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2008年4月

2008年4月28日 (月)

状況は似ている。

2008年4月28日 晴れ
久々の外来。結構な数いらっしゃいました...。

さて、ひょんなことで読み始めた「鳶色の襟章(堀 元美 著)」という本。海軍の造船大尉であった堀 元美さんが戦前から戦後にかけて、その経験を手記にしたものです。旧日本海軍内にいる技術系士官という、やや特殊な状況で周囲をみていますが、その中に出てくるのは生の戦前、戦中、戦後です。そして、軍艦を作る側という戦時に大きな影響を受ける部署にいる人間の感性は鋭く時代を記述しています。

日本人がそのときに何を感じていたのか?を知るための手がかりとして非常に優秀であると考えます。

その中の一節。

非常時気分(その二)
<引用開始>しかし、ある時廠務懇談会というのがあって、各部の部員はなるべくたびたび現場を回って、工員の怠慢が見つかったら厳重に指導せよ、という総務部の某少佐の発言となったとき、私は立ち上がって正面から反論した。
「われわれ技術官は守衛ではない。つねづね部下工員を教導して職務に忠実であれということは十分指導しているつもりだ。それよりも、必要な工具が工器具室に十分に用意されていなかったとか、必要な鋼材が工事に間に合わなかったとか、ある工場から次の工程のために別の工場に引き渡す半製品が、手配のまちがいから予定どおり渡せなかったなどということから、せっかく熱意をもって働こうとしている工員を待たせることで、どのくらい彼らの熱意を冷却させるかということこそわれわれの心配の種なのだ。
われわれの時間はそういう手抜かりを起こさないための努力に費やされているので、怠け者を探して尻をひっぱたくような暇はありはしない。陣頭指揮をやれといわれるが、必要だと思えばもちろん作業の先頭に立つことを忘れてはいない。先頃のさんとす丸の出港前夜のようなときには、われわれは誰にいわれなくとも全員応援するのは当然だと思っている。守衛の役を引き受けるのだけは御免こうむる」
私の主張は大体において受け入れられたようだった。工事促進に対して、技術者にも管理者にもより重要な役割りがあるということは皆に了解してもらえたようである。<引用終了>

この部分はシナ事変中の昭和16年、舞鶴工廠でのできごとを記したもののようです。当時、昭和9年12月にワシントン軍縮条約が廃棄され、日本はドンドン軍艦を作っていました。シナ事変が膠着化するにつけ、更に軍備増強へと走り、近衛内閣はヒステリックに「非常時」を喧伝。日本中がオカシクなっていました。

ここで、現在の医療現場に戻ってみると...社会保障費をドンドン削られて、病院の収入は激減です。なかなか良い道具も買えません。人員も機械も不足しているため、予定通りに物事が進みません。最後には精神論が出てきそうです...。こう考えると似てるな、シナ事変のあたりの日本と今の医療現場...。変わってないんだ、日本人の精神性は...と思いました。あの、手痛い太平洋戦争から、何かを教訓にできなかったのでしょうか....(悲)

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2008年4月27日 (日)

倒れてました...

2008年4月27日 晴れ
清々しい天候です。

最近、準夜帯、深夜帯の入院が多く、一度帰宅して、こどもたちの風呂入れ等をしたのち、病棟にもう一度出ては仕事をこなしていました....。徐々に、疲労がたまってきているのは感じていましたが、4月25日朝より体中の関節と筋肉の痛みが出現し、全身倦怠感が....。午前中の外来は何とかこなしましたが、寒気が出現。体温は38.5℃以上に。こんな熱は10年ぶりくらいか??

きつくて、さすがに午後の外来は院長にお話しして休診に...。点滴しながらねてました。インフルエンザ抗原は陰性。WBC 15,000 , CRP 1.07程度。ロセフィン点滴して、クラビット飲んで、翌日の26日には解熱したのですが...倦怠感は残りました。しかし、地区の集まり等があり...ゆっくりは寝てられない(悲)。

早めに寝て、27日にも熱はなかったのですが、これまたヤンゴトなき用事が...。結局少しづつ休みながら一日動いてました。ちょっと、業務の内容考えなくちゃ...もう若くないし(笑)。

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2008年4月24日 (木)

テクノラティ

テクノラティプロフィール

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2008年4月23日 (水)

タバコ誤飲と訴訟

2008年4月23日 晴れのち雨
ムシムシする一日でした。

さて、タバコは乳幼児における誤飲において大きな割合を占める原因です。活動範囲がひろがる乳児期後半より頻度が増えます。親御さん、その他、その児の周りにいる人たちがタバコを吸わず、そしてタバコを保持していなければ起こることのない事故でもあります。特に、缶ジュースなどの残りに、タバコを捨てる習慣のある親御さんでは、ジュースの中にタバコのニコチンが溶け出し、それを誤飲した場合は高濃度のニコチンが急速に吸収され、中毒症状が出現することがあります。この場合は胃洗浄といって管を鼻あるいは口から、胃まで挿入し温めた生理食塩水にて胃の内容を洗うというような手技を行います。タバコの塊を誤飲した場合は、その量にもよりますが、ほとんどの場合、自然にかなりの量を吐き戻して、大事に至ることが少ないといった印象を持っています。

記事はその胃洗浄の場面で生じた医療事故と、その後の訴訟を伝えているものと思います。
盛岡・乳児死亡:小児科医の不起訴処分不当を議決--盛岡検察審査会 /岩手
魚拓

『盛岡市内の小児科医院で03年7月、医療ミスで乳児(当時8カ月)を死亡させたとして業務上過失致死容疑で書類送検された女性医師を、盛岡地検が今年2月に不起訴処分としたことに対し、盛岡検察審査会は15日付で「処分は不当」と議決した。

 議決によると、同医院に勤務する女性医師は、たばこを飲み込んだ乳児の胃に解毒のための液体を入れる治療をしようとした際、誤ってカテーテルを気道に挿入、気道が解毒液でふさがり窒息死させた。』

まずは、生後8ヶ月という幼い命を失われた御両親に、お悔やみ申し上げます。

文章からみると、恐らくタバコ誤飲に対して胃洗浄を行おうとしたのではないか?と思われますが...。胃管が食道ではなく、気道に入り、気付かぬまま行った胃洗浄により窒息死してしまったとのことの様です。
胃洗浄の場合、大量に生理食塩水を出し入れしないといけないため、胃管が胃に留置できているか?は特に厳しく評価してから行っています。留置した時に胃内容が引けるか?エアを送った時に、心窩部でポコンという音が聴こえるか?充分に評価した上でないと、洗浄をはじめることをしません。
通常の処置をするならば、このような事故がおこることは極めて珍しいといえます。

