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2009年6月

2009年6月29日 (月)

技術

2009年6月29日 雨
やっとこ梅雨らしい日々です。

技術の進歩はすばらしく、失った機能を機械が取り戻すことのできる時代となりそうです。特に、頚随損傷の患者さん、ALS:筋萎縮性側索硬化症の患者さん、何らかの原因でLocked-in症候群となってしまわれた患者さんなどには、これからの技術進歩で福音がもたらされるかもしれません。

脳波で電動車いすの制御に成功…トヨタ
魚拓

<以下、引用>
『脳波で電動車いすの制御に成功…トヨタ

2009年6月29日
理研BSI-トヨタ連携センター(BTCC)は、脳波を用いて、電動車いすを125ミリ秒(1ミリ秒は1000分の1秒)で制御するシステムの開発に成功したと発表した。

今回、BTCCは、従来の空間−周波数フィルター法、線形分離器の技術に、理研BSIで培った脳波情報の処理技術であるブラインド信号分離法を融合した新システムを開発。

従来は数秒程度必要だった脳波の解析結果を、125ミリ秒という極めて短い時間で得るとともに、脳波の解析結果をリアルタイムでディスプレイ上に表示し、「自分の意思」と比較できるシステムを構築した。

研究では、電動車いすの制御にこのシステムを応用し、脳波の解析の信頼度を検証。

操作者の特徴に合わせて設定の微調整を行い、意思の認識率を向上することができるため、操作者は短期間で自分の意思通りの方向(前・右・左)をシステムに認識させるこつをつかむことができた。また、認識した結果を電動車いすの制御動力に伝え、95%以上という信頼度で、車いすの前進および左右旋回の3方向を制御することに成功したとしている。

今後は、この技術を医療・介護分野を中心とした広い分野で応用可能な要素技術として発展させていく予定。次のステップとして、より多くの動作への応用、簡易な電極の開発などを考えているという。

今回は、手や足の運動を想像して積極的に作り出した脳波を対象としたが、計測・解析技術をさらに発展させることで、運動以外の意図や状態を反映する脳波への応用の可能性にも期待が持てるとのこと。

●理研BSI-トヨタ連携センター(BTCC:BSI−TOYOTA Collaboration Center、連携センター長:木村英紀)は、理化学研究所とトヨタ自動車、豊田中央研究所、コンポン研究所が2007年に設立。

《椿山和雄》』
<引用終わり>

特に四肢を動かして何かの行動をとらなくても、頭の中で考えるのみで機械が意思にそって動く。これが高精度で実現されれば、ほとんど筋肉を動かすことの出来なくなったALSの患者さんは非常に喜ぶと思います。

スゴイ技術です。

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2009年6月28日 (日)

格差

2009年6月28日
晴れのち雷雨!!熱帯なのか?と思いました。

日本は医療において「間違いなく」恵まれた国であろうと思います。国民皆保険で、ある程度の高度医療ならば、ほとんど負担はなくて、その恩恵に与ることができます。ただ、世界を見渡すと、一部では輸血もできない、点滴もあるのか?といった国が存在します。

ペシャワール会が行っているパキスタン、アフガニスタンもその範疇に入るのかもしれません...。あるブログを書かれている先生が行かれているラオスでもそのようです。

日本の医療水準は、その国力によりはぼ最高の水準を維持している。これを認識しておかなければなりません。

さて、話は若干飛びますが....。ときどき読む、「曽野綾子」さんのエッセイでこのような記述が...。

<以下引用>
『おかしいのは、日本人が世界のどこででも法が行使されるものと勘違いしている点である。ペルーでも、現在の日本のように整然と法が適用され、フジモリ氏はその法の下に警察か軍に身柄を守られて裁かれ得ると考える日本人が実に多いことが最近になってわかった。ペルーだけでない。世界ではまだ法が権力によって即時に変えられるか守られない国家はいくらでもある。』
<引用終わり>
曾野綾子:夜明けの新聞の匂い:死んだ侍 から

いろいろな問題点はありますが、日本は基本的に法治国家としてキチンとしたものをもっています。医療においても予防接種等の先進国の中では異様に遅れている部分はありますが、そのレベルはたいしたものです。しかし、そのレベルを維持するために、非常に安価な医療費、そして先進国の中で最も少ないレベルに入る医師数で現場は火の車になって犠牲になりながら働いている。それが、現実です。

今後は、医療費の負担をどのように考えるか?国を挙げての議論が必要となるでしょう。

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2009年6月27日 (土)

心的外傷後ストレス障害

2009年6月27日 晴れ
近くの田園風景は例年と同じく「田植えの後」ですが、今後は水不足が心配です。

さて、2009年1月15日に発生した、USエアウェイズ1549便(エアバスA320)の事故。この機体には二つのターボファンエンジンが装着されていますが、ニューヨーク•ラガーディア空港離陸時に「バードストライク」(つまり、鳥が機体に衝突したことにより生じる不測の事態)により、両側のエンジンが推力を失いました。地上管制からはニュージャージー州の小規模空港に着陸を指示されましたが、『たどり着けず』と判断、エンジンの推力をなくした状態で、ハドソン川に胴体着陸。乗客乗員の一人として犠牲にならずに救出された奇跡の事故として有名となっています。

まさに奇跡の、この事故ですが...。死の淵に立たされた乗客には大きな心の傷が残ります。そして、それをもとにしてPTSD:心的外傷後ストレス障害が発生します。

ハドソン川不時着で心的外傷、乗客が治療費負担を訴え
魚拓

<以下、引用>
『2009.06.26 Web posted at: 15:07 JST Updated - CNN
ビジネス
ハドソン川不時着で心的外傷、乗客が治療費負担を訴え

ニューヨーク(CNN) 今年1月、ニューヨークのハドソン川に不時着したUSエアウェイズ機の乗客が、いまだに事故の恐怖から立ち直れないとして、心理療法の費用を負担して欲しいと同航空に求めている。

この事故はUSエアウェイズ1549便が離陸から間もなくエンジン停止し、機長のとっさの判断でハドソン川に不時着、乗員・乗客全員が奇跡的に無事救出された。テス・ソーサさんと娘のソフィアちゃん(4つ)は同機に乗客として乗っていた。

不時着後、みるみる水かさが増してくる機内で、ソーサさんは乳児のダミアンちゃんを抱え、座席をよじ上って脱出しようとしていた。後ろを振り返ると夫のマーティンさんがソフィアちゃんを連れ、呆然と座っている姿が見えた。「機体がこのまま川に沈めば死ぬかもしれないと思った」とソーサさんは振り返る。

事故後も心的外傷が癒えず、カウンセリングに通ったが、USエアウェイズが負担したのは3回分のみで、残りは全額自己負担だったという。ソーサさんは「(USエアウェイズが)手荷物をすべて回収し、乾かして返してくれた対応は大いに評価する。しかしそうした対応に追われ、乗客のことに十分気が回っていない」と不満を漏らす。

USエアウェイズと契約している保険会社のAIUは、同航空は事故の責任がないにもかかわらず、必要以上のことをやっていると強調。事故機の乗客には5000ドルを支払っており、それ以上は法律上の責任がないため負担できないと説明した。

ソーサさんの元には心理療法の費用として、また新たに1000ドルの請求が届いた。特にソフィアちゃんは今でも心の傷が癒えておらず、まだ助けが必要だとソーサさんは話している。』
<引用終わり>

PTSDの定義としては
『心的外傷後ストレス障害(しんてきがいしょうごストレスしょうがい)またはPTSD(Post-traumatic stress disorder)とは、心に加えられた衝撃的な傷が元となり、後になって様々なストレス障害を引き起こす疾患のことである。』とされており、大規模な災害や航空機事故などの場合に多く発生する状態です。

症状は『1,精神的不安定による不安、不眠などの過覚醒症状。2,トラウマの原因になった障害、関連する事物に対しての回避傾向。3,事故・事件・犯罪の目撃体験等の一部や、全体に関わる追体験(フラッシュバック)』で、患者さんはかなり辛い状況となります。食事もとれないくらいに日常生活が障害されることもあり、医療のlフォローは是非とも必要です。

この事故以外の原因に起因するPTSDでなければ、事故を起こしたUSエアウェイズはキチンと補償しなければならないでしょう。(ただ、どこまで?というのは曖昧にはなるでしょうけどね...)自然災害によるものであるということであれば、それこそ「無過失補償制度」で救うべき事例でしょうね...。聡明で沈着冷静な機長の采配で奇跡的に救われた生命。しかし、事故はそれだけでは終わりません...。

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2009年6月26日 (金)

数を制限する

2009年6月26日 晴れ
梅雨はどこにいったのでしょうか?

日本心血管インターベンション治療学会は、その専門医制度新設にあたり、専門医の認定数を厳しく制限することにしました。会員数5598人もいるのに専門医の上限は1000人です。

「カテーテル治療の術者として500例以上(うちPCIを300例以上)経験した人に筆記試験の受験資格を与え、合格者に実技試験を課す。」

高度専門性の維持は凄まじい努力の結晶となります。PCIを300例以上経験するには、ある程度の施設でずっとoperaterをし続けることが必要でしょう...。他分野のことを目に入れていてはおそらく、それだけの症例数をこなすことは無理です。

カテーテル専門医に上限 質を維持、当面千人に
魚拓

『カテーテル専門医に上限 質を維持、当面千人に

2009年6月26日13時32分
 心筋梗塞(こうそく)などのカテーテル治療を行う医師らでつくる日本心血管インターベンション治療学会(理事長=一色高明・帝京大教授、医師会員5598人)は、今年新設する専門医制度で、専門医の人数を当面1千人に限ることを決めた。25日に札幌市で開かれた評議員会で承認された。

 日本専門医制評価・認定機構によれば、同機構加盟の71学会で上限を設けている学会はこれまでなかった。会員の7割ほどが専門医に認定されている学会もある。要件が緩くて質の保証としては不十分な学会もある。今回の取り組みは、そうした現状を踏まえ、要件を厳しくして専門医数を制限し、質を高めようという目的だ。今後、他の学会での取り組みを促すきっかけになると期待されている。

 カテーテル治療は、風船や金属製の管で、狭くなった血管を広げる。心臓に栄養を送る冠動脈を広げる治療(PCI)だけで実施数は年間約20万件と見られている。

 今回の専門医の認定基準では、カテーテル治療の術者として500例以上(うちPCIを300例以上)経験した人に筆記試験の受験資格を与え、合格者に実技試験を課す。

 厚生労働省は、一定の要件を満たす学会専門医を取得した場合、広告でうたえるよう02年から認めている。今回の専門医は今年11月に第1回の試験を行い、来年にも同省に広告を認めるよう申請する。(編集委員・出河雅彦)』

専門性を極めるこのような高度専門医は日本の医療にとって絶対に必要なのはいうまでもありません。しかし、その高度専門医の裏で、よりヒトに近い診療を続ける一群があってもいいのでは?と思っています。

それが、どのような存在なのか?旧来からある開業医の先生方のような存在か?総合医と呼ばれるような一群か?

いわゆる『町医者』と呼ぶのが一番適当な医師たちなのでしょうね....。

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2009年6月25日 (木)

本当は怖い

2009年6月25日 晴れ
から梅雨といって差し支えないでしょう。

さて、感染症は人類の歴史の中で、ほとんどは越えられたものと思われた時期もありました。特に細菌感染症はペニシリンの発見以来、数々の優れた抗生物質の開発により、control可能な病態と思われました。しかし、抗生物質の乱用は耐性菌を作りました。結核も怖くない病気と認識されるようになった時期もありましたが、最近はお笑い芸人が結核で入院したり、あらゆる抗生剤に体制を示す超耐性結核菌の出現など、本当は怖い病気でもあります。

<結核>20代男性が死亡、9人が感染 大阪市中央区で 6月25日21時31分配信 毎日新聞
魚拓

『<結核>20代男性が死亡、9人が感染 大阪市中央区で
6月25日21時31分配信 毎日新聞
 大阪市は25日、同市中央区の元飲食店店員の20代男性が今年2月に結核で死亡し、20〜30代の9人の同僚と元同僚が結核を発病・感染したと発表した。9人は通院治療中だが、現在、症状は出ていない。

 市保健所によると、死亡した男性は04年ごろから飲食店の厨房(ちゅうぼう)で勤務。07年1月にせきの症状が出て昨年9月に体調が悪化した。仕事ができなくなって同年末で店を辞めたが、病院にはかからず、今年2月に食事が取れなくなるほど衰弱して救急搬送され、同23日に死亡した。

 市保健所で接触者調査を実施した結果、男性2人と女性1人が発病、男性6人の感染が分かった。市では昨年1〜9月に同店で勤務していたアルバイトら約50人についても健診を実施している。市保健所は「男性と客の接触はなく、客への感染リスクはほとんどない」としている。【石川隆宣】』

結核は注意していないと見逃すことがあります。特に、(私のような)経験の浅い医師は特にそうです。頑固な咳には要注意でレントゲンだけでは診断できないこともあります。結核では?という頭がないといけません。

また、結核の感染様式は空気感染とされ、排菌している患者さんと同室の空間にいるだけで感染が成立します。感染を避けるためには、N95マスクが必要です。

本当は怖い結核。激しく頑固な咳、微熱などの症状がある方は、一度は経験の深い医師を受診するべきでしょう。

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2009年6月23日 (火)

続けることの難しさ...。

2009年6月23日 曇りのち雷雨
予報では晴れでしたが、曇天がつづいたのち、夕方から雷雨!

