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2008年5月

2008年5月31日 (土)

因果関係....

2008年5月31日 曇り

確かに、e抗原陽性のB型肝炎キャリアーまたは慢性肝炎のかた、あるいはミュータントのタイプでe抗原陰性でも血中のB型肝炎ウィルスの量が多いかたからは『針刺し』での感染成立の確率が高いといえます。そのことがまだ余り周知され理解されていない時代の予防接種で感染が拡大した可能性はあります。

予防接種でB型肝炎に感染したとして3人の方々が国を相手取り損害賠償の民事訴訟をおこしました。

「予防接種で肝炎」と提訴
魚拓

『乳幼児期の集団予防接種で注射器が使い回されB型肝炎ウイルスに感染したとして、広島県内の患者3人が国に計9900万円の損害賠償を求める訴訟を30日、広島地裁に起こした。全国B型肝炎訴訟の一環で同日、福岡、札幌、鳥取の各地裁でも同様の提訴があり、全国では12都道府県の患者計33人について、国に計約11億7000万円の損害賠償を求めた。』

予防接種はその性格から、副反応が生じる可能性があります。(全ての医療処置でそうですが....)そして、広くその恩恵を得るために多くの方々に受けていただかなくてはなりません。あるとき、百日咳を含む3種類のワクチンに瑕疵があり、予防接種が中止されたことがありました。その後は、乳児の間に急速に百日咳が拡大し明らかな死亡数の増加をもたらしました。予防接種の恩恵とはこのようなもので、守られている時には気付かないといったものです。

我々にとって、非常に重要な予防接種。それを推し進めるためには、切っても切り離せない副反応への備えが必要です。予防接種にまつわる副反応には生命に危険のない軽微なものから、アナフィラキシーや施行後しばらくして起こる急性散在性脳脊髄炎などの重篤で命の危険を伴うものがあります。ごくごく頻度が低い(百万回に1回程度の頻度)このような副反応に対してもキチンと補償するハラでなければ予防接種を受けるヒトは増えないし、施行する医師も気が気ではないでしょう。

今回の、予防接種によりB型肝炎が感染したというような事例は、予防接種の副反応という範疇から考えると少し異色であると言わざるを得ませんが、使い回しが起こった時点で「使い回しにより、B型肝炎の感染が拡大する」という考え方が至極一般的となっていれば、補償を行うべきであろうと考えます。一般にその考え方が浸透していなければ、どうでしょうか?
因果関係を超えて補償するのであれば、それは「無過失補償制度」に通ずる考え方となります。

『弁護団によると、原告は41―50歳で、広島市の男性2人と三原市の女性1人。6歳までに県内などで集団予防接種を受け、現在は慢性肝炎を患っている。訴状では「国は注射針を連続使用した場合肝炎ウイルスが感染する可能性を認識し、未然防止の義務があったのに怠った」と指摘。1人当たり3300万円を求めた。

 広島訴訟の我妻正規弁護団長は提訴後の会見で「肝臓がんや肝硬変を患い、不安を抱える患者に1日も早い救済策を講じるよう求める」と述べた。』

予防接種は前述した通り、気がつかないうちに我々を守ってくれている様な存在であり、非常の重要な医療処置です。広く予防接種を行うためには、腰を据えた副反応に対する補償対策が必要です。当時の水準に照らし合わせ、明らかな過失がないという判断であれば、この場合、補償を受けることができないのでしょうか?

このようなものに対しても、「無過失補償制度」が必要であると...考えさせられます。

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2008年5月29日 (木)

百日咳の流行

2008年5月29日 曇りのち晴れ

成人を中心とする百日咳の流行がみられています。私も、家族内での感染流行を経験しました。小児では、血液検査でリンパ球数の著明増加を伴う白血球の増加と症状等で診断がつきやすいのですが、成人ではそのような所見がありません。2から3ヶ月程度続く頑固な咳。そして、家族内で感染している様な徴候がある。というのが診断の端緒となるでしょう。

ここで百日咳とはどんな病気か??ですが...
グラム陰性桿菌の百日咳菌(Bordetella pertussis)による呼吸器感染症の一種で、特有の発作性咳が長期間持続することから百日咳と呼ばれる。特に、生後6ヶ月以内の幼弱な乳児においては、生命の危険を伴うとされる。初期は軽い風邪症候群のような症状のカタル期(約2週間持続)、中期は重い咳の発作が起こる痙咳期(約2 - 3週間持続)、回復期の3段階。咳発作は夜間が起こりやすく、24時間で平均15回程度。発作時には嘔吐、チアノーゼ、無呼吸、顔面紅潮・眼瞼浮腫(百日咳顔貌)、結膜充血の症状が見られ、尿失禁、肋骨骨折、失神も見られる。

