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2008年3月

2008年3月30日 (日)

「あってはならない」という否認

2008年3月30日 雨
肌寒い一日です。

「戦争する脳」(計見一雄 著)を読みました。その中で、いくつかの部分がココロに残りました。今日は、まず一つ....。いままで、マスコミから流れてくる情報で、何か悪いコトが起こった時に、その組織の上層部が記者会見して頭を下げて、「あってはならないことが起こりました。」と陳謝する風景を何度となく見てきました。
その度に、自分では言葉で上手く表現できない「嫌な感じ」を受けていました。何故?あってはならないコトなんだろう....と....。

この書籍を読むと一部に、「デナイアル・オブ・リアリティ」(現実に対する否認)について書いてあります。現実に起こっていることを、まるで「それが起こっていない」ような捉え方をすること。と解釈しますが....。まさに、「あってはならないこと」という言葉の根底にはこの観念が横たわっている様に感じます。

つまり、「臭いものには蓋をしろ」のような感覚です。医療現場で起こる事故に対してもそう....。現実には、患者さんの死につながる様な事故は起こりえるのです。そして、そういった現場で我々医療者が仕事をしなければ、患者さんを救うことはできません。リスクマネージメントで、そういった事故のリスクを軽減することはできても、おそらく根絶することは出来ない。

もちろん、予防することが大事です。でも、根絶できるなどと考えてはいけない。常に「起こりうること」という観念を持つことが重要で、起こった時のダメージを少なくする、「ダメージコントロール」という観念が必要であると、書かれていました。

「あってはならない」という言葉は、「現実から逃避したい」、「起こるはずがない」という現実に対する否認を間接的に表していると思います。そういったコトバが聞かれるかぎり、また、マスコミの方々がそのコトバを求める限り、その現場の現実から逃げ続けることになります
そして、当然の帰結として現場は変わらない、事故が起こった時の対処も進まないことになると考えます。

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2008年3月29日 (土)

制度を作る側だけの論理

2008年3月29日 晴れ
スギ花粉は益々飛んでます....。

さて、厚生労働省の官僚の方々は、やはり机上の論理だけを振り回しているのでしょうね....。我が国の医療の未来は暗い!といわざるを得ません。

ロハスメディカルブログ:浅知恵(1)
魚拓

『またしても議連会合の話なんであるが
こんなやりとりがあった。

仙谷由人・議連会長代行 「大雑把な言い方になるけれど、勤務医の労働条件を改善するという時に、ここに出てくる程度のことで36時間連続勤務が当たり前というようなムチャクチャな話は変わるのか。勤務医がどんどん職場を離れる大きな原因になっているのが、労働基準法を全く無視したような勤務状態であり、交替勤務を取ろうにもそんなにお金が払えないという診療報酬形態があるわけだ。そういったことが解消に結び付く何かというのは、どこを見れば『ああなるほど』ということになるのか」
原徳壽・保険局医療課長
「質問の趣旨がよく分からないのだが、診療報酬は医療機関の収入になる。勤務医の負担軽減策というのは先ほど説明したようなことで配慮している。医療機関の体制についてまで診療報酬では触わることはできない。間接的にいたしているということ。ハイリスク分娩管理などについても、負担軽減計画を必ず作るように要求しているし、その軽減策は勤務医にも見せるという条件になっているので、計画が実行に移されなければ、その病院から勤務医がますますいなくなる可能性もあり、計画を立てたからには実現する方向に動くはず。それ以上の全体の話は総額の問題がある中でこの程度しかできなかったということだ」』

計画を立てたからには実現する方向に動くはず。というのはずいぶんと自信のあるお言葉で....。原徳寿先生は私の先輩にあたるようですが....少なくとも現場の状況については、まだまだ御理解いただけていないのかも...残念です。
現状の診療報酬体系では、充分な待遇を産科医に行うのは無理なのでしょうね...。条件をつけた上での「ハイリスク分娩管理などについても、負担軽減計画を必ず作るように要求している」ような状況では何ら現場の状況は変わらないという事態まで進んでいるという理解が必要であろうと考えます。

「それ以上の全体の話は総額の問題がある中でこの程度しかできなかったということだ」....本当に残念です。日本は先進国の中で、ほとんど唯一といっていいほど、公共事業費が突出した国でもあります。ココでの「総額」は医療費或は社会保障費を指していると思われますが....道路あるいはハコモノに使う道路特定財源の使い道については思いを馳せたことがあるのでしょうか?医療にはヒトそしてお金が必要です。そろそろ、お金の使い道を考える時期にさしかかったのではないでしょうか?原先生のお言葉には....残念ながら、それに関する思いを感ずることができません。

更に続きますが....
『さて、そのご自慢の軽減計画だが
理論的には、現状がどうなっていて、それをどう変更するか示さないと
何がどう軽減されたのか分からないことになる。
だから、そういう現状報告を病院に求めるそうだ。

ところがである。
現在多くの特定機能病院での勤務実態が労基法を完全に逸脱した状態であるため
厚生労働省職員は申告を受けた瞬間に、違法状態を知った公務員として告発義務が生じる。
つまり、病院は労基法違反で摘発されてしまうかもしれないのだ。
病院上層部としては、現状を虚偽申告するか、認定申請をあきらめるかしか選択肢がない。
とはいえ、虚偽申告それ自体が危ない橋であるから
結局、本当に勤務医が激務で大変なことになっている病院はこの加算を受けられないのだ。
実際、多くの大学病院が申請を見送る方向だという。』

うーむ、実効性のない...というのはこのことを言うのでしょうか??受けられる施設は限られていて....マグネットホスピタルと呼ばれる、研修医もいっぱい持ってるような施設では受けられるでしょう...てな話なんですね...........。

『好き好んで違法状態にしているわけではないのに
その違法状態があるばっかりに改善の財源を得ることもできない。
たとえは悪いかもしれないが
薬物中毒者が処罰を恐れて助けを呼べず薬物からも離脱できないのに似ている。

本当に勤務医の負担を軽減させるつもりがあり
現実が少しでも分かっているなら
こんな制度運用しないし、まして自慢なんかしないよね。
中医協委員の方々は
自分たちの善意がこんな風に骨抜きされていることをご存じなのだろうか。』

この例えは....スゴいですね...。この制度疲労を解決できるのはいつのこととなるでしょうか?

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2008年3月28日 (金)

デング熱

2008年3月28日 晴れのち曇り
湿度が高く、ムシムシした一日でした。

さて、最近行けた学会での症例報告。輸入感染症としてのデング熱を聞きました。聞き慣れない病名ですが...どのような病気でしょうか?Wikipediaから....

『デング熱(デングねつ、dengue fever)は、デングウイルス(dengue virus)による感染症。ネッタイシマカ(Aedes aegypti)やヒトスジシマカ(Aedes albopictus)などの蚊によって媒介される。「テング熱」と記されることがあるが、これは誤りである。「天狗熱」は当て字である。
潜伏期間は4日から7日。
デング熱は、一過性の熱性疾患で、東南アジア、インド、中米、南太平洋などに広く分布する。近年の、熱帯・亜熱帯地域の都市部におけるアウトブレイクには、急激な都市化が関連している。
突然の発熱、頭痛、眼窩痛、筋肉痛、関節痛が現れる。食欲不振、腹痛、便秘を伴うこともある。発症後3~4日後より胸部から非特異性の発疹が出現し、四肢、顔面へ広がる。四肢にかゆみを伴うことが多い。こういった症状は通常3~7日程度で消失し、回復する。』

現在のところワクチンはない。予防は蚊に刺されるのを防ぐことが重要。ヒトスジシマカは、日中活動し、室内にもひそむ。』

要約すると、デングウィルスの感染により発症する疾患。ウィルスは蚊により媒介され、潜伏期は4〜7日。症状は発熱、頭痛、筋肉痛などで、発症後3〜4日より胸部から発疹が出現し四肢へと拡大する。通常は3から7日で回復し後遺症を残さない。ワクチンは現在のところ存在しない。ということであろうと思います。

ただし、重症の病態があり...「デング出血熱」と呼ばれます。

『デング出血熱(dengue hemorrhagic fever)は、デング熱とほぼ同様に発症するが、特に流行地の小児において、発熱後、下血や出血を主とする重篤な致死的病態を示す。血管の透過性亢進がその基本病態であり、高確率で胸水や腹水が現れ、肝臓の腫脹、補体の活性化、血小板等の減少などが起こり、出血が続くと血液量の不足からショック状態(デングショック症候群)に陥ることもある。
デングウイルスの型は1類から4類まであり、同じ型のデングウイルスには感染することはないが、異なる型のデングウイルスに再び感染した場合にデング出血熱になる可能性がある。』