私もいなかにいますが...地域で診療を続けることの難しさを思い知るような一件です。大分県竹田市にある竹田医師会病院には大分大学の医局から約5年前に小児科医が一人派遣されるようになりました。それまでは、全国的にも珍しい二次医療圏に一人も小児科医がいないという地域でした。請われて派遣開始となったのですが、継続することは非常に難しい。医師としてのキャリアアップの問題。地域住民や派遣先の問題もあるでしょう、更に医師の家族との問題。越えなければならない問題は、都会とくらべて多いといえます。

竹田市唯一の小児科へ 医師派遣取りやめ [2009年06月23日 10:25] 大分合同新聞
魚拓

<以下、引用>
『竹田市唯一の小児科へ 医師派遣取りやめ
[2009年06月23日 10:25]

 竹田市で唯一の小児科がある竹田医師会病院に小児科医を派遣していた大分大学医学部が22日までに、同病院への派遣の取りやめを関係者に伝えていたことが分かった。同大医学部が大分合同新聞の取材に答えた。竹田医師会病院の小児科は、小児科医の体調不良を理由に6月1日から休診となっており、市内の小児科医不在状態が長期化する恐れが出ている。
 関係者の話によると、小児科医の勤務形態や待遇面などで問題が生じ、市、市医師会などを交えて話し合いを続けてきたが、溝は埋まっていないという。大学は「小児保健医療のモデルとして頑張ってきたが、受け入れ難いものがあった。患者らのことを考えると残念でならない」とした。
 病院には1日以降、小児科に対する問い合わせが毎日10~20件あるという。「医師不足や厳しい経営状況の中、最大限の誠意を示してきた。病院としても小児科診療の継続は必要と考えており、市民のことを思うと残念でならない」としている。
 市は市内で小児科診療が継続できるあらゆる方策を探っている。県医務課は「(派遣をやめることについて)正式な連絡を受けていないが、小児科医が竹田市に残れるよう支援していきたい」と話している。
 2歳の子どもがいる市内の主婦(32)は「本当に困る。緊急の時を考えると怖くなる。早く、市内で診療が受けられるようにしてほしい」と話した。
 竹田市などによると、同市は全国でも数少ない小児科空白地域が約13年間続いたが、大分大学が2004年から常勤の小児科医を派遣。市はおたふくかぜの予防接種の全額補助をするなど、行政と医療機関が一体化した取り組みで市の合計特殊出生率(1人の女性が生涯に生む平均子ども数)は06年から2年連続で上がった。』
<引用終わり>

文面をサラリとみてみると、派遣元をなじるような感覚を受けるのは私だけでしょうか?台所事情もあるでしょうし...どのような勤務だったのか?小児科医として派遣されるに納得するような場所であったのか?住民の方々の理解はどうだったのか?

派遣されている小児科医の先生が体調不良で休まざるを得ないということは、それだけ勤務に相当のストレスがかかっていたのでは?と感じます。

病院側の「病院としても小児科診療の継続は必要と考えており、市民のことを思うと残念でならない」という文言には、医師に対する配慮が伝わってきません。また、県医務課の「(派遣をやめることについて)正式な連絡を受けていないが、小児科医が竹田市に残れるよう支援していきたい」というコトバは、体調不良の医師にむち打つようなコトバではないでしょうか?

何が本当に必要なのか?根本的にえぐり出して、世の中に伝えてほしい!そう感じます。

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2009年6月22日 (月)

映画のような話...

2009年6月22日 晴れのち雨
久しぶりの雨です。なんだか、今年の梅雨はおかしい...。

映画『トゥルーライズ』『ピースメーカー』などは、テロリストが核兵器を奪取し、大都市においてそれを使おうとするという設定です。未然に阻止されますが、それが現実であったなら?背筋が寒くなります。

冷戦後のロシアなどでは、核兵器の管理が杜撰となり流出した可能性もあるようです。また、核兵器技術者は世界に流出し、いろいろな『これまで核兵器を持ち得なかった国々』で、その腕をふるっています。パキスタンもしかりです。大国のみで核兵器を独占し、冷戦の状態であった時代には核兵器は非常に厳しく管理され拡散することはなかったでしょう。しかし、最近の核保有国ではどうでしょうか?少し、コワい気がします。

パキスタンの核兵器奪取、米国に使用…アル・カーイダ幹部 2009年6月22日(月)21時24分配信 読売新聞
魚拓

<以下、引用>
『パキスタンの核兵器奪取、米国に使用…アル・カーイダ幹部
2009年6月22日(月)21時24分配信 読売新聞

 【カイロ支局】国際テロ組織アル・カーイダのアフガニスタン地域の幹部ムスタファ・アブ・ヤジド容疑者は、カタールの衛星テレビ「アル・ジャジーラ」が21日に放映したインタビューで、パキスタンの核兵器を奪取して、米国に対して使用する意図を語った。ロイター通信が伝えた。

 米国がパキスタンの核のイスラム武装勢力への流出阻止を重点課題としていることに関し、同容疑者は「核兵器は米国の手には渡らない。ムジャヒディン(イスラム戦士)が手に入れ、米国に対し使用する」と述べた。』
<引用終わり>

恐ろしい話です。核兵器によるテロがおこれば....。世界はどのようになってしまうのか?想像がつきません...。

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2009年6月21日 (日)

アメリカは日本を追いかける?

2009年6月21日 曇りのち雨
猛暑が続いています。

さて、日本はいわずと知れた、国民皆保険制度が定着している国です。健康保険に加入していないヒトはいないことになりますが、保険料を滞納すると一部で医療を受けられなくなります。アメリカは自由の国、現在のところは合衆国全体で皆保険制度に近い制度を導入しているのは、ここに紹介されている、マサチューセッツ州だけでしょうか?ヒラリー・クリントンが数年前から導入を提案している、国民皆保険制度。この面では米国は日本を手本にし追いかけている状況となります。

医療に関しては、とかく米国に追随する傾向がみられますが、その制度に関して、日本は非常に先進的であるのでは?と感じます。アメリカにならい、自由診療を拡大しようとしたりすることは、アメリカの医療保険会社に日本の医療を売り渡す行為に近いと国民そして政治家は強く認識しなければなりません。

MRICのメルマガにて流れていた記事です。

<以下、引用>
『2回目 全米初・マサチューセッツの州民皆保険(ヘルスケア改革法の舞台裏)

 前回は、全米で初の州民皆保険を定めたマサチューセッツ・ヘルスケア改革法の成立とその背景についてご紹介しました。今回はそれがどのように運用されていて、どのような評価を受けているのか、またこの改革法を推進した立役者についてご紹介したいと思います。


●無保険者へのペナルティ

 2007年にスタートしたヘルスケア改革法によって、マサチューセッツ州では44万2千人が新たに健康保険に加入することになりました。これで、2005年の時点で55万人いるといわれた州内の無保険は、約10万人へと劇的に減少し、全人口の3パーセントだけになりました。ちなみにこの3パーセントの保険を持たない層というのは、特に健康問題を持たない若年労働者たちだと言われています。

 このように短期間に無保険者が激減したのは驚きですが、その理由は低所得者向けに保険料の補助があることに加えて、保険料を払っていないと罰金が課される制度が設けられたからです。州税の申告をする際の用紙に、保険への加入を記す箇所があるので、州は誰が保険に入っていて誰が入っていないかを把握できるのです。

 罰金の金額は所得に応じていますが、初年度の2007年は最大で219ドル(2万円)でした。そして翌年の2008年に最大912ドル(9万円)に急上昇しました。912ドルというのは、一番安い保険プランのちょうど半額です。

 今後も順次、罰金の金額を上げてゆくとのことで、保険に入った方が罰金を払うよりどんどん有利になってきます。このことから、今後数年で無保険者は限りなくゼロに近くなることが見込まれています。』
<引用終わり>

ひょっとすると、日本における健康保険滞納者に対する施策としても参考になるかもしれませんね...。実際に制度を上手く運用するために、アメリカはlどのような手法をとるのか?国民性の違いはありますが、「上手い!」と感じてしまいます。

<以下、引用>
『●州民のヘルスケア改革法の受け止め方

 では、このヘルスケア改革法は州民たちにどのように受け止められているでしょうか。一般にアメリカ人は、自由に価値を求め、個人主義で自己責任を尊ぶ国民だといわれています。それゆえ、健康保険を持つことを義務としたり、保険料を払えない人に州が税金を配分して補助したりする公的保険システムは、「社会主義的Socialistic」とさえ言われ、嫌われたりすることがあります。ところがマサチューセッツでは、実際のところ、かなり好意的に受け入れられているようです。

 それは、2008年7月にハーバード公衆衛生大学院とブルークロス・ブルーシールド・マサチューセッツ財団によって実施された州民への調査から分かります。この調査では、ランダム・サンプリングされた18歳以上の州民1,015人を対象に、州民皆保険を定めたヘルスケア改革法の認知度や、改革法の賛否が質問されています。

 まず認知度ですが、「とてもよく知っている」から「少しだけ知っている」までを合わせると94%に上っていました。6%は「まったく知らない」と答えていたわけですが、改革法が成立したすぐ後の2006年9月の調査では、「まったく知らない」人が20%もいたことを鑑みれば、急速に認知度が上がっているといえるでしょう。

 そして改革法を知っていると答えた人のうち、改革法に賛成の人は69%に上り、改革法反対の22%を大きく上回っていました。また、連邦貧困レベル300%(4人家族で年収約600万円以下)の人々には州が保険料を補助することに賛成の人は77%で、やはり反対の18%を上回っていました。そして、改革法が州内の無保険者を減らすことに成功していると答えた人は71%でした。

 これらのことから多くの州民が改革法を支持しており、その成果を肯定的に評価していることが分かります。』
<引用終わり>

しっかりとした情報開示と、補助すべき人たちへの適切で理解度の得られやすい補助を行うことで、制度は急速に認知され、人々の間に広がっています。このヘルスケアがあれば、マサチューセッツ州は人口が増えるのではないでしょうか?

<以下、引用>
『●誰が公的保険に反対してきたか

 しかし、公的保険に反対している勢力があったのも確かです。それでは、どのような主体が反対してきたのでしょうか。公的保険が登場すると、それまで自由に価格を設定できた保険や薬剤の市場が侵されると考える保険会社や製薬会社までは容易に想像されます。しかし最も強い反対勢力のひとつだったのは、実は医師の団体でした。

 もちろん医師と一口に言ってもさまざまな立場があります。概して高度医療や専門的医療をする医師達はヘルスケア改革法に反対していて、プライマリ・ケアに従事している医師たちは賛成しているそうです。それでも大勢としては医師達もやはり、公的保険によって価格が一定程度制限されるようなシステムには、賛同しかねるという傾向にありました。このことから日本で1961年に国民皆保険が実施されたとき、医師の自由裁量権が制限される事への危惧から、日本医師会をはじめとする医師の団体が猛反対したことが想起されます。

 ただアメリカの医療においては、医師の裁量権が既に制限されていることも事実です。ポール・スターが1984年のピューリッツァー賞受賞作『アメリカ医療の社会的変容』で予言したように、アメリカにおいて医師は、もはや自律的な専門職として患者の必要性を判断して医療を行うことはなくなっています。保険会社に治療が保険でカバーされるかどうかとお伺いを立てて、カバーされる方法で医療を行っています。あるいは保険でカバーされない場合は、患者に自費で払えるかどうかを確認して治療内容を決めています。

 「アメリカの医師は、すでに保険会社に規制されているのだから、何をいまさら政府に規制されることに反対するのですか」と、元マサチューセッツ州保険局長で現ハーバード公衆衛生大学院講師の健康保険専門家ナンシー・タンブル氏に聞いてみました。すると、「行政にコントロールされるよりも、保険会社の方がましだと思っているのよ。医師はなにもしなくても高給取りだから、現状が変わらない方がいいと思っているのよ」。そう彼女は答えてくれました。』
<引用終わり>

医療をある程度平等に、一般の人たちに分け与えることは、医師の裁量権を抑圧することになる。現在でも、民間の医療保険会社に医療の限度を問い合わせながら、そのヒトにあった程度の医療を提供しているアメリカの医師たちも、公的保険に移行することは反対するのですね...。プライマリケアよりも高度専門医療を行っている医師の方が確かに影響は大きいでしょうね、しかし、米国の医療の現状はあまりに格差がありすぎて悲惨です。医師の裁量権はある程度ガマンしても、社会に寄与する方が理解をえられるのでは?