『同審査会は議決で「カテーテルが胃に達したかどうかの確認方法に、医師の過失があったのではないか。再捜査を要望する」と判断した。

 乳児の母親が審査会に不服を申し立てていた。同地検の中川一人次席検事は「議決に基づき改めて厳正に捜査する。申立人の主張、不起訴理由についてのコメントは差し控える」と述べた。』

このような処置にミスがあったかどうか?これを調べるのは、非常に難しいでしょうね...。

ちょっと見方を変えて...。タバコ誤飲の処置で胃洗浄を行うことは、結構よくあることです。そして、このような事故は起こらずに、ほとんどの例で何事もなかったように処置が終わります。しかし、医療において100%はない。医療を受けることは常に危険と背中合わせであると認識すべきです。

幼児の死亡原因のうち一番多いのは「不慮の事故」です。その「不慮の事故」の中に、この「タバコの誤飲」も入ります。不慮の事故は環境の整備などにより効率的に頻度を減少させることができます。特にタバコの誤飲の場合は、周りの者がタバコを吸わない様にする、手の届く所にタバコを放置しないなどの環境整備で事故を減らすことができます。(根絶することも...)そして、それによりこの様な不幸な事故も減少するのです。

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新しき組織

2008年4月23日

日付が変わりました。

発起人の黒川衛先生にエールを...そして、会員になられた先生方にも...

『全国医師連盟 6月8日の発足決まる 会員希望は現在約650人

記事:Japan Medicine
提供:じほう

【2008年4月21日】
 臨床現場で働く勤務医が中心となって医療再生に向けた各種提言を行う全国医師連盟が6月8日に発足する。個人加盟制の医師労働組合の創設、医療報道の是正と世論への啓発など4項目を活動の柱に据える。6月30日には総会と設立集会を都内で開いて、執行部メンバーや規約を固める予定。設立準備委員会では参加希望者を募っている。

 全国医師連盟は、患者と医療従事者の権利を重んじ、医療の質の向上と診療環境を改善するために活動するという理念を掲げる。活動の柱には、個人加盟制の医師職労働組合ドクターズユニオンを創設して厚生労働省など関係団体にも労働基準法の順守の指導を徹底させることなど4項目を掲げた。
  ほかの3項目は、<1>記者向けの医療事案解説サービスなどを通じて報道の公正化を図る<2>医師関連団体や法曹関係者に働き掛け、医療過誤のえん罪防止と医師の自浄作用を発揮する<3>国の医療費抑制政策を転換させる-となっている。
  今年1月13日には都内で設立に向けた総決起集会を開き、執行部世話役の黒川衛氏(真珠園療養所、長崎県)が、患者をしっかり治したいという医師のモチベーションが成立しにくくなった現状を指摘。日ごろ患者に接する臨床医が、現状打開に向けて主体的な取り組みをする必要があると参加者に呼び掛けた。
  黒川氏によると、参加希望者は総決起集会時点から約3カ月で230人増えて650人となった。今後は、発足時に1000人という目標に向けて引き続き参加者を募集する。
  第1回総会・設立集会は東京都千代田区の東京FMホールで午前10時から行う。役員選出を会員の直接選挙で行うのが運営面の特徴で、当日は総会で新執行部を選任。午後からの設立集会で規約などとともに執行部の承認を取り付ける。


Copyright (C) 2008 株式会社じほう』

頑張りましょう!さて、私もそろそろ...

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2008年4月22日 (火)

多忙...

2008年4月22日 晴れ

結構なペースで入院があり、なかなか更新する時間をとれません。しばらくの間、更新頻度が落ちるかもしれません....(悲)

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2008年4月20日 (日)

いつまで否認するのか?

2008年4月20日 晴れ
風は強い。

国を守るということはどういうことか?日本は、海の中に浮かぶ列島であり、陸続きの国境線を持たない島国であるとしても、自衛隊なくして国を守ることはできるのでしょうか?日本国憲法は、その中で軍隊を持つことを否定しています。自衛隊はその規模、そして装備からいっても軍隊であるといえるでしょう。そして、「自衛隊は軍隊でない」という非現実的な否認が続く限り、隊員たちのココロは蝕まれるのではないでしょうか?

話は変わりますがスイスは1815年のウイーン会議で、「永世中立国」として正式に国際的に承認された国です。以来、強大な軍事力をもち、国民皆兵制をしかれた国でもあります。日本とは、陸続きの国境があるなどの点でかなり環境の違いがありますが、「中立を守るため」には軍備は必要悪であるのだろうと感じます。

自衛隊の存在自体の憲法判断はさておきますが、イラクに入って支援したコトが違憲に当たるとの判断です。
<イラク輸送違憲>自衛隊の海外活動拡大に一石 4月18日0時1分配信 毎日新聞
魚拓

『航空自衛隊による多国籍軍の空輸活動を明確に違憲と指摘した17日の名古屋高裁判決は、憲法論議をあいまいにしたまま拡大を続ける自衛隊の海外活動に疑問を投げかけた。一方で、判決は原告の控訴を棄却し、政府も早々と派遣を見直す考えはないことを表明したことから当面の“実効性”はない。それでも、自衛隊に関する憲法判断を避けてきた司法が、踏み込んだ指摘をした意味は重い。』

イラクに入って、支援した人たちの危険はどのようなものであったのでしょうか?輸送機を地上から地対空ミサイルで狙えば...撃墜される危険性もあります。そのような地域に入って援助を続けた方々の苦労はどうなるのでしょう?評価されないのですか?

『自衛隊を巡る訴訟で過去に憲法判断に踏み込んだ判決は、自衛隊の存在を違憲とした73年の「長沼ナイキ基地訴訟」の札幌地裁判決があるくらいだ。さらに、今回の判決は原告が主張した「平和的生存権」についても、国の武力行使などで個人の生命や自由が侵害される場合は、裁判所に保護や救済を求められる具体的な権利と認める異例の判断をした。』

自衛隊の存在を違憲とするならば、どうしたらいいのでしょうか?国防はいらないのか?かの国の原潜が近海を航行している。また、ある国からはミサイルで狙われます。そして、地下核実験にも成功しています。国防力がなければ、早晩侵略を受けるでしょう...。

平和的生存権は日本国憲法前文の「われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する」という文言から導かれる権利とされますが、この「平和」はタダでは手に入らない。自国を守るだけの軍隊は必要です。

侵略するための道具は必要ありません。しかし、自衛隊を「国を守るための軍隊」として認め、そこで働く人たちをキチンと評価するべきです。

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2008年4月19日 (土)

方針の転換??

