる争いは、その税金を受益する者たちの必死の抵抗であったとみえます。この揮発油税・地方道路税がその使い道を道路と特定している限り、この強い抵抗は残って行くでしょう。この幸せな日本において、これ以上の新たな道路整備は本当に必要なのでしょうか?それよりも、現在の国を支える重要な部分にお金を落とす必要があるのでは?

ガソリンのお値段はたしかに痛い!しかし、温暖化の抑制のためには、少々高いほうがいいのか?でも、その税金の使い道は、特定されず社会保障にも使えるようにすべきと考えます。

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2008年4月28日 (月)

状況は似ている。

2008年4月28日 晴れ
久々の外来。結構な数いらっしゃいました...。

さて、ひょんなことで読み始めた「鳶色の襟章(堀 元美 著)」という本。海軍の造船大尉であった堀 元美さんが戦前から戦後にかけて、その経験を手記にしたものです。旧日本海軍内にいる技術系士官という、やや特殊な状況で周囲をみていますが、その中に出てくるのは生の戦前、戦中、戦後です。そして、軍艦を作る側という戦時に大きな影響を受ける部署にいる人間の感性は鋭く時代を記述しています。

日本人がそのときに何を感じていたのか?を知るための手がかりとして非常に優秀であると考えます。

その中の一節。

非常時気分(その二)
<引用開始>しかし、ある時廠務懇談会というのがあって、各部の部員はなるべくたびたび現場を回って、工員の怠慢が見つかったら厳重に指導せよ、という総務部の某少佐の発言となったとき、私は立ち上がって正面から反論した。
「われわれ技術官は守衛ではない。つねづね部下工員を教導して職務に忠実であれということは十分指導しているつもりだ。それよりも、必要な工具が工器具室に十分に用意されていなかったとか、必要な鋼材が工事に間に合わなかったとか、ある工場から次の工程のために別の工場に引き渡す半製品が、手配のまちがいから予定どおり渡せなかったなどということから、せっかく熱意をもって働こうとしている工員を待たせることで、どのくらい彼らの熱意を冷却させるかということこそわれわれの心配の種なのだ。
われわれの時間はそういう手抜かりを起こさないための努力に費やされているので、怠け者を探して尻をひっぱたくような暇はありはしない。陣頭指揮をやれといわれるが、必要だと思えばもちろん作業の先頭に立つことを忘れてはいない。先頃のさんとす丸の出港前夜のようなときには、われわれは誰にいわれなくとも全員応援するのは当然だと思っている。守衛の役を引き受けるのだけは御免こうむる」
私の主張は大体において受け入れられたようだった。工事促進に対して、技術者にも管理者にもより重要な役割りがあるということは皆に了解してもらえたようである。<引用終了>

この部分はシナ事変中の昭和16年、舞鶴工廠でのできごとを記したもののようです。当時、昭和9年12月にワシントン軍縮条約が廃棄され、日本はドンドン軍艦を作っていました。シナ事変が膠着化するにつけ、更に軍備増強へと走り、近衛内閣はヒステリックに「非常時」を喧伝。日本中がオカシクなっていました。

ここで、現在の医療現場に戻ってみると...社会保障費をドンドン削られて、病院の収入は激減です。なかなか良い道具も買えません。人員も機械も不足しているため、予定通りに物事が進みません。最後には精神論が出てきそうです...。こう考えると似てるな、シナ事変のあたりの日本と今の医療現場...。変わってないんだ、日本人の精神性は...と思いました。あの、手痛い太平洋戦争から、何かを教訓にできなかったのでしょうか....(悲)

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2008年4月27日 (日)

倒れてました...

2008年4月27日 晴れ
清々しい天候です。

最近、準夜帯、深夜帯の入院が多く、一度帰宅して、こどもたちの風呂入れ等をしたのち、病棟にもう一度出ては仕事をこなしていました....。徐々に、疲労がたまってきているのは感じていましたが、4月25日朝より体中の関節と筋肉の痛みが出現し、全身倦怠感が....。午前中の外来は何とかこなしましたが、寒気が出現。体温は38.5℃以上に。こんな熱は10年ぶりくらいか??

きつくて、さすがに午後の外来は院長にお話しして休診に...。点滴しながらねてました。インフルエンザ抗原は陰性。WBC 15,000 , CRP 1.07程度。ロセフィン点滴して、クラビット飲んで、翌日の26日には解熱したのですが...倦怠感は残りました。しかし、地区の集まり等があり...ゆっくりは寝てられない(悲)。

早めに寝て、27日にも熱はなかったのですが、これまたヤンゴトなき用事が...。結局少しづつ休みながら一日動いてました。ちょっと、業務の内容考えなくちゃ...もう若くないし(笑)。

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2008年4月23日 (水)

タバコ誤飲と訴訟

2008年4月23日 晴れのち雨
ムシムシする一日でした。

さて、タバコは乳幼児における誤飲において大きな割合を占める原因です。活動範囲がひろがる乳児期後半より頻度が増えます。親御さん、その他、その児の周りにいる人たちがタバコを吸わず、そしてタバコを保持していなければ起こることのない事故でもあります。特に、缶ジュースなどの残りに、タバコを捨てる習慣のある親御さんでは、ジュースの中にタバコのニコチンが溶け出し、それを誤飲した場合は高濃度のニコチンが急速に吸収され、中毒症状が出現することがあります。この場合は胃洗浄といって管を鼻あるいは口から、胃まで挿入し温めた生理食塩水にて胃の内容を洗うというような手技を行います。タバコの塊を誤飲した場合は、その量にもよりますが、ほとんどの場合、自然にかなりの量を吐き戻して、大事に至ることが少ないといった印象を持っています。

記事はその胃洗浄の場面で生じた医療事故と、その後の訴訟を伝えているものと思います。
盛岡・乳児死亡:小児科医の不起訴処分不当を議決--盛岡検察審査会 /岩手
魚拓

『盛岡市内の小児科医院で03年7月、医療ミスで乳児(当時8カ月)を死亡させたとして業務上過失致死容疑で書類送検された女性医師を、盛岡地検が今年2月に不起訴処分としたことに対し、盛岡検察審査会は15日付で「処分は不当」と議決した。

 議決によると、同医院に勤務する女性医師は、たばこを飲み込んだ乳児の胃に解毒のための液体を入れる治療をしようとした際、誤ってカテーテルを気道に挿入、気道が解毒液でふさがり窒息死させた。』

まずは、生後8ヶ月という幼い命を失われた御両親に、お悔やみ申し上げます。

文章からみると、恐らくタバコ誤飲に対して胃洗浄を行おうとしたのではないか?と思われますが...。胃管が食道ではなく、気道に入り、気付かぬまま行った胃洗浄により窒息死してしまったとのことの様です。
胃洗浄の場合、大量に生理食塩水を出し入れしないといけないため、胃管が胃に留置できているか?は特に厳しく評価してから行っています。留置した時に胃内容が引けるか?エアを送った時に、心窩部でポコンという音が聴こえるか?充分に評価した上でないと、洗浄をはじめることをしません。
通常の処置をするならば、このような事故がおこることは極めて珍しいといえます。

『同審査会は議決で「カテーテルが胃に達したかどうかの確認方法に、医師の過失があったのではないか。再捜査を要望する」と判断した。

 乳児の母親が審査会に不服を申し立てていた。同地検の中川一人次席検事は「議決に基づき改めて厳正に捜査する。申立人の主張、不起訴理由についてのコメントは差し控える」と述べた。』

このような処置にミスがあったかどうか?これを調べるのは、非常に難しいでしょうね...。

ちょっと見方を変えて...。タバコ誤飲の処置で胃洗浄を行うことは、結構よくあることです。そして、このような事故は起こらずに、ほとんどの例で何事もなかったように処置が終わります。しかし、医療において100%はない。医療を受けることは常に危険と背中合わせであると認識すべきです。

幼児の死亡原因のうち一番多いのは「不慮の事故」です。その「不慮の事故」の中に、この「タバコの誤飲」も入ります。不慮の事故は環境の整備などにより効率的に頻度を減少させることができます。特にタバコの誤飲の場合は、周りの者がタバコを吸わない様にする、手の届く所にタバコを放置しないなどの環境整備で事故を減らすことができます。(根絶することも...)そして、それによりこの様な不幸な事故も減少するのです。

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新しき組織

2008年4月23日

日付が変わりました。

発起人の黒川衛先生にエールを...そして、会員になられた先生方にも...

『全国医師連盟 6月8日の発足決まる 会員希望は現在約650人

記事:Japan Medicine
提供:じほう

【2008年4月21日】
 臨床現場で働く勤務医が中心となって医療再生に向けた各種提言を行う全国医師連盟が6月8日に発足する。個人加盟制の医師労働組合の創設、医療報道の是正と世論への啓発など4項目を活動の柱に据える。6月30日には総会と設立集会を都内で開いて、執行部メンバーや規約を固める予定。設立準備委員会では参加希望者を募っている。

 全国医師連盟は、患者と医療従事者の権利を重んじ、医療の質の向上と診療環境を改善するために活動するという理念を掲げる。活動の柱には、個人加盟制の医師職労働組合ドクターズユニオンを創設して厚生労働省など関係団体にも労働基準法の順守の指導を徹底させることなど4項目を掲げた。
  ほかの3項目は、<1>記者向けの医療事案解説サービスなどを通じて報道の公正化を図る<2>医師関連団体や法曹関係者に働き掛け、医療過誤のえん罪防止と医師の自浄作用を発揮する<3>国の医療費抑制政策を転換させる-となっている。
  今年1月13日には都内で設立に向けた総決起集会を開き、執行部世話役の黒川衛氏(真珠園療養所、長崎県)が、患者をしっかり治したいという医師のモチベーションが成立しにくくなった現状を指摘。日ごろ患者に接する臨床医が、現状打開に向けて主体的な取り組みをする必要があると参加者に呼び掛けた。
  黒川氏によると、参加希望者は総決起集会時点から約3カ月で230人増えて650人となった。今後は、発足時に1000人という目標に向けて引き続き参加者を募集する。
  第1回総会・設立集会は東京都千代田区の東京FMホールで午前10時から行う。役員選出を会員の直接選挙で行うのが運営面の特徴で、当日は総会で新執行部を選任。午後からの設立集会で規約などとともに執行部の承認を取り付ける。


Copyright (C) 2008 株式会社じほう』

頑張りましょう!さて、私もそろそろ...

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2008年4月20日 (日)

いつまで否認するのか?

2008年4月20日 晴れ
風は強い。

国を守るということはどういうことか?日本は、海の中に浮かぶ列島であり、陸続きの国境線を持たない島国であるとしても、自衛隊なくして国を守ることはできるのでしょうか?日本国憲法は、その中で軍隊を持つことを否定しています。自衛隊はその規模、そして装備からいっても軍隊であるといえるでしょう。そして、「自衛隊は軍隊でない」という非現実的な否認が続く限り、隊員たちのココロは蝕まれるのではないでしょうか?

話は変わりますがスイスは1815年のウイーン会議で、「永世中立国」として正式に国際的に承認された国です。以来、強大な軍事力をもち、国民皆兵制をしかれた国でもあります。日本とは、陸続きの国境があるなどの点でかなり環境の違いがありますが、「中立を守るため」には軍備は必要悪であるのだろうと感じます。

自衛隊の存在自体の憲法判断はさておきますが、イラクに入って支援したコトが違憲に当たるとの判断です。
<イラク輸送違憲>自衛隊の海外活動拡大に一石 4月18日0時1分配信 毎日新聞
魚拓

『航空自衛隊による多国籍軍の空輸活動を明確に違憲と指摘した17日の名古屋高裁判決は、憲法論議をあいまいにしたまま拡大を続ける自衛隊の海外活動に疑問を投げかけた。一方で、判決は原告の控訴を棄却し、政府も早々と派遣を見直す考えはないことを表明したことから当面の“実効性”はない。それでも、自衛隊に関する憲法判断を避けてきた司法が、踏み込んだ指摘をした意味は重い。』

イラクに入って、支援した人たちの危険はどのようなものであったのでしょうか?輸送機を地上から地対空ミサイルで狙えば...撃墜される危険性もあります。そのような地域に入って援助を続けた方々の苦労はどうなるのでしょう?評価されないのですか?

『自衛隊を巡る訴訟で過去に憲法判断に踏み込んだ判決は、自衛隊の存在を違憲とした73年の「長沼ナイキ基地訴訟」の札幌地裁判決があるくらいだ。さらに、今回の判決は原告が主張した「平和的生存権」についても、国の武力行使などで個人の生命や自由が侵害される場合は、裁判所に保護や救済を求められる具体的な権利と認める異例の判断をした。』

自衛隊の存在を違憲とするならば、どうしたらいいのでしょうか?国防はいらないのか?かの国の原潜が近海を航行している。また、ある国からはミサイルで狙われます。そして、地下核実験にも成功しています。国防力がなければ、早晩侵略を受けるでしょう...。

平和的生存権は日本国憲法前文の「われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する」という文言から導かれる権利とされますが、この「平和」はタダでは手に入らない。自国を守るだけの軍隊は必要です。

侵略するための道具は必要ありません。しかし、自衛隊を「国を守るための軍隊」として認め、そこで働く人たちをキチンと評価するべきです。

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2008年4月19日 (土)

方針の転換??

2008年4月19日 晴れ
時折、低い雲がみられますが、概ね晴れといった状況です。

さて、新聞における社説はその新聞社の姿勢を表しているといって過言でありません。そして、そこに記載された内容で、その新聞社の風格までをもみることができます。更に、「舌の根の乾かぬうちに....」という方針の転換は....はっきりいって好かれるものではありません。

毎日新聞の社説で現在の医療崩壊についてかたったものとして社説:安心の仕組み 医療費の抑制はもう限界だというものがありますが、以前の毎日新聞の姿勢からすると、いわゆる大転換というにふさわしい変わり方といえます。

ただ、この中の最後にある...『医師の団体は指導力を発揮して、医師不足・偏在対策に手を打ってもらいたい。』という記述は...どうでしょう。最大限の努力をしてるかもしれませんね...。政治的なチカラが必要でしょう。そして、国民のコンセンサスも....。そのためには、正確な情報を国民に伝えることが必要ではありませんか?

ブログで頑張っても、一部の方々にしか伝わりません。マスメディアにおける正確な現状理解が必要です。是非とも....。

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2008年4月18日 (金)

医療現場の人員

2008年4月18日 曇りのち晴れ

医療の現場の人員は多くありません。欧米の平均に比べ、日本の病院の100ベッド当たりの職員数は約23%程度とかなり少ないといえます。

医療クライシス:医療費が足りない/4 医師支える事務員

『今年2月、岩手県立千厩(せんまや)病院(一関市)泌尿器科の診察室。阿部俊和副院長(現国保金ケ崎診療所副所長)は診察しながら、「薬は前回と同じ」「次の予約は4週間後」と、横に座る医療クラーク(事務員)の女性に、処方せんや診察予約の指示を伝えた。医療クラークは手際よくパソコンに入力していく。』

医療秘書ですね...。こういう方々がいると、診察風景も、患者さんとの距離も違ってくるでしょう。

『医療クラークは医師の指示で、カルテの記載や処方せん発行、保険会社への診断書作成など主に事務作業を行う。海外では普及しているが、日本の病院にはほとんどいない。

 情報開示や医療事故対策が進むにつれ、医師の事務作業が増えている。阿部医師は「ここ10~20年で書類の作成量が3倍くらいに増えた」と話す。負担の重さは、勤務医の病院離れにもつながる。』

どうしてこういった職種の方々が病院にいなかったのか?その方々を支える人件費が問題となったのでしょうね....。診療報酬にはこれまで反映されていませんでしたし、最近の病院はカツカツの状態でやってます。とても雇う余裕はないということでしょう。

『鍵を握るのは、日本にはないPA制度だ。PAは米国の国家資格で、医師の監督下で診察や治療、検査の指示、処方せん発行などができる。津久井医師の同僚のPAは、手術の第1助手、検査データ分析などの術後管理、病棟回診までこなす。全米では7万人近いPAが働いている。

 米国の病院では、多様な職種が医師を支える。通常の看護師より専門的な資格で、処方や簡単な処置を行える「Nurse Practitioner=公認看護師」もいる。呼吸管理、点滴などを行うための「静脈ライン」確保、院内の患者搬送など、それぞれに専門職がいる。医療クラークに相当する医療秘書もおり、ほとんどすべての医師に秘書がつくという。』

このような、医師を支える人たちがいれば、病院の勤務もずいぶんと変わるでしょう。そして、欧米との職員数の違いはこれらの方々の違いなのだと...。国は、こういった方々を雇うだけの余裕を病院に与えるべきではないか?と感じます。

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2008年4月17日 (木)

続編を読みました

2008年4月17日 晴れのち曇り
グングンと新緑の葉っぱ、は伸びて行きます。

さて、一昨日ちょいと噛み付いたDPCに関しての記事、毎日新聞は続編を掲載しました。

(下)大病院に定着 難しい線引き

『病状などで入院費を決める「診断群分類(DPC)別包括評価」は、本来、病態の重い急性期の患者が入院する大病院が対象だった。ところが、数が増えるとともに、慢性期の療養病床を持つ病院や中小病院も手を挙げるようになった。どこまで対象を拡大するのかには異論も多い。制度の課題を追った。』

どのような課題が示されるのか?

『昨年10月、DPC対象病院の今後のあり方をめぐって開かれた中央社会保険医療協議会(中医協)の分科会では、厳しい意見が飛び交った。

 DPCはそもそも、大学病院などを対象に始まった経緯がある。ところが、対象病院とその前段階の準備病院の増加につれ、当初はゼロだった100床未満と小規模の病院が193病院に増えている。心疾患や脳神経疾患などに特化し、回復期のための療養病床も持つケアミックス病院も交じる。

 DPCは、一般病床での入院期間が一定日数を超えると、病院の収入が減る仕組みになっている。このため、「ケアミックス病院では、一般病床の患者を療養病床に移した後に、再度、患者を一般病床に入院させるなどの好ましくない運用をするケースもある」といった指摘があった。』

病院でも、収入は出来るだけ欲しい....当たり前です。そのためのコトは、違法ギリギリでもやるでしょう。診療報酬は徐々に減らされ、病院は維持して行くのにギリギリの状態だからです。職員みんなで頑張って、一生懸命患者さんを診ているのに、カツカツの状態であるというのが真相です。余裕はありません。
そして、人件費を決めると思われる、病院1床あたりの職員数は欧米の平均と比較すると僅かに23%という報告もあります。欧米の4から5分の1の人員でやってても、維持して行くのがやっと....。明らかに診療報酬体系はオカシイ!
DPCに手を上げるのは、その報酬体系が「うまくやると儲かる」からなのです。しかし、前のエントリーで示した通り、高度の倫理性がないと患者さんに対して不利益を与える可能性が出てきます。DPCにおける闇の部分といえます。

『課題はこれにとどまらない。今年1月、川鉄千葉病院(千葉市)が、DPCによる医療費請求をめぐり、実態とは異なる病名を付け、不当請求を行ったことが明らかになった。こうした不当請求は以前から報告されており、中医協も、請求の透明性を高める方針を打ち出した。

 導入当初は、一般病院への拡大に対し、日本医師会などの反対が強かったが、急性期医療はDPCという流れは定着したと見る医療関係者は多い。一方で、DPCの導入には、看護師の配置基準を手厚くしたり、診療録の管理体制を充実させる必要があり、中小病院にはハードルは高い。

 「今後の医療制度改革は、一般病床はDPC病院という前提で進むだろう。DPCへの参入条件をクリアできなければ急性期医療を担う病院として存続できず、それ以外の病院は、療養病床や老健施設などへの転換を迫られる時代に突入する可能性が高い」と国際医療福祉大の高橋泰教授(医療経営管理)は話している。』

そうですか、DPCやんないと急性期やれないんですね....。これは、前からいわれてきたことですけどね...。この動きの裏には、何があるのでしょうか??医療費は本当に削減しなければならないのでしょうか?標準化することは一部では良いことかもしれません。しかしこれを究極に推し進めれば、アメリカの医療のように、持たざる者は医療を受ける権利を持たないということになり、到底、国民が納得するものではなくなるでしょう...。

こういったことを書いてほしかったです...記者さん。

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2008年4月15日 (火)

いいコトばかりではない

2008年4月15日 晴れ

新緑がまぶしく、生命が「萌えいずる」といった風情です。

さて、DPCはdiagnosis and procedure combinationという和製の略語で、米国の包括医療制度のDRG/PPSを手本にしています。この疾患で、この処置を行った時に、入院日数がココまでならば一日当たりコレだけの診療報酬を出します。その入院日数を超えれば、段階的に減額するというような制度です。
つまり、「どれだけ安く診療を行ったか?」が、その医療施設の収入に直結する制度となります。

良い面は、優れた医療者が合併症を少なくして、安価に医療を遂行した場合に手取りが多くなることです。例えば、同じ虫垂切除術を行い、ほとんど合併症なく、手術の他に支出となる医療を行わなかった場合は合併症が生じた場合に比較して報酬が増えます。しかし、逆にコスト意識が過剰となり、安価すぎる粗悪な材料を使用したりする可能性は十分にあります。その結果として、患者さんに不利益が生じることも考えておかなければなりません。

実際、米国ではマイケルムーア監督の映画「sicko」よろしく、医療は既に一つのビジネスとなっており、持たざる者は医療を受けることはできません。そして、2本の指を切断した患者さんは「お金がないため」一本しかつなぐことができない....。この状況の中で、DRGが行われているとしたら...想像に難くないでしょう。コストをどれだけカットするか?の競争です。

毎日新聞の記事は、DPCを一点の曇りもないように礼賛しているようですが....。どんな制度にも問題点はあり、その問題点を引き換えにバランスよく長所を示さないとフェアーではありません。DPCは、導入により医療費総額を減らすことができるでしょう。しかし、それにより「型にはまらない、合併症の起こりやすい患者さん」には医療を受ける機会を奪うことにもなりかねません。

(上)診療を標準化 入院費削減も

『DPCとは、病名や症状、治療内容別のリストに従って、1日当たりの入院医療費を決める仕組みだ。2003年に導入が始まった。病院などが保険者に医療費を請求する際には、患者の入退院の情報や合併症、薬の種類や検査の回数などを、コード化して提出する。このため、特殊なソフトを使えば、大量の記録を簡単に解析できる。

 総合病院だけに常勤医師は約120人と多い同病院がDPC対象病院になったのは2006年4月。DPCデータを活用し、嚥下性肺炎の患者にどのような治療が行われているのかを分析した。すると、医師により検査やリハビリの開始時期、投与する抗生剤の種類などに違いがあることが判明。これらの結果をもとにパスを改良し、昨年7月に新しいパスが完成した。

 「検査のタイミングなども最適になるよう標準化した」と椛島課長。相澤孝夫院長は、「医師や診療科によって診療内容が違うことが、DPCデータであぶり出せた。データなので、現場の医師や看護師にも説得力があり、あるべき医療に近づけることができる」と、成果を強調する。』

確かに、標準化するメリットはあるでしょう。しかし、医療でお相手するのは生身の人間です。ご承知の通り、人間は千差万別...一人として同じ人間はいないのです。治療に対する反応も、十人十色...突き詰めて標準化することは不可能です。入院期間が長くなったり、治療に要するコストが高くなると病院の収入に打撃を与えるため、DPCでの報酬をより多く手にするには、標準化するのが大変な患者さんを診ないこととなります。

『コストダウンにも寄与している。その代表が、政府が後押しをしながら進まない後発医薬品の普及だ。

 03年にDPCをスタートさせた聖マリアンナ医科大学病院(川崎市)では、院内で使用する約1900品目の医薬品のうち、約220品目を、先発医薬品と同等の薬効を持つが値段は半額ほどの後発医薬品に切り替えた。通常、医薬品は使っただけ医療費を請求できる出来高制だが、定額制のDPCでは、コストを抑えないと収益が出ないためだ。

 「医療水準を落とさずに、合理的な医療を推進しようという意識が強まる」と、同病院の増原慶壮(けいそう)薬剤部長は指摘する。

 DPCデータを分析すれば、個々の病院の医療の中身などを詳しく比較することもできる。東京医科歯科大の川渕孝一教授(医療経済学)は「病院にとって、医療の質と経営の質を同時に高めるのは難しい。DPCデータによって、これまで医療界が経験したことのない他流試合が可能になり、両者の質を高めるきっかけになる」と話している。』

ジェネリック医薬品(後発医薬品のこと)は、生物学的同等性試験という先発の医薬品との薬効での違いはありませんということを確認する試験を行い、それをパスしたものです。DPCが導入された際、医薬品のコスト削減のため、大きく導入されるでしょうね....。しかし、このジェネリック...問題も若干あるのです。「本当に同じ薬効があるのか?」これは、はっきりいってわかりません。(でも大多数は大丈夫な様です。)後発品メーカーは先発品のメーカーにくらべ、会社の体力が小さいところも多く、その供給体制に不備はないのか?医薬品の情報提供には問題がないのか??

医療費を削減するために、ココまでする必要があるのか??

他流試合はできるが、本当に比較する病院間での患者層は同じなのか??

DPCは本当に一点の曇りもないほど礼賛すべきものなのか??

幸いにして、この記事には(上)という注釈がついています。(上)があれば、(下)あるいは(中)があるはず。続編ではもう少し踏み込んでDPC、それから医療費の削減について考えてほしい。

先進国の中で、公共事業費が社会保障費よりも多いのは、日本ぐらいかもしれません...。

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2008年4月14日 (月)

『机上論』=『現実の否認』

2008年4月14日 雨のち晴れ
うららかな一日です。

昨日も一部、触れましたが...国は太平洋戦争で得た教訓を生かしきれていないと感じます。机上の論理で全てのことを指揮するならば、いつか破局に至る。最前線で戦っている兵士には食料は当然のこと、休息やトイレもキチンとしてなければいけません。それを無視して、精神論で押し通すならば、物量で勝る米国には負けて当然です。更にいうならば、うら若き前途ある日本軍のパイロットを片道燃料で250kg爆弾を下げさせて、敵艦に突っ込ませるというような戦術を考えることなどは、その肉体を軽視し、そして将来を考えない現実への否認であると考えます。(ことわっておきますが、神風特攻隊にて出撃した約5000人のパイロットの方々の行為は、その攻撃の正否に関わらず非常に貴重なものと考えます。)

現在に目を向けると、医療の現場は一種の戦争状態とも見えます。年間2200億円の社会保障費を削減するという骨太の方針と、OECD加盟国中ほぼ最低レベルの人口当たり医師数、及び、社会構造の変化とともに拡大してきたコンビニ受診、その他諸々があいまって医師にかかる重圧はかつてないほど厳しいものとなっています。病院勤務医においては、労働基準法を遵守できる環境にはなく、過労による障害や死亡もみられます。厚生労働省はここに至っても机上の論理を振りかざし、これまでのあやまちをただそうとしませんし、「診療報酬はつけるが、その使い方は病院次第だ...」と戦場にポツリ残された勤務医に対して、本気で手を差し伸べようとしません!

戦中の日本にどこか似ていると思いませんか?兵士の肉体を軽視した旧日本軍。そして、医師の肉体を軽視している厚生労働省。そして、裏でそれを操る財務省。このままで進むと、太平洋戦争の終末期と同様に、徹底的な攻撃を受けてカタストロフィに至る道筋がみえます。

もう既に遅いかもしれませんが....年間2200億円の社会保障費削減だけは止めさせなければ、アウトです。

さて、記事はrifaxより。

『尾辻秀久元厚生労働相(自民党参院議員会長)は12日、毎年2200億円のペースで社会保障費の自然増を圧縮する政府方針について、「来年度(09年度)予算でも削れば、社会保障は崩壊する」と述べ、強く見直しを求めていく考えを示した。自らが会長を務める超党派組織「医療現場の危機打開と再建をめざす国会議員連盟」が主催したシンポジウムのなかで発言した。』

公共事業費はまだ削れます。社会保障費はもうダメです。

旧日本軍の精神論。それは、肉体を考えないという「現実への否認」でした。そして、現在の厚生労働省、財務省は数合わせだけの机上論を振りかざし、医療者の肉体を考えない。これも、「現実への否認」です。でも、永久に気付くことはないのでしょうね...官僚たちは....。

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2008年4月13日 (日)

まさに『隔靴掻痒』

2008年4月13日 雨
一日ドンヨリ曇ってます。

『隔靴掻痒』という言葉をひもとくと...「(靴の上からかゆいところをかく、の意から)思いどおりにいかなくて、もどかしいこと。 」という意味がみえてきます。我々、末端で働く医療者は最近常日頃このような感覚に襲われているのではないでしょうか...。

【厚労省のカルテ】(2)医師不足、消えぬ現場の悲鳴 4月13日8時1分配信 産経新聞
魚拓

『「馬1頭あげます」。柳田国男の民俗学研究で知られる岩手県遠野市が、昨年からユニークな医師募集を始めている。市内唯一の公立病院である遠野病院に来てくれる医師に、地元で育った馬1頭(500万円相当)を与えるというのだ。

 「それだけ医師不足が深刻ということ」と市の担当者。入院と外来合わせて、1日平均820人の診察をこなす遠野病院だが、常勤医師は9人しかいない。「とりわけ産婦人科、整形外科、循環器科は遠方からの応援医師だけで対応している状態。診療日が週1日しかない科目も多い」

 奇抜な募集策への応募はまだない。「むしろ、現場医師から『金やモノではつられない』といった反発も少なからずあった」と担当者は苦笑する。』

私であれば、「馬一頭あげるから来て」と言われた場合...行かないでしょうね。むしろ、相当状況が悪いんだな...と勘ぐってしまいます。

『一方で、厚労省は「医師不足なのではなく医師偏在だ」という姿勢を長くとってきた。人口減などを見越した医師数の将来推計で、「平成30年代には医師数が過剰になる」といった見通しが根拠になっている。医師増加が医療費の増大になるという理由で、医学部定員を削減した時期もある。』

医療費の増大を抑えるために医学部定員を減らしたという大きな過ちが....現在に色濃く影響しています。医療費はそもそも減らす必要があるのか??ココは重要な観点です。

『地域医療問題を研究している東北大の伊藤恒敏教授は「厚労省の政策は付け焼き刃的で、合理性や一貫性がない。厚労省は現場の声を知らなすぎるから、実態と離れた政策が出てくる」と批判する。

 ある厚労省幹部は「現場で起きている問題を細かくとらえて、早くに政策を見直す必要性があったのかもしれない」と漏らす。

 厚労省と医療現場にある隔たりに敏感に反応しているのが、患者である国民や医療関係者らの声を拾っている国会議員たちだ。2月に立ち上がった「医療現場の危機打開と再建をめざす国会議員連盟」には超党派で100人を超える議員が名前を連ねた。鈴木寛議連幹事長は「医療の現場からは悲鳴にも似た声が届いている」と話す。』

机上の論理だけでは、現場は上手く回って行きません...。本当の問題は、霞ヶ関にいても解らないでしょう。現場と乖離した政策は、大きな傷跡を残して崩れ去ります。太平洋戦争での苦い経験は、国には生かされていないのでしょうね...。

『勤務医の労働条件をどうするかは、われわれは触ることはできない。今回加算された診療報酬をどう使うかは、病院経営者の判断だ」と厚労省幹部。

 議連の仙谷由人会長代理がこう切って捨てた。「隔靴掻痒(かっかそうよう)の感がある。病院の現場のことは知らないというのか」』

これは圧巻...。まさにその通り。医師免許を持っている厚生労働省の医官の方々は、臨床の最前線で数ヶ月単位働いてみることです!本当の現場の苦しさを、身をもって経験し、我々に『隔靴掻痒』の感を感じさせないようにしてほしい...。

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2008年4月10日 (木)

問題の根源

2008年4月9日 雨

花散らしの雨です。しかし、おかげで鼻の調子は良好。

さて、「診療行為に関連した死亡に係る死因究明等の在り方に関する検討会」は厚生労働省が主催する会議です。しかし、その議論は二転三転...そのproductの名前でさえも...医療事故調査委員会から医療安全調査委員会と変化を遂げています。その座長は刑法学者の前田雅英氏ですが...その議論の進め方などについてギモンを呈する声が大きい!

m3.comに掲載されている「医療維新」というコラム。4月7日分より抜粋します。

『大野病院事件は「重大な過失」「悪質な事例」か -“医療事故調”が警察に通知する事例を考える -』

『検察官の論告は、
 「基本的注意義務に著しく違反した悪質な行為であることは明らかであり、被告人の過失の程度は重大である」
 「産婦人科医としての基本的な注意義務に違反し、医師に対する社会的な信頼を失わせた」
 「被告人は、(中略)信用できない弁解に終始している」
 「こうした責任回避の行為は、(中略)医療の発展を阻害する行為であり、非難に値する」
 「被告人は被害者を自ら検案し、その異状を認識していたが、医師法に基づく届け出も怠った」』

医療の世界にドップリ浸かっていない検察の方々には、臨床の現場を理解しろというのは土台無理な話しでしょう。臨床的な実力があり、酸いも甘いも嗅ぎ分けた人間がこのような論告を行うべきです!とてもとても、こんな論告を飲み込む訳にはいきません!!!!(怒)

『論告の前には既に、被告の加藤克彦医師の産科手術に関する医学的観点からの鑑定意見が複数、公判廷に提出されている。検察は既に十分にこれら鑑定を吟味した。それにもかかわらず、検察は加藤医師の産科手術を「重大な過失」であると断じ、「悪質な事例」と評しているのである。』

もう既に救いがたいというレベルでしょう。善人であろうが、悪人であろうが....こき下ろすのが職務でしょうから....仕方がないでしょうか?