<以下、引用>
『●NPOの活躍

 ところで、そもそもこのヘルスケア改革法の骨子である、すべての州民が保険を持てるようにするという理念は、州の内外の多くのNPO(非営利組織)やNGO(非政府組織)が、20年来アドボカシー活動を続けて実現させてきたものです。そうしたNPOには「みんなのためのヘルスケア(Health Care For All)」や「コミュニティの触媒(Community Catalyst)」などがあります。

 「みんなのためのヘルスケア」は、医療サービスの受け手、特に弱者が中心のヘルスケア・システムを作り上げることを目標にしたNPOです。納得いく手頃な料金で、それぞれの文化を尊重した質の高いヘルスケア・システムの実現を目指し、マサチューセッツ州内で活動を展開してきました。「コミュニティの触媒」の方は、やはり同様の目標を持ち、全国規模のネットワークで活動する、1997年に設立されたNPOです。

 こうしたNPOは、州政府や連邦政府、消費者団体、政治家、保険財団、病院団体などと緊密なパートナーシップを結び、リーダーシップを与えたり、情報提供などの支援をしたりしながら、ヘルスケア・システムを改革してゆくための働きかけをしています。

 長年「コミュニティの触媒」で皆保険制度の成立のための活動をしてきたディレクターのスーザン・シェリー氏は、改革のためには政治家や行政官などの政策決定者たちに「ヒーローになる機会Hero Opportunity」を与えることが重要だと主張していました。社会的不平等が顕著に現れる健康格差をなくすためにはヘルスケア・システムを改革することが緊要で、その改革に関わることで人々のヒーローになれる。こうしたことを関係者に納得いくように知らせて、実際にヒーローとして扱うことで、彼らの改革への意欲を鼓舞し、政策を大きく動かすことが可能になった、と言っていました。

 前回も記しましたが、当時の州知事ミット・ロムニーは、ヘルスケア改革法成立前夜のウォールストリート・ジャーナル誌の記事において、確かに紛れもなくヒーローの扱いでした。それは、彼をヒーローに仕立て上げたシャリー氏のような立役者達がいたからです。改革法が成立した裏舞台にこうした草の根的なNPOのアドボカシー活動があったことは、特筆に価すると思います。

 シェリー氏はまた、NPO同士の同盟関係も重要だと言っていました。健康格差をなくそう、質の高い手頃な医療を実現させようといった目標を持つNPOには、ヘルスケア・システムの改革を主たる目標とする団体のほかにも、消費者団体、コミュニティ団体、人種的不平等を解消しようとする団体、貧困者団体などさまざまな団体があります。社会的地位も人種・民族も異なる人々で構成されている諸団体は、通常ならば、それぞれの場所でばらばらに活動をしています。

 そこでシェリー氏らの「コミュニティの触媒」は、目標を同じくする諸団体が互いを知り結束できるように集会を設けたり、ニューズレターを発行したりという広報活動をして、NPOの同盟を作り上げていきました。それぞれは小さな団体ですが、それらがひとつにまとまると大きな力になります。政治家達は彼らが投票権を持っていることをよく知っているので、彼らの声に耳を貸さずにはいられません。こうしてヘルスケア・システムの改革は、重要な政治課題となってきたのです。

 マサチューセッツにおいて、このようなNPOの活動がいかにヘルスケア改革法の成立の推進のための役割を果たしてきたかを知ることは、日本で医療改革が展開される際の大きな示唆を与えてくれると思います。』
<引用終わり>

草の根の運動がもとのエネルギーとなり、政治家を上手く動かして、マサチューセッツ州は大きな事業を成し遂げました。そして、それは日本の制度を(おそらく)参考にしています。日本の医療制度は確かに問題点もあるでしょう。しかし、闇雲に米国を追随するのではなく、日本にあった医療制度改革が行われることを望みます。

日本は国民皆保険を導入していながら、GDPに占める医療費の割合は米国の約半分です。いたずらに医療費(社会保障費)を減じるだけの政策では、このアメリカが追いかける先進性をもった医療制度が崩壊してしまうでしょう。

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2009年6月19日 (金)

まだ、そんなことで議論しているとは....

2009年6月19日 晴れのち雨
久しぶりの雨です。

医療費亡国論はしっかりとしたevidenceにより裏打ちされた理論ではありません。国民の不安をかきたて、医療費増大は『悪』として断罪。徐々に医療界に対する締め付けを強くしてきました。ただ漠然と、医療費が増えてしまい国を支えられなくなるという妄想をいだかせた、この理論こそ『悪』でしょう。

現在の日本の対GDPに占める医療費の比率は約8%で米国に比較して約半分とされています。人口あたりの医師数も先進国中ではほぼ最下位であり、これは医療費亡国論が間接的に寄与した証であるともいえます。

小泉改革の影響は根深く、骨太の方針では社会保障費を1年につき2200億円削減するという文言がみられます。しかし、現場ではあまりの医療費削減に悲鳴をあげるしかないといった状況で、これ以上の医療費削減は現場の崩壊を意味するといって過言ではありません。

いますぐ、この骨太の方針を方向転換しなければ、医療は崩壊し国民へ大きな被害が生じるでしょう。官僚や政治家のみなさま、それでいいのでしょうか??

<骨太の方針>財政健全化目標へ反対論 自民党、了承見送り 6月19日19時31分配信 毎日新聞

<以下、引用>
『骨太の方針>財政健全化目標へ反対論 自民党、了承見送り
6月19日19時31分配信 毎日新聞
 自民党は19日の総務会で、政府の経済財政諮問会議が示した「経済財政運営の基本方針」(骨太の方針2009)の原案について協議した。社会保障費の自然増を毎年2200億円抑制する財政健全化目標への反対論が相次ぎ、同日の了承を見送った。今後、笹川尭総務会長が意見調整を行い、22日に改めて総務会を開く。

 総務会では尾辻秀久参院議員会長や津島雄二党税調会長らが、社会保障費の抑制方針について「医療の崩壊はすべてこれから始まっている」などと猛反発。保利耕輔政調会長が「来年度予算の概算要求基準で2200億円の削減を行わないと、政治生命をかけて約束する」と理解を求めたが、議論はまとまらなかった。

 これに関連し、自民党の細田博之幹事長は総務会後、「医療費や社会保障費を増やせという時代になっているのだから、合わせた方がいいんじゃないか」と記者団に述べ、骨太09の文案修正が必要との認識を示した。【山田夢留】』

いますぐ、方針の変更が必要です。
<引用終わり>

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2009年6月18日 (木)

難しい問題

2009年6月18日 曇り
朝から曇ってはいるのですが、雨は降りません。空梅雨です。

さて、日本において自身の意思を十分に表すことのできない小児が脳死に至った場合、現行の法制度であれば、その小児から臓器移植のための臓器を得ることは許されていません。臓器提供の意思表示を確認できないため、あるいは、脳死の原因に虐待の可能性を否定できないからともいわれています。

ただ、そのため『生きるには臓器移植しか道が残っていない日本の小児』はこれまで、生体間移植か外国に行って移植をうけるしか方法がありませんでした。特に心移植は生体間移植は当然不可能であり、拡張型心筋症などで移植しか方法の残されていない小児は、現在でも渡米したりして移植手術をうけるしかありません。

海外で臓器を得て生命を得ることは、当地の臓器を待っている患者さんたちには、どう映るのでしょう。移植を行う技術は十分に熟成されている日本において、小児だけは法整備の問題から国内での移植が行われない。

また、日本では亡くなった小児のご両親に、移植のための臓器提供を承諾するほどの素地が整っているでしょうか??難しい問題です。しかし、いつかは超えて行かなければならない問題でもあります。

臓器移植法改正「ようやく前進」「あと一歩」患者家族ら拍手

<以下、引用>
『臓器移植法改正「ようやく前進」「あと一歩」患者家族ら拍手

 「一歩前進だ」――。臓器移植法改正案が衆院本会議で採決された18日午後、15歳未満の臓器提供を可能にするなど移植増加につながると期待される「A案」が可決されると、傍聴席に詰めかけた患者家族ら賛同者から拍手がわき起こった。

 参院の審議を控え、先行きはまだ不透明なだけに、家族らは「成立に向け、さらに支持を訴えていきたい」と表情を引き締めていた。

 米国での心臓移植を目指した一人息子の聡太郎ちゃん(1歳)を昨年12月に亡くした中沢啓一郎さん(37)、奈美枝さん(34)夫妻はこの日、本会議場の傍聴席から身を乗り出すように、賛否の札を投じる議員の姿を見つめた。可決で拍手が起こる中、啓一郎さんはあふれる涙をハンカチで覆った。

 拡張型心筋症の聡太郎ちゃんは昨年8月、「年内が精いっぱい」と医者に宣告された。移植を受けるしか助かる道はなかったが、日本では15歳未満の臓器提供は認められていない。渡航移植には1億6600万円が必要だった。街頭募金で金銭面のめどをつけ、向かった米国で聡太郎ちゃんは力尽きた。

 「もっと早く法改正の議論をしてもらえれば、聡太郎も今、元気だったのではないかと思えてならない」。採決後、A案賛同者とともに国会内で記者会見した啓一郎さんは、悔しさをはき出した。妻が抱える息子の遺影を見つめ、「A案で採決できたよと報告できる。参院審議があるが、一歩踏み出せた。息子と共に最後まで頑張りたい」。奈美枝さんは「私たちと同じような思いをほかの人がしないで済むための一歩を踏み出せた」と控えめに語った。

 今年1月、9か月の長女心春(こはる)ちゃんを拡張型心筋症で亡くした岡田由紀さん(31)も、中沢さん夫妻の隣で本会議を傍聴。渡航移植を目指して募金活動の準備中に娘を亡くし、いつも遺影を持ち歩いているという岡田さんは「天国から見てくれていたと思う。参院での成立まで頑張りたい」とかみしめるように語った。

 A案を支持し、一緒に会見に臨んだ日本移植者協議会の大久保通方理事長(62)は「ようやく成果が一つ出たが、なぜこれほど時間がかかったのか。参院では迅速に集中審議し、確実に今国会で結論を出してほしい」と訴えた。

 一方、「議論が尽くされていない」などとして、移植の要件緩和に慎重なグループも国会内で記者会見し、落胆の表情を見せた。

 全国交通事故遺族の会の佐藤清志さんは「前日まで元気だった子が、急に事故や病気で脳死状態になった場合、家族は冷静な判断ができない」として、本人の意思が不明でも家族に判断が委ねられるA案に異議を唱えた。

 臓器移植法改正に反対する市民団体の川見公子事務局長は「難しい問題で、国会議員の中でも十分理解されたとは言い難いのに、短時間の審議で採決された。怒りを覚える」と話した。

(2009年6月18日22時32分 読売新聞)』
<引用終わり>


難しい問題です。しかし、臓器移植を待っている小児患者さんも一日千秋の思いで待ってることでしょう。時間もあまりないのが本当です。

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2009年6月17日 (水)

重症例の増加...

2009年6月17日 晴れ
とにかく暑いです。

日経メディカルで流れていた情報。(の抜粋)

<引用>
『米国では現在、新型インフルエンザの死亡者数が増え続けている。米疾病対策センター(CDC)の発表では、6月12日までの累計で45人が死亡。全米で1000人以上が入院している。入院患者の大部分は重症の肺炎で入院しており、入院者数や死亡者数は今後さらに増加する可能性が高い。』
<引用終わり>

アメリカでは日本のように(感染拡大を防止するための)措置入院がなく、また、入院費がべらぼうに高いため、重症例しか入院になりません。つまり、アメリカでの入院例の増加は、即ち「重症例の増加」ということです。そして、その内容について...。

<引用>
『重症化の病態や重症化の原因については、徐々に明らかになっている。押谷氏は、「患者の胸部X線写真などはまだほとんど公開されていないが、これまでに報告された症例の状況などから、重症化例の大部分は、インフルエンザによるウイルス性肺炎に急性呼吸促迫症候群(ARDS)を合併していたと考えられる」と話す。

 押谷氏は、新型インフルエンザで死亡した患者の剖検結果に関し、ニューヨークの医師から聞いた話を紹介。剖検した5例のいずれも、上気道から下気道まで高度にウイルスが増殖しており、ウイルスの複製量が通常の季節性のインフルエンザより桁はずれに多かったという。「ほとんどの人が新型インフルエンザに対する免疫を持っておらず、基礎疾患がある人や免疫が落ちている人は、ウイルスの増殖を全くコントロールできなくなっている可能性があるのではないか」と押谷氏は推測する。』
<引用終わり>

重症化のメカニズムとして、1.細菌感染症の合併、2.ウイルス性肺炎から急性呼吸窮迫症候群(ARDS)となる、3.サイトカインストームが起こり多臓器不全となるという3つの経路が考えられていますが、そのうち2.の経路が増えているようですね...。これは、抗生剤では効果がみられず、効果的な抗インフルエンザ剤を早期に使用することが病勢のコントロールに必要と考えます。

また、記事の中では、死亡例には何らかの基礎疾患がみられる場合が多いが、基礎疾患が見られない症例もあり、そのうちほとんどが高度肥満であったとも述べられています。

やはり、新型。季節性のものと全く同じ備えではマズそうです。

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2009年6月16日 (火)

アメリカ版国民皆保険制度

2009年6月16日 晴れ
東京ではゲリラ豪雨のようですが、こちらは晴れていました。

アメリカ合衆国は自由の国。チャンスがあれば大金持ち、しかし、スラムで暮らす人たちもいて、貧富の差がかなり大きい国でもあります。医療保険は民間の医療保険会社が握っており、医療保険に入れない方々は無保険の状態であることもあります。「Sicko」という映画がありましたが、切断した指においても、お金によりつなぐことの出来る本数も決まります。乳児死亡率はお隣のキューバよりも悪く、自由ではあるが平等ではない世界です。

数年前より、クリントン元大統領夫人のヒラリー•クリントン氏(現:国務大臣)は、日本にならった、国民皆保険制度の導入を訴えています。そして、政権内部で彼女が大きな権力を持った今...。再びこの「アメリカ版国民皆保険制度」が注目を集め始めました。

CNNより
医療保険の改革は必須 米大統領が医師会で強調
魚拓

<以下、引用>
『医療保険の改革は必須 米大統領が医師会で強調

(CNN) オバマ米大統領は15日、シカゴ市内で開かれた米国医師会(AMA)の年次総会で演説した。大統領は、医療保険改革によって国民皆保険が実現し、医師も治療が効率化すると述べ、改革に取り組む必要性を強調した。

大統領は、医療保険改革が米財政の長期安定にとって最重要事項であるとコメント。公的保険の拡充で治療方法や収入に制約が生じることに対する医師の懸念を認めたうえで、そのような思考は誤りだと述べた。

大統領はまた、保険未加入の国民4600万人の取り込みに向けて、医師や患者、保険会社、製薬会社に対して米政府との連携を呼びかけ、コスト抑制と効率アップを図りながら実効性のある制度を確立するよう促した。

大統領はさらに、医師側に不要な検査や治療の抑制と、医療過誤訴訟による損失に備えた引当金の制限が必要だと述べ、保険会社側には持病のある人々の保険加入を認めるよう求めた。医療費請求手続きのペーパーレス化や、予防医療の必要性も指摘した。