大人の百日ぜき、増加止まらず=近年の水準大きく上回る−流行形態が変化・感染研 5月27日12時32分配信 時事通信
魚拓

『今春以降、百日ぜき患者の報告数増加に歯止めが掛からず、過去10年で突出して多かった2000年の水準をも大きく上回っていることが27日、国立感染症研究所のまとめで分かった。成人患者が4割近くを占めている。
 安井良則主任研究官は「小児中心の流行形態が変化し、大人の間で流行するようになった。現在の小児科定点の調査では、実態把握は困難だ」としている。
 同研究所によると、12日から18日までの1週間に全国約3000カ所の定点医療機関から報告された患者は325人。1カ所当たりで、近年多くても0.02〜0.04人程度だったのが、0.1人を超えた。
 都道府県別では、広島45人、愛媛26人、埼玉、愛知各24人、千葉23人が多かった。
 今年に入ってからの累積は2177人で、2000年の同時期(1365人)の約1.6倍。20歳以上の割合は年々増加し、今年はこれまでのところ37.5%を占めている。』

成人で長期間咳が続く方々には、百日咳も考慮に入れた診療が必要です。その診断においては、咽頭からのBordetella pertussisの培養ですが...急性期でないと検出しにくいこと。培養の手技がやや特殊であるなど...難しいと思われます。ある程度、発症から時間が経過しているならば百日咳抗体を検査することであろうと考えます。私の経験例でも、百日咳山口株が高値で振り切れていました。

痙咳期であればなかなか治療が難しい。(治療しても症状の軽快は余りない)ですが...診断すれば、やはり感受性があると思われるエリスロマイシンなどを使用する様にしています。

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2008年5月26日 (月)

採血器具での感染

2008年5月26日 晴れ
徐々に確実に暑くなっています。

糖尿病の患者さんなどはインスリンなどを使用している時、頻回の自己血糖測定が必要となることがあります。その採血を補助するために開発されてきたのが、今回問題となった採血補助具です。

人間の皮膚は、外界からの病原体から保護する第一の関門となります。皮膚が健常であるならば、外界から(皮膚を通して)血中に病原体が侵入することはありえません。

しかし、注射針などを穿刺すると、その部分の皮膚は欠損することになり、そこから病原体が侵入する可能性ができます。

今回、問題となったのは採血のための針ではなく、採血補助具の方です。当然、針はディスポーザブルにするべきですが、針に近い部分の補助具の部分も同時にディスポーサブルにすべきであったということです。採血補助具の種類により、その患者さん専用で使用すべきもの、多数の患者さんでも安全に使用できるものに分かれます。糖尿病の患者さんを多数抱える病棟では、この採血補助具は非常に使用頻度も多く、患者さん専用にしているところは余りないでしょう。

私の勤務する病棟でも採血補助具を調べましたが、使っていない「一部がディスポーザブルでない器具」が見つかり即刻、廃棄としました。

採血器具、島根県内20機関で使い回し…厚労省が全国調査へ 5月26日8時52分配信 読売新聞
魚拓

『島根県益田市の診療所が、血糖値測定用の針付き採血器具を使い回していた問題で、同県ではこの診療所も含め、計20の医療機関で同様の不適切な使用が行われていたことが県の調査で分かった。

 厚生労働省は2006年3月、医療機関などに出した通知で、同種器具の使い回しを禁止しており、使用実態に関する全国調査を行うことを決めた。

 島根県は問題発覚後、県内の全医療機関(753施設)を調査。浜田市立の2診療所、4私立病院、13私立診療所でも使い回しを確認した。いずれも、針は使う度に交換していたが、本体に血液が付着していた可能性がある。』

針を変えるだけでは十分ではない。先の部分がディスポーサブルになるものなどを使用する必要があります。

『浜田市は25日、市立の2診療所で計86人に使い回していたと発表した。市国民健康保険弥栄(やさか)診療所(阿部顕治所長)は07、08年に開いた健康イベントの血糖値測定コーナーで、ペン型採血器具1個を使い、参加者計71人から採血。07年11月には健康教室で2人の採血をした。同波佐(はざ)診療所(北条宣政所長)では厚労省の通知以降、所内の検査で同種の器具1個を13人に使った。両診療所とも、本体は交換せずに、アルコールでふいただけといい、市は器具を使った全員を対象に、26日から感染症などについて検査をする。』

特に、HBe抗原陽性のB型肝炎キャリアー、B型急性肝炎、慢性肝炎の患者さんの血液には多量のB型肝炎ウィルスが含まれ、ちょっとした針刺しでも十分に感染が成立する可能性があります。今一度、病院で使用されている採血補助具のチェックするべきです。

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2008年5月24日 (土)

方針の転換

2008年5月24日 雨
厚生労働省もそろそろ現状を直視できるようになりつつあるようです。

「医療の必要なし」として削減の予定であった、医療型「療養病床」(25万床)のうち4割と介護型「療養病床」ですが...。これを撤回しました。

<療養病床>削減を断念「25万床維持必要」 厚労省 5月24日15時0分配信 毎日新聞
魚拓

『長期入院する慢性病の高齢者向け施設である医療型「療養病床」(25万床)を11年度末までに4割減らす計画について、厚生労働省は削減を断念し、現状維持する方針に転換した。都道府県ごとに需要を調査した結果、25万床前後の確保が必要と判断した。厚労省は療養病床削減により医療給付費を3000億円削減する方針だったが、今回の計画断念で高齢者の医療費抑制政策全般にも影響を与えることは必至だ。』