コワい病態です。そして、このウィルスに対する抗ウィルス剤は開発されておらず、ワクチンもありません。出血熱が発症すれば、根本的治療のないまま、支持療法で診て行くしかありません。

そして、熱帯の都市部などでアウトブレイクが散見されます。温暖化で、熱帯の蚊が日本で生息できる様になれば、日本もその例外とはならないでしょう....。

さて、記事はCNNより....
デング熱死者54人に、ブラジル・リオデジャネイロ州
魚拓

『リオデジャネイロ──南米ブラジルのリオデジャネイロ州でデング熱が流行しており、今年に入ってからの死者が少なくとも54人に達したと、同州の保健当局が27日に発表した。

病院では114人が死亡しているが、デング熱と確認されたのが54人で、残る60人については現在調査中。そのため、デング熱による死者は、さらに増える恐れがある。

今年1月からの感染者はリオデジャネイロ州だけで4万3000人を超え、昨年1年間の感染者2万5107人の倍近くになっている。』

まさにアウトブレイクです。根本的治療法のない感染症は恐ろしい....。

『死者のうち31人は、リオデジャネイロ市で発生した。また、約半数が13歳未満の子供だった。』

都市部での大流行ですね....。

『デング熱はマラリアと同様、蚊が媒介する感染症。厚生労働省検疫所によると、デング熱を媒介するネッタイシマカやヒトスジシマカなどは、空き缶にたまった水などでも繁殖するため、都会での流行も多いという。しかし、治療や対症療法だけで特効薬はなく、予防薬もないため、蚊に刺されないようにすることが唯一の予防法だという。』

蚊から刺されることを予防するのには、蚊の繁殖を抑えることも含まれます。なかなか、難しいでしょうが....。抗生物質が発明されて、感染症はずいぶん治る病気になってきました。しかし、一部の感染症は、まだまだ不治の病となっています。

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2008年3月26日 (水)

産科医緊急派遣...

2008年3月26日 晴れ
派遣元は大変でしょうね...。防衛医科大学校からも派遣されるようです。

産科休止、派遣で解決できるか
魚拓

『「医師を派遣した大学は、いわば“わが身を切る思い”だったことだろう」――。産科を閉鎖せざるを得ない病院に医師を派遣する信州大学などに対し、文部科学省高等教育局の三浦公嗣医学教育課長は感謝の意を表した。産科医の退職などで分娩の取り扱いを休止した施設などに対し、厚生労働省は近隣病院からの医師派遣という“応急処置”で対応する予定だが、「根本的な解決ではない」との批判も根強く残っている。』

緊急処置は緊急処置...根本的な解決につながりません。医療費の削減、医師数の絶対的不足を是正しないかぎり、解決はしないのです。この緊急派遣で、大学の産婦人科が潰れないという保証はないでしょう。

『文科省の三浦課長は「各大学に『産科医を派遣する余裕があるか』という調査を実施したが、地域で最大規模の病院である大学病院でも産科医を派遣する余裕がない状況が分かってきた。医師を派遣した大学は、いわば“わが身を切る思い”だったことだろう。この場を借りてお礼を申し上げたい」と述べた。』

緊急派遣の派遣元となるという決定はどのようにしてなされたのでしょうか?“わが身を切る思い”が、将来の発展につながることを望みます。

『海野委員長はまた、厚労省が各都道府県に勤務医の労働環境の改善を図るように求めた3月21日付の医政局長通知に触れ、次のように述べた。
 「正直申し上げて、これでは短期的には難しい。人がいないからだ。現場の医師に無理にでも働いてもらわなければならない状況だ。そのためには時間外労働の正当な報酬や分娩手当ての支給は必要だということを全国の部会長が述べている。このままでは地域医療が破綻し、緊急派遣が必要となる地域がさらに増えてくることが明白だろう。政府のご対応をお願いしたい」』

この「産婦人科医料提供体制検討委員会」の海野信也委員長のことばが全てを表しているでしょうね....。社会保障費を年間2200億円づつ減らすことを目標とするなんて、いかに馬鹿げた方針でしょう!医療費はこれ以上削ってはいけません。

そして、この緊急派遣が派遣元施設の荒廃をもたらさないように祈るのみです!

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2008年3月25日 (火)

メンテナンスのため休載

2008年3月25日 晴れ

ココログメンテナンスのため本日は休載となります。明日は何がしかをアップします。

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2008年3月24日 (月)

地方自治体の財政

2008年3月24日 晴れ
スギ花粉が飛んでる様です。それも、カナリ...。

夕張の破綻のあと、夕張市立病院を引き継いで経営されている村上智彦先生のお話を聞いたことがあります。夕張市の歴史から、炭坑の町の福利厚生、市立病院の上に作られた看護学校の意味などを解りやすく解説されていました。もちろん、メロンのことも....。
そして、同じ北海道の赤平市においても、ほぼ死に体に近い状況の様です。どこに問題があったのか?炭坑町特有の問題が共通して横たわっている様に感じます。

記事は毎日新聞から。
読む政治・選択の手引:地方財政の危機(その1) 北海道・赤平市 破綻寸前、綱渡り
魚拓

『朝は、まだ氷点下の冷え込みだ。北海道のほぼ中央部にある赤平(あかびら)市。商店街はシャッターを下ろした空き店舗が目立つ。閉鎖された小学校や公民館は、雪に埋もれたまま。夕張市で閉鎖中の屋内プールの屋根が雪の重みで崩落したが、赤平市でも売却先や撤去のめどの立たない遊休施設の管理は悩みの種だ。

 四つの炭鉱を抱え、かつては約6万人が暮らした。石炭を満載した貨車でにぎわった赤平駅は、貨物発送量日本一を誇ったこともあるという。だが94年に最後の炭鉱が閉山。今、人口は約1万3000人だ。65歳以上の高齢者が35%を占める。』

炭坑町はかつて夢のある町であったようです。遊休施設があるということは、先細りする石炭需要から観光産業に軸足をうつそうと考えたのでしょうか?施設を建設する資金はどこから?運営する資金をどのように考えていたでしょうか?賑やかであったころから、さびれていくに従い、町の支出を抑えて行かないと赤字に転落するのは自明の理です。

『自治体財政健全化法は、公立病院などの公営企業会計を市の普通会計と連結決算する「連結実質赤字比率」を、08年度から新たな指標として導入する。30%を超えれば、夕張市と同様に財政破綻(はたん)状態とみなされる。

 病棟改築などで市立赤平総合病院が抱える不良債務24億円が加わると、赤平市の07年度の比率は77・6%の見込みだ。この4年で医師が18人から10人に減った病院。患者受け入れを制限せざるを得ず、収益も悪化している。』

夕張ショックを教訓にして、総務省が危ない自治体を監視するために設けられたのがこの「連結実質赤字比率」という指標です。この指標が77.6%では...厳しいでしょうね。そして、この町の医療をどうしていくか?考える機会となります。残念ながら、ない袖はふれない。最低限必要な医療を残し、効率化する必要があるでしょう。

『炭坑で働いていた小坂寛司さん(70)は、じん肺を患う。「近所は気心のしれた炭坑仲間ばかり。今さら都会に住む気はない。でもこの街で安心して暮らしていくため、病院だけは維持してもらわないと困る」と言う。市は病院存続のため、一般病床160床を120床に減らし、産婦人科と皮膚科を休止。職員の人件費を27%ほど削減する。』

ひょっとすると、いままで病院に依存してきた医療を何らかの形に変えないといけないのかもしれませんね....。予防医学はそのコストベネフィットが高いとされますが、そのような安くて効率のよい医療を進めなければ、生き残れないのかもしれません。立派な病院もお金とヒトがいないと生き残れません。最低限必要なものは何なのか?考えることが必要でしょう。

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2008年3月23日 (日)

心因性頻尿

本日、2稿目です。

「やたらとおしっこが近いんです。」というコトを主訴にみえられる患者さんは結構多いです。ほとんどは、器質的な原因があるのではなく、何らかの緊張状態などにより起こるものです。もちろん、検尿はほとんどの例で行います。

子ども相談室:6歳男児、1日に20回もトイレに行きます=小児科医・藤田光江
魚拓

『6歳男児。2歳半から1日約20回、トイレに行きます。おしっこの量はさまざまです。便は1日2、3回で、おねしょはあまりしません。尿をためられないのでしょうか。弟と妹がいます。(大阪府、母親)』

