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2007年1月26日 (金)

公判がはじまりました。

2007年1月26日 晴れのち雨
昨日は時間を作れず、更新が滞ってしまいました。

拙ブログを書き始めたきっかけとなった事件は、「福島県立大野病院事件」です。29歳の妊婦さんが癒着胎盤という非常に稀であり、現在の技術では術前に診断することが難しいとされる状態において、予定された帝王切開時に出血多量のため我が子を育てることなく亡くなられたのは本当に悲しく、我々医療人は重く受け取らなければなりません。亡くなられた産婦さんと御家族の方々に心より哀悼の意を捧げます。

さて、拙ブログ:医療の限界でも取り上げたことです。私は少なくとも、執刀した産婦人科医の先生に「過失はない」と思っています。無罪を勝ち得てほしい。エールを送りたいと思います。

被告は無罪主張/福島県立大野病院医療過誤事件の初公判(福島民報)

『福島県大熊町の県立大野病院医療過誤事件で、業務上過失致死と医師法違反の罪に問われた、産婦人科医被告(39)の初公判は26日、福島地裁で開かれ、被告は起訴事実を否認し、無罪を主張した。』

前回帝王切開の切開部に胎盤はかかっていなかったなど、現在の技術では癒着胎盤を予見できない可能性が高く、通常の前置胎盤として帝切を行なったとのことと伝えられております。剥離できない胎盤をクーパーではがしたのも「これはあり得る」との見解です。出血が始まってから、子宮動脈の結紮、子宮摘出も行なっており、通常考えられる(前置胎盤に対して)量の輸血も準備されていました。そして、亡くなられた妊婦さんは子宮温存を希望されていたとのことを聞いております。過失はなかった。医療の限界であると感じます。

『起訴状によると、被告は平成16年12月17日、楢葉町の女性=当時(29)=の出産で帝王切開手術を執刀し、癒着した胎盤をはがし大量出血で女性を死亡させた。女性が異状死だったのに24時間以内に警察署に届けなかった。』

過失はないと思います。そして、異状死の定義は曖昧です。本例が異状死に当たるか?は議論が必要と考えます。また、報告義務は執刀した医師にはなく、院長にあるようです。あくまで、起訴状の中の文言ですね。

福島県警、地検はこの不当な逮捕起訴により、一層の産科医療崩壊を促進させました。また、通常業務中の当医師をマスコミの面前で逮捕する等...事前に情報をマスコミにリークしていたのならば、これは逮捕劇をセンセーショナルに見せるための汚い行いであると感じます。

追記です。ある産婦人科医のひとりごと:福島県立大野病院の医師逮捕は不当の中に本件に関してとても重要な事項が記されています。御一読をオススメします。

更に追記です。紫色の顔の友達を助けたい:速報 大野病院初公判傍聴記(執筆中-内容追加予定)に本公判の傍聴記が綴られる予定です。フィルタのかけられたマスコミからの情報ではなく、実際に刑事裁判に巻き込まれた一医師の目の当たりにする公判の状況です。必読と考えます。

追記:(平成19年2月18日)vvvfの雑感にこの事件との関連する記事が掲載されています。

本日参照させていただいた記事です。信条より、加筆させていただいております。

『福島県大熊町の県立大野病院医療過誤事件で、業務上過失致死と医師法違反の罪に問われた、産婦人科医被告(39)の初公判は26日、福島地裁で開かれ、被告は起訴事実を否認し、無罪を主張した。
 被告は同病院に勤務していたことなどを認めたうえで、「(手術前に)検査をしたうえ、血液も十分に用意した。普段より慎重に医療行為をした。冷静にできる限りのことを精いっぱいやった」などと述べた。患者が死亡したことについては「じくじたる思い。患者のめい福を祈っている」と語った。
 起訴状によると、被告は平成16年12月17日、楢葉町の女性=当時(29)=の出産で帝王切開手術を執刀し、癒着した胎盤をはがし大量出血で女性を死亡させた。女性が異状死だったのに24時間以内に警察署に届けなかった。
 公判では数千例に1例といわれる癒着胎盤という症例に対する措置の是非が大きな争点になっている。医師法21条の異状死についても事件をきっかけに学問的な議論が生じている。
 多くの医療団体が捜査に抗議するなど全国的な話題を呼んだ事件は、発生から約2年を経て本格的な法廷論争に入った。
 初公判には一般傍聴席26席に、349人の傍聴希望者が列をつくった。』

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はーっ。 今日も疲れたー。 昨日当直で、夜中までメルマガ書いていて、 明け方呼ばれてあんまり眠れなかったし。 先週末は忙しかったから、今日は早く帰って寝るぞー、って思ってたのに。 今日も当直明けの日の夜に... [続きを読む]