さらりと書いていますが....そもそも医療費は抑制すべきなのか??これは大きなギモンです。もちろん、効率化は進める必要があります。

『政府は06年2月、「入院している人の半分は治療の必要がない」として、当時38万床あった病床のうち介護型療養病床(13万床)を全廃し、医療型療養病床を4割減らして15万床にする方針を決定。達成に向け、「医療の必要度が低い」と判定された人の入院費を減額し、そうした入院患者を多く抱えていた場合は病院経営が成り立たなくなるようにした。

 しかし一連の病床削減策は、入院先を求めて住み慣れた地域をやむなく離れたり、自宅にお年寄りを引き取った家族が介護に悲鳴を上げるケースなどを生んだ。「患者追い出しを誘導し、行き場のない医療難民を大量に生む」との強い批判も招いた。』

この方法は、厚生労働省の常套手段でした。「飴で釣っておいて、梯子を上った所で、突然その梯子を外す。」長期入院を多く抱えざるを得ない施設は、長期療養型病床へ転換をはかりました。3ヶ月以上入院していると、入院費は大幅に減額され実質赤字となるからです。仕方がなく、その流れに乗って施設の改造を行いました。そして、降って湧いた様な...削減の方針です。現場からすれば、余りに酷い!
方針が提示された後には、社会的理由で家庭では診て行けない患者さんが家庭に戻されました。いろいろな事例が起こりました....。厚生労働省の責任は極めて重いといえます。

『このため厚労省は07年4月、医療型療養病床のうち回復期リハビリ病棟(2万床)を削減対象から外したうえで、都道府県を通じて実情調査。必要とする療養病床数を積み上げたところ、当初計画を7万床上回る約22万床に達することが判明した。一方で削減対象から外したリハビリ病棟は今後少なくともいまの1.5倍、3万床程度は必要になるとみられている。需要数を合わせると現状と同じ25万床前後となり、削減計画の見直しに追い込まれた。』

要は、現状維持が必要ということでしょうね....。社会的入院はできるだけ減らすべきですが、それを減らすのであれば、受け止める受け入れ先をキチンと整備するべきです。

『【ことば】療養病床

 慢性病の高齢者向け長期入院施設。ピーク時の06年2月には、医療保険が適用される医療型(25万床)、介護保険適用の介護型(13万床)の計38万床あった。双方の入院患者や施設の実態に違いはないと指摘される。厚労省は、医療の必要性がない社会的入院の受け皿となっているとみて、高齢者の医療費抑制のため削減する考えだった。』

現在の家庭では、共働きなどで介護力は低下しています。それを、受け止めてきたのは療養病床であったと思われます。それを、医療の必要なしという一言で削減の対象にするというのは...あまりに現実から乖離しています。そろそろ、目を覚ますときです...官僚のみなさま....。

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身体検査

2008年5月24日 日付が変わっちゃいました...

航空機のパイロットは特に旅客機においては多数の人命をあずかる重要な、お仕事です。その健康状態が完全か?どうかはその重要性から特に厳しく管理されています。

視力や、意識を失う可能性の有無。アルコールは当然、乗務前にはいけません。風邪薬は3日前からダメと聞いたことがあります。

国土交通省も旅客機のパイロットについて、その資格更新にあたり、既往歴、現病歴をチェックしている様です。

日本人副操縦士らも不適切=「航空身体検査」でスカイネット 5月23日14時0分配信 時事通信
魚拓

『スカイネットアジア航空(宮崎市)が、パイロットの飛行に必要な「航空身体検査証明」を不正に取得させていた問題で、新たに日本人2人を含む3人が不適切な方法で証明書を取得・保持していたことが23日、分かった。』

うーむ、どのような内容でしょうか?日航機が羽田沖に着陸中、機長が逆噴射させ滑走路前の海に墜落した事例では、機長は妄想型精神分裂症(当時の呼称です)を発症していたことが解っています。そのように重大な問題が隠されていたのであれば、許されることではないでしょう。

『国交省や同社によると、3人のうちメキシコ人機長(48)は、日本で最初の検査証明を取得する前の2006年10月、腹部ヘルニアの治療を受けたが、これを検査の指定医に申告せずに昨年2月から3回にわたって証明を取得した。』

腹部ヘルニアとは...ソケイヘルニアのことでしょうか?詳しくはわかりませんが...ソケイヘルニアの治療歴があれば、資格は剥奪されるのでしょうか?むしろ、治療せずに飛んでいて、飛行中に嵌頓していれば大変なことでしょうに...。

『このほか、日本人副操縦士(37)は昨年2月に網膜はく離の予防手術を受けたことを指定医に相談せず、そのまま検査証明を保持。別の日本人副操縦士(45)も、昨年10月の右目の治療を指定医に相談しなかった。』

視力の大部分を出している黄斑部以外にレーザー凝固を行ったということでしょうか?視力に関係する部分なので、全てはOKというわけではないでしょうけどね...。報告した上で、対処してほしかったですね....。

恐らく、パイロットが資格を更新できない時に、会社全体に与える影響をおそれ、このようなコトに至ったのではないかと...思います。

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2008年5月20日 (火)

第43回日本小児腎臓病学会

2008年5月20日 
日付が変わっちゃいました...

