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2009年5月

2009年5月31日 (日)

『プライベート出産』というコトバ

2009年5月31日 晴れ
適度に風があり、心地よい一日でした。

助産所での分娩をすべて否定するつもりはありませんし、通常の分娩であれば、問題なく、そして、妊婦さんにも望まれる『自然な』お産をすることが出来ると思います。しかし、お産は時として突然に異常分娩へと移行し、分単位での対応を求められることもあります。私も、一時期は周産期に関わっており、緊急帝王切開で産まれた児がApgar 1点/1分などというような状況も経験したことがあります。

その場合、新生児科医がそばについていて、新生児の蘇生を行わなければ、その児は救命できなかった可能性もあるし、重篤な後遺症をのこした可能性もあるでしょう。母体についても、常位胎盤早期剥離という赤ちゃんがまだ産まれる前に胎盤が子宮の内側からはがれてしまうという重篤な病態がありますが、これは適切に処置しないと母体の死亡にもつながります。そして、その発生率は約1%程度と見積もられています。

最近知ったコトバに『プライベート出産』という新しいコトバがありますが...。これは、産科医、助産師などの医療従事者の手を借りずに、分娩のすべてを自分たちで行うという『無介助分娩』を指しているものと思われます。分娩は人間として上手く進んで当たり前の生理的現象なのだから、医療の手を借りなくても自分たちでできるし、昔からそういうしきたりでやってきた。という考えかたが基礎にあるのでしょうね...。でも、分娩の場から医療者を締め出してしまうということは、日本のコレだけ進歩した周産期医療の恩恵を賜ることを自ら否定したということになります。

もし、産まれた赤ちゃんが重症仮死で蘇生をしなければ救命できない、あるいは重篤な後遺症を残したとなればどうでしょうか?特に自宅での無介助分娩で、それが起こったならば産まれた児を救うことは限りなく難しいでしょう。また、分娩後の出血が異常に多く、母体がショック状態になった場合はどうでしょう。これも、救命できる可能性を絞ることになります。

御自身の判断で、『プライベート出産』を選択されることを妨げるものではありません。しかし、お産は100%安全なものでなく、時には異常分娩へ移行し、分単位の対応で母体と新生児の生命を救う努力をしなければならないこともあるということを十分に理解した上で選択しなければなりません。

プライベート出産:助産院は安全?にこのことについての議論があります。

どうか、これからお産をされる方々に、正確な周産期医療の情報が周知されるよう願っております。

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2009年5月29日 (金)

予想された展開

2009年5月29日 曇り時々晴れ
そう暑くもなく、比較的過ごしやすい一日でした。

さて、インフルエンザウイルスの感染力は、その置かれている環境に左右されます。より、低温で湿度が低い状態で感染力は増すようです。つまり、冬期に流行するのも理解できます。また、周知の事実ですが、地球の北半球と南半球では季節は逆になり、現在の南半球は冬です。

先日来、中米から北米、欧州、アジアなどの北半球を席巻した新型インフルエンザA/H1N1ですが、徐々に南半球に蔓延。大流行を引き起こしているようです。そして、北半球が冬になれば、再び大きな波が日本を襲うのでしょう。これは、予想された展開です。しかし、その間に毒性が増さなければいいのですが....。

新型インフル感染、冬迎えた南半球の豪州・チリで急増 2009年5月29日(金)20時40分配信 読売新聞
魚拓

<以下、引用>
『新型インフル感染、冬迎えた南半球の豪州・チリで急増
2009年5月29日(金)20時40分配信 読売新聞

 【シドニー=岡崎哲】オーストラリア保健省は29日、国内の新型インフルエンザ感染者数が209人になったと発表した。25日時点の20人から、4日間で一気に増えた。

 南米チリでは28日、感染者が南米最多の199人になった。同国で最初の感染例が出たのは17日で、10日余で著しく増加した。冬季を迎えている南半球の両国での急増ぶりが際立つ。

 チリ保健省によると、通常の季節性インフルエンザ感染者は例年と比べて極端に少なく、「新型」感染者がインフルエンザ感染者全体の9割に当たる。新型ウイルスが季節性ウイルスを押しのけている可能性があるという。』
<引用終わり>

いままでの季節性インフルエンザが新型にとってかわり、大流行を引き起こします。ほとんどのヒトは新型に対する有効な抗体を持ち合わせません。特に若年の方々がそうです...。ごくわずかな接触でも、感染が成立するため、爆発的に感染が拡大します。現在のところ毒性は低く、その致死率は季節性インフルエンザと遜色ないようですが、大量に感染が拡大すると、死亡数は比例して多くなります。

また、爆発的に流行すると、適切な医療を提供できなくなる可能性があり、重症者をキチンと診れる体制を作っておかなければなりません。

南半球の状況を勘案すると、ワクチンは新型を含んだものを季節性のものより多く作る必要がありそうです。

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2009年5月28日 (木)

上手くいくかな??

2009年5月28日 雨
日差しのない分、涼しい一日です。

さて、医療費亡国論から幾久しく...。国の政策により、医師定員は低く維持されてきました。OECD各国の中で人口あたりの医師数は下から数えた方が早い順位となります。また、勤務医と比較して開業医のQOLが高い中で、病院勤務医は徐々に減少。もともと医師不足の状況の中、勤務医から開業医へのシフト、勤務のきつい専攻科目から比較的勤務しやすい診療科へのシフト。さらに、新臨床研修制度により、大学病院から有名な都会の市中病院へと医師の流れが起きました。地域を支える病院は現在、医師を招聘することができない状況に追い込まれています。

熊本県山鹿市のお話....
山鹿市 市立病院の医師不足解消 医学生に奨学金制度 予算案提案へ 10年勤続で返済免除 5月28日7時8分配信 西日本新聞
魚拓

<以下引用>
『山鹿市 市立病院の医師不足解消 医学生に奨学金制度 予算案提案へ 10年勤続で返済免除
5月28日7時8分配信 西日本新聞
 山鹿市は27日、山鹿市立病院の医師不足を解消するため、大学の医学部1年生を対象にした奨学金制度を創設すると発表した。卒業後、同病院に10年間勤務すれば、返済を全額免除する。県内の市町村で初の試み。関連条例案と1000万円の予算案を6月1日に開会する定例議会に提案する。可決されれば、7月にも募集を始める。

 市健康増進課によると、入学金(限度額100万円)と授業料(年間限度額150万円)、生活費(月額7万5000円)を卒業までの最長6年間、学生に貸す。学生は卒業後2年以内に医師免許を取得し、市立病院に10年間勤務すれば、返済を免除。他の病院に勤務した場合は5%の利息を含めて一括返済しなければならないとしている。

 募集定員は3人、年齢や出身地は問わない。選考は市立病院の病院幹部や市職員が行う。

 市立病院には診療科が10科あり、常勤医は15人。小児科は現在、非常勤医による週2回の診療のみ、産婦人科も休診が続いている。同病院は「地域医療を守るには約20人の常勤医が必要。時間はかかるが、確実な医師確保につなげたい」としている。

 県医療政策総室によると、同様の奨学金制度を設けているのは全国で13市あり、九州は大分県中津市が導入済み。

=2009/05/28付 西日本新聞朝刊=』
<引用終わり>

このような、奨学金制度は自治医科大学を手本にしていると思います。自治医科大学では貸与される金額は2000万円を超え、金利は利息制限法いっぱいの利息がつきます。在学期間の1.5倍、出身都道府県の意向に添って勤務すると、その時点で、返還を免除されるということになります。