『重過失致死罪の記述に、「重過失とは、注意義務違反の程度が著しい場合を言う」、「わずかの注意を払うことにより結果の発生を容易に回避し得たのに、これを怠って結果を発生させた場合」とある。

 前田氏の記述に従うように、検察は大野病院事件の産科手術事例を「重大な過失」に当たると認定してしまった。公判廷で、無過失を証明する数々の医学者の鑑定が提出されたにもかかわらず。』

この記述が表しているのは、検察には公平な判断を求めることが難しい(特に、非常に専門性の高い医療等の分野では...)ということでしょうね。公平な判断を行うために、新しく「医療安全委員会」を作り、その判断で「刑事事件相当」ということになれば検察に回るという動きが理想的であるはずです。過失の有無に関わらず、残念ながら重大な事故に遭われた患者さん、そして家族の方々が、その処罰心情の大きさによって起訴相当かどうか?決められるようであれば、医療を施そうとする者たちはほとんどいなくなってしまうでしょう。

『厚労省は、医療死亡事故の死因究明などを行う、医療安全調査委員会の創設に向けて、4月3日に第三次試案を公表した。これは前田氏の検討会の議論を受けたものだが、今までの過程では、医療安全調査委員会が警察に通知する「重大な過失」の定義や範囲について、まともな議論がなされなかった。

 現に、その前田氏自身が、3月21日に開催された日本学術会議の公開講演会で、この点につき、「言葉の問題を正面に持っていくと議論が止まってしまう」と述べられたそうである。つまり、「重大な過失」の定義・範囲を議論しなかったのは、意図的なものだったらしい。』

重大な過失の定義がはっきりしないと、なんでもかんでも重過失にされる可能性があります。この、議論を避けるのはこの会議の存在意義を否定することにならないか?と危惧します。

『実体法が改正されず、法解釈にも変更がないとすると、大野病院事件に代表される産科手術事例も、「重大な過失」の典型例とされざるを得ない。最終的に裁判官がどう判断するかは不明だが、少なくても検察は「重大な過失」として扱っているからである。
 
 しかし、それでは巷で思われてきたことと、全く違ってしまう。今まで巷では、少なくても大野病院事件のような手術事例は、「重大な過失」には当たらない、と信じられてきたのである。』

恐ろしいことです。医療の現場では「過失なし」とうけとられる事例でも、裁判の場では「重過失」とされる。コワくて医療なんてやってられないと医師は感じるでしょう。

議論は尽くされていない。座長自らが、問題の根源であるということです。

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2008年4月 8日 (火)

試案の重大な問題点

2008年4月8日 晴れ

ハラハラと桜の花弁が舞っています。葉桜になるのはどうしてこんなに速いのだろう...。

さて、厚生労働省が主導して開催している診療行為に関連した死因究明制度を検討する会議では、このほど第3次試案を示しました。マスコミさん方はこぞってこの案を持ち上げているようですが....重大な欠陥がありそうです。

『遺族求めれば捜査せざるを得ず  警察庁・米田刑事局長
MEDIFAX 2008年04月07日(月)5380号
警察庁の米田壯刑事局長は4日の衆院厚生労働委員会で、厚労省が3日に公表した診療行為に関連した死因究明制度創設に向けた第3次試案について、「現在、検討されている医療安全調査委員会(仮称)の枠組みでは、刑法上の業務上過失はそのままだ」と述べ、患者や遺族からの訴えがあれば捜査せざるを得ないとの考えを示した。

その上で、岡本充功氏(民主)の「調査が迅速に進まない場合、遺族の早く解決してほしいという願いがあれば、警察は捜査に乗り出さざるを得ないと考えているのか」との質問に対しては、「その通りだ」と答弁した。

ただ、米田刑事局長は「死因究明制度の創設で期待されているのは、委員会で十分な調査が行われ、遺族の『処罰感情』といったものが解消され、わざわざ刑事手続きに持っていくことで紛争解決するケースが少なくなるということだと考えている」とも述べ、「結果の重大性」に着目したものではないとする第3次試案の内容については肯定的な認識を示した。』

そもそも、医療事故や医療過誤の捜査は非常に難しい。そして、それは、「医療界の中に居る人間であったとしても」です。医療事故が起こった背景に何があるのか?それを理解できずに、業務上過失傷害、業務上過失致死を追い求める姿勢があれば、日本の医療は萎縮し衰退します。実際に執刀医の逮捕拘留までに至った福島県立大野病院事件はその象徴ともいえるでしょう!

医療事故の捜査に着手する入り口は複数必要ではないと思います。ある一定の標準で、「ここまでは仕方がないだろう」としなければ、現場は混乱し萎縮するだけです。複数の入り口を作ることは、いわゆる「ダブルスタンダード」となります。このようなセキュリティホールを残しておいては、何のための制度創設か??わからなくなります。そして、日本の医療を決定的にへといたらしめるでしょう!

このままの試案が法制化するとなるととんでもない事態が生じます。そして、それを作ったものたちは大罪人とうたわれるでしょう。

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2008年4月 7日 (月)

建前と現実

本日、2稿目(いや正確には3稿目か...)

久しぶりに、ごそごそと取り出して読んだのは「ほくそ笑む人々」というエッセイ集。その中の、「ピラフに関する永遠の真理」という稿には以下の記述があります。

<引用開始>だから中国には常に帝王がおり、伝説に綴られている。毛沢東はまさに現代に帝王を見るような権勢と権力を持っていたし、「農業は大寨に学べ」の時代には、伝説的な収量を上げたとされる大寨という農村を信じるふりがなされてきたのである。それというのも、彼らは建前の国だから、建前は現実と乖離していて当然である。建前は現実と違わなければ建前ではない。<引用終了>

これは、中華人民共和国のお話。しかし、今の日本にも同じことが当てはまるのでは??と感じます。「医療は100%完全でなければならない。」という思想(いや幻想か?)。コレだけ、医療の現場が疲弊しきっているのに、救急車の患者さんは100%すぐに受け入れられなければならない....という儚い願い。

医療者、政治を行うモノたち、患者さんたち。お互いが建前を捨て、現実を認め合えたら....もう少し楽なのに....。そして、「いま本当に必要なのは何か?」がみえてくると思います。

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本当のチカラ

2008年4月7日 雨のち晴れ

暖かい一日です。桜は満開を通り越して、散る時期となってきました。黒い道路の表面と散りつもった桜の花びらのコントラストが綺麗だと感じられます。(もちろん、徐々に汚れてしまうのですが....)

さて、兵庫県立柏原病院のお話は余りに有名です。住民が、存続危機となった病院小児科を支えるという図式は、これまでマスコミの表面に出現していなかったものです。そして、その運動の「本当のチカラ」が発揮されます。マグネットホスピタルならぬ、マグネットピープルとでもいいましょうか....。そのチカラに感嘆させられます。

記事は神戸新聞から....。
「住民が奇跡起こした」 小児科医が着任 丹波市
魚拓

『医師の負担軽減を目指す丹波市の母親グループの活動に共感した小児科医の石井良樹さん(32)=伊丹市出身=が、岡山県内の大学付属病院から同市柏原町の兵庫県立柏原病院に転勤を希望し、四月から常勤医として働いている。兵庫県病院局によると、他府県の大学医局を離れ、県内の地方に進んで赴任するのは極めてまれという。石井医師は「勤務医の負担を考えた地域は全国でも珍しい。住民の動きに応えたかった」と話す。(小林良多)』

一大決心だったでしょうね...。地域に入って、小児医療をするというのは、結構な気構えを要します。しかし、それをも越えさせる様なエネルギーが「守る会」の方々にはあったのでしょう。

『診察時間外に小児救急に訪れる患者は、全国的に約九割が緊急度が低い軽症とされる。柏原病院小児科は丹波地域の中核だったが、医師が三人から二人に減った二〇〇六年四月から危機的な状況になり、〇七年四月から一般外来を紹介制にし診察を制限している。』

柏原病院は産科があると聞いたことがあります。産科のある病院小児科は、通常にくらべ勤務がキツく、ストレスも多いと感じています。それを、2人体制で維持するには「紹介制」とすることが必要であったでしょう。ただ、「緊急度の低い軽症」の中に「本物の重症」が混じっている訳で、それが大きなストレスともなるのです。(軽症で、時間外受診の必要がないと思われる方々が凄まじい数、来られるのは困ることですが...。)

『勤務医が疲弊する様子を知った母親たちが〇七年四月、「県立柏原病院の小児科を守る会」を結成。症状を見極めて病院を利用するよう住民に呼び掛けた。病院間の輪番制の徹底にこの運動が加わり、小児救急利用者は半減。先駆的な取り組みとして注目された。』

冒頭でも述べましたが、地域の病院小児科の存続危機があったにせよ、「患者さん側より、小児科医の疲弊を防ぐ運動が起きてきた」ということは今まで経験のなかったことであります。それが、大きな成果をあげたことは、「日本の医療も捨てたもんじゃない。」という気にさせます。
これからも、頑張って下さい。とエールを送ります。

また、最後に付言しておきますが....。私のところも、既に一人体制。私のところに通ってきてくれる患者さんも私の体や、ココロを気遣ってくれます。コレには感謝、感謝...。私の担当する地域も「捨てたもんじゃない」。無理しないぐらいに頑張ります!

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すでに崩壊している

2008年4月6日 晴れ

医療は既に崩壊しているとして過言ではないでしょう。

記事は朝日新聞から...。
医師不足、消える病院…都市圏でも 2008年04月06日03時00分
魚拓

『長野県千曲市で3月末、医師不足のため病院が閉じた。
 地域住民約4万人の医療を支えてきた長野赤十字上山田病院。19人いた常勤医師が最後は2人。医師不足が患者減を招き、収入減、赤字増という悪循環に陥った。』

これから、多くの地域でこのようなコトが起こってくるでしょう。

『もともと経営は順調だった。減価償却費を除いた収支は黒字。病床利用率96%と、常にベッドは埋まっていた。
 崩壊の始まりは06年4月。19人いた常勤医のうち内科、外科、整形外科で1人ずつ減った。07年4月には8人に。外科と眼科がいなくなった。
 大学病院が地域病院から医師を呼び戻したのがきっかけ。それに定年退職や独立開業、突然の死亡も重なった。』

突然の死亡ってなんでしょうか?過労のためかもと....勘ぐってしまいます。

『住民の不安は大きい。

 長野市の公務員男性(52)の父は肺気腫で上山田病院に入院していたが、長野市内へ転院させられた。上山田病院と実家は車で5分だったが、今は30分以上。男性は休日に1日がかりで、長野市と独居の母が暮らす実家を回る。

 一つの病院の崩壊はドミノ倒しで他の病院の負担を増やす。上山田病院の救急外来は昨春休止され、年約3500人の急患は周辺の病院に向かうようになった。JA長野厚生連篠ノ井総合病院(長野市)はこの地区からの救急搬送が月に約100人へと急増。「満床」で受け入れを停止する頻度が増えた。「限界に近い。うちが倒れたら地域医療が崩壊する」と救急担当医は話す。』

残念ながら、今の国策では地域の住民の不安を取り除くことはできません。

『だが研修制度だけが原因ではない。以前から、産科や小児科などで不足感は強かった。

 そもそも医師数が少ないのだ。人口千人当たりの診療医師数(04年)は2.0人。経済協力開発機構(OECD)加盟30カ国中27位。90年代は日本とほぼ並んでいた英国にも引き離されつつある。

 政府は80年代半ばから一貫して、医師養成数を削減してきた。「将来は医師が過剰になる」と分析したためだ。医学部の入学定員は07年度に7625人と、ピークの84年度より8%少ない。

 厚生労働省も、全体的な医師不足は認める。06年7月にまとめた報告書ではじいた必要医師数は、04年時点で26.6万人。だが実際に診療する医師は25.7万人と、9千人足りない。10年には1万4千人不足に広がる計算だ。

 ただこれは、病院にいる時間から研究、休憩などを除いて週48時間労働で換算した数字。小山田恵・全国自治体病院協議会長は「病院にいる時間を勤務時間と考えれば、不足は約6万人分に広がる」と反論。「いまの危機は、医療費を抑制し、医師数を削ってきた政策のつけだ」と憤る。』

22年に研修医も入れて、試算した医師必要数に到達するということなのでしょうか?実働の人数ではないと思います。もしかすると、永久に医師の充足は得られないのかも?なんて思っています。


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2008年4月 4日 (金)

身につまされる記事

2008年4月4日 晴れ

身につまされる記事です。

『産科医の休職
読売新聞 2008年4月1日
 先週、知り合いの産婦人科医からメールが届いた。
「2か月間、休業します」――。
30台で1児の母。過労でドクターストップがかかったためだった。
 勤務医の過酷さを最初に教えてくれた人でもある。不規則な職場で働く女性同士、意気投合し、ずいぶん愚痴も聞いてもらった。
 彼女の勤務先は800床もある大病院。なのに当直は月10回にも上っていた。昨年末、医師の当直が違法状態にあるという記事を書いた時には「もう少しだけ頑張ってみる」と涙声で電話をかけてきた。その後、同僚5人のうちの一人が去り、負担は更に増えた。彼女が抜けても補充はない。
 「このままでは出産の取り扱いもできなくなる。職場に復帰した時、産婦人科がなくなっているかも」
 昨秋から医療崩壊の現場を取材しているが、大病院でさえこうなのだ。崩壊のスピードが確実に早まっているような気がする。
 「ずっと走り続けて来ちゃったから、家族もぼろぼろ」
という彼女。せめて2か月間は夫や娘との時間を取り戻してほしい。』

もう無理をしないで、休んでほしい。自分を責めないで....とココロより思います。

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2008年4月 2日 (水)

システムダウン....

2008年4月2日 晴れ
徐々に徐々に温かくなり....外来数は激減しています。病院のオーダリングシステムなどをある程度の範囲で管理している身としては「ヒトゴト」ではない...大変だなと感じる記事です。

済生会中津病院でシステムダウン 数百人が清算できず 2008年04月01日
魚拓

『大阪市北区の「大阪府済生会中津病院」で1日午前8時すぎ、医療情報管理用のコンピューターシステムがダウンし、来院者が診察券を入れる機器と診療料金の精算機器が作動しなくなった。窓口が来院者で一時混乱したため、職員約50人が対応。診療行為に影響は出なかったが、数百人の料金支払いができなかったという。システムは約6時間半後の午後2時半ごろに復旧した。』

聞くだけで寒気がします。4月1日からソフトの改訂があり....それを事前にサーバーに入れておき、4月1日になれば作動する様に仕掛けておくのです。そして、4月1日にならないと、キチンと動作するか?すべてはわからない。全てを予想することができないのです....。コワい行為です。

私の勤務する病院でも、院外処方箋の一部改正でソフトをいじったのですが....。一部で医事会計との連携がうまくいかず....苦労しました。また、以前のことですが、配布されたサーバーソフトの中にバグが含まれていて、大騒ぎになったこともあります。

コンピュータは現在の医療になくてはならない存在になりつつあります。しかし、所詮人間が扱うもの。細心の注意を払いながら、使って行かねばなりません。

『同院によると、前日夜、75歳以上を対象にした新しい公的医療保険「後期高齢者医療制度」が4月1日から始まることなどに伴い、システム内容を更新した。1日朝になり、不具合が生じたという。』

テストをする時間もなかったのでしょうね....。まさか、システムがダウンする様な大きな事態になるとは...予想もしてなかったのでしょう。

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2008年3月29日 (土)

制度を作る側だけの論理

2008年3月29日 晴れ
スギ花粉は益々飛んでます....。

さて、厚生労働省の官僚の方々は、やはり机上の論理だけを振り回しているのでしょうね....。我が国の医療の未来は暗い!といわざるを得ません。

ロハスメディカルブログ:浅知恵(1)
魚拓

『またしても議連会合の話なんであるが
こんなやりとりがあった。

仙谷由人・議連会長代行 「大雑把な言い方になるけれど、勤務医の労働条件を改善するという時に、ここに出てくる程度のことで36時間連続勤務が当たり前というようなムチャクチャな話は変わるのか。勤務医がどんどん職場を離れる大きな原因になっているのが、労働基準法を全く無視したような勤務状態であり、交替勤務を取ろうにもそんなにお金が払えないという診療報酬形態があるわけだ。そういったことが解消に結び付く何かというのは、どこを見れば『ああなるほど』ということになるのか」
原徳壽・保険局医療課長
「質問の趣旨がよく分からないのだが、診療報酬は医療機関の収入になる。勤務医の負担軽減策というのは先ほど説明したようなことで配慮している。医療機関の体制についてまで診療報酬では触わることはできない。間接的にいたしているということ。ハイリスク分娩管理などについても、負担軽減計画を必ず作るように要求しているし、その軽減策は勤務医にも見せるという条件になっているので、計画が実行に移されなければ、その病院から勤務医がますますいなくなる可能性もあり、計画を立てたからには実現する方向に動くはず。それ以上の全体の話は総額の問題がある中でこの程度しかできなかったということだ」』

計画を立てたからには実現する方向に動くはず。というのはずいぶんと自信のあるお言葉で....。原徳寿先生は私の先輩にあたるようですが....少なくとも現場の状況については、まだまだ御理解いただけていないのかも...残念です。
現状の診療報酬体系では、充分な待遇を産科医に行うのは無理なのでしょうね...。条件をつけた上での「ハイリスク分娩管理などについても、負担軽減計画を必ず作るように要求している」ような状況では何ら現場の状況は変わらないという事態まで進んでいるという理解が必要であろうと考えます。

「それ以上の全体の話は総額の問題がある中でこの程度しかできなかったということだ」....本当に残念です。日本は先進国の中で、ほとんど唯一といっていいほど、公共事業費が突出した国でもあります。ココでの「総額」は医療費或は社会保障費を指していると思われますが....道路あるいはハコモノに使う道路特定財源の使い道については思いを馳せたことがあるのでしょうか?医療にはヒトそしてお金が必要です。そろそろ、お金の使い道を考える時期にさしかかったのではないでしょうか?原先生のお言葉には....残念ながら、それに関する思いを感ずることができません。

更に続きますが....
『さて、そのご自慢の軽減計画だが
理論的には、現状がどうなっていて、それをどう変更するか示さないと
何がどう軽減されたのか分からないことになる。
だから、そういう現状報告を病院に求めるそうだ。

ところがである。
現在多くの特定機能病院での勤務実態が労基法を完全に逸脱した状態であるため
厚生労働省職員は申告を受けた瞬間に、違法状態を知った公務員として告発義務が生じる。
つまり、病院は労基法違反で摘発されてしまうかもしれないのだ。
病院上層部としては、現状を虚偽申告するか、認定申請をあきらめるかしか選択肢がない。
とはいえ、虚偽申告それ自体が危ない橋であるから
結局、本当に勤務医が激務で大変なことになっている病院はこの加算を受けられないのだ。
実際、多くの大学病院が申請を見送る方向だという。』

うーむ、実効性のない...というのはこのことを言うのでしょうか??受けられる施設は限られていて....マグネットホスピタルと呼ばれる、研修医もいっぱい持ってるような施設では受けられるでしょう...てな話なんですね...........。

『好き好んで違法状態にしているわけではないのに
その違法状態があるばっかりに改善の財源を得ることもできない。
たとえは悪いかもしれないが
薬物中毒者が処罰を恐れて助けを呼べず薬物からも離脱できないのに似ている。

本当に勤務医の負担を軽減させるつもりがあり
現実が少しでも分かっているなら
こんな制度運用しないし、まして自慢なんかしないよね。
中医協委員の方々は
自分たちの善意がこんな風に骨抜きされていることをご存じなのだろうか。』

この例えは....スゴいですね...。この制度疲労を解決できるのはいつのこととなるでしょうか?

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2008年3月26日 (水)

産科医緊急派遣...

2008年3月26日 晴れ
派遣元は大変でしょうね...。防衛医科大学校からも派遣されるようです。

産科休止、派遣で解決できるか
魚拓

『「医師を派遣した大学は、いわば“わが身を切る思い”だったことだろう」――。産科を閉鎖せざるを得ない病院に医師を派遣する信州大学などに対し、文部科学省高等教育局の三浦公嗣医学教育課長は感謝の意を表した。産科医の退職などで分娩の取り扱いを休止した施設などに対し、厚生労働省は近隣病院からの医師派遣という“応急処置”で対応する予定だが、「根本的な解決ではない」との批判も根強く残っている。』

緊急処置は緊急処置...根本的な解決につながりません。医療費の削減、医師数の絶対的不足を是正しないかぎり、解決はしないのです。この緊急派遣で、大学の産婦人科が潰れないという保証はないでしょう。

『文科省の三浦課長は「各大学に『産科医を派遣する余裕があるか』という調査を実施したが、地域で最大規模の病院である大学病院でも産科医を派遣する余裕がない状況が分かってきた。医師を派遣した大学は、いわば“わが身を切る思い”だったことだろう。この場を借りてお礼を申し上げたい」と述べた。』

緊急派遣の派遣元となるという決定はどのようにしてなされたのでしょうか?“わが身を切る思い”が、将来の発展につながることを望みます。

『海野委員長はまた、厚労省が各都道府県に勤務医の労働環境の改善を図るように求めた3月21日付の医政局長通知に触れ、次のように述べた。
 「正直申し上げて、これでは短期的には難しい。人がいないからだ。現場の医師に無理にでも働いてもらわなければならない状況だ。そのためには時間外労働の正当な報酬や分娩手当ての支給は必要だということを全国の部会長が述べている。このままでは地域医療が破綻し、緊急派遣が必要となる地域がさらに増えてくることが明白だろう。政府のご対応をお願いしたい」』

この「産婦人科医料提供体制検討委員会」の海野信也委員長のことばが全てを表しているでしょうね....。社会保障費を年間2200億円づつ減らすことを目標とするなんて、いかに馬鹿げた方針でしょう!医療費はこれ以上削ってはいけません。

そして、この緊急派遣が派遣元施設の荒廃をもたらさないように祈るのみです!

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2008年3月24日 (月)

地方自治体の財政

2008年3月24日 晴れ
スギ花粉が飛んでる様です。それも、カナリ...。

夕張の破綻のあと、夕張市立病院を引き継いで経営されている村上智彦先生のお話を聞いたことがあります。夕張市の歴史から、炭坑の町の福利厚生、市立病院の上に作られた看護学校の意味などを解りやすく解説されていました。もちろん、メロンのことも....。
そして、同じ北海道の赤平市においても、ほぼ死に体に近い状況の様です。どこに問題があったのか?炭坑町特有の問題が共通して横たわっている様に感じます。

記事は毎日新聞から。
読む政治・選択の手引:地方財政の危機(その1) 北海道・赤平市 破綻寸前、綱渡り
魚拓

『朝は、まだ氷点下の冷え込みだ。北海道のほぼ中央部にある赤平(あかびら)市。商店街はシャッターを下ろした空き店舗が目立つ。閉鎖された小学校や公民館は、雪に埋もれたまま。夕張市で閉鎖中の屋内プールの屋根が雪の重みで崩落したが、赤平市でも売却先や撤去のめどの立たない遊休施設の管理は悩みの種だ。

 四つの炭鉱を抱え、かつては約6万人が暮らした。石炭を満載した貨車でにぎわった赤平駅は、貨物発送量日本一を誇ったこともあるという。だが94年に最後の炭鉱が閉山。今、人口は約1万3000人だ。65歳以上の高齢者が35%を占める。』

炭坑町はかつて夢のある町であったようです。遊休施設があるということは、先細りする石炭需要から観光産業に軸足をうつそうと考えたのでしょうか?施設を建設する資金はどこから?運営する資金をどのように考えていたでしょうか?賑やかであったころから、さびれていくに従い、町の支出を抑えて行かないと赤字に転落するのは自明の理です。

『自治体財政健全化法は、公立病院などの公営企業会計を市の普通会計と連結決算する「連結実質赤字比率」を、08年度から新たな指標として導入する。30%を超えれば、夕張市と同様に財政破綻(はたん)状態とみなされる。

 病棟改築などで市立赤平総合病院が抱える不良債務24億円が加わると、赤平市の07年度の比率は77・6%の見込みだ。この4年で医師が18人から10人に減った病院。患者受け入れを制限せざるを得ず、収益も悪化している。』

夕張ショックを教訓にして、総務省が危ない自治体を監視するために設けられたのがこの「連結実質赤字比率」という指標です。この指標が77.6%では...厳しいでしょうね。そして、この町の医療をどうしていくか?考える機会となります。残念ながら、ない袖はふれない。最低限必要な医療を残し、効率化する必要があるでしょう。

『炭坑で働いていた小坂寛司さん(70)は、じん肺を患う。「近所は気心のしれた炭坑仲間ばかり。今さら都会に住む気はない。でもこの街で安心して暮らしていくため、病院だけは維持してもらわないと困る」と言う。市は病院存続のため、一般病床160床を120床に減らし、産婦人科と皮膚科を休止。職員の人件費を27%ほど削減する。』

ひょっとすると、いままで病院に依存してきた医療を何らかの形に変えないといけないのかもしれませんね....。予防医学はそのコストベネフィットが高いとされますが、そのような安くて効率のよい医療を進めなければ、生き残れないのかもしれません。立派な病院もお金とヒトがいないと生き残れません。最低限必要なものは何なのか?考えることが必要でしょう。

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2008年3月21日 (金)

御恩と奉公...

2008年3月21日 晴れ
今日はマンマルお月様。中でウサギが餅ついてるようでした。

さて、いまだにこのような状況のところもあるんですね....。寂しくなってきます。

横浜市大医局:学位謝礼金を強要か
魚拓

『横浜市立大の嶋田紘医学部長(64)が博士号を取得した大学院生から謝礼金を受け取っていた問題で、謝礼金を払わずにいた複数の医局員が医局側から「先生が激怒している」と電話を受けたり、冷遇をほのめかされていたことが、関係者の話で分かった。元医局員は毎日新聞の取材に「謝礼金30万円は『不文律』で、払わないと何が起こるか分からない怖さがあった」と証言しており、医局内で謝礼金が半ば強要されていた疑惑が浮上した。』

話を聞くだけで少しコワいですね....。でも強要されるのではなく、お世話になった先生には感謝のキモチを表すことはあることでしょうね。ただ、贈与の多寡が将来を決める様なことになってもいけませんが...。

『ある男性医師によると00年ごろ、学位取得に際し菓子折りを嶋田教授に持参したが、その日のうちに当時の医局幹部から「お前、30万円持っていかなかったな。先生が激怒してるぞ」と電話があった。この医師は「お金で済むんだったら払おうと思った」と証言している。

 また関係者によると、数年前に学位を取得した男性医師は、大学の事務側から謝礼を払わないよう言われていたことや貯金が少なかったことから、30万円を払わないでいた。しかし、しばらく後に当時の医局幹部から「処遇を考え直さないといけない」という趣旨の話をされたという。』

ココまでくると、恫喝になりそうですね....。

因に、私は医局に属したことがなく....学位も取得していない、いわゆる根なし草です。御恩と奉公...。我が国の美しいしきたりであると思いますが....度が過ぎると、このようなコトになるのでは?と感じてしまいます。

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2008年3月20日 (木)

まだ削るのか...

2008年3月20日 晴れ
スゴい風です。

日銀…道路の後は「医療制度」が火種ね 福田内閣正念場 3月20日19時15分配信 産経新聞
魚拓

『「日銀総裁人事」「道路特定財源」に続く新たな与野党争点に、医療制度改革法案が急浮上してきた。民主党が反対姿勢をみせるのは、4月から始まる後期高齢者医療制度と、政府管掌健康保険(政管健保)の国庫負担の一部を健康保険組合などに肩代わりさせる健康保険特例措置法案。もともと社会保障費を毎年2200億円削減する政府方針には与党内にも反対論があり、社会保障財源をめぐる路線対立も根深い。民主党は、論戦が与党分裂を誘うとみて攻勢を強める。』

まだ、削るんでしょうかね....国は。日本では社会保障費よりも公共事業費が多く使われています。毎年2200億円づつ削るんなら、公共事業費を効率的に減らした上で行わなければならないでしょう。もちろん、医療費の使われ方も効率化する必要がありますが、ほとんど使用されない道路を整備するお金があるならば、社会保障費に当てるべきだと考えます。

『4月の運用開始直前になって、民主党が後期高齢者医療制度の廃止を主張し始めたのは、全国からの後押しを受けたためだ。全国地方議会の4分の1、約500議会が厚生労働省に意見書を提出。うち約150議会は制度自体の廃止や凍結を求める強硬意見だ。岐阜県大垣市議会では、廃止意見書に自民会派も加わった。平成20年度分は凍結されるが、70−74歳の窓口負担率が引き上げられるため、世論の逆風は強いと、民主党は読む。

 これに年金が絡み、事態を複雑にする。4月15日から後期高齢者医療制度の保険料が年金から天引きされるためだ。「正しい年金額を払わないのに、取るものだけ取るのか」との批判が予想され、民主党の長妻昭政調会長代理は「4・15ショックが起こる」と話す。』

「正しい年金額を払わないのに、取るものだけ取るのか」まさに、そんな感覚でしょうね....。

『高齢者医療と並んで民主党が問題視するのが、政府が20年度予算の関連法案として提出した健康保険特例措置法案だ。政府の社会保障費抑制方針達成のため、政管健保の国庫負担の一部を健保組合などに肩代わりさせる。ただ、サラリーマンには保険料負担増となるため世論の批判は強く、民主党は「特別会計の無駄遣いを減らせば財源は確保できる」(幹部)と、道路に続き、無駄遣い批判で攻め込む。』

毎年2200億円の社会保障費削減のため、国は末端に付け回しをしようとしています。健康保険組合が肩代わりすれば、利用する被保険者に負担が増加するのは目に見えています。道路やハコモノの無駄使いを効率的に減らすべきで、将来的には社会保障費が公共事業費より多い状態におくべきです。

『民主党が本丸として狙うのは、政府が掲げる社会保障費の年2200億円削減方針だ。医師不足や療養病床削減による“介護難民”懸念もあり、与党内ですら「骨太の方針」の転換を求める動きが顕在化した。財務省は一歩も引かないが、法案の国会審議と、「骨太の方針」のとりまとめ時期は重なりそうで、民主党は「与党内の路線対立激化で混乱を引き出せる」(幹部)と狙う。』

この「骨太の方針」の一部が生きている限り、日本の医療崩壊は進行し続ける様な気がしています。年間2200億円の社会保障費削減は意味があることでしょうか?国民の目に触れにくい特別会計の使われ方を考えることが優先されるべきです!

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2008年3月19日 (水)

ワーキングプア

2008年3月19日 晴れのち雨
あるところで入手した一文です。現在の日本における医療現場の苦悩が示されています。原典は2008年3月15日付け全国保険医新聞....。

『歯科医院を開業して15年になった。この間色々なことがあった。しかし総括して言えることは、日本の歯科医療行政がいかにでたらめで、歯科医療に携わる人々から多くを搾取してきたかと言うことである。
 経理には原価計算という方法がある。その物やサービスがどれほどのコストで作り出されているかという計算のすべである。しかし、他の業界では当たり前のそういう発想も医療現場にはない。原価割れの診療報酬で働かされるのは、長年の伝統とさえ言いたい。
 歯科臨床現場では、若い歯科技師をはじめ技工士に至るまで、新たに育てていく余力もなくなってきている。
 歯科医療は手仕事である。深く追求するにつれ、その奥の深さに日々うなり、保険の縛りがいかに技術を制約しているか感じる。つまり医療行政、医療経済という観点で見れば、すでに保険歯科医療は破綻している。
 女性歯科医師として、患者さんと接し過ごしてきた結果、結論として、歯科医を職業に選ぶのは後輩には今のままではお勧めできない。ワーキングプアな勤務医の実態は、家庭と仕事のおいしい両立などとは無縁だ。
 開業医の私も、出産の前日まで働き、3週間目には仕事に出ざるを得なかった。一人前の歯科医になるために投資した時間もお金も努力も、一人前になって取り戻すにはあまりに診療報酬は安すぎるのだ。
 しかし、現場のことを何も知らずに多くの優秀な学生さんが歯学部をめざす。歯科医になったら仕事の生き甲斐も、生活も未来も保証されていると言う幻想によって、優秀な人材を絞り込み、後は搾取し続け、日本の医療を担わせる。ほとんどこれは国家レベル詐欺ではないかとさえ思う。
 これから歯科医をめざす人はその努力と能力を国の奴隷になって捧げることだけにならないか、歯科医をめざす人に実態を伝えたい気持ちで一杯だ。』

マルメといわれる、包括計算では治療にかかるコストの方が、診療報酬より大きいことが、ママあります。そのような状況を放置している国には大きな責任があるでしょう....。日本の医療崩壊の元凶はこの部分にも潜んでいます。

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2008年3月18日 (火)

騒動...

2008年3月18日 晴れのち雨
なにやら騒動です。

県立病院好生館:館長、今月で辞職 医師2人も 不足、さらに拍車 /佐賀 3月18日18時0分配信 毎日新聞
魚拓

『九州大病院から派遣された外科医6人が引き揚げる異例の事態となっている県立病院好生館(佐賀市水ケ江)で、河野仁志館長(57)が今月で辞職することが17日までに決まった。理由は「一身上の都合」だが、後任人事は現在も白紙。また、緩和ケアセンターの医師と眼科医も1人ずつ退職する。眼科医は補充がなく、医師不足の深刻さに拍車が掛かっている。』

ありゃま...たいへんですな。佐賀県立病院好生館は、時間外手当なしなどで....ちょっと有名になりましたが....。

『九大病院出身の河野館長は2月に辞表を提出、受理された。九大側によると、館長の辞職後も九大からの医師派遣を続ける予定だったが、県が他大出身者を採用する動きを見せたため、異論を唱えたところ、古川康知事から派遣を断る通知があったという。』

そうですか...。いわゆる、大学派閥の狭間に起きた事件でしたか....。

『このため、九大は外科医6人に加え、緩和ケアセンターに派遣していた外科医1人も引き揚げることを決めた。県はいずれも佐賀大から補充する方向で調整しているが、同センターの医師は定員2人のところを1人でやっており、1減体制は変わらない。』

うーむ。外科医の補充はメドがたっているとのことです...。徐々に真綿のように首をしめられてくるかもしれませんね...。

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2008年3月17日 (月)

ミスはあった...