6月13日(金)から14日(土)にかけて福岡市にて標記学会が開催されます。
何とか出席しておベンキョしたいと考えています。

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2008年5月18日 (日)

エコ替え??

2008年5月18日 晴れ
風が強い。

テレビでは、ある自動車会社がCMを流しています。そのコンセプトは『エコ替え』...。

燃費の悪いクルマを燃費の良いクルマに買い替えて、CO2の排泄量を減らしましょう。ということらしいです。

確かに、ハイブリッド車などの非常に燃費の良いクルマは、走ってるだけで地球環境に与える良い影響があるでしょう...。でも、クルマを買い替えるということは、廃車となるクルマがある訳で...その処理に費やすエネルギーもあるはずです。また、新しいクルマを作るために必要なエネルギーもあるはず。

オーバーオールでみると、CO2の排泄量は『エコ替え』により減るのでしょうか?増えることはないのでしょうか?ギモンです。

今あるクルマを動く間は使って、次に燃費の良いクルマを購入するということではいけないのか?

地球環境の保護のために、いろいろな動きがありますが、その動きの裏には大企業の思惑が蠢いているように感じて仕方ありません。

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2008年5月17日 (土)

夕張の苦悩

2008年5月17日 晴れ

御存知と思うところですが...夕張は冬期には零下20度となる極寒の地です。当然、その地にある住居や施設には、冬期にも人間が凍死しないように環境を整える必要があります。暖房が必要ですが、その暖房の効率が問題となります。
住居の窓、壁などから室内の熱は外気に逃げ続けます。特に、設備が古く、断熱の悪い施設であれば尚のこと....。暖房の熱が逃げ、その分だけ余分に石油、或は石炭、その他のエネルギーが必要です。エネルギーは言い換えるとお金です。効率の悪い施設はそれだけで、その施設の経営を圧迫します。

夕張は財政破綻で話題を振りまきましたが、その裏には旧炭坑町という非常に裕福な時代があり、炭坑のなくなった後も市の経営を通常考えられる正常な経営にもどさず、放漫経営を続けた結果なのです。夕張市職員の罪は重い!

そして、ここまでの状況ながら、市職員の多くは満額の退職金をいただいたのち、別の地域に移り住んでいます。当初より予想された事態ですが、その対応には「何とかする」という約束があったようです。でも、辞められた職員さんとした約束は反故となっているようです。更に罪は重いでしょう。

夕張医療センターは公設民営で経営されています。その受け手である「夕張希望の杜」の理事長である村上智彦氏は定期的にメールマガジンを発行しています。その、2008年5月16日号では、村上氏の苦悩がにじみます。御本人に許可をいただき、ここに全文を紹介します。

<正念場>

今月は夕張医療センターが開業して最大の危機を迎えています。

開業当初から行政の対応の遅れや、老朽化して充分なメインテナンスを怠ってきた建物の補修、整備をしてこなかった医療機器の修理といった事で莫大な損害を被ってきました。

例えば開業数か月でボイラーが故障して、その修理に90万円以上の経費がかかりました。

公設民営という運営方法は、公が建物を提供し医療の方針を決めて、運営を民間の指定管理者が効率的にやるというのが基本で、医療機関の診療報酬は2か月遅れで入るので、通常は最初に数億円の運転資金を準備して民間の指定管理が運営しやすいようにするのが一般的です。もちろんこれは行政が住民の安全・安心を守るという気持ちがあればの話です。

夕張市は財政破綻している関係で資金が無い、というか本来住民の安全保障のためには資金を準備すべきだったはずなのですが、丸投げにしてしまいました。

暖房光熱費が以前は年間7000万円という莫大な金額でした。

これは燃料が石炭で無料だった時代の建物と暖房方法のままにしてあったためで、環境問題で炭酸ガスの排出を抑えようという今の流れからは考えられないものです。

道庁や市はこれに対して暖房費を節約するための改修工事をしてくれましたが、実際には専門家の分析で10%程度の削減にしかなりませんでした。

北海道のガラスメーカーであるフクソーガラスさんが断熱2重サッシを寄贈して下さり、これによる断熱効果は30%であとは現場の節約により暖房光熱費を節減しても年間5000万円にもなりました。

これは収入の12%位になり、通常の病院では暖房光熱費が5%程度で新しい建物であれば3%程度という事を考えますと、とても運営を続けていける数値ではありません。

その分従業員の給与を抑えて苦労を強いて来ました。

もちろんこのような事は開業当初からある程度予想されたので、契約時に話をしたのですが、当時の首長や役場の幹部職員は「公的な医療機関は必要なので何とかします」といってぎりぎりまで先延ばしをして、契約を結びました。

その方達は全員退職して、残った職員の皆さんは知らぬ存ぜぬを繰り返す事になりました。

言い方を変えますと「欠陥住宅を嘘をついて売りつけて、契約書を盾に入居者に補修を押し付けている」状態です。公設民営方式の公の役割を全て放棄してしまっている訳です。

抗議をしたところ「人件費が高いからだ」「運営が悪いからだ」と言われましたが、うちの法人は暖房光熱費が5%程度なら十分黒字になっています。

経営の専門家に運営状況を評価してもらったところ、1年目にしたら十分に優秀で今後は黒字が見込めると言われました。

患者数も3000人を超えて在宅医療が増えて、10月には医師の数も4人に増えて他の医療機関への支援も可能になる様な状況です。

しかし過大な維持管理費のために資金ショートしそうになっています。

今は夕張市、道庁、国に現状を報告して対応をお願いしています。職員には住民の1人として他の住民の皆さんに正しく状況を伝えて、住民自身がここの医療が必要なのか考えて声を出して欲しいとお願い
しました。