おねしょ(夜尿という)がない場合はかなりの確率で器質的原因がないことを示唆します。尿がためられない場合も夜尿を伴うことが多いといえます。(膀胱容量減少型の夜尿)もちろん膀胱炎などで残尿感が出現し頻尿となることもあります。検尿はするでしょうね....。

『相談者のお子さんに夜尿(おねしょ)があまりないなら、尿をためるぼうこうが小さいわけではなさそうです。頻尿は、緊張と関係があり、小さい子だけでなく思春期の子にも見られます。ただ、誰にでも出るわけではなく、親や先生の言うことをしっかり守ろうとするいわゆるいい子に多いのです。思春期には強迫性障害の病名がつくこともありますが、小さい子の場合は発表会や入学の前など何か緊張する理由のあることが多く、一時的なのが普通です。』

そうですね....。ただ、器質的原因が隠れている場合もあり注意は必要です。

このような場合もあります。既に、トイレットトレーニングは終了しちゃんと夜尿もない状態となっていた児。あるときから、異常に尿回数が増えて尿量も増えた。更に、いままでしなかった夜尿まで起こり始め、オムツをしている。少し、やせたような感じがある。とのコトで来院。

尿検査と血液検査をすると....パニック値で検査室から直接電話がかかります。「先生、血糖800で尿糖4+です!」小児の糖尿病の発症時にはこのような経過でこられることもあります。

また、尿量の多い児には腎不全の初期であることもあり、夜尿も伴っている時には注意深く検討することは必要と思われます。

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生体吸収型ステント

2008年3月23日 雨
久しぶりのまとまった雨です。風はあいかわらず強い。

さて、冠動脈ステントは薬剤溶出型ステントを使用する際、突然のステント閉塞を防止するために、長期間(というより止めることができない?)の抗血小板薬内服が必要となります。また、長期的予後もベアメタルステントに比較して良くないかもしれないとの研究もあります。

ある一定期間経過すると、ステント自体が吸収されてしまうものができれば、こういった問題もクリアーできると考えますが....出来てる様です。生体吸収型ステント....。


(3/20)有効性の高い新しいタイプの生体吸収型ステント

魚拓

『閉塞した冠動脈を拡張させる役目を終えた後、完全に生体に吸収されてしまう新しいタイプのポリマー製ステントに関して、数カ国で行われた臨床試験で良好な結果が得られたことが医学誌「The Lancet」3月15日号で報告された。』

画期的な発明と言えるでしょうね...。

『報告によると、31例中29例でこの生体吸収型ステントの留置に成功。1年の追跡期間中、ステントを留置した冠動脈に再狭窄が認められた症例はなかった。留置を受けた30人中1人が心臓発作を発症したが、それ以外の有害事象は認められなかった。ステントを開発した米Abbott Laboratories社の広報担当Karin Bauer氏によると、このステントについて現在複数の国で大規模臨床試験が進行しており、米国での試験も計画準備段階にあるという。』

まだまだ、少数例での検討ですので、これからどのような有害事象が起きてくるのか?見極める必要はありますが....機序からいうと期待できそうな医療材料です。

『この新しい生体吸収型ステントは、乳酸の骨格をもち、瘢痕(はんこん)組織の形成を防ぐ薬剤エベロリムス(免疫抑制薬)によりコーティング(被覆)されている。従来のステントは金属メッシュの管で、閉塞した血管を押し広げて血流を再開通させるために使用されるが、一度留置すると取り除くことができない。』

取り除くことが出来ない上に、シロリムスなどの血管内皮細胞の増殖を抑える薬剤がコーティングされており、ステント内部に細胞増殖による狭窄を来さない代わりに内皮細胞がないことによる、血液の凝固が起こりやすく、それを防ぐために抗血小板剤の内服が必要となる。と聞いたことがあります。
抗血小板剤を止めることが出来ない時には、留置後、何らかの疾患で手術が必要となった時、非常に具合が悪いコトになります。術中の出血が止まらない....手術ができないということにもなります。

『例えば、再狭窄は最初の6カ月以内に発生することから、ステントを永久的に留置する必要はないが、Abbott社のステントの材料となっているポリマーは、分解されて二酸化炭素と水になるため、血管内に異物が残ることがなく、血管の柔軟性が得られる。』

このステントが6ヶ月のあいだ、吸収されることなく、自分のオシゴトをしてくれればいいでしょう。ただ、早すぎる吸収は再狭窄を呼ぶでしょうね...。その部分で信頼性ができてくれば、臨床に応用できるでしょう。

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2008年3月21日 (金)

御恩と奉公...

2008年3月21日 晴れ
今日はマンマルお月様。中でウサギが餅ついてるようでした。

さて、いまだにこのような状況のところもあるんですね....。寂しくなってきます。

横浜市大医局:学位謝礼金を強要か
魚拓

『横浜市立大の嶋田紘医学部長(64)が博士号を取得した大学院生から謝礼金を受け取っていた問題で、謝礼金を払わずにいた複数の医局員が医局側から「先生が激怒している」と電話を受けたり、冷遇をほのめかされていたことが、関係者の話で分かった。元医局員は毎日新聞の取材に「謝礼金30万円は『不文律』で、払わないと何が起こるか分からない怖さがあった」と証言しており、医局内で謝礼金が半ば強要されていた疑惑が浮上した。』

話を聞くだけで少しコワいですね....。でも強要されるのではなく、お世話になった先生には感謝のキモチを表すことはあることでしょうね。ただ、贈与の多寡が将来を決める様なことになってもいけませんが...。

『ある男性医師によると00年ごろ、学位取得に際し菓子折りを嶋田教授に持参したが、その日のうちに当時の医局幹部から「お前、30万円持っていかなかったな。先生が激怒してるぞ」と電話があった。この医師は「お金で済むんだったら払おうと思った」と証言している。

 また関係者によると、数年前に学位を取得した男性医師は、大学の事務側から謝礼を払わないよう言われていたことや貯金が少なかったことから、30万円を払わないでいた。しかし、しばらく後に当時の医局幹部から「処遇を考え直さないといけない」という趣旨の話をされたという。』

ココまでくると、恫喝になりそうですね....。

因に、私は医局に属したことがなく....学位も取得していない、いわゆる根なし草です。御恩と奉公...。我が国の美しいしきたりであると思いますが....度が過ぎると、このようなコトになるのでは?と感じてしまいます。

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2008年3月20日 (木)

まだ削るのか...

2008年3月20日 晴れ
スゴい風です。

日銀…道路の後は「医療制度」が火種ね 福田内閣正念場 3月20日19時15分配信 産経新聞
魚拓

『「日銀総裁人事」「道路特定財源」に続く新たな与野党争点に、医療制度改革法案が急浮上してきた。民主党が反対姿勢をみせるのは、4月から始まる後期高齢者医療制度と、政府管掌健康保険(政管健保)の国庫負担の一部を健康保険組合などに肩代わりさせる健康保険特例措置法案。もともと社会保障費を毎年2200億円削減する政府方針には与党内にも反対論があり、社会保障財源をめぐる路線対立も根深い。民主党は、論戦が与党分裂を誘うとみて攻勢を強める。』

まだ、削るんでしょうかね....国は。日本では社会保障費よりも公共事業費が多く使われています。毎年2200億円づつ削るんなら、公共事業費を効率的に減らした上で行わなければならないでしょう。もちろん、医療費の使われ方も効率化する必要がありますが、ほとんど使用されない道路を整備するお金があるならば、社会保障費に当てるべきだと考えます。

『4月の運用開始直前になって、民主党が後期高齢者医療制度の廃止を主張し始めたのは、全国からの後押しを受けたためだ。全国地方議会の4分の1、約500議会が厚生労働省に意見書を提出。うち約150議会は制度自体の廃止や凍結を求める強硬意見だ。岐阜県大垣市議会では、廃止意見書に自民会派も加わった。平成20年度分は凍結されるが、70−74歳の窓口負担率が引き上げられるため、世論の逆風は強いと、民主党は読む。

 これに年金が絡み、事態を複雑にする。4月15日から後期高齢者医療制度の保険料が年金から天引きされるためだ。「正しい年金額を払わないのに、取るものだけ取るのか」との批判が予想され、民主党の長妻昭政調会長代理は「4・15ショックが起こる」と話す。』