僻地診療所なども派遣先となるため、総合的な力を要求されます。そして、現在の専門分化した医療体系の中では、『取り残された』感覚を味わうこともあります。この感覚は、お金では購うことのできないものであり、そのため、義務年限の途中で辞める事例も結構な頻度でみられます。

「卒業後、同病院に10年間勤務すれば、返済を全額免除する。」ということでありますが、この施設が十分に魅力的な場所であり、返還を免除されるまで勤務されればいいのですが....。なかなか、全例そう上手くいくとは...考えにくいところです。

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2009年5月27日 (水)

新型インフルエンザA/H1N1への対応

2009年5月27日 雨
久しぶりの雨です。少し雷も...。

さて、教えていただいた情報。乳児小児が新型インフルエンザに罹患した場合の対応についてCDCがまとめています。

小児における新型インフルエンザ A (H1N1)ウイルス感染に対する予防と治療の暫定的手引き
魚拓

<以下、引用>
『小児における新型インフルエンザ A (H1N1)ウイルス感染に対する予防と治療の暫定的手引き アメリカ東部時間2009年5月13日午後3時30分 CDC(原文)

 本文書は、新型インフルエンザA(H1N1)ウイルス感染の小児を治療する臨床医に対する暫定的手引きを提供する。さらなる情報が利用可能になると、本手引きは改訂される可能性がある。

乳幼児・小児と新型H1N1ウイルス

 現時点では、流行している新型インフルエンザA(H1N1) ウイルスが子どもに感染を起こした場合どのような影響をもたらすのかについては、詳しくは判っていない。しかし、季節性インフルエンザ、過去のパンデミックの経験から、5歳以下の乳幼児および医学的に高危険群にある小児では、さまざまなインフルエンザ合併症の発現に気を付ける必要がある。5歳以下の乳幼児のうち、季節性インフルエンザで重篤な合併症を起こす危険性が高いのは、とくに2歳以下の乳幼児である。

 子どもの場合には、インフルエンザの病状は他の呼吸器ウイルス感染による病状と、臨床症状からだけでは区別が付けにくい。成人に比べると、子どもでは典型的なインフルエンザ症状(例えば、発熱と咳)が発現しにくく、幼児では発熱とむずかるだけで受診することが多く、咳や他の呼吸器症状を呈することがないこともある。

 子どもではインフルエンザに関連した死亡例は、少数ではあるが季節性インフルエンザでもあり、全米で年間およそ92例である。インフルエンザとブドウ球菌、とくにMRSAの重感染による死亡例は子どもでも時折みられてきた。

重篤例にみられる症状

1.無呼吸
2.多呼吸
3.呼吸不全
4.チアノーゼ
5.脱水
6.意識状態の変化
7.著しい易刺激性

発達障害の子ども、および慢性疾患をもつ子ども

 ある群の子どもは、インフルエンザ感染に伴う合併症の危険に晒される。2003-2004年シーズンの季節性インフルエンザで死亡した153例の子どもの検討では、33%は基礎疾患をもっており、このような子どもはインフルエンザ関連合併症をきたす危険性が高く、20%は他の慢性疾患があり、47%は罹患前には健康な子どもであった。慢性神経疾患、神経筋疾患は全体の約1/3に及んでいた。

 他に、6ヶ月未満の乳児、免疫抑制状態にある子ども、妊婦、慢性腎疾患、心疾患、HIV/AIDS、糖尿病、喘息とその他の呼吸器疾患、鎌状赤血球症、慢性疾患で長期にわたりアスピリンを使用している子どものすべてが高危険群に入る。さらに、呼吸機能に影響を与えるさまざまな疾患、例えば知的障害や発達障害、脳性麻痺、脊髄神経障害、痙攣性疾患、代謝性疾患、その他の神経筋疾患などの子どもは、高危険群としてよい。

 その他、合併症の危険性が高くなる子どもとしては、栄養障害のある子ども、長期間嘔吐と下痢を繰り返し補充液を飲用している子ども、また代謝性疾患のひとつである中鎖acyl-CoA dehydrogenase (MCAD)欠損症で長くは絶食状態が続けられない子どもなどが挙げられる。神経系疾患、代謝性疾患をもつ子どもの多くは、自分から体調が悪い、悪くなってきたと申告できないので、インフルエンザ感染の診断が遅れ、合併症が加わりやすいことになる。さらに、HIV感染の子どもで抗レトロウイルス薬を服用してこなかった子どもを対象とした検討で、インフルエンザはもっとも重篤な疾患で、入院を余儀なくされていた。この場合、細菌感染の頻度は非HIV感染児に比べてより高いものであった。

子どもについての特別な配慮

 アスピリンやアスピリンを含有する薬剤(例、サルチル酸ビスマスーPepto Bismol)は、新型インフルエンザ A (H1N1)の確定例、疑診例のいずれでも、18歳以下の子どもには処方してはならない。Reye症候群併発の可能性があるからである。解熱のためには、他の解熱剤、アセトアミノフェンまたは非ステロイド抗炎症剤が推奨される*。

 4歳以下の子どもでは、まずヘルスケア・プロヴァイダー(日本では小児科医)に相談し、勝手に市販の風邪薬を服用させてはならない。

 *註:わが国では、ボルタレン、ポンタールの使用が禁止されている。

新型インフルエンザ A (H1N1)ウイルスの抗ウイルス剤による治療と予防

 この新型インフルエンザ A (H1N1)ウイルスは、抗ウイルス薬、ザナミビルとオセルタミビルなどのニューラミダーゼ阻害剤に感受性がある。しかしアマンタジンやリマンタジンには抵抗性である。

 新型インフルエンザ A (H1N1)ウイルス感染の治療と予防に、オセルタミビル、ザナミビルが使用できる。ウイルス薬を使用する際には、”CDC: current recommendations”を参照のこと。抗ウイルス薬を推奨するかどうかは、抗ウイルス効果、副作用、ウイルスの薬剤感受性などの変化により変更されていく。現時点での情報は、”CDC: side effects associated with oseltamivir and zanamivir”を参照のこと。

治療

 新型インフルエンザ A (H1N1)ウイルス感染の抗ウイリス治療には、オセルタミビルか、ザナミビルが推奨される。これまでは、1歳以上の子どもの治療にはオセルタミビルが承認されてきた。新型インフルエンザ A (H1N1)ウイルスに感染した1歳以下の乳児に対しても、最近緊急処置としてオセルタミビル治療が承認された(Emergency Use Authorization; EUA)。オセルタミビル量は、1歳以上の子どもでは体重により決め、1歳以下の子どもでは月齢により決める。ザナミビルは7歳以上の子どもで承認されており、吸入法が用いられる(表1)。

 ザナミビル、オセルタミビルによる治療は、症状のはじまりとともにできるだけ早く開誌すべきである。季節性インフルエンザでの検討によると、治療効果は病状を認めてから48時間以内に開始するのがもっとも効果的である。しかし、季節性インフルエンザでの他の検討によると、病状を発してから48時間以降に治療を開始した場合でも、死亡率の低下、入院期間の短縮などの点で効果が認められている。治療期間は5日間が推奨されている。

1歳以下の乳児の治療(表2)

 1歳以下の乳児は、1歳以上の子どもの場合と比べて、通常の季節性インフルエンザでは併発症に関して高危険群に入る。とくに6ヶ月未満の乳児のインフルエンザ合併症の併発の危険性は高い。1歳以下の乳児は、過去のパンデミックの折にも併発症の危険性が高かったことが知られている。1歳以下の乳児の季節性インフルエンザ治療におけるオセルタミビル、ザナミビルの使用に関して安全性データは限られているが、少なくとも重篤な有害事象はきわめて稀である。

