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2009年5月 9日 (土)

新型インフルエンザに思う

2009年5月9日 晴れ

風は少し強め。身辺はまだまだ騒がしいようです。でも、少しづつ、また書き始められたらと思います。

さて、今回の新型インフルエンザ。メキシコの豚から由来したと思われるH1N1亜型が急速に世界中に広まっています。それまでの洞察では、高病原性鳥インフルエンザのH5N1亜型が変異し、ヒト→ヒト感染を効率的に起こすようになり、急速に世界中に広まるといった見方もありました。そして、その場合、非常に病原性が高く、死亡率が最悪60%に上るとの見方もありました。しかし最近では、これまでかなりの数の鳥からヒトへの感染が起こり、わずかにヒト→ヒト感染がみられましたが、密接な接触のある血縁のグループにしかヒト→ヒト感染が起こっていないことなどから、このH5N1亜型は効率的にヒト→ヒト感染を起こすように変異しにくい株であろうとの観測が世界のインフルエンザ専門家の間に流れていました。そして、今回のH1N1亜型。幸いなことに、H5N1に比較して毒性はかなり低く、診断の遅れや併存する慢性疾患がなければ、キチンとした治療がなされれば、病勢はコントロール可能なものであると感じます。

しかし、Aソ連型と呼ばれる、季節性インフルエンザ:H1N1亜型とはかなりの遺伝子相違がみられ、過去にAソ連型に罹患して免疫を獲得していても、感染は免れることはない、そして、症状も重篤になりやすいものと考えます。

疑い症例の初診医療機関(いわゆる発熱外来)では、PPE: Personal Protective Equipment. 個人防護衣をつけての診療が行われます。これは、帽子2枚、ゴーグル、N95マスク、手術衣の上にガウン、シューズカバー、ゴム手袋2枚というような、映画『アウトブレイク』のワンシーンを彷彿とさせるような出で立ちです。着衣が終了するまでおそらく20分近い時間が必要ではないか?と....。当然、pandemicになり、凄まじい数の患者さんが発生した場合は、このようなPPEを各々の患者さんごとに新しいものに替えていくことは不可能になります。(もちろん感染の拡大がコントロールされているフェーズであれば、意味があります。)

ある先生の書かれた総説を読むと...。『新型インフルエンザは発生すれば、半年から数年の間に、ほとんどのヒトが罹患する病気である。もちろん感染拡大を阻止し、ワクチンなどの生産の時間を稼ぐことは有効なことであるが、大量に発生した患者さんを診療する医療体制を構築することが最も肝要である。』てなことが書かれていました。新型インフルエンザと聞くと、医療機関としてはひょっとすると『かかわり合いになりたくない』という感情が生じても仕方がないのかもしれません。そして、実際に診療の拒否に準ずる事案も生じているようです。

医療レベルでいうと、先進国に入ると思われる我が国。大量に発生した新型インフルエンザの患者さんに対して、施せる医療を行うべきです。そうすれば、新型インフルエンザでの死亡も、限りなく少なくできると思われます。

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