2008年4月19日 晴れ
時折、低い雲がみられますが、概ね晴れといった状況です。

さて、新聞における社説はその新聞社の姿勢を表しているといって過言でありません。そして、そこに記載された内容で、その新聞社の風格までをもみることができます。更に、「舌の根の乾かぬうちに....」という方針の転換は....はっきりいって好かれるものではありません。

毎日新聞の社説で現在の医療崩壊についてかたったものとして社説:安心の仕組み 医療費の抑制はもう限界だというものがありますが、以前の毎日新聞の姿勢からすると、いわゆる大転換というにふさわしい変わり方といえます。

ただ、この中の最後にある...『医師の団体は指導力を発揮して、医師不足・偏在対策に手を打ってもらいたい。』という記述は...どうでしょう。最大限の努力をしてるかもしれませんね...。政治的なチカラが必要でしょう。そして、国民のコンセンサスも....。そのためには、正確な情報を国民に伝えることが必要ではありませんか?

ブログで頑張っても、一部の方々にしか伝わりません。マスメディアにおける正確な現状理解が必要です。是非とも....。

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2008年4月18日 (金)

医療現場の人員

2008年4月18日 曇りのち晴れ

医療の現場の人員は多くありません。欧米の平均に比べ、日本の病院の100ベッド当たりの職員数は約23%程度とかなり少ないといえます。

医療クライシス:医療費が足りない/4 医師支える事務員

『今年2月、岩手県立千厩(せんまや)病院(一関市)泌尿器科の診察室。阿部俊和副院長(現国保金ケ崎診療所副所長)は診察しながら、「薬は前回と同じ」「次の予約は4週間後」と、横に座る医療クラーク(事務員)の女性に、処方せんや診察予約の指示を伝えた。医療クラークは手際よくパソコンに入力していく。』

医療秘書ですね...。こういう方々がいると、診察風景も、患者さんとの距離も違ってくるでしょう。

『医療クラークは医師の指示で、カルテの記載や処方せん発行、保険会社への診断書作成など主に事務作業を行う。海外では普及しているが、日本の病院にはほとんどいない。

 情報開示や医療事故対策が進むにつれ、医師の事務作業が増えている。阿部医師は「ここ10~20年で書類の作成量が3倍くらいに増えた」と話す。負担の重さは、勤務医の病院離れにもつながる。』

どうしてこういった職種の方々が病院にいなかったのか?その方々を支える人件費が問題となったのでしょうね....。診療報酬にはこれまで反映されていませんでしたし、最近の病院はカツカツの状態でやってます。とても雇う余裕はないということでしょう。

『鍵を握るのは、日本にはないPA制度だ。PAは米国の国家資格で、医師の監督下で診察や治療、検査の指示、処方せん発行などができる。津久井医師の同僚のPAは、手術の第1助手、検査データ分析などの術後管理、病棟回診までこなす。全米では7万人近いPAが働いている。

 米国の病院では、多様な職種が医師を支える。通常の看護師より専門的な資格で、処方や簡単な処置を行える「Nurse Practitioner=公認看護師」もいる。呼吸管理、点滴などを行うための「静脈ライン」確保、院内の患者搬送など、それぞれに専門職がいる。医療クラークに相当する医療秘書もおり、ほとんどすべての医師に秘書がつくという。』

このような、医師を支える人たちがいれば、病院の勤務もずいぶんと変わるでしょう。そして、欧米との職員数の違いはこれらの方々の違いなのだと...。国は、こういった方々を雇うだけの余裕を病院に与えるべきではないか?と感じます。

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2008年4月17日 (木)

続編を読みました

2008年4月17日 晴れのち曇り
グングンと新緑の葉っぱ、は伸びて行きます。

さて、一昨日ちょいと噛み付いたDPCに関しての記事、毎日新聞は続編を掲載しました。

(下)大病院に定着 難しい線引き

『病状などで入院費を決める「診断群分類(DPC)別包括評価」は、本来、病態の重い急性期の患者が入院する大病院が対象だった。ところが、数が増えるとともに、慢性期の療養病床を持つ病院や中小病院も手を挙げるようになった。どこまで対象を拡大するのかには異論も多い。制度の課題を追った。』

どのような課題が示されるのか?

『昨年10月、DPC対象病院の今後のあり方をめぐって開かれた中央社会保険医療協議会(中医協)の分科会では、厳しい意見が飛び交った。

 DPCはそもそも、大学病院などを対象に始まった経緯がある。ところが、対象病院とその前段階の準備病院の増加につれ、当初はゼロだった100床未満と小規模の病院が193病院に増えている。心疾患や脳神経疾患などに特化し、回復期のための療養病床も持つケアミックス病院も交じる。

 DPCは、一般病床での入院期間が一定日数を超えると、病院の収入が減る仕組みになっている。このため、「ケアミックス病院では、一般病床の患者を療養病床に移した後に、再度、患者を一般病床に入院させるなどの好ましくない運用をするケースもある」といった指摘があった。』

病院でも、収入は出来るだけ欲しい....当たり前です。そのためのコトは、違法ギリギリでもやるでしょう。診療報酬は徐々に減らされ、病院は維持して行くのにギリギリの状態だからです。職員みんなで頑張って、一生懸命患者さんを診ているのに、カツカツの状態であるというのが真相です。余裕はありません。
そして、人件費を決めると思われる、病院1床あたりの職員数は欧米の平均と比較すると僅かに23%という報告もあります。欧米の4から5分の1の人員でやってても、維持して行くのがやっと....。明らかに診療報酬体系はオカシイ!
DPCに手を上げるのは、その報酬体系が「うまくやると儲かる」からなのです。しかし、前のエントリーで示した通り、高度の倫理性がないと患者さんに対して不利益を与える可能性が出てきます。DPCにおける闇の部分といえます。