 新型インフルエンザA (H1N1)感染を起こした1歳未満の乳児のオセルタミビル治療は、EUAの承認の下、最近FDAによる承認も得られた。使用量は月齢から決める。”CDC guidelines for treatment guidance in this age group”を参照のこと。またEUAに”ついての情報は、”Emergency Use Authorization of Tamiflu (oseltamivir)”を参照。

抗ウイルス薬による予防(表3)

 新型インフルエンザ A (H1N1)感染に対する抗ウイルス薬による予防には、オセルタミビルかザナミビルが推奨される。オセルタミビルは、1歳以上の子どもには承認されている。しかし1歳以下の乳児にも、EUAの承認の下に新型インフルエンザ A (H1N1)感染の予防にオセルタミビルを使用することはできるが、EUAは、予防投薬について3ヶ月未満の乳児例には、状況が命に関わるとの判断がなければ適用されないとしている。1歳以上の子どもの使用量は体重により決め、1歳以下の乳児の使用量は月齢で決める。ザナミビルは5歳以上の子どもに予防投薬が承認されている。

 ウイルスに暴露後の予防投薬期間は、新型インフルエンザA (H1N1)ウイルス感染が確定し病状の悪化した例に遭遇した日から10日間である。かなり限られた場合ではあるが、抗ウイルス薬は感染例に暴露される前の予防にも用いることができる。詳しくは”CDC: anti-viral guidance link”を参照のこと。

健康を維持するための一般的注意

 新型インフルエンザ A (H1N1)ウイルスの感染を特異的に予防するワクチンは、まだ入手できない。多くの子どもが毎年秋~冬に行っている季節性インフルエンザが、この新型インフルエンザA (H1N1)ウイルスに対しても、そこそこの予防効果があると期待するのは難しい。しかし部分的にせよ効果があるかどうかの検討は始まっている。

 父母と介護者には、その子どもの他のワクチンが予定通り済んでいるかどうかを確かめることにより子どもの健康を維持することの方が重要である。HIV/AIDSなど、治療を必要とする慢性疾患をもつ子どもの父母は、個別の疾患の治療薬をきちんと服用しているかどうかをぜひ確かめてほしい。

子どもを診ている診療所小児科医へのメッセージ

 その子どもの家族が電話で相談をしてきたときのために、health care providerが使用できる3-5分のショート・メッセージを用意していただきたい。その折には、新型インフルエンザ A (H1N1)の基本的知識、緊急対応するべき状況とは?、子どもの健康を維持する方法は?、詳しい情報を得るための手段などについても述べていただきたい。

他のガイダンス情報

一般
在宅の病児のケア
臨床医向けのガイダンス
抗ウイルスガイドライン

表1:オセルタミビル、ザナミビルの推奨された治療量・予防量
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*いずれもCDC: H1N1 Flu; “Interim Guidance on Antiviral Recommendations for Patients with Novel Influenza A (H1N1) Virus Infection and Their Close Contacts”より引用。』
<引用終わり>


新型インフルエンザに罹患した小児は特に2歳以下や慢性疾患を抱える児などについて重篤な経過をとることも予測され、オセルタミビルなどで治療すべきであるということでしょうね...。アスピリン、ジクロフェナク(ボルタレンなど)、メフェナム酸(ポンタールなど)は処方しないようにしましょう。解熱には、アセトアミノフェンを使います。

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2009年5月26日 (火)

なぜ、蔓延しないのか?

2009年5月26日 晴れ
やや雲の多い一日でした。雨は降らず、蒸し蒸しして暑かった。

さて、高病原性鳥インフルエンザH5N1のお話し。(現在流行中の新型インフルエンザA/H1N1とは異なります)

これだけの数、鳥に蔓延し、鳥からヒトへの感染がみられ、密接に関係するヒト→ヒトへの感染は確認されているが、大規模なパンデミックに発展しないのは、何故か?その一つの答えになるでしょう。

鳥インフルエンザウイルスにとってヒトの鼻腔は寒すぎる
魚拓

<以下、引用>
『鳥インフルエンザウイルスにとってヒトの鼻腔は寒すぎる

 鳥インフルエンザ(H5N1)ウイルスにとって、ヒトの鼻腔内は温度が低すぎることが明らかにされた。このウイルス株がこれまでヒトの間で拡大しにくかったのはそのためではないかと科学者らが報告している。

 英インペリアル・カレッジ・ロンドンおよび米ノースカロライナ大学の研究グループによると、鳥インフルエンザウイルスは40℃前後の鳥の消化管内で増殖するが、通常ヒトへの最初の感染部位である鼻腔内の温度は約32℃である。実験の結果、この低温の環境では鳥インフルエンザ株は成長および増殖することができず、近辺の細胞を効率的に死滅させることもできないことが示されたという。

 また、研究チームがヒトインフルエンザウイルスに鳥インフルエンザ株由来の蛋白(たんぱく)を追加して特殊な突然変異ウイルスを作製したところ、この株も32℃では生存および成長が困難であった。このことから、鳥インフルエンザウイルスがヒトの鼻腔に容易に感染するには少なくとも2回以上の変異が必要であることが示されるという。この知見は、オンライン医学誌「PLoS Pathogens(病原体)」5月15日号に掲載された。

 「鳥インフルエンザウイルスは常にどこにでも存在するが、パンデミック(世界的流行)を引き起こすのは一定の変化を経た場合に限られる」と、著者の一人であるインペリアル・カレッジ・ロンドンのWendy Barclay氏は述べている。今回の研究は、インフルエンザウイルスがヒトに感染するために必要な変異について重要な手がかりを示すものであり、パンデミックを生じるウイルスを特定するのに役立つものだという。なお、鳥インフルエンザウイルスは、現在脅威をもたらしている新型インフルエンザ(ブタswine由来インフルエンザA/H1N1)ウイルスとは異なる。

(HealthDay News 5月15日)』
<引用終わり>

鳥の体温は一般にヒトよりも高いです。ヒトの深部体温は36から37℃程度。鳥の消化管は40℃に及びます。それに対して、侵入門戸となる鼻腔内の温度は32℃。これが、侵入を妨げる防御壁となっていたとしても論理的におかしくはありません。また、H5N1は迅速診断キットにおいて、鼻腔からの検体には反応しにくい特性もあります。その理由は、H5N1は鼻腔、咽頭では増殖しにくく、気管支•肺などで増殖するからだとされています。ウィルスの特徴として、低温での増殖が抑制されるとすれば、これも納得がいくところでもあります。

H5N1が現在の毒性のまま、低温でも活発に増殖する能力をつけたとき、それが恐ろしいといえます。

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2009年5月25日 (月)

脅威

2009年5月25日 曇り
そう暑い一日ではありませんでした。

既に、日本は射程内となっています。

国際社会、一斉に非難=長崎原爆並みの威力か−短距離ミサイルも発射・北核実験 5月25日20時18分配信 時事通信
魚拓

<以下、引用>
『国際社会、一斉に非難=長崎原爆並みの威力か−短距離ミサイルも発射・北核実験
5月25日20時18分配信 時事通信
 【ソウル25日時事】北朝鮮が25日、核実験を強行したことを受け、日米韓など国際社会は「国際平和と安全の脅威」(オバマ米大統領)、「世界の平和と安定に対する深刻な脅威で重大な挑戦」(韓国政府)などと一斉に非難の声を上げた。国連安全保障理事会は日本時間26日午前に緊急会合を行い、対応を協議する見通しで、北朝鮮への新たな制裁措置を定めた新決議採択も視野に各国の外交的駆け引きも本格化しそうだ。
 韓国合同参謀本部によると、北朝鮮はさらに咸鏡北道舞水端里から1発、江原道元山周辺から2発の短距離ミサイルを日本海に向けて発射した。核実験は咸鏡北道吉州地域の地下実験場で行われ、2006年10月の前回核実験よりも大きな爆発があったとみられる。ロシア国防省当局者は爆発の規模について「10−20キロトン」と最大で長崎原爆並みの威力だったとの見方を明らかにした。
 北朝鮮は事前に米国や中国などに実験の実施を事前通報していたとされる。ただ中国外務省も「国際社会の反対を無視して再び核実験を行った」と「断固として反対する」との声明を発表、国際社会の懸念に同調した。ロシア外務省も決議違反と非難した。
 今後は安保理での協議に焦点が移るとみられるが、北朝鮮の友好国である中ロは厳しい対抗措置には難色を示すことも考えられ、新決議採択の場合には調整が難航することも予想される。』
<引用終わり>