2008年3月17日 晴れ
最近は結構忙しく、外来は70人/日程度を維持しています。

さて、注射薬を施行する経路を間違えたという事故。フェノバルビタールは国内では筋肉注射用の製剤しか販売されていなかったような....。

記事は朝日新聞から...
16歳の入院患者死亡、警察が捜査 広島・安佐市民病院 2008年03月17日21時13分
魚拓

『広島市立安佐市民病院(広島市安佐北区)は17日、入院していた高校1年男子(16)に対し、看護師が筋肉に注射する予定だった劇薬の鎮静剤「フェノバルビタール」を静脈に投与するミスが16日にあり、患者が約5時間後に死亡したと発表した。同病院はミスを遺族に謝罪したが、死亡との因果関係は不明としている。広島県警は遺体を司法解剖して死因を調べる。』

残念な事故です。ミスはあったのでしょう。

『同病院によると、死亡したのは山口県平生町の男子生徒で、原因不明の高熱と全身けいれんを起こし、2月18日に国立病院機構岩国医療センター(山口県岩国市)に入院。同26日から神経内科のある安佐市民病院に転院し、意識不明のまま集中治療室(ICU)などで治療を受けていた。』

この情報からは、かなり悪い状態であったと思われます。原因不明の脳症で、昏睡であれば生命にも関わる状況と判断できます。

『同病院は今月12日から中枢神経の働きを抑制する効果のあるフェノバルビタール500ミリグラムを1日2回、筋肉注射で投与。14日には医師らと短い会話ができるまでに回復したという。』

けいれんのコントロールができ、意識レベルが改善したのでしょう....でも、その他の治療も並行して行われていたはずです。

『16日は午前10時から担当看護師が300ミリグラムを注射する予定だったが、ほかの仕事に追われたため、別の看護師(23)が代わりに予定より約20分遅れで注射することになった。この際、筋肉注射するよう注意書きされた処方箋(せん)を確認せず、点滴用の管を通して静脈に投与したという。患者は約2時間後から心拍数が低下して呼吸が弱まり、午後3時24分に死亡が確認された。』

うーむ、これだけの情報では、薬剤投与と死亡との因果関係ははっきりしません....。この患者さんの状態は、どういう風に経過していたのでしょう??

中国新聞の記事では...
注射ミスで高校生死亡か 広島市立安佐病院、静脈に
魚拓

の中では....

『けいれんが続くため三月十二日から一日二回、この薬剤の筋肉注射による投与を受け、十四日には短い会話ができるほどに回復したが、肺炎を併発し十五日に再び意識不明となっていた。』

という下りがあり、この患者さんの状態は悪化していたようです。自然経過として亡くなられたのか?
フェノバルビタールの静注が呼吸を止めてしまったのか?これは、もう少しよく調べてみないとわかりません。

ただ、投与経路の間違いがあったのは事実であり、コレに対しては今後きちんと対策をする必要があります。

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2008年3月16日 (日)

大きな視点

2008年3月16日 晴れ
そろそろ、桜の季節です。

さて、医療費の問題について結構、掘り下げた記事を目にすることが多くなりました。しかし、もう少し核心を突いてほしいというキモチも残ります。医療費は必要悪であるということを認識しなければなりません。現状は抑制しすぎです。

From60:稲葉康生の目 崩壊の悪循環を断て /東海
魚拓

『日本の医療費は世界的にみれば低い水準だ。国内総生産(GDP)に占める総医療費の割合は8%でOECD30カ国のうち22位。米国の15%、仏の11・1%、独の10・7%に比べるとかなり低い。日本は世界一の長寿国であり、少ない医療費を効率的に使っていると評価は高い。とはいえ、世界一の速度で進む高齢化は確実に医療費の急増をもたらしている。医療費の急増は納税者である現役世代に重くのしかかる。』

GDPに占める総医療費は各国比較でこのようなものでしょうね....。ただ、現役世代に重くのしかかる負担は医療費だけでしょうか??最近のエントリ−でクチを酸っぱくして言い続けているのは....。医療費の含まれる社会保障費と道路工事などが含まれる公共事業費の比較です。先進国の中で、社会保障費が公共事業費よりも少ないのは日本ぐらいです。それだけ、公共事業に税金も含めて使用されている現状があります。本当に重くのしかかっているのは、社会保障費よりも公共事業費なのです。
むしろ、医療費を削って、その分を公共事業に転用しようとしているのが日本の姿勢なのです。医療費はこれ以上削る必要はまったくない。しかし、公共事業費は何とかして減らさないと日本の国は潰れるのではないでしょうか??

『そこで政府は医療費の抑制策を実行したが、その結果病院から悲鳴が上がっている。財政赤字の病院が増え、開業医に比べて低報酬で激務の勤務医は開業医となって離れていく。患者は開業医より病院での診察を望むから病院勤務医の仕事はさらに過酷になる。まさに医療疲弊への悪循環だ。』

前段で述べたごとく、医療費の抑制の必要性はないと思われます。それを実行するもんだから、このように多くの問題を生じてしまうということでしょう。道路やハコモノつくるよりももっと、基本的な生活のための出費を大切にするべきです。
もちろん、医療費の効率的な使用は必要でしょう。日本では、どんな田舎にいってもMRIやマルチスライスCT、冠状動脈インターベンションができる施設があります。つまり、医療器械がすごく多く入っているということです。これに費やす医療費はたいそうなものです。医療費のうちかなりの部分が、この医療器械に費やされている現状はあるでしょう。この部分の効率化は進める必要がありそうです。
機械がなくたって、多くの医療は行うことが出来ます。(注:もちろん、その機械がなくてはできない医療もあります。)しかし、現在の診療報酬は高価な機械をいれれば、高い診療報酬を得ることができるように(一部では)設定されており、これも、多くの病院で高価な医療器械を購入するよう働きかけるものです。

『では、崩壊寸前の医療を救えるのか。医療費の増加、医師の不足・偏在、病院の赤字、現役世代の負担増など、問題は枚挙にいとまがない。個別に対応すれば、全体が混乱する。逆に全体を優先すれば個別問題が中途半端になる。崩壊への悪循環を断つには英知と決断が必要だ。』

医療費の増加はある程度まで容認するべきです。しかし、医療費のうち効率化できるものは、キチンとやるべきです。(医療器械にかけるお金は減らすべきです。)医師の不足も医療費抑制に端を発しますし、現役世代の負担増は多くが医療費の増加によるものではなく、公共事業費の増加が寄与するものであると考えるべきです。

そのような大きな視点でマスコミの方々はものをいうべきではないでしょうか?

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2008年3月15日 (土)

大事にしなければ残らない...

2008年3月15日 晴れ
今日は一日休み...午前中に病棟を少し回診して、その後はfreeでした。

さて、拙ブログ:地域医療_最近感じることでも記述しましたが....地域医療を志して自治医科大学を卒業された先生方であっても、その地域医療が本当に辛いものであったならば、誰がその場所に残り続けるでしょうか?学問上のこと。家族のこと。最低限の人間らしい生活を保障しなければ、いくらココロザシ高くとも続けることはできないでしょう!行政の方々には「将来への投資」という感覚を持っていただきたい。

記事は読売新聞。
6医療機関に医師13人 県出身自治医大卒 隠岐や中山間地域
(現在、魚拓取得が停止している様です。)

『離島や中山間地域などのへき地医療への支援を考える県地域医療支援会議(会長=法正良一・県健康福祉部長)が14日、松江市内であり、新年度から5年間の県地域医療支援計画をまとめた。また、4月から県出身の自治医科大卒業医師13人が公立隠岐病院(隠岐の島町)など6医療機関に派遣されることも決まった。』

公の会議で派遣先を決定するのは、いいことであろうと思います。島根県は地域医療において先進地であるとの認識をもっています。

『県内7圏域の首長や医療関係者が出席。計画では、派遣期間が終われば都市部に流れがちな自治医科大出身医師の定住を促すため、医師の希望に添えるよう専門医の資格取得に配慮した研修制度を充実させる。また、県医療対策課の担当者がU・Iターンを希望する医師の出張面談を行うことや、県の医師向け無料職業紹介所「赤ひげバンク」について就職情報を充実させることなどを盛り込んだ。』

地域医療をするのだという志に燃えた医師も、その状況が悲惨ならばその地を出て行くでしょうね...。引き止めたいのであれば、いろいろなことを考えて環境を整備しなければなりません。

『一方、委員は、女性医師や看護師が子育てをしながら続けられる環境整備やへき地医療に携わる医師が研究や休暇で不在になった際の「県へき地代診医派遣制度」充実などを求めた。』

自治医科大学学長の高久先生のキモイリで作られたとされる、「へき地医療支援機構」という部署が各県にあります。設置していない所は「補助金」を削られるため、みんな「何とかして設置を...」と頑張りました。この部署の機能の一つに、「診療所などの代診」というのがあります。専任担当医が病気やその他の状況での診療停止に対して代診を行うのです。

でも、いくつかの自治体では....「骨抜き」となっています。当初、専任担当医は「地域医療に造詣の深い自治医大出身者が望ましい」とされていましたが、そのポストを「あまり地域医療の経験のない」先生に明け渡しているのです。その結果、「代診なんて行くのヤダ!」ということになり、代診機能が減弱あるいは消滅し....地域で頑張ってる先生方はふさぎ込む。という図式が生じているところがあります。

このような流用をおこなったところの自治医大卒業医師は「ココロが折れる」でしょうね....当然、その地域の医療は衰退するでしょう。

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2008年3月14日 (金)

病院はモノなのか?

2008年3月14日 曇り
グングン気温は上がります。でも、季節外れのインフルエンザは大流行。ロタウィルスによる急性胃腸炎の児....低血糖でぐったり。入院となりました。

さて、病院は売られるモノだ...といえそうです。先頃までは、厚生労働省管轄の国立病院。独立行政法人国立病院機構に譲渡されるもの、その場所の自治体に譲渡されるもの....。大きな変化でした。そして、今回....社会保険庁の解体に伴う全国の厚生年金病院、社会保険病院がこのような形になります。

社保病院はこれまでかなり優遇されてきた感はあります。私の故郷の病院も、大変な資産を抱え、その多くは絵画となりコレクションを形成しています。しかし、時代の流れ(というより、官僚の方々の余りに酷い目測誤りというべきか....)により、売られるモノとなります!

如何に日本の医療行政は陳腐であるか!それを如実に表す事例であろうと考えます。

記事は中日新聞から....。
社保病院を整理機構に譲渡 存続させ売却先検討、与党 2008年3月14日 16時27分
魚拓

『社会保険庁廃止に伴い整理合理化が計画されている社会保険病院(53カ所)と厚生年金病院(10カ所)について、独立行政法人「年金・健康保険福祉施設整理機構」にすべての病院をいったん譲渡し、存続させた上で「受け皿」となる売却先を検討する方針が14日固まった。自民、公明両党のそれぞれの専門会合で方針を確認した。』

それぞれの自治体などに売却されることが多いのであろうと思います。しかし、自治体で引き受ける場合も、今後のことを考慮すると、その経営形態は「公設公営」では行けない....。下手をすると自治体破綻です。なかなか売却は進まないのでは??と感じます。

『社保庁の健康保険部門が今年10月に新組織に移行するため、このままでは病院が消滅する事態となることから、当面の保有主体を整理機構に移すことで売却先の決定を「先送り」した形だ。医師不足など地域医療確保の必要性も考慮した。』

ホント....「こんなことを決めるヒトたちには責任なんてないのねー!」と大声で叫びたい気分です。コレだけの病院作って、立派な医療を行っている所もあるのに、社会保険庁がコケたから、「病院も知りません」。九州厚生年金なんて小児の先天性心臓病じゃスゴいレベルの病院ですよー。これがなくなれば(もちろんなくなるはずはないですが....)どれだけのヒトが困るか...。

『今後は売却方法について、黒字病院と赤字病院を組み合わせていくつかのグループに区分するか、個別の病院ごとに売却するかを検討する。「公的な医療機関としての存続が望ましい」との意見が多いことも踏まえ、適切な売却先の基準づくりも進める。』

病院はモノではないと感じます。血の通った生き物であると....。それを、生かすための智恵をしぼってほしいと思います。官僚の都合だけで左右されるのはたまらないと感じます。

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2008年3月13日 (木)

コワい手術

2008年3月13日 晴れ
ずいぶんとあたたかくなってきました。

さて、脊椎の手術は脊髄という神経の塊の近くにおいて行うコワい手技です。熟練した医師が施行すると、大抵は上手く行くのですが、やはり100%ではなく、術前に比較して麻痺が進行する等の「望ましくない結果」が起こることもあります。当然、術前には念入りに説明を行うのですが....結果が悪いと訴訟となる確率が高いのも、その特徴といえます。

新潟中央病院の医療過誤訴訟:仁愛会が控訴 地裁敗訴も「過失ない」と /新潟
魚拓

『椎間板ヘルニアの摘出手術で後遺症が残ったとして、新潟市東区の男性(55)に損害賠償を請求され、新潟地裁判決で敗訴した医療法人「仁愛会」(新潟市中央区新光町、小柳安衛理事長)が判決を不服として、東京高裁に控訴していたことが12日、分かった。仁愛会側の控訴を受け、男性側も同日までに控訴した。』

タイトルからして....悪意を感じずにおれません。

『同判決などによると、男性は04年6月、仁愛会が運営する新潟中央病院(同、山本康行院長)で手術を受けた。ところが、手術中に誤って脊髄(せきずい)の神経を傷つけられ、両足のまひや感覚障害などの後遺症が残った。

 男性は約1億円の損害賠償を求め、06年3月に提訴した。提訴前、過失を認めた病院は、男性に毎月43万円の生活費を支給していたが、裁判が始まると一転して「過失はなかった」と主張。新潟地裁は先月28日、男性の主張を認め、仁愛会に対し約8500万円の支払いを命じる判決を言い渡した。』

どのようにして誤って神経を傷つけられたのか?はわかりませんが....非常に繊細な手術であると思われます。また、長期間の圧迫により神経自体のバイアビリティーがなくなっていたのではなかったのか?(つまり、うまく手術をしても、結果は同じであった...)ということはないのか?などと考えてしまいます。

しかし、月43万円の生活費を件の病院からもらっていたというのは少し常識的な行動とは言いづらいのでは?と感じます。

『仁愛会側の弁護士は控訴理由について「医師には過失がなかった」と主張。さらに「仮に過失があったとしても、病院から男性に払った生活費約1000万円が遅延損害金に含まれるなど、納得できないところがある」と支払い額が不適当との考えを示した。

 これに対し、原告の男性は「生活費の分は相殺する、というのが当たり前の話なのに、一言もなく判決の翌日に控訴した。高裁に早く判断をしてもらいたい」と病院を非難。男性側の弁護士も「仁愛会側の主張には根拠がない」と争う構えだ。

 新潟中央病院の担当者は取材に「弁護士に任せているので、コメントできない」としている。』

うーむ、ここにも悪意が満ち満ちていますね...。高裁での判決が正当なものである様...祈るのみです。

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2008年3月12日 (水)

格差の拡大

2008年3月12日 晴れ
暖かいというより、少し暑くなってきました。
しかし、季節外れのインフルエンザの猛威はとどまる所を知りません。

さて、国民皆保険ではないアメリカの社会は、医療保険に入れない方々がいっぱい。そのような患者さんは、実質、医療を受けられず空しく亡くなっていきます。日本は国民皆保険ですが....持てるものと持たざるものとの間に大きな格差が広がってきており、医療保険の支払い能力がない方々には、当然、保険証の取り上げ等....厳しい処置が待っています。

日本の医療には確かに無駄のある部分があるでしょう....。MRIがほとんど全ての病院にある必要はありません。ただ、一つ前のエントリーで紹介しました...http://www.fukuyama.hiroshima.med.or.jp/iryou/shakaihoshou.htmlという文献では、日本が先進国の中で、ほとんど唯一といっていいほど、社会保障費を軽視している姿勢が伺えます。すなわち社会保障費は公共事業費よりも少ないということ! 道路などのインフラはある程度、整備する必要はありますが、過剰な投資は必要ありません。この部分を社会保障費に回すことにより、恐らく国民みんなが現状よりも少しだけ幸せに暮らせるのではないかと感じます。

持てるものがトコトン冨を吸い尽くすのではなく、そのうちのいくらかを皆に再分配できる社会であれば....と願います。世界中を見渡すと、良い例がないわけではないでしょう。

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2008年3月11日 (火)

医療費抑制の結果

2008年3月11日 晴れ
よい小春日和でした。

そろそろ国民の間にも理解されてくるのでしょうか?日本の異常な状況を....。

産經新聞の記事
救急搬送拒否 「医師不足」「病院減」背景に構造問題 連続勤務、36時間にも 3月11日16時38分配信 産経新聞
魚拓

『医療機関による救急搬送受け入れ拒否問題の背景には、医師不足や救急病院の減少など医療現場が抱える構造的問題があり、政府全体の取り組みが急務になっている。』

その通りです。国は重い腰をあげなければならないでしょう。

『医師不足は、平成16年度に導入された新臨床研修制度をきっかけに深刻化。新人医師が2年間、大学の医局を離れて研修に専念できる仕組みになったが、その裏で、医局が地方に派遣した医師を呼び戻すようになり、自治体病院を中心に医師が足りなくなってきた。このため、地域によっては勤務医の連続勤務時間が、当直を含めると36時間を超えるケースも珍しくない。』

深刻化したベースには潜在的な医師不足があったのです。そして、現場の医師たちは献身的な努力で現場を支えてきたのです。しかし、脆い崩壊しかけた状況に、追い打ちをかけるような楔が打ち込まれました。それが、新臨床研修制度であり、医療費の削減であったのです。そして、逃散は始まった。構造的な問題をそのままにしてきた政府、厚生労働省は罪が重いと感じます。

『自治体病院の経営に詳しい伊関友伸・城西大准教授は「救急の現場は患者を受け入れたくてもできないのが実態。医師が怠けているわけではない」と強調する。』

救急患者さんを受け入れることができなくて、搬送途中に亡くなったとの報道を目にすると、やるせなくなります。受け入れたくても、受け入れることができない。身を切られる様な選択を迫られているのではないでしょうか??報道からは....「医師は怠慢だ」というキモチが読み取れるとときも多いのです。

『政府はようやく重い腰を上げ、20年度から10年間は大学医学部の定員を増やすことを決めたが、地方のある病院長は「暫定措置にすぎない。医療費を抑制する国の基本的な考え方を変えなければ、医師不足は解消しない」と訴えている。』

厚生労働省はどの程度の医師数が適正か?どう考えているのでしょうか??10年間増員させただけでは、到底追いつかないような気がします。

因に、日本の公共事業費と社会保障費を国際的に比較したものがあります。
http://www.fukuyama.hiroshima.med.or.jp/iryou/shakaihoshou.html

この中には、『国が支出している社会保障,公共事業をそれぞれGDPで割った比を調べると,日本は社会保障に3.4%,公共事業に6%使っています.イギリスでは社会保障に12.4%,公共事業には1.4%しか使っていません.日本以外のすべての国は公共事業よりも社会保障を優先させているのに,日本だけが公共事業重視の政策を行っています.』という記述がみられます。

先進国の中では、社会保障費が公共事業費よりも少ない国はありません。それでも、政府は医療費抑制を続けたいようです。このような医療費抑制が遠因となり、現在の状況を起こしているのです。

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2008年3月 9日 (日)

偉業

2008年3月9日 曇り
肌寒い一日です。

西日本新聞の記事....
小児、産婦人科の窮状 医師らが報告 中津市で公開講座 3月9日10時7分配信 西日本新聞
魚拓

『中津市医師会が主催した公開講座「地域医療の危機を考える」が8日、同市の小幡記念図書館であり、地元医師会や中津市民病院の医師らが地域医療の現状などを報告した。』

同様な集会はいろんなところで開催されていますね...それほど、切羽詰まった状況なのでしょう...。

『中津市民病院の外科と小児科の部長は、医師不足に加え、安易に時間外医療を利用する患者が増加していることなどから「救急医療はギリギリの状態」「小児科医は時間外診療と電話対応に追われている」と窮状を訴えた。』

そうですね...。私も同じ日に別の場所で同じような内容を訴えていました....。

話しの場面は変わりますが....その別の場所で聞いたお話。「産科医の減少は全国的で、そして、普遍的なものである。その原因はやはり過酷な勤務、大野事件のようなトンデモ事件....産科医になろうという若い人は減少してしまうこと....。」「状況が変わらない限り、この傾向に変化はない。」ということでした。
その場では、広域のヘリ搬送などのお話も出たのですが、産科救急では都道府県を超えた搬送体制の整備がこれからは必須となるだろうとの予測も示されました。

その中で、日常的に新聞を賑わせている、「産科救急を受け入れることができない問題」については、我が県ではほとんど発生していないことも報告され、その要因として、「新生児側から大きく発展した周産期システムの整備」があったからであるとされていました。(当然、それに伴う産科側の協力は大きいものがありました。)たしかに、私が研修医のころより、専用の新生児ドクターカーがあり、何度も乗ったな....。などと思い出します。

この体制整備をはじめたのは、私を小児科医として育ててくれた恩師の一人でした。今になって、その偉業のスゴさを感じます。

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2008年3月 6日 (木)

3次医療機関の保護

2008年3月6日 晴れ
朝は一面の霜でした。気温の高い日と低い日が交互にやってくる様な感じで....気管支喘息の児が悪くなります。

さて、埼玉県立小児医療センターのお話....神奈川や長野にある県立こども病院と同じく、重症例を扱う3次施設であると考えられます。このような、高度医療センターは重症例を扱うに特化しており、1次救急を扱い始めると業務が滞るコトになると思われます。

でも、何にも理解しない某N県前知事は『県立こども病院で1次救急をせよ!』と厳命を下しました。拙ブログ:それぞれの病院の役割には、それに関した項目を書き留めています。

入り口の1次、2次を診る病院。重症で大変手のかかる患者さんを手厚く診る3次施設。これらの住み分けが上手く行かないと、その地域の患者さんは不幸になります。

県立小児医療センター:時間外受診の軽症患者に、診察料4200円上乗せ検討 /埼玉 3月6日13時1分配信 毎日新聞
魚拓

『県病院局は、県立小児医療センター(さいたま市岩槻区)で時間外(夜間・休日)に受診する軽症患者に対し、診察料金に4200円を上乗せして徴収する検討を始める。軽症患者の急増で重症患者の診療に支障が出ているため。伊能睿(さとし)・県病院事業管理者は「いろいろと努力している最中なので、あくまで最後の手段」と話している。
 上乗せ分は保険対象外のため、軽症患者は全額を窓口で支払うことになる。時期や軽症と重症の判断基準などは決まっていない。』

特定療養費となるのでしょうね....。紹介状、或は救急車にて来院した方以外は、4200円払っていただくということでしょう。小児医療センターで管理している重症患者さんのためには、ひょっとするとこういった方法も考慮しなくてはならないのかもしれません。

『同センターは本来、地域の医療機関では対応できない最重度の患者を医療機関からの紹介で受け入れる三次救急病院。しかし、小児科医不足などで県内各地の救急体制が整わなくなったため、02年から紹介なしの外来患者の受け入れを開始した。その結果、06年度の患者数は1万1180件と02年度比2・7倍に増加。このうち75%を占める紹介状なしの外来患者のほとんどが軽症だった。』

残念なことです....。本来ならば、重症患者さんのフォローに全力を尽くすべきであるのに...です。医療を提供する側の体制整備はもちろんですが、受診される患者さんにも、ある程度のトリアージができると受診の集中がなくなり、良い方向に動くのでは?と感じることもあります。
実際に兵庫県立柏原病院小児科を守る会では、地域の保護者有志が自分たちで時間外に受診するべきかどうかをトリアージするチャートを作成しています。

医療者側、そして医療を受ける患者さん側、双方で歩み合わなければならないのでしょう!

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2008年3月 5日 (水)

医師数に関する記事...

2008年3月5日 晴れときどき曇り
寒い一日でした。

『うーむ』とうなる記事。やはり、マスコミの方々の認識はこの程度か??

【風】医師 警察官より多いのに… 3月4日16時35分配信 産経新聞
魚拓

『救急医療を取り上げた風もそろそろ大詰め。全体を通じて、多くの医療関係者から寄せられた共通する声は、「医師不足」だった。まずは大阪府内の大学病院に勤務する看護師から。

 《医師は一日中、外来診察、手術、病棟勤務をした後に当直をし、また翌日には同じ勤務です。夜中に患者対応があると、本当につらそうです》

 大阪府南部の救命救急センターの医師は、センターの医師の定数などが約30年前の想定に基づいて決められており、現状にそぐわないとした上で、こう訴える。

 《仕事量がここ10年で大幅に増加しており、現在の医師数では正直全く対応できません。労働基準法を順守して医師を完全2交代や3交代制にするなら、現在の2倍程度は必要です》』

現場の声を反映したものと感じますし、理解できると思います。現状では、どこの医療機関も大変でしょう....。

『日本の医師数は平成18年の厚生労働省の調べで約26万3000人。全体の医師数は増加傾向にはあるが、先進国で比較すると圧倒的に少ない。OECD(経済協力開発機構)に加盟している国の人口1000人あたりの医師の数は平均3・1人。日本は2人だ。平均に達するまで、10年かかるとされている。』

恐らく、10年かかってもそのレベルには達しないでしょう。厚生労働省の言葉に惑わされてはいけません。また、各国の医師算定基準はどうなっているのか?これは解りませんが....日本の医師数を医籍により算定しているならば、実働の人数とはかけ離れていると感じます。超高齢で、医師としては働けていらっしゃらない先生も含まれるのでは??
日本における、実働の医師は当然、1000人当たり2人を切るでしょう。

『とはいえ、その数は日本中の警察官(約25万5000人)よりも多いという意外なデータもある。つまり、医師の配置のバランスが悪いのだ。特に特定の診療科の減少が際立っている。』

これは悪意を持って書いているのか?それとも、御理解が足りないのか?まず、警察官の人数と医師数を比べてどうしようというのでしょうか?担当してる分野がこれほどまでに違うのに、単純に数だけの比較が可能と考えるのでしょうか??警察官の方々にも失礼であると感じます!
前述の通り、実働の医師数はこれよりも遥かに少ないと考えられますし、なおかつ診療科間の偏在があり、医師不足に拍車がかかってるというのが本当の所でしょう。この記事は、世間をミスリードしかねません。

『大阪府内の40代の医師は《今の医療界では、若い医師ほど絶望しています。新人はつらい科は避けて楽な仕事を目指します。卒業して産科・小児科・外科・内科を目指す人は激減しています》とし、《業界内では、今のペースでは10年以内には外科を目指す研修医は日本全国でゼロになるといわれています》。』

これは本当のことでしょうね....。本当に崩壊しないと本当の意味でのご理解が得られないのかもしれません....悲しいことですが....。

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2008年3月 3日 (月)

未収金問題の行く末

2008年3月3日 晴れ時々雨
黄砂が飛んでいます。クルマはドロドロ....。

さて、日本では医療がかなり安く手に入ります。→拙ブログ:医療の値段

フリーアクセスですので、感冒などでナショナルセンターにかかることも可能です。そして、それが当たり前になっており、夜間でも医療機関に行くことを躊躇うヒトは少ないといえます。「空気のように当たり前に存在する」日本においての医療はそういう感覚かもしれません。

一方、医療の世界では患者さんを診るために相当な努力を払っています。ひとたび重症患者ともなると、多数のスタッフが呼び出され、高価な医療機器、高額な薬剤が使用されます。感冒で受診されたとしても、診察料、薬剤料などやはり医療費はかかっているのです。

決して、医療はタダではない。でも、特に公立病院に受診される方々の中には、医療費を払っていただけない人たちが一部存在します。そして、これは、医療の根幹を揺るがす様な大きな問題に発展しつつあります。

治療費回収強化へ法整備 資産差し押さえも 3月3日8時0分配信 産経新聞
魚拓

『患者が医療機関に治療費を支払わず病院経営を圧迫している未収金問題で、厚生労働省は、国民健康保険などの保険運営者(市町村や企業の健康保険組合など)に治療費回収の肩代わりを求める「保険者徴収制度」の運用を強化するため、訪問回収や資産差し押さえを含めた法整備に乗り出す方針を固めた。』

いよいよ、その方向に動き出した様ですね...。悪質なもの(支払い能力が充分にあるのに、払わない)についてはやはり罰則は必要であろうと思います。

『同省はこれまで、未収金について医療機関だけに回収努力を求めてきたが、「これ以上放置できない」と判断。昨年6月に四病協などの医療関係団体や保険運営者、学識経験者などが参加する「医療機関の未収金問題検討会」を設立。保険運営者による未収金患者への文書催促▽訪問回収▽資産差し押さえ−など回収手段に特化した法整備を検討するなどして、条文の周知と有効な運用を促すことを決めた。』

病院の医療事務の方々が、電話で督促しているのを聞いたことがありますが、他のことでも忙しいのに、更に督促するための電話をかけるなど、『大変だな....』と感じたことがあります。
この仕事が、ある程度保険者の方で出来る様になることは現状ではアップアップの医療機関の負担を若干でも和らげるものとなると感じます。

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2008年3月 2日 (日)

『どん底』の意味...

2008年3月2日 晴れ
いよいよ、梅は満開。春の足音が聞こえてきます。

私はクリスチャンでもないし、これといった宗教に入信しているわけでもありません。むしろ、ダン・ブラウンの『ダヴィンチコード』などは『うーむ、よくできている』と面白く読む方ですが....。結構、愛読するのは曽野綾子さんという、カトリックの作家さんです。

そして、このような、閉塞された状況になると...家にあるエッセイ集などを読みふけることとなります。(一種の逃避か?)

彼女が日本財団の会長をしていた時の日記がまとめられていますが...。その1997年2月24日分には...。

『これ以上悪くなりようがない、という状態は、希望に満ちたどん底なのだ。もう運命は上りに向かうしかないのだから。』

まだまだ、日本の医療はしばらくの間、どん底に向かって落ちて行くでしょう。しかし、どん底(つまり『焼け野原』)となったとき、はじめて、いろいろなことが理解され、そして希望をもって上りに向かって行けるのかもしれません。

『どん底』には、それなりの意味がある。そんなコトを考えていました。

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2008年3月 1日 (土)

都市部でも崩壊...

2008年3月1日 晴れ
少しづつ春の気配を感じるような一日でした...

今日は地域の輪番の日...結構たくさんみえていただきました。

さて、いわゆるへき地やいなかだけでなく都市部でも医療は崩壊し続けています。福岡でも北九州市立病院の維持は困難なようです。このような医療崩壊を招いた厚生労働省の責任は重い!といえます。

師不足:市立若松病院、内科を規模縮小 入院患者に転院要請へ /福岡 3月1日18時1分配信 毎日新聞
魚拓

『市立若松病院(若松区浜町1)が今年6月以降、医師不足から内科の規模を縮小することが分かった。市病院局が2月市議会で明らかにした。6月から新規入院を受け付けず、外来診察に充てる医師も現在の4〜5人から1〜2人程度に減らす方向で調整している。』

全国各地で起こっている病院の縮小、閉鎖の災禍がここまで来ています。原因は明らかに医師不足で、大学病院を維持するために医師が必要なため、近隣の関連病院から医師の引き揚げが起こるといったものです。

『6月からの新体制は、非常勤医師3〜4人で運営される可能性が高い。このため同院は新規入院患者の受け入れを中止し、2月末現在で48人いる入院患者に、遅くとも5月末までの転院を要請する考えだ。転院先については「今後患者と個別に相談する」(総務課)という。
 平日の外来診察は継続されるが、充てられる医師数が現行の半分以下になりそうなことから、現在1日平均100人前後の外来患者受け入れ数が減るのは避けられないという。』

入院患者さんの転院がスムーズに進むことを祈ります。同時に、医療を受給されている皆様には、この状況になるまで手をこまねいていた政治に対してギモンをもっていただき、次回の国政選挙ではキチンとした選択を行っていただければ幸いです。

『入院中の知人の見舞いに来た若松区内の主婦(70)は「この地域にはほかに大きな総合病院がない。内科がなくなると困ります」。八幡西区から外科を訪れた男性(61)も「入院患者が多いので内科がなくなったら大変ではないか」と驚いた様子だった。』

驚きますが...医療の現状はこのような非常にお寒い状況なのです。都市部にも医師がいない。つまり、医師の総数は足りない。そして、いままで「都市部への偏在」という言葉で責任逃れをしてきた厚生労働省の罪は決して軽くないということを認識して下さい。

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2008年2月29日 (金)

こちらでも...

2008年2月29日 晴れのち雨
比較的暖かい一日でした。

こちらでも、小児医療の崩壊が進行しています。

医師不足で小児科夜間救急を中止 鈴鹿中央総合病院 2月29日11時29分配信 中日新聞
魚拓

『【三重県】鈴鹿市内の救急患者を受け入れているJA三重厚生連の「鈴鹿中央総合病院」(同市安塚町)が、夜間の小児科の救急受け入れを中止した。小児科医師不足が原因。同市内では小児専門の二次救急医療機関は同病院しかなく、住民からは「地域医療が心配」との声が上がっている。市は小児科医師を派遣している三重大医学部(津市)と協議するため、日程調整に入った。』

地域の小児医療はギリギリの線まで追いつめられています。医局との話し合いでも恐らく結果はおなじでしょう。

『鈴鹿市によると、病院側から「2月から平日は午後10時半以降、休日は午後5時からの診療ができない」との通知が1月29日、「FAXで突然送られてきた」という。』

うーむ、どうも悪意を感じてしまうのですが...この表現は....。

『同本部によると、鈴鹿中央総合病院の小児科医師が対応したケースは年間70件近くあり、市には「病院まで遠くなり心配」との声が寄せられている。

 同病院は「これまで三重大医学部の医師3人で対応してきたが、24時間態勢では臨床と研究の両立ができないという医局の意向」と説明している。』

24時間体制だと、最低7人の小児科医が必要だと聞いたことがあります。この病院には何人の小児科医がいたのか?ははっきりしません。

研究も医師の仕事の一つです。それが阻害されるのであれば、派遣できないということでも仕方がないでしょう。時間外にどれだけの「本当に救急処置を要する患者さん」が来ていたのか?全体の時間外外来数も見てみたい事例です。

ほとんど、眠れなかったのでは?ないかと....ここでも、人間としての最低限の生活が保障されないから医師は去って行くのでしょうね。

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2008年2月28日 (木)

地域医療_最近感じること

2008年2月28日 晴れ
準夜帯に入院があり、結構遅くなりました...。

最近思うこと...。
地域医療は医療者にとって余り魅力のあるものとはうつりません。専門性を磨くとか...医師としてのキャリアアップを積めなさそうだ...とか、家族の教育のことなどなど.....。やはり、都会の方が魅力的にうつります。

とすると...地域に根ざした医療を続けてくれる医師を作るならば...それ相応の魅力を感じれる環境を作らなくてはなりません。学問の問題はあるでしょう、家族の問題も解決しなくてはなりません。そして何より、人間らしい生活ができることも重要ではないかと感じます。

例えば、若い女医さんが結婚してへき地勤務しなければならないとします。通常は旦那さんと一緒には住めないでしょう。でも、何とかして近くに住まわせてあげる。妊娠した時には、産休ぐらいはキチンととらせてあげて、旦那さんと一緒にしてあげる。

そんなことでもなければ、地域に行ったって、辛い思いだけが残るのでは??

