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2008年2月22日 (金)

錯綜

2008年2月22日 晴れのち雨
雨のためか...暖かい一日でした。

さて、昨日のエントリーに関連した動きです。厚生労働省の「診療行為に関連した死亡に係る死因究明等の在り方に関する検討会」(座長=前田雅英・首都大学東京法科大学院教授)はこれまで12回の会合を開いていますが、その議論は「会議は踊る、されど進まず」さながら錯綜を続けている様です。

「再発防止」に方向転換、議論が錯綜 2月22日21時20分配信 医療介護情報CBニュース
魚拓

『「個人の責任追及を目的とした制度」という批判がある医療事故調査委員会について、厚生労働省は「医療安全」や「再発防止」を目的とした制度であることを強調している。厚労省は「死因究明等の在り方に関する検討会」で、再発防止に重点を置いた「業務改善命令」や「再教育」などの行政処分を提案し、大筋で了承されている。しかし、医療界からの反発を受けて方向転換を図ったため、再び議論が錯綜してしまった。』

どうも、流れている情報を見聞きすると『医師を罰するための組織を作る』という感覚でみてしまいます。医療界は「大野事件」「奈良事件」を経験しているだけに、危惧する意識は強いといわざるを得ません。

『これまでの意見を集約すると、制度の目的として(1)真相の究明、(2)患者の納得、(3)再発防止、(4)責任の追及、(5)被害者の救済——などが挙げられている。
 厚労省が昨年8月に公表した中間的な取りまとめでは、「すべてのベースになるものが真相究明」としており、上記(2)〜(5)よりも真相究明を重視している。「真相究明」は「責任追及」につながりやすい。
 しかし、この検討会の第1回目を開催する前の「試案」(07年3月公表)の段階では、▽患者にとって納得のいく安全・安心な医療の確保、▽不幸な事例の発生予防・再発防止等——の2つが挙げられており、上記(1)よりも(2)と(3)に比重があった。』

真相の究明ができなければ医療事故を調査する意味はないでしょう。しかし、真相を確かめるためには自由に意見を言える環境作りが必要です。実際にはインシデントレポートなどで使われている考え方の「免責」ということが必要です。「真相を話したがために、自分に懲罰が下るということ」になると、真実はでてこなくなります。現在の医療水準に比較して著しくかけ離れた過失や故意により生じた医療過誤は処罰する必要があるでしょう。それを適確に判断でき、そして公平性を保った組織にするべきです。(これが難しいでしょうけど...。)

真相が上がってくれば、再発防止の観点で動くことが出来る様になるでしょう...。しかし、これも大きな仕事で、それなりの大きさをもった組織が必要です。

患者の納得については、早期に真相を解明し、必要であれば当事者による謝罪を行うことが必要で、患者さん側への精神的サポートも必要です。また、これが重要ですが「誤った事実に基づいて謝罪が行われるべきではない」ということです。不幸にして事故に見舞われた患者さんを支えること...これが重要なのではないかと感じます。そういった観点で行くと、事故に遭われた患者さんに近いところでの活動が重要で、日本の各ブロックに一つといった組織ではどうにもフットワークに欠ける様な気がします。むしろ、各病院内に専門部署を作り、残念な事故が起こった際に「すぐに患者さんのもとに行き、必要なフォローを行う」とした方がいいのではないかと思います。

『このように、「出口」(ペナルティー)の部分で再発防止に重点を置くならば、「入り口」(届け出の範囲)を広げる必要性が出てくる。事故の予防や医療安全に役立つのであれば、故意・重過失や悪質事例に限定せずに、軽過失の事例や判断が難しい事例を広く届け出る制度にする方が一貫するだろう。』

入り口を広げることには賛成です。多くの事例から、今後の糧とするべきです。しかし、そうすると、どうしても組織は肥大化します。肥大化すれば、当然「お金の問題」が絡んできます。しかし、日本は社会保障費よりも公共事業費が多い国です。再発防止で患者さんのためになるのであれば、そこにお金をつぎ込んでもいいのでは??と感じます。

『この日、東大病院救急部の矢作直樹部長が参考人として出席した。29事例の振り分けが適切かどうかについて意見を求められ、次のように答えた。
 「個々の事例ではなく、制度設計の問題について述べたい。医療安全の向上に資するためという目的であるならば、入り口では届け出を多くして、(届け出なかった場合の)ペナルティーを抑える。そして、出口の行政処分のところは社会常識的で妥当な結論に落ち着くようにすべきだ」
 その上で、矢作参考人は「厚労省のフローチャートと実際の事例にはかい離がある。このフローチャートだと、届け出が不要になる事例が多くなるのではないか」と述べた。』