アラスカまで届くロケット技術、キチンと核爆発を起こし制御できる技術。これが合わさると、大陸間弾道弾を作ることができます。この脅威を使って、かの国は世界を脅し続けるでしょう...。自分たちの利益を求めて...。

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2009年5月24日 (日)

使ってはいけない...????

2009年5月24日

本日、2稿目です。

NPO法人医薬ビジランスセンター(薬のチェック) 浜 六郎先生から、2009年5月22日付けで以下の文書がHPに公開されています。

産婦人科医会に再考を求める:タミフルを妊婦に使用すると流産、胎児/新生児死亡、妊婦自身の危険が増大
魚拓

要約すると、『新型インフルエンザに感染した妊婦の治療において、タミフルを使用すると胎児、新生児の異常が現れる可能性があり、妊婦自身の危険性が増大します。よって、使用するべきでない(というより使っちゃいけません。)』ということの様です。

いろいろと、論文などを挙げて論じておられますが...。実際の臨床において、妊婦に新型インフルエンザが感染すると致死率が高いようだ、また、流産する可能性も高くなるということはほぼ周知し理解されているところであります。

今回の新型インフルエンザはH5N1ほどではないにしろ、通常の季節性インフルエンザに比較して数倍の致死率をもっていると思われます。死に至る可能性の高い妊婦さんに、治療手段があるとすればこのタミフルであろうと考えられますが、それを妊婦さん、あるいは、その御家族の方に告知した上で、タミフルを使うなということであれば相当...酷ですね。

この浜先生にお聞きしたい。死に至る可能性の高い妊婦さんに、あなたはタミフルを使用しませんか?そして、その妊婦さんが亡くなられたときにどのように思われますか?

私であればタミフルを使用すると思います。

(追記)

イギリスのブラウン首相の妻であるサラさんはWHOの年次総会で「妊婦の死亡率を下げるため母親の保健向上に努めよう」と訴えています。

【外信コラム】ロンドンの甃 妊婦に迫る危険 2009.5.22 03:04
魚拓

<以下、引用>
『【外信コラム】ロンドンの甃 妊婦に迫る危険 2009.5.22 03:04
このニュースのトピックス:新型インフルエンザ
 ブラウン英首相の妻、サラさんがスイス・ジュネーブで開かれている世界保健機関(WHO)の年次総会に出席し、妊婦の死亡率を下げるため母親の保健向上に努めようと訴えた。
 妊婦は胎児に対する拒絶反応を起こさないよう免疫力が低下しているため、季節性インフルエンザにかかった場合でも、合併症を起こして重症になる危険性がある。妊娠中は使える薬も限られている。
 WHOのマーガレット・チャン事務局長は「新型インフルエンザの妊婦死亡率はすでに許容できるレベルではない」と注意を促した。
 田代真人・国立感染症研究所インフルエンザウイルス研究センター長によると、新型インフルエンザの致死率は推定0・2~0・4%と弱毒性だが、免疫力が落ちた妊婦には200倍の毒性を持つと考えられ、強毒性の鳥インフルエンザ並みの脅威となる。特に新型インフルエンザは感染力が強いだけに要注意だ。
 日本産婦人科医会は、妊婦が新型インフルエンザに感染した場合、抗ウイルス薬タミフルやリレンザの使用を勧める通達を出した。
 日本では妊婦に対するインフルエンザワクチン接種について調査が十分に行われていない。しかし、特別な副反応の報告はなく、今回の新型インフルエンザを機に日本国内での議論を急ぐ必要があるだろう。妊娠中の母親はすでにパンデミック(世界的大流行)の危険にさらされている。(木村正人)』
<引用終わり>

妊婦には200倍の毒性を持つとされてますね...タミフルを使用しないで、この200倍の危険を放置せよというのでしょうか?浜先生は....。

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パンデミックワクチン

2009年5月24日 晴れのち曇り

いまにも降りそうな雲行きです。

さて、今回の新型インフルエンザ(A/H1N1)に対するパンデミックワクチンの候補株がCDCに納入されたようです。早ければ、7月からワクチン製造に入れるかも...との推測です。

新型インフル、7月にもワクチン量産可能か CDC

魚拓

<以下、引用>

『新型インフル、7月にもワクチン量産可能か CDC

(CNN) 米疾病対策センター(CDC)は22日、新型インフルエンザ(H1N1型)のワクチンとして使えるウイルス株の候補を、ニューヨークの研究機関から受け取ったと発表した。早ければ今月中にもワクチン向けの株を選び、製薬会社に渡せるとしている。最短では6月中旬から下旬にかけて治験用のワクチンができる見込みで、7月には量産が可能になるとしている。

新型インフルエンザのウイルス開発に向けては、韓国・忠南大学の徐相熙教授が候補株を発見したと主張していたが、CDCの広報担当トーマス・スキナー氏は、徐教授の使った手法では有効なワクチンを製造できないと述べている。

候補株はニューヨーク医科大学の研究室が送付した。同大学でウイルスを研究しているドリス・ブシェール氏は21日、CNNに対し、候補となる4株をCDCに送る準備を終えたと述べていた。』

<引用終わり>

1918年のスペイン風邪のときにはインフルエンザの正体もわからず、もちろんワクチンもありませんでした。医療の発達はめざましく、このような対策をとることで、第2波、第3波を迎え撃つことができ、致死率の上昇を最小限にすることが期待されます。

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2009年5月22日 (金)

H5N1の動向

2009年5月22日 晴れ
ジリジリ暑い一日です。

世間では新型インフルエンザ(A/H1N1)の話題にあふれています。このウィルスは現在のところ、感染力は非常に強いのですが、毒性は弱く通常の季節性インフルエンザと比較してもあまり危機的な状況を生じさせていないと考えられます。しかし、慢性の心肺疾患を抱える方々、妊婦においては適切な治療がなされない場合、生命を脅かすような転帰をとることがみられるようです。

今回の騒動が始まる前、次の新型インフルエンザは高病原性鳥インフルエンザであるH5N1亜型が効率的にヒト→ヒト感染するように変異して、人類に広がり、凄まじい災禍となると予想されていました。現在のH5N1での死亡率は50%を超えるというように理解されており、効率的にヒト→ヒト感染するようになれば、それこそ、ものすごく恐ろしいウィルスとなるとされています。

世界中を新型インフルエンザ(A/H1N1)が席巻していますが、その陰にかくれて、エジプトなどではH5N1の感染事例が報告されています。そして、鳥に結構な頻度でこの高病原性鳥インフルエンザH5N1は感染しているようです。

5月15日のWHO報告。  魚拓

<以下引用>
『WHO 更新情報
  鳥インフルエンザ-エジプトにおける状況-更新15
      2009年5月15日 WHO(原文)


