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2008年2月21日 (木)

息の根を止める

2008年2月21日 晴れ
満月です。

さて、厚生労働省主導で検討が続けられていた医療事故調ですが....なにやら、アヤシい方向へ進んでいますね...。これが通れば、まず間違いなく日本の医療は「息の根を止められそう」です。

<厚労省>医療機関に改善命令 死亡事故で法改正へ 2月21日15時1分配信 毎日新聞
魚拓

『重大なミスなどで患者を死亡させた医療機関に対し、行政が業務改善命令を出す制度の創設を、厚生労働省が検討していることが分かった。医療事故に対する行政処分は、これまで刑事罰を受けた医師個人にしか実質的に行われておらず、厚労省は「医療機関全体の安全体制をチェックすることで、システムエラーの改善につながる」と期待する。今国会で必要な医療法改正を目指す。』

これまでは医療機関に対しては行政罰を下すことができなかったんですね...。そうです...。でも、社会的制裁はマスコミの方々から相当に受けていたと思うのですが...。

『過失による医療死亡事故が起きた場合、現行では行政が医療機関の責任を追及することはなく、医師個人への医業停止処分なども刑事事件化されたケースにほぼ限られている。しかし「個人の処分だけでは、複合的な要因で起きる事故に対応できない」との指摘もあり、厚労省は再発防止を主眼に行政処分の見直しを急いでいた。』

ここまで、処分...処分という記述が続くと、医師は多分....滅入ってしまうでしょうね...。そして、医療は萎縮する。また、福島県立大野病院事件のように、医師側からみて『過失なし』の事例においても、起訴されることもあり、刑事事件化された事故が『本当に起訴されるに相当するか?』ということもあります。

本来、医療事故は「非常に裁くのが難しい」ものであると感じています。明確な過失が無くても結果が悪ければ、遺族の処罰感情に配慮して検察が動く現在では、このような処分のあり方では不公平であると言わざるを得ません。

『新設する業務改善命令は、10年度にも発足する死因究明の第三者機関「医療安全調査委員会(仮称)」と連動。調査の結果、▽故意や重大な過失▽事故の繰り返し▽カルテの改ざん−−などが判明した場合、国か自治体が安全確保の計画書と再発防止策を出させる制度を想定している。命令に従わない場合は、管理者の変更や施設閉鎖を命じる。

 また、医師個人に対しても、調査委で重大な過失などが認定されれば、刑事処分を待たずに処分する方針だ。』

この記事からは、医療事故の際、医療機関、医療者を処罰することしか読み取れません。しかし、不幸な事故が起こった際、一番重要なのは被害者、あるいは遺族などへ真実を告げること(それも可及的速やかに)、そして謝罪を含む精神的サポートであろうと(あくまで私見ですが)感じています。

処罰、処分が前面に立てば、医療者は口を固くし、真実は出て来なくなるでしょう。そして、誠意をもった謝罪はできなくなる。医療は萎縮し、今ならできるかもしれない処置を、少しの危険があるから躊躇うことが出てくると思います。

もちろん、重大な過失に関しては処罰は必要かもしれません。しかし、処罰の前にはもう少し出来ることがあるのでは?そして、それは患者サイド、医療者サイド双方をより幸せにするものかもしれません。

追記です。ステトスコープ・チェロ・電鍵:医療事故調、厚生労働省の本音 に同じ記事を参照したエントリーがあります。参考になりますので、是非御一読を...。

本日、参照させていただいた記事です。

『<厚労省>医療機関に改善命令 死亡事故で法改正へ 2月21日15時1分配信 毎日新聞

 重大なミスなどで患者を死亡させた医療機関に対し、行政が業務改善命令を出す制度の創設を、厚生労働省が検討していることが分かった。医療事故に対する行政処分は、これまで刑事罰を受けた医師個人にしか実質的に行われておらず、厚労省は「医療機関全体の安全体制をチェックすることで、システムエラーの改善につながる」と期待する。今国会で必要な医療法改正を目指す。

 過失による医療死亡事故が起きた場合、現行では行政が医療機関の責任を追及することはなく、医師個人への医業停止処分なども刑事事件化されたケースにほぼ限られている。しかし「個人の処分だけでは、複合的な要因で起きる事故に対応できない」との指摘もあり、厚労省は再発防止を主眼に行政処分の見直しを急いでいた。

 新設する業務改善命令は、10年度にも発足する死因究明の第三者機関「医療安全調査委員会(仮称)」と連動。調査の結果、▽故意や重大な過失▽事故の繰り返し▽カルテの改ざん−−などが判明した場合、国か自治体が安全確保の計画書と再発防止策を出させる制度を想定している。命令に従わない場合は、管理者の変更や施設閉鎖を命じる。

 また、医師個人に対しても、調査委で重大な過失などが認定されれば、刑事処分を待たずに処分する方針だ。【清水健二】

最終更新:2月21日15時1分』

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コメント

 厳しい言い方になっちゃうんですけど、現状医師会などが自浄作用を持っていないとなると、悪質なリピーターなどにはどこかが対処しなければならないと思います。(産婦人科においては、既にヤブでもいないよりマシという域に達しているので、対処されると困るのは否定しません)

 それが厚生労働省ってところがアレですが、「行政罰もいや、刑事罰もいや」って言うのは、ちょっと問題があるような気が。私が甘すぎます亜?

投稿: 山口(産婦人科) | 2008年2月22日 (金) 08時05分

 現状の医師不足、過重勤務の実態をそのままにして、処分だけを重くするのでは、何も問題は解決しないような気がします。think

投稿: ふる | 2008年2月22日 (金) 21時21分

こんばんは
山口(産婦人科)さま

コメントありがとうございます。

>悪質なリピーターなどにはどこかが対処しなければならないと思います。

そうなんですよね...アメリカなどは行政処分が強力で、問題のある医師は免許取り上げって言う話ですから...その方向性は必要とは思います。
しかし、厚生労働省にすべての権限を集約するのは...ちょいと問題ありかも....とも感じてます。

暴走し始めたら....第二、第三の大野事件が....などと危惧します。

投稿: 管理人 | 2008年2月22日 (金) 22時02分

ふる さま

こんばんは
処分、処罰はある一部では必要かもしれません。しかし、このように処罰が表面にでてきて、『医師を罰する機関』を作るんだということになると、現在の法廷での争いのように、『隠し事』が横行することになりそうです。

また、まずそうなコト、危険なコトにより助かる命も、処罰ありきであるとみんな尻込みして「萎縮」した医療になって行き、結局助からない...ということにもなります。

現状の医療の問題点を総合的に見極めた上でのバランスのとれた施策が必要と思います。

投稿: 管理人 | 2008年2月22日 (金) 22時07分

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