「正しい年金額を払わないのに、取るものだけ取るのか」まさに、そんな感覚でしょうね....。

『高齢者医療と並んで民主党が問題視するのが、政府が20年度予算の関連法案として提出した健康保険特例措置法案だ。政府の社会保障費抑制方針達成のため、政管健保の国庫負担の一部を健保組合などに肩代わりさせる。ただ、サラリーマンには保険料負担増となるため世論の批判は強く、民主党は「特別会計の無駄遣いを減らせば財源は確保できる」(幹部)と、道路に続き、無駄遣い批判で攻め込む。』

毎年2200億円の社会保障費削減のため、国は末端に付け回しをしようとしています。健康保険組合が肩代わりすれば、利用する被保険者に負担が増加するのは目に見えています。道路やハコモノの無駄使いを効率的に減らすべきで、将来的には社会保障費が公共事業費より多い状態におくべきです。

『民主党が本丸として狙うのは、政府が掲げる社会保障費の年2200億円削減方針だ。医師不足や療養病床削減による“介護難民”懸念もあり、与党内ですら「骨太の方針」の転換を求める動きが顕在化した。財務省は一歩も引かないが、法案の国会審議と、「骨太の方針」のとりまとめ時期は重なりそうで、民主党は「与党内の路線対立激化で混乱を引き出せる」(幹部)と狙う。』

この「骨太の方針」の一部が生きている限り、日本の医療崩壊は進行し続ける様な気がしています。年間2200億円の社会保障費削減は意味があることでしょうか?国民の目に触れにくい特別会計の使われ方を考えることが優先されるべきです!

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2008年3月19日 (水)

ワーキングプア

2008年3月19日 晴れのち雨
あるところで入手した一文です。現在の日本における医療現場の苦悩が示されています。原典は2008年3月15日付け全国保険医新聞....。

『歯科医院を開業して15年になった。この間色々なことがあった。しかし総括して言えることは、日本の歯科医療行政がいかにでたらめで、歯科医療に携わる人々から多くを搾取してきたかと言うことである。
 経理には原価計算という方法がある。その物やサービスがどれほどのコストで作り出されているかという計算のすべである。しかし、他の業界では当たり前のそういう発想も医療現場にはない。原価割れの診療報酬で働かされるのは、長年の伝統とさえ言いたい。
 歯科臨床現場では、若い歯科技師をはじめ技工士に至るまで、新たに育てていく余力もなくなってきている。
 歯科医療は手仕事である。深く追求するにつれ、その奥の深さに日々うなり、保険の縛りがいかに技術を制約しているか感じる。つまり医療行政、医療経済という観点で見れば、すでに保険歯科医療は破綻している。
 女性歯科医師として、患者さんと接し過ごしてきた結果、結論として、歯科医を職業に選ぶのは後輩には今のままではお勧めできない。ワーキングプアな勤務医の実態は、家庭と仕事のおいしい両立などとは無縁だ。
 開業医の私も、出産の前日まで働き、3週間目には仕事に出ざるを得なかった。一人前の歯科医になるために投資した時間もお金も努力も、一人前になって取り戻すにはあまりに診療報酬は安すぎるのだ。
 しかし、現場のことを何も知らずに多くの優秀な学生さんが歯学部をめざす。歯科医になったら仕事の生き甲斐も、生活も未来も保証されていると言う幻想によって、優秀な人材を絞り込み、後は搾取し続け、日本の医療を担わせる。ほとんどこれは国家レベル詐欺ではないかとさえ思う。
 これから歯科医をめざす人はその努力と能力を国の奴隷になって捧げることだけにならないか、歯科医をめざす人に実態を伝えたい気持ちで一杯だ。』

マルメといわれる、包括計算では治療にかかるコストの方が、診療報酬より大きいことが、ママあります。そのような状況を放置している国には大きな責任があるでしょう....。日本の医療崩壊の元凶はこの部分にも潜んでいます。

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2008年3月18日 (火)

騒動...

2008年3月18日 晴れのち雨
なにやら騒動です。

県立病院好生館:館長、今月で辞職 医師2人も 不足、さらに拍車 /佐賀 3月18日18時0分配信 毎日新聞
魚拓

『九州大病院から派遣された外科医6人が引き揚げる異例の事態となっている県立病院好生館(佐賀市水ケ江)で、河野仁志館長(57)が今月で辞職することが17日までに決まった。理由は「一身上の都合」だが、後任人事は現在も白紙。また、緩和ケアセンターの医師と眼科医も1人ずつ退職する。眼科医は補充がなく、医師不足の深刻さに拍車が掛かっている。』

ありゃま...たいへんですな。佐賀県立病院好生館は、時間外手当なしなどで....ちょっと有名になりましたが....。

『九大病院出身の河野館長は2月に辞表を提出、受理された。九大側によると、館長の辞職後も九大からの医師派遣を続ける予定だったが、県が他大出身者を採用する動きを見せたため、異論を唱えたところ、古川康知事から派遣を断る通知があったという。』

そうですか...。いわゆる、大学派閥の狭間に起きた事件でしたか....。

『このため、九大は外科医6人に加え、緩和ケアセンターに派遣していた外科医1人も引き揚げることを決めた。県はいずれも佐賀大から補充する方向で調整しているが、同センターの医師は定員2人のところを1人でやっており、1減体制は変わらない。』

うーむ。外科医の補充はメドがたっているとのことです...。徐々に真綿のように首をしめられてくるかもしれませんね...。

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2008年3月17日 (月)

ミスはあった...

2008年3月17日 晴れ
最近は結構忙しく、外来は70人/日程度を維持しています。

さて、注射薬を施行する経路を間違えたという事故。フェノバルビタールは国内では筋肉注射用の製剤しか販売されていなかったような....。

記事は朝日新聞から...
16歳の入院患者死亡、警察が捜査 広島・安佐市民病院 2008年03月17日21時13分
魚拓

『広島市立安佐市民病院(広島市安佐北区)は17日、入院していた高校1年男子(16)に対し、看護師が筋肉に注射する予定だった劇薬の鎮静剤「フェノバルビタール」を静脈に投与するミスが16日にあり、患者が約5時間後に死亡したと発表した。同病院はミスを遺族に謝罪したが、死亡との因果関係は不明としている。広島県警は遺体を司法解剖して死因を調べる。』

残念な事故です。ミスはあったのでしょう。

『同病院によると、死亡したのは山口県平生町の男子生徒で、原因不明の高熱と全身けいれんを起こし、2月18日に国立病院機構岩国医療センター(山口県岩国市)に入院。同26日から神経内科のある安佐市民病院に転院し、意識不明のまま集中治療室(ICU)などで治療を受けていた。』

この情報からは、かなり悪い状態であったと思われます。原因不明の脳症で、昏睡であれば生命にも関わる状況と判断できます。

『同病院は今月12日から中枢神経の働きを抑制する効果のあるフェノバルビタール500ミリグラムを1日2回、筋肉注射で投与。14日には医師らと短い会話ができるまでに回復したという。』

けいれんのコントロールができ、意識レベルが改善したのでしょう....でも、その他の治療も並行して行われていたはずです。

『16日は午前10時から担当看護師が300ミリグラムを注射する予定だったが、ほかの仕事に追われたため、別の看護師(23)が代わりに予定より約20分遅れで注射することになった。この際、筋肉注射するよう注意書きされた処方箋(せん)を確認せず、点滴用の管を通して静脈に投与したという。患者は約2時間後から心拍数が低下して呼吸が弱まり、午後3時24分に死亡が確認された。』

うーむ、これだけの情報では、薬剤投与と死亡との因果関係ははっきりしません....。この患者さんの状態は、どういう風に経過していたのでしょう??

中国新聞の記事では...
注射ミスで高校生死亡か 広島市立安佐病院、静脈に
魚拓

の中では....