  エジプト保健省は、鳥インフルエンザの新たな確定ヒト症例を報告した。症例は、Sohag行政地区、Tama地区の5歳の女児である。女児は5月7日に発症し、5月9日にSohag発熱病院に入院し、オセルタミビル投与を開始された。女児の容態は安定している。

 症例は、エジプト中央公衆衛生研究施設において2009年5月10日に確認された。

 感染源に関する調査によると、弱った家禽や死んだ家禽に対する濃厚な接触が指摘されている。』
<引用終わり>

鳥からヒトへの感染事例です。まだ、ヒト→ヒト感染は効率的には生じていません。一説には、H5N1は効率的にヒト→ヒト感染を生じるように変異しにくいとされています。しかし、時間が経つとどうなるかはわかりません。また、感染事例も早期発見がなされ、ノイラミニダーゼ阻害剤を投与すると効果が期待できるようです。最近になりエジプトの死亡率は低下してきています。

このH5N1がパンデミックになった場合は、本当に恐ろしい。現在の新型インフルエンザの脅威は吹き飛ぶくらいです。

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2009年5月21日 (木)

対立構造はどうして作られたか?

2009年5月21日 曇りのち雨

すごく強い風が吹いた後、雷雨でした。湿度、気温ともに高く...インフルエンザの流行も阻止できるか??

MRICで配信された記事です。虎ノ門病院泌尿器科部長の小松先生が書かれた文章。

要約すると『日本医師会は、やはり開業医の先生方のための団体であり、勤務医の先生の意見は尊重されてこなかった。そして、そのため医療費の増額を求めても、我田引水のように思われて、なかなか大衆の方々に本当の意味で医療費増額が必要なことを理解させることが出来ない。』『現場に仕事を押し付けるときに政府にいいように使われている』ということでしょうか?

かくして、勤務医と開業医のみなさまの間に対立構造ができている。ということも主張のひとつでしょう。

クリアーカットで理解しやすい文章です。

続きを読む "対立構造はどうして作られたか?"

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2009年5月20日 (水)

妊婦さんとインフルエンザ

2009年5月20日 晴れ
気温はグングン上昇し、最高気温は30℃を超えていました。風もほとんどなく、体感温度は非常に高かった一日です。

さて、新型インフルエンザは東京でも確認されました。(というより、もっと広範囲に拡大してると推測します...。)妊婦さんは、通常の季節性インフルエンザでも発症した場合は、重篤になる可能性があります。そして、米国では積極的に治療されるべきであるとされているようですし、タミフルなどのノイラミニダーゼ阻害剤の胎児に対する危険性は現在のところ確認されていないとのことです。

新型インフル、妊婦への対応でQ&A
魚拓

<以下、引用>
『新型インフル、妊婦への対応でQ&A
2009年5月20日(水)18時48分配信 医療介護CBニュース

 厚生労働省は5月20日、日本産科婦人科学会の協力を得て作成した、妊婦の新型インフルエンザ感染への対応に関するQ&Aを、医療関係者と一般向けにそれぞれ公表した。
 医療関係者向けのQ&Aによると、通常の季節性インフルエンザの場合、妊婦は心肺機能が悪化し、肺炎などの二次感染を合併することがある。また、重症化すると胎児機能不全を引き起こすこともあるという。新型インフルに関しては、まだデータが不十分だが、季節性インフルと同様であると推定されているとした。
 新型インフルへの感染が確認された、または感染者と濃厚接触した妊婦への対応としては、患者に説明、同意を得た上で、抗インフルエンザウイルス薬(タミフル、リレンザ)の投与が勧められるとしている。
 抗インフルエンザウイルス薬の投与による胎児への影響については、2007年の米国疾病予防局ガイドラインには「妊婦および出生した児に有害事象の報告はない」との記載があるとしている。
 抗インフルエンザウイルス薬の服用中の授乳については、(1)母乳自体による新型インフル感染の可能性は現在のところ知られていない(2)季節性インフルでは母乳感染は極めてまれ-と指摘。「薬剤の児への潜在的リスクと母乳栄養による利益」を考慮した上で、患者と相談して決めるよう求めている。ただ、「児への感染リスク」を最小限にするため、頻繁な手洗いやマスクの着用などが必要とした。一方、「母児分離を行うべきとの勧告は今のところなされていない」としている。』
<引用終わり>

胎児機能不全は胎盤機能不全の誤りでしょうか?

厚生労働省そして産科婦人科学会は異例の速さで方針を公表しました。これは評価されるべきです。

新型インフルエンザに罹患した妊婦さんには充分な説明の上、タミフルなどのノイラミニダーゼ阻害剤の投与を行うべきである。と解釈していいのでしょう。

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2009年5月19日 (火)

更に...

2009年5月19日 晴れ
少し涼しい一日でした。

関西で爆発的に感染が拡大している新型インフルエンザ。中高生を中心に感染が広がっていることから、休校となっている学校も多い状況です。しかし、蔓延を防ぐためにした処置が、むしろ、更に感染の拡大を引き起こしかねません。封じ込めは不可能でしょう。

繁華街、目立つ中高生=「自宅待機」徹底されず−一斉休校の生徒ら・大阪、兵庫 5月19日19時37分配信 時事通信
魚拓

<以下、引用>
『繁華街、目立つ中高生=「自宅待機」徹底されず−一斉休校の生徒ら・大阪、兵庫
5月19日19時37分配信 時事通信
 「感染したら自業自得」。新型インフルエンザの影響で一斉休校が続く中、大阪府や兵庫県の繁華街では19日、普段の平日以上に中高生らの姿が目に付いた。自宅待機が徹底されない状況に、両府県の教育委員会は「ほかの人にウイルスを感染させないことが目的。『自己責任』は通用しない」と呼び掛けている。
 若者が集まる大阪・ミナミのアメリカ村。友人と待ち合わせをしていた大阪市立中学3年の女子生徒(14)は「地元でも外出している友達をよく見掛ける。家でおとなしくしている子は少ない」と話す。体調不良で欠席している同学年の生徒が20人以上いるというが、「手洗い、うがいをすれば大丈夫だと思う。感染したら自業自得という感じ」と笑った。
 同日朝に休校を告げられた専門学校の男子生徒(18)は、友人と制服姿でカラオケ店前で開店待ち。「一斉休校でも結局、友達と会うから意味がない」と話していたが、カラオケ店員に「休校中の学校の生徒は入店できない」と断られ、「一時間待ったのに」と嘆いていた。
 JR三ノ宮駅(神戸市中央区)前の繁華街を歩いていた高校1年の女子生徒2人=いずれも(15)=は「ちょっとその辺なら大丈夫かなと思って」と悪びれた様子はない。「外に遊びに行く子は半分くらい。ブログを書いたりDVDを借りて家にこもる子もいるけど、家にいても暇過ぎる」。休校中の生徒でも入れるゲームセンターを探して立ち去った。
 学校側は家庭訪問などで在宅確認しているが、大阪府教委は「高校は通学区域が広く、連日の訪問は不可能。両親が働いている家庭で、外食に出ることまでは止められない」と頭を悩ませている。』
<引用終わり>

完全に裏目にでてます...。封じ込めよりも、重症な方への医療提供手段です。今後、考えなければならないのは...。

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2009年5月18日 (月)

封じ込めの可否

2009年5月18日 晴れ
日中の室内は暑い!