『課題はこれにとどまらない。今年1月、川鉄千葉病院(千葉市)が、DPCによる医療費請求をめぐり、実態とは異なる病名を付け、不当請求を行ったことが明らかになった。こうした不当請求は以前から報告されており、中医協も、請求の透明性を高める方針を打ち出した。

 導入当初は、一般病院への拡大に対し、日本医師会などの反対が強かったが、急性期医療はDPCという流れは定着したと見る医療関係者は多い。一方で、DPCの導入には、看護師の配置基準を手厚くしたり、診療録の管理体制を充実させる必要があり、中小病院にはハードルは高い。

 「今後の医療制度改革は、一般病床はDPC病院という前提で進むだろう。DPCへの参入条件をクリアできなければ急性期医療を担う病院として存続できず、それ以外の病院は、療養病床や老健施設などへの転換を迫られる時代に突入する可能性が高い」と国際医療福祉大の高橋泰教授(医療経営管理)は話している。』

そうですか、DPCやんないと急性期やれないんですね....。これは、前からいわれてきたことですけどね...。この動きの裏には、何があるのでしょうか??医療費は本当に削減しなければならないのでしょうか?標準化することは一部では良いことかもしれません。しかしこれを究極に推し進めれば、アメリカの医療のように、持たざる者は医療を受ける権利を持たないということになり、到底、国民が納得するものではなくなるでしょう...。

こういったことを書いてほしかったです...記者さん。

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2008年4月15日 (火)

いいコトばかりではない

2008年4月15日 晴れ

新緑がまぶしく、生命が「萌えいずる」といった風情です。

さて、DPCはdiagnosis and procedure combinationという和製の略語で、米国の包括医療制度のDRG/PPSを手本にしています。この疾患で、この処置を行った時に、入院日数がココまでならば一日当たりコレだけの診療報酬を出します。その入院日数を超えれば、段階的に減額するというような制度です。
つまり、「どれだけ安く診療を行ったか?」が、その医療施設の収入に直結する制度となります。

良い面は、優れた医療者が合併症を少なくして、安価に医療を遂行した場合に手取りが多くなることです。例えば、同じ虫垂切除術を行い、ほとんど合併症なく、手術の他に支出となる医療を行わなかった場合は合併症が生じた場合に比較して報酬が増えます。しかし、逆にコスト意識が過剰となり、安価すぎる粗悪な材料を使用したりする可能性は十分にあります。その結果として、患者さんに不利益が生じることも考えておかなければなりません。

実際、米国ではマイケルムーア監督の映画「sicko」よろしく、医療は既に一つのビジネスとなっており、持たざる者は医療を受けることはできません。そして、2本の指を切断した患者さんは「お金がないため」一本しかつなぐことができない....。この状況の中で、DRGが行われているとしたら...想像に難くないでしょう。コストをどれだけカットするか?の競争です。

毎日新聞の記事は、DPCを一点の曇りもないように礼賛しているようですが....。どんな制度にも問題点はあり、その問題点を引き換えにバランスよく長所を示さないとフェアーではありません。DPCは、導入により医療費総額を減らすことができるでしょう。しかし、それにより「型にはまらない、合併症の起こりやすい患者さん」には医療を受ける機会を奪うことにもなりかねません。

(上)診療を標準化 入院費削減も

『DPCとは、病名や症状、治療内容別のリストに従って、1日当たりの入院医療費を決める仕組みだ。2003年に導入が始まった。病院などが保険者に医療費を請求する際には、患者の入退院の情報や合併症、薬の種類や検査の回数などを、コード化して提出する。このため、特殊なソフトを使えば、大量の記録を簡単に解析できる。

 総合病院だけに常勤医師は約120人と多い同病院がDPC対象病院になったのは2006年4月。DPCデータを活用し、嚥下性肺炎の患者にどのような治療が行われているのかを分析した。すると、医師により検査やリハビリの開始時期、投与する抗生剤の種類などに違いがあることが判明。これらの結果をもとにパスを改良し、昨年7月に新しいパスが完成した。

 「検査のタイミングなども最適になるよう標準化した」と椛島課長。相澤孝夫院長は、「医師や診療科によって診療内容が違うことが、DPCデータであぶり出せた。データなので、現場の医師や看護師にも説得力があり、あるべき医療に近づけることができる」と、成果を強調する。』

確かに、標準化するメリットはあるでしょう。しかし、医療でお相手するのは生身の人間です。ご承知の通り、人間は千差万別...一人として同じ人間はいないのです。治療に対する反応も、十人十色...突き詰めて標準化することは不可能です。入院期間が長くなったり、治療に要するコストが高くなると病院の収入に打撃を与えるため、DPCでの報酬をより多く手にするには、標準化するのが大変な患者さんを診ないこととなります。

『コストダウンにも寄与している。その代表が、政府が後押しをしながら進まない後発医薬品の普及だ。

 03年にDPCをスタートさせた聖マリアンナ医科大学病院(川崎市)では、院内で使用する約1900品目の医薬品のうち、約220品目を、先発医薬品と同等の薬効を持つが値段は半額ほどの後発医薬品に切り替えた。通常、医薬品は使っただけ医療費を請求できる出来高制だが、定額制のDPCでは、コストを抑えないと収益が出ないためだ。

 「医療水準を落とさずに、合理的な医療を推進しようという意識が強まる」と、同病院の増原慶壮(けいそう)薬剤部長は指摘する。

 DPCデータを分析すれば、個々の病院の医療の中身などを詳しく比較することもできる。東京医科歯科大の川渕孝一教授(医療経済学)は「病院にとって、医療の質と経営の質を同時に高めるのは難しい。DPCデータによって、これまで医療界が経験したことのない他流試合が可能になり、両者の質を高めるきっかけになる」と話している。』

ジェネリック医薬品(後発医薬品のこと)は、生物学的同等性試験という先発の医薬品との薬効での違いはありませんということを確認する試験を行い、それをパスしたものです。DPCが導入された際、医薬品のコスト削減のため、大きく導入されるでしょうね....。しかし、このジェネリック...問題も若干あるのです。「本当に同じ薬効があるのか?」これは、はっきりいってわかりません。(でも大多数は大丈夫な様です。)後発品メーカーは先発品のメーカーにくらべ、会社の体力が小さいところも多く、その供給体制に不備はないのか?医薬品の情報提供には問題がないのか??

医療費を削減するために、ココまでする必要があるのか??

