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2008年6月13日 (金)

壊死性リンパ節炎

2008年6月13日 晴れ
蒸し暑い一日でした。

壊死性リンパ節炎は現在では組織球性壊死性リンパ節炎と呼ばれることが多い様です。1972年当時、福岡大学第1病理学教授であった菊池昌弘先生により報告されたとされています。その特徴は「比較的若い女性に多く、初め前駆症状として 扁桃腫大をともなう上気道症状が発現し、それとあい前後して主に側頚部の皮下リンパ節腫大と白血球減少をきたし、腫大リンパ節に壊死巣が存在し、組織球と大型のリンパ球が増殖しているが、好中球などの浸潤は見られないという特異な組織学的所見が見られる全身性の病気」とされます。

リンパ節腫脹はその中に、悪性リンパ腫やその他の悪性疾患の表現としてとらえらることがあり、その診断にはリンパ節生検が必要になることも多いといえます。

ココからは私の経験にもとずいて、作り上げたフィクションとなります。

数年前に経験した患者さん。

8歳男児 1週間前程から「首が痛い」と訴えていた。そのうちに、頚部にシコリができて受診。頚部にゴロゴロとしたリンパ節を触れ、圧痛は僅かにある様子。貧血はなく、肝脾腫はみられず、血液検査では白血球2,400/μlと白血球減少を認めるのみで、CRP 1.22と炎症所見も僅かであった。とりあえず、抗生剤を処方して経過を観察したが、リンパ節腫脹は変化なく、白血球も2,500/μlと減少が続いていた。

その数日後、38℃代の発熱があり再診。頚部の痛みが、やや強くなっており、相変わらず白血球数は2,300/μlと白血球減少がみられていた。肝由来酵素のGOT/GPTはそれぞれ30/46と明らかな上昇はみられず、LDHのみ350と軽度増加。フェリチンは120と増加なし。リンパ節生検も含め、入院して観察とした。この時、御両親には1.悪性リンパ腫、2.ウイルス感染にともなうもの、3.壊死性リンパ節炎などの可能性をお話ししリンパ節生検の必要性を納得していただいた。

入院後は、40℃に及ぶ高熱が持続。数日間続いた。この間も炎症所見は極軽度で上昇せず、また、抗生剤も使用していたが解熱しないことなどから、いわゆる細菌感染によるものではないことが示唆された。白血球は相変わらず3,000/μl以下を推移。頚部より、リンパ節生検を行いスタンプ標本を鏡検。血液の上級医師とともにのぞく。

モノクローナルなリンパ球増加はなさそうであった。所々に、細胞質の明るい貪食細胞(マクロファージ)がリンパ球の核と思われる部分を細胞質内に取り込んで貪食、破壊している像がみえる。弱拡大でみると、リンパ球の密集した部分と貪食細胞の明るい細胞質が...あたかも星空のようにみえる....。starry-sky appearanceって、何か聞いたことあるな....。バーキットリンパ腫??
病理の結果を待つことにする。

骨髄穿刺では、芽球の増加はみられず、貪食像も多くない...。術前に施行した胸腹部CTでは特に縦隔、腹腔にはリンパ節の腫大はみられない。

そのうちに、解熱しリンパ節の疼痛も軽快してきた。しかし、相変わらず白血球数は低下したまま...。食欲は今ひとつ....下血などはみられない。

病理の結果が数日後に返却されてきた。Histiocytic ncrotizing lymphnode adenitis- Kikuchi's disease: 組織球性壊死性リンパ節炎との診断。よかった...良性で....。

熱は下がったが、リンパ節の疼痛は持続、白血球も減少傾向にあることからステロイドによる治療を行い、退院とした。

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コメント

初めまして、6月14日に生後3ヶ月の孫のリンパが大きくこぶのように腫れ現在八王子小児科病院に入院してます。リンパ節炎という事ですが、膿を切開で取り除いても、腫れは引かず白血球も20000を超えてます。先生から他の病気が隠れているかもしれないので来週検査をするとの事でした
どんな病気が考えられるのですかと聞いたところ
はっきりと言われず、とても不安です。
始めに白血球が23,000ありその後26.000になり
18.000まで下がったのですが、また20000を超えたと言われました。どのような事が考えられますか。良かったら教えてください よろしくお願いいたします。

投稿: 佐藤圭美 | 2008年6月28日 (土) 23時15分

こんにちは
佐藤圭美さま

お孫さんがリンパ節炎で入院してらっしゃるのですね...。

さて、御質問の件に関してですが...白血球が非常に高いことから何らかの炎症であることが推測されますが....コレだけの情報では、なかなか判断できません。また、リンパ節腫脹に関しては、触診や超音波検査、リンパ節の生検などの検査にて総合的に判断をすることから、実際の患者さんを目の前にしてからでないと情報を提供するのは難しいと感じます。

申し訳ありませんが、主治医の先生とよくよくお話の上、疑問点がありましたら御説明いただくようお願い致します。

投稿: いなか小児科医 | 2008年6月29日 (日) 15時34分

突然申し訳ありません。

三週間前に壊死性リンパ節炎と診断されました。

今は平熱(35.3度前後)プラス1度に落ち着き、首は3cmのシコリと圧痛程度で生活も特に支障もなく、かかった病院も他県だったので都内に戻ってからは病院には行ってません。
しかし今朝からシコリ辺りが少し腫れ、痛み出し、熱は37.5度になってきました。

先生の経験上、一度落ち着いたものがぶり返すことはありましたか?
またシコリはいつ頃なくなる傾向が多いのでしょうか?

お忙しいと思いますが、もしお時間がありましたら教えてください。

投稿: 有希 | 2008年7月18日 (金) 22時39分

こんにちは
有希さま

壊死性リンパ節炎と診断されたのですね....。確認ですが、リンパ節生検を行って確定診断されたということでよろしいのでしょうか?

その上でお話をさせていただきますが....菊池病(組織球性壊死性リンパ節炎)は、一種の自己免疫疾患と考えられており、いわゆる膠原病や血球貪食症候群と類縁の疾患であると思われています。私は、あまりこの病気に関して造詣が深いわけではありませんが...文献を渉猟する限りでは、再発、あるいは後に膠原病を発症する方がいらっしゃる様です。

ですから、一度は治癒されたようですが、これからも継続して経過を追っておく必要はあるように感じます。微熱、リンパ節腫脹が再び現れたのであれば、都内の医療機関を受診するべきであろうと考えます。

その際、できれば外科が併設された総合病院で、血液内科の専門医に受診されるのがよろしいかと思います。

投稿: いなか小児科医 | 2008年7月19日 (土) 09時02分

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