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2008年6月20日 (金)

レス_論点のズレ

本日、2稿目となります。

三重県の整形外科診療所にて起こった点滴後の敗血症事件...拙ブログ:論点のズレにてとりあげました。そのエントリーに貴重なコメントをいただきましたので新たにエントリーを立ててお答えしたいと考えます。

666AKS様より

いつも読ませていただいています。事故が起こるのは1つだけが原因ということは稀で、複合しておこるといわれています。
(1)混注の際、アルコール性の消毒剤を使わなかった。ボトルのキャップはアルコールで荒れたと文句をいうはずがないですよね。(2)消毒剤の希釈濃度が不適切。取扱説明書の5%グルコン酸クロルヘキシジンの希釈倍数は最大100倍で、それも損傷した皮膚や手術室、病室の消毒など汚染を考慮していない場合です。(3)作成したボトルを不必要に保存した。作り置きも当日使い切っていれば菌の増殖は少なかった。どれかがなければここまでのことは起こらなかったのにと思います。消毒剤を節約することで、どれだけお金が浮いたのでしょう。遺伝子操作した大腸菌を滅菌せず廃棄して、停職となった教授もいましたが。この辺りの節約感覚は異常と思います。

仰る通り、様々な原因が複合的に絡んで多くのミスが誘導されます。ハインリッヒの法則はこのことを、逆の方向からみたものと考えています。さて、件のエントリーでは、新聞記事中に「素手で消毒綿を調製」したことがあたかも今回の事件の原因であるかのような書かれ方でしたので...「それは違うんじゃないの」ということを訴えたかったという次第です。その点については御同意いただけると考えております。

また、「消毒剤を節約することで、どれだけお金が浮いたのでしょう。遺伝子操作した大腸菌を滅菌せず廃棄して、停職となった教授もいましたが。この辺りの節約感覚は異常と思います。」確かに異常ですね...。でも、この異常さが生まれる背景には何があるのでしょうか?昨今の社会保障費削減の流れの中で、開業医も潰れる時代です。何が何でもコストを下げる努力をするのでは??

厚生労働省が進めるDPCにおいても、何が何でもコストを下げる努力を導きます。このような杜撰な衛生管理が生まれる素地を現在の医療政策が作っているのではないか?どうしても、この考えから抜けることができません....。

Level3様より

>(1)混注の際、アルコール性の消毒剤を使わなかった。ボトルのキャップはアルコールで荒れたと文句をいうはずがないですよね

これは点滴を作っていた看護師さんの手に対してのことでしょう.

>消毒剤を節約することで、どれだけお金が浮いたのでしょう。

国の政策による「医療費削減」はいろいろなところに歪みを生じさせています.この病院の所行に問題がなかったとは言いませんが,社会的な背景にも注意しておく必要があるでしょう.これでもまだ国は社会保障費を減額しようとしています.このままではこれから先,もっとあちこちに歪みが生じて問題が噴出するでしょう.その時に「医療者だけ」を責めるようなことはしないで頂きたい.問題の根はもっと深いのです.

アルコールを使用して、殺菌は出来るが手が荒れてしまい、そこにMRSAが生えてしまったという事例を聞いたことがあります。医療における常ですが...100%の処置、治療、方策はないということです。手が荒れて仕方がないのであれば、ヒビテン、ステリクロンなどに変更するのは合理的な考えであると感じます。
この診療所の行いは決して許されることではありません。しかし、年間2200億円といわれる社会保障費削減の時代においては起こるべくして起こった出来事かも知れませんね...。

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コメント

引用いただきありがとうございます。私のいいたい趣旨は:点滴ボトルの接合部の消毒に、アルコール系消毒剤を用いておれば、今回の死亡に至らずにすんだ可能性が高いという点です。
病院レベルでは手指をアルコール消毒の上、無滅菌でよいから手袋をはめて点滴の操作をするのが標準だと思います。医院レベルではここまでは要求が高すぎるかもしれません。ただ看護師さんの手荒れが問題なら、せめて手袋をはめなさいとか、手荒れしにくいアルコール消毒薬を使うとか別途の対策を考えた方がよかったかと。(ヒビテン、ステリクロンの消毒は30秒以上の時間がかかりますので、忙しい現場では待てない危険性があります。)
必要なお金を抑制してゆくと安全のレベルも下がってしまう危険性がありますよという、おっしゃりたい趣旨はわかります。

投稿: 666アKS | 2008年6月21日 (土) 10時24分

以前から疑問なのですが、どなたかご存じの方もいるかも知れないので書き込ませていただきます。

そもそも点滴の接続部は不潔なのでしょうか。
いや、建前上清潔となっていないことは分かりますが、実際にも不潔なのでしょうか。

製造工程上は滅菌されていると思われますし、その後もシールされているように思われますので、個人的には清潔なのではないかと思っているのですが。

投稿: bamboo | 2008年6月22日 (日) 05時03分

bambooさま
こんばんは

これ、私も思ってました。ボトルの底の接続部は、基本的に清潔ですよね...コレを消毒しようとすると、むしろ不潔にするのでは?と思われます。針も当然滅菌されているはずなので、最初に貫通させるときは、消毒を行わずに刺した方がいいのでは??

でも、かっちりとした答えは持っておりません。(すいません...)

投稿: いなか小児科医 | 2008年6月23日 (月) 00時01分

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