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2007年2月25日 (日)

こうのとりのゆりかご

2007年2月25日 曇りのち雨
今日は地域の輪番の日でした。小児科の外来をこなしながら、病院の日直としての業務を遂行します。救急車は3台。うち1台は、近くに自ら運転してきた約1週間前に冠状動脈ステントを入れられた方。胸痛と呼吸困難で救急車搬送です。到着時、VT(心室頻拍)が断続的に起こっていましたが、循環動態は何とか保たれていました。ステントを入れた病院へ連絡。Dr同乗の上、転院搬送です。その他、患者さんの合計は60名を超えており、入院は4名。救急車の対応で時間を食ったためか、「ほとんど息つく暇がない」という状況でした...。

さて、マスコミの方々は「赤ちゃんポスト」というネーミングがお好きな様ですが...私はどうしても好きになれません。設置しようとする病院が「こうのとりのゆりかご」という正式名称を伝え続けているのに...どうしてでしょうか?

『熊本市の慈恵病院が、親が育てられない新生児を引き受ける国内初の「赤ちゃんポスト」の設置を計画している問題で、厚生労働省は22日、同省を訪れた幸山政史(こうやま・せいし)熊本市長に対し「ポストの設置自体は現行法に違反しているとはいえない」として、事実上容認する見解を伝えた。』

国のお墨付きが付いた様です。

『厚労省は「最終的には熊本市が判断する問題だ」としている。』

というより、判断する責任を避けたということでしょうか??→厚生労働省

『厚労省雇用均等・児童家庭局は「子供を遺棄する行為はあってはならず、まず公的機関に相談すべきだ」とした上で、ポストに置かれた子供の看護体制が整備されていれば、命を救えることもあることを踏まえ、今回のケースは「直ちに法令に違反するとはいえない」としている。』

生まれて間もない子供を遺棄することは倫理的に許されないことです。しかし、実際に身の回りではそのような事例がたくさんあります。いろいろな原因で、子供を捨てざるを得ない状況になることがある。これは我々が認めざるを得ない事実でしょう。では、この捨てられた子供たちに対して我々は何をなすべきか?
新生児は体温の調節機構が乏しく、夜間に遺棄された場合、数時間で低体温から亡くなる場合もあります。まずは、その生命を維持すること。そのために、この「こうのとりのゆりかご」が作られるのではないのか?最低限の生命の保証をしてあげること。これが、我々に求められた、この「かわいそうな児たち」に対する、「なすべきこと」の一つではないかと感じます。

東京新聞から同病院の理事長のことば...
『「誤解されやすいが、こうのとりのゆりかごは、あくまで赤ちゃんの生命を守るための緊急避難の手段。ゆりかごに置いた後でも、母親が名乗り出て了解すれば、里親の元に行くのも早い。赤ちゃんさえ無事なら、母親にも冷静に考える時間ができる」』

繰り返しますが、子供を遺棄することは倫理的に許されないことです。そのようなことが起こるのを防ぐ必要があります。しかし、現実に起こっている遺棄された子供たちに対しては、この「こうのとりのゆりかご」が一つの答えになるのではないかと感じます。

今回参照させていただいた記事です。ソースは共同通信。

『熊本市の慈恵病院が、親が育てられない新生児を引き受ける国内初の「赤ちゃんポスト」の設置を計画している問題で、厚生労働省は22日、同省を訪れた幸山政史(こうやま・せいし)熊本市長に対し「ポストの設置自体は現行法に違反しているとはいえない」として、事実上容認する見解を伝えた。

 厚労省の辻哲夫(つじ・てつお)事務次官も同日の定例会見で「医療法上の観点からは(申請を)認めない理由はない。児童福祉関係法規に違反しているともいえない」と述べた。厚労省は「最終的には熊本市が判断する問題だ」としている。

 慈恵病院は昨年12月、ポスト設置のため、医療機関の施設基準などを定めた医療法に基づく施設変更申請を市に提出している。幸山市長は記者団に対し、厚労省に見解を文書で回答するよう求めたことを明らかにした上で「回答を待って(許可するかどうか)判断したい」と述べた。

 厚労省雇用均等・児童家庭局は「子供を遺棄する行為はあってはならず、まず公的機関に相談すべきだ」とした上で、ポストに置かれた子供の看護体制が整備されていれば、命を救えることもあることを踏まえ、今回のケースは「直ちに法令に違反するとはいえない」としている。

 辻次官は会見で「(赤ちゃんポストを国として認めるという)一定の方針を示したものではない」と強調した上で「病院は(ポストに置かれた)子供の安全と幸せのために責任を持って行動するのが当然だ」と述べた。』

