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2008年7月28日 (月)

新臨床研修制度の影響

2008年7月28日 晴れ

地域での輪番の当番日。2日前より全身に小さな出血斑:petechiaeが出現。擦過したところが大きな出血斑となるとのことで来院。コレは...と思って採血すると血小板は8,000/μl....。とりあえず即、入院していただきました...。

さて、日本は先進国の中で、有数の医師が少ない国です。その中で、地域への医師供給は大学医局が整理し何とか最小限の供給を維持して来たといって過言ではありません。その医局に医師が入って来なくなる状況にしたのは新臨床研修制度であるといえます。

地域への医師供給のバランスは崩壊し、地域の病院では医師確保に軒並苦しむことになります。

<臨床研修制度>大学医局の8割が医師引き揚げ 日医初調査 7月26日10時58分配信 毎日新聞
魚拓

『新人医師が2年間の研修先を自由に選べる新臨床研修制度が導入された04年度以降、大学病院の医局の約8割が人手不足などで地域の医療機関への医師派遣を中止・削減したことが、日本医師会の調査で分かった。派遣を受けられなくなった医療機関の6割以上が診療制限や診療科の閉鎖に追い込まれていた。大学から一般病院へと医師不足が広がった過程をデータで裏付けたのは初めて。』

公式のデータで裏付けられたということですね...。

『臨床研修制度が地域医療に与えた影響についての初の全国調査。今年3〜5月、大学病院の1821医局を対象に実施し、1024医局から回答を得た。

 その結果、04年4月以降、大学から地域の病院への医師派遣を中止したり、派遣数を減らした医局は77%に達した。うち78%の医局が「臨床研修制度による人員不足」を理由に挙げた。

 医局が医師を引き揚げた医療機関は3003施設に上り、このうち17%が診療科を閉鎖、45%が外来のみの診療や診療時間短縮などの制限に踏み切ったという。診療科別では産婦人科、内科、リハビリテーション科の順に、引き揚げの割合が高かった。』

ココまでの大きな影響です。医療崩壊に(特に地域医療について)追い込んだ大きな一因であろうと考えます。

『地域別に見ると、人口10万人当たりの医師数の下位9県(埼玉、茨城など)で減らされた派遣医師数は一病院平均0.28人。全国平均(0.22人)より約3割多く、もともと医師が少ない地域ほど大学からの人材供給が滞り、地域の医師不足を加速していた。

 分析した日本医師会総合政策研究機構(日医総研)は「大学病院の人材配分システムが機能しなくなったことが医師不足を顕在化し、地域間格差を広げた」と指摘している。』

もともと、人材不足の地域が大きな影響を受けているとすれば、もともと人材不足の日本全体がこの「新臨床研修制度」の影響を大きく受けたのでしょうね....。ということも言えそうです。

本日参照させていただいた記事です。

『<臨床研修制度>大学医局の8割が医師引き揚げ 日医初調査
7月26日10時58分配信 毎日新聞

 新人医師が2年間の研修先を自由に選べる新臨床研修制度が導入された04年度以降、大学病院の医局の約8割が人手不足などで地域の医療機関への医師派遣を中止・削減したことが、日本医師会の調査で分かった。派遣を受けられなくなった医療機関の6割以上が診療制限や診療科の閉鎖に追い込まれていた。大学から一般病院へと医師不足が広がった過程をデータで裏付けたのは初めて。

 臨床研修制度が地域医療に与えた影響についての初の全国調査。今年3〜5月、大学病院の1821医局を対象に実施し、1024医局から回答を得た。

 その結果、04年4月以降、大学から地域の病院への医師派遣を中止したり、派遣数を減らした医局は77%に達した。うち78%の医局が「臨床研修制度による人員不足」を理由に挙げた。

 医局が医師を引き揚げた医療機関は3003施設に上り、このうち17%が診療科を閉鎖、45%が外来のみの診療や診療時間短縮などの制限に踏み切ったという。診療科別では産婦人科、内科、リハビリテーション科の順に、引き揚げの割合が高かった。

 地域別に見ると、人口10万人当たりの医師数の下位9県(埼玉、茨城など)で減らされた派遣医師数は一病院平均0.28人。全国平均(0.22人)より約3割多く、もともと医師が少ない地域ほど大学からの人材供給が滞り、地域の医師不足を加速していた。

 分析した日本医師会総合政策研究機構(日医総研)は「大学病院の人材配分システムが機能しなくなったことが医師不足を顕在化し、地域間格差を広げた」と指摘している。

 新人医師の多くは従来、大学の医局に所属して単一の科だけを研修していた。04年度からは、2年間で内科、外科、小児科など各科を回って総合的な診療技術を学ぶことが義務付けられた。研修先として待遇のいい大都市の病院に人気が偏り、若手の大学病院離れが起きている。【清水健二】』

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コメント

一般の素人です。新臨床研修制度は医師の過酷就労・収入格差を是正する為に行なわれた制度だと思うのですが違ったでしょうか?それが地方のみならず大学病院まで医師不足の現況を招いたという事は間違った制度改革であったことが証明されたという事ですよね?医師の数は微小ながら増員傾向にあると聞きます。結局、自由だ!緩和だ!と根本解決をしないまま流行言葉に踊った政策実施が医療界の危機を招いた事になります。医師の増員・配置・就労改善・賃金保障・養成体制・診療科目の不均等是正と、素人の私が考えても問題提起は是ほど出てきます。医療現場の方々!大変でしょうが頑張ってください。一般素人の私としては現場の先生方の問題提起を如何に大衆に訴え政府を動かせるか微力ながら頑張る所存です。