さて、新型インフルエンザは国内での感染事例が確認され、大阪、兵庫において凄まじい勢いで感染拡大が起こっています。検疫での封じ込めを狙っていましたが、ついにその網は破られたといっていいでしょう。現在のところ病原性はあまり強くないと考えてよさそうですが、感染力は非常に強く、わずかな接触でも感染が成立するようです。

ネット上で入手した現場からの情報では、『軽症例が多い。簡易キット(病院で検査してすぐに結果が出るインフルエンザの試薬)でA型陽性の全例でPCR(確定診断に用いる、ウィルスの核酸を増幅して検出する方法)でも新型インフルエンザ陽性である。しかし、PCR陽性のうち半数は簡易キット陰性である。』との報告もあり、全例を捕捉して隔離することなどはおそらく無理であろうと考えます。

つまり、何らかの軽い消化器症状があるヒトが新型インフルエンザの可能性もあり、封じ込めは不可能と感じます。

そうすると、既に国内では相当数の患者さんが発生している可能性があり(つまり、自分やそれを診療している医療者も気づいていない患者さんが相当数いるということ)、現在の封じ込め対策を早いうちに見直す必要があると感じます。

大量に発生した患者さんをどうやって診療するのか?軽症例と重症例の見分け、新型インフルエンザで重症になった方々を、どのようにして一般の患者さんたちと隔離して収容するのか?医療を提供するスタッフをどのように確保するのか?蔓延期に備えて準備するべきです。

まずは、検疫に従事しているスタッフ、要している資金をどのように診療にシフトさせるのか?コレをかんがえなければなりません。

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2009年5月17日 (日)

ライブ

2009年5月17日 晴れのち雨
蒸し蒸ししてきました。梅雨モードに移行しつつあるのか?などと...

さて、今日は地域の輪番でした。まあまあの人数が来られました。子供に混じって、成人の外傷や髄膜炎の疑い、消化管出血で貧血となってる方などなど...。

昨日は久しぶりに、和太鼓のユニットのライブに行ってきました。打楽器なのに、いろいろな工夫でメロディアスになったり、キャッチボールするような仕草を演じたり...。楽しめました。後ろから見る、彼らの背筋に大粒の汗が流れていて、この運動量は並ではないと...。

暖簾に『全打入魂』、『燃料米味噌汁』と書いてあったのが笑いを誘います。

今日はこれまで...。来週も頑張りましょう...。

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2009年5月15日 (金)

危険な業務...。

2009年5月15日 曇りのち晴れ
朝晩の気温は低く、昼間はあったかい気候です。

さて、もう半月程前に流れた記事。

【新型インフル】群馬県、医師確保進まず 感染の補償めぐり交渉難航 2009.4.30 12:53
魚拓

<以下、引用>
『【新型インフル】群馬県、医師確保進まず 感染の補償めぐり交渉難航
2009.4.30 12:53
このニュースのトピックス:新型インフルエンザ
 群馬県で新型インフルエンザの診断を行う「発熱外来」の設置が難航、医師や看護師の確保が計画の2・7%にとどまっていることが30日、県への取材で分かった。県は公民館などに最大で111カ所を設置する計画だが、医療スタッフを確保しているのは富岡市の3カ所のみという。
 県保健予防課によると、医師らが患者から新型インフルエンザをうつされた場合の補償について交渉が難航。発熱外来の設置は厚生労働省の行動計画に示されているが、県は「(設置に)法的強制力はなく、協議が進まなかった」と話した。
 県は「各保健福祉事務所に指示をして、できるだけ早めに対応したい」としている。』
<引用終わり>

普通の外来業務しながら、PPEを着て、別室で発熱外来するのはほぼ不可能であると思います。また、外来を行った医師が感染を受けた場合はどういう補償があるのか?予防措置はとっていただけるのか?これが問題となるでしょうね...。

通常の外来と別建てで発熱外来やれというのであれば、人員の確保、資金面でのサポート、労災が起こった場合の補償まで考えた上でしないと上手くコトは運ばないんじゃないかな〜?などと思います。

『医師らが患者から新型インフルエンザをうつされた場合の補償について交渉が難航。』

という下りには、県とマスコミの悪意が感じられます。

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2009年5月14日 (木)

理想と現実

2009年5月14日 晴れ
夏の足音はドンドン近くなってきます。汗が吹き出ます。

さて、医療からは、ちょっと離れた問題。『戦争はない方がよい、そのため戦争を起こす軍隊はないほうがよい。日本の自衛隊は規模、装備からしても立派な軍隊であり、(特に日本は)持つべきでない』という理論を持っておられる方々がいます。確かに、地球上から紛争、戦争をなくすためには、武器という武器が地球上からなくなるということが近道でしょう。

しかし、現実はコレだけ世界中に高性能な武器が流通し、核兵器でさえも国家のコントロールを超えて、テロリストの手に渡るかもしれないという御時世。自衛隊や在日米軍がなければ、お隣の国から侵略をうけても仕方がないでしょう。

その自衛隊が、国際協力のためソマリア沖に海賊から各国船団を守る目的で展開しています。私個人として、これは他国を侵略するものでもない立派な国際貢献とみますが、自衛隊そのものの存在に対して異をとなえるグループは『海自派遣』自体に反対を示します。

今回、その反対勢力の係累にあたる団体の船団がソマリア沖で海自により護衛されたというepisodeがあったようです。

「反対、でも守って」 ピースボート、海自が護衛 ソマリア沖 5月14日7時57分配信 産経新聞
魚拓

<以下、引用>
『「反対、でも守って」 ピースボート、海自が護衛 ソマリア沖 5月14日7時57分配信 産経新聞

 海賊対策のためアフリカ・ソマリア沖に展開中の海上自衛隊の護衛艦が、民間国際交流団体「ピースボート」の船旅の旅客船を護衛したことが13日、分かった。ピースボートは海賊対策での海自派遣に反対しており、主張とのギャップは議論を呼びそうだ。

 海自の護衛艦2隻は11日から13日にかけ、ソマリア沖・アデン湾を航行する日本関係船舶7隻を護衛。うち1隻がピースボートの船旅の旅客船だった。ピースボートは社民党の辻元清美衆院議員が早稲田大在学中の昭和58年に設立。船旅は寄港地の非政府組織(NGO)や学生らとの交流などを目的としている。

 ピースボート事務局によると、船旅の企画・実施会社が護衛任務を調整する国土交通省海賊対策連絡調整室と安全対策を協議し、海自が護衛する船団に入ることが決まったという。

 ピースボートは市民団体による海自派遣反対の共同声明にも名を連ねている。事務局の担当者は「海上保安庁ではなく海自が派遣されているのは残念だが、主張とは別に参加者の安全が第一。(企画・実施会社が)護衛を依頼した判断を尊重する」と話している。』
<引用終わり>

現状では、世界中から武器をなくすことも、軍隊をなくすことも、テロ組織をなくすことも不可能です。このような船団を護ることさえも、海上自衛隊でなければできないのが現実です。自衛隊がなくてもかまわないと思ってる(と私には感じられる)人たちは、このような恩恵に浴するべきではないと思うし、最悪の場合、日本が侵略され、相当数の同胞が殺されてもかまわないと思っていることになると感じます。

日本を守っている人たちにもっと感謝すべきであるし、敬意を払うべきであると感じます。

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1918年の経験

2009年5月13日 晴れ
昨日の雨で、湿度は急上昇。気温もグングン上昇して、暑い!一日です。

さて、1918年といえば、その当時の新型インフルエンザである通称:スペイン風邪が流行し始めた年でした。イギリスにおける、その当時のインフルエンザおよび肺炎での致死率を週ごとに追ったグラフを4月30日にNewYorkTimesが掲載しています。