他流試合はできるが、本当に比較する病院間での患者層は同じなのか??

DPCは本当に一点の曇りもないほど礼賛すべきものなのか??

幸いにして、この記事には(上)という注釈がついています。(上)があれば、(下)あるいは(中)があるはず。続編ではもう少し踏み込んでDPC、それから医療費の削減について考えてほしい。

先進国の中で、公共事業費が社会保障費よりも多いのは、日本ぐらいかもしれません...。

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2008年4月14日 (月)

『机上論』=『現実の否認』

2008年4月14日 雨のち晴れ
うららかな一日です。

昨日も一部、触れましたが...国は太平洋戦争で得た教訓を生かしきれていないと感じます。机上の論理で全てのことを指揮するならば、いつか破局に至る。最前線で戦っている兵士には食料は当然のこと、休息やトイレもキチンとしてなければいけません。それを無視して、精神論で押し通すならば、物量で勝る米国には負けて当然です。更にいうならば、うら若き前途ある日本軍のパイロットを片道燃料で250kg爆弾を下げさせて、敵艦に突っ込ませるというような戦術を考えることなどは、その肉体を軽視し、そして将来を考えない現実への否認であると考えます。(ことわっておきますが、神風特攻隊にて出撃した約5000人のパイロットの方々の行為は、その攻撃の正否に関わらず非常に貴重なものと考えます。)

現在に目を向けると、医療の現場は一種の戦争状態とも見えます。年間2200億円の社会保障費を削減するという骨太の方針と、OECD加盟国中ほぼ最低レベルの人口当たり医師数、及び、社会構造の変化とともに拡大してきたコンビニ受診、その他諸々があいまって医師にかかる重圧はかつてないほど厳しいものとなっています。病院勤務医においては、労働基準法を遵守できる環境にはなく、過労による障害や死亡もみられます。厚生労働省はここに至っても机上の論理を振りかざし、これまでのあやまちをただそうとしませんし、「診療報酬はつけるが、その使い方は病院次第だ...」と戦場にポツリ残された勤務医に対して、本気で手を差し伸べようとしません!

戦中の日本にどこか似ていると思いませんか?兵士の肉体を軽視した旧日本軍。そして、医師の肉体を軽視している厚生労働省。そして、裏でそれを操る財務省。このままで進むと、太平洋戦争の終末期と同様に、徹底的な攻撃を受けてカタストロフィに至る道筋がみえます。

もう既に遅いかもしれませんが....年間2200億円の社会保障費削減だけは止めさせなければ、アウトです。

さて、記事はrifaxより。

『尾辻秀久元厚生労働相(自民党参院議員会長)は12日、毎年2200億円のペースで社会保障費の自然増を圧縮する政府方針について、「来年度(09年度)予算でも削れば、社会保障は崩壊する」と述べ、強く見直しを求めていく考えを示した。自らが会長を務める超党派組織「医療現場の危機打開と再建をめざす国会議員連盟」が主催したシンポジウムのなかで発言した。』

公共事業費はまだ削れます。社会保障費はもうダメです。

旧日本軍の精神論。それは、肉体を考えないという「現実への否認」でした。そして、現在の厚生労働省、財務省は数合わせだけの机上論を振りかざし、医療者の肉体を考えない。これも、「現実への否認」です。でも、永久に気付くことはないのでしょうね...官僚たちは....。

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2008年4月13日 (日)

まさに『隔靴掻痒』

2008年4月13日 雨
一日ドンヨリ曇ってます。

『隔靴掻痒』という言葉をひもとくと...「(靴の上からかゆいところをかく、の意から)思いどおりにいかなくて、もどかしいこと。 」という意味がみえてきます。我々、末端で働く医療者は最近常日頃このような感覚に襲われているのではないでしょうか...。

【厚労省のカルテ】(2)医師不足、消えぬ現場の悲鳴 4月13日8時1分配信 産経新聞
魚拓

『「馬1頭あげます」。柳田国男の民俗学研究で知られる岩手県遠野市が、昨年からユニークな医師募集を始めている。市内唯一の公立病院である遠野病院に来てくれる医師に、地元で育った馬1頭(500万円相当)を与えるというのだ。

 「それだけ医師不足が深刻ということ」と市の担当者。入院と外来合わせて、1日平均820人の診察をこなす遠野病院だが、常勤医師は9人しかいない。「とりわけ産婦人科、整形外科、循環器科は遠方からの応援医師だけで対応している状態。診療日が週1日しかない科目も多い」

 奇抜な募集策への応募はまだない。「むしろ、現場医師から『金やモノではつられない』といった反発も少なからずあった」と担当者は苦笑する。』

私であれば、「馬一頭あげるから来て」と言われた場合...行かないでしょうね。むしろ、相当状況が悪いんだな...と勘ぐってしまいます。

『一方で、厚労省は「医師不足なのではなく医師偏在だ」という姿勢を長くとってきた。人口減などを見越した医師数の将来推計で、「平成30年代には医師数が過剰になる」といった見通しが根拠になっている。医師増加が医療費の増大になるという理由で、医学部定員を削減した時期もある。』

医療費の増大を抑えるために医学部定員を減らしたという大きな過ちが....現在に色濃く影響しています。医療費はそもそも減らす必要があるのか??ココは重要な観点です。

『地域医療問題を研究している東北大の伊藤恒敏教授は「厚労省の政策は付け焼き刃的で、合理性や一貫性がない。厚労省は現場の声を知らなすぎるから、実態と離れた政策が出てくる」と批判する。

 ある厚労省幹部は「現場で起きている問題を細かくとらえて、早くに政策を見直す必要性があったのかもしれない」と漏らす。

 厚労省と医療現場にある隔たりに敏感に反応しているのが、患者である国民や医療関係者らの声を拾っている国会議員たちだ。2月に立ち上がった「医療現場の危機打開と再建をめざす国会議員連盟」には超党派で100人を超える議員が名前を連ねた。鈴木寛議連幹事長は「医療の現場からは悲鳴にも似た声が届いている」と話す。』

机上の論理だけでは、現場は上手く回って行きません...。本当の問題は、霞ヶ関にいても解らないでしょう。現場と乖離した政策は、大きな傷跡を残して崩れ去ります。太平洋戦争での苦い経験は、国には生かされていないのでしょうね...。

『勤務医の労働条件をどうするかは、われわれは触ることはできない。今回加算された診療報酬をどう使うかは、病院経営者の判断だ」と厚労省幹部。

 議連の仙谷由人会長代理がこう切って捨てた。「隔靴掻痒(かっかそうよう)の感がある。病院の現場のことは知らないというのか」』

これは圧巻...。まさにその通り。医師免許を持っている厚生労働省の医官の方々は、臨床の最前線で数ヶ月単位働いてみることです!本当の現場の苦しさを、身をもって経験し、我々に『隔靴掻痒』の感を感じさせないようにしてほしい...。

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更新が滞っています...