『けいれんが続くため三月十二日から一日二回、この薬剤の筋肉注射による投与を受け、十四日には短い会話ができるほどに回復したが、肺炎を併発し十五日に再び意識不明となっていた。』

という下りがあり、この患者さんの状態は悪化していたようです。自然経過として亡くなられたのか?
フェノバルビタールの静注が呼吸を止めてしまったのか?これは、もう少しよく調べてみないとわかりません。

ただ、投与経路の間違いがあったのは事実であり、コレに対しては今後きちんと対策をする必要があります。

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2008年3月16日 (日)

大きな視点

2008年3月16日 晴れ
そろそろ、桜の季節です。

さて、医療費の問題について結構、掘り下げた記事を目にすることが多くなりました。しかし、もう少し核心を突いてほしいというキモチも残ります。医療費は必要悪であるということを認識しなければなりません。現状は抑制しすぎです。

From60:稲葉康生の目 崩壊の悪循環を断て /東海
魚拓

『日本の医療費は世界的にみれば低い水準だ。国内総生産(GDP)に占める総医療費の割合は8%でOECD30カ国のうち22位。米国の15%、仏の11・1%、独の10・7%に比べるとかなり低い。日本は世界一の長寿国であり、少ない医療費を効率的に使っていると評価は高い。とはいえ、世界一の速度で進む高齢化は確実に医療費の急増をもたらしている。医療費の急増は納税者である現役世代に重くのしかかる。』

GDPに占める総医療費は各国比較でこのようなものでしょうね....。ただ、現役世代に重くのしかかる負担は医療費だけでしょうか??最近のエントリ−でクチを酸っぱくして言い続けているのは....。医療費の含まれる社会保障費と道路工事などが含まれる公共事業費の比較です。先進国の中で、社会保障費が公共事業費よりも少ないのは日本ぐらいです。それだけ、公共事業に税金も含めて使用されている現状があります。本当に重くのしかかっているのは、社会保障費よりも公共事業費なのです。
むしろ、医療費を削って、その分を公共事業に転用しようとしているのが日本の姿勢なのです。医療費はこれ以上削る必要はまったくない。しかし、公共事業費は何とかして減らさないと日本の国は潰れるのではないでしょうか??

『そこで政府は医療費の抑制策を実行したが、その結果病院から悲鳴が上がっている。財政赤字の病院が増え、開業医に比べて低報酬で激務の勤務医は開業医となって離れていく。患者は開業医より病院での診察を望むから病院勤務医の仕事はさらに過酷になる。まさに医療疲弊への悪循環だ。』

前段で述べたごとく、医療費の抑制の必要性はないと思われます。それを実行するもんだから、このように多くの問題を生じてしまうということでしょう。道路やハコモノつくるよりももっと、基本的な生活のための出費を大切にするべきです。
もちろん、医療費の効率的な使用は必要でしょう。日本では、どんな田舎にいってもMRIやマルチスライスCT、冠状動脈インターベンションができる施設があります。つまり、医療器械がすごく多く入っているということです。これに費やす医療費はたいそうなものです。医療費のうちかなりの部分が、この医療器械に費やされている現状はあるでしょう。この部分の効率化は進める必要がありそうです。
機械がなくたって、多くの医療は行うことが出来ます。(注:もちろん、その機械がなくてはできない医療もあります。)しかし、現在の診療報酬は高価な機械をいれれば、高い診療報酬を得ることができるように(一部では)設定されており、これも、多くの病院で高価な医療器械を購入するよう働きかけるものです。

『では、崩壊寸前の医療を救えるのか。医療費の増加、医師の不足・偏在、病院の赤字、現役世代の負担増など、問題は枚挙にいとまがない。個別に対応すれば、全体が混乱する。逆に全体を優先すれば個別問題が中途半端になる。崩壊への悪循環を断つには英知と決断が必要だ。』

医療費の増加はある程度まで容認するべきです。しかし、医療費のうち効率化できるものは、キチンとやるべきです。(医療器械にかけるお金は減らすべきです。)医師の不足も医療費抑制に端を発しますし、現役世代の負担増は多くが医療費の増加によるものではなく、公共事業費の増加が寄与するものであると考えるべきです。

そのような大きな視点でマスコミの方々はものをいうべきではないでしょうか?

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2008年3月15日 (土)

大事にしなければ残らない...

2008年3月15日 晴れ
今日は一日休み...午前中に病棟を少し回診して、その後はfreeでした。

さて、拙ブログ:地域医療_最近感じることでも記述しましたが....地域医療を志して自治医科大学を卒業された先生方であっても、その地域医療が本当に辛いものであったならば、誰がその場所に残り続けるでしょうか?学問上のこと。家族のこと。最低限の人間らしい生活を保障しなければ、いくらココロザシ高くとも続けることはできないでしょう!行政の方々には「将来への投資」という感覚を持っていただきたい。

記事は読売新聞。
6医療機関に医師13人 県出身自治医大卒 隠岐や中山間地域
(現在、魚拓取得が停止している様です。)

『離島や中山間地域などのへき地医療への支援を考える県地域医療支援会議(会長=法正良一・県健康福祉部長)が14日、松江市内であり、新年度から5年間の県地域医療支援計画をまとめた。また、4月から県出身の自治医科大卒業医師13人が公立隠岐病院(隠岐の島町)など6医療機関に派遣されることも決まった。』

公の会議で派遣先を決定するのは、いいことであろうと思います。島根県は地域医療において先進地であるとの認識をもっています。

『県内7圏域の首長や医療関係者が出席。計画では、派遣期間が終われば都市部に流れがちな自治医科大出身医師の定住を促すため、医師の希望に添えるよう専門医の資格取得に配慮した研修制度を充実させる。また、県医療対策課の担当者がU・Iターンを希望する医師の出張面談を行うことや、県の医師向け無料職業紹介所「赤ひげバンク」について就職情報を充実させることなどを盛り込んだ。』

地域医療をするのだという志に燃えた医師も、その状況が悲惨ならばその地を出て行くでしょうね...。引き止めたいのであれば、いろいろなことを考えて環境を整備しなければなりません。

『一方、委員は、女性医師や看護師が子育てをしながら続けられる環境整備やへき地医療に携わる医師が研究や休暇で不在になった際の「県へき地代診医派遣制度」充実などを求めた。』

自治医科大学学長の高久先生のキモイリで作られたとされる、「へき地医療支援機構」という部署が各県にあります。設置していない所は「補助金」を削られるため、みんな「何とかして設置を...」と頑張りました。この部署の機能の一つに、「診療所などの代診」というのがあります。専任担当医が病気やその他の状況での診療停止に対して代診を行うのです。

でも、いくつかの自治体では....「骨抜き」となっています。当初、専任担当医は「地域医療に造詣の深い自治医大出身者が望ましい」とされていましたが、そのポストを「あまり地域医療の経験のない」先生に明け渡しているのです。その結果、「代診なんて行くのヤダ!」ということになり、代診機能が減弱あるいは消滅し....地域で頑張ってる先生方はふさぎ込む。という図式が生じているところがあります。

このような流用をおこなったところの自治医大卒業医師は「ココロが折れる」でしょうね....当然、その地域の医療は衰退するでしょう。

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2008年3月14日 (金)

病院はモノなのか?

2008年3月14日 曇り
グングン気温は上がります。でも、季節外れのインフルエンザは大流行。ロタウィルスによる急性胃腸炎の児....低血糖でぐったり。入院となりました。

さて、病院は売られるモノだ...といえそうです。先頃までは、厚生労働省管轄の国立病院。独立行政法人国立病院機構に譲渡されるもの、その場所の自治体に譲渡されるもの....。大きな変化でした。そして、今回....社会保険庁の解体に伴う全国の厚生年金病院、社会保険病院がこのような形になります。

社保病院はこれまでかなり優遇されてきた感はあります。私の故郷の病院も、大変な資産を抱え、その多くは絵画となりコレクションを形成しています。しかし、時代の流れ(というより、官僚の方々の余りに酷い目測誤りというべきか....)により、売られるモノとなります!

如何に日本の医療行政は陳腐であるか!それを如実に表す事例であろうと考えます。

記事は中日新聞から....。
社保病院を整理機構に譲渡 存続させ売却先検討、与党 2008年3月14日 16時27分
魚拓

『社会保険庁廃止に伴い整理合理化が計画されている社会保険病院(53カ所)と厚生年金病院(10カ所)について、独立行政法人「年金・健康保険福祉施設整理機構」にすべての病院をいったん譲渡し、存続させた上で「受け皿」となる売却先を検討する方針が14日固まった。自民、公明両党のそれぞれの専門会合で方針を確認した。』

それぞれの自治体などに売却されることが多いのであろうと思います。しかし、自治体で引き受ける場合も、今後のことを考慮すると、その経営形態は「公設公営」では行けない....。下手をすると自治体破綻です。なかなか売却は進まないのでは??と感じます。

『社保庁の健康保険部門が今年10月に新組織に移行するため、このままでは病院が消滅する事態となることから、当面の保有主体を整理機構に移すことで売却先の決定を「先送り」した形だ。医師不足など地域医療確保の必要性も考慮した。』

ホント....「こんなことを決めるヒトたちには責任なんてないのねー!」と大声で叫びたい気分です。コレだけの病院作って、立派な医療を行っている所もあるのに、社会保険庁がコケたから、「病院も知りません」。九州厚生年金なんて小児の先天性心臓病じゃスゴいレベルの病院ですよー。これがなくなれば(もちろんなくなるはずはないですが....)どれだけのヒトが困るか...。