AMAのロハック次期会長は、オバマ大統領が今回の演説で、過剰な書類手続きや医療過誤訴訟への備え、医学生の抱えるローン負担といった医師側の問題に言及したことを歓迎した。AMAは改革法案の議会通過に、大きな影響力を及ぼすとみられている。米議会は近く少なくとも3件の改革案を審議するが、民主党と共和党の立場は大きく隔たっている。』
<引用終わり>

この「アメリカ版国民皆保険制度」の動向は、日本の健康保険制度に微妙な影響をもたらすとみられています。アメリカでこれまで甘い汁を吸っていた医療保険会社は、そのシェアを狭められます。その結果、日本の市場を狙って動く可能性がある。そして、その動きは水面下で徐々に進行しているとの考え方です。

実際、アメリカの医療保険会社のCMは結構な頻度で目にします。政府の方針も、アメリカ寄りととらえることも出来ます。自由診療の認可などもそうです...。政府はひょっとすると国民の健康を、アメリカの医療保険会社に売り渡そうとしているのかもしれませんね...。

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2009年6月15日 (月)

魅かれるもの

2009年6月15日 晴れ
梅雨前線は太平洋高気圧の勢力の弱さのため日本列島にかからず、南の太平洋上に停滞しているようです。あいかわらず暑い...。

物語、漫画、映画...なぜだか知らないけど、『潜水艦』にまつわるものに興味をひかれやすい。自身を秘匿することで任務を遂行するため、その全容が見えることがないのが、その原因でしょうか?映画でいうと、『U-571』、『ローレライ』、漫画は『沈黙の艦隊』などなど...。比較的実際に近い作りのものから、『そりゃないでしょ』というストーリーまで。

しかし、サブマリナーはそんなに悠長なものではない。ディーゼル潜では、基本的に蓄電池に充電して水中を航行することになるでしょうが...。充電放電の過程で、水素が発生し爆発事故につながることや、潜水中に爆雷、魚雷などで攻撃を受ければ、外殻が破損し海水が流入。浮力を得るまで排水できなければ、沈没を免れることはありません。そのストレスに慣れながら乗って行かなければならないでしょう。


鳶色の襟章(堀 元美 著)より
<以下、引用>
『天気のよい日だった。有明湾の沖の波は低く、舷側を後ろ後ろへと流れさる波が、わずかばかりの高低の変化を繰返し、青く深く透き通って、時々光の屈折で潜水艦の丸くふくれた舷側の赤い色が上甲板からも眺められる。
 艦橋では海図の上に刻々と移って行く艦位を次々と書き込んでいる航海長の傍で、艦長が時々話し掛けながら後方の景色を眺めていたが、やがて「合戦準備」と大声で言った。たった一人しかいない信号兵がラッパを吹奏し、航海当番は信号旗嚢を引きくくって昇降口から投げ下ろす。
 上甲板の丸い昇降口から、汚れた事業服の上半身を見せ、バタンと蓋を締めて艦内へと姿を消す。丸い蓋の中央にあるハンドルが中からクルクルと回って締まる。
 信号マストがスルスルと下がり、代わりに潜望鏡がニューッと司令塔の上に頭を出す。兵員が鏡頂のガラスを拭く。艦橋の窓ガラスは水の抵抗のないように開け放たれる。
 艦内では全員がそれぞれの配置につき、潜航、戦闘の準備をする。全区画から伝声管でそれぞれ整備を届けてくるのを、発令所ではチェック•ボードの駒を入れかえてチェックしている。
 「合戦準備宜し」が届けられると、艦長は「潜航準備」と命令する。航海当番は艦橋に残った品物を一切抱えて昇降口を下りる。
 艦長は「機械停止、電動機前進原速、ベント開け!」と命令して、最後に艦内に飛び込む。艦橋の蓋が閉まる。
 ザザザーーという水音が、艦内にいるわれわれには頭の上で聞こえる。艦は前方に傾いて、グーッと下がり始める。電動機がかすかに唸る。
 発令所の潜舵手と横舵手の前にある大きな深度計の針がグングン回る。八メートル、九メートル、一○メートル。盤面に描かれた艦の断面図の上を針がドンドン過ぎて、みるみる二五メートルになる。排水ポンプが高い音を出して動き出し、艦の自重を調節する。
 大勢の兵員が身動きできぬくらいいるのに、室内は静かである。総員七〇人も乗っているが、潜望鏡で外を見られるのは艦長一人だけだ。
 何ともいえない緊張、しかも皆平気な顔をしている。電灯が静かに照らしている室内は、水上も水中も変わりがない。
 深度一五メートル。
 「浮き上がれ!」「メーン•タンク•ブロー!」
 高圧空気で、タンクの中の海水を吹き出す。深度計の針が回る。
 「ハッチ開け」
 昇降口蓋が開けられると、海水のしぶきが外の風と一緒に吹き込む。
 艦橋に飛び出す。あらゆるものが水を滴らせている。ビショ濡れの艦橋から見ると、上甲板はいまようやく水面まで出てきたところで、一面に白い泡に覆われている。船体がグラグラと揺れる。』
<引用終わり>

太平洋戦争直前の日本海軍潜水艦:伊号第七〇号潜水艦内での潜水訓練の様子です。この書物には、夜間浮上中の潜水艦に洋上艦が衝突し、潜水艦がまっぷたつに折れて沈没、乗員全員が死亡した事例や、潜水訓練中に、昇降口蓋を閉鎖するのが遅れ、流入した海水を排水できず沈没した事例などが取り上げられ、その当時のサブマリナーの危険性を思い知らされます。

そのような乗り物に乗ることはコワくて仕方がないけれど、恐いもの見たさというか、ついつい魅かれてしまうのでしょう...。

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2009年6月14日 (日)

正しく恐れる必要性

2009年6月14日 晴れ
梅雨の合間。日差しが強く、南に面した部屋は灼熱地獄となります。

さて、時として感染症の報道は『悪者探し』となります。今回の新型インフルエンザ報道の影でも、ヒッソリと辛い思いを胸に隠し、涙をこらえている方々がいるでしょう。新型インフルエンザはもちろん感染拡大を抑制するメリットはありますが、それ自体の感染力はSARSなどと比較して非常に強く、感染拡大を封じ込める可能性はほとんどないものなのです。数年以内に地球上の人類のほとんどが罹患し、その後は通常の季節性インフルエンザとなっていきます。

政府の水際対策は明らかに世界の感染症対策と比較しておかしなところがあります。これを、そのまま鵜呑みにして、感染が拡大した地域をある意味で責めるような報道があることは非常に残念なことです。むしろ、政府の方針を真っ向から否定するような、『骨のある』報道が欲しいものです。

感染症は「正しく怖がって」—新型インフルと「心のケア」 6月14日17時18分配信 医療介護CBニュース
魚拓

<以下、引用>
『感染症は「正しく怖がって」—新型インフルと「心のケア」
6月14日17時18分配信 医療介護CBニュース

 「皆さんの協力で、貴重な情報を得られた。ありがとう」—。新型インフルエンザ感染者の集団発生で学校閉鎖になってから2週間後の6月1日、学校を再開した関西大倉学園の全校集会で、国立感染症研究所感染症情報センターの安井良則主任研究官が講演し、生徒らに呼び掛けた。講演の目的は、生徒たちの「心のケア」。集団感染が発覚して以来、同校への誹謗中傷が相次いでいたからだ。神戸と大阪で積極的疫学調査にかかわり、複数の学校を訪問した安井研究官は、「感染した人が悪いのではない。感染症を不必要に怖がる必要はないし、『正しく』怖がるべき。病気に対して粛々と対応していけばいい」と話す。

 関西大倉学園は大阪府北摂地域の中高一貫校。5月17日までに64人の新型インフルエンザ感染が確認された。学校は閉鎖され、「関西大倉学園」の名前は連日報道された。

 「今でこそ、季節性インフルエンザとあまり変わらないといわれているが、当時はどんなウイルスなのか、どんな影響があるのか分からない状況だった」と、同校の大船重幸教頭は振り返る。「防護服を着た人たちに突然、連れ出されることになった生徒や、家族全員が1週間、自宅で缶詰めになった生徒もいた。これを思うと言葉にならない」。同校が「ウイルスをばらまいている」といった誹謗中傷も後を絶たず、学校関係者のタクシーの利用や、制服のクリーニングを断られることもあったという。
 学校の再開前には、校内の消毒もした。「専門家から、(ウイルスは既に死滅しているので)消毒の必要はないと聞いており、意味がないということも分かっていた。しかし、こういう風潮の中では、やらざるを得なかった」。

 安井研究官が同校を最初に訪れたのは5月17日。積極的疫学調査を行うためだった。安井研究官は学校側の協力を得て、感染者の情報収集や家庭訪問を実施。症状の特徴や感染ルートなどの情報が得られたが、「生徒が近所で『関西大倉学園の生徒だ』と言われるような状況だった」という。感染者が出たほかの学校も訪問したが、校長はじめ学校関係者や生徒の家族の多くが「誹謗中傷」されている状況。ある学校の校長は、心労で声が出なくなってしまっていたという。「絶対にあってはいけないことだ」(安井研究官)。

■「誰が悪い」というのはナンセンス
 関西大倉学園の生徒への講演は、安井研究官自身が同校に対して頼んだことだった。「校内で新型インフルエンザが流行したことで、生徒はみんな不安に思っていた。誹謗中傷もあった。心に傷を抱え、2週間頑張って自宅待機していた子どもたちに、何とかメッセージを伝えたいと思った」という。
 学校側も専門家による説明を歓迎した。大船教頭は「生徒は不安を抱えていたと思う。安心感を与えることが一番の目的だった」と話す。

 こうして迎えた1日の全校集会には、安井研究官のほか、同研究所の岡部信彦・感染症情報センター長も駆け付けた。安井研究官は新型インフルエンザについての科学的な説明をした上で、「この学校だから流行したわけではない。なぜか(新型インフルエンザが)高校生の間で流行していて、それがたまたま入り込んだだけ。入り込んでしまったら、感染が広がるのは全然不思議ではない」「感染症では、『誰が悪い』などと考えるのはナンセンス。誰も悪くない。胸を張って、これから人生を歩んでほしい」と呼び掛けた。
 岡部センター長は「皆さんがインタビューに答えてくれたおかげで、症状の分析ができた。これまでわたしたちが得ていたのは、米国やメキシコの状況に関する情報だったが、自分たちの状況が自分たちの手で分かってよかった。この情報はきちんとした形でWHOなどに報告する」と謝意を表明。安井研究官も、「この情報は世界中の多くの人たちの役に立つ。2週間本当によく頑張ってくれた」と語った。

 「関西大倉学園に何か問題があったわけでも、自分たちが悪かったわけでもない。そういう話を丁寧にしてもらえてよかった。効果は抜群だったと思う」と大船教頭。講演後、体育館には生徒らの拍手の音が鳴り響いた。

     ■   ■   ■

 安井研究官は「インフルエンザが日本に入ってきたことに対し、粛々と対応する。それでいいと思うし、それ以上ではないと思う」と話す。「感染症を不必要に、過剰に怖がる必要はない。『正しく』怖がってほしい」。風評被害が広がると、疫学調査で患者から協力を得ることが難しくなる可能性もあるという。
 「忌み嫌うというのは、ある意味、怖いからやっているのだと思う。だが、それはやめてほしい。感染症に立ち向かっていかなければならない」。』
<引用終わり>

確かに怖い。今回の新型インフルエンザは現時点では弱毒型であり、季節性インフルエンザと比較してさほど致死率も高くありませんが、それでも、最初の症例を報告する施設、地域は別な意味でコワいのです。忌み嫌う行為はコワさからくるものですが、忌み嫌うことで医療者も逃げ出せば、これは本当の意味での負けです。報道のあり方、政府のこの問題の取り扱い方は今後十分に吟味され洗練される必要があります!

