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2009年11月

2009年11月26日 (木)

新型ワクチンを考える

2009年11月26日 晴れ
久しぶりの晴れです。

新型インフルエンザの大流行で外来は、ほとんどパニック状態。この状態に、更に拍車をかけているのが、新型インフルエンザワクチンの接種です。貴重なワクチンは無駄にせず、なるべく多くの患者さんに接種していきます。多忙な外来の合間をぬって、集団接種を行います。『この状態がいつまで続くのか?』スタッフにも疲労の色がにじみます。

ワクチンは病原体を弱毒化あるいは無毒化して体の中に入れる手技のことです。弱毒化するものは生ワクチン、無毒化するものは不活化ワクチンと称されます。生ワクチンは最悪の場合、その病気が発症する可能性があります。不活化ワクチンの場合は理論的に、その病気が発症することはありません。しかし、その他のいろいろなワクチン関連の副反応がみられます。この世界に副作用のない薬がないのと同様に、ワクチンも限りなく小さな可能性ですが、副反応が起こることがあります。でも、感染症の脅威に対する場合、得られる利益が副反応に比較して著しく大きい場合は、ワクチンのメリットがあると言えるでしょう。

さて、新型ワクチンに関する報道で気になるのは重大な副反応としてあげられている数の多さです。これまで、約600万人に接種が行われ、接種後死亡したかたが26人とのことです。そのすべての方々が、50〜90歳の基礎疾患を抱える人たちだったとのこと...。詳細に検討する必要がありますが、本当にワクチン副反応なのか?基礎疾患の増悪による死亡なのか?キチンと答えを出さないといけないでしょう。

今回の新型インフルエンザは、高齢者に感染すること自体がとても少ないといわれ、現在90歳以上の方々には抗体が認められるとのことです。そういえば、例年の季節性インフルエンザで問題となる、高齢者が多く入っている施設での流行事件の報道も皆無です。(現時点では...)

それに対して、感染者の80%が20歳以下であるとされる状況をどう考えるべきか?

今回の新型インフルエンザワクチンは高齢者でしかも基礎疾患を抱える人々よりも、若年、そして子供に対して広く接種すべきだったのではないかと...。


話は少し変わりますが、今回の新型インフルエンザワクチンは、非常に厳しい監視の中で接種が行われています。基礎疾患のある方に接種した場合、その基礎疾患などの情報を都道府県に報告までさせているのです。通常の予防接種ではこのような体制をしいていません。このような状況で行われているので、副反応の報告も逐一、都道府県を通して国に上申されることになります。季節性インフルエンザワクチン接種後の高齢者死亡もいままでは、ワクチンとの関連を考えずに処理していたかもしれません。(明らかに基礎疾患との関連がある場合です)それが、すべて副反応として上申されているとすれば...通常のワクチンに比較してバイアスがかかったデータを作るかもしれません....。

その部分も考えにいれて、報道を聞いておく必要があります。

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2009年11月17日 (火)

やはり

2009年11月17日 雨のち晴れ
夜半にかけて徐々に晴れて来ました。獅子座流星群は見ることができるのか??

さて、かなりのブーイングでした、新型インフルエンザワクチンの10ml包装。ようやく、来年には廃止される予定のようです。読売新聞より...

『新型インフルエンザ用ワクチンの容器について、厚生労働省は17日、来年1月以降に出荷されるワクチンの容器を1ミリ・リットル入りと妊婦用の0・5ミリ・リットル入りの2種類とし、10ミリ・リットル入りの大瓶の使用を取りやめると発表した。

 大瓶は小規模な医療機関などから「使い切れずに余ったワクチンが無駄になる」といった批判が出ていた。厚労省は「現場の声を取り入れた対応」と説明している。

 季節性インフルエンザ用ワクチンでは通常1ミリ・リットル入りの小瓶が使用されるが、厚労省は新型用ワクチンについて、輸送の効率化や大量製造に適していることから、大瓶を使用。今月上旬までに出荷された約330万ミリ・リットルのうち、約180万ミリ・リットルが大瓶だった。