最低限の人間らしい生活を保障しないから、医師は逃散するんだと思うし、誰が辛い思いだけした地域に残って医療を続けようなどと思うでしょうか?

そのような地域は医療が崩壊して行くと思います。行政の都合、面目で自由に将棋の駒のように動かされ、そして、辛い思いをさせられたところには医師は寄り付きませんし、私も自信をもって『自分の卒業大学に入学しなさい』などとはいえません。

人間味のある人事を期待するのみです...。

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2008年2月25日 (月)

医療の値段

2008年2月25日 晴れ
朝方は冷え込み一面の霜でした。

産経新聞の記事。
【風】医療費抑制策が崩壊招く? 2月25日16時32分配信 産経新聞
魚拓

『救急医療をめぐり、1カ月以上にわたって続いた今回の「風」。そろそろまとめに入っていきたいと思う。堺市の40代の開業医は、わが国の医療態勢について根本的な問題点を寄せた。

 《国が進める医療費の抑制策が、医療崩壊を推し進めているのではないでしょうか》

 この開業医は、ここ10年ほどの医療政策はすべて裏目に出ており、現場は疲弊しきっているという。』

うーむ。その通り...でしょうね。少なくとも、勤務医(もちろん開業医の先生もですが...)は国の医療費削減策と日々高度になる要求に疲弊してしまっていると思います。

『《病院の収入は減少し、全国で自治体病院が赤字で閉院に追い込まれています。この10年、給料は上がらないのに仕事は高度化されて専門性は増し、責任は増えるばかりです》

 開業医は《先進医療は当然高度な設備を必要とします。しかし医療費の抑制で収入が減り、特に救急医療はやればやるだけ赤字が増えるのが現実です》と現状を指摘した上で忠告する。

 《24時間最高の医療を求めるならば、医療費が増大するのは当然です。当直医に複数の専門医をそろえ、看護師やレントゲン技師も充実させなければならないからです》

 《しかし、日本の保険医療は国が価格を統一しているので、費用を下げているのに最高の結果を求められる現状は、現場にとっては酷な話です》』

かなり、核心をついています。

『消化器外科の勤務医(46)は、《例えば、虫垂炎の手術料は6万2000円あまりです》としたうえで、メールをこう続ける。

 《夜中に緊急手術で呼び出されても、わずかに上乗せされる程度です。ここから医師2人と看護師2人の人件費と、手術材料費を出さなければなりません。その上、翌日は通常の勤務が待っています》

 《専門性が高く、消化器外科でもできる人が少ない膵臓(すいぞう)がん手術でも、部位によっては30万円ちょっと。車の車検に20万円くらいかかるご時世に、命の値段はこの程度です。お金かコネがないと、手術待ちが半年なんて時代は、すぐそこまで来ています》』

日本と諸外国の虫垂炎での入院費用および入院日数を表にしたものを得ました。東京では7日間で38万3700円、香港は4日間で152万6000円、ニューヨークでは1日間で243万9000円、北京でも4日間で47万8000円です。手術料のみならず入院費用でも日本は格段に安いことが伺われます。

Byoki20051202

現在の日本は、高度な医療を安く手に入れられるように出来ています。そのため、病院の1ベッド当たりの職員数は欧米の約5分の1、人口あたりの医師数はOECD各国のなかで、ほぼ最低レベルです。医療費は対GDPベースで米国の約半分ということも頷けるでしょう。

このままではイギリスが現在経験中の医療崩壊が現実のものとなります。適切な社会保障費の支出がなければ、国は荒廃してしていきます。

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2008年2月23日 (土)

フリースクールへの補助金

2008年2月23日 晴れ
風が強く、土ぼこりが舞い上がった一日でした。関東では春一番であったようです。

さて、様々な環境の変化などから、学校に行けない児が増えてきています。日常診療の中でも、不登校の児をみることは決して珍しくなく、相談を受けることが多くなっています。私自身は、なかなかその児たちに『何かをしてあげる』ことはできませんが....今後は、もう少し勉強を積んで、適切に関わっていけるといいなと感じています。

さて、その不登校児たちを迎えるフリースクールという正規の学校ではない『学校』が増加してきており、様々な原因で通常の学校に登校することができなくなった児たちの勉強の場となっています。全国で約400から500程度は存在するようです。

フリースクール 福岡県が全国初の補助金制度 2月23日16時50分配信 毎日新聞
魚拓

『不登校の小中学生が増え続ける中、福岡県が今年度、民間の小規模フリースクールへの補助金交付制度を始めた。初年度は600万円を予算計上し、今月、支給する4施設を決定した。行政がフリースクールの日常の運営資金を支援する制度は都道府県では初めてとみられる。』

フリースクールはほとんどが小規模で税制上の優遇なども受けられないでしょう。運営もそんなに容易いものではないはずです。

『生徒数人の小規模なフリースクールは子供にとって居心地の良いケースが多い半面、運営資金に窮する例もあり、福岡県は補助金支給を決めた。子供たちの学校復帰や自立支援を目的とし、NPOや財団など公益法人のフリースクールで、小中学校が施設での学習を出席扱いしてくれることなどが支給条件。今年度支給は福岡市3施設、大牟田市1施設。』

学校に行けなくなったこどもたちにとって、フリースクールはかけがえのない大切な場所であると感じます。ただ、小規模であるだけに運営は難しくなると思います。それを、行政が補助するのは悪いコトではないでしょう。

『NPO法人フリースクール全国ネットワークの奥地圭子代表理事の話 子供たちが安心して学べる場を保障していくことは大切。学校復帰だけにこだわらず、子供の意思を尊重すれば、福岡県の補助は非常に良い制度になるだろう。』

学校に行きたくても行けないこどもたちがいる。そのこどもたちの意思は尊重すべきであるということなのでしょうね....。

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2008年2月22日 (金)

錯綜

2008年2月22日 晴れのち雨
雨のためか...暖かい一日でした。

さて、昨日のエントリーに関連した動きです。厚生労働省の「診療行為に関連した死亡に係る死因究明等の在り方に関する検討会」(座長=前田雅英・首都大学東京法科大学院教授)はこれまで12回の会合を開いていますが、その議論は「会議は踊る、されど進まず」さながら錯綜を続けている様です。

「再発防止」に方向転換、議論が錯綜 2月22日21時20分配信 医療介護情報CBニュース
魚拓

『「個人の責任追及を目的とした制度」という批判がある医療事故調査委員会について、厚生労働省は「医療安全」や「再発防止」を目的とした制度であることを強調している。厚労省は「死因究明等の在り方に関する検討会」で、再発防止に重点を置いた「業務改善命令」や「再教育」などの行政処分を提案し、大筋で了承されている。しかし、医療界からの反発を受けて方向転換を図ったため、再び議論が錯綜してしまった。』

どうも、流れている情報を見聞きすると『医師を罰するための組織を作る』という感覚でみてしまいます。医療界は「大野事件」「奈良事件」を経験しているだけに、危惧する意識は強いといわざるを得ません。

『これまでの意見を集約すると、制度の目的として(1)真相の究明、(2)患者の納得、(3)再発防止、(4)責任の追及、(5)被害者の救済——などが挙げられている。
 厚労省が昨年8月に公表した中間的な取りまとめでは、「すべてのベースになるものが真相究明」としており、上記(2)〜(5)よりも真相究明を重視している。「真相究明」は「責任追及」につながりやすい。
 しかし、この検討会の第1回目を開催する前の「試案」(07年3月公表)の段階では、▽患者にとって納得のいく安全・安心な医療の確保、▽不幸な事例の発生予防・再発防止等——の2つが挙げられており、上記(1)よりも(2)と(3)に比重があった。』

真相の究明ができなければ医療事故を調査する意味はないでしょう。しかし、真相を確かめるためには自由に意見を言える環境作りが必要です。実際にはインシデントレポートなどで使われている考え方の「免責」ということが必要です。「真相を話したがために、自分に懲罰が下るということ」になると、真実はでてこなくなります。現在の医療水準に比較して著しくかけ離れた過失や故意により生じた医療過誤は処罰する必要があるでしょう。それを適確に判断でき、そして公平性を保った組織にするべきです。(これが難しいでしょうけど...。)

真相が上がってくれば、再発防止の観点で動くことが出来る様になるでしょう...。しかし、これも大きな仕事で、それなりの大きさをもった組織が必要です。

患者の納得については、早期に真相を解明し、必要であれば当事者による謝罪を行うことが必要で、患者さん側への精神的サポートも必要です。また、これが重要ですが「誤った事実に基づいて謝罪が行われるべきではない」ということです。不幸にして事故に見舞われた患者さんを支えること...これが重要なのではないかと感じます。そういった観点で行くと、事故に遭われた患者さんに近いところでの活動が重要で、日本の各ブロックに一つといった組織ではどうにもフットワークに欠ける様な気がします。むしろ、各病院内に専門部署を作り、残念な事故が起こった際に「すぐに患者さんのもとに行き、必要なフォローを行う」とした方がいいのではないかと思います。

『このように、「出口」(ペナルティー)の部分で再発防止に重点を置くならば、「入り口」(届け出の範囲)を広げる必要性が出てくる。事故の予防や医療安全に役立つのであれば、故意・重過失や悪質事例に限定せずに、軽過失の事例や判断が難しい事例を広く届け出る制度にする方が一貫するだろう。』

入り口を広げることには賛成です。多くの事例から、今後の糧とするべきです。しかし、そうすると、どうしても組織は肥大化します。肥大化すれば、当然「お金の問題」が絡んできます。しかし、日本は社会保障費よりも公共事業費が多い国です。再発防止で患者さんのためになるのであれば、そこにお金をつぎ込んでもいいのでは??と感じます。

『この日、東大病院救急部の矢作直樹部長が参考人として出席した。29事例の振り分けが適切かどうかについて意見を求められ、次のように答えた。
 「個々の事例ではなく、制度設計の問題について述べたい。医療安全の向上に資するためという目的であるならば、入り口では届け出を多くして、(届け出なかった場合の)ペナルティーを抑える。そして、出口の行政処分のところは社会常識的で妥当な結論に落ち着くようにすべきだ」
 その上で、矢作参考人は「厚労省のフローチャートと実際の事例にはかい離がある。このフローチャートだと、届け出が不要になる事例が多くなるのではないか」と述べた。』

この考え方には同意します。厚生労働省は、ここで入り口をしぼってはいけません。(その裏には、「お金の問題」があるんでしょうけどネ)

『今回、厚労省は「再発防止」を強調しながら、「届け出の範囲」を限定的にしたため、再び議論が錯綜してしまった。』

この委員会はきちんと作るべきです。それができなければ、日本の医療は衰退するでしょう....。

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2008年2月21日 (木)

息の根を止める

2008年2月21日 晴れ
満月です。

さて、厚生労働省主導で検討が続けられていた医療事故調ですが....なにやら、アヤシい方向へ進んでいますね...。これが通れば、まず間違いなく日本の医療は「息の根を止められそう」です。

<厚労省>医療機関に改善命令 死亡事故で法改正へ 2月21日15時1分配信 毎日新聞
魚拓

『重大なミスなどで患者を死亡させた医療機関に対し、行政が業務改善命令を出す制度の創設を、厚生労働省が検討していることが分かった。医療事故に対する行政処分は、これまで刑事罰を受けた医師個人にしか実質的に行われておらず、厚労省は「医療機関全体の安全体制をチェックすることで、システムエラーの改善につながる」と期待する。今国会で必要な医療法改正を目指す。』

これまでは医療機関に対しては行政罰を下すことができなかったんですね...。そうです...。でも、社会的制裁はマスコミの方々から相当に受けていたと思うのですが...。

『過失による医療死亡事故が起きた場合、現行では行政が医療機関の責任を追及することはなく、医師個人への医業停止処分なども刑事事件化されたケースにほぼ限られている。しかし「個人の処分だけでは、複合的な要因で起きる事故に対応できない」との指摘もあり、厚労省は再発防止を主眼に行政処分の見直しを急いでいた。』

ここまで、処分...処分という記述が続くと、医師は多分....滅入ってしまうでしょうね...。そして、医療は萎縮する。また、福島県立大野病院事件のように、医師側からみて『過失なし』の事例においても、起訴されることもあり、刑事事件化された事故が『本当に起訴されるに相当するか?』ということもあります。

本来、医療事故は「非常に裁くのが難しい」ものであると感じています。明確な過失が無くても結果が悪ければ、遺族の処罰感情に配慮して検察が動く現在では、このような処分のあり方では不公平であると言わざるを得ません。

『新設する業務改善命令は、10年度にも発足する死因究明の第三者機関「医療安全調査委員会(仮称)」と連動。調査の結果、▽故意や重大な過失▽事故の繰り返し▽カルテの改ざん−−などが判明した場合、国か自治体が安全確保の計画書と再発防止策を出させる制度を想定している。命令に従わない場合は、管理者の変更や施設閉鎖を命じる。

 また、医師個人に対しても、調査委で重大な過失などが認定されれば、刑事処分を待たずに処分する方針だ。』

この記事からは、医療事故の際、医療機関、医療者を処罰することしか読み取れません。しかし、不幸な事故が起こった際、一番重要なのは被害者、あるいは遺族などへ真実を告げること(それも可及的速やかに)、そして謝罪を含む精神的サポートであろうと(あくまで私見ですが)感じています。

処罰、処分が前面に立てば、医療者は口を固くし、真実は出て来なくなるでしょう。そして、誠意をもった謝罪はできなくなる。医療は萎縮し、今ならできるかもしれない処置を、少しの危険があるから躊躇うことが出てくると思います。

もちろん、重大な過失に関しては処罰は必要かもしれません。しかし、処罰の前にはもう少し出来ることがあるのでは?そして、それは患者サイド、医療者サイド双方をより幸せにするものかもしれません。

追記です。ステトスコープ・チェロ・電鍵:医療事故調、厚生労働省の本音 に同じ記事を参照したエントリーがあります。参考になりますので、是非御一読を...。

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2008年2月20日 (水)

スゴい年俸...

本日、2稿目です。

ちょっと物議を醸しそうな記事です。

3500万円で麻酔科医を募集 市立泉佐野病院 2月20日16時46分配信 産経新聞
魚拓

『大阪府泉佐野市立泉佐野病院が、公立病院では異例の高額となる最高3500万円の年間報酬を条件に麻酔科医3人を募集していることが20日、分かった。』

うーむ...余程の勤務状況なのかな?と....。

『最近の医師不足に加え、現在の常勤麻酔科医4人が3月末で辞職することが確実になっていた。』

何故、一気に辞められるのでしょうか??(素朴なギモンです。)

『病院によると、年間報酬は勤務日数に応じて2500万〜3500万円。経営トップで特別職の病院事業管理者の2倍以上となる。病院の常勤医師は平均1350万円程度という。』

訴訟のリスクや勤務の激しさなどを考え合わせると、相当な額なのかもしれません....。日本ではアメリカ合衆国などに比較して、勤務医の所得はかなり低いといわれております。部長クラスであると(アメリカでは)このぐらいの年俸であるとも聞いたことがあります。

でも、いつぞやの産科医の先生のように....『病院に住んでね』と暗に示される様な事態にならなければいいですが....。

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救急車の私的利用...

2008年2月20日 晴れ
朝は一面の霜でしたが、日中にかけて気温がグングン上がりました。

さて、この一件は...奥様からの連絡が正規の手順を踏んでいても...『私的利用』となったのでしょうか?

藤沢市消防本部:救急車を私的利用、救急隊長を懲戒処分−−南消防署 /神奈川 2月20日15時1分配信 毎日新聞
魚拓

『◇帰宅し、病気の娘運ぶ
 当直勤務中に救急車で帰宅し、その救急車で病気の次女を私的に運んだとして藤沢市消防本部は19日、同市南消防署警備1課の男性救急隊長(59)を停職42日に、帰宅を認めた上司で同課の男性主幹(56)を戒告の懲戒処分とした。隊長は19日、依願退職した。』

ここまでの記述では、『こんな救急のお寒い御時世になんてことを....』という感じですが...。

『市消防本部によると、隊長は1月19日午後5時過ぎ、南消防署苅田出張所(同市本鵠沼4)で、茅ケ崎市内の自宅にいる妻から携帯電話で20代の次女の容体急変を知らされた。南消防署で当直責任者をしていた主幹に「様子を見に行きたい」と連絡。主幹は救急出動に支障がないことを条件に、同じ隊の隊員2人を乗せて救急車で帰宅することを認めた。』

この時の連絡が、正規のルートのよるもの(つまり119番経由など...)であったなら話はどうなったでしょうか?『帰宅』ではなく『出動』であったのでは??

『救急車は5時21分ごろ出発し、一時サイレンを鳴らして約3分後に自宅に着いた。次女はすぐ意識を失い、隊長は次女と妻を救急車に乗せて、通院している茅ケ崎市立病院にサイレンを鳴らし約10分かけ搬送した。出張所の救急車は1台だけ。6時35分に戻るまで出動要請はなかった。』

病態は何であったか?はこの記事からは読み取れませんが...けいれん?転換性障害?過換気症候群??いずれにしろ、意識消失を来すほどの状態であったということは、医療機関に搬送するに十分な状態であったのではないか?と推測されます。

『隊長は「今までにない症状で動転した」と釈明したが、消防本部は「出動する必要があったら支障を来たした」として、懲戒免職に次いで重い停職6月に当たると判断。隊長は3月末で定年のため、残り42日間の停職処分とした。
 金子司洋消防長は記者会見し「職務を忘れ、救急車を不適正に利用したことは信用失墜行為に当たる」と謝罪。南消防所長ら3人を文書訓告し、隊員2人も文書で厳重注意した。』

この次女さんを病院に運ぶことは、隊長の奥様だけで可能だったのでしょうか?意識のない方を運ぶのはある程度の体力と、経験が必要だと思います。隊長宅でない、通常の家であったなら当然、救急車を要請していると考えられます。例え、この事案が隊長宅でのものであっても、それが正規のルートを経た救急車の要請であったなら処罰の対象にはならなかったのでは?と感じるのは私だけでしょうか??

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2008年2月19日 (火)

空洞化

2008年2月19日 晴れ
寒さは一段落といったところです。

さて、国は現在の医師不足を偏在ではなく、総数で不足しているとの認識を示した所ですが、それは充足している地域はないということを認めたことなのではないか?と考えます。東京などの大都市圏においても、救急医療に関しては医師不足が進行し、まさに空洞化の様相を呈しているとの情報を得たことがあります。

当然、救急車も受け入れ先を、なかなか見つけることができず搬送に時間がかかることになります。その中でおこるのは、こういった出来事です。

15病院が受け入れ拒否 61歳女性、容体急変し死亡 2月19日13時19分配信 産経新聞
魚拓

『東京都小平市の女性(61)が14日、救急搬送中に15病院に受け入れを拒否されて心肺停止状態になり、約3時間半後に死亡していたことが19日、分かった。』

残念な出来事です。東京でも救急医療の空洞化が進行している証左となるでしょう。大都市圏でも、医師不足は進行し、偏在だけでは現状を説明できません。

『東京消防庁などによると、14日午後5時35分ごろ、女性の容体が悪くなったことから、家族が119番通報。8分後に救急車が到着したところ、女性は意識があり、呼吸や脈は安定していた。救急隊員が搬送先を探したが、15病院が「ベッドが満床」「処置が困難」などを理由に受け入れを拒否したという。15病院の中には女性が同日まで検査入院していた小平市の公立昭和病院も含まれていた。』

記事には悪意を感じます。どこの医療機関も当直医は外来患者さんや救急にて手一杯の状態であったのでは?と考えます。なぜなら、私の勤務する「いなかの病院」でも当直時には外来患者さん、救急車の対応でほとんど眠れない状態となることが多いからです。検査入院していた病院の名前をわざわざ記事に記す必要はあったのでしょうか?

『搬送先が決まり、午後7時25分ごろに出発したが、女性の容体が急変。心肺停止状態になったことから、救命対応ができる立川市内の病院に搬送したが、午後9時すぎに死亡したという。

 公立昭和病院は「当直医が重症の入院患者の治療にあたっていたため、受け入れができなかった」としている。』

「当直医は本来、入院患者さんの対応のために当直をするものである。」と聞いたことがあります。しかし、現状では(私の病院でもそうですが....)外来患者さんの対応に追われ、救急車の対応に追われ、病棟の患者さんの急変にも追われというのが真相です。これでは、「当直」ではなく通常の「夜間勤務」と考えなければなりません。もちろん、瀕死の状態の救急患者さんを正当な理由なしに拒むのは、倫理上許されないことと感じますが、病棟で急した患者さんが居て、その対応に追われていたのであれば仕方がないことと考えます。

このように、瀕死の重症患者さんが受け入れられずに亡くなって行くのは....一つには国の無策があると思います。ギリギリの医療費(日本はGDPベースでいうと先進国中ほぼ最低レベルの医療費です。)を更に削るため、医師数の制限を行う。このことにより、先進国中ほぼ最低レベルの人口当たり医師数を日本では達成しています。(皮肉なことですが....)病院勤務の劣悪化から、勤務医は逃散し、地域の救急を支える人間は激減しました。更に、時間外での受診者は減るどころか、増え続け現場はパンクしています。

このような、国によって作られた医療現場のパンクが、重症救急患者の受け入れを拒む素地となっているのです。記事は受け入れを拒んだ施設名を名指しで掲載するなど、医療者に対して悪意をもって書かれています。しかし、この記事を書かれた記者の方はよく考えて下さい....。なぜいま、このような状況が生じたのか?そして、どうすれば良い方向に持って行けるのかを.....。

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2008年2月18日 (月)

2月18日_不当逮捕の日

2008年2月18日 晴れ
風はなかったのですが、とても寒い一日でした。

さて、2年前の2月18日に福島県立大野病院の産婦人科医は福島県警に不当逮捕されました。1年前の同じ日に抗議の意味をこめて、拙ブログでも以下の記述を行いました。

『我々は福島事件で逮捕された産婦人科医の無実を信じ支援します。』

昨年の2月18日、福島県立大野病院産婦人科医の先生が福島県警に逮捕拘留されました。逮捕のきっかけとなった事故は当時29歳の妊婦さんが全前置胎盤のため帝王切開にて分娩したところ、不幸にも前回の帝切の切開線にかからない後壁付着の癒着胎盤となっており、当該医師はその時点で考え得る最善を尽くされましたが、妊婦さんは術中突然おこった致死性不整脈により亡くなられたというものです。
福島県立大野病院はこの事故のあと、外部の人間も含めて事故報告書を作成しており、当該医師についても行政処分をおこなっております。しかし、逃亡の恐れ、証拠隠滅の恐れという考えもつかないような理由により、その産婦人科医の先生は福島県警に逮捕拘留され、業務上過失致死、医師法違反にて刑事起訴されています。その、第1回公判が先程開かれておりますが....拙ブログでも、この事故については予見が不可能であること、胎盤を剥離することは適切な処置であること、大出血に際しても考え得る適切な処置を行っていることなどから、過失は存在しないと考えております。また、異状死体の届出義務を記した医師法第21条に抵触するとの起訴理由については、そもそも異状死体の定義について現在定まったものがないこと、また、事故後当該医師は大野病院院長と協議しており、届け出義務は当該医師にはなく、院長にあったものと考えます。

そして、1年後の本日。この不当な逮捕を風化させないためにも、取り上げたいと思います。

1年前の本日、福島県警は福島県立大野病院産婦人科医師を不当に逮捕、拘留しました。これは、極めて強権的で許すべき行為ではありません!

現在、この刑事事件の公判は進行中で、被告の先生に対して有利に進められていますが、この先生の被った痛手は消え去るものではないと思います。また、日本の医療界に与えた影響は計り知れないものがあり、この逮捕により地域の病院でどれだけの医師が萎縮したか...。考えると空恐ろしいものがあります。

正当な医療行為の中で生じた残念な医療事故。これに対しては、刑事的な処罰をもってのぞむべきではありません!ましてや、警察に捕えられ反論の自由を奪われるということが、どれだけ不当なことか!

再び掲げます。『我々は福島事件で逮捕された産婦人科医の無実を信じ支援します。』ご賛同くださる方々の書き込みを歓迎します。

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2008年2月17日 (日)

インシデント

2008年2月17日 晴れ
風が強く、体感温度は実際の気温よりかなり低い状態です。体調不良のため、2日間更新できないでいました。

さて、インシデントという言葉は医療の世界では『医療的準則に従った医療行為が行われなかった(人的なエラーが発生した)が結果として被害(不利益)が生じなかった事例に使われる言葉。』とされています。航空鉄道の世界では『航空法第76条の2では、航行中に他の航空機との衝突・接触の恐れがあった場合と、「事故が発生するおそれがあると認められる国土交通省令で定める事態が発生したと認めたとき」(同法)は機長が国土交通大臣に報告することが義務付けられている。この報告義務が発生する事態を重大インシデントという。』と法的にある程度の定義がされているようです。

乗員乗客あわせて446人という大人数で空港内を移動していたボーイング747が管制官の指示を聞き間違えたためか....前方に着陸したての航空機がいて、更に後方に着陸態勢に入った航空機がいる状態で滑走路に進入。離陸しようとしました。もし、どちらかの航空機と衝突したならば、大惨事は免れなかったでしょう...。当時、新千歳空港は雪の悪天候で前方の航空機も視認できる状況になかったそうです。医療の世界におけるインシデントと同様、今後このような状況より発生する重大事故を防止するために、『どのようにしてこの状況が発生したのか?』『この状況が発生しないためにはどのようにすればよいのか?』を研究していただければ幸いに思います。

管制指示、勘違い? 許可なく日航機滑走 新千歳 2月17日8時2分配信 産経新聞
魚拓

『16日午前10時半ごろ、新千歳空港(北海道千歳市)で、日本航空の札幌発羽田行き502便ボーイング747(乗員乗客446人)が、管制官の離陸許可を受けずに滑走を始めた。滑走路には着陸したばかりの日航・関西空港発札幌行き2503便MD90(同126人)がいたため、管制官が502便に離陸中止を指示。同機は時速約110キロで約500メートル滑走して停止した。けが人はなかった。』

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2008年2月13日 (水)

医師は総数で不足している

2008年2月13日 雪
最大級の寒波がやってきています。こちらでは粉雪が舞う程度でした。

さて、厚生労働省は現在の医師不足について、『都市部などに医師が偏在するため地域によっては医師不足がおこっている』との認識を崩していませんでした。しかし、日本はOECD加盟国中ほぼ最低レベルの人口当たり医師数であることなどから考えて医師総数は不足しているのは明らかでした。

ようやく、国はその誤りを認めたようです。

医師「総数として不足」政府認める 2月13日18時9分配信 医療介護情報CBニュース
魚拓

『医療現場からの度重なる指摘にもかかわらず、これまで「医師は不足ではなく偏在」との見解を示してきた政府が、ようやく医師不足を認めた。2月12日に「医師は総数としても充足している状況にない」と閣議決定したのだ。あきらめずに現場から声を発し続けてきた医師は「まずは率直にうれしい。実際に施策に反映されていくことに期待したい」と話している。』

明らかに医師は総数で不足しており、医療現場はそのために崩壊しかけています。総数で不足していることを国が認めたがらなかったのは、恐らく医療費の圧縮を目論んでのことだろうと推論しています。病院勤務医1人が増えると年間1億程度医療費が増えると予測されています。医師総数の制限は、それだけで医療費の効果的な圧縮につながるのです。

さて、医療費は対GDP比にて約7%とアメリカ合衆国の約12%の半分程度です。そして、医療費と公共事業費を比較すると、公共事業費の方がはるかに多いとされています。更に、この状況は他の欧米各国とは反対の構図であるとされます。つまり日本では、『医療福祉を軽視して、その分のお金を公共事業に使っている』に加えて『医療費を更に削減してその分を公共事業に回そうとしている』のです!

道路、鉄道などのインフラはもちろん必要です。しかし、国民を支える医療や福祉をドンドン削って、その分をそちらに回す政策はいかがなものか?と感じます。

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2008年2月11日 (月)

小児科時間外診療について思う

2008年2月11日 晴れ
またまた、朝は霜が降っていました。今日は、地域の輪番で時間外診療していました。多くの患者さんは、来院されるのに相当の症状でやってこられます。そして、患者さんの数は60人を超えていました。救急車の対応で、診療がストップするとまたたくまに、カルテは10冊以上積み上がります。

最近、疲労がたまってくると...『いつまでこの状況を続けられるだろうか?』ふと、思ってしまいます。

近場の病院ではこのようなコトも起こってきています。
小児科の時間外診療原則中止 済生会日田病院

『日田市で唯一、小児科がある救急病院の県済生会日田病院(西田敬院長)は四日、夜間の急患を含む小児科(診療対象十五歳未満)の時間外診療を三月から当面、原則的に中止すると発表した。同病院は「小児科医の派遣を受けている大学病院からの派遣を今後も維持するための勤務環境改善措置」と説明している。』

医師も人間です。普通だったら過労死してもおかしくない勤務状況を長く続けることは出来ないでしょう。診療時間の縮小は現状では仕方がない選択であろうと考えます。少なくとも今の状況(つまり、今の医師数、そして日本の医療費...)では、病院(特に小児科)はコンビニエンスストアたることはできません。当然、アクセス制限は必要となるでしょう。そして、それを実現するには患者さんへの適切な教育、そして、医療者側の哲学が必要となります。

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2007年4月21日 (土)

フライト

2007年4月21日 晴れのち曇り

Pass

『4月19日 19時30分 空港は闇の中に浮かび上がる誘導灯がいっぱい。ほぼ、定刻に誘導路を動き出したボーイング737-400は、キビキビした動きで平行して走る滑走路にノーブレーキで進入した。地方空港にはこの時間、離陸を規制するものはない様子で、そのまま離陸の体制へと移行した。パイロットが主翼下の2機のターボファンエンジンのスロットルを慎重に、そして全感覚を研ぎすましながら開くのを感じられた。エンジン音のたかまりとともに、乗客の背中はシートバックに強く押し付けられる。コクピットではコーパイロットの速度計を読む声が響いているのだろう、ブイワン、ローテーション、ブイツー。
考えてみると、恐ろしい判断を迫られることのある仕事である。離陸時にトラブルがあり、引き返さねばならない場合。ブイワン:V1,臨界速度(離陸を決心する速度)に達していなければ、何としてでも滑走路の端までに機を止める努力をする。V1を超えていれば、何が何でも離陸した後、引き返す。その判断を秒単位で行い、かつ適切な行動に結びつける。これは一種の神業としてよいのかもしれない。パイロットは凄まじいストレスにさらされるだろう。
そのようなことに思いをめぐらすうちに、機首が持ち上がり、やがて機体全体が宙に浮く。グイグイと上昇がつづくためやや眼前が暗くなるほど...。ほどなく、ランディングギアを格納する音が聞こえ、引き続きフラップが格納された。
有視界飛行にくらべ夜間、視界不良時にはINSやVOR/DME、GPSなどを利用した計器飛行が格段に安全である。最近、患者搬送のため飛び立った自衛隊ヘリが山間部に激突した悲惨な事故があったが、これはヘリが有視界飛行であるためと、山を越える高高度をとれない限界によるものと思う。室内を与圧できる技術で、高度3万フィート(約1万メートル)を飛ぶことが出来れば山に衝突することはない。
しばらく、まどろんだ後、徐々にエンジン音が小さくなり、高度が下がってくる。眼下には大阪の夜景が広がる。伊丹空港に下りるときにはいつもハラハラドキドキ。恐らく安全な距離をもって通過するのであろうが、「ビルをかすめて下りていき、着陸する。」という感覚である。速度が下がるに従い、フラップが段階的におろされる。そして、着陸の直前にランディングギアを下ろす。まずは、後ろの車輪が着地。主翼後部のエアブレーキがパタリ!と立ち上がり、すぐ後に逆噴射の轟音を聞く。車輪のブレーキは自動車に標準装備されるようになってきたABS付きである。(はるかに航空機に搭載された方がはやい。)乗客はシートから前に放り出される様なチカラを受け。徐々に機の速度は低下する。ココでも、この機長さんキビキビした動き。あっというまに、駐機位置についた。短時間のフライトであったが、機体の揺れも少なく何よりキビキビした動きのためか、気分爽快であった。』

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2007年3月25日 (日)

天秤にかける

2007年3月25日 晴れ
医師は、目の前の患者さんに対して、治療を考える時に望ましい作用(効用)と望ましくない作用(副作用)を頭の中の天秤にかけて判断をしていきます。これは、クスリを処方する場合もそうですが、何らかの手術を行い場合もそうです。そして、現在は大規模な試験により得られるEvidenceにより、「この疾患に、この治療を施すことによって何%の確率で治癒します」といったデータが論じられ、治療の導入に役立っています。
また、治療の導入にはその他の因子も大きく影響します。その疾患で、死に至る可能性が非常に高いものであれば何とかして救ってほしいし、医師も何とかしたいと思うのではないでしょうか...。

さて、話は変わります。第1次大戦のころ、1918年、アメリカのシカゴより始まったスペイン風邪は実に感染者6億人、死者4000~5000万人という未曾有の大惨事となりました。このスペイン風邪ですが、高病原性鳥インフルエンザから人間への感染力を獲得した新型インフルエンザの一種であったと推定されています。インフルエンザは周期的に大きなウィルスの変異を来たし、人間への感染力を獲得すると、大流行(パンデミック)がおこり多数の人々が亡くなるといったことを起こすウィルスです。現在、アジアの各地(日本も含めて)で高病原性鳥インフルエンザが流行し、鳥→ヒトへの感染が報告されていますが、これが一旦ヒト→ヒトへの感染が確立されれば多くの死者を出すパンデミックとなることが予想されます。
鳥インフルエンザの鳥→ヒト感染では、約50%以上の死亡率とされていますが、ヒト→ヒト感染が確立されるまでに死亡率は若干下がるであろうとは予測されている様です。しかし、通常のインフルエンザとは異なり、死亡率は数%以上と非常に危険なものになるであろうと考えられています。
スペイン風邪の場合、その死因は「電撃性肺炎」「嗜眠性脳炎」と当時の言葉で表現される様な、「急速に進行し、呼吸不全を伴うような重症肺炎」「急性脳症、脳炎」といった状態が多くを占めていたようです。医療の世界では「サイトカインストーム」と呼ばれる状態が起こるとされている様です。そして、発症した場合は現在の医療をもってしても救命は難しい病態であるのではないかと....。

我々にできるのは、予防と感染拡大の阻止ではないかとも思います。新型インフルエンザに対するワクチンは、既に来シーズンからは使用できるかもしれません。しかし、その供給量は、はっきりしません。全ての方々にということは不可能であると思います。実際に、流行が起こった場合に、感染拡大を予防するため各都道府県はタミフルを備蓄していますが...ここにきて、厚生労働省はじめマスコミ各社のタミフルバッシングです。

10歳から19歳までの児には処方を控えるようにとの通達ですが...新型が流行した場合、予防のために服用するのも控えるのでしょうか???私なら、自分の子供には飲ませます。作用と副作用、天秤にかけてみると明らかに作用の方が重いと思えるからです。

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2007年3月22日 (木)

人間は手紙ではない

2007年3月22日 晴れ
結構なあったかさでした。未明に緊急記者会見を開き、タミフルの使用を控えるようにとの通達です。この国の、官僚さんはどうなっているのでしょうか?確かに、必要のない患者さんには使用を控えるべきです。ただ、最近の医療行政の態度はあまりに豹変しすぎます。3月21日は休日でしたが、この通達が行き届いていない医師は、特に入試などの重要なイベントを控えたインフルエンザ罹患児にタミフルを処方していたのではないでしょうか?

