« 風見鶏 | トップページ | お詫び...(誤解) »

2007年1月29日 (月)

死因は?

2007年1月29日 晴れ
寒い一日でした。

さて、福島県立大野病院産婦人科医不当逮捕事件の公判について、しばらく噛み付きます。

今日は、昨夜のエントリーで御紹介させていただいたブログ「紫色の顔の友達を助けたい」の中の傍聴記から、一部思ったことを書き留めておきます。

まずは、この事故で亡くなられた妊婦さんと御家族の方々に深甚なる哀悼の意を表します。

私は、これまでマスコミや、ブログの情報を総合して、この妊婦さんが残念にも亡くなられた原因は「失血」によるものと思い、疑っていませんでした。しかし、法廷内に入って実際に公判を聞いていた先生は次のように記述しています。(これは被告人罪状認否の場面となります。)

『 ・ 用手的に胎盤を剥離できる部分がかなりあった。
・ 出血を止めるためには、胎盤を剥がす必要があった。
・ 経膣分娩でクーパーを用いると盲目的な操作になるが、充分な視野が得られている帝王切開においては
可及的にクーパーを用いて剥離すべきであると判断した。
・ 胎盤を摘出した後、剥離面の圧迫止血や薬剤投与により止血を試みたが困難であった。
・ 患者さんは「もう1人子どもが欲しい」ということで、子宮温存の希望があったが、子宮摘出の可能性も手
術前に説明し、子宮摘出を決断した。
追加の輸血が到着して血圧が上昇してから子宮を摘出した。
子宮摘出後は損傷した膀胱(またはその付属の組織?)を縫合しているときに安定していた血圧が突
然血圧が低下した。

心室頻拍(メモではVfとありましたが記憶ではVT)となったため、心肺蘇生を麻酔科医とともにおこ
なったが死亡した。

重要な部分です。「輸血を行ない、血圧が上昇してバイタルサインが安定してから子宮を摘出した。その後は、血圧は安定していたが、術中に損傷した膀胱を縫合しているときに突然血圧が低下、心室頻拍となり蘇生処置を行なったが蘇生できず亡くなられた。」ということです。これが、真実を表しているのであれば....

出血源である子宮を取り出した後に、安定していたバイタルサインが突然不安定となり、VT(pulseless VT:脈の触れない心室頻拍)となった。ということとなり、失血により出血性ショックとなって亡くなられたというよりは、何らかの別な原因があるのでは?と考えます。

そして、当産婦人科医の先生は、子宮摘出後、損傷した膀胱を縫合する余裕があったのです。つまり、出血でバタバタしている状態では、そんなことより「輸血もっと!」、「ポンピング!!」という怒声が手術室にはひびいているでしょうし、とりあえず膀胱を縫合するより他のことをしていたのでは??という気がしてなりません....

そして、真の死因が出血によるものではなかったとしたら...避けられない原因であったのなら....不毛ですね。この裁判...そして、福島県警、地検は将来を嘱望される貴重な産婦人科医を地獄へ突き落としたことになります。

|

医療」カテゴリの記事

大野事件」カテゴリの記事

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/101068/13707382

この記事へのトラックバック一覧です: 死因は?:

コメント

禿同です。

出血がコントロールされ、輸血もなされて血圧が安定した状況で急激な血圧低下、VTとなれば、羊水塞栓とか、肺塞栓症あたりをもっとも疑うところではないでしょうか。

投稿 わし | 2007年1月29日 (月) 22時33分

わし さま
こんばんは

コメントありがとうございます。

>羊水塞栓とか、肺塞栓症あたりをもっとも疑うところではないでしょうか。

やはり、何らかの血管系の疾患ですよね...それであれば、避けれないものであったということでしょうね...。

投稿 管理人 | 2007年1月29日 (月) 22時47分

私は以前から、おかしいと思っています。拙ブログ2006年10月の時点ですでに、その記事を書いています。まあ、通常の産婦人科医であれば、私のような意見を持っている方はたくさんおられたはずですが・・。その辺の話題がでなかったことに、逆にちょっと疑問を感じます。

投稿 yuchan | 2007年1月30日 (火) 03時09分

追加ですが、司法解剖は当然されていないんですよね。もし、それがされていないとすれば、迷宮入りになりかねませんね。事実を究明するためには、最低限それが必要であったのかもしれません。
いずれにせよ、被害者、加害者ともに、深く傷を残す事件であることは事実です。双方にとって、とても痛ましく思います。非常に残念です。

投稿 yuchan | 2007年1月30日 (火) 03時20分

こんにちは。

そうなんですよねー、私もそのあたりが気になっていたんです。
輸血後高カリウム血症という可能性もあるのではないでしょうか?
すくなくとも、ただの出血死では話が合わないように思います。

投稿 pyonkichi | 2007年1月30日 (火) 11時11分

こんばんは
コメントありがとうございます。

yuchanさま

>通常の産婦人科医であれば、私のような意見を持っている方はたくさんおられたはずですが・・。その辺の話題がでなかったことに、逆にちょっと疑問を感じます。

そうですね、この部分は非常に大事ですね...なぜあまり議論されていなかったのでしょうか?

>司法解剖は当然されていないんですよね。

おそらく、されていないのでは?異状死という認識がなかった訳ですから...

pyonkichiさま

>すくなくとも、ただの出血死では話が合わないように思います。

約1年間追いかけていますが、ここにきて死因は?と思ってしまいました。出血によるものでなければ因果関係は希薄ですね...

投稿 管理人 | 2007年1月30日 (火) 22時15分

詳細は拙ブログに連載しています。産科の先生方、私見につきコメントを頂ければ幸いです。

投稿 Atullow's caffee | 2007年1月31日 (水) 16時34分

一部では輸血後高K血症の可能性や、羊水塞栓の可能性についても論議されていました。クローズドのメーリングリストだったので、大きな広がりになりませんでしたが。ただ、その当時明らかになっていた情報では「可能性がある」以上のことがいえなくて、それで広がらずにおしまいになっていたと記憶しています。

投稿 山口(産婦人科) | 2007年1月31日 (水) 17時05分

コメントありがとうございます

Atullow's caffeeさま
早速、拝見させていただきました。レトロスペクティブにものをいうのは簡単です。結果がわかっているんですからね...
医療の現場にはそんなこといってられない部分がある。そして、それを理解しようとしない方々には裁かれたくないですね...ホント

山口(産婦人科)さま
ココに着て、死因はなに?という議論が広くわき上がりそうですね。出血は凌いだ...でも、突然の何かがおこってということになれば争点となる部分では「過失なし」となりそうですけど...

投稿 管理人 | 2007年1月31日 (水) 23時55分

コメントを書く