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2007年1月 5日 (金)

小児科医とルート確保の技術

2007年1月5日 曇り
明日からは大荒れの天候の様です。

小児科医とルート確保(点滴する針を刺すこと)の技術は切っても切れない関係にあります。そして、小児科医の仕事のうちかなりの部分を占めるといって過言ではないと考えます。

小児では静脈自体の径が細いこと、特に生後6ヶ月程度からの乳児などでは皮下脂肪が付いてきており、まさに血管が埋まるがごとくに静脈が皮膚から透見できない状態となります。そういった場合は自分の手背(手の甲)などを見ながら、「ココにあるに違いない」という感じで刺していくのですが...それが当たるようになるには、ある程度の期間、修行を積む必要があります。私は、もう既に15年以上のキャリアですが、それでも留置するのに大変な苦労をすることがあります。

留置針は右図のような構造になっています。最終的には、樹脂でできた柔らかい外筒だけが血管内に留置されることになります。Photo_4

そして、留置針の内筒が血管内に入ると、血液が逆流してきます。更に進めて、外筒まで血管内に入れば、外筒だけを進めて血管内に留置します。外筒は柔らかい樹脂でできているので、少々動いても漏れること(血管の外に輸液剤が出て行くこと)はありません。Photo_5Photo_6

そして、血管が細いと、どうなるか?ですが...図のように、外筒を血管内に入れようとすると血管の対側壁を突き抜いてしまいがちです。
突き抜いてしまうと、外筒が血管内に入らなかったり、輸液が漏れたりしてうまく留置できません。

Photo_7

それを避けるために、こんなことをしたりしますが...うまく行く時とうまく行かない時があります。
それでも、経験を積んでいくと、だんだん失敗は少なくなります。
最初から名人はいません...

Photo_8

なるべく、何度も刺すことのないように技術を磨いていますが...
時に、本当に入らないで苦労することがあります。心の中では「ごめんね」といいながら...子供も辛い、小児科医も辛い。そんな瞬間です。

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コメント

 明けましておめでとうございます。
 昨年中は大変お世話になりました。本年もどうぞ宜しくお願い致します。

 ルート確保で一番イヤなのがこの半年から2才くらいまでのプクプクよく肥えた子供ですね。血管なんて見あたりませんもの。

 確かに最初からうまい医者はいませんが、センスを感じる人と感じない人がいますね。こいつならまかせられると感じる医者は今までに数人(片手)しかいません。

 さて今日はそんな子供にあたりませんように。

投稿: クーデルムーデル | 2007年1月 6日 (土) 08時42分

明けましておめでとうございます。本年も宜しくお願いします。

ルート確保は小児科医永遠の課題ですね。あれも好不調の波があって、絶好調時にはそれこそどんなに難しそうに見えても一発で決まるのですが、不調の波に飲み込まれると「これが入らんか」で泣きそうな気分になる事もあります。

考えてみれば小児科外来でルートを取るときは多かれ少なかれ脱水状態の患児が相手ですから、もともと細くて見え難い上に、末梢が縮んでおり、ペタペタになっていますから、難しいものは誰がいつやっても難しいですよね~。

投稿: Yosyan | 2007年1月 6日 (土) 11時21分

クーデルムーデルさま
あけましておめでとうございます。

コメントありがとうございました。

>ルート確保で一番イヤなのがこの半年から2才くらいまでのプクプクよく肥えた子供ですね。

まさに仰る通りで...何度、悔しい思いをしたことか...(悲)
血管はみえず、触れずで最後は自分の手背を見て、ココだ!と刺しても逆流すらない時もあります...

でも、頑張っていきましょ。恐らく小児科医か?小児科の看護師さんか?が一番、経験を積んでいて、小児のルート確保がうまいんですから...。

投稿: 管理人 | 2007年1月 6日 (土) 20時57分

Yosyanさま
あけましておめでとうございます。

コメントありがとうございました。

>考えてみれば小児科外来でルートを取るときは多かれ少なかれ脱水状態の患児が相手ですから、もともと細くて見え難い上に、末梢が縮んでおり、ペタペタになっていますから、難しいものは誰がいつやっても難しいですよね~。

内腔は狭くなっていますよね...。よく、私のオーベンは「シルンペッてる」なんて言葉(何語が語源か?不明...)を使ってましたが...。

余程、状態が悪ければ骨髄ルートという方法もありますが...。最後の手段ですね...。

今年もよろしくお願いします。

投稿: 管理人 | 2007年1月 6日 (土) 21時03分

明けましておめでとうございます。
本年も宜しくお願い致します。

めちゃくちゃ解り易いですね。御自身でスライド作られたのですか?