東京新聞から
『事情があって親が育てられない新生児を受け入れる、いわゆる赤ちゃんポスト「こうのとりのゆりかご」を、熊本市の慈恵病院が設置する計画を進めている。ドイツではすでに導入しているが、実現すれば、国内初となる。子どもの命を守る試みか、安易な育児放棄を招く結果となるのか。同病院にも賛否両論の意見が多数寄せられているという。設置の狙いは何か。同病院の蓮田太二理事長(70)に聞いた。

 「誤解されやすいが、こうのとりのゆりかごは、あくまで赤ちゃんの生命を守るための緊急避難の手段。ゆりかごに置いた後でも、母親が名乗り出て了解すれば、里親の元に行くのも早い。赤ちゃんさえ無事なら、母親にも冷静に考える時間ができる」

 三年がかりで構想を温めてきたカトリック系の慈恵病院理事長の蓮田氏は、その狙いをずばりこう話す。

 若すぎる。結婚していない。お金がない−。赤ちゃんを育てられない事情は、さまざまである。同病院では五年前、必ずしも望まない妊娠に悩む女性から相談を受ける「妊娠かっとう相談窓口」を設置。どうしても育てられないという場合は、出産の前後から里親の候補者を引き合わせ、円滑に特別養子縁組をさせる試みを続けてきた。

 それがゆりかごにつながったのは、熊本県内でも新生児置き去り事件が何件も発生したことだ。蓮田氏は「赤ちゃんは社会の宝。その生命だけは守らねば」と決意。多くの保育園や病院が新生児を匿名で預かり、里親の窓口になっているドイツを視察するなどして、構想を練ってきた。

 すでに警察や市役所などに何度も足を運び、近く保健所に病院の一部を用途変更する許可を申請する段階にまで来た。では、ゆりかごのシステムはどういうものか。

■目立たぬ所に保育器を設置

 ゆりかごは人目につきにくい病院東側に扉(縦四十五センチ、横六十五センチ)をつくり、内部には適温に保たれた保育器を設置する。ここに赤ちゃんが置かれると、待機中の看護師のブザーが鳴って駆けつける。

 扉の前と保育器には母親にあてて「秘密は必ず守る。とにかく病院を信じてまず相談を」という内容のお知らせと手紙も置く予定だ。母親が名乗り出て、自ら育てるか、親権放棄して里親に引き取ってもらうかを決めてもらう。これが大原則。名乗り出てくれない場合は、警察や市役所、児童相談所などと連絡を取った上で施設に引き渡す。

 現実には、赤ちゃんを置いた母親が名乗り出る可能性は決して高くなさそうだが、蓮田氏はこのステップを非常に重視している。同病院ではこれまでに数件、妊娠相談の一環で、母親が育てられないと親権放棄に同意し、生後間もない赤ちゃんを里親に引き渡したことがあった。その時の経験が大きい。

 「真の親が分からないということは親権放棄の同意も不明確になる。里親の元に行くにしても非常に時間がかかり、あまりうまくいかない。同意があれば、赤ちゃんが退院する生後五日目くらいには引き渡せる。里親には泊まり込みで育児教育も受けてもらったが、その喜びようはかぐや姫の物語のようで、里親の本当の子どものようになれる。愛情の持ち方がまるで違う」

 構想は今月九日に報道され、その後、賛否両論を合わせメール六十通、電話は田尻由貴子看護部長が受けただけで二十件を超えた。

 「赤ちゃんのごみ箱を作るつもりなのか」「子どもを捨てられると安易に喜ぶ若者を増やす」「中途半端に助ければ、かえって不幸を招く」

 捨て子を容認、助長するとの反対論も多いが、「よく勇気をふるって決断してくれた」「支援させてほしい」と募金も数多く寄せられているという。

 蓮田氏は「ドイツでも賛否両論ある。まして前例のない日本でいろいろな反応が出るのは当然。とにかく医療の原点は生命の尊さにあり、この構想は実現しなければいけないという気持ちに変わりはない」。

 では、ゆりかごに収容された後の赤ちゃんの法的位置付けはどうなるのか。

 熊本県子ども家庭福祉室によると、現行法では「捨て子」の場合、発見者が警察などを通じて二十四時間以内に市町村長に連絡。同時に児童相談所に通告する。市町村長は二週間以内に赤ちゃんの名前をつけて戸籍をつくる。児相は乳児院などへの入所措置を決める。