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2009年6月13日 (土)

酸欠事故

2009年6月13日 曇りのち晴れ
冷房がないと、厳しい状況となってきました。

まずは、今回の日鉱精錬佐賀関製錬所にて業務中に酸素欠乏症と思われる事故に遭い亡くなられた3人の方々に心より哀悼の意を表します。

製錬所事故 酸欠?作業員3人死亡 大分 6月13日11時46分配信 毎日新聞
魚拓

<以下、引用>
『製錬所事故 酸欠?作業員3人死亡 大分
6月13日11時46分配信 毎日新聞

 13日午前8時50分ごろ、大分市佐賀関の日鉱製錬佐賀関製錬所から「作業員が倒れた」と119番があった。市消防局の救急隊員が駆け付けると、製錬所の港に接岸している貨物船内で作業員3人が倒れており、3人とも間もなく死亡した。現場の他の作業員らから、製錬所の警務室に入った一報では「酸欠で倒れたようだ」と報告してきたという。県警などは酸欠事故の可能性があるとみて原因を調べている。

 死亡したのは同市佐賀関、松金政広さん(63)▽同、森田憲治さん(52)▽同市志生木、幾嶋和仁さん(48)。3人とも関連会社の日照港運(大分市)の社員。

 消防や製錬所によると、作業員らは大型貨物船から銅の原料となる鉱石をクレーンで荷揚げする作業中。鉱石が保管されている船内と、外部に通じる船体上部の縦横約25メートルの大型ハッチを開け、松金さんが5、6メートル下にある鉱石の保管場所に下りた直後に倒れた。森田さんと幾嶋さんは、松金さんを助けようと保管場所に下りて倒れたという。

 船内に入る前に、中の酸素濃度を測定したところ、19.3%で通常の21%をやや下回る程度だったという。

 佐賀関製錬所をめぐっては、05年6月に鉱石運搬船内の銅鉱石積荷室で、清掃作業中の男性会社員(当時49歳)が酸欠で死亡。00年12月にも同製錬所の精金銀工場タンク内でひ化水素が発生し、補修作業中の男性(当時66歳)が多臓器不全で死亡した。【古田健治、梅山崇、深津誠】』
<引用終わり>

船倉などの密閉された空間に、酸素を吸収してしまう物質(あるいは生物)が入れられている場合、空間の酸素を使用され、著しく酸素濃度が下がっている可能性があります。通常の空気は酸素を約21%含みますが、酸素濃度が18%以下の環境に人間が入った場合、酸素欠乏症が生じるとされます。

Wikipedia:酸素欠乏症より引用します。

『人間は主に肺胞でガス交換をしている。肺胞毛細血管から肺胞腔に出てくるガスの酸素濃度は個人差もあるがおよそ16%であり、これが空気中の21%の酸素と濃度勾配に従って交換される。一回でも酸素16%以下の空気を吸うと肺胞毛細血管中の酸素が逆に肺胞腔へ濃度勾配に従って引っ張り出されてしまう(即ち、極論例として酸素10%の空気は、呼吸にとっては「10%酸素がある」のではなく「酸素を6%奪われる」空気ということ)。更には血中酸素が低下すると延髄の呼吸中枢が呼吸反射を起こして反射的に呼吸が起こり、呼吸をするとさらに血中酸素が空気中に引っ張られると言う悪循環が起こる。従って酸素濃度の低い空気は一呼吸するだけでも死に至る事があり大変危険である。また死亡前に救出されても、脳に障害が残る危険性がある。
低酸素の空気で即死に至らなかった場合でも、短時間で意識低下に至りやすいため気付いてからでは遅く、更には運動機能も低下することもあり自力での脱出は困難である。加えて酸素が欠乏しているかどうかは臭いや色などでは全く判別できず、また初期症状も眠気や軽い目眩として感じるなど特徴的でもないため、酸素の濃度が低いことに全く気づけずに奥まで入ったり、人が倒れているのを見てあわてて救助しようと進入した救助者も昏倒したりする。また低所やタンクなどで出入りにハシゴを使用するような場合は転落する危険があり、それそのものでの怪我は大したものでなくても、より低濃度酸素の空気に晒されると共に自力脱出はより困難になる。』

酸欠事故は非常に重大なことが多く、通常は心肺停止状態で搬送されてきます。今回は作業前の検査にて酸素濃度19.3%と酸欠事故が起こる基準よりは酸素濃度が高かったのですが、船倉の一部はかなりの低酸素だったのでしょうね...。自力での脱出が困難なため、気づいたときには既に遅く、どんどん悪循環に陥るところが恐ろしい病態です。

残念なことに亡くなられた方々の、ご冥福をお祈りいたします。

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2009年6月12日 (金)

覇権争い??

2009年6月12日 晴れ
暑い!

泉大津市の医師大量一斉退職事件は...裏に何かありそう?

泉大津市立病院医師が一斉退職 6月12日11時29分配信 産経新聞
魚拓

<以下、引用>
『泉大津市立病院医師が一斉退職
6月12日11時29分配信 産経新聞
 大阪府泉大津市の市立病院(215床)で、院長と内科医計6人が6月末で一斉退職することが12日、わかった。市から名誉院長への就任を打診された同病院の飯田さよみ院長(59)が3月中旬に辞意を表明してから、同じ大学出身の内科医が5月までに相次いで辞表を提出。診療態勢にも影響が出ており、病院側は医師確保を急いでいる。

 市立病院によると、3月中旬、飯田院長が市から名誉院長就任の打診を受けたが、辞意を表明。その後、同じ大学の医局出身の血液内科、腎臓内科、糖尿内科などを専門とする医師5人が「一身上の都合」として辞表を提出している。

 一斉退職後、病院側は他の大学から糖尿内科と腎臓内科の医師を確保できる見込みだが、血液内科の医師が7月から不在となる。』
<引用終わり>

院長から名誉院長への就任打診というのは...どうでしょ。別の医局から次の院長候補を予定しておいて、その席をあけることなのかもしれませんね...。

うーむ、ちょっときなくさい...。

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2009年6月11日 (木)

政治主導の危うさ...。

2009年6月11日 曇りのち晴れ
湿度の高さのため、晴れると体感温度は急上昇します。

Yosyanさまの『新小児科医のつぶやき:秋田で起こったよくあるお話』で伝えらていた、お話し....。

 北秋中央病院:16診療科 医師15人 199床
 北秋田市民病院:21診療科 医師31人 320床

の2病院が合併して、本年の10月に新病院を建設し、320床、医師数32人の規模で新規開業する計画があったようです。しかし、この世の中...医師は集めることができないのでしょうね....。病床は154床、医師数は19人と規模を縮小です。

病床154、医師19人に減少へ 10月開業の北秋田市民病院 津谷市長、赤字補填方針も示す

<以下、引用>
『病床154、医師19人に減少へ
10月開業の北秋田市民病院 津谷市長、赤字補填方針も示す
 北秋田市は8日、10月にオープンする北秋田市民病院について、病床数を当初予定していた320床から154床に減らし、医師数を当初の31人から常勤医、非常勤医合わせて19人で開業することを決めた。医師確保の見通しが立たない中で病院建設を進めた結果、計画変更を余儀なくされた。8日に開かれた市議会全員協議会で、津谷永光市長が病院の運営方針の変更を説明した。

 病院を運営する指定管理者のJA秋田厚生連に対し、岸部陞前市長は「赤字の穴埋めはしない」との考えを示していた。しかし、津谷市長は、2009年度は約3億5000万円、10年度は約3億8000万円の赤字が見込まれ、方針を一転させ、赤字を補填(ほてん)する方針を示した。

 また、当初は厚生連が半額を負担するとしていた建設費の企業債の利息分と減価償却費についても、全額負担することとした。

(2009年6月9日 読売新聞)』
<引用終わり>

ハコモノを先に決めて、そこに必要な人員を後で工面する。このような古い事業の進め方は、現在の医師不足の中では既に通用しない方法となっています。考え方が逆であったと言わざるを得ません。つまり、その地域にどれだけの医療の需要があり、どれだけの医療者が必要とされ、それを実現するために必要なハコモノはどれだけか?を考えないと、足をすくわれることになるでしょう。

もちろん、総事業費91億の壮大な計画です。不況の空っ風が吹きすさぶ建設業界にとっては、『これぞ救世主』てな感じでしょうが...予算規模が190億程度の自治体でこれは冒険以外の何者でもないかと...。

医療はハコモノが作るものではありません。そこで働くものたちが有機的につながりあって、そして、地域の人々とも相互に影響し合って作られるものです。現場の意見を聞かずに、自治体が『これぐらいだろう』という曖昧な考えで計画を作ったならば、これは大きな失敗を招くでしょう。

この、北秋田だけではありません...。日本全国どこでもこのような問題は転がっています。残念なことです。

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2009年6月10日 (水)

速度計の問題か?

2009年6月10日 雨のち曇り
梅雨入りしてます。これからはしばらくの間、ジメジメ...。

さて、南半球ブラジル沖にて墜落したと思われるエールフランスのエアバスA330は、墜落地点が不明であること、フライトレコーダーやボイスレコーダーの入ったブラックボックスが回収されていないことから、その墜落原因が謎とされています。しかし、最近の報道では悪天候の中で、墜落した機体はかなり速度が落ちていた様子が伝えられ、失速が原因かもしれないと推定されているようです。

航空機は前方から来る風が主翼にあたり、その上面と下面に生じる空気の流れにおいて、上面を通る流れが速くなるように設計され、上面により気圧の低い状態が作られることで揚力が生じ空中に浮かんでられるようにできています。その揚力が機体の重さと同じだけなければ当然、空中に浮いてられません。そして、その揚力は航空機の対気速度に応じて大きくなり、ある一定の速度を割った場合は、機体の浮力を失い墜落することとなります。

航空機の速度は、ピトー管という装置を使って測定されますが...これが不良となった場合は、航空機の速度がわからず、最悪の場合、失速する可能性があります。全日空が作った映画『ハッピーフライト』では、羽田を出発する機体にバードストライク(つまり、鳥が機体に衝突すること)が起こり、コクピットの直下機体壁に設置されているピトー管を障害しました。このことにより、速度が低く見積もられるようになり、コーパイロットが下降をかけながら速度を上げるといったシーンがみられます。

今回、残念なことに事故を起こしたエールフランスのエアバスが、ピトー管に問題を抱えており、悪天候時に『速度を高く見積もる』事態が起きたときには、ひょっとすると失速事故が生じる可能性はあるような気がします。

エールフランス機の41遺体回収、「ピトー管」原因説浮上
魚拓

<以下引用>
『エールフランス機の41遺体回収、「ピトー管」原因説浮上
ブラジル・フェルナンド・デ・ノローニャ諸島(CNN)エールフランス機の墜落事故で、大西洋の現場海域を捜索しているブラジル海軍は9日、新たに16人の遺体を回収した。これで遺体で見つかった犠牲者は41人となった。

9日に回収された16遺体はフェルナンド・デ・ノローニャ諸島に運ばれ、10日午後にブラジル・レシフェの空軍基地に輸送される。前日までに見つかった25遺体はブラジル軍のフリゲート艦に乗せられている。

乗客乗員228人を乗せたエールフランス447便は、1日に大西洋上で消息を絶った。最初の遺体はサンペドロ・サンパウロ群島から北西約320キロの地点で見つかり、9日に遺体が回収されたのは同約80キロの地点だった。遺体が潮流に流されたのか、機体が空中分解したのかは不明。

現場では引き続き捜索が続けられており、10日にはフランスの原潜が現場海域に到着する見通し。機体の残骸を捜索し、フライトレコーダーやボイスレコーダーの回収を目指す。ブラジル当局によると、機体の残骸はフランスに引き渡すが、遺体はレシフェで検視を行う。

墜落原因は依然として不明だが、「ピトー管」と呼ばれる速度計に原因があるのではないかとの見方が浮上。操縦士組合が9日明らかにしたところでは、エールフランスはエアバスA330型機とA340型機のピトー管を交換することに同意した。』
<引用終わり>

墜落のエールフランス機、飛行速度「遅過ぎた」=報道 6月5日11時52分配信 ロイター
魚拓

<以下、引用>
『墜落のエールフランス機、飛行速度「遅過ぎた」=報道
6月5日11時52分配信 ロイター

 [パリ 4日 ロイター] 今月1日に大西洋に墜落したリオデジャネイロ発パリ行きのエールフランス機について、4日付の仏ルモンド紙は事故調査機関に近い関係筋の話として、同機は事故前の飛行速度が遅過ぎたと報じた。
 記事によると、同機を製造したエアバスは近く、事故機と同じA330型機を購入した顧客企業に向けて、悪天候下での最適速度についての勧告を出す方針。
 エアバスは同記事に対するコメントを差し控えており、事故調査機関からもまだコメントが得られていない。
 一方、スペインのエルムンド紙は、エア・コメットのリマからマドリードに向かう大西洋路線のパイロットが、事故機が消えたのと同時刻に白い閃光(せんこう)を目撃したと報告していると伝えた。
 同報道に関し、エア・コメットの広報担当者からの確認は今のところ得られていない。
 今回の墜落事故では、乗客乗員228人全員が死亡した。』
<引用終わり>

高高度を飛行する航空機のピトー管には氷結を防ぐため、ヒーターが内蔵されています。何らかの原因で、ヒーターがうまく働かずに、氷結した場合は当然、正確な速度を示すことは出来ないでしょう。早く原因が解明され、今後に生かされることを望むところです。

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2009年6月 9日 (火)

医師招聘の難しさ

2009年6月9日 曇り
更に蒸し暑さが...。

医師をその地域に招くことは現状では非常に難しく、その地域の首長さんが頑張っても、まず無理であろうと感じます。住民自体が考え方を変えて、そこに赴任する医師をサポートする形にしなければ、うまく行かないようです。首長選挙で公約に『医師3人を招聘する』として当選した市長さんが、医師を招聘できず、市議会で陳謝したもようです。

大城・八幡浜市長:医師確保できず、市議会で陳謝 /愛媛 6月9日16時1分配信 毎日新聞
魚拓

<以下、引用>
『大城・八幡浜市長:医師確保できず、市議会で陳謝 /愛媛
6月9日16時1分配信 毎日新聞
 八幡浜市の大城一郎市長は8日、6月定例市議会本会議の総括説明で、「市長選で『直ちに3人の医師確保』を公約としたが、今日まで結果を出せない状況にある。認識の甘さがあったことは否めず、大変申し訳なく思っている」とおわびした。今後について「国、県の協力をいただきながら、医師の確保を最優先に取り組みたい」と述べ、理解を求めた。
 一方、空席となっている副市長人事について、大城市長は本会議終了後の議員全員協議会で、現在県南予地方局八幡浜支局長の橋本顕治氏(58)を選任することに同意を求める議案を最終日(23日)に追加提案する考えを説明した。
 6月定例市議会はこの日開会、市長給料を10%カットする条例改正案や、市長退職金制度(退職手当額1947万円)を廃止する条例制定案、2億9320万円の09年度一般会計補正予算案など16議案を一括上程した。一般質問は11、12日。【門田修一】

6月9日朝刊』
<引用終わり>

医師はモノではありません。一介の人間です。『確保』というコトバはどちらかというと、人間というよりモノを扱うときのように感じてしまいます。

何故、医師がその地域にこないのか?そして、逃げて行くのか?それを、首長ももちろん、議員さんも、そして住民のみなさまも感じて、考えていただければ、より良い方向に動くのでは?と感じます。

現在、大学の医局においても医師は不足しています。医師に『この地域であれば、医療を継続してやってみよう!』と思わせる地域が、医師を招聘することが出来るでしょう。

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2009年6月 8日 (月)

厚生労働省の医系技官とは...