『今後は売却方法について、黒字病院と赤字病院を組み合わせていくつかのグループに区分するか、個別の病院ごとに売却するかを検討する。「公的な医療機関としての存続が望ましい」との意見が多いことも踏まえ、適切な売却先の基準づくりも進める。』

病院はモノではないと感じます。血の通った生き物であると....。それを、生かすための智恵をしぼってほしいと思います。官僚の都合だけで左右されるのはたまらないと感じます。

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2008年3月13日 (木)

コワい手術

2008年3月13日 晴れ
ずいぶんとあたたかくなってきました。

さて、脊椎の手術は脊髄という神経の塊の近くにおいて行うコワい手技です。熟練した医師が施行すると、大抵は上手く行くのですが、やはり100%ではなく、術前に比較して麻痺が進行する等の「望ましくない結果」が起こることもあります。当然、術前には念入りに説明を行うのですが....結果が悪いと訴訟となる確率が高いのも、その特徴といえます。

新潟中央病院の医療過誤訴訟:仁愛会が控訴 地裁敗訴も「過失ない」と /新潟
魚拓

『椎間板ヘルニアの摘出手術で後遺症が残ったとして、新潟市東区の男性(55)に損害賠償を請求され、新潟地裁判決で敗訴した医療法人「仁愛会」(新潟市中央区新光町、小柳安衛理事長)が判決を不服として、東京高裁に控訴していたことが12日、分かった。仁愛会側の控訴を受け、男性側も同日までに控訴した。』

タイトルからして....悪意を感じずにおれません。

『同判決などによると、男性は04年6月、仁愛会が運営する新潟中央病院(同、山本康行院長)で手術を受けた。ところが、手術中に誤って脊髄(せきずい)の神経を傷つけられ、両足のまひや感覚障害などの後遺症が残った。

 男性は約1億円の損害賠償を求め、06年3月に提訴した。提訴前、過失を認めた病院は、男性に毎月43万円の生活費を支給していたが、裁判が始まると一転して「過失はなかった」と主張。新潟地裁は先月28日、男性の主張を認め、仁愛会に対し約8500万円の支払いを命じる判決を言い渡した。』

どのようにして誤って神経を傷つけられたのか?はわかりませんが....非常に繊細な手術であると思われます。また、長期間の圧迫により神経自体のバイアビリティーがなくなっていたのではなかったのか?(つまり、うまく手術をしても、結果は同じであった...)ということはないのか?などと考えてしまいます。

しかし、月43万円の生活費を件の病院からもらっていたというのは少し常識的な行動とは言いづらいのでは?と感じます。

『仁愛会側の弁護士は控訴理由について「医師には過失がなかった」と主張。さらに「仮に過失があったとしても、病院から男性に払った生活費約1000万円が遅延損害金に含まれるなど、納得できないところがある」と支払い額が不適当との考えを示した。

 これに対し、原告の男性は「生活費の分は相殺する、というのが当たり前の話なのに、一言もなく判決の翌日に控訴した。高裁に早く判断をしてもらいたい」と病院を非難。男性側の弁護士も「仁愛会側の主張には根拠がない」と争う構えだ。

 新潟中央病院の担当者は取材に「弁護士に任せているので、コメントできない」としている。』

うーむ、ここにも悪意が満ち満ちていますね...。高裁での判決が正当なものである様...祈るのみです。

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噂の東京マガジンという番組

日付が変わり....

2008年3月13日です。

私は視聴していませんので、どうだったか?は言えませんが....。この番組は酷かったようです。紹介されているブログを示しておきます。→http://ameblo.jp/reservoir-dogs/entry-10078727506.html

日本の医師数は先進国の中では異例に少ない。また、医籍に載っている医師名には亡くなられた方もおられ、既に高齢からリタイヤされた先生も当然載っています。更に、対GDP比でみる医療費の割合もかなり小さなものです。そして、提供している医療の質は高いといわざるを得ません。

それを支えているのは、現場の努力。病院1ベッド当たりの職員数は欧米の約5分の1程度で、看護師さん、医師その他のスタッフみんな走ってます!36時間勤務も当たり前ですよ....。

でも、森本さんは御理解されていなかったのでしょうね....。このような発言を堂々とされる方には、ある程度のペナルティがあってしかるべきではないか?とも感じます。公共の電波は国民に与える影響が大きい。自分の発言の重さを感じてほしいと切に思います。

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2008年3月12日 (水)

格差の拡大

2008年3月12日 晴れ
暖かいというより、少し暑くなってきました。
しかし、季節外れのインフルエンザの猛威はとどまる所を知りません。

さて、国民皆保険ではないアメリカの社会は、医療保険に入れない方々がいっぱい。そのような患者さんは、実質、医療を受けられず空しく亡くなっていきます。日本は国民皆保険ですが....持てるものと持たざるものとの間に大きな格差が広がってきており、医療保険の支払い能力がない方々には、当然、保険証の取り上げ等....厳しい処置が待っています。

日本の医療には確かに無駄のある部分があるでしょう....。MRIがほとんど全ての病院にある必要はありません。ただ、一つ前のエントリーで紹介しました...http://www.fukuyama.hiroshima.med.or.jp/iryou/shakaihoshou.htmlという文献では、日本が先進国の中で、ほとんど唯一といっていいほど、社会保障費を軽視している姿勢が伺えます。すなわち社会保障費は公共事業費よりも少ないということ! 道路などのインフラはある程度、整備する必要はありますが、過剰な投資は必要ありません。この部分を社会保障費に回すことにより、恐らく国民みんなが現状よりも少しだけ幸せに暮らせるのではないかと感じます。

持てるものがトコトン冨を吸い尽くすのではなく、そのうちのいくらかを皆に再分配できる社会であれば....と願います。世界中を見渡すと、良い例がないわけではないでしょう。

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2008年3月11日 (火)

医療費抑制の結果

2008年3月11日 晴れ
よい小春日和でした。

そろそろ国民の間にも理解されてくるのでしょうか?日本の異常な状況を....。

産經新聞の記事
救急搬送拒否 「医師不足」「病院減」背景に構造問題 連続勤務、36時間にも 3月11日16時38分配信 産経新聞
魚拓

『医療機関による救急搬送受け入れ拒否問題の背景には、医師不足や救急病院の減少など医療現場が抱える構造的問題があり、政府全体の取り組みが急務になっている。』

その通りです。国は重い腰をあげなければならないでしょう。

『医師不足は、平成16年度に導入された新臨床研修制度をきっかけに深刻化。新人医師が2年間、大学の医局を離れて研修に専念できる仕組みになったが、その裏で、医局が地方に派遣した医師を呼び戻すようになり、自治体病院を中心に医師が足りなくなってきた。このため、地域によっては勤務医の連続勤務時間が、当直を含めると36時間を超えるケースも珍しくない。』

深刻化したベースには潜在的な医師不足があったのです。そして、現場の医師たちは献身的な努力で現場を支えてきたのです。しかし、脆い崩壊しかけた状況に、追い打ちをかけるような楔が打ち込まれました。それが、新臨床研修制度であり、医療費の削減であったのです。そして、逃散は始まった。構造的な問題をそのままにしてきた政府、厚生労働省は罪が重いと感じます。

『自治体病院の経営に詳しい伊関友伸・城西大准教授は「救急の現場は患者を受け入れたくてもできないのが実態。医師が怠けているわけではない」と強調する。』

救急患者さんを受け入れることができなくて、搬送途中に亡くなったとの報道を目にすると、やるせなくなります。受け入れたくても、受け入れることができない。身を切られる様な選択を迫られているのではないでしょうか??報道からは....「医師は怠慢だ」というキモチが読み取れるとときも多いのです。

『政府はようやく重い腰を上げ、20年度から10年間は大学医学部の定員を増やすことを決めたが、地方のある病院長は「暫定措置にすぎない。医療費を抑制する国の基本的な考え方を変えなければ、医師不足は解消しない」と訴えている。』

厚生労働省はどの程度の医師数が適正か?どう考えているのでしょうか??10年間増員させただけでは、到底追いつかないような気がします。

因に、日本の公共事業費と社会保障費を国際的に比較したものがあります。
http://www.fukuyama.hiroshima.med.or.jp/iryou/shakaihoshou.html

