タダモノではない
2008年9月10日 晴れのち雷雨
いままで晴れてたのに、突然の雷雨でした。ともあれ、福島県立大野病院事件を契機にして書き始めたこのブログ...検察側の控訴断念で、一応の役割は果たしたかな?などと思いしばらくは筆をとることもしていませんでした。
しかし、習慣となっているものは...スゴイですね。(笑)なんだか、書かなければキモチが悪い...。(爆)
さて、あるとき経験した患者さん。主治医は内科の先生で、私はアドバイスしてました。(ちなみに、いつものように相当の脚色が加わっています。)
40代の女性。これまで、健康で医療機関にかかったことがない。ここ、1ヶ月程度からだがダルく、徐々にむくみが出てきた。もともと、やや肥満気味であったためか?むくみには気づかず...徐々に息苦しい感じがみられるようになり近医を受診。そこで、全身浮腫と胸水、腹水、尿タンパクを指摘されて当院へ紹介入院。
体重はおそらく(以前の体重が定かでない...)10kg以上増加。いわゆるAnasarcaという状況。血圧は170/95と上昇し、HbA1cは11%!。検尿では蛋白≧300mg/dl(半定量で950mg/dl)、潜血3+、沈渣ではRBC 20-30/HPF、顆粒円柱1+だった。血清アルブミンは1.0g/dl...。T-chol 360mg/dl。
ウーム、糖尿病性腎症では経過が速すぎるし、潜血や顆粒円柱などもみられている。何らかの他の因子が絡んでいるのか??とりあえず、アルブミン輸注と利尿剤...。ステロイド...。しかし、乏尿...。体重は更に増加...。網膜症はありとのこと...。
これは...いけない。ダブルルーメンカテを挿入し、持続血液濾過で除水を...。そうこうしているうちに、乏尿が進行し200ml/日程度に、急速にBUN, Cre.は跳ね上がる。FENaは1%で尿細管壊死ではなさそうだ...。血清アルブミンを保ちながら、除水を進め、1週間で10kg程度体重減少した。その頃より、徐々に尿量が増えて、浮腫がとれ腹水が消失したところを見計らって腎生検。糖尿病にステロイドで血糖コントロールが難しくなる、もちろんインスリンで厳格にコントロールしているが.....。
まだ、尿タンパクは12g/日以上...。しかたがない、biopsyの結果を待たず、LDL吸着をやってみる。3回施行したところで明らかに尿タンパクは減少。3g/日程度に...。biopsyの結果はDM腎症はあるが...ガチガチのKW病変はなし、比較的早期のDM腎症でネフローゼを呈するものとは考えにくい。蛍光抗体法でメサンギウムにIgA, C3の沈着が軽度あり、電顕ではdiffuseなfoot-process fusionありとのこと...。印象として、DM腎症(早期)+微少変化型ネフローゼではないか?とのこと。
尿細管の変化が少ないことを確認して、CyAをかぶせ、ステロイドをtaperingしoffに...。DMのコントロールも改善して退院となった。外来にて、尿タンパクは陰性化した。
ただの糖尿病性腎症ではない症例でした。
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コメント
そのタイミングでLDL吸着を行うんですね。勉強になりました。
除水と血管内脱水のバランス、コントロールが難しかったことと思います。お見事でした。
投稿: Kazu | 2008年9月11日 (木) 08時25分
こんにちは
Kazuさま
いつもコメントをいただきありがとうございます。
>そのタイミングでLDL吸着を行うんですね。勉強になりました。
かなりのDMがあって、ステロイドはこれ以上、増量して使用できる状況にありませんでした。再び、ARFに陥ると『たまらん』なということで、次の一手として行いました。(^^);
LDL吸着と書きましたが、実は、すぐにLDLアフェレーシスの器械が準備できずに、DFPPでLDL分画の付近を除去する方法をとりました。
リポソーバ使ったときよりも、資材に対する費用は約半分だそうです。
>除水と血管内脱水のバランス、コントロールが難しかったことと思います。
初日のCHFでは除水に伴い、キツイ、腹痛などのプレショック症状がみられましたが、アルブミンを2g/dl程度に維持すれば血漿の再充填は効く様で、結構なスピードで除水しても血管内のvolumeは保たれていました。尿量が確保できない状況では、一度試してみるのはよいことだと思われます。(ECUMもしかりです。)
投稿: いなか小児科医 | 2008年9月11日 (木) 11時21分
さすがです。NSARFはいつでもどきどきしますね。アルブミンを使いたいけど、透析はしたくないし・・・その点大人は子供より楽ですね。なによりブラッドアクセスと鎮静に悩まなくて良いのは楽です。
投稿: クーデルムーデル | 2008年9月11日 (木) 18時08分