2009年6月8日 曇り
湿度が高い!

さて、厚生労働省には医師免許を取得後に臨床経験をほとんど積まずに入省する医系技官と呼ばれる方々がいます。もちろん、立派な働きをされる方々もいらっしゃいますが、臨床経験の乏しさから、医療の現場には酷な通達を出される方もいらっしゃいます。今回の新型インフルエンザ騒動では、厚生労働省が朝令暮改とも呼べるような通達の濫発を行い、現場は大きく混乱しました。役人の世界と臨床家の世界、溝は深いですね...。医療行政を行うものたちが、もう少し臨床経験を積んだものであったなら...。

MRICの記事です。

『【通知を濫発した厚労省】

 4月28日、WHOは、新型インフルエンザの継続的な人から人への感染がみられる状態になったとして、パンデミック警報レベルをフェーズ4に引き上げました。それ以降、厚労省は、かねてより作成していた「行動計画」と「ガイドライン」に従い、成田空港等で大規模な検疫を開始するとともに、都道府県や医療現場に、多くの通知や事務連絡を驚異的なスピードで出し続けました。その一部は厚労省
のHPで公開されています(http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/kenkou/influenza/hourei.html)。その中には、症例定義(PCR実施基準)、外来の取り扱い、入退院基準、確定診断など、事細かな内容が含まれており、厚労省が医療現場の箸の上げ下ろしまで指示しているが分かります。

 このような行政指導を通じ、厚労省は司令塔としての役目を果たそうとした訳ですが、その指示は現場の実態と乖離していたため、医療現場は大混乱に陥りました。知人の開業医は、「新型インフルエンザ自体より、厚労省の対応に振り回され、医療スタッフは疲弊してしまった」と語っています。

 特に、PCRに関する通知は医療現場に甚大な影響を与えました。この通知により、PCRを受ける患者は、メキシコ・北米への渡航歴があり、簡易診断キットでA型陽性となった人に限定されたため、多くの患者が適切に診断されず、国内での蔓延を発見するのが遅れてしまったのです。現に、5月8日に国内で最初に診断されたのは、厚労省のルールに従わず、渡航歴がないのにPCRを受けた患者ですし、国立感染症研究所は、4月下旬には国内に新型インフルエンザが進入していた可能性が高いと報告しています。医療現場でPCRを行う第一義は、厚労省が公衆衛生データを取るためではなく、患者の治療なのです。この点に関し、厚労省と医療現場には大きな乖離があったように思います。

 また、「行動計画」に従って、全国の病院に約800カ所の「発熱外来」が急遽作られました。そして、厚労省は「新型インフルエンザの患者は発熱外来へ、それ以外の患者は一般医療機関へ」と指示しました。しかしながら、これは机上の空論です。なぜなら、全ての患者は新型インフルエンザか否か分からない状態で病院を訪れるからです。つまり、全国すべての医療機関が、新型インフルエンザかもしれない患者が来ることを想定した準備をしなければならないのです。ところが厚労省は、発熱外来以外の一般医療機関には、その準備のための物資・予算を渡しませんでした。これでは、「発熱外来」など名前だけで実態の伴わないものになってしまいます。この姿勢は、食糧も物資も補給しないが戦闘命令だけは出す、旧日本陸軍の参謀本部を彷彿とさせます。参謀本部は、ロジスティックを軽視して、多数の兵士を無駄死にさせました。余談ですが、「発熱外来」は諸外国にはありません。

 本来、医療とは、患者と医師が十分に相談し、状況に応じて柔軟に対応すべきものです。第三者である厚労省が、行政指導を通じて介入すべきではありません。そんなことをすれば、治療が手遅れになったり、過剰になったりして、患者・医師は大きな負担を強いられます。まさに、前述の開業医のコメントの通りです。ちなみに、日本感染症学会は5/21に「一般医療機関における対応は(厚労省ガイドラインとは)当然異なって然るべき」と緊急提言しています。厚労省の行政指導を見るに見かねたのでしょう。』

この新型インフルエンザ騒動が始まる前から、発熱外来の有用性、検疫の必要性などについてギモンを呈する声はありました。実地医家は気づいていたのです、机上の論理を振り回しても現場は混乱するだけだと....。その声を揉みつぶして、新型インフルエンザに関するパフォーマンスが始まりました。

『【予算が足りない!】

 では本来、厚労省に求められている役割とは何でしょうか? それは、医師の判断を封じ込めるルールを作ることではなく、医療機関が新型インフルエンザに対応できるだけの予算・物資・人員を供給することだと考えます。現場の医師が「この患者にはPCRが必要だ」と判断したとき、それを実現できるだけの体制を用意するべきでした。長年の医療費削減政策によって、日本の病院の73%(うち自治体病院の91%)は赤字ですから、必要な物資を購入したり、雇用する余力はありません。

 ところが厚労省には、この問題に取り組んだ形跡が全くありません。新型インフルエンザ対策(発熱外来設置など)に使える医療機関の整備予算は、平成20年度の補正予算と平成21年度予算を合わせて、38億円です。これでは感染予防のための、個室を整備できません。また、発熱相談など、国民への情報開示に至っては、わずか5000万円です。これでは十分な新型インフルエンザ対策ができるはずがありません。

 5月28日の参議院・予算委員会で、民主党の鈴木寛議員は、新型インフルエンザ対策充実のため、医療体制の整備やPCR検査体制拡充について質問しました。鈴木議員は、「国内感染の発見の遅れは、PCR法による検査が渡航歴のある人に限られていたことが一因。PCR法での検査は、1日当たり全国で約1000人分しかできる体制にない。今後、予想される第二波などに備えて、検査体制を充実させるべきではないか」と主張しましたが、厚労省の上田博三・健康局長からは具体的な回答は得られませんでした。新型インフルエンザの診断体制の予算は、全て併せて7.5億円で、絶対的に不足しています。

 鈴木議員は、新型インフルエンザ対策として約800億円の新規の予算確保を求めましたが、麻生太郎総理大臣は、「2009年度補正予算を組み替えたり、新たな補正予算を組む予定はない」と答弁しました。新型インフルエンザ対策は、補正予算の最大の目玉になるべきテーマですが、麻生総理の答弁には呆れるばかりです。

 ちなみに、米国のオバマ大統領は4月29日に新型インフルエンザ対策として、議会に15億ドルの予算を求めました。あまりにも対照的です。』

国会の審議でもこのような状態とは...末期的ですね。新型インフルエンザが現在のところ弱毒株ですので、甘くみているのでしょうか?第2波の時にはひょっとすると毒性は増しているかもしれません。また、充分な医療提供体制を組んでおかないと、インフルエンザによる合併症で多数の死者を出す可能性は残ります。充分な予算を組むべきです。

『【参議院予算委員会における参考人隠し】

 今回の新型インフルエンザ騒動における厚労省の対応には多くの改善点があります。しかしながら、もっと議論すべきが厚労省の隠蔽体質です。それが明らかになったのは、5月25日の参議院予算委員会です。詳細は、中田はる佳氏の論文をお読みください(http://medg.jp/mt/2009/05/-vol-125.html)。

 当初、この委員会では、民主党の鈴木寛議員が新型インフルエンザについて質問する予定でした。鈴木議員は、参考人として、現役検疫官の木村盛世氏と国立感染症研究所感染症情報センター主任研究官の森兼啓太氏を招致していました。しかしながら、当日開始時間になっても予算委員会は始まらず、開始予定時刻を1時間もオーバーしました。これは、舛添大臣は両氏の出席を認めていたのに、与党が木村氏・森兼氏の出席を拒んだためです。与謝野財務大臣、鳩山総務大臣、舛添厚労大臣、塩谷文科大臣も1時間、待ちぼうけだったようです。

 私が聞くところでは、厚労省は「木村、森兼氏は政府を代表する立場ではない」として、別の委員に差し替えるように鈴木寛事務所に依頼するとともに、与党の予算委員会理事たちに参考人招致に反対するように陳情しました。木村・森兼氏は、政府代表ではなく、専門家としての意見を聞くために呼ばれた訳ですから、これは屁理屈です。そもそも国会の参考人を、官僚にとって都合が悪いから妨害するなど、常識的には考えられないことです。多くの国民は、まさか厚労省がこのような姑息な手段を用いて、自らに不都合な情報を隠蔽しているとは知らないでしょう。

 結局、25日は参考人招致が認められず、28日の午前中に審議されることとなりました。このことはメディアでも報道され、政府に不利な発言をすると考えられる参考人を隠ぺいしたのではないかと批判されています。ところが、この件の責任者である上田博三健康局長など、関係者が処分されたという話は聞きません。「厚労省」を「自衛隊」と置き換えれば、事態の深刻さをご理解頂けるのではないでしょうか。厚労省は「シビリアン・コントロール」から外れています。
朝日新聞 「与党、水際対策批判した検疫官の出席拒否 野党は反発」:http://www.asahi.com/politics/update/0525/TKY200905250417.html
ロハスメディカル 「新型インフル 参院予算委で"参考人隠し」:http://lohasmedical.jp/news/2009/05/25145547.php

木村盛世氏はご存知のかたもいらっしゃると思いますが、今回の検疫体制に厚生労働省の検疫官でありながら異を唱えた方です。既に省内ではすごく肩身のせまい思いをされているでしょう...。参考人隠しが官僚主導で行われたのであれば、これは許しがたい所業です。

『【参議院予算委員会仕切り直し】

 5月28日に仕切り直された参議院・予算委員会では、以下の4人の医師が参考人として呼ばれ、新型インフルエンザの集中審議が行われました。与党推薦参考人として、尾身茂・自治医科大学教授(元厚労官僚、元WHO西太平洋事務局長)、岡部信彦・国立感染症研究所感染症情報センター長の2人と、野党推薦参考人として、前述の木村、森兼氏の2人です。国立感染症研究所(以下、感染研)と言えば厚労省の下部組織ですから、岡部氏と森兼氏は、木村氏と同様、厚生労働技官です。ある意味で、新型インフルエンザ対策の指揮官である上田博三・厚労省健康局長の支配を受ける難しい立場にありながら、医師として専門家として、正しいと考えることを、それぞれに堂々と発言したことに敬意を表します。

 鈴木寛議員の「なぜ厚労省は、検疫に異論を唱える職員等の意見に耳をかさないのか。その背景をどう感じていたか」との質問に、木村氏は「検疫ではN95マスクなどで防御した検疫官の姿が報道され、政府のパフォーマンスに利用されたのではないか」「そもそも行動計画の作成には医系技官がかかわっているが、果たして十分な情報収集を行い、議論を尽くしたものなのか」といった回答をしました。森兼氏も、「検疫は全く無駄とは言えないが、要は人、手間、コストのバランスだと思う。検疫に目が向きすぎていた面があり、少なくても国内感染者が出た時点で、検疫をやめて国内対策を重視すべきだった」と述べましたし、岡部氏も「行動計画においては適時適切に修正を行うこととなっているので、これを是非利用していただければと思う」と締めくくりました。

 このような勇気ある発言ができる専門家たちが、この国を守るために不可欠な存在となります。一方、政府官邸の専門家諮問委員会の長でもある尾身氏は、検疫は万能薬ではないとしつつも一定の効果があったと述べ、そのひとつは「国内の発症例が報告される迄に時間を稼げて診断薬を調整し、各地方自治体に配布することができた」と指摘しました。この理屈は、科学者としてはかなり無理があると思います。国内で渡航歴のない患者はPCRで診断させてもらえなかったのですから、その間、発見が遅れ、単に国内感染者を増やすまで待っていただけだ、と考える方が自然です。また、水際作戦で時間稼ぎするくらいで出来ることなら、予めやっておくべきでしょう。それでも最後には、「縦軸に感染力、横軸に病原力を置いた二次元的な対策を作る、検疫においてもアジャストするということはこれからの課題で、厚生省がすぐにやるべきこと」と締めくくりました。これは、まさに正鵠を射た発言です。

 4人の専門家が異口同音に検疫見直しの必要性を指摘しましたが、上田博三・健康局長の回答は、「現時点では、検疫法の改正が必要か否かを検討するのは時期尚早」というものでした。今秋には新型インフルエンザの再来が予想されるのですから、「検討を開始」するくらいはすべきですし、参加した全ての専門家の意見を無視して、上田健康局長が決める資格があるようには思えません。』

騒動の当初、連日テレビには、PPEを装着した検疫官の姿が映し出されました。サーモグラフィを使用した発熱患者の選別も何度も映し出されましたが、これは、パフォーマンス、プロパガンダとしては非常に有用です。しかし、検疫により水際で阻止できる可能性は当初より否定されていたのです。SARS:急性重症呼吸器症候群では発熱が確認されてから感染力を持つまでに時間がかかることがほとんどで、その間に患者さんを隔離すれば、感染の拡大を阻止できるという基礎的な事実がありましたが、インフルエンザでは発熱が確認される前に、飛沫感染で感染を拡大してしまう、つまり、自分も相手も知らずのうちに感染を成立させてしまう特性があり、水際対策では感染拡大を抑えきれないということになります。この点についても騒動が始まる前から、多数の指摘があったのにも関わらす、厚生労働省は検疫、発熱外来というSARSに対する備えを踏襲しました。

『【医系技官の存在】

 このように新型インフルエンザ対策に関わった厚労官僚たちは、大臣、国会議員、専門家の意見を聞き流し、暴走しています。なぜ厚労省は、このような対応をとってしまうのでしょうか?この問題は、新型インフルエンザ対策を取り仕切った医系技官の存在を抜きに語ることはできません。

