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2006年12月

2006年12月 4日 (月)

JHのことば

2006年12月4日 晴れ
午前中に40数人の外来。昼休みに急性陰嚢症の児がきて、小児外科のある病院に搬送しました。徐々に、そして確実に忙しくなってきています。

今日は時々読む漫画のはなしです。手塚治虫氏は1928年11月3日生まれ宝塚にて育っています。大阪大学医学専門部を卒業し、学位(医学博士)まで取得しています。その手塚氏が書き下ろしたBlack Jackは、その中に「脳移植」などの現在でもなし得ない医療の姿や、体全体のパーツがそろった「奇形嚢腫」を摘出した後、それをつなぎ合わせて一人の人間をつくるなど現実ではありえないストーリーもありますが...その中の人物の「言葉」は時に心を打つものがあります。

ブラックジャックは幼少の折、不発弾の爆発で瀕死の重傷を負い、JH(本間丈太郎)という名外科医に救われます。このJHに憧れて、ブラックジャックは医師になるのですが、このJHにしてもミスをしていた。それも、開腹手術の折に、あろうことかメスをブラックジャックの肝臓の下に置き忘れてしまったのです。そのミスをひた隠しにしながら、7年後機会があって、取り出した時には見事にカルシウムの鞘につつまれたメスがでてきたのです。JHはこの生命の奇跡をみて、「どんな医学であっても生命の不思議さにはかなわん」と悟ります。

自分の死期を悟ったJHはブラックジャックにそのメスを送ります。JHというイニシャルから本間丈太郎を探り当てたブラックジャックは隠居した本間丈太郎を訪ねます。「人間が生き物の生き死にを自由にしようなんておこがましいとは思わんかね」という言葉を残し意識を消失しますが、ブラックジャック果敢にも脳出血に対して穿頭血腫除去を試みます。そして術中に心停止し死亡を確認することとなります。

落胆するブラックジャックに対して、本間丈太郎の霊は再び語りかけます。「人間が生き物の生き死にを自由にしようなんておこがましいとは思わんかね........」

医師は絶えず努力します。何とかして、この患者さんに生命を...。この努力が、いろいろな病気や、状態の克服に寄与してきたのは明らかです。しかし、このような神に近づく努力をもってしても、所詮、医師は神になりえず、人間でしかありません。その時点での最大限の努力をもってしても、救えない命はあるのです。そして、人間である限りミスを0%にすることもできません。だからこそ、日々のたゆまぬ努力が必要で、大部分の医師たちはそれを果たし続けていると思います。

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