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2008年6月26日 (木)

中原先生の奥様

2008年6月26日 曇り

MRIC: Medical Research Information Centerのメルマガに流されていた文章です。

中原利郎先生は東京にある私立病院に勤務されていました。いろいろな経緯から、1999年8月に病院の屋上から飛び降りて自ら命を絶たれました。亡くなる前の勤務状況等から、「過労」による死亡であることは明らかであると思われますが....勤務先であった病院は現在に至っても、「過労死」と認めようとはしません。

妻である中原のり子さまが次のような文章を書き下ろされていますので、引用させていただきます。

『労死事件の概要

平成11年8月16日 中原利郎、勤務先佼成病院の屋上から投身自殺(44歳)

平成13年9月17日 新宿労基署に遺族補償給付を申請

平成16年12月7日 東京地裁(行政部)労災不認定取消訴訟を提起

平成19年3月14日 原告勝訴判決!

平成19年3月28日 被告控訴せず→労災認定

 1999年8月16日の朝、小児科医だった夫の中原利郎は真新しい白衣に着替えて、勤めていた病院の屋上から身を投げました。享年44歳でした。亡くなる6ヶ月前には、6人いた医師が3人に減ったこともあって、月に8回当直し完全な休日は2日といったような働き方をしていました。管理職になって採算のことも考えねばならず、精神的にも肉体的にも疲れきった様子でした。夫は、「命を削りながら当直をしている」とか「部長会議は、地獄のように辛い」とこぼしていました。亡くなる2~3ヶ月前には「病院に殺される」と言うようにもなっていました。そんな夫の働き方を、東京地裁は昨年3月、過重労働であると認め、国に不支給決定を取り消すよう命じる判決を言い渡しました。国は控訴せず、勝訴が確定しました。

 8年かけて国は、夫が小児科医師として激務であったと認定したにもかかわらず、勤務先だった病院は、夫の働きは過重労働ではなかったと未だに主張し続けています。「月の当直が6回から8回になっても、さほど生活全般に影響が出るほどの変化とはいえない勤務先」などという論点で、「過労死」であったことさえ否定するのです。この病院の認識は、現実からかけ離れているように思います。“病院は、過重労働の勤務医を守ってくれないのか”夫が亡くなってからの9年間ずっと考えていたキーワードです。小児科に限らず勤務医の働き方は、医師の犠牲的精神で乗り越えられる限界を超えています。深刻化する医師不足に、厚生労働省は、ようやく医師増員などの「医療確保ビジョン」を打ち出しましたが、それだけで医療現場の危機を救うことはできるのでしょうか。労災認定された労働実態を、病院が認識し改善する。医師が人間らしく働ける労働環境をつくってほしい。そんなメッセージを伝えるのが、遺された私の役目だと思っています。

 今回のシンポジウムで、疲れ切った医師にいのちを委ねたくない市民と、疲れ切ったまま医療に従事したくない医師と、疲れ切った医師を働かせ続けたくない病院長と一緒に、あなたも考えてみませんか。勤務医の職場環境改善のために病院にできること。医療者の健康を守ることが医療安全につながること。参加者全員で、「あなたを診る医師がいなくなる!」、こんなタイトルのシンポジウムが
必要でなくなる社会を目指したいと思います。』

この文章の中には、勤務先を名指しするものがありません。ネット上では、明らかになっている事柄ですが...良心的で、フェアーであると思います。よって、拙ブログでも名指しはしません。

当時に比較して、小児科医の労働環境は若干の改善があったかもしれませんが、依然として私のように一人で診療し続ける小児科医もいます。まだまだ、環境を改善させる努力が必要でしょう。

そして、シンポジウムの御紹介....