 しかし、ワクチンは開封後、24時間以内に使い切らなければならず、大瓶の場合、子供だと約30〜45回分が入っている。規模が小さい医療機関では通常の診療をしながら接種していると、大瓶のワクチンを1日で使い切れないため、休診日などにまとめて予約を受け、集団接種を実施するといった方法で対応していた。

 厚労省には都道府県や医療機関から、大瓶による出荷の見直しを求める意見が多数寄せられていた。これを受けて、来年1月以降は大瓶で予定していた出荷分をすべて1ミリ・リットル入りに切り替えることにした。ただ、製造計画が固まっている年内の出荷分は、従来通り大瓶が使用される。』

うちではもう一日集団接種の日を準備して残った10mlバイアルを使い上げる予定です。成人の分も10mlバイアルが6本来ており、これも使い上げるのが大変なようです。残りが出た場合、どうしても使い上げることができなければ、その医療機関の医療従事者に使用してもかまわないという見解が示されていますが、できるだけ努力するべきと思っています。

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2009年11月14日 (土)

きたなー!

2009年11月14日 晴れ
昨日は凄まじい雷雨でしたが、今日は一転、晴れ!

付近は新型インフルエンザが爆発的に流行し、学校は軒並み休校しています。外来もかなりの数で、昼休みもとれないほど...。その中でも、新型インフルエンザのパンデミックワクチンを何とかやりくりして集団接種しています。

数日前、早朝に別件で病院にいっていましたが。外来で、小さな児(2歳児)をかかえたお母さんが....。その前の日の夕方にお父さんがインフルエンザAを発症していました。お母さんは妊婦さんで、これも心配でしたが、その児は顔色不良でグッタリしており、多呼吸が著明。SatO2は60%代??。

うーむ、とにかく酸素投与。マスクで5ℓ程度を行うと、SatO2は80代後半まで上昇しましたが、胸部聴診では、右呼吸音はほとんど聴取できず、胸写を施行。右心縁シルエットアウト、右上葉は虚脱し、右のvolume lossは明らか。左も、粒状影が散在。ガスではpCO2 40代でしたが、早晩人工呼吸が必要になる可能性が高いとして、後方病院に転送しました。

新型インフルエンザに伴い発症する、急速に進行する呼吸障害。まさに、そのものです。

この児は軽症の気管支喘息の既往があり、不定期に投薬がなされていました。今回の、新型インフルエンザでは、軽症の気管支喘息の児がこのように急速な進行を示す呼吸障害を呈することがあり、注意が必要です。しかし、多くは急速な回復を示すようです。

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2009年11月10日 (火)

奮闘中...

2009年11月10日 雨
時折、激しく降っています。

10mlバイアルで配られた新型ワクチン...今日も41人の子供に接種し、最後まで使いきりました。

200911101546000

0.2mlと0.3mlの混じり合った必要量。事前に出来るだけ無駄のないように、準備していなければなりません。

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2009年11月 7日 (土)

パンデミックワクチンの優先接種

2009年11月7日 晴れ
久しぶりに気温が上昇し、日が差し込む室内では暑いほど

さて、11月2日より特に小児の基礎疾患患者に対する新型インフルエンザパンデミックワクチンの優先接種が開始されました。事前に、各医療機関に対して、基礎疾患を有する患者数の調査が来て、そのうちの何割かが供給されました。ちなみに、私の勤務する病院では10mlバイアルが6本、1mlバイアルが38本供給されました。そして、これで『小児の基礎疾患のある患者さんと入院患者さんに接種しなさい』という但し書き付きです。

それからが大変です。小児に対するインフルエンザワクチン接種量は年齢によって異なり、0.2mlのこともあれば、0.3mlのこともあります。10mlバイアルを24時間以内で使いきらなくてはならないため、リストアップした患者さん40人から50人を接種日時を決めて集団接種です。

私のところでは、小児科医は一人であるため、診療時間内に接種を行うことは難しく、昼休みに設定せざるを得ませんでした。同日に入院患者さんの接種も行われ、結果として2mlのワクチンが余ることになりましたが、その分も、電話作戦で順次、接種対象者で希望者を募り、残りなく接種。