さて、「こうのとりのゆりかご」については数回、拙ブログにて触れています。マスコミの方々は、この遺棄された新生児を保護する施設を、まるで赤ちゃんを手紙に例えたような「赤ちゃんポスト」という名前で呼びます。このネーミングのためか、日本国の首相を含む、多数の人々が本来のこの施設の意味合いから離れた存在意義で、この施設をとらえているように感じます。新生児は立派な人間である。決して、手紙やものではない。この名前には、遺棄された子供に対する人間としての敬意は微塵も感じることができません。今後は、この名前を使用するべきではないと感じます。

共同通信の記事。(3月22日)

『親が育てられない新生児を匿名で預かる「赤ちゃんポスト」計画を進めている慈恵病院(熊本市)の蓮田晶一(はすだ・しょういち)院長は20日の記者会見で「『赤ちゃんポスト』というセンセーショナルな名前はよくないと考えている。できれば違和感のない言葉を使っていただきたい」と報道各社などに要望した。同病院は「こうのとりのゆりかご」という名称を使用している。』

この記事の中にも、このいかがわしい名前は2つ、病院が使用する正式名称は1つ使用されています。既に、マスコミが使用し始めた名前が一人歩きしているのでしょうね。マスコミの方々の罪は大きいと感じます。

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2007年3月14日 (水)

中原先生の過労死認定

2007年3月14日 曇り
地域における医療は様々な原因から衰退の途をたどっています。医療を支える人員は確保を難しくなり、その労働環境は日に日に過酷となっていきます。その中で、自分の限界まで頑張って体を壊す、あるいは命を落とすなどのことはありうることです。中原先生の過労自殺の件については拙ブログでも昨年4月にとりあげました。→小児科医の遺言状そして、過労死認定を行わない労働基準監督署を相手取り起こした訴訟の判決が本日、東京地裁にてありました。全面勝訴です。

『東京都中野区の「立正佼成会付属佼成病院」の小児科医・中原利郎さん(当時44歳)が自殺したのは、過密勤務などでうつ病になったためで、労災にあたるとして、妻、のり子さん(50)が新宿労働基準監督署を相手取り、遺族補償給付の不支給処分の取り消しを求めた訴訟の判決が14日、東京地裁であった。

 佐村浩之裁判長は「欠員となる医師の補充に悩んだことや過密な勤務などが原因でうつ病にかかり、自殺に及んだ」と労災を認定し、処分の取り消しを命じた。』

小児科医の遺言状では、中原先生が自死を選ぶまでの過酷な勤務状況、そして病院の経営の中で「評価されない」小児医療の辛さが切々と綴られています。私自身も小児科医であり、とても他人事とは思えません。その時代からは若干、小児医療をとりまく環境は変化してきてはいますが、依然としてその不採算性から、この世界に飛び込む人員は不足しているといわざるを得ないでしょう。

『判決は、自殺の背景に、全国的に小児科医が不足している現状があったと指摘しており、医療行政にも影響を与えそうだ。』

厚生労働省にこの声が届きますように。

追記です。既に、動きは始まっていました。
勤務医開業つれづれ日記:【速報&お願い】小児科 故中原先生 過労死行政訴訟に勝訴 厚労大臣へ手紙を書こう!

http://www5f.biglobe.ne.jp/~nakahara/には中原先生の行政訴訟判決の速報が載せられています。その中で、国が控訴をあきらめるように、以下のpdfファイルをA4用紙に横に印刷して切り取って官製はがきに貼付けて厚生労働大臣に送ろうというキャンペーンが繰り広げられています。みなさん、ご協力いただければ幸いです。
http://www5f.biglobe.ne.jp/~nakahara/youseihagaki.pdf

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2007年3月12日 (月)

気管支攣縮と食道挿管

2007年3月12日 晴れ
熱の出ている児が多く、外来は相変わらずの混雑です。今日も終わってみると約90人ほどの数でした。

さて、麻酔に関連した悲しいニュースです。ソースは毎日新聞。

『大阪市大病院:麻酔で挿管ミス、患者が意識不明

大阪市立大病院(大阪市阿倍野区)は9日、腫瘍(しゅよう)切除手術のため全身麻酔した患者に対し、呼吸確保用のチューブを誤って食道に挿入し、患者が意識不明の状態になった、と発表した。本来、気管に挿入すべきところを誤ったうえ、麻酔医がその後の異常な兆候を見逃したとしている。同院の届け出を受けた大阪府警阿倍野署は業務上過失傷害の疑いもあるとみて捜査する方針。』

食道に気管内チューブが誤って挿入されると、自発呼吸のない患者さん(例えば、全身麻酔中で筋弛緩薬が投与された状態)では、換気ができず窒息した状態となります。特に手術の場合等に全身麻酔をかける場合は、このようなことが起こらないように、血液中のヘモグロビンという酸素を運ぶ色素がどの程度、酸素と結びついているかを測定するSaturation O2; SatO2 酸素飽和度モニターと呼気中の二酸化炭素を測定するEnd tidal CO2 ; EtCO2 呼気終末CO2モニターを使用して厳しくモニターします。また、チューブを気管に挿入できたか?を確かめるため、バッグを押して胸郭が上下する動きがあるかどうか。また、チューブ内に呼気時、水蒸気が上がってくるか。胸部聴診して左右の腋の部分で呼吸音が聞き取れるか?などのサインを確かめます。食道挿管は起こりうることですが...(私自身も数回経験しています)通常は気付いて再挿管しコトなきを得ることが多いのです。

『麻酔医はマニュアルに従ってチェックしていたが、▽聴診の際、胸の呼吸音が異常だった▽手動で酸素を送るためのバッグの手応えが異常に重かった----などの兆候があったが、「挿管で急にぜんそく発作が起こり、チューブがふさがるなどした」と勘違いし、気管支の収縮を抑える薬を投与するなどしていた。』

「換気できない」という点において、食道挿管と気管支攣縮(この記事の中のぜんそく発作)は似ています。この患者さんは喘息の既往があったのかもしれません。私も、激しい気管支攣縮を1例だけ経験しました。成人したのちの気管支喘息の患者さんで、感染に伴い激しい喘息発作が起こり、イソプロテレノールというクスリも使いましたが、徐々に呼吸状態が悪化。人工呼吸をしないとならない状態となりました。その時には、同僚の内科の先生等に手伝ってもらいましたが、挿管してバッグを押すけれども換気できない。(焦!)食道挿管だと思いすぐに抜いて、再挿管。それでも換気しにくい...。そうこうしているうちに、徐々にSpO2が下がり、徐脈へ...ここで同僚の先生と「重症の気管支攣縮だ」と気付き、とにかく考えつく処置を続けざまにして、ゆっくりじっくり換気して何とか人工呼吸器にのせることができました。

食道挿管と気管支攣縮は似ていますが、より頻度が高いのは食道挿管ですので...最初は食道挿管を疑うのではないかと...考えます。ただ、この時の手術の状況、麻酔医の先生がどのような状況にあったのか?患者さんの既往歴などは詳しく記事にされておりません。なぜ、このようなことが起こったのか?それは明らかではないというべきでしょう。

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2007年3月 9日 (金)

生きる権利

2007年3月9日 晴れ
晴れて風が強い日は、杉の花粉が舞う様です。小児でも杉、檜の花粉に対するアレルギーは増加傾向で、発症年齢はより低くなってきているように感じます。

さて、どうしてもマスコミの方々は「こうのとりのゆりかご」という正式名称のついた「遺棄された赤ちゃんを保護する施設」のことを、まるで人間をモノとしかとらえていない様な「赤ちゃんポスト」という猥雑な名前で呼ぼうとする様です。このネーミングがどれだけの読者を感情の上でミスリードしているのか?わかりません....

記事は毎日新聞から....

『自民党の竹原孝昭議員は「市民の間にも賛否両論ある。全国レベルの問題なのになぜ(結論を)急ぐのか。総理大臣まで慎重に扱ってほしいと言っている」などと保健福祉局に質問。同局が「(許可すると)決定して厚生労働省へ行ったわけではない」などと説明した。竹原議員は「命の尊厳という良い面もあれば悪い面もある。匿名で預けられるのであれば、育児放棄につながるかもしれない」などの懸念も示した。』

総理がそういうふうに仰ったことで、方針を変える必要はないと思います。そして、慎重に議論しているんですよね、熊本市議会は...。「命の尊厳という良い面もあれば悪い面もある。匿名で預けられるのであれば、育児放棄につながるかもしれない」...この竹原議員には、(こんなことできるわけはありませんが...)一度、生まれたてホヤホヤの赤ちゃんに戻っていただいて、寒い夜、お外に遺棄されてみて下さいと言いたいです。以前のエントリーでも申し上げましたが、特に新生児は体温を保持する能力が弱く、容易に環境温に体温が左右されます。特に寒い夜、屋外に遺棄された場合は、低体温のため命を落とすこともあるのです。自分で動くこともできない赤ちゃんは、その場合、死を待つだけです。
赤ちゃんにも生きる権利があります。それを最低限で保証しようというのが、この「こうのとりのゆりかご」ではないのでしょうか?育児放棄云々言っているうちに、失われる命もあるのですよ...。

『共産党の益田牧子議員も公的相談窓口の必要性を訴え「授かった命が良い環境で育つことを検討してほしい。善意を行政が応援してほしい」と続けた。』

まったく、その通りの意見であると感じます。赤ちゃんが命を拾った後のことを考えることが一番大切なことです。

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2007年3月 4日 (日)

不思議な記事...

2007年3月4日 晴れ
医療は非常に専門性の高い領域であると考えます。そして、時に医療者からみると、不思議で仕方のない報道がなされ、めぐりめぐって医療者を傷つけることがあります。今回の事件の真相は知るべくもありませんが...余りに基本的な理解の部分で重大な問題がありますので、指摘させていただきます。

『肺がんの男性が死亡したのは益田赤十字病院(益田市)が経過観察を怠ったためなどとして、県西部に住む男性の家族らが28日までに、同病院を運営する日本赤十字社(東京都)を相手取り、慰謝料など約1億円を求める訴訟を松江地裁に起こした。』

まずは、亡くなられた患者さんと御遺族の方々にお悔やみを申し上げます。
記事の中で欠失している重要な情報は、「おいくつの方だったのか」、「経過観察を怠ったという具体的な証拠」です。

『訴状によると、男性は96年1月に益田赤十字病院で右肺にこぶが発見されたが、精密検査などはされず、04年10月に同病院で末期の肺がんにかかっていることが判明した。』

「こぶ」とは何でしょう??腫瘤のことでしょうか??「精密検査などはされず」というのもどういう状況であったのか?そして、肺がんで約9年間も無治療で生存されているというのは??余程、増殖のスピードの遅いガンであったのか?「右肺のこぶ」が原発ではない可能性は考えられないのか?などと思いめぐらせます。

『男性は抗がん剤治療を受けたが05年2月、副作用であるがん性胸膜炎などで死亡した。』

通常、副作用という言葉は薬剤により生じた望ましくない作用という意味で用いると認識しています。この場合、
『男性は抗がん剤治療を受けたが05年2月、副作用合併症であるがん性胸膜炎などで死亡した。』と用いるのであれば理解することはできます。「医者が使った薬が悪いんだ」といいたいのが伝わってきますが...これでは文章を理解することもできません。

『男性の死因となった肺がんは96年1月に発見されたこぶと一致していた。』

恐らく、亡くなられた時には全身に転移していたのでは?「こぶ」が原発であったかどうかはこの記事からは読み取れません....。

この記事では情報が不足しており、そして明らかな言葉の誤りがあります。そして、この記事を読んだ読者の方々には「なんて酷い医者なんだ!」という気持ちを起こさせるに充分な作用がありそうです。

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2007年2月28日 (水)

民事と刑事のあいだのねじれ

2007年2月28日 晴れ

まずは、この事故で亡くなられた当時31歳の妊婦さんと御遺族の皆様に深甚なる哀悼の意を表します。

民事裁判と刑事裁判との間で、過失の認定に「ねじれ」があると感じることがあります。そして、この裁判でも...

『出産時の処置ミスで名古屋市の主婦=当時(31)=を死亡させたとして、業務上過失致死罪に問われた同市の産婦人科医K被告(48)の判決公判で、名古屋地裁の伊藤新一郎(いとう・しんいちろう)裁判長は27日、「被告に過失があったとは認められない」などとして、無罪(求刑罰金50万円)を言い渡した。』

この事件では、民事裁判では被告に7700万円の支払いを命じる判決でした。

『名古屋市港区の産婦人科で00年8月、同市中川区の主婦(当時31歳)が出産直後に死亡した事故を巡り、主婦の夫と長男が担当医らを相手取り、総額約1億 2700万円の損害賠償を求めた訴訟で、名古屋地裁は14日、担当医に計7700万円の支払いを命じた。加藤幸雄裁判長は「被告の個人診療所は(出産時の)大量出血に対す る必要な体制が整 っておらず、高次医療機関への搬送を決断すべき注意義務に違反した」などと述べた。』

判決の中にはこのような過失の否認が含まれています。

『伊藤裁判長は判決理由で、子宮の裂傷による大量出血が死因とした検察側の主張に対し「医師の証言などから、裂傷の存在には疑問がある」と指摘。設備の整った病院へ搬送しなかったことについても「転院させても確実に救命できたか疑いがある」と退けた。』

同じ事件を扱った民事裁判と刑事裁判。一方は「転院させなかった過失」を認め、一方では「過失があったとは認められない」との判断です。判断の基準が違うのか?法律に素人の私にはわかりません....。

さて、マスコミが報道した旦那さんの言葉...
『閉廷後、夫(33)は「過失がないなら、何で亡くなるのか。妻に報告できない」と話した。』

本当にこのようにお話になったのか?これは不明です。しかし、これだけは言えます。残念ながら、医療の世界では過失がなくとも命が失われることがあります。精一杯努力しても救えないこともあります。それが、医療の限界なのです。我々、医療者はこの限界を引き上げるべく、日々努力しますが...それでも所詮人間のすること、100%の安全を手にすることはできないのです。

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2007年2月23日 (金)

哀悼の意...過労死された小児科医の先生へ向けて

2007年2月23日 曇りのち晴れ
まずは、31歳という若さでこの世を去らねばならなかった...この同業の先生に心より哀悼の意を捧げたいと思います。そして、のこされた家族の方々の残念な思いは、いかばかりのものか?言葉にできません。

さて、読売新聞の記事(2月23日)

『北海道労働局が、道北地方の公立病院などに勤務していた男性小児科医(当時31歳)の突然死について、過度な時間外労働による過労が原因として、遺族が申請していた労災を認め、遺族補償年金の支給を決定していたことが23日、分かった。』

医師の現在の就労状況を考えると、過労死が起こるのは仕方がないかもしれないと思っています。私自身、同程度の時間外労働をこなしており、いつ自分が?という思いもあります。しかし、過労死の認定がなされたことは、遺族の方々にとってはある意味の救いとなったのではないかと感じます。

『同労働局によると、医師の過労死が労災認定されるのは珍しいという。』

その通りです。医師は時間外で働いて当たり前という暗黙の了解があるのでしょうか?医師も人間です。なぜ、他職種と同様な基準で認定しないのでしょうか?その部分を深くえぐった報道を期待します!

『労働局などによると、男性は公立病院に2002年4月から03年7月まで臨時職員として勤務し、同年8月から正職員になった。同年10月1日からは北海道富良野市の民間病院に勤務し、同6日に自宅で心疾患のため突然死した。
 男性は、公立病院で頻繁に夜間呼び出しされるなど、時間外労働が月100時間を超す過密勤務で、民間病院でも長時間勤務を余儀なくされていたという。04年11月、遺族が旭川労基署に労災申請していた。』

労災認定まで2年と3ヶ月。時間外労働が100時間を超える過密勤務は、医師であれば大抵の方は経験しています。そこまでしなければ、この国の医療水準を保っていけない。その状況をこそ問題にすべきです!

最後に、再びこの同業の先生の御冥福を祈りたいと思います。どうか、天国ではゆっくりとお休みください。

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2007年2月15日 (木)

通達と現状との乖離

2007年2月15日 晴れ
暖かくなってきました。しかし、インフルエンザは徐々に流行し始めました。

さて、神奈川県の堀病院を舞台に繰り広げられた「無資格助産事件」。その幕切れはあっけなかったものでした。
拙ブログ:理想と現実のはざま

しかし、予想されたことではありましたが...厚生労働省からはまだくすぶった意見が出されます。日本の周産期領域の現状を見ようともしない官僚の意見は現場にはどのように響くでしょうか?

某掲示板からの記事。

『病院(横浜市)の無資格助産事件で、横浜地検が院長らを起訴猶予処分としたことについて、辻哲夫(つじ・てつお)厚生労働事務次官は1日の定例会見で「医師の指示があっても、看護師などが内診を行うのは違法という見解に変わりはない」と述べた。』

この辻サンには市中の産婦人科診療所で数日間寝泊まりしていただきたいと切望します。現状がどのようなものか?助産師さんが確保できるのか?霞ヶ関に閉じこもっておられずに現場を見て下さい!と言いたいですね。日本の周産期を潰すも、生かすも、あなたの一言が大きな影響を与えますよ.....メンツを保とうとする場面ではありませんよ!

『その上で、辻次官は「医師と助産師の協力関係がより円滑となるような環境整備が必要だ」と指摘。助産師の数を増やすために、定時制の助産師の養成過程を設ける考えを示した。』

助産師さんを増やすために、定時制の助産師養成過程を設けても増えないと思いますね...助産師さん...。今の現場にはそんなことをする余裕のある看護師さんはいないと考えます。ホント、市中の産科診療所で数日間寝泊まりして下さい....。

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2007年2月12日 (月)

立派な行い

2007年2月12日 晴れ
今日は夜空が一段ときれいです。星もくっきりと見えていて...。このような日に天に召された、あの踏切事故の警察官さんは、きっときっと天国へ行けるでしょう。

恐らく、自殺企図があったのだろうと思います。39歳の女性が電車の往来の激しい踏切に繰り返し進入します。それを、身をもって阻止しようとした、この警察官の行いは立派以外のなにものでもありません。最後には、猛スピードの急行電車に二人ともはねられて、駅のホームに叩き付けられました。自分の職責に対する頑固なまでの思い入れ...。そして、他人に対する愛。それが、自分を犠牲にしてまでも、この女性を助けようとした行為の原動力であったのではないかと考えます。

ある話を思い出します。第二次大戦中のお話です。アウシュビッツというところにある、ユダヤ人強制収容所にコルベ神父という神父も収容されていました。そこでは、毎日ユダヤの方々が毒ガスなどの方法で殺されていっていました。そしてある日、妻子のある男性がガス室送りとなることになりましたが、男性は「私には妻と小さな子供がいる。何としてでも生き延びたい。」と泣きました。それをきいたコルベ神父は「私がかわりに死にましょう。」と答え、自分は餓死室という部屋に入れられ、飲まず食わずの末、亡くなったそうです。亡くなるまでの間、神父は賛美歌を滔々と歌い続けていたとも伝えられています。また、異例の早さでカトリックの聖人に認定されてもいます。この話を聞いて思ったのは、人間を愛することの究極の形は、「その人のために犠牲となり死ぬことなんだ。」ってことです。

亡くなられた警察官さんは、このコルベ神父に通ずる、大きく強い人間愛を示されたと感じます。亡くなられた警察官さんの御冥福を祈ると同時に、「大きな人間愛を世間に伝えてくれてありがとう」と感謝したいと思います。天国に行かれてからは、ゆっくりとお休みください。

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2007年2月 3日 (土)

大山鳴動して鼠一匹

2007年2月3日 晴れ
『大山鳴動して鼠一匹』という諺を辞書でひくと、『前触れの騒ぎばかりが大きくて、実際の結果の小さいことのたとえ。〔「大山」は「泰山」とも書く〕』という意味がでてきます。

まずは、この事例において亡くなられた妊婦さん、そして、御家族の方々に深甚なる哀悼の意を表します。

奈良県大淀病院において32歳の妊婦さんが分娩中にけいれんし意識障害が出現。子癇発作、脳内出血の合併等を考慮し転送先を探しましたが、合計19カ所の施設で受け入れることができず、国立循環器病センターにて約1週間後に男児を出生後亡くなられた事例において、毎日新聞は当初、遺族側からの取材のみの偏った情報でスクープ記事にしました。その後は、過熱報道となり結局、大淀病院産婦人科は分娩取り扱い停止となり、奈良県南部の産科医療に多大な悪影響を与えました。

ココにきて、検察は立件をあきらめたようですが、あまりの後遺症の大きさに、ただ呆然とするのみです。日本の周産期医療はどうなっていくのでしょうか?報道にも倫理、節度が必要と感じます。

「泰山鳴動して鼠一匹」、まさにこの諺の如くです。

奈良妊婦死亡:転送先探し難航の末、立件は見送り

 奈良県大淀町の町立大淀病院で昨年8月、意識不明となった妊婦の高崎実香さん(当時32歳)が転送先探しが難航した末、死亡した問題で、奈良県警は、業務上過失致死容疑での同病院医師らの立件を見送る方針を固めた。死因となった脳内出血と、担当医が診断した子癇(しかん)発作との判別は困難で、刑事責任を問えないと判断した。今月中に遺族に捜査の経緯を説明し、最終判断する。
 病院側は問題発覚直後の会見で、「脳内出血でなく、子癇発作の疑いとした点で判断ミスがあった」と発言。県警は任意で提出されたカルテなどを基に専門家約20人に意見を求めたが、脳内出血と子癇発作は、意識喪失やけいれんなどの症状が似ているため識別が困難との意見が大半を占めた。さらに、遺体が司法解剖されず、法医学的な証拠に乏しい点も捜査を難しくしたとみられる。
 高崎さんは昨年8月8日午前0時ごろ、分娩(ぶんべん)中に意識不明に陥った。19病院に受け入れ不能とされた。結局、約60キロ離れた国立循環器病センター(大阪府吹田市)に搬送され、男児を出産後、死亡した。』

この事件について拙ブログで取り上げたのは以下のエントリーです。

Blogの御紹介
感情は向けられるべき所がある
周産期医療の空洞化
マスコミの理解力
問題は国会へ...
一休み
ペンは剣よりも強し
国の認識
受け入れは可能であったか?
CTを撮れば状況が変わったか?
体制不備への着目
真相?
破綻2
破綻

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2007年2月 1日 (木)

朝令暮改

本日 2稿目となります。

昨年4月の診療報酬改定で看護師を多く雇い入れて、病棟の患者さん7人に1人の看護師さんが配置できるようにすると、診療報酬が割り増される仕組みを取り入れました。通常の人件費で雇い入れた場合、病院の利益がますため、都市部の大病院などでは大量採用がすすみ、あおりを受けた弱小病院は看護師不足に悩まされるという状況が生じました。

そして、これは厚生労働省の思惑とは違うものであったようです。「結構、これを満たす病院が多いじゃないか...医療費を抑制したいのにこれでは抑制できなくなる。」と考えたかどうかはわかりません。まさに、朝令暮改の方針変更です。

『看護師不足が深刻化している中小病院を救済するため、厚生労働相の諮問機関・中央社会保険医療協議会(中医協)は31日、受け持つ患者数で診療報酬の単価が変わる看護師の配置基準者数の運用を見直すよう求める建議書をまとめ、柳沢伯夫厚労相に提出した。』

『このため、建議書は、「1人で7人」の配置ができる医療機関を、手術や手術直後の手厚い看護が求められる入院患者が多い病院に限るよう変更するよう要望した。』

これで、病院間の格差は益々広がるような気がします。

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理想と現実のはざま

2007年2月1日 晴れのち曇り時々雪

昼頃より急速に冷えました。曇天となり、ふと窓をみると雪が舞っていました。

さて、神奈川県掘病院で繰り広げられた、「無資格助産事件」。院長はじめ合計11人が書類送検されるという事態に発展しましたが、現在の周産期医療の状況を考慮して、起訴猶予となったようです。突然、降って湧いたような騒ぎが勃発し、日本の周産期医療に与えた影響は計り知れないものがあると感じます。しかし、あっけない幕切れです。

『最高検などと協議し、違法としたが、社会情勢から刑事罰を科すケースに当たらないと判断したとみられる。ほかの医療機関でも同様の行為が相次いで明らかになっており、捜査による医療現場の混乱回避を優先させたといえる。』

なぜ、このような大騒ぎをする必要があったのでしょうか?何か、裏で蠢くチカラを感じます。助産師さんが内診を行なうというのが理想ではあると感じますが、実際に現場では不足しているのであり、そして法に触れることかもしれませんが、実際には看護師さんが内診することで何とか現場は回っているのです。理想を追い求めることは必要でありそのための体制作りをするべきではありますが、すべてを厚生労働省の通達通りに摘発していくと、日本の周産期医療は破綻します。現実を認め、そして将来的にどこに落としどころを持っていくか?という見極めが必要であると考えます。そして、それは検察の方々ができる問題ではなく、国が責任をもって策定していかなければならないものといえます。

『内診について厚生労働省が02年と04年の2度、「看護師では違法」とした通達を出しているのが根拠となった。』

いつもそうなのですが...官僚の皆様方は、「現場を知らなすぎる」のでは?このような強制力のある通達を出せば現場はどうなるのか?出す前に考えてほしいと思います。しかし、これで本当に終わるのだろうか?ちょっと心配です。

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2007年1月18日 (木)

不都合な真実

2007年1月18日 晴れ
余り寒くありません。

アル・ゴア氏はアメリカ合衆国の元副大統領であり、2000年の大統領選挙にて現ジョージ・ブッシュにすったもんだの末に敗北を喫した大統領候補です。いま、なぜこの映画が脚光を浴びてきたのか?これには、多くの思惑が絡んでいるものとは思いますが...その主張には耳を傾ける必要はあるのではないかと感じます。

さて、化石燃料を湯水のごとく消費し、大気中にCO2を大量に排出して栄華を極めるアメリカ合衆国。温室効果ガスの削減目標を定めた、京都議定書にも自国の都合のため調印せずといった状態です。1960年代より、地球環境について勉強してきたアル・ゴア氏が実際に出演しての映画「不都合な真実(An inconvenient truth)」は、アメリカ国民にも大きな考え方の影響を与えるのではないかと考えます。排出され続けるCO2が現在の地球温暖化に大きく影響しているという理論は実際には充分に証明されたものではないようです。しかし、ほんの100年前に比較して人間が生きる世界は便利になりすぎた...ひょっとするともう少し慎ましい生活をするべきなのかもしれません。

不都合な真実About the filmより
『多くの政治家たちが耳を貸そうとしない“不都合な真実”。しかし、私たちが日々の暮らしの中で小さな努力を重ねることで、地球を変えていける、とゴアは訴える。それぞれの問題は日常生活の中でつながっており、車の排気ガスを減らしたり、自然エネルギーを取り入れることで、事態は確実に改善されていく。地球の未来を信じているからこそ、立ち上がった孤高のサムライ。「不都合な真実」はそんな男の勇気と希望に満ちた闘いを温かい視点で見せる異色作だ。』

一度は観てみたいと思います。

『さらにこの四半世紀の間に、鳥インフルエンザやSARSといった奇病が発生。昨年、ニューオリンズを襲ったハリケーン"カトリーナ"のような大きな自然災害も増えた。』

うーむ、高病原性鳥インフルエンザやSARSは地球温暖化とは直接は結びつかないと思いますが....カトリーナは何らかの関連がありそうです。

仮に、CO2の増加と現在進行する地球温暖化とが密接に関連があり、我々の日常の努力でCO2排泄を減らせば温暖化をくい止めることができ、環境をこのまま保全できるとしたら...何をすべきなのでしょうか?効果的にCO2排出量を減らすためにはなにをするべきか?こういった設問の答を聞いてみたいと思います。

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2007年1月 6日 (土)

延命治療についての記事

2007年1月6日 曇り
寒風吹きすさぶ状況です。夜半には、九州でも雪になるところがありそうとのこと...。

延命治療とその中止については、これまでも多くの事件で問題となってきました。最近では富山県射水市民病院で終末期の患者さんの人工呼吸器を止めて7人以上の方が亡くなっているとのことが話題となり、殺人罪を含めた刑事訴追を検討されるとの事態が起こりました。一旦はじめた人工呼吸は現在の日本では「止めることが許されない」ものとなっています。

さて、某医療系掲示板からの記事です。ソースは共同通信。

「「誰も幸せにならない...」 延命治療、医師も苦悩 「自然な最期を」と妻子 (3) 」(共同通信 1月5日)

『首都圏の民間病院では約10年前、呼吸器を外した経験がある。重い脳出血で運ばれた60代の男性は、脳の損傷がひどく意識の回復は望めない状態。自発呼吸はわずかに残り、酸素の不足分を呼吸器が補っていた。病状説明を受けた妻は延命中止を望み、成人した子供たちも同じ意見だった。
 「呼吸器を外したら早晩亡くなりますよ」「自然な形でみとりたいんです」。主治医は家族と話し合い、希望を受け入れた。男性は約2週間自発呼吸を続け、死亡した。』

恐らく、脳幹部のみ僅かに生き残った状態で、いわゆる「植物状態」の患者さんであったと思われます。気管チューブを挿入しているか?気管切開を行ないチューブを入れておけば、舌根の沈下による気道閉塞もなく、人工呼吸器を外しても直ぐには死に至らない状況であったのではないかと考えます。
ここでは、患者さん本人の意思は確認できませんが、家族は人工呼吸器を止めることに同意しています。このようなケースで人工呼吸器を止めるのは許されることか?医師に法的な擁護があるのか?現状では「曖昧」です。しかし、実際にはこういった症例は数多くあり、全国の医師たちは「どのように対応すべきであるか?」悩み続けているのではないかと感じます。

『中部地方の公立病院の医師は「以前勤めた病院でも今いる病院でも、呼吸器を何度も外した」と打ち明ける。救急搬送されれば取りあえず呼吸器はつけるが、脳の機能回復が望めない患者や末期がんと判明した場合、家族が望めば外すという。
 「同僚や先輩医師が外すのも見たことがあるし、家族が泣いて頼んでも知らないふりをして延命を続ける医師もいるだろう。どちらもつらいし、ルールがない中でみんな悩んでいる」』

救急の現場では本人や家族の意思を確認することは不可能に近く、状態が悪ければ人工呼吸をはじめるのは仕方がないことです。現状では一旦付けた人工呼吸器を外し、それが原因で死に至った場合、医師は殺人罪を視野にいれて立件される恐れがあります。「家族がのぞめば外すという」ことは非常に危険な行為でないかと考えます。ルールを作ることは非常に難しいと思いますが...逃げてばかりで検討しない訳にはいきません。

『北陸地方の民間病院の医師は「植物状態になった場合に患者を支えなければならない家族の経済的状況も踏まえ、『あうんの呼吸』で家族の気持ちを察するのが医療従事者の大事な役割」と回答用紙につづった。』

『あうんの呼吸』で呼吸器を外した医師が、マスコミから虐待を受けました。気持ちを察して行動してあげたいのですが...自分の身のことを考えると、「できない」というのがホントのところではないでしょうか?

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2006年11月25日 (土)

罪深きもの

2006年11月25日 雨
通勤に使用している車がパンクして、スペアタイヤに交換し、更にパンク修理にもっていかなければなりませんでした。久しぶりの肉体労働です。

さて、連日の自殺報道はやや沈静化してきたでしょうか?報道により、自殺の連鎖(suicide cluster)が起こっている可能性があります。貴重な生命を「救えない」あるいは「自殺に追い込んでいる」報道は、正しく「罪深きもの」であるといえます。

あるところから入手しました、「WHOによる自殺予防の手引き」より抜粋です。

『自殺を報道する際の一般的原則自殺を報道する際にはとくに以下の点に注意を払う必要がある。
慎重かつ正確に統計を解釈する。
信頼できる情報源を利用する。
時間が迫っているからといって、十分に用意されていないコメントを安易に用いない。
件数の少ない事例を過度に一般化することに対して特に慎重にする。たとえば、「自殺の疫病」「世界でもっとも高い自殺率を呈する地域」などといった表現は使うべきではない。
社会・文化的な変化に対する理解できる反応として自殺行動を報道するのを控える。
特別な自殺をどのように報道すべきか以下の点を念頭に置くべきである。特に有名人が自殺した場合には、自殺を過度にセンセーショナルに報道すべきではない。最小限度の報道にとどめる。その人が罹患していた可能性のある精神的な問題についても取り上げる。
詳しすぎる報道はできる限り控えるように努力する。
自殺者、方法、現場の写真は提示すべきではない。
自殺の見出しを一面に載せることは自殺報道では望ましいことではない。
自殺手段やその入手方法を詳しく報道するのは避ける。』

一般的な報道の姿勢として、まずこれだけの配慮が必要ということです。現状のマスコミの姿勢からは...失礼とは思いますが、「こんなことを気にして報道しているのか?」はなはだギモンです。報道機関も、広告収入で成り立っていることを考えると、新聞は発行部数の確保、テレビは視聴率の向上などが至上命題とされるのはわからないでもありません。しかし、その社会に与える影響を考えると、そのような経済的な観点からだけの報道でいいのでしょうか?