小児の点滴が難しい事はあまり評価されてませんよね。失敗すると余計に難しくなるし、泣くと余計に調子悪くなるし、親には責められるし・・・。

点滴技術は経験がなせる技ですが、確かに『センス』というものは、診断・手技においてあると思います。

今後も宜しく御願い致します。

投稿: ドロロンえん魔くん | 2007年1月 6日 (土) 22時57分

ドロロンえん魔くんさま
あけましておめでとうございます。

コメントありがとうございました。

>めちゃくちゃ解り易いですね。御自身でスライド作られたのですか?

ありがとうございます。拙い腕で、パワーポイントに向かっておりました。(笑)

>小児の点滴が難しい事はあまり評価されてませんよね。失敗すると余計に難しくなるし、泣くと余計に調子悪くなるし、親には責められるし・・・。

このエントリーでいいたかった点の一つです。(→難しいこと。)数回入らなくて子供がギャンギャン泣いていると...ホント自己嫌悪ですよね...。

>点滴技術は経験がなせる技ですが、確かに『センス』というものは、診断・手技においてあると思います。

臨床の現場では確かに感性(=センス)の良し悪しが道を分けることがあると感じることがあります。それを磨くことが必要なのですが...先天的にいいモノを持ってらっしゃる方がいますよね。

投稿: 管理人 | 2007年1月 7日 (日) 14時58分

小児科領域レベルの血管での有効性は存じませんが(phot_7.jpgのトラブルには無効)、某社の「フラッシュバックサイン」は便利ですね。工業製品としてのさらなる進歩(工夫)に期待したいところです。

投稿: 匿名b | 2007年1月 7日 (日) 22時07分

匿名bさま
こんばんは

コメントありがとうございます。本エントリーで御紹介させていただいた留置針は某社の古いタイプ(フラッシュでない)の針ですが、私の勤務する病院でも現在はサー●●ーフ◯●シュとなっています。

確かに便利なのですが、少し問題もあって...以前のもの(つまりフラッシュでないもの)と比較して、外筒の径が大きくなったためか...皮膚を貫通する時にかなりの抵抗を感じるようになりました(我々の世界では俗に「切れが悪い」と言ったりします)。

特に小児の留置針を刺すにあたっては、皮下にある細い静脈を慎重に貫かなくてはなりません。この感覚に慣れるまでは皮膚を貫く時に同時に静脈を損傷してしまい、成功率が下がったような気がしています。(いまはずいぶんと慣れてきました)

テ●◯の方々には、「針の切れ」をもう少し良くしていただければ...「もっといい製品に仕上がるのに」と期待しています。

投稿: 管理人 | 2007年1月 7日 (日) 22時20分

小児科になり12年目の者です。管理職になると点滴をさす機会がなくなり、もともと下手な方であったのが、さらに下手で特に生後3カ月未満の子のルートがここ最近とれなくなってしまいました。速くすすめすぎて血管をつきやぶるからだろうと思い、ゆっくり1mmずつ進めるようにしても入らなく、どうすればよいかわからず悩んでおります。 
新生児でも逆血がくるまでの段階では、針を思い切ってすすめるのとゆっくりすすめるのとどちらがよろしいのでしょうか? 
また、上の図のように、逆血後、針を回転させてから進めると、違う方向に進めて血管を突き破ることにならないでしょうか? 
ご多忙のところ恐縮ですが、ご教示いただけると幸いに存じます。よろしくお願いいたします。

投稿: ドラゴンズ | 2015年4月12日 (日) 05時31分

ドランゴンズさま

コメントありがとうございました。本ブログはほとんど休眠状態でして、申し訳ありません。

>新生児でも逆血がくるまでの段階では、針を思い切ってすすめるのとゆっくりすすめるのとどちらがよろしいのでしょうか?

自分はできるだけゆっくり進める様にしています。逆流が確認できた時点で一旦、針から手を離し一呼吸おいて針を回転させる様にしています。その状態で更にほんの少し進めます。このときに、外筒が血管を突き破る感覚があることもあります。当初の針の方向と血管の方向がそうズレていなければ、その後に外筒を進めてもうまく行っていると思います。

>また、上の図のように、逆血後、針を回転させてから進めると、違う方向に進めて血管を突き破ることにならないでしょうか?

これも、当初の血管と針の方向がそれほどズレていなければ、違う方向に進むことは少ないと思っています。

投稿: 管理人 | 2015年4月12日 (日) 08時13分

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