受信: 2007年1月27日 (土) 02時35分

コメント

裁判の進行を注視していきたいと思います。亡くなられた方のご冥福を心よりお祈り申し上げます。と共にK医師の無罪を心より念じております。

しかし…この怒りを誰に向けたらよいのか…迷うこの夕べです。

投稿 ないかい | 2007年1月27日 (土) 00時39分

なんとか無罪になってくれれば、良いのですが。
これが有罪になったら、日本の医療は終わりです。
完全に崩壊します。

投稿 Dr.I | 2007年1月27日 (土) 02時26分

「逮捕」自体が問題です。在宅起訴ではなぜ駄目だったのか。
医療者がこの出発点を明日は我が身と考える以上、裁判の行方以前に既に終わっています。この事件以前の医療体制にはもう戻り得ないと思いますが。。

投稿 雪の下 | 2007年1月27日 (土) 09時18分

こんにちは

ないかい さま

コメントありがとうございます。
>しかし…この怒りを誰に向けたらよいのか…迷うこの夕べです。

このような殺伐とした状況になった原因の一つは、マスコミであろうと思っています。

投稿 管理人 | 2007年1月27日 (土) 09時46分

こんにちは
Dr.Iさま

>これが有罪になったら、日本の医療は終わりです。
全く、同感です!

投稿 管理人 | 2007年1月27日 (土) 09時49分

雪の下さま
コメントありがとうございます。

>「逮捕」自体が問題です。在宅起訴ではなぜ駄目だったのか。
検察は証拠隠滅の恐れがある、逃亡の恐れがあるとのことで逮捕拘留をおこなったようですが、こんなのは適正な理由になりません。さらに、逮捕現場にマスコミがいるなどとは、内部から情報をリークしているものが居たことを如実に表していると考えます。
国会の場で、仙谷議員は「この事件は後に、検察の起こした事件として後世に語り継がれることとなるだろう」ともいっていますが...これを、福島県警、福島地検の『汚点』として語りつないでいかなければならないと思っております。
早期に、当産婦人科医師の無罪が確定し、汚名が晴れることを望みます。

投稿 管理人 | 2007年1月27日 (土) 09時57分

福島県警は、酔っ払って炊く志位運転手は半殺しにしても逮捕されない、警察天国です。汚点という自負なんぞ期待できないでしょう

投稿 鬼 | 2007年1月27日 (土) 14時07分

福島事件の公判をを書こうと思って、その前にブログ巡回したのが失敗で、そのうえ巨大掲示板まで覗いたのがもっと失敗で、お腹一杯になってほとんで書けませんでした。一年前とは大違いですね。

この事件の無罪を祈る気持ちは皆様と同じですが、5つの争点のうち最後の医師法21条が難関の様な気がします。それ以外の4つの争点なんて医学的には争点以前のもので、負ける事は医療の死を意味します。

ただし医師法21条だけは医師でも見解が分かれている代物で、少なくとも一審段階では検察の顔を立てるためにも難癖をつける可能性は大です。もちろん医師に罪無しは固く信じて疑いませんが。

それにしても報道は巧妙な世論誘導を早くも散りばめていますので、我々は素早く辛辣に報道内容を検証して対抗していかなければならないでしょう。

まあ、言われなくても1年間ウズウズしながら待っていたネット医師は多数いるでしょうから、その点は心配していませんが。

投稿 Yosyan | 2007年1月27日 (土) 15時07分

こんばんは

コメントありがとうございます。

鬼 さま
>福島県警は、酔っ払って炊く志位運転手は半殺しにしても逮捕されない、警察天国です。

そうですね。そんなこともありましたね。身内に甘く、医師に厳しい。とんでもない方々ですね...。でも、ネッチリとしつこく風化されないように書き続けていこうと思います。

Yosyan さま
>福島事件の公判をを書こうと思って、その前にブログ巡回したのが失敗で、そのうえ巨大掲示板まで覗いたのがもっと失敗で、お腹一杯になってほとんで書けませんでした。一年前とは大違いですね。

それだけ、この事件がネット医師に認識されているということですね。

>ただし医師法21条だけは医師でも見解が分かれている代物で、少なくとも一審段階では検察の顔を立てるためにも難癖をつける可能性は大です。

そうですね。法医学会の見解と外科系が分かれているのが難問ですね...ただ、病院のシステム上は、院長に責任があるのではないのか?と感じますが...

>報道は巧妙な世論誘導を早くも散りばめていますので、我々は素早く辛辣に報道内容を検証して対抗していかなければならないでしょう。

早速、次のエントリーではそこら辺の『突っ込み』を少しということで...

1年間待ってました。この時を。逐一、詳細に検討し、エールを送りたいと思います。

投稿 管理人 | 2007年1月27日 (土) 22時32分

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