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2008年5月17日 (土)

夕張の苦悩

2008年5月17日 晴れ

御存知と思うところですが...夕張は冬期には零下20度となる極寒の地です。当然、その地にある住居や施設には、冬期にも人間が凍死しないように環境を整える必要があります。暖房が必要ですが、その暖房の効率が問題となります。
住居の窓、壁などから室内の熱は外気に逃げ続けます。特に、設備が古く、断熱の悪い施設であれば尚のこと....。暖房の熱が逃げ、その分だけ余分に石油、或は石炭、その他のエネルギーが必要です。エネルギーは言い換えるとお金です。効率の悪い施設はそれだけで、その施設の経営を圧迫します。

夕張は財政破綻で話題を振りまきましたが、その裏には旧炭坑町という非常に裕福な時代があり、炭坑のなくなった後も市の経営を通常考えられる正常な経営にもどさず、放漫経営を続けた結果なのです。夕張市職員の罪は重い!

そして、ここまでの状況ながら、市職員の多くは満額の退職金をいただいたのち、別の地域に移り住んでいます。当初より予想された事態ですが、その対応には「何とかする」という約束があったようです。でも、辞められた職員さんとした約束は反故となっているようです。更に罪は重いでしょう。

夕張医療センターは公設民営で経営されています。その受け手である「夕張希望の杜」の理事長である村上智彦氏は定期的にメールマガジンを発行しています。その、2008年5月16日号では、村上氏の苦悩がにじみます。御本人に許可をいただき、ここに全文を紹介します。

<正念場>

今月は夕張医療センターが開業して最大の危機を迎えています。

開業当初から行政の対応の遅れや、老朽化して充分なメインテナンスを怠ってきた建物の補修、整備をしてこなかった医療機器の修理といった事で莫大な損害を被ってきました。

例えば開業数か月でボイラーが故障して、その修理に90万円以上の経費がかかりました。

公設民営という運営方法は、公が建物を提供し医療の方針を決めて、運営を民間の指定管理者が効率的にやるというのが基本で、医療機関の診療報酬は2か月遅れで入るので、通常は最初に数億円の運転資金を準備して民間の指定管理が運営しやすいようにするのが一般的です。もちろんこれは行政が住民の安全・安心を守るという気持ちがあればの話です。

夕張市は財政破綻している関係で資金が無い、というか本来住民の安全保障のためには資金を準備すべきだったはずなのですが、丸投げにしてしまいました。

暖房光熱費が以前は年間7000万円という莫大な金額でした。

これは燃料が石炭で無料だった時代の建物と暖房方法のままにしてあったためで、環境問題で炭酸ガスの排出を抑えようという今の流れからは考えられないものです。

道庁や市はこれに対して暖房費を節約するための改修工事をしてくれましたが、実際には専門家の分析で10%程度の削減にしかなりませんでした。

北海道のガラスメーカーであるフクソーガラスさんが断熱2重サッシを寄贈して下さり、これによる断熱効果は30%であとは現場の節約により暖房光熱費を節減しても年間5000万円にもなりました。

これは収入の12%位になり、通常の病院では暖房光熱費が5%程度で新しい建物であれば3%程度という事を考えますと、とても運営を続けていける数値ではありません。

その分従業員の給与を抑えて苦労を強いて来ました。

もちろんこのような事は開業当初からある程度予想されたので、契約時に話をしたのですが、当時の首長や役場の幹部職員は「公的な医療機関は必要なので何とかします」といってぎりぎりまで先延ばしをして、契約を結びました。

その方達は全員退職して、残った職員の皆さんは知らぬ存ぜぬを繰り返す事になりました。

言い方を変えますと「欠陥住宅を嘘をついて売りつけて、契約書を盾に入居者に補修を押し付けている」状態です。公設民営方式の公の役割を全て放棄してしまっている訳です。

抗議をしたところ「人件費が高いからだ」「運営が悪いからだ」と言われましたが、うちの法人は暖房光熱費が5%程度なら十分黒字になっています。

経営の専門家に運営状況を評価してもらったところ、1年目にしたら十分に優秀で今後は黒字が見込めると言われました。

患者数も3000人を超えて在宅医療が増えて、10月には医師の数も4人に増えて他の医療機関への支援も可能になる様な状況です。

しかし過大な維持管理費のために資金ショートしそうになっています。

今は夕張市、道庁、国に現状を報告して対応をお願いしています。職員には住民の1人として他の住民の皆さんに正しく状況を伝えて、住民自身がここの医療が必要なのか考えて声を出して欲しいとお願い
しました。

1人よりも70人以上いる職員とその家族が真剣に自分達の地域の将来を考え、それを周囲に伝えることが必要だと思いました。

地域を守るのは最終的には住民自身です。誰かに責任を押し付けて自ら行動しないと破綻するという事を経験しているのは夕張市民だけです。

まだ先は見えませんが、これが出来なければこの町は消えていくのだと思います。行動せずに批判だけしているのは簡単ですが、その事が地域を疲弊させているように私には思えます。

 医療法人財団 夕張希望の杜
   理事長 村上智彦


ずっしりと重い文章です。
どうか、この難局を越えられる様、願っております。

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