 医系技官とは医師免許を持つキャリア官僚で、霞ヶ関に約250人存在する一大勢力です。医政局長、健康局長という二つの局長ポジションをもち、医療行政を一手に担います。また、研究費の配分や人事を通じて、国立感染症研究所などの国立病院・研究所を実質的に支配しています。これは、米国ではFDAやCDCの長官が政治任用であることとは対照的です。

 医系技官のキャリアパスは独特です。医学部卒業後に1-2年の臨床研修を経て厚労省に入省し、その後、様々な部署や省庁をローテートし、閉鎖的な「ムラ社会」で出世を競います。彼らは、権限や予算獲得を追い求め、行政官としての実績を積んでいきます。この状況は、WHOやCDCが、十分な現場経験を持つ医師を中心に運営されていることとは対照的です。例えば、テレビにしばしば登場するWHOのKeiji Fukuda氏は大学卒業後、一貫して感染症対策に従事しています。彼らは、グローバルな「感染症対策ムラ」で昇進を競い、そのために公衆衛生の専門知識と、この分野での業績が求められます。今回の新型インフルエンザ騒動で、厚労省がWHOと十分に連携できなかったのは、両者のレベル・行動原理が違うからだと言うことも可能です。

 霞ヶ関に医系技官が必要な理由は、医療は専門性が高く、医師でなければ分からないからだと説明されてきました。また、事務官にとっても医系技官は便利な存在だったでしょう。医系技官が政策立案に関与することで、国民や政治家に対して医学的な正当性をアピールすることが出来たからです。しかしながら、多くの国民が「医系技官は医者ではない」と認識するようになり、その存在理由が問われています。例えば舛添大臣は、医系技官改革の必要性をこれまでに幾度も訴えています。

 現在、医系技官はこのようなジレンマに悩み、一部の人たちは、専門家並みの医学知識があることをアピールしようとして墓穴を掘っています。今回の医系技官の暴走も、このように考えると理解しやすいと思います。更に、5月22日に政府の「基本的対処方針」が出され、検疫が縮小するまで、実に1ヶ月を要しましたが、これは医系技官が面子に拘ったからだと言われています。この1ヶ月は関西における感染蔓延を考えれば致命的だったと言わざるを得ません。わずか5日間で学校閉鎖勧告を撤回したCDCの柔軟さとは対照的です。しかも、この方向転換は難渋を極めました。舛添大臣は5月19日、医系技官が選んだ専門家諮問委員とは別に、独自に四名の専門家アドバイザーを任命し、彼らの意見を聞くという「パフォーマンス」を演じなければならなかったのです。その中に、上記の森兼氏も含まれます。勿論、全ての専門家が機内検疫の即時中止、国内体制の整備を訴えました。この模様は、マスメディアで大きく報道され、医系技官も方針転換せざるを得なくなりました。しかしながら、舛添大臣の「パフォーマンス」は官邸の反発を買い、東京新聞はこれを5月22日の朝刊で大きく報道しました(インフル対策指揮の舛添厚労省 官邸「独断専行」批判も)。誰が官邸に情報を入れたかは、説明の必要もないでしょう。

 このように、我が国の医療行政は、医師が尊重すべき科学的正しさや良心ではなく、担当者の面子や思惑にあまりにも翻弄されすぎています。既に南半球では新型インフルエンザの大流行が起こりつつあり、今秋、日本への再上陸は避けられそうにありません。このままでは、また同じような迷走劇を繰り返し、大きな被害が出る可能性は高いでしょう。そうした今、我々は何をしなければならないでしょうか? 次回、この問題を議論したいと思います。』

厚生労働省の医系技官は変わらなければならないでしょうね...。メンツなどというショーモナイ拘りにしがみついて、国の医療行政を翻弄するのは許されないことです。今回の騒動で、問題点をはっきりと示されたらいいなと感じます。

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2009年6月 7日 (日)

花で飾ることによる効果

2009年6月7日 曇りのち晴れ
今日のお月さまは、ほぼ満月。少し雲はかかってますが、キレイです。

さて、ちょっと聞いただけでは関連性について『??』となる効果です。自宅の入り口や路地裏を花で飾ることにより空き巣の被害を少なくする防犯効果があるようです。

路地裏の花で防犯効果、空き巣被害4分の1に…東京・杉並 6月6日18時5分配信 読売新聞
魚拓

<以下、引用>
『路地裏の花で防犯効果、空き巣被害4分の1に…東京・杉並
6月6日18時5分配信 読売新聞

拡大写真
人通りの少ない路地裏に花を植える「花咲かせ隊」のボランティア=栗原怜里撮影
 東京都杉並区が、人通りの少ない路地裏で花を育てるなど、街を美化する取り組みを進めたところ、昨年1年間の空き巣被害が、近年では最多だった2002年に比べ、4分の1以下に減ったことがわかった。

 地域の人たちが花の世話や観賞のために路地を行き来することによる「監視の目」が防犯に役立っているとみられ、全国の自治体から視察や問い合わせが相次いでいる。

 杉並区には狭い路地に家が密集する地域が多く、かつては空き巣多発地域として知られていた。00年に1353件だった空き巣被害は、01年に1485件、02年には1711件まで増加した。

 こうした状況に危機感を抱いた区では03年10月、自主防犯パトロール隊への支援策などを盛り込んだ「安全美化条例」を施行。協力が得られた住民の自宅周辺に防犯カメラを設置し、警視庁OBによるパトロール隊も結成するなどした結果、03〜05年の被害は何とか1000件前後に抑え込んだ。

 ところが、06年には1206件と増加に転じた。このため区は、なぜ被害に遭うのかを探ろうと、05年に空き巣に入られた100世帯を対象に調査を実施。その結果、玄関先や庭先に花を飾っている家の被害は2軒しかないことがわかった。

 そこで区は、「花咲かせ隊」を公募するなど以前から行っていた「フラワー作戦」を06年以降、本格化させた。人通りの少ない路地裏の花壇や玄関先に草花を植えてもらおうと、年約600万円の予算をつけて花の苗や種を地域住民に配布。花咲かせ隊は、現在では109団体872人の住民が登録するまでに増えた。昨年からは小学生などの手も借りて、区内で3000か所ほど確認された落書きを消す活動も進めている。

 こうした取り組みもあり、一昨年の被害は過去最少の385件に減少。昨年も387件、今年は4月末までの被害が118件で、過去2年をさらに下回るペースになっている。

 通行人も花に関心を持つようになり、人通りがまばらだった路地裏にも人の姿が見られるようになった。同隊の活動に参加する主婦佐山朝子さん(59)は「街の美化と防犯の一石二鳥。活動を通じて近所付き合いも前より密接になった」と話す。

 同区の取り組みに協力する警視庁の幹部は「防犯対策の基本は地域の人が外に出て人の目を増やすこと。こうした地域一体の対策は、多くの自治体で犯罪抑止の参考になる」と指摘する。実際、杉並区には昨年だけで、静岡や沖縄、福岡県などから約20自治体の担当者が視察に訪れ、今年も視察希望が寄せられているという。
最終更新:6月6日18時5分』
<引用終わり>

花を育てることは、それだけその場所に手を入れなければなりません。当然、そこにヒトがいる時間が長くなり、空き巣も敬遠するようになるのでしょう。おもしろい効果です。

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2009年6月 5日 (金)

完全電気自動車

2009年6月5日 雨
じめじめしてます。

さて最近、医療ネタはお休み中です。(笑)

三菱自動車から1回の充電で160km程度走ることのできる電気自動車が発売されました。もちろん、発電で生じるCO2が当然ありますので、走行することで地球にCO2を排出しないということではありません。しかし、計算上は通常のエンジンを搭載した『i』よりも、確か70%ぐらい(うろ憶えです。)CO2の排出を抑制できるとされていたような...。でも、軽自動車の大きさでお値段が459万9000円也...。なかなか手が出るものではなさそうです。(因に今回の発売は個人向けではなく、業者、団体などに向けてのものだそうです。)

三菱自が7月発売の電気自動車、459万9000円に 6月5日11時32分配信 ロイター
魚拓

<以下、引用>
『三菱自が7月発売の電気自動車、459万9000円に
6月5日11時32分配信 ロイター

 6月5日、三菱自が7月発売の電気自動車の価格を459万9000円に決定。
 [東京 5日 ロイター] 三菱自動車工業<7211.T>は5日、来月発売する電気自動車「アイミーブ」の価格を459万9000円に決めたと発表した。7月下旬から受け付けを開始し、2009年度は法人や自治体を中心に約1400台の販売を見込む。
 2010年4月から個人向けにも本格販売する。今年度は国から最大139万円の補助金を受けられるほか、自動車重量税1万3200円と自動車取得税11万8260円が免除される。
 車体は軽自動車「アイ」がベースで、1回の充電で160キロ走行できる。
 電気自動車は他メーカーも市販化を計画しており、今年は三菱自以外に富士重工業<7270.T>が7月から販売する。価格は472万5000円で、走行距離は1回の充電で90キロ。国から最大138万円の補助金を受けられるほか、自動車重量税1万3200円と自動車取得税12万1500円が免除される。
 日産自動車<7201.T>は2010年に、トヨタ自動車<7203.T>は2012年までに投入する方向で開発を進めている。
 (ロイターニュース 久保 信博記者)』
<引用終わり>

これから、続々とEVが発売されるようです。

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2009年6月 4日 (木)

風力エネルギー

2009年6月4日 雨
朝晩は冷え込み、体調を崩す子供が多いです。

発電により発生するCO2を削減する切り札は、太陽光発電や原子力発電がありますが、比較的簡便に設置可能で発電コストも小さいのが風力発電とされます。このほど、経済産業省は小型の風力発電に対する後押しを始めました。

小型風力発電 経産省後押し 評価を標準化 購入しやすく 6月4日8時17分配信 フジサンケイ ビジネスアイ
魚拓

<以下引用>
『小型風力発電 経産省後押し 評価を標準化 購入しやすく
6月4日8時17分配信 フジサンケイ ビジネスアイ
 経済産業省は、クリーンな小型風力発電機(小型風車)の国内市場を育てるため、今年度から標準的な性能評価手法の確立に向けた検討を始める。小型風車の耐久性や性能などを同一条件で評価する手法を開発し、その結果を製品に表示することで自治体や企業などのユーザーが安心して良質な小型風車を購入できるようにするのが狙い。「身近な地球温暖化防止策」として普及させるための“道筋”をつけたい考えだ。

 ◆補助金交付に活用

 小型風車は一般的に、最も効率良く回転したときの出力(定格出力)が20キロワット未満のものを指し、すでにさまざまな形状や構造の風車が商品化されている。飛行機のプロペラに似た数枚の羽根が風の圧力を受けて回るタイプの場合、その回転エネルギーで風車の胴体に内蔵された発電機で電気をつくる。ただ、メーカーによって出力特性や耐久性などの表示がまちまちなため、導入する際の基準に迷う場合もあった。

 そこで経産省は、統一的な性能評価手法の構築作業を進める。2009年度補正予算に計上した16億円規模の「次世代風力発電技術研究開発」事業の柱の一つとして、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)を通じて実施。耐久性以外の評価項目では、騒音や年間発電量などを想定している。まずは計測器を使った評価試験を進めながら、日本特有の風の発生状況などに合った評価手順のあり方について研究。第三者機関による評価制度も検討する。

 この背景には、世界的に小型風車の性能水準を分かりやすく製品に表示する「ラベリング制度」を導入する機運が高まっていることがある。IEA(国際エネルギー機関)の主導で同制度の国際標準化に向けた議論が進む一方、米国や英国では風車の信頼性を担保する認証制度の制定なども動き出している。

 経産省では「国際的な動きと整合性のとれた小型風車のラベリング制度を(数年内に)日本に導入したい」(資源エネルギー庁)考えで、同制度を判断材料として補助金を交付する導入支援策も視野に入れている。

 ◆“実用型”普及へ

 こうした動きは、小型風車業界にとっても追い風だ。風力発電機メーカーなどで構成する小型風力・太陽光発電普及協会(SWS、東京都台東区)によると、小型風車では計画通りに発電できず、一部の自治体の信用を損なう問題なども起きている。この影響で市場は伸び悩んでおり、06、07年度とも17億円程度だった。用途別では、記念碑や環境教育・啓発用、防災用などがほとんどを占める。その主流は、発電した電気を自家消費する、いわゆる“独立型”。

 市場拡大に向けてSWSが着目するのが、もう一つの柱となる“実用型”だ。小型風車を電力会社の系統に連係して売電することも可能だ。実用型を増やすには「量産効果による大幅なコスト削減と商品開発の強化が必須」(和地嘉夫SWS会長)だが、実用型は市場の2%程度にすぎず成長性も未知数だ。

 ラベリング制度が導入され風車への信頼性が向上すれば、実用型の市場はもっと伸びると期待するメーカーは多い。』
<引用終わり>

Wikipedia:風力発電によると
『開発・普及状況 [編集]日本では欧米諸国に比して普及が進んでいない。日本国内での風力発電(出力10kW以上)の累計導入量は2007年3月時点で約1400基、総設備容量は約168万kWであり[39]、発電量は標準的な原発(100万kW前後)の数分の1である。2007年度は前年度に比べて導入量が半分以下に落ち込んでいる。1基あたりの出力を見ると、2007年度では設備容量1MW以上の機種が大部分を占めるようになった[40]。海外機の独擅場であった2MW以上の大型機については、国産機の開発も進んでいる[41]。風力発電設備の大部分は輸入品であり、2007年度の国産機の割合は設備容量ベースで16%[42]、基数ベースでも23%である[43]。』