2008年4月12日 晴れ

4月10日が当直。4月11日は飲み会で...更新できませんでした。
明日からは、何とか軌道に乗せたいと考えています。

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2008年4月10日 (木)

問題の根源

2008年4月9日 雨

花散らしの雨です。しかし、おかげで鼻の調子は良好。

さて、「診療行為に関連した死亡に係る死因究明等の在り方に関する検討会」は厚生労働省が主催する会議です。しかし、その議論は二転三転...そのproductの名前でさえも...医療事故調査委員会から医療安全調査委員会と変化を遂げています。その座長は刑法学者の前田雅英氏ですが...その議論の進め方などについてギモンを呈する声が大きい!

m3.comに掲載されている「医療維新」というコラム。4月7日分より抜粋します。

『大野病院事件は「重大な過失」「悪質な事例」か -“医療事故調”が警察に通知する事例を考える -』

『検察官の論告は、
 「基本的注意義務に著しく違反した悪質な行為であることは明らかであり、被告人の過失の程度は重大である」
 「産婦人科医としての基本的な注意義務に違反し、医師に対する社会的な信頼を失わせた」
 「被告人は、(中略)信用できない弁解に終始している」
 「こうした責任回避の行為は、(中略)医療の発展を阻害する行為であり、非難に値する」
 「被告人は被害者を自ら検案し、その異状を認識していたが、医師法に基づく届け出も怠った」』

医療の世界にドップリ浸かっていない検察の方々には、臨床の現場を理解しろというのは土台無理な話しでしょう。臨床的な実力があり、酸いも甘いも嗅ぎ分けた人間がこのような論告を行うべきです!とてもとても、こんな論告を飲み込む訳にはいきません!!!!(怒)

『論告の前には既に、被告の加藤克彦医師の産科手術に関する医学的観点からの鑑定意見が複数、公判廷に提出されている。検察は既に十分にこれら鑑定を吟味した。それにもかかわらず、検察は加藤医師の産科手術を「重大な過失」であると断じ、「悪質な事例」と評しているのである。』

もう既に救いがたいというレベルでしょう。善人であろうが、悪人であろうが....こき下ろすのが職務でしょうから....仕方がないでしょうか?

『重過失致死罪の記述に、「重過失とは、注意義務違反の程度が著しい場合を言う」、「わずかの注意を払うことにより結果の発生を容易に回避し得たのに、これを怠って結果を発生させた場合」とある。

 前田氏の記述に従うように、検察は大野病院事件の産科手術事例を「重大な過失」に当たると認定してしまった。公判廷で、無過失を証明する数々の医学者の鑑定が提出されたにもかかわらず。』

この記述が表しているのは、検察には公平な判断を求めることが難しい(特に、非常に専門性の高い医療等の分野では...)ということでしょうね。公平な判断を行うために、新しく「医療安全委員会」を作り、その判断で「刑事事件相当」ということになれば検察に回るという動きが理想的であるはずです。過失の有無に関わらず、残念ながら重大な事故に遭われた患者さん、そして家族の方々が、その処罰心情の大きさによって起訴相当かどうか?決められるようであれば、医療を施そうとする者たちはほとんどいなくなってしまうでしょう。

『厚労省は、医療死亡事故の死因究明などを行う、医療安全調査委員会の創設に向けて、4月3日に第三次試案を公表した。これは前田氏の検討会の議論を受けたものだが、今までの過程では、医療安全調査委員会が警察に通知する「重大な過失」の定義や範囲について、まともな議論がなされなかった。

 現に、その前田氏自身が、3月21日に開催された日本学術会議の公開講演会で、この点につき、「言葉の問題を正面に持っていくと議論が止まってしまう」と述べられたそうである。つまり、「重大な過失」の定義・範囲を議論しなかったのは、意図的なものだったらしい。』

重大な過失の定義がはっきりしないと、なんでもかんでも重過失にされる可能性があります。この、議論を避けるのはこの会議の存在意義を否定することにならないか?と危惧します。

『実体法が改正されず、法解釈にも変更がないとすると、大野病院事件に代表される産科手術事例も、「重大な過失」の典型例とされざるを得ない。最終的に裁判官がどう判断するかは不明だが、少なくても検察は「重大な過失」として扱っているからである。
 
 しかし、それでは巷で思われてきたことと、全く違ってしまう。今まで巷では、少なくても大野病院事件のような手術事例は、「重大な過失」には当たらない、と信じられてきたのである。』

恐ろしいことです。医療の現場では「過失なし」とうけとられる事例でも、裁判の場では「重過失」とされる。コワくて医療なんてやってられないと医師は感じるでしょう。

議論は尽くされていない。座長自らが、問題の根源であるということです。

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2008年4月 8日 (火)

試案の重大な問題点

2008年4月8日 晴れ

ハラハラと桜の花弁が舞っています。葉桜になるのはどうしてこんなに速いのだろう...。

さて、厚生労働省が主導して開催している診療行為に関連した死因究明制度を検討する会議では、このほど第3次試案を示しました。マスコミさん方はこぞってこの案を持ち上げているようですが....重大な欠陥がありそうです。

『遺族求めれば捜査せざるを得ず  警察庁・米田刑事局長
MEDIFAX 2008年04月07日(月)5380号
警察庁の米田壯刑事局長は4日の衆院厚生労働委員会で、厚労省が3日に公表した診療行為に関連した死因究明制度創設に向けた第3次試案について、「現在、検討されている医療安全調査委員会(仮称)の枠組みでは、刑法上の業務上過失はそのままだ」と述べ、患者や遺族からの訴えがあれば捜査せざるを得ないとの考えを示した。

その上で、岡本充功氏(民主)の「調査が迅速に進まない場合、遺族の早く解決してほしいという願いがあれば、警察は捜査に乗り出さざるを得ないと考えているのか」との質問に対しては、「その通りだ」と答弁した。

ただ、米田刑事局長は「死因究明制度の創設で期待されているのは、委員会で十分な調査が行われ、遺族の『処罰感情』といったものが解消され、わざわざ刑事手続きに持っていくことで紛争解決するケースが少なくなるということだと考えている」とも述べ、「結果の重大性」に着目したものではないとする第3次試案の内容については肯定的な認識を示した。』

そもそも、医療事故や医療過誤の捜査は非常に難しい。そして、それは、「医療界の中に居る人間であったとしても」です。医療事故が起こった背景に何があるのか?それを理解できずに、業務上過失傷害、業務上過失致死を追い求める姿勢があれば、日本の医療は萎縮し衰退します。実際に執刀医の逮捕拘留までに至った福島県立大野病院事件はその象徴ともいえるでしょう!

