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2009年5月31日 (日)

『プライベート出産』というコトバ

2009年5月31日 晴れ
適度に風があり、心地よい一日でした。

助産所での分娩をすべて否定するつもりはありませんし、通常の分娩であれば、問題なく、そして、妊婦さんにも望まれる『自然な』お産をすることが出来ると思います。しかし、お産は時として突然に異常分娩へと移行し、分単位での対応を求められることもあります。私も、一時期は周産期に関わっており、緊急帝王切開で産まれた児がApgar 1点/1分などというような状況も経験したことがあります。

その場合、新生児科医がそばについていて、新生児の蘇生を行わなければ、その児は救命できなかった可能性もあるし、重篤な後遺症をのこした可能性もあるでしょう。母体についても、常位胎盤早期剥離という赤ちゃんがまだ産まれる前に胎盤が子宮の内側からはがれてしまうという重篤な病態がありますが、これは適切に処置しないと母体の死亡にもつながります。そして、その発生率は約1%程度と見積もられています。

最近知ったコトバに『プライベート出産』という新しいコトバがありますが...。これは、産科医、助産師などの医療従事者の手を借りずに、分娩のすべてを自分たちで行うという『無介助分娩』を指しているものと思われます。分娩は人間として上手く進んで当たり前の生理的現象なのだから、医療の手を借りなくても自分たちでできるし、昔からそういうしきたりでやってきた。という考えかたが基礎にあるのでしょうね...。でも、分娩の場から医療者を締め出してしまうということは、日本のコレだけ進歩した周産期医療の恩恵を賜ることを自ら否定したということになります。

もし、産まれた赤ちゃんが重症仮死で蘇生をしなければ救命できない、あるいは重篤な後遺症を残したとなればどうでしょうか?特に自宅での無介助分娩で、それが起こったならば産まれた児を救うことは限りなく難しいでしょう。また、分娩後の出血が異常に多く、母体がショック状態になった場合はどうでしょう。これも、救命できる可能性を絞ることになります。

御自身の判断で、『プライベート出産』を選択されることを妨げるものではありません。しかし、お産は100%安全なものでなく、時には異常分娩へ移行し、分単位の対応で母体と新生児の生命を救う努力をしなければならないこともあるということを十分に理解した上で選択しなければなりません。

プライベート出産:助産院は安全?にこのことについての議論があります。

どうか、これからお産をされる方々に、正確な周産期医療の情報が周知されるよう願っております。

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