6月28日(土)  東京医科歯科大学にてシンポジウム開催 あなたを診る医師がいなくなる! ~過重労働の医師を病院は守れるのか~ http://sky.geocities.jp/shyuju2008/sym062808.html

 勤務医の労働環境を考えるシンポジウム実行委員会
(実行委員長:松崎道男/松崎内科クリニック院長、元虎の門病院輸血部長、医療安全対策室長)

日時:2008年6月28日(土) 13時半~16時20分(開場12時40分)
会場:東京医科歯科大学講堂(5号館4階)
交通:JR中央線 総武線「御茶ノ水」駅(御茶ノ水橋口)、
東京メトロ丸ノ内線「御茶ノ水」駅(医科歯科口)すぐ

司会:田辺 功 氏/医療記者歴40年、近著に『ドキュメント 医療危機』
進行役:塚田 真紀子 氏/著書に『研修医はなぜ死んだ?』、共著に『壊れゆく医師たち』

シンポジスト(五十音順)
●伊関 友伸 氏「地域の財産としての病院のあり方」
/城西大経営学部准教授 医療経営アドバイザー、近著『まちの病院がなくなる』

●岩田 喜美枝 氏「過重労働の是正―女性医師が働き続けるために―」
/資生堂副社長  元厚労省雇用均等・児童家庭局長

●前村 大成 氏「過重労働、管理者としてその後すべき対応」
/元都立府中病院院長 医師の労働環境問題に取り組んだ経緯あり

●松村 理司 氏「“救急”を断らない病院を支えるもの」
/洛和会音羽病院院長 勤務医の過重労働軽減と病院の質向上に奮闘中

 2人の医療ジャーナリストが司会・進行役を務めながら、患者・患者家族、医療関係者、医療系学生、子育て中の母親たち、一般希望者と熱い議論を交わしていく予定です。是非ともいらしてください。そして、多くの方々に伝えてください。このままでは、あなたを診る医師がいなくなってしまうことを。そうならないように、どうしたらいいのかを。

対象:患者・患者家族 医療関係者 医療系学生 一般希望者(定員300名)
会費:100円(資料代として)

主催:小児科医師中原利郎先生の過労死認定を支援する会
共催:NPO法人医療制度研究会 全国医師連盟 『知ろう!小児医療 守ろう!子ども達』の会 県立柏原病院の小児科を守る会 I-Cube
後援:構想日本

全文です。

『過労死事件の概要
平成11年8月16日 中原利郎、勤務先佼成病院の屋上から投身自殺(44歳)
平成13年9月17日 新宿労基署に遺族補償給付を申請
平成16年12月7日 東京地裁(行政部)労災不認定取消訴訟を提起
平成19年3月14日 原告勝訴判決!
平成19年3月28日 被告控訴せず→労災認定

 1999年8月16日の朝、小児科医だった夫の中原利郎は真新しい白衣に着替
えて、勤めていた病院の屋上から身を投げました。享年44歳でした。亡くなる
6ヶ月前には、6人いた医師が3人に減ったこともあって、月に8回当直し完全
な休日は2日といったような働き方をしていました。管理職になって採算のこと
も考えねばならず、精神的にも肉体的にも疲れきった様子でした。夫は、「命を
削りながら当直をしている」とか「部長会議は、地獄のように辛い」とこぼして
いました。亡くなる2~3ヶ月前には「病院に殺される」と言うようにもなって
いました。そんな夫の働き方を、東京地裁は昨年3月、過重労働であると認め、
国に不支給決定を取り消すよう命じる判決を言い渡しました。国は控訴せず、勝
訴が確定しました。

 8年かけて国は、夫が小児科医師として激務であったと認定したにもかかわら
ず、勤務先だった病院は、夫の働きは過重労働ではなかったと未だに主張し続け
ています。「月の当直が6回から8回になっても、さほど生活全般に影響が出る
ほどの変化とはいえない勤務先」などという論点で、「過労死」であったことさ
え否定するのです。この病院の認識は、現実からかけ離れているように思います。
“病院は、過重労働の勤務医を守ってくれないのか”夫が亡くなってからの9年
間ずっと考えていたキーワードです。小児科に限らず勤務医の働き方は、医師の
犠牲的精神で乗り越えられる限界を超えています。深刻化する医師不足に、厚生
労働省は、ようやく医師増員などの「医療確保ビジョン」を打ち出しましたが、
それだけで医療現場の危機を救うことはできるのでしょうか。労災認定された労
働実態を、病院が認識し改善する。医師が人間らしく働ける労働環境をつくって
ほしい。そんなメッセージを伝えるのが、遺された私の役目だと思っています。

