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2008年8月26日 (火)

フィクション

2008年8月26日 晴れ

13歳の女の子。両親は離婚し、母親に引き取られていた。学校ではごくごくまじめな子で、不平はなく成績も優秀であった。あるとき、友達から「少し太めだね」などといわれたのをキッカケにして、食事の制限を始め、体重はグングン落ちていった。当初、身長150cmで体重は45kgであったが、2ヶ月で体重は35kgまで減少した。月経はとまってしまい、るいそうというに相応しい体つきであるが、本人としては「まだ太っている」というキモチを持ち続け更に食事の制限を続ける。

私の外来を初診したとき、こんなにやせているのに、目には恐ろしいほどの力があった。「やせたいですか?」という問いには、はっきりと「まだ更にやせたいです」と答えた。通り一遍の検査を済ませ、母の前で病名を告げる。「あなたは拒食症です。」カレンカーペンターズの例を用いて、説明を行う。このままの状況で拒食を続ければ、とんでもないことになる!と....。「あなたはとんでもないことをしてるんだ」と....。

幸いなことに、この地域には専門としている施設がある。そこに紹介状を書き、行っていただく。

それから、1年半....。風の噂が聞こえてくる。どうも、ドロップアウトしたらしい、転々とドクターショッピングをしているとのこと...。

それから、更に3ヶ月。

ある日、救急車で彼女は搬送されてきた。昏睡で搬送となったが....到着時には心肺停止状態であった。彼女はここ数ヶ月、下剤を使用していたらしい。低カリウムか?モニター上はVf:心室細動であったが、DCをかけるも戻らない!Kを補正してもとうとう洞調律には戻せず、stand stillに....他界された。

血清カリウムは1.2mEq/lであった。

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拒食症:神経性食思不振症,Anorexia nervosaは思春期の女性に多く発症する、やせ願望およびボディーイメージのゆがみを伴い、エネルギーの摂取を制限することにより重篤な体重減少に至る疾患といえます。この病気は心理的な原因によりますが、かなり予後不良でover allで約10%ほどの死亡率があるとされます。

近年、やせている女性が美しいとのイメージが巷に浸透したためか?また、若年女性にいわゆるダイエット(これは正確なコトバではありません。diet therapyとは食事療法という意味です。)の情報が入りやすくなったためもあるのか?発症率は増えてきているようです。

ただ、患者さんがやせていくだけの病気ではなく、死亡や重篤な精神的、身体的な後遺症を残す可能性のある疾患であるとの認識を持つべきです。そして、現在、認識されている「美しい女性」のボディーイメージを少し太めへとシフトさせるべきであろうと思われます。

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