日本では風力発電の導入は欧州などにくらべて進んでいません。大型の風車の方が効率がよいため、海外機を高いお金を払って導入せねばならず、コストを回収できる見込みが薄いと思われるためでもあります。こういった、小さな風力発電機を多数作るのも一つの手ですが、政府がもっと腰を入れた導入する事業主に対する補助があれば、もう少し発展するのにな?とも感じます。

日本の発電に伴って発生するCO2は約346g-CO2/kWh(2001年)、大型で効率のよい風車では10g-CO2/kWhとされ約35分の1しかCO2を排出しません。景気の後退する今、こういった環境に関してよい影響のありそうな部分に政府の補助が向かえば...と願います。

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2009年6月 3日 (水)

小児科学会の提言

2009年6月4日 雨
湿度が高く、蒸す一日です。

新型インフルエンザへの対応について、日本小児科学会が提言をまとめています。

すべての小児科で新型インフルエンザ診療を—小児科学会 6月2日15時52分配信 医療介護CBニュース
魚拓

<以下、引用>
『すべての小児科で新型インフルエンザ診療を—小児科学会
6月2日15時52分配信 医療介護CBニュース
 日本小児科学会は6月1日、今年の秋から冬にかけて新型インフルエンザが再流行した場合、「多数の小児罹患者が予測される」として、すべての小児科診療施設が新型インフルエンザ診療に参加できる体制をつくることなどを盛り込んだ提言をまとめ、ホームページ上に公表した。

 提言は、「これまでの新型インフルエンザの歴史からみると、多くは複数回、主に2回の流行の波を起こしている」とした上で、今年の秋から冬にかけて「再びより大きなアウトブレイクが起きる可能性が非常に高い」と指摘。小児患者についても、季節性インフルエンザの数倍の発生を想定しなくてはならないとした。

 一方、新型インフルエンザ対策については、発熱相談窓口や発熱外来が「蔓延期」には機能せず、「むしろ一般の小児科診療を阻害する面が多いと考えられる」と指摘。その理由として、「そもそも小児科の外来は種々の原因による発熱患者が多い」「迅速診断キットによっても新型と季節性インフルエンザを鑑別することができない」などを挙げ、流行が予想される今年の秋から冬にかけては、「季節性インフルエンザと新型インフルエンザを小児科診療上区別することは困難」などとした。
 その上で、小児の新型インフルエンザ診療について、可能な限り早期に「季節性」と「新型」の区別を取り除き、通常のインフルエンザ流行期の診療体制を維持するとともに、すべての小児科診療施設が新型インフルエンザ診療に参加できる体制づくりなどを提案している。

 また、新型インフルエンザの重症度が季節性インフルエンザと同等の場合でも、インフルエンザ脳症や重症肺炎などの合併症を併発した重症患者が増加する可能性を指摘した上で、こうした患者に対応するため、「重症患者診療施設」「肺炎・脱水などの入院に対応する施設」「入院は扱わず外来診療を中心にする施設」などの機能分担を地域ごとに決めておく必要があるとした。

 提言は小児科における新型インフルエンザの治療について、「季節性インフルエンザに準ずるもの」と強調。
 また、10代の患者に対する「オセルタミビル」の使用制限は、現時点でも継続していると指摘。今後、新型インフルエンザの小児の場合の重症度が明らかになった時、抗インフルエンザ薬の使用方法を日本小児科学会としてあらためて検討するとした。』
<引用終わり>

爆発的に罹患者数が増えた場合、発熱外来での対応では、まずもって無理でしょう。そして、感染拡大を抑えるのが目的ならば、発熱外来で未罹患の方に感染させてしまう可能性もあり、目的は達せられないと思います。ココは腹を据えて、通常の医療機関で患者動線を考えるくらいの対応で乗り切らなくては、うまくコトは進まないでしょう...。

机上論では上手くいかないと思います。

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2009年6月 2日 (火)

すごい道具

800pxf22_raptor_at_2008_miramar_air 2009年6月2日 晴れのち曇り

暑い...です。

さて、日本が次期主力戦闘機として考えている(とされる)F-22ラプター。調べると、確かにすごい戦闘機のようです。開発コンセプトはfirst look, first shot, first killで相手に攻撃する暇を与えないということ...。高いステルス性はレーダーで監視した場合、小鳥と同じくらいにしか反応せず、機体を見つけることも、レーダーにて誘導される空対空ミサイルもほとんど役に立たないとされます。

そして、その分類は航空支配戦闘機というジャンルになるようです。

しかし、その調達費用はべらぼうに高く、1機あたり160億円程度であり、冷戦終結後の米国で景気後退の影響もあり、当初予定された調達数よりはるかに少ない機体で生産を中止しています。

生産する側(ロッキード・マーティン/ボーイング)としては、開発コストを回収する為には、もっと作りたいでしょうね....。日本やイスラエルなどに輸出できれば嬉しいはず。しかし、このような重要機密満載の機体は、そう簡単に輸出させてくれません。

米上院歳出委、空軍への輸出向けF22戦闘機開発の打診検討 6月2日13時16分配信 ロイター

魚拓

<以下、引用>

『米上院歳出委、空軍への輸出向けF22戦闘機開発の打診検討

6月2日13時16分配信 ロイター

 6月1日、米上院歳出委は輸出向けF22戦闘機の開発について空軍への打診を検討。写真はF22ラプター。嘉手納上空で1月15日撮影。提供写真(2009年 ロイター/Clay Lancaster, U.S. Air Force)
 [ワシントン 1日 ロイター] 米上院歳出委員会の防衛分科会は、ロッキード・マーチン<LMT.N>の最新鋭ステルス戦闘機F22の輸出向け機種の開発について、米空軍に実現性を調査するよう要請することを検討している。関係筋が1日、ロイターに明らかにした。
 同筋は匿名を条件に「少なくとも、2010年度予算案に、その可能性を探るとの文言が挿入される可能性はある」と述べた。
 ゲーツ米国防長官は今年4月に発表した2010年度の国防予算計画で、ミサイル防衛(MD)計画の縮小に加え、ロッキード・マーチンのF22戦闘機について、今年9月までの2009年度中に4機を発注した後は新規発注を停止する方針を示した。
 レキシントン・インスティテュートの防衛アナリスト、ローレン・ソンプソン氏によると、日本の防衛省は導入を計画している次期主力戦闘機(FX)として、F22戦闘機を40─60機購入することを希望している。
 主要な防衛関連会社数社のアドバイザーを務める同氏によると、日本は輸出向けの最新鋭戦闘機の開発費用としていくら拠出してもかまわないとの姿勢を示している。アナリストの試算では、高度な機密を要する部品を取り除くなどして輸出用の機種を開発するコストは約10億ドル。
 日本政府は、日本への攻撃を抑止するためにはF22のような戦闘機が必要だとしている。ソンプソン氏によると、北朝鮮のミサイル発射などの一連の挑発行為で、次期主力戦闘機の導入問題が再び注目されているという。
 米空軍は最近これまでの方針を翻し、F22戦闘機の輸出用機種の開発は不可能ではないとの姿勢を示した。ソンプソン氏によると、米上院歳出委員会の防衛分科会の議長を務めるダニエル・イノウエ上院議員は、F22戦闘機の日本への輸出を支持し、規制解除に向け努力しているという。
 ただ、米上院軍事委員会に以前補佐官としてかかわったグレッグ・キリー氏は、輸出に関する規制解除には約1年かかり、米国の軍事機密技術の輸出を禁止する法律の厳しいハードルを乗り越える必要があるため、日本への輸出に関する合意が承認されるにはさらに時間がかかるとの見方を示した。
 キリー氏は、こうした手続きの間にロッキードの生産を継続させるための資金の拠出には米議会の4つの委員会の賛成を得る必要があるが、こうした委員会内には、最近日本に対してF22戦闘機は輸出しないと言明したゲーツ国防長官に対抗する動きは今のところないと指摘。同氏は「F22戦闘機の輸出は実現しないと思われる」としている。

最終更新:6月2日13時16分』

<引用終わり>

すごい道具です。これを持てば、お隣の国から制空権を奪われることもないでしょう...。

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2009年6月 1日 (月)

バイオ燃料

2009年6月1日 晴れ
結構暑い一日でした。

今日は少し毛色の違うお話し。植物などから作るバイオ燃料は、もとが光合成によりつくられた物質であるため、それを燃焼しても理論的には地球上にCO2の増大をもたらしません。そのため、地球温暖化を促進させないとして、化石燃料に取り代わるべきとされています。しかし、バイオ燃料の目指すものは理解できますが、その方法を良く考えないといろいろと問題を起こすことになります。米国では食物であるトウモロコシなどを原料にして作るバイオエタノールは食材の高騰を招き問題化したこともありました。また、製造過程で出るCO2などもあり、全くCO2を増やさないバイオ燃料はありません。

原料とする作物により、投入したエネルギーと取り出せるエネルギーの比が違うようです。米国のトウモロコシの場合、投入量のエネルギーを1とすると取り出せるエネルギーは1.3とされ、生産時+使用時の温室効果ガスの排出量は化石燃料であるガソリンと比較して22%減少することが出来るようです。ブラジルのサトウキビにより作られるバイオエタノールは投入量のエネルギーを1とすると、取り出せるエネルギーは8とされ、温室効果ガスの排出量はガソリンにくらべ56%減少できます。

ブラジルのサン•マルチーニョ(バイオエタノール)工場では、サトウキビの残りかすを燃やし、行程で必要とする熱を得ており、電力会社による電気は全く使用していないようです。ここまですると、かなりCO2の排出量を減らすことは出来るでしょう。しかし、ブラジルのバイオエタノールも問題がない訳ではありません...。労働者の問題です。労働は過酷を極め、熱中症などで亡くなる労働者も結構いるようです。

バイオ燃料は地球温暖化に対する対策として有望なものでありますが、全く問題のない燃料ではないといえます。

<新日本石油>バイオガソリン大規模販売を開始…1都6県で 6月1日11時36分配信 毎日新聞
魚拓

<以下、引用>
『<新日本石油>バイオガソリン大規模販売を開始…1都6県で
6月1日11時36分配信 毎日新聞
 新日本石油は1日、関東1都6県のガソリンスタンド(計861カ所)で、植物からつくるバイオエタノールを混ぜたバイオガソリンの販売を開始した。温室効果ガスの排出削減に向けた取り組みで、バイオガソリンを大規模に販売するのは同社が初めて。同社は来年度以降、全国の店舗に広げる。

 バイオエタノールから合成した化合物「バイオETBE」をレギュラーガソリンに1〜8%混ぜたもので、走行性能や価格は従来のレギュラーと同じ。「環七堀之内サービスステーション」(東京都杉並区)では、のぼり旗やポスターで販売開始をPRし、ドライバーがセルフサービスで「環境にやさしい燃料」を次々に給油していた。

 石油業界では今年度中にバイオガソリンを20万キロリットル販売する計画。同社は4.7万キロリットルの販売を目指しており、二酸化炭素(CO2)の排出量を年間約3万トン減らす効果を見込む。【三沢耕平】』
<引用終わり>

ちなみに、米国ではガソリンとエタノールの混合比はガソリン:エタノール=15:85、ブラジルではエタノール100%の様です。1から8%というのは...混合比がちょっと低いようですが...車の問題もあるのでしょうか?

将来はもう少し効率的で食料に直接関係しないバイオ燃料が実用化されるべきです。一つは、『藻類』を利用したものです。米国では火力発電所から排出されるCO2を利用して藻類を人工的に栽培しバイオディーゼル燃料を作るといった実験も行われています。藻類は栽培に要する単位面積あたりの燃料生成が桁違いに多いのです。

ECO JAPAN リポート 技術事始/藻類から作るバイオ燃料 2009年4月20日
魚拓

<以下引用>
『ECO JAPAN リポート
技術事始/藻類から作るバイオ燃料
2009年4月20日
湖沼などで繁殖する微細な植物「藻類」を原料にしたバイオ燃料が世界中で注目を集めている。食料と競合せず、狭い面積で大量に培養できる点が特徴だ。軽油と同程度の価格にまで下げられる潜在力を秘める。
 トウモロコシやサトウキビなど、食料を原料にするバイオ燃料を第1世代とすれば、ジャトロファなどの草本や建築廃材(木材)、藻類など非食料を原料にするものは第2世代に当たる。第1世代が、食料価格の高騰を引き起こしたとして、国際社会の批判を浴びたことで、第2世代の開発競争が加速している。
 中でも藻類が優れているのは、狭い面積でも大量に油が採れることだ。下の表のように、大豆は1ha当たり446Lしか油を生産できないが、藻類なら9万8500Lとけた違いに多い。バイオ燃料は、ガソリン代替のバイオエタノールと軽油代替のバイオディーゼルに大別されるが、藻類を原料としたバイオ燃料はバイオディーゼルに含まれる。
 米国では藻類を原料にしたバイオ燃料を開発するベンチャー企業が続々と登場。研究室レベルのものから、大規模な培養を試みるものまで様々あるが、実用化は5〜10年後といわれる。すぐにビジネスになるような話ではないが、産業界の藻類への関心は並々ならぬものだ。
 CO2削減を迫られる航空業界では、米ボーイングの航空機に藻類から作ったバイオ燃料を搭載した飛行試験が相次いでいる。従来のジェット燃料にバイオ燃料を20〜50%混ぜる。約1%が米サファイアエナジーが生産した藻類によるバイオ燃料だという。ある関係者は、「航空だけでなく、化学や食品、重工業、医薬など、幅広い業界が藻類に触手を伸ばしている」と明かす。』
<引用終わり>

地球温暖化に対する切り札として、藻類を原料としたバイオ燃料が実用化されることを望みます。このような新しい技術の実用化は少し楽しみでもあります。

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