« 新臨床研修制度の影響 | トップページ | リケッチア感染症 »

2008年7月30日 (水)

打開策とはいえない...

2008年7月30日 晴れ時々雷雨
熱帯型の気候です。

「第1回厚生労働省と全国知事会との定期協議」が開かれました。その中で、知事さん達は窮状を訴え、研修医の義務的配置まで飛び出しました...。そんなことすると...医師になろうというような殊勝なヒトは極々少なくなります。義務で縛り付けるなら、何らかのインセンティブが必要です。

「地方の医師確保、国の積極的関与が必要」7月29日22時30分配信 医療介護CBニュース
魚拓

『深刻な医師不足にどう対処するか—。7月28日に東京都千代田区の都道府県会館で開かれた「第1回厚生労働省と全国知事会との定期協議」で、知事会の代表者らは自らの自治体の窮状を訴え、国による医師不足対策の強化を求めた。とりわけ離島やへき地などの医師確保対策として、臨床研修制度の見直しや医師配置への公的関与を強く求めた。』

地域での医師確保には、その地域の魅力、そして地域医療への興味をかきたてることが必要です。現状では余り、このような方策は上手くいってはいませんが...入り口ともいえるような研修先は全くない訳ではありません。医師の診療科選択や、地域への派遣に公的関与が取りざたされますが、愚かな手だてであると言わざるを得ません。一生縛り付けておくことはできないし、そもそも憲法違反でしょう...。そして、うまくいっても、数年はそこでやって、義務があければ「はい、さようなら!」です。ヒトを惹き付ける環境でなくてはなりません。

『高浜壮一郎・愛媛県副知事は、「都市部と地方における研修医の募集定員の適正化を図ってほしい。地方に手厚く(医師を配分する)、という方針があると聞いているが、ぜひ早期に具体化してほしい」と訴えた。
 「研修医の自由を奪うのはどうかと思うが…」と前置きした上で、臨床研修医制度の大胆な見直しが必要だとした藤井喜臣・鳥取県副知事。「地方はまさに今、厳しい状況にあるのが現実。あまりに研修医の受け入れが多いところについては受入れ枠を制限する、それぞれの地域の中で研修をするなどの思い切った政策を」と主張した。安田敏春・三重県副知事などからも同様の要望が出た。
 また高浜氏は、研修プログラムについて、「地域医療に関する内容を増やしてほしい。地域医療に使命感を持って取り組む医師が養成されることを期待する」と語った。』

「研修医の自由を奪うのはどうかと思うが…」...こちらの知事さんのところへは、研修医が行くの敬遠する様になるでしょうね...。愚かです...。強制的に配置しても上手く行くはずはありません。もっと、地域の魅力を増加させるべきです。うまくいってる病院は、地域にあっても研修医、医師共に増えます。呼び込める能力を開発して行くべきでしょう。

『高浜氏は「教員や警察官は、どんな地域でも人材が確保されており、各地域で足りなくなるということはない。だが、医者はそういうわけにはいかないのが現状。しかし、医療も教育や治安の維持と同様、地域社会の根幹を成す重要なものだ。一定の公的な関与の下で、地域に医師を配置する仕組みがあってしかるべきではないか」と、医師の配置に国が積極的に関与する必要性を訴えた。』

やはり、ベースに全体的な医師不足が横たわっているからでしょう...。まだまだ、売り手市場ですしね...。待遇の悪いところからは、逃散するでしょうね。教員と警察官は充分な数が養成されていると思います。防衛医科大学校で卒業生に選択する科目を制限し強制するということが現実に行われようとしていますが...これにより、防衛医大の入学志願者がどのように影響をうけるか?は興味の湧く所です。義務や強制により配置することが後にどのような影響をのこすのか?よくよく考慮して発言を行うべきでしょうね。

『研修後一定期間、医師不足地域での勤務を義務付けることについては、「以前から厚労省でも検討している。要望も多いので今後も検討する」としながらも、「義務化すると何らかの副作用が出てくる可能性が高い。義務化するよりは、何らかのインセンティブを設けるべきではないか」との考えを示した。』