 また、母親が判明した場合でも、児相が乳児の状況や家庭環境などを踏まえて、乳児院など施設入所の措置をとるのが多いという。

 吉田勝也・同室長は「置いていった母親が保護責任者遺棄罪に問われないのか、という問題もある」と話す。その上で「効果や是非については何とも言えない。推移を見守りたい」。

 病院から施設の用途変更の許可申請相談を受け、熊本市は「どの法律に触れるのか否かも分からないので、どうすればいいかを検討している」。

 子どもをゆりかごに入れた親は保護責任者遺棄罪に問われないのか。筑波大学の土本武司名誉教授(刑法)は「赤ちゃんが生存するために適切な措置をする病院に置いてくるので、通常、発見されないような山に捨てるなどとは違い、同罪には当たらないと考えられる」。

 その上で「今回の設置が法的に認められ、全国の病院にゆりかごができたら、苦労しても育てるという通常あるべき努力を放棄してしまう可能性がある」と懸念も示す。

 現在、里親約百数十組が登録し、これまでに約二百九十件の特別養子縁組をしている岡山県医師会の「岡山県ベビー救済協会」の堀章一郎理事長は「母親が名乗り出なければ協会では特別養子縁組はできない。熊本のゆりかごでは、母親は名乗り出ないことが多いのではないか。結局、病院で受け入れただけで、後は行政による施設行きになるだろう。また、諸外国のように後ろ盾がないので、経済的にも病院が単独で運営していくのは大変だろう」と指摘する。

■先行ドイツはすでに80施設

 「養子と里親を考える会」代表で、お茶の水女子大の湯沢雍彦名誉教授(法社会学)によると、ドイツでは六年前から「赤ちゃんポスト」がスタート。現在、八十近くの施設があるという。背景には「設置前年に遺棄された約四十人の子どもの半数が亡くなったことがある」という。

 ドイツでは乳児を保護した後、里親に八週間預け、その間に養子縁組を探すシステムになっているという。「日本でも、子どもがほしい親はたくさんいる。児相はもっと積極的に養子縁組を進めるべきだ。まず赤ちゃんの命を救うという点で、今回の取り組みは評価している」と話す。

 厚生労働省によると、二〇〇〇年までの統計で、日本では年間二百人前後の「捨て子」があるという。

 お茶の水女子大子ども発達教育研究センターの榊原洋一教授は「育児放棄など虐待も少しずつ増加。年間五十人の子どもが虐待で命を失っている。育児力が十分ない若い夫婦も一定程度いる」と指摘しながらも、「育児支援の一つとしての試みとして賛成する」と評価する。

 そして、こう指摘する。「ぎりぎりまで踏ん張り、最後は病院に置けるということが、親の心の余裕につながる可能性もある。日本に根付くかどうかは分からないが、始める前から反対すべきではない」

<デスクメモ> 世の中にはさまざまな事情があって子育てができない親がいる一方、子どもに恵まれない親もいる。その窓口役として両者を結ぶ選択肢が広がることは歓迎だ。ドイツでは母子の救済につながった事例もあると聞く。セーフティーネットのひとつの在り方として、こうした試みがあってもいいのではないか。』

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受信: 2007年3月 1日 (木) 17時38分

コメント

私もそう思っていました。小児科の先生はそう思わないのかなと不思議でしたが、少しホッとしました。
私は、「ポスト」という用語は誰もが利用する、利用できる容易な通信手段の窓口という印象が強いと思います。ここに子供を置くという行為には諸所の理由と状況があると想像しますが、この用語を用いることは間違っていると強く感じます。
マスコミは安易さを協調したいのでしょうが、そこに真のやさしさは感じられません。

投稿 雪の夜道 | 2007年2月26日 (月) 01時59分

雪の夜道さま

>私は、「ポスト」という用語は誰もが利用する、利用できる容易な通信手段の窓口という印象が強いと思います。

安易すぎるネーミングと感じました。赤ちゃんは間違いなく一人の人間です。モノや手紙じゃないですよね...。そこには、尊厳もなにもないのでは?と感じます。

投稿 管理人 | 2007年2月26日 (月) 23時56分

ドイツの紹介画面では、Babywiegeとなっていたのでちょっと探してみたら、こんなのご意見がありました。

http://d.hatena.ne.jp/Siesta/20070223

投稿 雪の夜道 | 2007年2月27日 (火) 15時58分

いつもm3のブログの方にお邪魔していましたが、こちらにもトラックバックさせていただきました。先生のブログ記事を拙ブログで紹介させていただきました。よろしくお願いします。

投稿 春野ことり | 2007年3月 1日 (木) 17時45分

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