この中には、『国が支出している社会保障,公共事業をそれぞれGDPで割った比を調べると,日本は社会保障に3.4%,公共事業に6%使っています.イギリスでは社会保障に12.4%,公共事業には1.4%しか使っていません.日本以外のすべての国は公共事業よりも社会保障を優先させているのに,日本だけが公共事業重視の政策を行っています.』という記述がみられます。

先進国の中では、社会保障費が公共事業費よりも少ない国はありません。それでも、政府は医療費抑制を続けたいようです。このような医療費抑制が遠因となり、現在の状況を起こしているのです。

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2008年3月10日 (月)

腎生検という手技

2008年3月10日 晴れ
あたたかな一日でした。徐々に春へと季節は移り変わります。

でも、こちらではちょいと遅れたインフルエンザの大流行。また、ロタウィルスにによると思われる急性胃腸炎がちらほら....。午前中は結構な忙しさでした。

昼休みに時間を見つけて、同僚の先生から依頼された腎生検を施行、ほとんどの施設で行われている超音波ガイド下でのバイオプティーガン(生検用の針)を使用して行います。エコーである程度の腎臓位置決めを行った後、広範囲に背部(腰部を中心に...)を消毒。ドレープにて術野を確保した後、消毒された生検用プローブ(プローブ:超音波エコーで臓器を見るための探触子)を取り出します。超音波装置の本体につないで、更に詳細な位置決めを行います。狙う部分は腎臓の下の端:下極です。

位置が決まれば、皮下から腎皮膜に近い部分まで局所麻酔を行います。これも超音波でみながら行っています。以上の処置が終われば、いよいよ生検にうつります。腎臓の中心部に近い部分には大きな血管があり、その部分を穿刺すると大出血の危険性が高まります。この部分を避けるため腎臓の長軸を超音波で描出したのち、やや外側にプローブを動かし腎臓の中心部を避けるようにします。生検用の針(バイオプティーガン)は太い針なので皮膚を穿刺する時に、なかなか入らず勢いがついて深く入ることもありますので、事前にメスで皮膚を切開します。

腎臓は呼吸により上下の動きをしますので行う際には息止めをしていただき腎臓の動きを止めた上で行います。必要な材料は2から3回程度の採取でとれることが多いです。助手の先生に局所の圧迫を依頼して、私は材料とともに検査室に....。光顕、蛍光顕微鏡、電顕用のそれぞれの材料を準備して病理に送付します。

以前にも言及しましたが。→拙ブログ:腎生検の適応

以前に比べて出血等のリスクは減少しています。しかし、100%安全ではない手技で、やはり100例から1000例に1例程度輸血が必要となる様な出血性合併症が起こりえます。ただ、腎臓病の治療方針の決定や疾病の診断、予後の推定等において必要不可欠な手技でもあります。血液検査や尿検査ではある程度の病型が解っても、確実な診断に至らないのが腎臓病でもあるのです。

小児の特発性ネフローゼに関しては微小変化型以外を思わせる様な、低補体、持続性血尿などがみられない場合は通常ステロイドによる治療を優先し、ステロイド抵抗性が疑われた場合に腎生検を施行しますが....その他の成人のネフローゼや、その他の腎疾患の多くは治療を行う前に腎生検を行うことが多いといえます。

医療の常として、100%の安全はないということがありますが、腎臓病の患者さんのうち、この手技が必要な方は、腎生検によりかなりの利益を得ることができます。そして、必要でない患者さんにはそもそもこのような手技は勧めていません。最近の研究では、『腎生検の症例数が多い施設ほど合併症が少ない』というものもある様です。

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2008年3月 9日 (日)

偉業

2008年3月9日 曇り
肌寒い一日です。

西日本新聞の記事....
小児、産婦人科の窮状 医師らが報告 中津市で公開講座 3月9日10時7分配信 西日本新聞
魚拓

『中津市医師会が主催した公開講座「地域医療の危機を考える」が8日、同市の小幡記念図書館であり、地元医師会や中津市民病院の医師らが地域医療の現状などを報告した。』

同様な集会はいろんなところで開催されていますね...それほど、切羽詰まった状況なのでしょう...。

『中津市民病院の外科と小児科の部長は、医師不足に加え、安易に時間外医療を利用する患者が増加していることなどから「救急医療はギリギリの状態」「小児科医は時間外診療と電話対応に追われている」と窮状を訴えた。』

そうですね...。私も同じ日に別の場所で同じような内容を訴えていました....。

話しの場面は変わりますが....その別の場所で聞いたお話。「産科医の減少は全国的で、そして、普遍的なものである。その原因はやはり過酷な勤務、大野事件のようなトンデモ事件....産科医になろうという若い人は減少してしまうこと....。」「状況が変わらない限り、この傾向に変化はない。」ということでした。
その場では、広域のヘリ搬送などのお話も出たのですが、産科救急では都道府県を超えた搬送体制の整備がこれからは必須となるだろうとの予測も示されました。

その中で、日常的に新聞を賑わせている、「産科救急を受け入れることができない問題」については、我が県ではほとんど発生していないことも報告され、その要因として、「新生児側から大きく発展した周産期システムの整備」があったからであるとされていました。(当然、それに伴う産科側の協力は大きいものがありました。)たしかに、私が研修医のころより、専用の新生児ドクターカーがあり、何度も乗ったな....。などと思い出します。

この体制整備をはじめたのは、私を小児科医として育ててくれた恩師の一人でした。今になって、その偉業のスゴさを感じます。

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2008年3月 6日 (木)

3次医療機関の保護

2008年3月6日 晴れ
朝は一面の霜でした。気温の高い日と低い日が交互にやってくる様な感じで....気管支喘息の児が悪くなります。

さて、埼玉県立小児医療センターのお話....神奈川や長野にある県立こども病院と同じく、重症例を扱う3次施設であると考えられます。このような、高度医療センターは重症例を扱うに特化しており、1次救急を扱い始めると業務が滞るコトになると思われます。

でも、何にも理解しない某N県前知事は『県立こども病院で1次救急をせよ!』と厳命を下しました。拙ブログ:それぞれの病院の役割には、それに関した項目を書き留めています。

入り口の1次、2次を診る病院。重症で大変手のかかる患者さんを手厚く診る3次施設。これらの住み分けが上手く行かないと、その地域の患者さんは不幸になります。

県立小児医療センター:時間外受診の軽症患者に、診察料4200円上乗せ検討 /埼玉 3月6日13時1分配信 毎日新聞
魚拓

『県病院局は、県立小児医療センター(さいたま市岩槻区)で時間外(夜間・休日)に受診する軽症患者に対し、診察料金に4200円を上乗せして徴収する検討を始める。軽症患者の急増で重症患者の診療に支障が出ているため。伊能睿(さとし)・県病院事業管理者は「いろいろと努力している最中なので、あくまで最後の手段」と話している。
 上乗せ分は保険対象外のため、軽症患者は全額を窓口で支払うことになる。時期や軽症と重症の判断基準などは決まっていない。』

特定療養費となるのでしょうね....。紹介状、或は救急車にて来院した方以外は、4200円払っていただくということでしょう。小児医療センターで管理している重症患者さんのためには、ひょっとするとこういった方法も考慮しなくてはならないのかもしれません。

『同センターは本来、地域の医療機関では対応できない最重度の患者を医療機関からの紹介で受け入れる三次救急病院。しかし、小児科医不足などで県内各地の救急体制が整わなくなったため、02年から紹介なしの外来患者の受け入れを開始した。その結果、06年度の患者数は1万1180件と02年度比2・7倍に増加。このうち75%を占める紹介状なしの外来患者のほとんどが軽症だった。』

残念なことです....。本来ならば、重症患者さんのフォローに全力を尽くすべきであるのに...です。医療を提供する側の体制整備はもちろんですが、受診される患者さんにも、ある程度のトリアージができると受診の集中がなくなり、良い方向に動くのでは?と感じることもあります。
実際に兵庫県立柏原病院小児科を守る会では、地域の保護者有志が自分たちで時間外に受診するべきかどうかをトリアージするチャートを作成しています。

医療者側、そして医療を受ける患者さん側、双方で歩み合わなければならないのでしょう!

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2008年3月 5日 (水)

医師数に関する記事...

2008年3月5日 晴れときどき曇り
寒い一日でした。

『うーむ』とうなる記事。やはり、マスコミの方々の認識はこの程度か??