1人よりも70人以上いる職員とその家族が真剣に自分達の地域の将来を考え、それを周囲に伝えることが必要だと思いました。

地域を守るのは最終的には住民自身です。誰かに責任を押し付けて自ら行動しないと破綻するという事を経験しているのは夕張市民だけです。

まだ先は見えませんが、これが出来なければこの町は消えていくのだと思います。行動せずに批判だけしているのは簡単ですが、その事が地域を疲弊させているように私には思えます。

 医療法人財団 夕張希望の杜
   理事長 村上智彦


ずっしりと重い文章です。
どうか、この難局を越えられる様、願っております。

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2008年5月16日 (金)

財源の使い道...

2008年5月16日 晴れのち雨
蒸し暑くなってきました。しかし、朝晩は冷え込んでおり、気管支喘息の児が悪化します。

道路の発達していない時期、自動車重量税や揮発油税などの税金は、その道路の発達に大きく寄与したことでしょう。しかし、現在では...。どうでしょう...。

道路特定財源は道路のために使われる公共事業費です。骨太の方針で、国は毎年2200億円づつ社会保障費を削って行くとしました。先進国の中では珍しい、社会保障費が公共事業費よりも少ない国であるのにです。

対GDP比でみても、社会保障費に含まれる医療費はアメリカの約半分です。これ以上、削る必要があるのでしょうか?もちろん、いろいろな面で効率化を進める必要はあるでしょう。しかし、医療の現場は、もう待ったなしの、切羽詰まった状況です。

俗にガソリン税と呼ばれる、揮発油税の税率低減には反対です。しかし、その使途には十分な考慮がいるでしょう。日本の医療、福祉を救うために一助となれば....。


福田首相、一般財源化へ作業加速を指示=道路関係閣僚会議が初会合 5月16日13時2分配信 時事通信
魚拓

『政府は16日午前、「道路特定財源等に関する関係閣僚会議」の初会合を国会内で開いた。福田康夫首相は、道路特定財源の2009年度からの一般財源化に向け、作業の加速化を指示するとともに、「無駄の排除はすべての改革の大前提」と強調した。さらに「使途の議論がいささかぶんどり合戦的に先行しているが、本末転倒だ」述べ、道路関連支出を精査した上で使途の議論を進める考えを明らかにした。』

精査の過程で雑音が入らなければいいのですが.....。日本の産業構造が変わるくらいの改革を期待します。

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2008年5月15日 (木)

悪性高熱症

2008年5月15日 晴れ
徐々に暑くなってきました。

集中管理を要した重症児もようやく病状が安定化し、一息つけたところです。

ずっと昔に経験した症例。全身麻酔に伴う、悪性高熱症についてまとめてみます。稀な疾患ですが、非常にコワい病態です。

Wikipedia:悪性高熱症より
『悪性高熱症(あくせいこうねつしょう、英malignant hyperthermia:MH)とは、全身麻酔の偶発症の一つ。頻度は稀であるが、適切な処置をしないと死亡率が高い。犬、馬、豚にも存在する。』

吸入型の全身麻酔薬(ハロセン、イソフルレン、エンフルレン、セボフルレンなど)や、脱分極型の筋弛緩剤(サクシニルコリン)を使用した場合に、高熱、筋強直、低酸素血症、高炭酸血症、アシドーシス、筋融解に伴うミオグロビン尿などを呈する状態です。症状は激烈で、分刻を争う処置がなければ救うことが出来ない場合があります。最近ではダントロレンナトリウムという、この疾患の特効薬が開発され、対処の方法も確立されてきたおかげで、この疾患の死亡率は大幅に低下してきました。現在では約11%の死亡率とされます。