私の勤務する病院は、小児科医は一人ですが、幸いなことに動いてくれるコメディカルスタッフがいます。開業医の先生で、10mlバイアルをいくつももらってしまった方々は大変だろうと思います。リストアップから、接種をどうすれば限りなく有効に使えるのか?を考えるのは...小さいところでは不可能かもしれません。

そして、すべての方々に接種できる量のワクチンがなく、そして、これだけ騒がれている新型インフルエンザ...。誰もが、『うちの児にワクチンを射たせたい』と思っているでしょう。子供の中に、基礎疾患で順位を付けて、『あなたの児には射てます』『あなたの児には射てません』ということが、どれだけ医療者にストレスをかけるのか?

官僚の皆様方には、到底、理解できないでしょうね...。

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2009年11月 4日 (水)

脳症、心筋炎

2009年11月4日 晴れ
冷え込んでいます。

さて、新型インフルエンザ流行に伴い、残念なことに小児の死亡例が報道されることが多くなってきました。懸命の治療にも関わらず亡くなってしまった子供たちと、その家族の方々に対し衷心より哀悼の意を表します。

さて、ここまで我が国での新型インフルエンザに関した死亡例は約40例程度、感染者は400万人程度と推定されることから、感染者10万人に1人程度の死亡率とされます。これは、実をいうと『恐ろしく少ない』数字です。世界各国と比較すると、5分の1から10分の1程度の値です。何故だかは解りませんが、通常の季節性インフルエンザよりも少ない数字であると思われます。

日本の医療システムなどの影響か?キチンと治療されて、亡くなる率も低いのであろうと考えられます。もちろん、この中の治療というのは、ノイラミニダーゼ阻害剤を早めに使うということだけを表しているつもりではありません。呼吸障害のきた小児などをキチンと治療できたりする補助療法も発達しているのです。いままでの情報から考えて、ひょっとすると40代、50代の感染者に発症する呼吸障害と、幼児に発症する呼吸障害は、その機序が異なるのか?と考えるようになりました。

一部の学者の方々が紹介される、成人での3から5病日に発症する呼吸障害は死亡率が高いようで、肺の間質障害が基礎にあるのかもしれません?(私見です!)これに対しては、ひょっとするとノイラミニダーゼ阻害剤が早期に必要なのかもしれません....。

ただ、小児に発症している呼吸障害は、比較的軽症の気管支喘息を基礎にもっている児が多く、その呼吸障害の原因は粘稠な喀痰が気道を閉塞することであるということが、どうもわかってきました。そして、発症も『あっというま』であり、数日発症までかかる成人例とはおそらく違う病態をみているのでは?という気がします。これらの小児の呼吸障害はキチンと治療できれば『そこまで怖くないのでは?』という気がします。そして、急速な発症であり、ノイラミニダーゼ阻害剤はおそらく無効であろうとも推定されます。

報道でよく流される幼児の死亡例は発症後数時間の経過であることもあり、その多くは重症の脳症や心筋炎であろうと考えます。こういったケースは残念ながら、発症後はなかなか救命することは難しいかもしれません。そしてノイラミニダーゼ阻害剤も、おそらくは無効であり、早期に発見して集中治療を行うことが発症後に重要となります。

新型インフルエンザのパンデミックワクチンの有効率はどの程度か?これはわかりませんが、通常の季節性インフルエンザワクチンが、そのシーズンの流行株を予想して作られていることを考えると、パンデミックワクチンは『現在流行している株』を不活化して作られていることから、有効性は高いと推定されます。このワクチンを広く小児に接種すれば、ひょっとすると脳症や心筋炎などの非常にラッシュな経過の児を減らすことができるのではないかと考えてしまいます。

今回の新型インフルエンザは高齢者に感染することは非常に稀であり、重症化することも非常に少ないとされます。もちろん感染しないことに勝る手だてはありませんが、成人や高齢者が感染した場合はノイラミニダーゼ阻害剤で早期に治療し、小児はワクチンで守る。という手もあったのでは?などと...あくまで私見ですが...愚考します。

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