私は良くないと思います。

その影響の大きさからいって、何らかの制限をつけるべきであると考えます。報道による被害者には、それなりの補償が行われるべきであるし、報道と社会的影響について検討をすすめ、明らかに大きな社会問題を起こしたならば、その報道機関は実効性のある社会的制裁を受けるべきであると考えます。報道による名誉毀損の裁判では、「報道した時点で充分に信用できる情報を用いて報道がなされたならば、その情報が間違っていたものであったとしても名誉毀損は成立しない」とのことです。(誤信相当性)このような、理不尽な法律解釈に守られている「罪深きもの」たちには、いつかそれ相当のシバリが必要となってくるでしょう。

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2006年11月23日 (木)

医療ジャーナリストの言

2006年11月23日 雨
疲労のため1日更新できませんでした。

沖縄タイムスの記事です。
医学ジャーナリスト・松井宏夫氏講演(沖縄タイムス)

松井宏夫氏の著書を調べてみると...松井宏夫氏の著書となかなかいろいろと調べていますね...いわゆる「名医本」の編集者のようです。

『人工透析にかかる費用は一人当たり年間八百万円。約一兆円の医療費が透析に消えていく」と指摘。諸外国に比べ臓器移植に後進的な日本の医療制度に「倫理的観点も含め、学会でしっかり話し合い、啓発する必要がある」と訴えた。』

透析が多く、腎移植が少ないのは、極端に献腎移植あるいは脳死の段階での移植が少ないのが原因と思われます。その根底にあるのは、日本人の「死」に対する意識の問題であると思われます。臓器移植法が成立してずいぶん経ちますが、脳死移植の数が増えていかないのは、そのカラクリがあるものと感じています。啓発することは本当に必要なことですが、一朝一夕には変化していかないでしょう...

『日本の医療施設の在り方にも言及。高度な手技が必要な心臓外科手術を例にドイツと比較し「日本では年間約五万一千例行われ、施設は五百十カ所、一カ所平均七十四例。

 ドイツは年間九万七千例行われるが、施設は八十カ所。一カ所で四千例を手掛ける施設もある」と説明した。』

年間4千例の心臓手術とすると、365日フル稼働で11例/日と凄まじい数です。術者は20人程度、支えるサポートチームも巨大なものが必要です。日本の現在の医療事情からすると...実現は不可能な感じを受けますが...また、AMI:急性心筋梗塞などの発症から処置まで時間を争うものについては、集約化することで施設搬入まで時間がかかるようになると救命率、予後の改善率ともに落ちていくような気がします。集約化することは、一部では必要な部分があるでしょうが...それに伴う患者さんの搬送手段の検討なども同時にしていかなければならないと思います。

日本の医療の良い面と悪い面を比較して、どの方向に進むべきかを考える必要があると思います。ただ、外国の医療制度を真似するだけでは良いシステムは産まれないと考えます。

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2006年10月14日 (土)

証拠?

本日2稿目です。

北朝鮮の地下核実験に関しての報道です。

放射性物質確認、米政府が日本に伝える…北の核実験(読売新聞)

『米政府は14日、日本政府に対し、今月9日の北朝鮮による核実験実施発表を受けて米軍機が行っていた放射性物質の採取・分析により、大気中から微量の放射性物質が確認できたと伝えた。日本政府筋が14日、明らかにした。
 ただ、米政府は、分析は暫定的なもので、北朝鮮の核実験が確認できたわけではないとしているという。米側は引き続き分析を進め、核実験によるものかどうかの特定を急ぐことにしている。
 核実験実施発表後、日米両政府は、航空自衛隊のT4練習機や、米軍のWC135偵察機などで放射性物質の集じんを進めていた。これまでT4機では採取に至らず、地震波の分析では揺れが小規模だったため、核実験が実施されたかどうかの確認はできていない。』

<北朝鮮核実験>「米軍検出」で日本政府も情報収集(毎日新聞)

『<抜粋>北朝鮮の核実験をめぐっては9日、同国が「実験成功」を発表。しかし、核実験全面禁止条約機関(CTBTO)準備委員会は13日、特別会合で放射性物質は検出されていないとの観測結果を報告した。日本でも36都道府県などが観測を行ったが、放射性物質は検出されておらず、地震波のデータだけでは核実験か大量の爆薬を使ったものか判定できない状態が続いている。【古本陽荘】
 ◇核爆発で検出される放射性元素は——
 検出されると核爆発の疑いが濃いとされる放射性元素は、バリウム140やジルコニウム95、ヨウ素131などだ。核実験全面禁止条約(CTBT)に基づく核実験の監視体制で、観測の標的としている。
 日本原子力研究開発機構によると、これらは核爆発などの核反応で生じる一方、自然界にはほとんど存在しない。比較的短期間で他の元素に変わってしまう性質があるため、過去の核実験や原発事故の影響で残っていることも考えにくいという。
 また、地下核実験でほとんどの放射性物質が地下に封じ込められた場合も検出されやすい元素としては、キセノンやクリプトンなど「希ガス」と呼ばれる元素の放射性同位体がある。気体で、他の物質に吸着されにくい性質もあるため、岩のすき間から地上に出てくる可能性があるとされる。』

事前に中国へ連絡のあった核実験の規模は4キロトンであったと聞いたことがあったような、なかったような...でも地震の規模から推定すると1キロトン程度であったようです。ここで、核実験においては1キロトン程度の小さな爆発を起こすのは実は非常に難しいとのことです。恐らく、当初予定していた爆発の規模は4キロトンであったが、起爆が一部うまく行かず1キロトン相当の爆発で終わってしまったというのが真相なのではないかという見方がでてきています。

よって、核実験は行われた。しかし、予定した規模のものを得ることができなかった。そして、北朝鮮の核爆弾の技術は「発展途上」であるということであると思います。でも、それでも恐ろしいことですね....

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2006年10月12日 (木)

核のブラフ?

本日2稿目です。

北朝鮮関連の記事です。
追加制裁に踏み切れば対抗措置 北朝鮮の日朝交渉大使(共同通信)

『【平壌12日共同】北朝鮮の宋日昊日朝国交正常化交渉担当大使は12日までに、平壌で共同通信と会見し、核実験発表を受け日本政府が追加制裁に踏み切れば「必ず対抗措置を講じることになる」と述べた。発足間もない安倍晋三政権に対しては「首相の言動を注意深く見ている」と話し、対北朝鮮政策について今後の出方を注視する構えを示した。安倍政権の評価では非難を抑制、日朝関係の再構築に取り組む意欲をにじませた。』

数回にわたる、弾道ミサイル発射実験と1回の核実験のあとのコトバです。脅し(ブラフ)としては相当な力があるものとおもわれ、今後の動向を注視です。世界がこのブラフに負けた時には雨後のたけのこのように、核保有国が増えるのではないかと....

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公的病院の医師不足

2006年10月12日 晴れ
秋晴れが続いています。

地域における医師不足は、いよいよきわまってきているようです。三重県では県立病院で定員割れです。
県立志摩病院:4医師退職の意向 県議会委、院長が窮状訴える /三重(毎日新聞)

『県南部の医師不足が深刻化する中、県立志摩病院(志摩市阿児町)の田川新生院長が、10日開かれた県議会予算決算特別委員会で「今年度内に少なくとも4人の医師が退職の意向を示している」と述べ、地域医療の窮状を訴えた。
 志摩病院では現在、28人の医師のほか、山田赤十字病院(伊勢市)から常勤で派遣されている医師2人が産婦人科の外来診療を行っており、計30人が勤務している。田川院長は「医師不足で全く休みが取れない。若い医師は、年に1〜2カ月間は(最新医学の)勉強をする時間が欲しいと訴えているが、それもできない」などと現状を報告し、30人のうち4人が退職の意向を示していることを明らかにした。その上で「地域医療が崩壊し、パニックにならないと、この状況は改善されないのではないか」と、今後の医療体制について危機感を示し、行政が早急に医師確保対策を講じるよう求めた。
 県病院事業庁によると、同庁が経営する県立4病院の医師数の現状(10月1日現在)は、▽総合医療センター(四日市市)が定数70に対し58人▽こころの医療センター(津市)が同15に対し13人▽一志病院(津市)が同8に対し3人▽志摩病院が同36に対し28人—といずれも定数に満たない。人口10万人当たりの医師総数(04年度調査)でも県内は、全国都道府県でワースト12位の176・8人で、全国平均の201・0人を下回っている。』

田川院長の「地域医療が崩壊し、パニックにならないと、この状況は改善されないのではないか」ということばが重く響きます。私の勤務している病院でも医師の定員は満たされていません。徐々に真綿で首をしめられるようにボディブローが効いてきている様です。

医師の偏在?医師数の絶対的不足?地域医療の魅力の減少?いろいろな要因が絡み合っているようですが....
日本の地域医療は崩壊へと動きつつある様です。

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2006年10月10日 (火)

移植再開

2006年10月10日 晴れ
マイコプラズマ肺炎が流行中です。

さて、臓器売買の疑いで話題となっている病院で生体腎移植が再開された様です。

事件後初の腎移植手術 宇和島の徳洲会病院(共同通信)

『愛媛県宇和島市の臓器売買事件の舞台となった宇和島徳洲会病院は10日、事件発覚後、初となる生体腎移植手術をした。病院は、1日に発覚した事件で本人確認の甘さが問題になったため、これまでなかった倫理委員会を設置。この日の手術について6日に身元の確認や文書で患者に説明し同意書が作成されているかなどを審査した。今後、原則としてすべての移植手術を倫理委で審査する方針。』

倫理委員会なかったんですね...。叩かれましたが、今後は問題なく続けることができるでしょう。

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2006年10月 9日 (月)

標的?

2006年10月9日 晴れ
気持ちのいい一日ですが...お隣の国では、戦慄の実験が...。

核分裂から得られるエネルギーは、核分裂の際に失われる質量に光速の自乗をかけて得られる値で、実に大きなものです。核爆弾に使用される材料は、ウラン235という比較的不安定なアイソトープをある一定の割合まで濃縮されたものや、プルトニウムというものを使用しますが、その製法はそこまで難しいものではないようで、技術者は世界各国にいるようです。

恐らく、北朝鮮にはイランなどから技術が流入していると思いますが、核爆弾の材料を作ることができ、起爆に必要な技術も既に取得した様です。北朝鮮は本日、地下核実験を実施したと発表しましたが...韓国での観測で実験に伴う地震波が検知されていることから、恐らく本当に実施されたものと考えます。

日本に届く(ひょっとすると、アラスカにも届くとされる)射程を持つ弾道ミサイルと核爆弾。脅威以外の何ものでもありません。

北朝鮮、核実験実施と発表=北東部でM3.5規模の地震(時事通信)

『【ソウル9日時事】北朝鮮は9日、朝鮮中央通信を通じ、核実験を実施したと発表した。同通信は「われわれの科学研究部門は地下核実験を安全に成功裏に行った」と報道。「科学的で綿密な計算によって行われた今回の核実験では、放射能流出のような危険が全くなかったことが確認された」と伝えた。
 韓国政府によれば、北朝鮮北東部の咸鏡北道花台で同日10時35分(日本時間同)、マグニチュード3.58−3.7規模の地震波が探知された。韓国政府は直ちに盧武鉉大統領主宰の緊急安全保障閣僚級会議を招集、対応策を協議している。
 北朝鮮は3日の核実験予告の声明発表にもかかわらず、米国が直接対話に応じる姿勢を見せなかったため、米国に譲歩する考えがないと判断したもようだ。8日の日中首脳会談で北朝鮮に対する厳しい方針で一致したことも影響を与えたとみられる。9日の日韓首脳会談、10日の労働党創建61周年に合わせた可能性もある。』

今日は、医療にはほとんど関係のない話題でした...。

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2006年10月 8日 (日)

機械化により減らせるミス

2006年10月8日 晴れ
お月様がきれいです。空気が澄んできました。

さて、処方薬を作るために人間の手を介していたのが機械化されるとミスが減るのか?ということですが...
減る様ですね...。しかし、もとの処方が間違っている場合はこの限りではないでしょうけど。

医療事故、前年度比半分に 京都市立病院、昨年度(京都新聞)

この記事の中で、抜粋した部分は
『事故減少の要因の一つは、投薬などへの自動化システム導入。これまでは、薬剤師が医師の指示を受け、手作業で薬をこん包していたが、2004年12月から、コンピューターに患者データを入力すれば薬が出てくるようになった。これによって、注射で薬を投与する際のミスが前年度の109件から22件に激減した。』

すごいですね、こんなシステムができているなんて...病院の薬剤師さんはかなり減りそうですね...。
転記によるミスなどは、機械化することにより、ミスを減らすことができるのでは?と考えます。同時に、医療でのミスは患者取り違いなどの因果関係のはっきりしている単純なミスと、気管内挿管の手技の未熟性などによる挿管失敗などの複雑なミスとがあるように思えます。(それをミスというべきかどうかは不明ですが...)機械が肩代わりできる単純なミスは機械化することによりなくすことができると考えますが...複雑なものはどうやって救うのか?大きなシステムで考える必要があると思いました。

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2006年10月 6日 (金)

泣きっ面に蜂...

2006年10月6日 曇り
<事実をモディファイしたフィクションです>
●ヶ月のBabyが不明熱にて入院。非常に機嫌が悪く、ややグッタリで哺乳力も低下していました。血液検査にてCRPは強陽性で感冒様症状はありませんでした。大泉門の膨隆はなく、顔色は良好。血培をとって、ルートをキープして、腰椎穿刺が必要か?と思っていたら...検尿でWBC >100/HPF。抗生剤静注にてずいぶん改善しました。

尿路感染症では、敗血症に至った症例を2例ほど経験しています。いずれも、VURの高度な例で、1例は両側ともにVUR Ⅴ度のタイプでした。乳児期に逆流防止術(Kohen法?)にてVURは消失。通常の生活を送れています。

さて、話は変わりますが...生体腎移植にて臓器売買の可能性を指摘されている病院での続報...
「腎臓売買」病院に診療報酬返還請求へ(読売新聞)

『腎臓移植の臓器売買事件の舞台になった宇和島徳洲会病院(愛媛県宇和島市)で行われた手術の多くが、診療報酬請求の要件を欠いていた疑いが強まったとして、愛媛社会保険事務局は4日、返還請求の方向で調査に入ることを決めた。
 腎移植を含む24分野の手術を健康保険で行うには、病院で手術を受けるすべての患者に文書による説明が必要だが、同病院は生体腎移植手術で口頭の説明しかやっていなかった。調査で確認されれば、返還額は手術料だけで数千万円にのぼるうえ、腎臓以外も含めた多くの手術が保険でできなくなり、病院経営に大きな影響が出そうだ。
 今年4月に改定された診療報酬制度では、腎移植、肺がんなど24分野の手術について、保険適用の条件として〈1〉その施設で行う手術すべてで、患者に文書を交付して内容を説明する〈2〉各分野の手術の1年間の実施件数を見やすい場所に掲示する——など4項目の施設基準を定めている。これらをすべて満たし、社会保険事務局へ届けた施設でないと手術料を請求できない。』

「泣きっ面に蜂」というか「泥棒に追い銭」というか...「これでもか」というぐらいにヤラレテいますね。生体腎移植自体は失敗したわけでもないのに...。

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2006年10月 4日 (水)

生体腎移植にまつわる報道

2006年10月4日
一日、更新できませんでした。少し天候は下り坂です。急激な気温の低下から、気管支喘息の児の入院が増えています。

さて、ある病院で行われた「生体腎移植」について、臓器売買の可能性が指摘されています。日本では献腎(死体腎)移植は例数が極端に少なく、血縁間における「生体腎移植」が相当数行われていると考えられます。特に、小児で末期腎不全となり透析導入された患者さんは、両親のうちどちらかから腎臓を移植することも多いのではないかと思われます。移植の結果、免疫抑制剤の内服を続けなければならないことや、免疫抑制に関連した感染症の発生などもありますが、透析に比べQOL(Quality of life)は格段に良好です。

血縁のある親→子間の生体腎移植は臓器売買とは全然かけ離れた存在と考えます。そこには、私利私欲はほとんど関係せず、子供の窮状を「何とかしたい」という気持ちがあるだけのようにも感じます。過熱した報道では、ときに「生体腎移植→汚い」とでも感じさせるような記事もあるように思いますが...生体腎移植には別な面もあるということを理解していただきたいと思います。

読売新聞の記事です。

『愛媛県宇和島市の総合病院を舞台にした患者側と臓器提供者(ドナー)による臓器売買事件で、国内の生体腎移植をめぐり、ドナーを「親族」に限定した日本移植学会倫理指針の“網”を逃れるため、両者の関係を偽装したりする実態が、患者らのカウンセリングにあたってきた医師の証言でわかった。
 手術前に患者がドナーと偽装結婚する例もあり、病院側は学会指針より厳しい独自規定を設け、自衛を図っている。
 証言したのは、東京女子医大腎臓病総合医療センターで35年間にわたり腎移植患者らのカウンセリングを担当してきた精神科医、春木繁一さん(65)(松江市)。
 偽装結婚があったのは約10年前で、夫婦は腎臓移植を控えた中年女性と、ドナーになる予定だった「夫」。手術前のカウンセリングの際、夫婦の態度に疑問を抱いた春木医師が、夫婦と繰り返し面談を重ねていたところ、女性の前夫から「2人は偽装夫婦」と“告発”する手紙が届いた。』

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2006年10月 1日 (日)

机上の論理

2006年10月1日 雨
久しぶりに雨でした。明日から、2人体制に移行です。

さて、眠らない医者の人生探求劇場・・・・(薬はやってません):何だろう?この京大教授は?というブログの記事を読みました。

このエントリーで紹介されている記事は、現場の認識と余りにかけ離れているように感じます。拙ブログ:医師は不足しているでも取り上げましたが、日本はOECD加盟国の中でほぼ最低レベルの人口あたり医師数を示しています。そして、提供する医療のレベルは、その一つの指標と考えられる平均寿命や乳児死亡率などから考えて、世界でもトップクラスにあると考えられます。また、病院の1ベッドあたりの職員数はアメリカの約5分の1とされており、いかにその現場が忙しく、そしてギリギリの効率で回っているのか?を垣間みることができると思います。

机上での論理は、時に「危うい」と感じます。現場を見てほしい!心底、そう思います。

闘論:医師不足の理由 西村周三氏/本田宏氏(毎日新聞)

『地方の公立病院や産婦人科など勤務が厳しい診療科で「医師不足で、満足な医療ができない」との悲鳴が相次いでいる。ただ、医師は年間3500人以上も増えている。医師不足の根源的な原因は、絶対数が足りないせいなのか、それとも都市部や特定の診療科に偏っているせいなのか。専門家2人に聞いた。(題字は書家・貞政少登氏)
==============
 ◇「偏在」こそが問題 病院経営改革も必要−−京大教授・西村周三氏
 医師の需給を考える際、最も注目すべき問題は「偏在」だ。東京、大阪などの大都市には十分な医師がいるが、地方の公立病院は必要数を確保できない。産婦人科や小児科など特定の科の医師の不足も目立つ。
 日本の人口当たりの医師数は、OECD(経済協力開発機構)加盟国の平均より少ないが、医師と看護師など他の医療職との仕事の分担は国によって異なり、この比較だけで日本の医師が足りないとは言えない。日本の医師総数は年約1・6%の割合で増えているが、どう増やすかには科学的根拠が必要だ。
 英米では、どんな病気が増えているかや医療技術の進歩に伴う各診療科の勤務時間の変化などを、かなり詳しく分析し、医師の需給予測をしている。一方、日本は旧厚生省の検討委員会が76年、「2025年には医師が1割程度過剰になる」と予測。医学部の定員削減などが始まった。
 しかし、推計は粗いものだった。高齢化社会の到来や患者ニーズの変化を考慮していなかった。勤務が過酷な病院や診療科を若手医師が避けたり、結婚や育児との両立に悩む女性医師が増えたことも想定外で、現在の偏在につながった。
 いまこそ、国は地域性や医療技術の進歩も踏まえた緻密(ちみつ)な予測をし、偏在を解消しなければならない。
 医学教育では、「どこで働くどんな医師を育成するか」という視点が不可欠だ。政府は、医師不足が深刻な10県の大学医学部の定員増を認めたが、定数だけ増やしても根本的解決にならない。地方の大学の医学生が、必ずしも地方にとどまるわけではないからだ。
 まず、国・自治体と大学が十分に協議し、地域の医療ニーズを分析して、育成すべき医師像や数、診療科の配置を検討すべきだ。
 病院経営の改革も欠かせない。勤務医は、忙しい診療科でも、そうでなくても給料があまり変わらない。こうした不合理な報酬体系を見直し、忙しい診療科の医師には勤務に応じた給料を支払い、不公平感をなくしていけば、忙しい科への医師の誘導も可能になる。
 医師不足が深刻な全国の公立病院では、報酬体系や医師間の役割分担を抜本的に見直すため、条例で病院長に一定の裁量権を与えることも、解決の一手になる。【構成・大場あい】
 ◇絶対数抑制が主因 学部定員5割増急務−−済生会栗橋病院副院長・本田宏氏
 1980年代以降、日本の医療行政は医療費削減が最優先になり、全国の医師数はカネの観点から検討され、医師数抑制が当然の流れとなった。この政策が現在の医師不足を生んだ。つまり、日本の医師は絶対数が不足しているのであって、「偏在が原因」というのは事実誤認だ。日本の医師数は約26万人だが、OECD加盟国の人口当たり医師数の平均にあてはめればまだ12万人少ない。全都道府県がOECD平均に満たず、どこへ行っても医師が足りないのが実態だ。
 日本の医師の過重労働ぶりも示したい。日本の医師1人当たりの年間外来対応数は8000件以上、OECD平均は約2500件だ。日本の医師の平均労働時間は、59歳まで週60時間を超えているが、欧米で週60時間を超える年代はない。この状況で、なぜ、「OECD平均より医師数が少なくていい」と言えるのか。
 医師になって17年目の女性からの年賀状に、「今年の目標は、精も根も尽き果てる働き方をせずとも安全な医療を提供できること」とあった。現場の医師は、自分の健康や金もうけではなく、過労による医療事故を一番恐れているのだ。
 さらに、医療の高度化によって治療や投薬が複雑になり、複数の専門医が一人の患者に対応することが求められている。団塊の世代が高齢化すれば、受診者数も爆発的に増える。今の態勢のままでは、適切な医療を受けられない「医療難民」だらけになる。
 だが、実態を知らない患者は「高級ホテル」のような医療を求める。「ビジネスホテル」の戦力しかないのに、だ。私は外科医になって28年、家族ではなく患者最優先で生きてきた。女性医師の中には、結婚をあきらめた者も多い。そこまで頑張れない医師が現場を離れ、開業医や非常勤医になる「立ち去り型サボタージュ」を起こし始めた。
 問題は、この現状が国の政策に生かされていないことだ。世界は、安全な医療のため医師を増やしているのに、日本だけが背を向けていいのか。医学部定員を現在より50%増やし、GDP(国内総生産)比で8%の国全体の医療費支出を主要7カ国(G7)並みの10%へ引き上げることを求めたい。今、対策を取らねば、一番不幸になるのは国民だ。【構成・永山悦子】
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 ■人物略歴
 ◇にしむら・しゅうぞう
 京大経済学部卒。86年から同学部教授。副学長。医療経済学専攻。61歳。
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 ■人物略歴
 ◇ほんだ・ひろし
 弘前大医学部卒。89年から済生会栗橋病院外科部長、01年から現職。52歳。
毎日新聞 2006年9月25日 東京朝刊』

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2006年9月30日 (土)

心のう穿刺

2006年9月30日 晴れ
今日も秋晴れでした。

今日はこのような記事が...
防衛医大病院・医療事故:主治医と指導医、不起訴処分に−−さいたま地検 /埼玉(毎日新聞)

『所沢市の防衛医大病院で01年、心臓付近に針を刺してたまった水を抜く心のう穿刺(せんし)の処置を受けた男性(当時48歳)が急死した医療事故で、さいたま地検は29日、業務上過失致死容疑で送検された当時の主治医(37)と指導医(41)を嫌疑不十分として不起訴処分にした。地検はさいたま検察審査会の不起訴不当の議決を受けて再捜査していた。
 審査会の議決書などによると、同病院血液内科にいた主治医と指導医は01年10月23日、白血病だった男性に心のう穿刺を施した。その際に男性がけいれんを起こし、主治医は誤って心臓に約1センチの傷をつけ、男性は循環不全で死亡した。審査会は心のう穿刺は「専門の循環器科医に依頼すべきだった」などと指摘したが、地検は「基本的な手技で高度な技術や経験は必要ない」としていた。
 事故を巡っては、県警が04年2月、主治医と指導医を業務上過失致死容疑などで書類送検。同地検は05年3月「刑事責任を問うほどの過失ではない」と不起訴処分にしたが、遺族の申し立てを受け、審査会は06年3月、不起訴不当を議決していた。
 不起訴処分について遺族は「残念です。言葉がみつかりません……」と震える声で話した。』

心臓はその外側に心膜といううすい膜で覆われた形となっています。そして、心臓と心膜の間に何らかの原因で液体(心嚢水という)がたまると、量にもよりますが心臓を圧迫して心タンポナーデという状態が発生することがあります。この状態は、心臓が充分に膨らむことができない状態となり心拍出量が減少し、頻脈となって、場合によっては心臓が止まってしまうこともある重症な状態です。

酷い場合は、分刻を争うような状態であり、素早く処置をしなければ救命できない場合もあります。処置はこの記事に出てくる「心のう穿刺」で、うまく吸引できない場合は、「心のう切開」を行うこともあります。「心のう穿刺」は胸の中心にある胸骨の先っちょに剣状突起という突起がありますが、その脇から心臓に向けて針を刺す手技です。心のう水が貯留していれば、心膜を破れば心のう水がひけてきます。余り深く刺すと、心臓に達してしまうので超音波や針につけた心電図モニターなどで確認しながら慎重に行うものです。

さて、記事からは当時48歳であった白血病の患者さんはどのような重症度であったかは判然としません。しかし、心のう穿刺という手技を選んだことは、やはりかなりの心のう水がたまっていたのだと思います。残念なことに、施行中、患者さんにけいれんが起き、きわめて慎重に行っているにも関わらず心臓を傷つけてしまった。そして、患者さんは出血によるショックで亡くなられたということであろうと感じます。

「心のう穿刺」は時として、今目の前にいる医師が施行しなければ、その患者さんが亡くなってしまうということもある手技であると思います。この場合は、専門の循環器の医師を呼んでいる余裕はありません。また、この患者さんが充分時間的余裕があり、循環器の医師に手技を委ねていたとしても、そのときに「けいれん」が起これば、結果は同じであったかもしれません。

患者さんが亡くなったことは本当に悲しいことです。我々は医療者としてこの事実を重く受け止めなければなりません。しかし、この事例に関しては、「避けることのできなかった医療事故」であろうと感じます。

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2006年9月28日 (木)

難しい選択...レス

2006年9月28日 晴れ
今日も清々しい一日でした。

拙ブログ:難しい選択には活発なコメントをいただきありがとうございました。

各方面から、この院長さんの言葉に賛否両論の御意見をいただきました。いろいろな見方があってよいものと思います。^ ^

この問題を整理しますと、まず、和歌山県南部に南和歌山医療センターと紀南病院という病院が約3kmの距離を挟んで設置されていました。昨今の産婦人科医不足により南和歌山医療センターの産婦人科医は集約化目的にて引き揚げとなりました。南和歌山医療センターには助産師さんが14人在籍していましたが、その助産師さんたちを活用して南和歌山医療センターに院内助産所を開設する。といったものであると考えます。

医療においては、なんでもそうですが...100%というのはありません。特に、分娩においては状態が急変することもあり、その場合、数分を争うような迅速な処置により、母児ともに助かる可能性があります。最近の医事訴訟の和解例をみますと、常位胎盤早期剥離で帝王切開まで40分かかったというのが、致命的な「遅れ」として認識されています。院内に産婦人科医が常駐しない状態で、突然分娩前あるいは分娩中の母体に、このようなことが起こったならばどうなるか?院内に産婦人科医が常駐する場合に比較して、当然ながら対応が遅れるのではないかと危惧します。私も、経験は少ないながらも、異常分娩に立ち会ったことがあり、その恐ろしさは身に沁みています。

では、どうすればよいのか?院内の助産助を開設せずに、この助産師さんを看護師さんとして働き続けていただくのが良かったのか?旧国立と社保の病院という設立母体の垣根を越えて、紀南病院に異動していただいてホントの意味での集約化を進めるのが良かったのか?この異動はホント大変だと思います。でも、ある産婦人科医のひとりごとの中では、産婦人科医の集約化に際して、この設立母体の高い垣根を越えて助産師さんまでを雇用し集約化することができたという例も挙げられています。通常、公務員である公立病院職員の採用年齢は20ウン才までと決められていますが、50才のベテラン助産師さんも含めて、すべて「正規採用」して異動していただいたとのことです。

ココから先は私見ですが。ある程度のキャリアを積んだ助産師さんは、このような異動ではある程度のメリットがないと動かないはずです。設立母体の垣根を越えるために、何らかの踏み台が必要なのではないかと考えます。そして、それは「南和歌山医療センターの院長が一人でできるものではないであろう」とも感じます。

さて、話は変わりますが...りんご さま、よりいただいたコメントの中で...

>集約化によりハード面ばかりにとらわれていますが、お産は医師のものでも助産師のものでもありませせん。何より産婦さん達自身のものです。ただ産ませればいいと言うわけにはいきません。子育て(人を育てる)ということに通じるその大切なイベントを産婦さんの支えになることが大切なのではないかと思います。

というフレーズがありました。

その通りです。助産師さんがお産につくのは、お産の総合的なマネージメントのためではないでしょうか?そしてそれは、助産所であっても、病院産婦人科の助産師さんであっても同様にできることではないかと感じますが...
病院産婦人科の助産師さんではできないことなのでしょうか?(病院産婦人科に入った助産師さんでは思い通りにできないということがあるかもしれませんが...)

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2006年9月26日 (火)

難しい選択

2006年9月26日 晴れ
急速に季節は動いています。朝晩の冷え込みは、日を追うごとに進んでいきます。
おかげで、喉を少しヤラレました。

拙ブログにもトラックバックいただいているブログ、「ある産婦人科医のひとりごと」の中の記事に当事者からと思われるコメントが投稿されています。

この記事には、拙ブログから産科医のいない院内助産所産科医のいない院内助産所2という記事でトラックバックさせていただいております。

さて、「ある産婦人科医のひとりごと」に寄せられたコメントについてですが、南和歌山医療センター院長と思われる方からのものでした。その中で、『現実に立派な職業人である助産師個々人の意志を無視して施設とその雇用母体を超えてできるかどうか良くお考え下さい。』との言葉がありました。確かに難しいことですね、設立母体を超えての配置転換は...私でも、「いまから近くの公的病院にいってくれ」といわれれば、なかなか即座に「うん」とは言えないでしょう。
しかし、現在の日本の周産期医療を取り巻く状況は、一刻の猶予も許されない状況となってきているのではないかと考えます。地域での周産期医療を支える人材の集約化を進めなければ、共倒れとなってしまい、その地域に周産期医療を提供できる施設は皆無となってしまう可能性もあると思われます。集約化ができる地域は、ひょっとすると...まだ、幸せな方かもしれません。その地域に人材がいなくなってしまえば、集約化もできないわけですから....

今回の、南和歌山医療センターと紀南病院の件は、その施設間の距離は3kmと非常に近いものです。この地域の周産期医療を存続させるために、仕方がなく産婦人科医の集約化を進めたのであると考えます。いろいろと立ちはだかる壁は高く、乗り越えるのに大変な思いをすることと思いますが...地域の中で知恵を出し合い、「どうやって人的資源を有効に活用するか?」を考えるべきであるのではないかと考えてしまいます。

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2006年9月21日 (木)

2人体制に移行予定!