ここからは、事実をもとにして書き下ろしておりますが、大幅に脚色を加えており事実とは異なった物語となっております。

ある、秋口の日。私は、病院で一人当直でした。そのころ、フォローしていた40歳代の気管支喘息の患者さん。発作は重症で、これまで数回、人工呼吸を要していました。発熱、咳嗽、呼吸困難を主訴にみえられました。胸写にて左心縁下部にシルエットサイン陽性で、CRPは25、SatO2は室内気にて80%代でした。これまでも、感染に伴い重症の発作がみられており、即入院として感染症の治療及び気管支喘息の対処を行いました。
大量の酸素とともにイソプロ吸入とステロイド静注、アミノフィリンも血中濃度を評価しながら行いましたが、徐々に症状は悪化。夜間に呼吸不全となりました。意識は混濁し、胸部聴診上、ほとんど呼吸音が聞こえないsilent chestとなり、血液ガスではpCO2 115と著しい高炭酸血症を示しました。このままでは、明朝までに呼吸停止から心停止に至るものと予想され、気管内挿管の上、人工呼吸を開始しようと準備しました。
気管支喘息重積発作で気管内挿管を要する時には、気管支攣縮を伴うことが多く、その場合、最悪、換気できない場合がありますので、なるべく複数の医師で行うようにしていますが、深夜の時間でもあり一人で処置をしていました。若干、手間取った関係もあり気管支攣縮を来たし、換気がほとんど出来ない状態となり、pCO2は下がりません。(酸素化はOKです。)
何とかしなければ...ということで、吸入の全身麻酔をかけることにしました。手術室に入り、セボフルレンを使用します。1MAC程度を使用すると、すぐに肺がやわらかくなってきました。換気は明らかにしやすくなり、pCO2も低下して50代に....。徐々に吸入麻酔を減量し、そのかわりにプロポフォールというクスリを始めて、鎮静を行います。病室に戻り、人工呼吸器を装着。一息ついたところ....。
急に、人工呼吸器のアラームが鳴り響き、まったく患者さんの呼吸が人工呼吸器にあわない状態に...。とりあえず、Bagで手押ししますが、スゴくかたい!血液ガスではpCO2 150!!。何故???体温は38℃以上で、バルンカテーテルから流れてくる尿の色が紅い。そのうちに、検査室から「CPK 1400以上」という異常値を伝えてきました。これは、気管支喘息の発作が再び重症化したのではなく、悪性高熱であろうと考え、特効薬であるダントリウムを静注。尿の赤みはあっという間に正常化しました。しかし、しばらくの間はpCO2の上昇は続き、pHも6.9代であったため家族の方々に「生命予後は厳しい」という説明をさせていただきました。
でも、その後は速やかに症状が軽快。人工呼吸器にもキチンと乗って、数日間で気管チューブを抜くことができました。

善かれと思ってしたことが、稀な副反応で、思わぬ経過をとる。医療の世界では、こういったことがママあります。全てを見通すことはできません....。

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2008年5月13日 (火)

どうだろう...

2008年5月13日 晴れ
清々しい天候です。どこかにドライブでも行きたいくらいですが....重症を抱えるとそうもいきません。(悲)

さて、悲しいニュース。まずは、55歳でくも膜下出血にて亡くなられた女性、及び、その御遺族の方々に深甚なる弔意を表します。

記事は信濃毎日新聞から。

くも膜下出血見逃し女性死亡 佐久病院医師を書類送検
魚拓

『県厚生連佐久総合病院(佐久市臼田)で2004年10月、頭痛を訴え受診した佐久市岩村田、主婦小林美幸さん=当時(55)=がくも膜下出血で死亡し、夫の哲さん(59)夫が医療ミスがあったとして告訴していた問題で、南佐久署は13日、診察した同病院のF医師(29)=佐久市中込=を業務上過失致死の疑いで地検佐久支部に書類送検した。』

残念なことです。どのようなミスがあったのでしょうか??

『調べによると、深沢医師はくも膜下出血の初期段階を疑い、適切な検査と治療をしなければならなかったのに怠った過失により、05年1月12日、同病院で小林さんを死亡させた疑い。同日、告訴状を受理し、捜査をしていた。深沢医師は過失を認めているという。』

頭痛は普遍的な症状で、その中にはくも膜下出血の初期段階のようにほっておくと死亡に結びつく様な疾患も含まれます。特に、急激に発生した「いままで経験したことのないような」頭痛においては、原因精査のため検査を行うべきだと思われます。

『同署などによると、小林さんは04年10月23日、後頭部に急激な痛みを感じ、同病院の救急外来を受診。「肩凝りによる頭痛」と診断され帰宅したが、数時間後に意識不明になって同病院の集中治療室(ICU)に入院し、意識が戻らないまま死亡した。受診時に小林さんはくも膜下出血の恐れを伝えたが、深沢医師はCT(コンピューター断層撮影)検査などをしなかったという。深沢医師は研修2年目で、当日は土曜日だった。』

頭痛の患者さんに、すべて頭部CTを行う訳ではありません。危険な症状(急激に発症したもの、項部硬直を伴うものなど)を呈するものはするべきであろうと考えています。また、くも膜下出血の初期は、髄腔内に漏れる血液量が少なく、頭部CTでも診断できない症例も多くあります。診断するためには、頭部MRIを併用し、それでも診断できなければ腰椎穿刺して髄液中に血液が漏れていないか?を評価します。しかし、そうこうしているうちに、second attackが起きて助からない....。ということもあるのです。かなり、コワい病気です....くも膜下出血。

最初の時にCT撮ってれば、診断できたでしょうか??ギモンは残りますが、CTを撮っていれば...「診断が難しかったのだ....」と思えるのかもしれません。

『哲さんは「医師はくも膜下出血の症状をよく知らなかったようで憤りを感じる。病院側は示談を申し込んできたが断った。起訴されるか経過を見守りたい」と話した。』

憤りを感じるのは仕方がないでしょうね...ただ、この医師が起訴されて刑事事件となれば、その鬱憤は晴れるのでしょうか?どうでしょうね....。

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2008年5月11日 (日)