医療事故の捜査に着手する入り口は複数必要ではないと思います。ある一定の標準で、「ここまでは仕方がないだろう」としなければ、現場は混乱し萎縮するだけです。複数の入り口を作ることは、いわゆる「ダブルスタンダード」となります。このようなセキュリティホールを残しておいては、何のための制度創設か??わからなくなります。そして、日本の医療を決定的にへといたらしめるでしょう!

このままの試案が法制化するとなるととんでもない事態が生じます。そして、それを作ったものたちは大罪人とうたわれるでしょう。

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2008年4月 7日 (月)

建前と現実

本日、2稿目(いや正確には3稿目か...)

久しぶりに、ごそごそと取り出して読んだのは「ほくそ笑む人々」というエッセイ集。その中の、「ピラフに関する永遠の真理」という稿には以下の記述があります。

<引用開始>だから中国には常に帝王がおり、伝説に綴られている。毛沢東はまさに現代に帝王を見るような権勢と権力を持っていたし、「農業は大寨に学べ」の時代には、伝説的な収量を上げたとされる大寨という農村を信じるふりがなされてきたのである。それというのも、彼らは建前の国だから、建前は現実と乖離していて当然である。建前は現実と違わなければ建前ではない。<引用終了>

これは、中華人民共和国のお話。しかし、今の日本にも同じことが当てはまるのでは??と感じます。「医療は100%完全でなければならない。」という思想(いや幻想か?)。コレだけ、医療の現場が疲弊しきっているのに、救急車の患者さんは100%すぐに受け入れられなければならない....という儚い願い。

医療者、政治を行うモノたち、患者さんたち。お互いが建前を捨て、現実を認め合えたら....もう少し楽なのに....。そして、「いま本当に必要なのは何か?」がみえてくると思います。

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本当のチカラ

2008年4月7日 雨のち晴れ

暖かい一日です。桜は満開を通り越して、散る時期となってきました。黒い道路の表面と散りつもった桜の花びらのコントラストが綺麗だと感じられます。(もちろん、徐々に汚れてしまうのですが....)

さて、兵庫県立柏原病院のお話は余りに有名です。住民が、存続危機となった病院小児科を支えるという図式は、これまでマスコミの表面に出現していなかったものです。そして、その運動の「本当のチカラ」が発揮されます。マグネットホスピタルならぬ、マグネットピープルとでもいいましょうか....。そのチカラに感嘆させられます。

記事は神戸新聞から....。
「住民が奇跡起こした」 小児科医が着任 丹波市
魚拓

『医師の負担軽減を目指す丹波市の母親グループの活動に共感した小児科医の石井良樹さん(32)=伊丹市出身=が、岡山県内の大学付属病院から同市柏原町の兵庫県立柏原病院に転勤を希望し、四月から常勤医として働いている。兵庫県病院局によると、他府県の大学医局を離れ、県内の地方に進んで赴任するのは極めてまれという。石井医師は「勤務医の負担を考えた地域は全国でも珍しい。住民の動きに応えたかった」と話す。(小林良多)』

一大決心だったでしょうね...。地域に入って、小児医療をするというのは、結構な気構えを要します。しかし、それをも越えさせる様なエネルギーが「守る会」の方々にはあったのでしょう。

『診察時間外に小児救急に訪れる患者は、全国的に約九割が緊急度が低い軽症とされる。柏原病院小児科は丹波地域の中核だったが、医師が三人から二人に減った二〇〇六年四月から危機的な状況になり、〇七年四月から一般外来を紹介制にし診察を制限している。』

柏原病院は産科があると聞いたことがあります。産科のある病院小児科は、通常にくらべ勤務がキツく、ストレスも多いと感じています。それを、2人体制で維持するには「紹介制」とすることが必要であったでしょう。ただ、「緊急度の低い軽症」の中に「本物の重症」が混じっている訳で、それが大きなストレスともなるのです。(軽症で、時間外受診の必要がないと思われる方々が凄まじい数、来られるのは困ることですが...。)

『勤務医が疲弊する様子を知った母親たちが〇七年四月、「県立柏原病院の小児科を守る会」を結成。症状を見極めて病院を利用するよう住民に呼び掛けた。病院間の輪番制の徹底にこの運動が加わり、小児救急利用者は半減。先駆的な取り組みとして注目された。』

冒頭でも述べましたが、地域の病院小児科の存続危機があったにせよ、「患者さん側より、小児科医の疲弊を防ぐ運動が起きてきた」ということは今まで経験のなかったことであります。それが、大きな成果をあげたことは、「日本の医療も捨てたもんじゃない。」という気にさせます。
これからも、頑張って下さい。とエールを送ります。

また、最後に付言しておきますが....。私のところも、既に一人体制。私のところに通ってきてくれる患者さんも私の体や、ココロを気遣ってくれます。コレには感謝、感謝...。私の担当する地域も「捨てたもんじゃない」。無理しないぐらいに頑張ります!