The 1918 pandemic
魚拓

これをみると、スペイン風邪では大きな3つの流行の波があったようです。最初の波での致死率は0.5%程度で非常に強い感染力がみられたとされています。そして、10月から12月にかけての第2波では致死率は2.5%と5倍に上昇しています。その間にひょっとすると、スペイン風邪ウイルスの遺伝子的変異があったのかもしれません。

今回の新型インフルエンザに符合させてみると...。第1波は奇妙なくらいに特徴が似ています。秋に起こると思われる、第2段に備えなければならないでしょう。

ところで、新型インフルエンザに関してのニュースでは検疫強化の部分がクローズアップされてきていますが...。このような、非常に感染力の強いウイルスに対して、水際での阻止はいつか破られるでしょう。サーモグラフィーでの体温監視が頻繁にテレビで露出されていますが、これを使用して高体温のかたを捕捉できる確率は約0.2%であるとされています。(驚)つまり、1000人のうち998人は見逃してしまうようです。

検疫官の防護衣は、本当は患者さんと相対するごとに替えるべきとのことですが、そのようなことはできず...結果として、防護衣についたウイルスにより感染を拡大してしまう可能性も否定はできません。

季節性インフルエンザでもいえることですが、インフルエンザにおいて一番弱いのは、高齢の方々、そして心肺に問題を抱えた方は、やはり、非常に弱いとされています。感染爆発が起こり、大量に発生した患者さんを、どのように一般の入院患者さんに感染させずに収容するか?これが、問題になりますし、どのようにして有効な医療を多くの新型インフルエンザ患者さんたちに提供して行くのか?これがこれからの一番重要な問題となるでしょう。

ある程度の感染拡大があったならば、検疫強化に注ぐ資源を、患者さんに対する医療を提供する側に、シフトさせなければ上手くいかないと考えます。

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2009年5月12日 (火)

新型インフルエンザの致死率について

2009年5月12日 晴れ
気温はグングン上昇。風のない室内では汗が吹き出ました。

周辺ではインフルエンザBが流行中。今日も2人程、診断しています。季節性インフルエンザに対しては、タミフルなどのノイラミニダーゼ阻害剤は使用しない方針でやってます。ただ、65歳以上の高齢者、心肺に併存症のあるかたはこのかぎりではありません。

さて、新型インフルエンザによる死亡率が、概算で示されました。

致死率0.4%、スペイン風邪下回る=新型インフル-WHOチーム 2009年5月12日(火)19時9分配信 時事通信
魚拓

<以下引用>
『致死率0.4%、スペイン風邪下回る=新型インフル-WHOチーム
2009年5月12日(火)19時9分配信 時事通信

 新型インフルエンザの「震源地」となったメキシコの4月末までの患者数は2万3000人、致死率は0.4%と推定されると、英ロンドン大を中心とする世界保健機関(WHO)の研究チームが12日、米科学誌サイエンス電子版に発表した。
 1918~19年に世界的に大流行したスペイン風邪(新型と同じH1N1型、死者約4000万人)は致死率が2%程度と推定され、これを大幅に下回るが、57~58年のアジア風邪(H2N2型、死者約200万人)の致死率0.5%程度に匹敵する。感染力は季節性のインフルエンザよりかなり強いという。
 研究チームは、まだ不確定要素が多いとして、各国当局が正確な情報収集に努めるとともに、これから秋冬の流行期を迎える南半球の状況を監視する必要性を指摘している。
 メキシコでは4月末までの死者(感染疑い例含む)が101人と発表されたが、高齢者を中心に感染者が十分把握されていない可能性が高い。研究チームはこのため、メキシコへ航空機で旅行した人数とこのうちの感染者数などに基づき、旅行者とメキシコ人の感染リスクが同じと仮定して計算した。
 一方、メキシコ湾に面したベラクルス州の村、ラグロリアでは、感染者が616人と非常に多かったことから、詳しく調査した。人から人へ感染するのにかかる時間から検討すると、2月15日ごろに最初の感染者が出現し、1人の感染者からうつる人数は1.4~1.6人と推定された。』
<引用終わり>

医療水準の違うメキシコのデータを使用したあくまで概算ですが...0.4%ということです。鳥から直接感染したH5N1の致死率は60%を超えるといわれていますので、比較すると明らかに弱毒でしょう。しかし、日本での季節性インフルエンザによる死亡率は0.05%とされていますので、約10倍となります。

感染力と毒性を一緒に論じることはできませんが、若い世代での感染力はかなりのものと思われます。これから、感染爆発がおこらなければよいが...と案じるところです。

ただ、新型インフルエンザは見方を変えると、おそらく数年のうちに、地球上のかなりのヒトが罹患してしまうものであり感染の規模が大きくなれば、封じ込め政策よりも『いかに罹患した方々を救うか?』という面に重要性が移ってくると思われます。

現在の日本の医療レベルをもってすれば、救える方々は少なくないはずです。

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2009年5月11日 (月)

罪と罰...。

2009年5月11日 晴れ
相変わらずさわやかな一日。気温はグングン上昇するも、風がキモチいい一日。

さて、社会という多数の人間が暮らすコミュニティー。それを維持するためには、一定の範囲での規制が必要です。例えば、『他人が所有するものを無断で自分のものとしてはならない』...無断で自分のものとすることがまかり通れば、社会としてまともに維持できないからです。また、通常の状況では『他人を殺してはいけない』というのも、自由にヒトを殺しても許されるなら、今の日本のような社会は維持できません。

教育の現場でも、こういったある程度の規制はもちろんあるでしょう。教室に通ってくる生徒たち全てに、教育を受ける等しく存在するならば、その環境を維持しなければなりません。でも、以前に比較して教室は雑然としている場合が多く、学級崩壊といわれる状況においては、授業中に席を立って歩き回るなど...私達が子供のころには考えられなかった状況がみられています。

もちろん、教師となられる方々の資質は一様ではないし、必ずしも尊敬に値するような行動をされない方もいるのはわかっていますが、いろいろなことを教わる教員の方々に対する畏敬の念は明らかに減少してきているように感じます。モンスターペアレントが出現し、学校側はビクビクしながら、マスコミの方々に悪く書き立てられないように対応を考えます。教育の現場って、昔はそんなものではなかったような気がします。もう少し自由に、自分の意見を表出することができて、それが、子供たちにいい形(もちろん悪い形もありますが...)で染み込んで行ったような...。

体罰をネットで調べると、体罰は、父母や教員などが、子供や生徒などの管理責任の下にあると考えられる相手に対し、教育的な名目を持って、身体刑を加えることを指す。とでてきます。そして、現在の先進国では、教師による体罰を認めていないことが大半であり、学校現場では『あってはならない』事象であるといえます。

体罰裁判、原告が逆転敗訴
魚拓

<以下引用>『体罰裁判、原告が逆転敗訴- 2009.05.08 11:01

2002年、熊本で臨時教員の男性が当時小2だった男児の胸元をつかんで叱責した行為を、体罰だとして男児の両親が賠償を求めていた裁判。その最高裁判決で原告が逆転敗訴した。「教育の範囲を逸脱」と教員の体罰を認めた1、2審の判決が破棄され、「やや穏当を欠くが、違法とは言えない」と結論付けたのだ。

この判決に対し「この程度で訴える親がおかしい」「当然の判決」と歓迎するコメントが目立つ。「モンスターペアレント問題に一石を投じた」との見解もあるようだ。

だが、判決は妥当としながらも「何をもって体罰とするか」の線引きには、微妙と感じる人が少なくない。胸元をつかむ行為や大声での威圧は、ケースによっては体罰と判断されうるからだ。「(この教員は)キレちゃったんでしょうね」というのは『YUNAさま永田町日記』のブロガー。自らの塾講師の経験と照らし、「キレる行為は教育の範囲内か体罰か」と問うている。