2006年9月21日 晴れ
生後2ヶ月前の児が発熱で入院しています。当初尿路感染症が疑われましたが、どうも何らかのウィルス感染症の様です。その他、急性腹症で精査の結果、腸炎と診断した児、無菌性髄膜炎の疑いの児などです。

さて、私の勤めている病院は小児科ができて20年以上となりますが、これまですべて一人医長でやってきました。私は6年前より勤務していますが、2年前に常勤医での枠ができましたが、この小児科日照りで、どなたも就職していただける先生はいませんでした。

しかし、ひょんなことで私と一緒に働いていただける医師を得ることができました。◯月より就任予定です。これまで一人で、「これをしたい」と思ってもできなかったことが、少しづつできるようになると思います。

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2006年9月18日 (月)

帝切についての記事

本日2稿目です。

朝日新聞の記事です。
帝王切開、なぜ増える 20年で1.6倍に(朝日新聞)

『秋篠宮妃紀子さまが6日、帝王切開で悠仁(ひさひと)さまを出産した。厚生労働省の抽出調査に基づく推計では、この20年あまりで国内の帝王切開件数は約1.6倍に増えた。全体のお産数は約2割減っており、帝王切開が占める割合は7%から15%に上がった。背景には、初産の高齢化でリスクの高いお産が増える一方、経膣(けいちつ)分娩(ぶんべん)(いわゆる自然分娩)での予期せぬ事態を避けたい医療者側の思惑があるようだ。
 千葉県の主婦細田恭子さん(41)は3人の女の子を帝王切開で産んだ。長女と次女のときはいずれも経膣分娩の予定だったが、陣痛が弱いなどの事情で急きょ切り替えられた。「事前に調べる時間もなく、準備も知識もなかった」という。
 帝王切開には、紀子さまのように母子の状態によって計画的に行う場合と、経膣分娩に時間がかかりすぎるなどして急きょ行われる場合がある。母親の意識を残す局所麻酔が多く、最近は術後の見た目を考えて、おなかを横に10センチほど切るケースが増えている。入院は10日から2週間程度。5日ほどで退院する経膣分娩よりは長くかかる。
 部分前置胎盤や骨盤位(逆子)、以前に帝王切開で出産している場合の判断は、医師によって異なる。
 聖路加国際病院(東京都中央区)では、入院が長くなる、出血が多ければ輸血が必要、次のお産も帝王切開になる率が高まるといったリスクを説明するが、それでも帝王切開を希望する母親が増えているという。
 厚労省のデータによると、02年は国内のお産の約15%が帝王切開だ。元愛育病院長で主婦会館クリニック(東京都千代田区)所長の堀口貞夫さんは「6〜7人に1人のお母さんはおなかに傷がある。ちょっと異常な事態」と心配する。
 高齢出産などリスクの高いお産が増えているのも事実だが、お産をめぐる医療訴訟の増加や、産科医やお産を扱う医療機関の減少で不確定要素が多い経膣分娩を避ける傾向が強くなっていることも原因だという。米国立保険統計センターの統計(03年)によると、訴訟社会米国での帝王切開率は27.5%に達している。
 麻酔など医療技術の進歩で帝王切開の安全性は確実に増した。帝王切開は「管理できるお産」という考えは、医師だけでなく、親の側でも増えている。「裁判で『帝王切開をしていれば事故は防げた』という判例が増えれば、経膣分娩を怖がる医師がいても一概に責められない」と堀口さん。
 日赤医療センター(東京都渋谷区)の杉本充弘産科部長は「逆子の経膣分娩などは医師に経験と技量が必要だ。お産が減り、熟達した医師が減って、お産の現場での医師教育も出来なくなっている」と指摘する。

 「増加は好ましくないが、必要なケースもある。その場合、お母さんの心に傷を残さないことが重要」と杉本さんはいう。同センターでは、母子に危険が無ければ、帝王切開で取り上げた赤ちゃんはすぐに母親に抱かせる。夫が手術に立ち会うこともできる。杉本さんが担当する帝王切開の8割は夫立ち会いという。「帝王切開は第二の産道。ただ安全なだけでなく、よりよい帝王切開をする責任が医療側にもある」
 冒頭の細田さんは、長女のお産後に「普通の女性ができること(経膣分娩)ができなかった」と涙がこぼれたという。知人に「産道を通っていない子は我慢強くないらしい」と言われたことをホームページ「くもといっしょに」に書き込むと、大きな反響があった。
 ホームページは、今ではお産の情報が飛び交う交流の場になっている。「帝王切開が増えて欲しいとは思わないけれど、帝王切開だからといって、お母さんが頑張り足りなかったなんて思わないでほしい」と細田さんはいう。』

最近はどうしてもマスコミから流れる情報に過敏となっている様です。
「初産の高齢化でリスクの高いお産が増える一方、経膣(けいちつ)分娩(ぶんべん)(いわゆる自然分娩)での予期せぬ事態を避けたい医療者側の思惑があるようだ。」という部分には朝日新聞の「悪意」を感じてしまいます。緊急での帝王切開が増えることにより、救われている母児は恐らく20年前よりも多いはずです。(私見ですが...)

「母親の意識を残す局所麻酔が多く、」という部分は、ちょっと新聞側の理解が足りていないかもしれません。全身麻酔で行えば、お母さんの意識はなくなり、ストレスは減るかもしれませんが...産まれた赤ちゃんはお母さんに使用された全身麻酔剤が胎盤を通して移行するためsleeping baby(眠ったように息をしない赤ちゃん)となる可能性があります。呼吸がなければ、即座に新生児科医が気管内挿管を赤ちゃんに行うことになります。ですから、帝王切開の時には局所麻酔や腰椎麻酔が多いのだと理解しています。(もちろん、母体の状況によっては全身麻酔に移行せざるを得ないことはあります。)

「帝王切開だからといって、お母さんが頑張り足りなかったなんて思わないでほしい」とのことですが、現在はそういうことは少ないのでは...私は30ウん年前に経膣分娩で出生しましたが、かなりの難産で吸引分娩でした。しばらく啼泣がなく、いわゆる新生児仮死であったとのことです。私の父は、難産であったことから出生前に選択的帝王切開をしてくれと申し入れしていたそうで、ちょっとトラブルとなった様です。結構、いなかで30ウん年前にそのような認識ですから....母児ともに健康であれば、それが一番であると感じます。今も一人、妻のお腹の中で赤ちゃんが育っていますが...何よりも、母児ともに無事であってほしいと思う日々です。

さて、この記事の中で問題となっている帝王切開率について、日本15%、訴訟社会のアメリカ27.5%、訴訟社会かどうかはわからない大韓民国は38.5%(2004年)だったようです。→朝鮮日報記事

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2006年9月15日 (金)

産科医のいない院内助産所2

本日2稿目です。

拙ブログ:産科医のいない院内助産所には活発なコメントをいただきました。ありがとうございます。

参照した記事の中で、「同センターの産婦人科は、10月から同市新庄町の紀南病院に集約される。医師不足による厚生労働省の拠点化政策の一環で、担当医3人のうち2人が紀南病院へ」という下りがありましたが、その二つの病院の距離をYahoo mapにてみてみると...約10km程度と思われました。

この距離をどう感じるか?ということになると思いますが...基本的には、やはり院内に産科医が常駐する状況の中で助産所を作るべきではないか?と考えてしまいます...。

しかし、病院に就職された助産師さんは、なかなか集約化....難しいようですね....。自分がその立場であれば...確かに簡単に決められることではないですね...。

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2006年9月14日 (木)

産科医のいない院内助産所

更に、本日第2稿目です。

産婦人科医のいなくなる病院に院内助産所ができるという話題です。助産所の概念は、助産師のみで運営する分娩施設とすることができます。助産師さんは通常の分娩を扱うことはできますが、「お産」は終わるまで通常の経過で終わるのか?突然異常分娩に移行し、緊急の処置を要するようになるのか?これがわかりません。そして、一旦異常分娩に移行した場合は、分単位で決断を要する事態となり、輸血や緊急帝王切開など医師でなければ施行できない手技を要求されます。間に合わない場合は、母児の命に直結します。

助産所における分娩は究極的には、院内に産婦人科医のいる状態で作るべきであると考えます。この記事は、時代に「やや逆行している」と感じざるを得ません。ソースは「毎日新聞」です。

南和歌山医療センター:「院内助産所」を開設、年内には妊婦受け入れへ /和歌山(毎日新聞)

『◇今月で産婦人科廃止
 今月で産婦人科がなくなる田辺市たきない町、南和歌山医療センター(中井國雄院長)が、新たに「院内助産所」の開設準備を進めている。授乳室を改修した和室の出産室も完成し、年内には妊婦の受け入れを始める。
 院内助産所ができるのは、4階西病棟の産婦人科の一角。現在、配置されている14人の助産師のうち、同科の診療停止に伴う異動や退職者を除く約半数が従事する。同センターは、同市内などにある4軒の個人経営の助産所に協力を要請し、担当の助産師を研修で派遣している。
 また、開設に先立ち、15日から妊娠、出産、産じょくなどの保健指導を目的とした「助産師外来」を立ち上げる。月〜金曜日、午前9時〜午後4時で完全予約制。費用はいずれも健康保険対象外。このほか、育児相談や産前産後の電話相談も行う。
 同センターでの出産件数は05年度、357人あった。このうち306人は正常出産で、異常出産は51人だった。
 同センターの産婦人科は、10月から同市新庄町の紀南病院に集約される。医師不足による厚生労働省の拠点化政策の一環で、担当医3人のうち2人が紀南病院へ、1人は高知県の病院に移る。』

異常分娩は年に51例あったようです。これに対する対応はどうするのでしょうか??

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イソゾールという薬

2006年9月14日 晴れ
久しぶりに、「秋晴れ」でした。

小児のけいれん重積状態(注1)でも使用する可能性のあるくすり、イソゾール(サイアミラール)での事故です。全身麻酔の導入などに使用されることの多いくすりです。この薬の副作用として「気管支喘息の発作を悪化あるいは重症の発作を惹起する可能性がある」というものがあります。使用する場合は、その患者さんに「気管支喘息の既往がないか?」を聞く必要があります。

(注1)けいれん重積状態:けいれんが止まらない状態。呼吸や循環に悪影響を及ぼし、けいれんのコントロールができない場合は死に至る場合もある。

中絶手術で過失 院長を書類送検 福岡西署(西日本新聞)

『福岡西署は14日、人工中絶手術の際、適切な処置を怠って女性を死亡させたとして、業務上過失致死容疑で、福岡市西区の男の産婦人科医院長(83)を書類送検した。院長は過失を認めているという。
 調べでは、院長は昨年8月25日、人工中絶手術に訪れた同区内の女性=当時(22)=に気管支ぜんそくの既往症があったにもかかわらず確認を怠り、ぜんそくの発作を誘発する恐れのある麻酔薬「イソゾール」を投与、経過観察も怠り、死亡させた疑い。』

83歳という高齢の医師です。通常であれば、すでにリタイヤされているものと思われますが....。言葉がありません....。

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2006年9月12日 (火)

人員の不足...

2006年9月12日 雨

新学期が始まり約2週間。そろそろ、疲れがたまってきている様です。「下肢に力が入らず歩けない。」などの症状を呈する児が入院したりしています。一通りの検査を終えて、特に大きな所見がないのを確認し、点滴をして数日観察すると何事もなかったかのようによくなって帰っていきました。

さて、私の卒業大学がある県での記事。毎日新聞から....
医師:小児・産婦人科医、1割超減る−−県内主要28病院 /栃木

『県議会地域医療・保健対策特別委員会が11日開かれ、県は04年8月から今年8月までの2年間で、県内の主な28病院の小児、産婦人科医師数がともに1割以上減っていることを明らかにした。
 県医事厚生課によると、小児科医は04年8月1日に49人だったのが、今年8月1日で43人になり12・2%の減少。産婦人科医は同51人から45人となり、11・8%減少した。医師数全体が5・5%減ったのに比べ、際立った減少率を見せた。
 しかし、8月に関係省庁がまとめた「新医師確保総合対策」で、国が医師の養成数増員を容認する「医師不足県」には選ばれなかったことも報告した。』

現在の状況では、なかなか病院の小児科や産婦人科には人が残っていかないと思います。
拙ブログ:小児科の不採算性に記述しましたが...
「良質の医療を効率的に提供しようと改革を断行した病院小児科が、病院内の収入の面では「肩身の狭い」思いをする事になっています。「小児科の不採算性」は日本の診療報酬体系に起因するものと考える事ができます。」

恐らく、病院の小児科の診療報酬評価には構造的な問題があり、「一つ一つの処置をとっても多くの人手を必要とする」という部分を積極的に評価した診療報酬体系としなければ、病院小児科は魅力ある職場とはなり得ないと考えます。

毎日新聞には「何故、病院小児科産婦人科の人員が減っているのか?」「それに対する対策」まで突っ込んだ報道を期待したいところです。

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2006年9月 8日 (金)

派遣制度

2006年9月8日 晴れ
不明熱の児が入院しました。精査を進めていきます。

さて、個人的に非常に気になる記事です。
医師派遣:へき地勤務医内定、都城市出身の中村さん−−県制度 /宮崎(毎日新聞)

『へき地の医師確保の目的で昨年度導入した医師派遣システムについて県は、都城市出身で東京北社会保険病院(東京都)に勤務する中村豪さん(38)=埼玉県在住=の採用を内定した。来年4月1日付で県職員として採用し、県内のへき地の公立病院・診療所に2年間派遣する。同システムでは2月に医師を募集したが、応募者がなく今年4月の採用は見送っていた。
 中村さんは宮崎西高を経て自治医科大(栃木県)卒。92〜02年に椎葉村など県北の公立病院で勤務経験がある。県は今年春に応募を依頼。安藤忠恕知事が直接会って要望し、中村さんも「古里の医療に携わりたい」と了承した。
 また、県は、卒業後に県内のへき地や小児科などでの勤務を条件に、修学資金を貸し出す制度に応募した医学生の男女8人全員に適用することを決めた。今年度は定員4人だったが「8人とも地域医療に貢献する熱意を感じた。総定員は24人なので前倒しした」(知事)という。』

中村先生の2年間のあとはどうなるのでしょうか?これは気になります。また、しばらくして、じっくり腰を据えてやれる病院に就職できるのでしょうか?

私のいる県でも、これと似た制度を作り医師を募集しましたが...応募者はゼロでした。もっとも、1年間県立病院か、私のいる病院で研修し、その後の2年間は診療所あるいはへき地の病院、この3年間をずっと繰り返すというもので...この制度にのっている限り、定住の可能性はありませんが....

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2006年9月 7日 (木)

米国から見た日本の医療事情

2006年9月7日 晴れ
朝晩涼しくなってきました。

mariko先生のブログにあった記事です。

〔連載〕続 アメリカ医療の光と影  91回:「Tさんへ 9年目の詫び状」:李 啓充 医師/作家(在ボストン)

外から見ると、こんな風に見えるのでしょうね。鋭く、核心をえぐっています。絆創膏貼りたいです!
自分もこのままいくと、過労でそうなるのか?などとも思いました。

ただ、mariko先生のブログの記事に寄せられたコメントは悲しいものですね...相手に対する思いやりなど、一つも感じられません。

『Tさん,あなたが亡くなられてから9年が経ちました。あなたの死を無駄にしてはならないと,この間,私なりに一生懸命頑張ってまいりましたが,残念ながら力及ばず,日本の医療は,ますます悪い方向へと向かおうとしています。あなたの死が無駄になろうとしていることについて,友として,心から詫びなければなりません。

 思えば,中学時代の友人から,同級のあなたが倒れられたと知らせるメールが送られてきたのは,97年8月のことでした。小児科医として勤めておられた大学付属病院で,あなたは,当直明けの朝,当直室で倒れられたのでした。診断はクモ膜下出血,約20日後,あなたは意識が戻らないまま,43年の短い生涯を終えられました。

 海外に住む私にとって,親友の葬儀への出席がかなわなかったことは慚愧に堪えませんでしたが,数年後,同級生から葬儀の模様を聞くことができました。多数参列したあなたの患児の一人が,あなたが死んだという事実が了解できないまま,「T先生,ケロンパの絆創膏をつけたらすぐ元気になるよって,いつも言ってくれましたね。T先生も,これをつけて,早くよくなってください」と,遺影の前にカエルの絵がついた絆創膏を置いて会葬者の涙を誘ったと聞いたときは,私も涙が出て止まりませんでした。中学のときから心優しかったあなたは,患児たちに対しても,とりわけ心優しい医師であったに違いありません。

 驚いたことに,1年半後,あなたの死は,新聞で報じられる「ニュース」となりました。日本では,医師に過労死が認められることは非常に稀であるのに,あなたの死が労災と認定されたと,「ニュース」になったのでした。「倒れる前の最低12日間は休まず働き,この間に2回,当直に就いた。……毎日最低3時間の時間外労働をしていた」と,倒れる直前の数日間,ほとんど眠る時間がないほど働き続けた様子がそのときの記事に紹介されていましたが,日本の勤務医にとってはあまりにおなじみの過重労働の結果,あなたは「非業」の死を遂げたのでした。

 記事の中で,あなたが勤めていた病院の院長が「勤務態勢の見直しを検討しているが,投薬する薬が少なく診療報酬が低い小児科では,医師の人数を簡単に増やせない」と発言,(1)小児科医の過重労働が深刻化している実態と,(2)診療報酬の額・仕組みなど,日本の医療の制度・政策にかかわる構造上の問題が医師の就労環境の改善を阻んでいる事実を,いみじくも指摘したのでした(もっとも,私には,「制度が悪いからどうしようもない。働きすぎの小児科医が死んでも仕方がない」と言っているように聞こえて,腹が立ってなりませんでしたが……)。

 さらに,記事の末尾で,ある医大の教授が,「今回と同じような悲劇が,どこで起きても不思議ではない危機的な状況だ」と,日本の小児医療全体の危機であることを強調したのですが,あなたの死から9年,日本の勤務医の過重労働を巡る状況は,改善されるどころか,産科,麻酔科,内科……と,他科にも拡大するほど悪化したのでした。

 Tさん,過労死の犠牲となられたあなたにとって,なぜ,日本の医師の過重労働の問題が悪化する一方なのか,不思議でならないでしょう。実は,Tさん,あなたの死が労災と認定されたことが「ニュース」となった事実にその答えが隠されているので,ここで少し説明させてください。

 通常,過労死が労災と認定されるためには,月100時間を超える時間外労働をしていたことが条件となるのですが,厚労省は,医師の「当直」時間を就労時間とは認めていません(医師がほとんど眠る時間がないほど働いている現実があるというのに,「当直とは夜回り程度の軽い仕事だから労働とは言えない」と言うのです)。というわけで,医師が過労死を認定されるためには,当直以外に月100時間を超える時間外労働をしていなければならないのです(Tさんの場合も,当直以外に100時間を超える時間外労働をしていたからこそ労災が認定されたに違いありません)。

 それにしてもTさん,97年に亡くなられたあなたにとって「厚労省」とは耳慣れない言葉でしたね。あなたが亡くなられた後,厚生省と労働省が統合され,いまは,医療を管轄すべき省が,労働基準法の遵守を監督・徹底すべき省にもなったのですが,医療と労働の両方の「本丸」となったというのに,「当直時間は就労時間にカウントしない」という「トリック」を使うことで,日本中の医師が労働基準法違反の過重労働を強いられている現実から目を逸らし続けているのです。

 厚労省が目を逸らしているのは過重労働の問題だけではありません。過重労働の根本原因である医師不足の問題についても,「医師偏在の問題」と言い換えていることでもわかるように,不足がきわめて深刻な事態にある事実そのものを認めようとはしていないのです(「偏在」というのは,余っている地域と足りない地域とばらつきがある状態を言うのだと思うのですが,日本のどこに行ったら,産科・小児科の医師が余っているというのでしょうか?)

 Tさん,過労死の犠牲となられたあなたにいまさら言う必要もないことでしょうが,日本の医療が世界に冠たる「低コスト」で運営されてきた秘密は,実は,医療者たちが過重労働をいとわず,黙々と働き続けてきたことにあったのです。それが,いま,「もう体が持たない」と音をあげた医師たちが,勤務医を辞めて開業医に転向する事例が跡を絶たず,病院の医師不足はますます深刻化しているのです。日本の医療を支えてきた大本の柱が,いま,荷重に耐えかねて折れようとしているのですが,医療が崩壊の危機に瀕しているというのに,政府はさらなる医療費抑制を進めようとしているのですから,私としては背筋が寒くなるような恐怖感を覚えざるを得ません。

 Tさん,あなたの死が図らずも実証したように,医師不足についても,医師の過重労働についても,日本の医療は,すでに,少なくとも9年前には深刻な事態に陥っていました。それなのに,厚労省も政治家も,この9年間,当直時間は就労時間に含めないというトリックを使い続けたり,不足を「偏在」と言い換えたりすることで,問題の「存在」そのものさえ認めようとはしてこなかったのです。脳細胞の活動を「denial」のフェースで止めたままの人たちがこの国の医療政策を司ってきたのですから,いつまでたっても事態が改善するはずなどなかったのです。

 Tさん,あなたが生きている間に聞いておけばよかったと,いま,私が後悔していることが一つあります。あなたが,「よくなるよ」と,患児に使っていたケロンパの絆創膏,いったいどこに行ったら手に入るのですか? もし,手に入ったら,「早くよくなるといいね」と,厚労省の官僚や政治家たちの頭に貼ってやりたいのですが……。

(つづく)』

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2006年9月 6日 (水)

堀病院事件への声明

2006年9月5日 雨
少し涼しくなってきました。秋の気配を感じます。

神奈川県産科婦人科医会から堀病院事件に対する声明が出されています。

『堀病院に対する警察の家宅捜査に関する見解

 今般の横浜市瀬谷区堀病院における神奈川県警生活経済課による保健師助産師看護師法違反容疑での、警察官60名にもおよぶ異常な家宅捜査および大々的報道は、現在、すでに分娩受け入れ状況が許容限界を超えて破綻状態にある神奈川県内の分娩医療機関ならびに妊婦に深刻かつ多大な影響を及ぼしております。
 当神奈川県産科婦人科医会は、神奈川県の産科救急システムの創設・充実等、神奈川県における母子の健康と安全のため最大限の努力をしてまいりました。この立場から、今般の事態により、きわめて深刻な県内の産科診療環境の悪化が加速することを憂慮しております。
 当会は、堀病院での診療内容が、分娩経過の全体を産科医師が把握しつつ、担当医の監督責任のもとで十分な経験・技量を身につけた看護師による産婦の正常経過の観察を担当医が補助情報として利用する範囲内であることを確認しており、現行の法令に背反するものではないと確信しております。
 神奈川県産科婦人科医会は、神奈川県警の家宅捜査に強い遺憾の意を表明するとともに、今後の堀病院への全面的支援を表明いたします。今後想定される事態に対しても、全国の皆様にご支援を賜りたく、お願い申し上げます。

2006年9月4日

         神奈川県産科婦人科医会
         会長 八十島 唯一』

みなさま御存知の堀病院事件は、妊婦への内診を経験が深い看護師であっても、助産師の資格を持っていなければ許さないという検察の決意を表明したものです。私がいままで勉強してきた範囲では、助産師さんの数はほぼ足りている、しかし、助産師さんの資格を持っていても助産師として働いていない方や、ある特定の病院にスゴく多数の助産師が雇用されており、凄まじい偏在が生じている。そのため、一般の産科診療所には助産師さんは回ってこない(つまり、不足している)ということです。

日本のお産の恐らく半分以上は、産科診療所で行われていると考えますが、そのほとんどが、助産師不足です。神奈川県警とそれに引き続く各県の警察検察が同様の基準で捜査を行えば、大方の産科診療所は「お産が不可能」の状態となります。そのお産は一部の産科センターに集中し、あぶれた妊婦さんはいわゆる「お産難民」となってしまいます。

「お産難民」は助産院に誘導するような新聞の風潮もありますが、現状の助産院は緊急時の処置に迅速に対応できるものではないことがほとんどで、小児科医としてはオススメしません。現状にあった、フレキシブルな対応が必要です。

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2006年9月 5日 (火)

円より子さん の ブログ

本日、第2弾です。よくお邪魔しているブログから、たどったブログです。
民主党の参議院議員である円さんは、民主党「次の内閣」国家公安委員長などに抜擢されています。

さて、その記事の中の一つです。
●助産院開業を阻む医療法19条は大問題

一部は、医療者の声を反映している様ですが...
「「嘱託医」を「医師及び病院又は診療所」と一律に決めるよりも、妊婦さんの容態・リスクに応じて、必要な医療機関に迅速に搬送できる連携システムをこそ構築すべきで、「嘱託料」といった金銭の対価を助産師が支払わなければいけないような制度を温存させることが適当だとは思えません。」
このような「嘱託料」が発生している状況は知りませんでした。ただ、嘱託を受けるということはそれだけのリスクを抱えることであり、ある程度の対価を得なければ契約の成立は難しいでしょうね....特に昨今の産科に関する訴訟を考えれば...。
必要な医療機関に搬送する連携システムについてですが、分娩時に危急自体となったときには、恐らく分単位での素早い対応が求められます。輸血や緊急帝王切開など、医師でなければ決断し施行することのできない処置です。可及的に速やかに対応するならば、やはり院内に産科医がいる場所で、助産院を開業することであろうと思いますし、様々な産婦人科医の先生も同様の発言をなさっています。

「病院における不必要な陣痛促進剤の使用や、帝王切開が問題となるケースも多く報告されています。」ということですが、今の時勢で陣痛促進剤を不必要に使用するようなことは、恐らく産科医の先生方はなさらないであろうと感じます。(あくまで私見です。)

因に、この記事は2006年6月9日に記されていますが、最近ではこの医療法19条について若干の改訂があった様です。
ある産婦人科医のひとりごと:定着しない助産師 長時間勤務、残業 (東京新聞)より情報を拝借しました。

「今年成立した改正医療法(2007年施行)で、助産所の嘱託医は産婦人科医に限定され、緊急時に搬送できる連携医療機関も義務化されたとのことです。連携医療機関が分娩の取り扱いを中止すれば、その施設は連携医療機関としての要件を満たさなくなります。」

つまり、嘱託医は以前ならば皮膚科の先生や内科の先生で分娩を取り扱った経験のない方でもよかったのです。しかし、助産院で緊急帝王切開などの緊急処置が必要となった場合にそれでは役に立たないということで、嘱託医は産婦人科医に限定し、連携医療機関も義務化されてきたということですね。

円議員のいわれることは、一部は分娩の理想です。しかし、現実として産科を取り巻く現状では受け入れがたい部分もあるのではないでしょうか?

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脳梗塞という言葉

2006年9月5日 晴れのち雨
なにかジメジメしています。徐々に気管支喘息の児が増えてきています。秋口はシーズンです。

さて、用語の問題?と思われる記事です。医療過誤の報道に長けている毎日新聞から...
医療過誤訴訟:金沢大病院「過失ない」争う姿勢−−地裁で口頭弁論 /石川(毎日新聞)

『金沢大付属病院(金沢市)に入院していた小松市の女性(59)が、脳こうそくを発症して神経に障害が残ったのは病院側の治療後の措置に過失のためとして、同大相手に1億円の損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が4日、金沢地裁(倉田慎也裁判長)であった。金沢大側は「過失はなかった」として争う姿勢を見せた。
 訴状によると、女性は01年12月10日に心不全で同大に入院。心臓検査のため、頸(けい)静脈にカテーテルを挿入した。同13日にカテーテルを抜いた後、ベッド交換のために移動したところ、挿入口から多量の空気が静脈に入り、脳こうそくを発症。付き添い介護が必要な後遺症が残った。
 病院側はこれに対し、▽発症したのは脳こうそくではなく、脳塞栓(そくせん)▽カテーテルを抜去後の処置は医学水準に合致した手法で、挿入口から空気混入は考えられない▽ベッド交換が直接の原因とは断定できない——などと反論した。』

脳梗塞という言葉を調べてみると...「脳血栓と脳塞栓の総称。脳に酸素と栄養を供給している動脈が細くなったり詰まったりして、その先に血液が流れにくくなる疾患。」とあり、脳梗塞の範疇の中に脳塞栓は入ることとなります。
「▽発症したのは脳こうそくではなく、脳塞栓(そくせん)」と病院側が説明したとありますが、これは「発症したのは脳梗塞の中の脳塞栓」といったのではないかと思います。

また、患者さんには心不全があり、心臓の中での血流が低下している可能性があります。そうすると、心臓の中で血栓が形成され、それがとんで脳の血管の太い部分に詰まり心原性脳塞栓という重症の脳梗塞を起こすことがあります。

そして、なにより頚静脈から空気が入った場合、まずは上大静脈から右心房に入り、右心室を経由して肺動脈から肺に空気塞栓が起こるのが普通のような気がするのですが...これは、専門の循環器の先生に聞かないとはっきりしませんね...

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2006年9月 3日 (日)

診断ミス?

この記事が目にとまりました。心筋梗塞は診断が非常に難しいことがあります。

まずは、この件で亡くなられた50歳の会社役員の男性とその遺族の方々深甚なる哀悼の意を表します。

医療過誤損賠訴訟:鹿嶋の医療法人と遺族、1億円支払いで和解 /茨城(毎日新聞)

『潮来市潮来の会社役員の男性(当時50歳)が急性心筋こうそくで死亡したのは、病院の診断ミスが原因として、男性の遺族3人が、医療法人「善仁会」(鹿嶋市宮中4、小山善朗理事長)に約1億円の損害賠償を求めた訴訟の和解協議が1日、水戸地裁(志田博文裁判長)であった。協議の結果、病院側が原告に1億円支払うことで合意し、原告の主張がほぼ認められる形となった。
 訴状などによると、男性は99年4月19日午前1時ごろ、のどや背中などに痛みを訴え、救急車で同法人が経営する「小山病院」に運ばれた。レントゲン検査などで異常がなく、のどの炎症である「上気道炎」と診断され帰宅。男性は数時間後に再び痛みを訴え、同病院に運ばれたが、同日午前7時ごろ、急性心筋こうそくのため死亡した。
 遺族は「明らかな診断ミス。男性の症状から心筋こうそくを疑うべきだった」と主張。病院側は「男性は心筋こうそくを疑わせる症状を伝えていない」などと反論していた。
 和解では、病院側は原告の主張する「診断ミス」は認めず、和解金の支払いと謝罪に応じた。病院側は「不適切な対応により男性を死に至らしめたことを深く謝罪し、今後、同様の医療事故が生じないよう防止策を講じる」と述べた。
 原告である男性の妻(57)は「ほっとした。(亡夫に)見守っていてくれてありがとうと伝えたい」と話した。』

心筋梗塞の典型的症状は胸部絞約感(胸を締め付けられるような感じ)を伴う胸痛が持続することです。しかし、非典型例は多く、「歯が痛い」「左肩がこる」「背中がいたい」、ただ「吐くだけ」の場合もあり、診断に難渋したり見逃されてしまうなどのことが起こりうる、そんな病気です。もちろん、診断技術を高め、こういった不幸な患者さんを減らす努力が必要ですが、今回の状況で、どれだけの一般臨床医が正確に心筋梗塞を診断できたか?ははっきりしません。

<明らかな診断ミス。男性の症状から心筋こうそくを疑うべきだった との主張ですが....
診断はできるかもしれませんが、一般の臨床医のうちこのような非典型例を診断できるのは、ごく一部であると考えます。(因に私も見逃すかもしれません。)これで、和解金は1億円とは...日本も厳しくなってきました。
ただ、和解の条件の「診断ミスは認めず」というところは、最低限これだけは...というギリギリの条件だったのでしょうね。

拙ブログ:貴重なコメントをいただきましたのコメント欄で私の経験を紹介していますが...このようなこともあり、心筋梗塞の非典型例の診断は非常に難しいこともある。と認識していただければ幸いです。
「コメントに対する返答とは少し離れますが....今日の私の仕事は....
朝8時30分から午後5時まで小児科の外来をしながら、病棟の患者さんもみて、成人を含む患者さんの救急車の対応までをこなします。ちょうど、前日の当直との切り替わりの時間に高齢者の「嘔吐下痢症」という触れ込みの患者さんが救急搬送されてきました。私は救急室に向かっている途中でしたが、病院のストレッチャーに移した途端に意識消失し心拍が触れない状態となり、看護師さんからPHSに連絡がありました。モニター上、心室細動でDC200J一発で戻りましたが、呼吸が不安定のため気管内挿管し12誘導心電図で前壁の心筋梗塞が疑われ循環器内科の先生を呼び出して診ていただきました。いなかの病院ですので、このような事も小児科医ですが診ています。」

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医療のことを考える方々

2006年9月3日 晴れ

今日は日直です。午前中はまあまあの受診数でした。

さて、このような記事が...

医療・保障、格差社会を考える 京で「議員フォーラム」 (京都新聞)

『 「小泉構造改革」後の医療・社会保障や、格差社会について考える「議員フォーラム」が2日、京都会館(京都市左京区)で開かれた。坂口力・元厚生労働大臣ら、医療に詳しい与野党の国会議員6人が、高齢者への医療制度改革の問題や、国民皆保険制度の危機について話し合った。 京都府保険医協会と府歯科保険医協会の主催で、医師や障害者ら約600人が参加。京都市の病院経営者が「医療制度改革で減収が見込まれ、療養病床を廃止した。看護師も不足し、地域医療が崩壊する」と訴えた。 京都府精華町の福祉担当の職員は、高齢者福祉が切りつめられている現状を「窓口に来たお年寄りに、『国で決まったことですので』といわざるをえず、はがゆい」と苦悩を語り、全身の筋肉が動かなくなる最重度障害者の橋本操・日本ALS協会会長は、意思伝達装置を通じ「家族は365日24時間患者に拘束されている。医療依存度の高い障害者を地域社会がどう受け入れるのか」とコメントした。 丹羽雄哉議員(自民)は「財政諮問会議で医療費の総額抑制が話し合われ、率直に言ってつらい。療養病床削減は大きな問題と認識している」と答えた。また仙石由人議員(民主)は「厚労省の政策は現場を知らず、検証もない。保険局の財政的な発想では、介護難民を生む恐れがあり心配」と述べた。』

仙石議員は先の「福島県立大野病院事件」の折にも、「この事件は後になり、検察が起こした事件と認識されるようになるだろう」との言葉を国会の場で言ってのけた方です。厚生労働省の役人さんたちは、現場を知らず、検証もなく、机上の論理を推し進めている。という認識は現在の医療者の心情に近いのではないかと思います。

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2006年8月31日 (木)

助産師さんは充足?

ロハスメディカルブログにて以下の記事が掲載されていました。

ロハスメディカルブログ:助産師は足りているか?