義務づけられた派遣医師はいわゆるスケープゴートとなりそうです。かわいそ...すぎる。このような義務化は地域医療の現場での人材不足を根本的に解決する打開策とはならないでしょう。

本日参照させていただいた記事です。

『「地方の医師確保、国の積極的関与が必要」
7月29日22時30分配信 医療介護CBニュース

 深刻な医師不足にどう対処するか—。7月28日に東京都千代田区の都道府県会館で開かれた「第1回厚生労働省と全国知事会との定期協議」で、知事会の代表者らは自らの自治体の窮状を訴え、国による医師不足対策の強化を求めた。とりわけ離島やへき地などの医師確保対策として、臨床研修制度の見直しや医師配置への公的関与を強く求めた。

■臨床研修制度の見直し必要
 
 高浜壮一郎・愛媛県副知事は、「都市部と地方における研修医の募集定員の適正化を図ってほしい。地方に手厚く(医師を配分する)、という方針があると聞いているが、ぜひ早期に具体化してほしい」と訴えた。
 「研修医の自由を奪うのはどうかと思うが…」と前置きした上で、臨床研修医制度の大胆な見直しが必要だとした藤井喜臣・鳥取県副知事。「地方はまさに今、厳しい状況にあるのが現実。あまりに研修医の受け入れが多いところについては受入れ枠を制限する、それぞれの地域の中で研修をするなどの思い切った政策を」と主張した。安田敏春・三重県副知事などからも同様の要望が出た。
 また高浜氏は、研修プログラムについて、「地域医療に関する内容を増やしてほしい。地域医療に使命感を持って取り組む医師が養成されることを期待する」と語った。

■離島・へき地勤務の義務化を

 へき地の医師不足対策として、多くの自治体が国による医師配分への関与強化を求めた。
 立石暁・長崎県副知事は、同県の離島での医師不足に言及。「長崎県の43%は離島。都道府県単位での医師数は指標としてほとんど意味を成さない」とし、県内でも医師数に大きな地域間格差がある実情を訴えた。実際、県庁所在地のある長崎地域保健医療圏では人口10万人当たりの従事医師数が325.4人であるのに対し、上五島地域保健医療圏では106.6人。「都市における医師余り、離島における圧倒的な医師不足を(厚労省に)理解してほしい。大学の定員の増減などを考えるときも、実態を見て判断してほしい」と述べた。
 医師に対して一定期間、医師不足地域で勤務することを義務化する要望も多く出された。高浜氏は、「臨床研修を終了した後、一定期間は医師不足地域での勤務を義務付ける、病院や診療所の管理者になる条件として、医師不足地域での勤務を義務付けるなどの取り組みが必要ではないか」と発言。仲里全輝・沖縄県副知事も、「沖縄県では離島やへき地が多く、医師確保には大変苦労している。へき地で一定期間勤務することについて、義務化をぜひ検討してほしい」述べた。
 また、高浜氏は「教員や警察官は、どんな地域でも人材が確保されており、各地域で足りなくなるということはない。だが、医者はそういうわけにはいかないのが現状。しかし、医療も教育や治安の維持と同様、地域社会の根幹を成す重要なものだ。一定の公的な関与の下で、地域に医師を配置する仕組みがあってしかるべきではないか」と、医師の配置に国が積極的に関与する必要性を訴えた。

■救急医療確保、訴訟リスク軽減なども課題

 橋本弘隆・奈良県副知事は、特に訴訟リスクの高い診療科の問題に言及。「訴訟リスクの軽減について、具体的な対策を検討してほしい。特定診療科の医師不足の解決策の一つにもなると思う」と述べた。
 また救急医療の問題について、「勤務医だけで救急医療を支えるのは難しい状況。開業医に救急医療に参画してもらうことが必要だ」と指摘。開業医がより地域医療に参画することを促すよう、インセンティブを与える方策を求めた。高浜氏は、愛媛県が2004年以降、医師が46人減少するという厳しい状況にあることを指摘。「二次救急制度の輪番制維持に支障を来している」と窮状を訴えた。
 さらに尾崎正直・高知県知事は、若年医師数の不足について、「40歳未満の、急性期医療に携わる人材がいなくなってきている。このままだと、10年後には本当に深刻な事態になる。医療が崩壊する」と懸念を示した。