今回の判決で「体罰が増えることになりはしないか」(専業主夫 大関直隆の“Live and let live.”)と心配する声もある。「何が体罰かということよりも、子どもにどんなダメージを与えたのかという議論」(同)が大切と指摘する。

「一定の体罰の容認なしには教育現場がなりたたない」との意見も見られ、体罰の定義を含め、教育のあり方を根本から考える必要性を感じる。』
<引用終わり>

この事件?がどのような状況において生じたのか?これについても知りませんし、胸ぐらをつかんで怒鳴るのが『体罰』にあたるのか?これについてもわかりません。

しかし、学校で他の児が正当に授業を受けるために必要なことはしなければならないと感じます。ただそれが、このcaseのように恫喝であってはならないのかもしれません。判決の中で、『やや穏当を欠くが』という文言が付されたのは、そのためであると思います。教室という小さな社会を維持するために『罪に対する(恫喝でない)罰』は必要なのかもしれませんね...。

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2009年5月10日 (日)

タミフルの問題

2009年5月10日 晴れ

さわやかな晴天...風はそよぐ程度で、『過ごしやすい』という言葉がお似合いの一日です。

さて、国内で初感染が確認された新型インフルエンザ。米国内での感染拡大のスピードをみる限り、感染力は凄まじいものと思われ、国内での蔓延は時間の問題と考えます。そうすると、今後は治療についての議論が必要となります。

厚生労働省は、インフルエンザ治療薬であるタミフル(リン酸オセルタミビル)の10歳代への投与を基本的に禁忌としています。その理由は、インフルエンザに罹患した同世代へのタミフル投与により、高所からの転落や走行中の自動車に飛び込むなどの生命に関わる異常行動がみられたからということです。しかし、タミフルと異常行動との因果関係については、しっかりとした証拠を得られていません。

この、新型インフルエンザ問題が生じてきた当初の5月1日ごろに、保健所(県)に『新型インフルエンザに罹患した同世代の小児が、当院を受診した場合にタミフルを投与してよいか?』と尋ねたことがあります。その回答は、『H5N1であればもちろん許可したと思われるが、H1N1であり弱毒であるので、厚生労働省の担当部局に問い合わせる』とのことでした。

実際問題として、これだけ世間を騒がしている新型インフルエンザで、感染拡大を阻止しようとしているのに、タミフルをどのように使用するか?について、その答えが末端まで浸透していないのには驚きを隠せません...。治療として使うのか?予防投与はどのようにするのか?国がキチンと決めて、臨床の第一線にいる医療者に示すべきです。

そういう後ろ盾がなければ、臨床医はタミフルをビクビクしながら使うことになるでしょうね...。本当は禁忌となっているのに、勇み足でつかっちゃった、そして、何らかの副反応で患者さんに悪い転帰が訪れたら...。誰の責任にされるでしょう?

でも、16歳の児に使ってるようですね...。

4人目の感染確認=男子高校生、順調に回復−新型インフル・厚労省 5月10日17時35分配信 時事通信
魚拓

<以下、引用>
『4人目の感染確認=男子高校生、順調に回復−新型インフル・厚労省
5月10日17時35分配信 時事通信
 国内初の感染者が確認された新型インフルエンザについて、厚生労働省は10日、感染者の大阪府立高校の生徒2人と教師の計3人とともに、米国発の航空機で帰国した同校男子生徒の感染を新たに確認したと発表した。順調に回復しているという。国内の感染者はこれで4人となった。
 一方、同省は4人と同じノースウエスト航空25便で入国した164人のうち161人と保健所を通じて連絡を取り、重い体調不良がないことを確認した。残る3人の所在確認を急いでいる。
 厚労省によると、4人は生徒と教師計36人でカナダでの交流事業に参加し、米デトロイトから8日夕、成田空港に到着。男子生徒2人=いずれも(16)=と男性教師(46)の感染が確認された。翌9日になって体調不良が認められた他の生徒7人について、千葉県衛生研究所などが遺伝子検査をしたところ、1人が陽性となり、国立感染症研究所が確定検査をしていた。
 大阪府教育委員会などによると、新たに感染が判明した男子生徒(16)は9日午後、38度程度の熱とせきの症状があり、千葉県内の感染症指定医療機関に搬送された。
 同省によると、生徒はタミフルの投与を受け順調に回復。体温は10日午後2時現在で36度7分で、せきはない。先に発症した生徒2人も36度5分と37度で、せきはない。教師は38度の熱とせきがあるが、症状は軽くなったという。』
<引用、終わり>

しばらく、新型インフルエンザの話題が続きそうです。

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2009年5月 9日 (土)

新型インフルエンザに思う

2009年5月9日 晴れ

風は少し強め。身辺はまだまだ騒がしいようです。でも、少しづつ、また書き始められたらと思います。

さて、今回の新型インフルエンザ。メキシコの豚から由来したと思われるH1N1亜型が急速に世界中に広まっています。それまでの洞察では、高病原性鳥インフルエンザのH5N1亜型が変異し、ヒト→ヒト感染を効率的に起こすようになり、急速に世界中に広まるといった見方もありました。そして、その場合、非常に病原性が高く、死亡率が最悪60%に上るとの見方もありました。しかし最近では、これまでかなりの数の鳥からヒトへの感染が起こり、わずかにヒト→ヒト感染がみられましたが、密接な接触のある血縁のグループにしかヒト→ヒト感染が起こっていないことなどから、このH5N1亜型は効率的にヒト→ヒト感染を起こすように変異しにくい株であろうとの観測が世界のインフルエンザ専門家の間に流れていました。そして、今回のH1N1亜型。幸いなことに、H5N1に比較して毒性はかなり低く、診断の遅れや併存する慢性疾患がなければ、キチンとした治療がなされれば、病勢はコントロール可能なものであると感じます。

しかし、Aソ連型と呼ばれる、季節性インフルエンザ:H1N1亜型とはかなりの遺伝子相違がみられ、過去にAソ連型に罹患して免疫を獲得していても、感染は免れることはない、そして、症状も重篤になりやすいものと考えます。

疑い症例の初診医療機関(いわゆる発熱外来)では、PPE: Personal Protective Equipment. 個人防護衣をつけての診療が行われます。これは、帽子2枚、ゴーグル、N95マスク、手術衣の上にガウン、シューズカバー、ゴム手袋2枚というような、映画『アウトブレイク』のワンシーンを彷彿とさせるような出で立ちです。着衣が終了するまでおそらく20分近い時間が必要ではないか?と....。当然、pandemicになり、凄まじい数の患者さんが発生した場合は、このようなPPEを各々の患者さんごとに新しいものに替えていくことは不可能になります。(もちろん感染の拡大がコントロールされているフェーズであれば、意味があります。)

ある先生の書かれた総説を読むと...。『新型インフルエンザは発生すれば、半年から数年の間に、ほとんどのヒトが罹患する病気である。もちろん感染拡大を阻止し、ワクチンなどの生産の時間を稼ぐことは有効なことであるが、大量に発生した患者さんを診療する医療体制を構築することが最も肝要である。』てなことが書かれていました。新型インフルエンザと聞くと、医療機関としてはひょっとすると『かかわり合いになりたくない』という感情が生じても仕方がないのかもしれません。そして、実際に診療の拒否に準ずる事案も生じているようです。

医療レベルでいうと、先進国に入ると思われる我が国。大量に発生した新型インフルエンザの患者さんに対して、施せる医療を行うべきです。そうすれば、新型インフルエンザでの死亡も、限りなく少なくできると思われます。

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