【風】医師 警察官より多いのに… 3月4日16時35分配信 産経新聞
魚拓

『救急医療を取り上げた風もそろそろ大詰め。全体を通じて、多くの医療関係者から寄せられた共通する声は、「医師不足」だった。まずは大阪府内の大学病院に勤務する看護師から。

 《医師は一日中、外来診察、手術、病棟勤務をした後に当直をし、また翌日には同じ勤務です。夜中に患者対応があると、本当につらそうです》

 大阪府南部の救命救急センターの医師は、センターの医師の定数などが約30年前の想定に基づいて決められており、現状にそぐわないとした上で、こう訴える。

 《仕事量がここ10年で大幅に増加しており、現在の医師数では正直全く対応できません。労働基準法を順守して医師を完全2交代や3交代制にするなら、現在の2倍程度は必要です》』

現場の声を反映したものと感じますし、理解できると思います。現状では、どこの医療機関も大変でしょう....。

『日本の医師数は平成18年の厚生労働省の調べで約26万3000人。全体の医師数は増加傾向にはあるが、先進国で比較すると圧倒的に少ない。OECD(経済協力開発機構)に加盟している国の人口1000人あたりの医師の数は平均3・1人。日本は2人だ。平均に達するまで、10年かかるとされている。』

恐らく、10年かかってもそのレベルには達しないでしょう。厚生労働省の言葉に惑わされてはいけません。また、各国の医師算定基準はどうなっているのか?これは解りませんが....日本の医師数を医籍により算定しているならば、実働の人数とはかけ離れていると感じます。超高齢で、医師としては働けていらっしゃらない先生も含まれるのでは??
日本における、実働の医師は当然、1000人当たり2人を切るでしょう。

『とはいえ、その数は日本中の警察官(約25万5000人)よりも多いという意外なデータもある。つまり、医師の配置のバランスが悪いのだ。特に特定の診療科の減少が際立っている。』

これは悪意を持って書いているのか?それとも、御理解が足りないのか?まず、警察官の人数と医師数を比べてどうしようというのでしょうか?担当してる分野がこれほどまでに違うのに、単純に数だけの比較が可能と考えるのでしょうか??警察官の方々にも失礼であると感じます!
前述の通り、実働の医師数はこれよりも遥かに少ないと考えられますし、なおかつ診療科間の偏在があり、医師不足に拍車がかかってるというのが本当の所でしょう。この記事は、世間をミスリードしかねません。

『大阪府内の40代の医師は《今の医療界では、若い医師ほど絶望しています。新人はつらい科は避けて楽な仕事を目指します。卒業して産科・小児科・外科・内科を目指す人は激減しています》とし、《業界内では、今のペースでは10年以内には外科を目指す研修医は日本全国でゼロになるといわれています》。』

これは本当のことでしょうね....。本当に崩壊しないと本当の意味でのご理解が得られないのかもしれません....悲しいことですが....。

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2008年3月 3日 (月)

未収金問題の行く末

2008年3月3日 晴れ時々雨
黄砂が飛んでいます。クルマはドロドロ....。

さて、日本では医療がかなり安く手に入ります。→拙ブログ:医療の値段

フリーアクセスですので、感冒などでナショナルセンターにかかることも可能です。そして、それが当たり前になっており、夜間でも医療機関に行くことを躊躇うヒトは少ないといえます。「空気のように当たり前に存在する」日本においての医療はそういう感覚かもしれません。

一方、医療の世界では患者さんを診るために相当な努力を払っています。ひとたび重症患者ともなると、多数のスタッフが呼び出され、高価な医療機器、高額な薬剤が使用されます。感冒で受診されたとしても、診察料、薬剤料などやはり医療費はかかっているのです。

決して、医療はタダではない。でも、特に公立病院に受診される方々の中には、医療費を払っていただけない人たちが一部存在します。そして、これは、医療の根幹を揺るがす様な大きな問題に発展しつつあります。

治療費回収強化へ法整備 資産差し押さえも 3月3日8時0分配信 産経新聞
魚拓

『患者が医療機関に治療費を支払わず病院経営を圧迫している未収金問題で、厚生労働省は、国民健康保険などの保険運営者(市町村や企業の健康保険組合など)に治療費回収の肩代わりを求める「保険者徴収制度」の運用を強化するため、訪問回収や資産差し押さえを含めた法整備に乗り出す方針を固めた。』

いよいよ、その方向に動き出した様ですね...。悪質なもの(支払い能力が充分にあるのに、払わない)についてはやはり罰則は必要であろうと思います。

『同省はこれまで、未収金について医療機関だけに回収努力を求めてきたが、「これ以上放置できない」と判断。昨年6月に四病協などの医療関係団体や保険運営者、学識経験者などが参加する「医療機関の未収金問題検討会」を設立。保険運営者による未収金患者への文書催促▽訪問回収▽資産差し押さえ−など回収手段に特化した法整備を検討するなどして、条文の周知と有効な運用を促すことを決めた。』

病院の医療事務の方々が、電話で督促しているのを聞いたことがありますが、他のことでも忙しいのに、更に督促するための電話をかけるなど、『大変だな....』と感じたことがあります。
この仕事が、ある程度保険者の方で出来る様になることは現状ではアップアップの医療機関の負担を若干でも和らげるものとなると感じます。

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2008年3月 2日 (日)

『どん底』の意味...

2008年3月2日 晴れ
いよいよ、梅は満開。春の足音が聞こえてきます。

私はクリスチャンでもないし、これといった宗教に入信しているわけでもありません。むしろ、ダン・ブラウンの『ダヴィンチコード』などは『うーむ、よくできている』と面白く読む方ですが....。結構、愛読するのは曽野綾子さんという、カトリックの作家さんです。

そして、このような、閉塞された状況になると...家にあるエッセイ集などを読みふけることとなります。(一種の逃避か?)

彼女が日本財団の会長をしていた時の日記がまとめられていますが...。その1997年2月24日分には...。

『これ以上悪くなりようがない、という状態は、希望に満ちたどん底なのだ。もう運命は上りに向かうしかないのだから。』

まだまだ、日本の医療はしばらくの間、どん底に向かって落ちて行くでしょう。しかし、どん底(つまり『焼け野原』)となったとき、はじめて、いろいろなことが理解され、そして希望をもって上りに向かって行けるのかもしれません。

『どん底』には、それなりの意味がある。そんなコトを考えていました。

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2008年3月 1日 (土)

都市部でも崩壊...

2008年3月1日 晴れ
少しづつ春の気配を感じるような一日でした...

今日は地域の輪番の日...結構たくさんみえていただきました。

さて、いわゆるへき地やいなかだけでなく都市部でも医療は崩壊し続けています。福岡でも北九州市立病院の維持は困難なようです。このような医療崩壊を招いた厚生労働省の責任は重い!といえます。

師不足:市立若松病院、内科を規模縮小 入院患者に転院要請へ /福岡 3月1日18時1分配信 毎日新聞
魚拓

『市立若松病院(若松区浜町1)が今年6月以降、医師不足から内科の規模を縮小することが分かった。市病院局が2月市議会で明らかにした。6月から新規入院を受け付けず、外来診察に充てる医師も現在の4〜5人から1〜2人程度に減らす方向で調整している。』

全国各地で起こっている病院の縮小、閉鎖の災禍がここまで来ています。原因は明らかに医師不足で、大学病院を維持するために医師が必要なため、近隣の関連病院から医師の引き揚げが起こるといったものです。

『6月からの新体制は、非常勤医師3〜4人で運営される可能性が高い。このため同院は新規入院患者の受け入れを中止し、2月末現在で48人いる入院患者に、遅くとも5月末までの転院を要請する考えだ。転院先については「今後患者と個別に相談する」(総務課)という。
 平日の外来診察は継続されるが、充てられる医師数が現行の半分以下になりそうなことから、現在1日平均100人前後の外来患者受け入れ数が減るのは避けられないという。』

入院患者さんの転院がスムーズに進むことを祈ります。同時に、医療を受給されている皆様には、この状況になるまで手をこまねいていた政治に対してギモンをもっていただき、次回の国政選挙ではキチンとした選択を行っていただければ幸いです。

『入院中の知人の見舞いに来た若松区内の主婦(70)は「この地域にはほかに大きな総合病院がない。内科がなくなると困ります」。八幡西区から外科を訪れた男性(61)も「入院患者が多いので内科がなくなったら大変ではないか」と驚いた様子だった。』

驚きますが...医療の現状はこのような非常にお寒い状況なのです。都市部にも医師がいない。つまり、医師の総数は足りない。そして、いままで「都市部への偏在」という言葉で責任逃れをしてきた厚生労働省の罪は決して軽くないということを認識して下さい。

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