 今回のシンポジウムで、疲れ切った医師にいのちを委ねたくない市民と、疲れ
切ったまま医療に従事したくない医師と、疲れ切った医師を働かせ続けたくない
病院長と一緒に、あなたも考えてみませんか。勤務医の職場環境改善のために病
院にできること。医療者の健康を守ることが医療安全につながること。参加者全
員で、「あなたを診る医師がいなくなる!」、こんなタイトルのシンポジウムが
必要でなくなる社会を目指したいと思います。

6月28日(土) 
東京医科歯科大学にてシンポジウム開催
あなたを診る医師がいなくなる!
~過重労働の医師を病院は守れるのか~
http://sky.geocities.jp/shyuju2008/sym062808.html

 勤務医の労働環境を考えるシンポジウム実行委員会
(実行委員長:松崎道男/松崎内科クリニック院長、元虎の門病院輸血部長、医療安全対策室長)

日時:2008年6月28日(土) 13時半~16時20分(開場12時40分)
会場:東京医科歯科大学講堂(5号館4階)
交通:JR中央線 総武線「御茶ノ水」駅(御茶ノ水橋口)、
東京メトロ丸ノ内線「御茶ノ水」駅(医科歯科口)すぐ

司会:田辺 功 氏/医療記者歴40年、近著に『ドキュメント 医療危機』
進行役:塚田 真紀子 氏/著書に『研修医はなぜ死んだ?』、共著に『壊れゆく医師たち』

シンポジスト(五十音順)
●伊関 友伸 氏「地域の財産としての病院のあり方」
/城西大経営学部准教授 医療経営アドバイザー、近著『まちの病院がなくなる』

●岩田 喜美枝 氏「過重労働の是正―女性医師が働き続けるために―」
/資生堂副社長  元厚労省雇用均等・児童家庭局長

●前村 大成 氏「過重労働、管理者としてその後すべき対応」
/元都立府中病院院長 医師の労働環境問題に取り組んだ経緯あり

●松村 理司 氏「“救急”を断らない病院を支えるもの」
/洛和会音羽病院院長 勤務医の過重労働軽減と病院の質向上に奮闘中

 2人の医療ジャーナリストが司会・進行役を務めながら、患者・患者家族、医
療関係者、医療系学生、子育て中の母親たち、一般希望者と熱い議論を交わして
いく予定です。是非ともいらしてください。そして、多くの方々に伝えてくださ
い。このままでは、あなたを診る医師がいなくなってしまうことを。そうならな
いように、どうしたらいいのかを。

対象:患者・患者家族 医療関係者 医療系学生 一般希望者(定員300名)
会費:100円(資料代として)

主催:小児科医師中原利郎先生の過労死認定を支援する会
共催:NPO法人医療制度研究会
   全国医師連盟
   『知ろう!小児医療 守ろう!子ども達』の会、
   県立柏原病院の小児科を守る会 
   I-Cube
後援:構想日本』

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コメント

中原先生の奥様とは一度だけお会いした事がありますが素敵な方です。少し意外だったのは、もう少し物静かな硬そうな人柄を想像していましたが、実際は気さくな(どころではない)キャラに少々驚かされました。

あれだけハイテンションの奥様が家庭を支えても、支えきれない過酷な状態が中原先生に強いられていたかと思うと、暗澹たる思いがこみ上げてきます。

この裁判も日本の医療を左右するものの一つです。結果には非常に注目しています。

投稿: Yosyan | 2008年6月27日 (金) 15時36分

こんにちは
Yosyanさま

コメントありがとうございます。

>あれだけハイテンションの奥様が家庭を支えても、支えきれない過酷な状態が中原先生に強いられていたかと思うと、暗澹たる思いがこみ上げてきます。

そこまで、小児科医は追いつめられているというのが真相なのですね....

>この裁判も日本の医療を左右するものの一つです。結果には非常に注目しています。

この裁判は、いいかえると病院は「医師を過労死するまで使い切っても罪に問われない」ということを....被告勝訴の場合、認めるということになるかと....。そのようなことを認めれば、どうなるか?は明らかですね....。

投稿: いなか小児科医 | 2008年6月29日 (日) 15時17分

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