SUICIDE CLUSTERS

本日3稿目です。

SUICIDE CLUSTERSという概念があります。

報道は自殺そのものの報道を控えるべきであると思います。また、その方法についても控えるべきであり、亡くなられた方をセンセーショナルに取り上げない方がよいと感じます。今回の報道により、連鎖が起きているのは明らかであろうと考えます。報道はどうあるべきか?考える必要があります。

参考になるかもしれません。→http://www.chmeds.ac.nz/research/suicide/SuicideClustersAndSuicideContagionJuly2005.pdf#search='cluster%20of%20suicide'

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医療と刑事責任

本日2稿目となります。

医療と刑事責任については拙ブログでかなりの量、扱ってきました。医療とは本来、不確実なものです。医師は神ではない...。死人を生き返らすこと、死にゆくものを引き止めることも出来ないのかもしれません。しかし、そこに一分の可能性があれば医療行為を行う価値があるはず。そして、それが残念な結果に終わっても....刑事的に訴追されるのだけはそぐわないと感じます。

ある韓国ドラマで、最近、高官に仕える侍医の話がでてきました。その高官の病は、全身に広がり、「骨まで病に侵されている、救うことは不可能である」と、投獄されている侍医はもらします。更に、「その高官が亡くなれば、私の命も尽きることになる」。つまり、死刑となるのです。

正当な医療行為に刑事責任を負わせることは、そのドラマの中の状況と似ています。新羅の時代と現在....何が変わったのでしょうか?ひょっとして、変わってないのかもしれません。

「刑事責任追及に違和感」 5月10日0時24分配信 医療介護情報CBニュース
魚拓

『元日本外科学会会長の門田守人阪大医学部教授は5月9日、「医療現場の危機打開と再建をめざす国会議員連盟」(会長・尾辻秀久元厚生労働相)の会合で、厚生労働省が設置を検討している医療安全調査委員会(医療安全調、仮称)が作成する調査報告書の取り扱いに関連して、「刑事責任の追及には違和感がある」と述べた。』

この部分は私の感覚と一致します。

『門田教授はこれに対し、個人的な考えと前置きした上で、「電車事故などは人間がつくった機会を人間が扱うことで起こる事故。医療事故は神がつくったものを人間が扱うことによって起こるものなので、全く違うものだ」と強調。その上で、「例えば大動脈瘤(りゅう)が切迫破裂したとして、手術しても、しなくても死ぬ。でも1割の確率でも助かるかもしれないからやる。これをどう読むか。やってみないと分からないが、機械的に処理できるものではないため、医療の世界で刑事責任を追及されることについては違和感がある」と主張した。さらに、もし刑事責任が追及されるようなら、「医療はますます崩壊する。万が一、助かるかもしれないとして実施する手術などを誰も手掛けなくなる。国民がそれを認めるかどうか、国民とディスカッションすべき」と述べた。』

まさに、我々がいわんとすることを表していると思います。機械の操作などは、高い確率で結果を予想できます。しかし、人間の場合はなかなか...。そして、手技は生命に直結するのです。神でない限り、100%を期待することはできません。

もちろん、故意の過失や、明らかに「それしちゃダメでしょ...」という事例は、対応を考えなければなりません。その線引きが難しいでしょうね。

これからの、日本の医療が萎縮せず、堂々と「患者さんを救うために努力できる」環境になることを希望します!

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接続環境

2008年5月11日 雨のち晴れ
清々しい天候となりました...。

ADSLの接続環境が変更となり、しばらく接続不能でしたが...ようやく整いました。再び、連日更新を目指して頑張ります。

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2008年5月 6日 (火)

重積発作

2008年5月6日 晴れ
最近は、よく夜中の呼び出しがあり...やや疲れ気味。更新も滞りがちです。

最近経験したのは、気管支喘息重積発作。感染時に重症の発作を繰り返す児で、これまで数回人工呼吸を必要としています。先日も、朝からやや咳嗽が増えた、夕方になり呼吸困難が増強し来院。室内気でのSatO2は80%代で、呼吸音の減弱あり。ガスはpCO2 56torr程度です。発熱は38℃代ですが、CRPは21以上と著明。胸写にて右下肺に浸潤影を認め、右心縁はシルエットサイン陽性です。

以前にもこのパターンで2日後に気管内挿管を要していること、CRP著明高値などから、とにかく入院。強力な抗菌化学療法とイソプロテレノール持続吸入にて経過をみました。

ただ、あとで調べてみると...病院内のレスピレーターが全部使われていて、空きがない...。ガーーン。

とりあえず、イソプロで小康状態となりましたので経過をこのまま経過観察。いざとなれば...Ope場に運んで、麻酔器使うか??などと考えました。

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2008年5月 4日 (日)

まともな匂いのする記事

2008年5月4日 晴れのち曇り
ゴールデンウィーク真っ盛りの今日は、地域の輪番で日直してました。一人日直なので、外傷の患者さんがくれば、縫合もし....化学療法中の患者さんで高熱が出た方には血液検査、血液培養をしたのち入院していただきます。

本業は小児科医なので(笑)もちろん小児の患児たちもたくさんみえます。熱が続いて、咳嗽がひどい児は胸写を撮ると右下肺野にベットリとした影がありました。全身状態も今ひとつ。入院です。