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すでに崩壊している

2008年4月6日 晴れ

医療は既に崩壊しているとして過言ではないでしょう。

記事は朝日新聞から...。
医師不足、消える病院…都市圏でも 2008年04月06日03時00分
魚拓

『長野県千曲市で3月末、医師不足のため病院が閉じた。
 地域住民約4万人の医療を支えてきた長野赤十字上山田病院。19人いた常勤医師が最後は2人。医師不足が患者減を招き、収入減、赤字増という悪循環に陥った。』

これから、多くの地域でこのようなコトが起こってくるでしょう。

『もともと経営は順調だった。減価償却費を除いた収支は黒字。病床利用率96%と、常にベッドは埋まっていた。
 崩壊の始まりは06年4月。19人いた常勤医のうち内科、外科、整形外科で1人ずつ減った。07年4月には8人に。外科と眼科がいなくなった。
 大学病院が地域病院から医師を呼び戻したのがきっかけ。それに定年退職や独立開業、突然の死亡も重なった。』

突然の死亡ってなんでしょうか?過労のためかもと....勘ぐってしまいます。

『住民の不安は大きい。

 長野市の公務員男性(52)の父は肺気腫で上山田病院に入院していたが、長野市内へ転院させられた。上山田病院と実家は車で5分だったが、今は30分以上。男性は休日に1日がかりで、長野市と独居の母が暮らす実家を回る。

 一つの病院の崩壊はドミノ倒しで他の病院の負担を増やす。上山田病院の救急外来は昨春休止され、年約3500人の急患は周辺の病院に向かうようになった。JA長野厚生連篠ノ井総合病院(長野市)はこの地区からの救急搬送が月に約100人へと急増。「満床」で受け入れを停止する頻度が増えた。「限界に近い。うちが倒れたら地域医療が崩壊する」と救急担当医は話す。』

残念ながら、今の国策では地域の住民の不安を取り除くことはできません。

『だが研修制度だけが原因ではない。以前から、産科や小児科などで不足感は強かった。

 そもそも医師数が少ないのだ。人口千人当たりの診療医師数(04年)は2.0人。経済協力開発機構(OECD)加盟30カ国中27位。90年代は日本とほぼ並んでいた英国にも引き離されつつある。

 政府は80年代半ばから一貫して、医師養成数を削減してきた。「将来は医師が過剰になる」と分析したためだ。医学部の入学定員は07年度に7625人と、ピークの84年度より8%少ない。

 厚生労働省も、全体的な医師不足は認める。06年7月にまとめた報告書ではじいた必要医師数は、04年時点で26.6万人。だが実際に診療する医師は25.7万人と、9千人足りない。10年には1万4千人不足に広がる計算だ。

 ただこれは、病院にいる時間から研究、休憩などを除いて週48時間労働で換算した数字。小山田恵・全国自治体病院協議会長は「病院にいる時間を勤務時間と考えれば、不足は約6万人分に広がる」と反論。「いまの危機は、医療費を抑制し、医師数を削ってきた政策のつけだ」と憤る。』

22年に研修医も入れて、試算した医師必要数に到達するということなのでしょうか?実働の人数ではないと思います。もしかすると、永久に医師の充足は得られないのかも?なんて思っています。


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2008年4月 5日 (土)

御紹介

2008年4月5日 晴れ

『この会は、次の3つのスローガンをこころがけることによって、医療崩壊からの再生を願う、ネットで活動する市民の会です。

1. コンビニ受診を控えよう
2. かかりつけ医を持とう
3. お医者さんに感謝の気持ちを伝えよう』

という活動をされている。

医療再生を願うネット市民の会の御紹介です。

兵庫県立柏原病院小児科を守る会とならび、患者さんより始まった貴重な運動であると感じます。ココロより応援致します!

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2008年4月 4日 (金)

身につまされる記事

2008年4月4日 晴れ

身につまされる記事です。

『産科医の休職
読売新聞 2008年4月1日
 先週、知り合いの産婦人科医からメールが届いた。
「2か月間、休業します」――。
30台で1児の母。過労でドクターストップがかかったためだった。
 勤務医の過酷さを最初に教えてくれた人でもある。不規則な職場で働く女性同士、意気投合し、ずいぶん愚痴も聞いてもらった。
 彼女の勤務先は800床もある大病院。なのに当直は月10回にも上っていた。昨年末、医師の当直が違法状態にあるという記事を書いた時には「もう少しだけ頑張ってみる」と涙声で電話をかけてきた。その後、同僚5人のうちの一人が去り、負担は更に増えた。彼女が抜けても補充はない。
 「このままでは出産の取り扱いもできなくなる。職場に復帰した時、産婦人科がなくなっているかも」
 昨秋から医療崩壊の現場を取材しているが、大病院でさえこうなのだ。崩壊のスピードが確実に早まっているような気がする。
 「ずっと走り続けて来ちゃったから、家族もぼろぼろ」
という彼女。せめて2か月間は夫や娘との時間を取り戻してほしい。』

もう無理をしないで、休んでほしい。自分を責めないで....とココロより思います。

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2008年4月 2日 (水)

システムダウン....

2008年4月2日 晴れ
徐々に徐々に温かくなり....外来数は激減しています。病院のオーダリングシステムなどをある程度の範囲で管理している身としては「ヒトゴト」ではない...大変だなと感じる記事です。

済生会中津病院でシステムダウン 数百人が清算できず 2008年04月01日
魚拓

『大阪市北区の「大阪府済生会中津病院」で1日午前8時すぎ、医療情報管理用のコンピューターシステムがダウンし、来院者が診察券を入れる機器と診療料金の精算機器が作動しなくなった。窓口が来院者で一時混乱したため、職員約50人が対応。診療行為に影響は出なかったが、数百人の料金支払いができなかったという。システムは約6時間半後の午後2時半ごろに復旧した。』

聞くだけで寒気がします。4月1日からソフトの改訂があり....それを事前にサーバーに入れておき、4月1日になれば作動する様に仕掛けておくのです。そして、4月1日にならないと、キチンと動作するか?すべてはわからない。全てを予想することができないのです....。コワい行為です。

私の勤務する病院でも、院外処方箋の一部改正でソフトをいじったのですが....。一部で医事会計との連携がうまくいかず....苦労しました。また、以前のことですが、配布されたサーバーソフトの中にバグが含まれていて、大騒ぎになったこともあります。

コンピュータは現在の医療になくてはならない存在になりつつあります。しかし、所詮人間が扱うもの。細心の注意を払いながら、使って行かねばなりません。

『同院によると、前日夜、75歳以上を対象にした新しい公的医療保険「後期高齢者医療制度」が4月1日から始まることなどに伴い、システム内容を更新した。1日朝になり、不具合が生じたという。』

テストをする時間もなかったのでしょうね....。まさか、システムがダウンする様な大きな事態になるとは...予想もしてなかったのでしょう。

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障害

2008年4月2日 晴れ
自宅のADSLの障害のため、ネット接続できず、更新が滞っておりました。復旧したため、本日よりまた再開する予定です。

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