図表はコピーできませんでした。面白い記事です。
要約すると...
「分娩場所として、自宅、助産所は1965年頃を境に減少してきた。出生数の減少から考えると、現在の助産師数は足りている(というより、過剰である)(驚!!)。助産師の不足感は一つには他職種(例えば看護師、保健師)との兼業、一つの医療機関が大量に抱え込んでいることからの偏在によることもある。」
でも実際には市中の産科医療機関で、助産師さんを充分な数だけ抱え込んでいるところはほとんどありませんね...どこ、いっちゃうんでしょね〜

ただ、この部分は圧巻です。全くその通りと感じました。
「スキルを持っている者を、規制を盾に市場から排除しようという態度は、根本的には患者不在であり、既得権益にしがみついている者に特有の自己中心的な醜い姿に見える。政策決定者は反省すべきであろう。」

*********************************************************************

以下引用....長いですよ...
『まず、人口動態統計から、出生場所の推移をグラフ化した。

【グラフ1】
戦後一貫して自宅等での分娩は減少して既に極少数派となっているだけでなく、助産所での分娩も、1965年頃をピークに減少に転じ、以降、再び浮かび上がってくる気配がない。この時、日本のお母さん達は病院、診療所での分娩を選んだのである。自宅分娩や助産所は妊婦から見放され、分娩市場から事実上駆逐されてしまった。

 厚生労働省が一層の医療費削減のために助産所や自宅での分娩を進めるのであれば、妊婦が助産所を選ばなかった理由をきちんと分析する必要があるだろう。助産師自身も、1965年頃に何があったかを含めて、真摯に自分たち自身に問いかける必要があるのではないか。助産所での分娩には一定の条件下でならばたしかにコスト以外にも良いところはある。妊婦のニーズをほんとうに捉えることができれば、現状の10倍、100倍に伸びる可能性があると考える。

 しかし、妊婦のニーズと関係のないところでいくら争っても、効果は期待できない。また、助産師全体としての助産業務の市場独占には、供給量を担保するという社会的責任を伴う。自覚が必要であろう。

 助産師数の近年の推移はどうか、全国平均から見てみよう。

 平成8年から16年にかけて、人口動態調査から出生数を、衛生行政報告例から就業助産師(平成12年以前の数字は助産婦)数を見てみる。

【表1】
 出生数の減少にも関わらず助産師数が増え続けているため、助産師一人当たりの出生数は近年急速に減少しつつあるのが分かる。8年間で14%の減少である。1年間に日勤夜勤合わせておよそ200日出勤するとして、以前であれば4日に一度は赤ん坊を取り上げ、臍の緒を切っていたのが、今では5日に一度までに減少しつつあると言えばわかりやすいであろうか。

 全体としては余剰感が出ていることは確実であり、このまま出生数の減少と助産師の増加が続けば、どこで働いていても助産師の所得水準は速やかに低下するのが市場原理である。所得の適正水準は、この8年間で10%以上のマイナスとなっていると考える。所得水準をこれ以上下げたくなければ、助産師一人当の業務量、特に分娩数を維持する必要がある。それには助産師増に歯止めが必要である。

 助産師の養成数そのものはこの数年間、あまり変化がなかった。年齢階級別の助産師数の推移を見てみよう。

【グラフ2】
 増分は主として離職率の低下によるものであることがわかる。その点から見ると、給与水準の高い中堅層・高年齢層が増えることによって若年層の人件費が圧縮され、年齢階級間の所得水準に相当な格差が生じている可能性も否定できない。

 若年層の所得水準をも維持したければ、助産師の養成数はすぐにも削減しなければならないのが道理である。

 もちろん、増員の問題とは別に、助産師が全く関わらない分娩も少なくないと考えざるをえない。この急激な業務ボリュームの減少が実体を伴っているのかどうかについては、別途検討が必要であろう。

 もし、助産師の関与が少なくなっているのであれば、言うまでもなく、助産師一人当たりの年間取扱分娩数はさらに急激に減少していることになる。逆に、助産師の関与する割合が増えているのであれば、年間取扱分娩数の減少は見た目だけ、あるいは実態は増加に転じているということもありうる。ことは分配の問題であり、一概に助産師の所得水準が下がるとは言えない余地を残す。

 さらに言えば、平成12年を最後に統計では扱われなくなったが、これら就業助産師数の中で、相当数が看護師業務、保健師業務を兼務していることも問題である。平成12年で言えば、助産師総数24511人のうち、154人が保健師業務を、16821人が看護師業務を、128人が両方を兼務していた。実に7割の助産師が兼務の状況にある。助産師よりも、むしろ看護師数が現実に相当数不足しているがために起きている現象ではある。看護師数を一層増加させることによって、この兼務を解消し、助産師の労働力を分娩に集中させることができれば、病院助産師の増員は本来無用のこととなる。

 ある専門職が、他職種でもできる仕事に従事するのは、無駄遣い以外の何ものでもない。

 もう一つの問題は偏在である。都道府県別の助産師一人当たり出生数を示す。首都近県の困窮の度合いがよくわかる。

【グラフ3】
 施設によっては必要数以上に助産師を多数囲い込んでいる例がある。報道によれば、年間分娩数2000あまりの葛飾赤十字産院の助産師数は111人であるという(毎日新聞、2006年8月24日)。助産師一人当たり分娩数わずかに年間18人というのもスキルの維持向上の上で大きな問題だが、それだけでなく、どれほど良い分娩医療を提供しているにしても、そしてそれが妊婦から高く評価されているにしても、一つの医療機関が、ほぼ佐賀県一県と同じだけの助産師を雇用しているということになるのは如何か。ここには、ある意味で公共財である人材の無駄遣いはないのか、潜在的生産力の空費はないのか、あるいは分娩費用の無意味な上昇が発生していないのか、検討が必要であろう。

 この辺り、既に平均値で論じることにあまり意味のない領域に入りつつある。助産師一人一人につき、その年間取扱分娩数を調査・分析する必要があるだろう。

 一般的に言って、労働力の過不足は、一連の生産物を得るための生産ラインに、1)充分な労働者が投下されているか、2)稼働率はどれほどか、3)各作業に対してバランスよく配置されているかの少なくとも3点について検討を行う必要がある。

 1)は充分であるかも知れない。2)は甚だ心許ない状況であり、逆に言えば大いに改善の余地がある。
 日本の分娩についての医療政策の特徴は、3)の業務役割の分担に、全く計画性がないことであると言える。産科医、助産師、看護師等の法令上の役割分担について、データに基づいて業務の配分が為されたことはない。

 一般的な生産現場では、原価企画からまず投下できる人件費が定まり、実人員の採用計画、稼働率の維持(日本の製造業ではあまり問題にならない)、そして作業への人員配置計画が為される。稼働開始から計画の実現には一定の時間が見込まれるのが普通である。

 日本の医療現場では、多くはそれに近いことが行われてきている。まず患者さんが居て業務があり、しかる後、スタッフに対して仕事の分担が行われる。多くの医療機関では、スタッフは充分に流動性が高かった例しがなく、医療費抑制政策の下で追加投資の原資も乏しく、現有の人員で業務を何とか分担してこなすことに配置計画の力点が置かれてきた。そこには当然、非専門外の仕事に従事させられる専門職が多数出現するという無駄遣いも生じている。

 しかし、政策決定者は全く逆に手法に依存している。まず、あるべき論から各専門職種の業務と守備範囲を宣言して、しかる後に業務分担を考えるのである。

 業務は多彩な現実であるが、その守備範囲の宣言は現場の実態に基づかず、机上で考えられたものである。専門性を無視したムダな業務分担や、誰も担わない業務が出現し、患者に必要な処置を担う適切なスキルを持った医療者が割り当てられないという事態が出現する。あるいは逆に、誰でも行えるような業務を複数の職種が取り合いするという重複が起こる。これで専門職種の過不足を論じるのは無理である。いずれにせよ、患者の迷惑は甚だしい。

 助産師の教育コースはわずか1年間である。内診のスキルトレーニングなど、そのごく一部に過ぎない。助産師ではない看護師であっても、OJTによってすら内診のスキルトレーニングを行うことは充分に可能であろう。それによって助産師が分娩に専念できるのであれば、妊婦にとっても、より好ましいことである。

 スキルを持っている者を、規制を盾に市場から排除しようという態度は、根本的には患者不在であり、既得権益にしがみついている者に特有の自己中心的な醜い姿に見える。政策決定者は反省すべきであろう。
 市場はそんなものは認めない。マネジメントは真実に根ざしていなければならないと言われる。真摯な検討が必要である。』

続きを読む "助産師さんは充足?"

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blog紹介その2

つづいて、トラックバックを受けたブログの御紹介。

東京女子医大病院で心房中核欠損症の手術時にポンプのトラブルにより患者さんが亡くなった事件で、業務上過失致死罪に問われ第1審にて無罪を勝ち取った先生のブログです。

今回の記事は、留置場、拘置所の状況について、当時の状況を細かく紹介されています。非常にバイタリティーにあふれる心臓外科医である彼は、その留置場での生活をも客観的に振り返っています。
「必読」と感じます。

紫色の顔の友達を助けたい:獄中執筆記-傷害防止特殊ボールペンによる医学書院「医学大事典」の執筆-

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blog紹介

2006年8月31日 雨
堀病院事件について数回触れてきました。いろいろなブログを訪問して、いろいろな見方を勉強してきましたが....

このブログの記事は産婦人科を取り巻く現状を深い視点で洞察したものといえます。御一読を勧めます。

ターミナル:■[医療 my love] 妊婦さんを救おう! 〜産科医療をぶっこわせ2006〜

トラックバックしようとするのですが、どうもハテナダイアリーと相性が悪いようでできません....

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2006年8月30日 (水)

助産師さんの問題...レス

2006年8月30日 雨
雷もなっていましたが、そうひどくはありませんでした。

助産師さんの問題については様々な方々からコメントをいただきありがとうございました。コメント欄で返答しようとも考えたのですが...やはり、読みづらいこともあり新たに記事を立てました。
尚、いままで医療関係者と法曹界の方々と思われる方々には敬称を「先生」としていましたが、区別がつきにくくなっていることもあり、今回から、すべての方々への敬称をまとめて「さま」とさせていただきたく存じます。

<医療って さま
毎日新聞は今回の報道に関して、かなり偏った報道を展開しているように感じます。私が医師だからでしょうか?
助産院の問題は、(医療界では)すでにかなり以前より指摘されているところですが、なかなか一般の方々には理解していただけない部分でもあります。一つには、やはりマスコミが「影」の部分を報道しないという態度にあるからかもしれません。

< yuchan さま
一つ前の記事で扱った新聞の社説は冷静な観点で報道しているように感じました。現在の法制度と現場との乖離をなくすように動くべきであると思います。

<小児がんと生きること管理人さま
現場の新生児科医より貴重なコメントをありがとうございました。助産婦さんの位置づけを考えることは必要と感じます。分娩において、100%安全はありません。(これは医療の全体にいえることですが...)日本の周産期医療が母体死亡率、乳児死亡率において世界一の状態なのは、周産期医療に従事する皆様のたゆまぬ努力の賜物であることは、おそらくその現場を知るもののほとんどが認識するところではないかと考えます。
そして、それを維持しつづけるには、助産師さんと産科医のあいだに隔絶があってはならないと考えます。

<流風 さま
産婆さんは、現在でいうと助産師さんであり、助産院であると言い換えることができます。確かに、妊娠分娩は正常な生物の再生産という捉え方もでき、できるだけ自然にするほうが良いと考えることもできます。しかし、妊娠や分娩には100%の安全はありません。現在、巷を賑わせています「堀病院」の件にしても、発端は数年前の母体死亡にあると考えられます。そして、分娩時における危急事態は実は分単位で対応しないと母児ともに、救命できない場合もあるような、非常にスピードの速い事象であります。対応としては、緊急で帝王切開を行う、輸血を行うなどの医師でなければ施行できないものが含まれます。助産師さんだけで運営している助産院では、こういった処置が分単位で行えないのはおわかりいただけることと思います。
ただ、ある程度のリスクを承知されて、「やはり自然のかたちがよい」と選択されるのであれば、昔ながらの産婆さん、助産師さん、助産院での分娩を選ばれるのはその妊婦さんの自由であるとも考えます。

<山口(産婦人科)さま
マスコミは助産院のリスクについても報道すべきであると思います。特に毎日新聞はかなり偏った報道姿勢ですね...冷静な報道をと望むところでありますが、期待することが罪なのでしょうか??(悲)

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2006年8月29日 (火)

助産師さんの問題...2

2006年8月29日 晴れ一時雨
比較的、公正公平な目で報道していると思われる社説です。

無資格助産 現実的な解決策が要る(中国新聞;社説)

『資格のない看護師らが助産行為をしていた疑いで、横浜市の産婦人科病院が警察の家宅捜索を受けた。背景には助産師の慢性的な人手不足があり、院長は「現状では必要悪だ」と言い切っている。
 どうすれば子どもが増えるか、みんなが知恵を絞っている時代である。違法行為の摘発に終わらせず、母子が安心できる出産環境づくりにつなげたい。
 看護師や准看護師が携わっていたのは「内診」。子宮口の開き具合などを触診して、出産の進行が正常かどうかを判断する。多くの病院は「診療の補助」として看護師に任せてきた。広島県内でも簡単な研修を経た「産科看護師」が内診をしている実態がある。
 しかし厚生労働省は保健師助産師看護師法で規定する「助産」にあたるとして、「助産師と医師以外は行ってはならない」と二〇〇二年と〇四年、各都道府県に通知している。異常があれば母子に大きな影響があり、対処には専門知識が必要だからだという。因果関係の有無は別として、無資格助産が絡む医療事故も起きている。
 捜索を受けた病院の院長は違法と知ったうえで、開業間もない一九六〇年ごろから看護師らに内診させていた。医師や助産師には限りがあるためという。厚労省の通知後、助産師を募集したが集まらなかったとし、「(無資格助産を)やめたら、明日から出産を断らなければならない。必要悪だ」と語っている。
 この問題では昨年の厚労省の検討会で、日本医師会や日本産婦人科医会の代表から「一定の条件で認めるべきだ」との意見が出た。「今回の事件で開業医が病院をやめてしまう恐れもある」と心配する声すら出ている。
 助産師として働く人は約二万六千人。資格を持ちながら働いていない人も二万六千人いる。結婚や子育てを機に辞めた人も多いだろう。医療機関は新たなコスト増を嫌う。どういう条件が整えば職場復帰を増やせるか研究してほしい。看護師が助産師免許を取りやすくする工夫もあっていい。
 厚労省も現状認識が実態とずれていたことを認め、全国の医療機関での助産の実態を調査する方針を明らかにした。
 子育て支援策をいくら施しても、出産現場が揺れていては元も子もない。助産師の発掘に加え、法の運用に再検討の余地はないか。母子の安全を第一に、現実に即した解決策を探りたい。』

助産師の資格を持っている方は5万2千人で、半分は資格をもちながら助産師として働いていない。これでは、現場での助産師さんは不足するでしょうね...やはり、助産師さんの養成数を増やすこと、助産師として働き続けやすい環境を作ることなどが必要となってくるでしょう...。

ただ、ここで気になることが...助産師さんがお産をとれば、看護師さんが助産をするよりもお産は安全となるのか?私は、数ヶ月程度新生児をやっていただけですが、胎児仮死や母体の危急事態では分単位の対応が求められるのを肌で感じていました。そして、それは緊急で帝王切開をするか?どうか?、輸血を行うかどうか?などの医師でないと決められない部分が絡みます。助産師さんが増えることは、それ自体よいことであるのは感覚的にわかるのですが....果たして、そのような緊急事態の対応まで助産師さんが増えることによって、良い面が表れるのでしょうか?

そう考えると、助産師だけでなく産科を支える方々全体の人員確保が必要になってくるのではないかと思われます。そして、助産師さんはやはり産科医の先生と緊密に連携して「安全なお産」を行うようにしないといけないのではないかと感じます。

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2006年8月28日 (月)

助産師さんの問題...

神奈川県の堀病院の件は多くの続報が出ている様です。

問われる「日本一」:堀病院・無資格助産事件 「特殊ケース」医師に問題 /神奈川(毎日新聞)

『産婦人科病院「堀病院」(横浜市瀬谷区、堀健一院長)の無資格助産事件を受け、安全なお産を目指す市民団体「陣痛促進剤による被害を考える会」代表の出元明美さん(53)=愛媛県今治市=が毎日新聞のインタビューに応じた。助産師不足が叫ばれる中、看護師や准看護師による無資格助産は「氷山の一角」とも言われるが、出元さんは今回の事件を「助産師がいても医師が使いたがらない特殊なケース」と指摘、医師の意識改革を求めた。【堀智行】
 ◇「助産は専門知識が必要」−−出元明美・陣痛促進剤による被害を考える会代表
 出元さんは県警による堀病院の家宅捜索前から、同病院における助産の実態について関係者から相談を受けていた。これまでに聞いた話では、同病院は助産師は内診も含めた分娩にほとんど関与させず、新生児室や出産後の相談を担当させられていたという。
 一般に無資格助産は、医師や助産師の手が足りない時に看護師らが行うケースが多いが、意図的に助産師を分娩から除外したケースは「特殊」と指摘する。その理由を「助産師に比べ医学的知識が乏しい看護師や准看護師は、医師が仮に危険な医療行為を指示しても正しいか判断できず、指示通りに動くしかない。助産師に比べて使いやすかったのでは」とみる。
 県警の家宅捜索を受けた堀院長は24日、「看護師でも(助産行為は)できる」と述べた。しかし、出元さんは陣痛から始まるお産の経過は医師または助産師が見守らなければならないと反論する。
 「元気な赤ちゃんが生まれてくるかは、分娩監視装置の波形や子宮の収縮状況など分娩経過を見守っていないと分からない。助産師なら専門的な知識を要する分娩経過を確認できるが、看護師や准看護師ではできない」
 今回の事件後、各地の助産師から、看護師による助産が公然と行われている実態を危ぶむ電子メールが届いている。「開業医のいい加減な助産現場の実態に失望して辞めていく助産師が少なくない。堀院長は助産師が集まらないと言うが、しっかりした体制であれば助産師は集まる」
 日本医師会など一部の団体は、助産師不足を理由に看護師による助産行為を認めるよう求めているが、「助産師が少ないなら助産師学校を増やすなどするべきでしょう? お産の安全性を落とす理由にならない」と真っ向から反対する。
 高級車での送迎など手厚いサービスで年3000人の妊婦を集めていた堀病院。出元さんは「確かにサービスや外観は素晴らしい。だから分娩も大丈夫、と思いこむのは危険。医師や助産師がきちんとお産に立ち会ってくれるかを事前に確認し、病院を選んでほしい」と訴えた。
 ◇サービス駆使し“独り勝ち”、「長い待ち時間でも飽きない」
 堀病院が少子化の中で順調に成長を遂げ「出産数日本一」となったのは、駅に近い立地の良さに加え、高級外車や救急車による個人送迎をはじめとするユニークなサービスにあった。少子化社会で周辺の産科医院が分娩(ぶんべん)から撤退する中で地域患者を一手に集め、「独り勝ち」とも言える状況だった。
 堀病院は1959年3月、当時31歳だった堀健一院長(78)が開業し一代で築き上げた。相模鉄道沿線を中心に患者を集め、入退院時の送迎や選べる食事などのサービスが妊婦に評判だった。ホームページは院内に美容室、エステルームまである様子を写真入りで紹介。数あるインターネットの出産情報サイトでも「待ち時間は長いが、子供を連れて行っても飽きない」などと利用者の高い評価を得た。
 相鉄沿線で開業する産婦人科医の一人は「出産数が多いこと自体が利点だ。1日に何件も出産があると、同じ日に出産した人同士、育児の相談相手になれる。友だちがほしいからと堀病院を選ぶ人もいる」と指摘。「昔は相鉄各駅に産科医院2カ所ずつぐらいあったが、今はほとんどない。沿線で多数のお産ができるのは堀病院くらい」と話す。この医師も約15年前に分娩をやめたという。
 日本産婦人科医会によると、いつ出産があるか分からない激務や、少なくない医療事故に伴う高額賠償を避ける傾向が、産科医不足に拍車をかけている。県が今年3月に実施した調査では、03年度に181あった分娩施設数は今年度は165まで減少する見通し。県産科婦人科医会は15年までに県内医療機関の分娩受け入れ可能数が現在より約1万人落ち込むと試算している。
 県立足柄上病院(松田町)が今年3月、分娩予約を一時休止するなど県西部で産科医不足が顕在化しているが、県医療課によると、今後は横浜、川崎の大都市部でも医師不足が本格化する可能性があるという。
 横浜市内の医療関係者は「事件の影響で分娩をやめる産科医がさらに増えるかもしれない。そうすれば、堀病院のような大きな病院への患者集中がさらに進む」とため息をつく。事件は産科医療の現場に重い課題を投げかけている。【伊藤直孝、野口由紀】
 ◇横浜の出産の10%担う
 横浜市によると、年間出産数約3000人の堀病院は同市内の出産の10%近くを担っている。「あそこが機能停止になったら、市の産科医療はパンクする」。ある市内の医療関係者は同病院の存在の大きさを語る。
 堀院長は無資格助産を続けていた理由に「助産師不足」を挙げていたが、同市内の病院の助産師数は増えている。市医療政策課によると▽03年度329人▽04年度330人▽05年度387人▽今年度は395人——となる見込み。今年3月、市内の産科・産婦人科のある医療機関に実施した「産科医療及び分娩に関する調査」によると、病院側が今年度に必要と考える助産師数は374人で、数としては足りていると言えそうだ。
 ただ、実際は助産師が不足している医療機関が市内にも少なくない。助産師が偏在しているとみられ、赤岡謙課長は「医師と助産師のパートナーシップがうまくいっていなかったり、助産師にとって働く魅力のない医療機関があるからではないか」と分析する。
 市の電話相談窓口には26日にも、堀病院に関する計38件の相談が寄せられた。このうち転院に関するものは21件で、12件に対して転院先の情報を案内した。過去に堀病院で出産した人が「出産時に出血が多かったのは無資格者の助産行為に関係があるのか」と相談してきたり、「転院希望者が相次いでいる」と訴える病院からの電話もあったという。【鈴木一生】
 ◇捜索後も待合室は混雑
 堀病院には県警の捜索後も連日、多くの親子連れや妊婦が来院している。土曜日の26日も駐車場はいっぱいになり、待合室も混雑した。
 「陣痛が来ると救急車で迎えにきてくれるサービスがいい」(27歳主婦)と言われる同病院。26日も数台の救急車が出入りした。ベビーカーを押して来院する父親も。受け付けに掲げられている今年の出生数は、捜索を受けた24日は「2036人」だったが、この日は「2062人」に変わっていた。
 訪れていた主婦(31)は「2年前、ここで出産したけど本当に良くしてもらった。法律より、多くの人が産めるようになるよう行政は考えてほしい」と病院を擁護。病院近くに住む主婦(35)は「許せないけど、(助産師や看護師が)プラカードをつけているわけじゃないから。近くはここしかないから、仕方なく通っている」と言う。
 一方、堀病院への通院をやめ、転院する妊婦も現れ始めた。転院するための紹介状を書いてもらったという旭区の主婦(22)は「お母さんに言われて不安になった。もう妊娠9カ月だから、新しい病院が見つかるか不安」と話した。【池田知広】
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 ■人物略歴
 ◇でもと・あけみ
 元看護師。84年、陣痛促進剤による計画分娩で出産した3人目の子を亡くし、「陣痛促進剤による被害を考える会」を発足させる。安全なお産を求め、陣痛促進剤の副作用問題などを調査するとともに厚生労働省との交渉を続けている。04年に無資格助産による死産や子どもに障害が残る医療事故が全国で15件あったことを独自に調べ上げ、同省に是正を申し入れた。』

出元明美さんは一躍、時の人となりました。安全なお産を求め、助産師や産婦人科医が分娩介助をおこなうのがよいのは至極当たり前な考え方ですし、共感できます。御自身のお子様を亡くされた経験がおありであることも、助産師以外のものが分娩の介助についている現状を更に許せなくしていることと思います。

この記事の中では、助産師数は充分な数がいるとの見解ですが...
<市医療政策課によると▽03年度329人▽04年度330人▽05年度387人▽今年度は395人——となる見込み。今年3月、市内の産科・産婦人科のある医療機関に実施した「産科医療及び分娩に関する調査」によると、病院側が今年度に必要と考える助産師数は374人で、数としては足りていると言えそうだ。
この見解には問題があると考えます。それは、少なくとも掘病院には助産師さんが6人しかいません。これだけの規模の病院で助産師さんはもう少しいてもいいはずです。そのような状況が、この統計に入っている他の病院にも生じていないでしょうか?病院側が今年度に必要と考える助産師数は、もしかすると「本当に必要な助産師数よりもかなり下回っている」のではないかと推測されます。

助産師さんの免許を取っていても、何らかの事由により助産師として働けないかたもいるはずです。それも含めて、更に多くの助産師さんを養成しないと現場は充足してきません。助産師さんの不足は以前より指摘されていたはずです。それに対して何らかの手を打つべきであったのは、どの部署でしょうか??その部分にマスコミは注目すべきです。

更に記事の中では....
<日本医師会など一部の団体は、助産師不足を理由に看護師による助産行為を認めるよう求めているが、「助産師が少ないなら助産師学校を増やすなどするべきでしょう? お産の安全性を落とす理由にならない」と真っ向から反対する。
との出元さんのコメントを紹介していますが....助産師学校を増やす場合の許認可はどちらの部署が握っているのでしょうか?厚生労働省ですか?文部科学省ですか??攻撃する場所を間違えていませんか?いままで、助産師不足を知りながら、何ら有効な手を打ってこなかったのはどの部署でしょうか?
よーく、吟味して記事を飲み込まないといけませんネ。

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2006年8月25日 (金)

産科崩壊への火種

2006年8月25日 晴れときどき雷
雨は降らなくても、雷がすごかった一日でした。急性胃腸炎の患者さんが入院し、無熱性けいれんの児のMRIを撮影できました。(やっとこさ、眠ってくれました...)

さて、いささか荒れた印象を与えるタイトルの記事です。
助産行為 「法律には限界ある」堀病院長が開き直り(毎日新聞)

『「法律に基づいてやるには限界がある」。保健師助産師看護師法違反容疑で神奈川県警に家宅捜索された堀病院の堀健一院長(78)は、同県警の調べに、看護師らに助産行為をさせていたことを開き直って認めた。同病院の助産師数は同規模の病院より極端に少ない。厚生労働省は「助産行為は医師と助産師しかできない」との見解だが、公然と反旗を翻した格好だ。
 ◇院長「看護師の内診は必要悪」
 堀健一院長(78)は24日夜、横浜市瀬谷区の同病院で報道陣の質問に答え、「患者が来るのに助産師が足りない。看護師が内診をすることは必要悪だ」と強調した。今後の対応についても「(看護師らによる内診を)続けなければどうすればいいのか。看護師による内診をやめたら明日から患者を全部やめなければいけなくなる」と語気を強めた。
 堀院長によると、同病院では開院した1959年から40年以上にわたり、院長の指示で看護師による助産行為を続けていた。数年前、厚労省が看護師の助産行為を違法とする通知を出したため助産師を募集したが、集まらなかったため、看護師の助産を続けていたという。
 堀院長は看護師による助産の危険性について「分娩(ぶんべん)に入るまでを看護師にさせていたのであって、お産の取り上げは医者がやっていた。看護師が内診をしてもお産の安全性に影響はない」と主張。さらに「ウチだけが特殊なのではない。ほとんどの病院でもやっている。この機会に法律を見直さないと立ちゆかなくなる」と持論を展開した。【堀智行、池田知広】
 ◇看護師まかせの医療ミスは、全国で少なくとも14件
 「出産数日本一(年間約3000人)を誇るユニークな産婦人科を目指して頑張っています」。堀院長は、ホームページでそうアピールしている。堀病院の05年の分べん数は2953人。産婦人科医は院長含め7人、助産師が6人。ところが、分べん数が2074件の東京都葛飾区の産院は、産婦人科医6人、助産師111人▽約2000件の分べんがある東大阪市の産科病院は産婦人科医が8人、助産師が約35人いるなど、堀病院より多くの助産師を配置している。
 安全な出産を目指す市民団体「陣痛促進剤による被害を考える会」(愛媛県今治市)の出元明美代表は「(捜索を受けた堀病院は)助産師が一切助産行為をしていなかったという関係者の話も聞いている」と話す。84〜05年、助産師ではなく、看護師や准看護師らが助産行為を行い、胎児や母親が死亡するなどの医療ミスが、全国で少なくとも14件発生しているという。
 しかし、産婦人科医の間では、一部の診療所などで、看護師が医師の指示を受けて助産行為を行っていることは、公然の事実。厚生労働省は04年に「医師の指示下でも看護師の助産行為は違法」との見解を示しているにもかかわらず、医師の指示があれば、看護師の助産行為はできるという医師らが多くいることが、この問題の背景にある。
 出元代表は「(堀病院は)助産経験が豊富で、誤った行為を指摘できる助産師より、医師の言うことを素直に聞きやすい看護師の方が任せやすかったのではないか。安全な出産について医師が真剣に考え、適切に助産師を雇用する意識改革が不可欠だ」と批判。厚労省看護課は「助産行為は特別な技能と専門知識が必要で、医師の指示下でも助産師以外はできない。安全で安心なお産を実現するため、医療機関側は適当な人数を確保して運営してほしい」と話している。【工藤哲、玉木達也】』

現在の産婦人科を取り巻く状況は、「絶滅を待つ稀少動物」に例えられるかもしれません。私立の産科施設で、助産師さんを定数通り雇用できているところはどれだけあるでしょうか?実は私の家族も、看護師さんの内診ののち、産科医あるいは助産師さんの付き添いでお産を済ませています。
日本の産科医療を考えると、現実問題として24時間365日の拘束勤務が要求される現場において医師あるいは助産師が別の分娩に入っていて内診ができないことはよくあることと思われます。それでも、助産師さんが行うべきであることは、「法律から明らか」なのですが、それではそれだけの数の助産師さんを毎年養成できているのでしょうか?

助産師さんは看護師さんの免許を取得して、更に1年以上の勉強をして国家試験に合格してはじめてなることができます。少し前までは、3年で看護師さんになっていたのですが、最近の傾向として大学と同じ4年で看護師さんになるところが増えています。更に、助産師さんや保健師さんになるためには更に1年勉強が必要です。

助産師さんの毎年の養成数はどの程度であるか?これは、正確な数を把握していません。しかし、現場で不足が指摘されていることなどからも、充分な数の助産師さんはできていなかったのではないかと考えます。(あるいは、充分な数の養成はあっても現場に定着しないのか?これまた、問題であります。)不足はずいぶん前からいわれていたことであると思いますが、それに対し適切な方策を講じてこなかった厚生労働省のことはこの記事からは伝わってきません。マスコミはその使命として、中傷により報道される側を虐待するだけではなく、「何故、助産師が不足していたのか?」などの、もう少し深くえぐった報道をするべきです。

この「医師あるいは助産師さんしか内診することは許されない」という規定を遵守していくと、日本の産科施設のうち、かなりの割合で「お産ができなくなる」という事態が起こることが予想されます。「助産師さんでなくとも、ある一定の経験を積んだ看護師さんは内診できる。」などの抜け道を早急に作らなければ、絶滅危惧種である日本の産科医療は予想以上の早さで絶滅してしまうでしょう。

そうならないことを祈っております。

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2006年8月24日 (木)

1人で再開...

2006年8月24日 晴れ
お盆の時期も過ぎ、帰省客の患者さんは遠のきました。マイコプラズマ肺炎と伝染性単核球症が流行中です。現在入院患者さんは3名。

産科医不足のため、休診となっていた隠岐の産科の話です。
隠岐病院に産婦人科医師1人着任(中国新聞)

『常勤の産婦人科医師が不在となっている島根県隠岐の島町の隠岐病院で、静岡県の産婦人科医師が常勤することになり二十三日、着任した。二十四日から週五日の外来診療を再開する。中止されている院内出産については、病院を運営している隠岐広域連合は「複数体制が望ましい」として再開は未定。
 着任したのは、静岡県御殿場市の病院に勤務していた船津雅幸さん(52)。報道などを通じて隠岐病院の状況を知り、今月一日、病院長に赴任を申し出た。十一月からは県立中央病院(出雲市)から複数の医師の派遣が決まっているため、任期は十月末まで。
 隠岐病院の産婦人科は常勤医の不在以降、県立中央病院の医師による週一日の外来診療としてきたが、週五日を通しての診療と、夜間の救急外来や入院に対応できるようになる。
 隠岐病院は常勤産婦人科医師が確保できなくなったため、四月中旬、院内出産への対応を断念。その後、県が新たに医師一人を確保し、十一月から複数の常勤医師の派遣を受けて再開するとしていた。妊婦は現在、本土に渡って出産している。
 隠岐広域連合は二十三日、医師派遣を前倒しし院内出産を早期に再開できるよう、県に要望した。』

出産(分娩)はいつ何時来るかわかりません。そのため、産科医師はいつでも病院に行ける様に拘束されます。胎児仮死徴候(注1)などの緊急帝王切開の適応の場合は、もうひとり産科医の先生が必要です。つまり、分娩を扱っている病院では実質2人が毎日拘束されている状態なのです。日本産科婦人科学会では、産科施設に最低限必要な産科医の数を3人と提言しています。これは、2人が拘束されて、やっと残りの一人が休めるといった状態だからであると聞いたことがあります。それほど、産科医の仕事は厳しいといえると思います。

(注1)お腹の中の赤ちゃんが何らかの原因で酸素不足に陥り、状態が悪くなった徴候。NSTという胎児心拍と母体の腹緊をモニターする方法で判断する。

さて、ここで52歳の産科医師の先生がひとりで着任されました。ひとりでは、分娩を扱うことは難しいでしょう。緊急時の対応を...とのことですが、これを突き詰めると24時間、365日病院のそばから離れられない、究極の拘束状態となります。
11月からは複数体制を組むとのことですが、前述のごとく、2人では不十分で、最低3人以上の規模でないと持続できる体制としては難しいのではないか?と考えてしまいます。

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2006年8月23日 (水)

第3者機関の話題

2006年8月23日 晴れ
医療行為中の死亡を医療過誤によるものか?どうかを判断する機関の設置を厚生労働省は前倒しして行う予定としたようです。

医療不審死、厚労省が08年度にも究明機関設置へ(読売新聞)

『医療行為中の不審死(医療関連死)について、第三者機関が原因を究明する仕組みを構築する作業が、来年度から本格化することになった。
 厚生労働省が、外部の専門家による検討会を来年度に設置することを決めたもので、早ければ2008年度にも新制度がスタートする。厚労省では昨年から、5年計画で第三者機関による死因究明のモデル事業を進めており、その実績をみて検討を始めることにしていたが、患者、医療機関双方からの要望の高まりに応え、検討作業を前倒しすることにした。
 厚労省では、医療関連死の数を年間1万件前後に上るとみている。しかし、公的に死因を究明する制度はなく、患者側が病院の説明に納得できない場合は、民事訴訟を起こすか、捜査機関が立件するのを待つしかないのが現状だ。』

患者さん側、そして医療側双方に公平な死因究明機関であれば、これはできるだけ早期に立ち上げていただきたいと切に願う次第です。しかし、どなたが鑑定するのでしょうか?一般臨床のレベルでものごとを判断できないと、偏った判断がくだされる可能性があるのではないかと....心配してしまいます。
また、民事訴訟や刑事事件となることで、医療事故の真の姿が見えてくるとはいえません。

<患者側が病院の説明に納得できない場合は、民事訴訟を起こすか、捜査機関が立件するのを待つしかないのが現状だ。

とありますが、裁判では事故の本当の姿は見えてこず、次に同様な事故が起こるのを防ぐ糧とすることはできません...それは、法廷での戦いでは「この事故を教訓にすること」よりも「自分たちが法的に勝つこと」が優先され、お互いに都合の悪い事実は公表できなくなるからです。そして、やもすると都合のわるい事実の中に、将来同様の事故を防ぐ手がかりが隠されていることが多いと思います。

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2006年8月22日 (火)

民営化へ....

2006年8月22日 晴れ
昨日は結局、6人当直帯に入院。午前4時ごろ寝たのですが、7