投稿: YT | 2008年7月29日 (火) 10時44分

地方で、小児科医として頑張っていらっしゃる、いなか小児科医先生のお気持ちを逆撫でするようなことを書いて申しわけありません。

もともと日本は、医師が足らない状況(WHOやOECDのデータで人口あたりの医師数が先進国中最下位をうろうろ)であったところに、研修医や専門医トレーニングのための移動の自由度が増えたから、足らないところはますます足らなくなった、と言えます。
しかし、東京や大阪のような大都市ですら人口当たりの医師数は、先進国の平均未満ですから、地方だけが医師不足ではありません。

都道府県知事会で、特に地方の知事が、地方での一定期間の勤務の義務化を訴えているようですが、住むところの自由や職業選択の自由が憲法で保障されているように、義務化は困難でしょう。やろうとしたら、憲法違反になります。
また、研修医や専門医のトレーニングは地方医療のためにあるのではなく、医師個人がスキルを身につけて一人前の専門医になる為のものです。
スキルを身につける機会や、さまざまな労働条件は一般的には(もちろん例外もあります)大都市部の大規模病院が優れており、医師が地方より都市部を目指すのは、当然と言えましょう。
地方好きな一部の医師を除いて、多くの医師が地方を離れるのは、地方に魅力がないからです。
知事さんたちが憂う気持ちもわかりますが、なぜ地方に医師が残らないのか、医師のトレーニングは地方医療だけのためではないこと、への認識がないように感じます。

では、深刻な医師不足に悩む地方医療が改善する可能性はあるのか・・・いまのところ、ありません。
もともと人口あたりの医師数が少ないのですから、今の労働条件や生活条件を考えれば、都市部の医師、特に病院勤務医が飽和状態にならない限り、地方には医師は行きません。
強制的な医師配置も憲法違反なので、できませんし。
大都市ですら勤務医不足なのですから、大都市から医師を地方に強制的に配置することはできません。地方に回す駒が無い状態なのです。

どんどん医者を増やして、大都市でも医者あまりの状態になれば、地方にも医者が定着するようになるかもしれません。

投稿: hot cardiologist | 2008年7月30日 (水) 10時01分

追記です。
地方の知事さんたちは、警察官や公立校教員は地方にも満遍なく配備されているから、医者もと言っているようですが。
警察官や公立校教員は地方公務員として契約しているので配置もしやすいですが、医師の大半は公務員ではなく、自由業です。
また多くの支店を持っている民間の企業に就職したわけでもないので、民間企業の会社員と同じように地方に配置することもできません。

したがって、強制的配置を仰る方は、医師の立ち位置を理解していないかただと思います。

医師に移動の自由度が高いのは、必然的なものです。

そういうことを認めたうえで、どうしたら地方にも医師が定着してくれるかといえば、自由社会が原則の先進国でも名案はありません。
どの先進国でも、労働条件や生活条件の悪い地域では医者が不足しており、日本だけの問題ではありません。

投稿: hot cardiologist | 2008年7月30日 (水) 15時08分

こんばんは
YTさま

コメントありがとうございます。
熱いメッセージを残していただきありがとうございました。

このような場末のブログですが、応援していただければ幸いです。

投稿: いなか小児科医 | 2008年7月30日 (水) 21時32分

こんばんは
hot cardiologistさま

HNの表すがごとく、熱いコメントをありがとうございます!

逆撫でなどされてませんので、お気遣いなきようお願い致します。

さて、>都道府県知事会で、特に地方の知事が、地方での一定期間の勤務の義務化を訴えているようですが、住むところの自由や職業選択の自由が憲法で保障されているように、義務化は困難でしょう。やろうとしたら、憲法違反になります。

そうですね、何らの対価なく、これをやろうとしても法的に問題ありますし、無理でしょうね...自治医科大学は修学資金などを6年間で2千万以上貸与します。卒業後は在学期間の1.5倍の期間、出身高校のある都道府県で地域医療に従事するとその返済を免除されます。その期間、利息制限法いっぱいの利息が、貸与されたお金に発生します。このような対価で縛るようなことがないと...上手くはいかないでしょうね...。

また、この知事達の言については後のエントリーにて取り上げたいと考えております。

>また、研修医や専門医のトレーニングは地方医療のためにあるのではなく、医師個人がスキルを身につけて一人前の専門医になる為のものです。

ま...そうでしょうね。しかし、気が向いたら地域医療に携わってもよいのでは??そこら辺は、各医師のキモチの持ちようですね...^ ^

>地方好きな一部の医師を除いて、多くの医師が地方を離れるのは、地方に魅力がないからです。
知事さんたちが憂う気持ちもわかりますが、なぜ地方に医師が残らないのか、医師のトレーニングは地方医療だけのためではないこと、への認識がないように感じます。

確かにその通りですね。地域の魅力、地域医療を行う場所の魅力がなければヒトは集まらないでしょう...。でも、その中でも、何らかの魅力を見つけて、地域医療に携わっておられる先生もいらっしゃいます。^ ^
そういう方々へ、私は尊敬の念を禁じ得ません。知事さん達は、もっと現場を足下をよく見るべきかと....。政治的に、右から左へと、医師を動かせば上手くいくなどと考えるべきではないでしょう。

>では、深刻な医師不足に悩む地方医療が改善する可能性はあるのか・・・いまのところ、ありません。

そうですね...机上論では解決しないことは明らかです。また、これは私見ですが...医師数がタダ単に増えても、解決しないと考えています。

投稿: いなか小児科医 | 2008年7月30日 (水) 21時51分

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