 こうした訴えに対し、厚労省の外口崇医政局長は、「ほぼ同じ認識を持っている」と語り、長期的対策として医師数増とともに、中期的、短期的な対策も必要だとの認識を示した。
 また、特に要望の多かった臨床研修制度の見直しについては、「卒業生8000人に対し、臨床研修の病院の定数が11500人となっている。卒業生はどこでも自由に研修先を選べる状況にあり、つい都市部に集まりがち」と現行制度の問題点を指摘し、「地域に配慮しながら、適正数に是正できないか、検討を始めた」と積極姿勢をアピール。
 研修後一定期間、医師不足地域での勤務を義務付けることについては、「以前から厚労省でも検討している。要望も多いので今後も検討する」としながらも、「義務化すると何らかの副作用が出てくる可能性が高い。義務化するよりは、何らかのインセンティブを設けるべきではないか」との考えを示した。』

|

« 新臨床研修制度の影響 | トップページ | リケッチア感染症 »

コメント

知事さんたちは、自分の県の医師が増えればよいだけのこと。
地方に医師を回すことによって、都市部の医師が不足することになっても、都市部の医療が崩壊しても、地方に医師が多くいれば良い、そう考えているのでしょうね・・そう取られても仕方がない主張内容です。
今の日本では、たとえ大都市圏であっても、病院の医師不足が顕著です。
そもそも医師という駒数が圧倒的に不足しているのです。

大学病院や地方の病院から医師が減ったのは、そこで働くメリットが少ないから。
メリットがあれば、減ることはなかったでしょう。
医師のニーズに応えられるだけの内容が、多くの大学病院や地方の医療機関にはそろっていないから、医師が減ってしまったのです。
亀田総合病院のように千葉県の田舎にあっても、医者は全国から集まってきます。
集まってくるだけのメリット、医者のニーズに応えるものがあるからです。
ご自分の県の医療機関にそれがありますか?知事さんたち、ちゃんと答えて頂けますか?

そのへんのところを改善しないかぎり、ダメです。

そもそも医者は警官や教師のような公務員や民間の会社員と違って、移動の自由度が高い専門職なのです。
そのあたりを認識して頂いていますか?知事さんたち。

投稿: hot cardiologist | 2008年7月31日 (木) 14時12分

『私なりの思案としては医師の増員と養成と配置を、利権の集中しない別組織を立ち上げ、もう一度規制を掛け医師の待遇を損なうことなく医師会・行政と親密に連絡をとり、全国に医師が行き渡るよう現況打開を図るしか方法は無いと思います。』
上記は素人なりに医療崩壊を考え個人的思案としてブログ記事に書いたものですが、難し過ぎますね医療問題は………

投稿: YT | 2008年7月31日 (木) 21時14分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/101068/42015894

この記事へのトラックバック一覧です: 打開策とはいえない...:

» 自由の制限は新たな「ひずみ」を生む:複雑化より単純化を、そして長期的対策の後に応急処置を [新・眠らない医者の人生探求劇場・・・夢果たすまで]
こんばんは いよいよ、北海道最後(今回は・・ですけど)の夜になりました。まぁ、いろいろありましたが様々なことに全力で取り組んできたと思っています。 今度は血液臨床に全力で取り組んでいきます。 話は変わりますが、内藤選手・・無事KO勝ちしましたね。豊浦で釣りをした時に「内藤選手のポスター」がいろいろ貼ってあったので、そういえば豊浦が出身地かと思ったものです。 そんな北海道から明日の昼には離れて、また臨床業務にはまり込んでいきます。もっとも、死なない限り全... [続きを読む]

受信: 2008年7月30日 (水) 23時03分

« 新臨床研修制度の影響 | トップページ | リケッチア感染症 »