さて、記事は産經新聞から...
疲れ果てる勤務医の実態 医師不足、低月給…国は“特効薬”示せず 5月2日22時39分配信 産経新聞
魚拓

『医療の最前線に立つ勤務医が疲れ果てている。現場からは医師不足による過重労働が原因との声が上がっているが、国は負担軽減を図る“特効薬”をいまだに示せていない。
 医師への過度な負担が医療行為の「質」に影響を与えるのは必至で、医療崩壊につながるとの懸念は絶えない。』

そうなんです...今日も疲れ果てました...。国の失政以外の何ものでもありません...。これ以上、社会保障費削るなんて、とんでもない...。

『厚生労働省によると、日本の医師数は推計25万7000人(平成16年)。内訳は病院の勤務医が16万4000人、開業医(診療所勤務の医師を含む)が9万3000人となっている。
 世界保健機関(WHO)が平成18年に発表した報告書では、人口10万人当たりの日本の医師数は198人。
 これに対しフランス337人、イタリア420人、スペイン330人、ロシア425人−など。
 日本は経済協力開発機構(OECD)に加盟する30カ国中27位(2004年)と圧倒的に少ない。
 日本は総数で加盟国平均の38万人に約12万人も足りない。
 日本の大学医学部の入学定員は約7500人で、引退や死亡した医師を差し引くと、毎年約4000人の増加にすぎず、加盟国平均に達するには30年以上かかると試算されている。
 医師不足が特に深刻なのは産科と小児科だ。産科医は6年に1万1400人だったが、16年は1万600人と減少した。
 小児科医も6年に1万3300人だったのが16年に1万4700人とわずかに増えただけで、現状の勤務実態に比べ、あまりに貧弱だ。』

この羅列された数字は、拙ブログでも口を酸っぱくして書き続けたことです。(口を酸っぱくして書き続けたという表現は少しオカしいですが...)

『医師不足顕在化の背景には、国が長年にわたり医療費抑制策を推進してきたことがある。
 しかも16年に始まった医師免許取得後2年間の臨床研修必修化に伴い若い研修医が都会の病院に集中、大学病院の医師確保が難しくなり、大学から各地の中核病院に派遣されていた医師の引き揚げが相次ぎ、医師の「偏在」という新たな問題も生まれた。』

医師数の制限、医学部定員の抑制は厚生労働省が「医療費を抑制するために」行ってきたことです。その長年の努力が実り??今のお寒い状況が生まれました。とにかく、国が悪い!

『一方、厚労省が昨年10月に公表した医療経済実態調査によると、勤務医の平均月収は国公立病院などが102〜119万円で、民間病院は134万円。
 これに対し開業医は211万円と勤務医の平均月収の約1・6倍も高かった。』

これは、多分要らんコト。の部分であると思います....。開業医の先生方が悪い訳ではない...現在の診療報酬の制度が否応無くそのような結果に導いているのであり、それを是正して公立病院の医師の月収をキチンと引き上げればよいことです。要は、対GDP比でアメリカの約半分の医療費を増やし、増えた分が勤務医に行き渡る様にすることです。(決して、開業医の先生方の収入を落とせと行っている訳ではありません...)また、無駄は省くべきで...不要なクスリは使わない、医療機器に使うお金も省いて行かなければなりません。その分を人件費に回すべきです。病院1ベッド当たりの職員数を増やし、医療の現場は再び生き生きとしたものに戻る様、願うばかりです。

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2008年5月 1日 (木)

日本という国

2008年5月1日 雨のち曇り

世界には、貧困のため日本の乳幼児死亡率の実に数十倍という国があります。人々は、飢えに苦しみ、社会のインフラなど整備の期待すべくもありません。そのような国では、道路は整備されず陸路で移動するよりも軽飛行機で移動する方が様々な面で危険が少ないとされます。

その一方で、日本へ目を向けると、都会から地域までクルマの通れる道は整備され、そして道路の周囲もキチンと綺麗に整備されている。このような国が世界にどの程度存在するでしょうか?日本に生きることは幸せであるといえます。

新たな道路を整備すること。現在使用している道路を維持すること。どちらも、お金が必要です。ガソリンにかかる税金は、揮発油税・地方道路税というものですが、これらは道路特定財源とされ、道路に対してのみ使用されます。つまり、ガソリンを購入することにより、公共事業に自動的に投資することになります。ここで、我が国における公共事業費と社会保障費のバランスを考えると、先進国の中では非常に珍しい、公共事業費が社会保障費を上回っている国でもあります。そして、あの悪しき「骨太の方針」では、社会保障費を年間2200億円づつ削減するとなっているのです。

今回のガソリン税暫定税率をめぐる争いは、その税金を受益する者たちの必死の抵抗であったとみえます。この揮発油税・地方道路税がその使い道を道路と特定している限り、この強い抵抗は残って行くでしょう。この幸せな日本において、これ以上の新たな道路整備は本当に必要なのでしょうか?それよりも、現在の国を支える重要な部分にお金を落とす必要があるのでは?

ガソリンのお値段はたしかに痛い!しかし、温暖化の抑制のためには、少々高いほうがいいのか?でも、その税金の使い道は、特定されず社会保障にも使えるようにすべきと考えます。

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