この考え方には同意します。厚生労働省は、ここで入り口をしぼってはいけません。(その裏には、「お金の問題」があるんでしょうけどネ)

『今回、厚労省は「再発防止」を強調しながら、「届け出の範囲」を限定的にしたため、再び議論が錯綜してしまった。』

この委員会はきちんと作るべきです。それができなければ、日本の医療は衰退するでしょう....。

本日参照させていただいた記事です。

『「再発防止」に方向転換、議論が錯綜 2月22日21時20分配信 医療介護情報CBニュース

 「個人の責任追及を目的とした制度」という批判がある医療事故調査委員会について、厚生労働省は「医療安全」や「再発防止」を目的とした制度であることを強調している。厚労省は「死因究明等の在り方に関する検討会」で、再発防止に重点を置いた「業務改善命令」や「再教育」などの行政処分を提案し、大筋で了承されている。しかし、医療界からの反発を受けて方向転換を図ったため、再び議論が錯綜してしまった。(新井裕充)

 厚生労働省の「診療行為に関連した死亡に係る死因究明等の在り方に関する検討会」(座長=前田雅英・首都大学東京法科大学院教授)は昨年4月に第1回目を開催し、その後12回にわたって議論を重ねている。

 これまでの議論では、「警察とは別の公平・中立な第三者組織をつくる」という総論部分では一致しながらも、医療機関が委員会に届け出る範囲や届け出を怠った場合のペナルティーの内容など、制度設計の各論部分で議論がまとまっていない。

 その原因として、制度設計の目的を明確にしないまま議論が進んでいることが考えられる。「なぜ医療事故の原因を調べるのか」ということと、「なぜ調査委員会をつくるのか」ということは同じ問題であるように見えて違うため、「責任追及」「再発防止」「患者の納得」などのうち、どこに重点を置くかによって議論が二転三転する。

 これまでの意見を集約すると、制度の目的として(1)真相の究明、(2)患者の納得、(3)再発防止、(4)責任の追及、(5)被害者の救済——などが挙げられている。
 厚労省が昨年8月に公表した中間的な取りまとめでは、「すべてのベースになるものが真相究明」としており、上記(2)〜(5)よりも真相究明を重視している。「真相究明」は「責任追及」につながりやすい。
 しかし、この検討会の第1回目を開催する前の「試案」(07年3月公表)の段階では、▽患者にとって納得のいく安全・安心な医療の確保、▽不幸な事例の発生予防・再発防止等——の2つが挙げられており、上記(1)よりも(2)と(3)に比重があった。

■ 「再発防止」に重点
 厚労省は12回目の検討会(2月20日開催)で、再発防止に重点を置く考えを示した。あくまでも医療事故に対する行政処分の考え方として示したものだが、「責任追及を目的とした制度」という医療界からの反発を受け、軌道修正を図ったという見方もできる。

 このように、「出口」(ペナルティー)の部分で再発防止に重点を置くならば、「入り口」(届け出の範囲)を広げる必要性が出てくる。事故の予防や医療安全に役立つのであれば、故意・重過失や悪質事例に限定せずに、軽過失の事例や判断が難しい事例を広く届け出る制度にする方が一貫するだろう。

 ところが、厚労省はこの日の検討会で「届け出の範囲」について具体例を提示し、29の事例のうち「届け出必要」を9事例、「届け出不要」を14事例、「その他」を6事例とした。これを見ると、届け出の範囲が限定的であるとも考えられるため、「大事なものが落ちてしまう危険性がある」との意見があった。

 一方、患者や遺族の立場を重視する委員は、制度の目的として「患者の納得」を重視するため、「届け出が不要とされる事例であっても遺族が届け出を望むならば届け出るようにしてほしい」と求める。「患者が納得するか」という遺族の感情を重視すると、各事例をフローチャートで単純に仕分けすることはできないため、「この資料が独り歩きすると危険だ」と批判している。

 この日、東大病院救急部の矢作直樹部長が参考人として出席した。29事例の振り分けが適切かどうかについて意見を求められ、次のように答えた。
 「個々の事例ではなく、制度設計の問題について述べたい。医療安全の向上に資するためという目的であるならば、入り口では届け出を多くして、(届け出なかった場合の)ペナルティーを抑える。そして、出口の行政処分のところは社会常識的で妥当な結論に落ち着くようにすべきだ」
 その上で、矢作参考人は「厚労省のフローチャートと実際の事例にはかい離がある。このフローチャートだと、届け出が不要になる事例が多くなるのではないか」と述べた。

 今回、厚労省は「再発防止」を強調しながら、「届け出の範囲」を限定的にしたため、再び議論が錯綜してしまった。』

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