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2006年10月 1日 (日)

机上の論理

2006年10月1日 雨
久しぶりに雨でした。明日から、2人体制に移行です。

さて、眠らない医者の人生探求劇場・・・・(薬はやってません):何だろう?この京大教授は?というブログの記事を読みました。

このエントリーで紹介されている記事は、現場の認識と余りにかけ離れているように感じます。拙ブログ:医師は不足しているでも取り上げましたが、日本はOECD加盟国の中でほぼ最低レベルの人口あたり医師数を示しています。そして、提供する医療のレベルは、その一つの指標と考えられる平均寿命や乳児死亡率などから考えて、世界でもトップクラスにあると考えられます。また、病院の1ベッドあたりの職員数はアメリカの約5分の1とされており、いかにその現場が忙しく、そしてギリギリの効率で回っているのか?を垣間みることができると思います。

机上での論理は、時に「危うい」と感じます。現場を見てほしい!心底、そう思います。

闘論:医師不足の理由 西村周三氏/本田宏氏(毎日新聞)

『地方の公立病院や産婦人科など勤務が厳しい診療科で「医師不足で、満足な医療ができない」との悲鳴が相次いでいる。ただ、医師は年間3500人以上も増えている。医師不足の根源的な原因は、絶対数が足りないせいなのか、それとも都市部や特定の診療科に偏っているせいなのか。専門家2人に聞いた。(題字は書家・貞政少登氏)
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 ◇「偏在」こそが問題 病院経営改革も必要−−京大教授・西村周三氏
 医師の需給を考える際、最も注目すべき問題は「偏在」だ。東京、大阪などの大都市には十分な医師がいるが、地方の公立病院は必要数を確保できない。産婦人科や小児科など特定の科の医師の不足も目立つ。
 日本の人口当たりの医師数は、OECD(経済協力開発機構)加盟国の平均より少ないが、医師と看護師など他の医療職との仕事の分担は国によって異なり、この比較だけで日本の医師が足りないとは言えない。日本の医師総数は年約1・6%の割合で増えているが、どう増やすかには科学的根拠が必要だ。
 英米では、どんな病気が増えているかや医療技術の進歩に伴う各診療科の勤務時間の変化などを、かなり詳しく分析し、医師の需給予測をしている。一方、日本は旧厚生省の検討委員会が76年、「2025年には医師が1割程度過剰になる」と予測。医学部の定員削減などが始まった。
 しかし、推計は粗いものだった。高齢化社会の到来や患者ニーズの変化を考慮していなかった。勤務が過酷な病院や診療科を若手医師が避けたり、結婚や育児との両立に悩む女性医師が増えたことも想定外で、現在の偏在につながった。
 いまこそ、国は地域性や医療技術の進歩も踏まえた緻密(ちみつ)な予測をし、偏在を解消しなければならない。
 医学教育では、「どこで働くどんな医師を育成するか」という視点が不可欠だ。政府は、医師不足が深刻な10県の大学医学部の定員増を認めたが、定数だけ増やしても根本的解決にならない。地方の大学の医学生が、必ずしも地方にとどまるわけではないからだ。
 まず、国・自治体と大学が十分に協議し、地域の医療ニーズを分析して、育成すべき医師像や数、診療科の配置を検討すべきだ。
 病院経営の改革も欠かせない。勤務医は、忙しい診療科でも、そうでなくても給料があまり変わらない。こうした不合理な報酬体系を見直し、忙しい診療科の医師には勤務に応じた給料を支払い、不公平感をなくしていけば、忙しい科への医師の誘導も可能になる。
 医師不足が深刻な全国の公立病院では、報酬体系や医師間の役割分担を抜本的に見直すため、条例で病院長に一定の裁量権を与えることも、解決の一手になる。【構成・大場あい】
 ◇絶対数抑制が主因 学部定員5割増急務−−済生会栗橋病院副院長・本田宏氏
 1980年代以降、日本の医療行政は医療費削減が最優先になり、全国の医師数はカネの観点から検討され、医師数抑制が当然の流れとなった。この政策が現在の医師不足を生んだ。つまり、日本の医師は絶対数が不足しているのであって、「偏在が原因」というのは事実誤認だ。日本の医師数は約26万人だが、OECD加盟国の人口当たり医師数の平均にあてはめればまだ12万人少ない。全都道府県がOECD平均に満たず、どこへ行っても医師が足りないのが実態だ。
 日本の医師の過重労働ぶりも示したい。日本の医師1人当たりの年間外来対応数は8000件以上、OECD平均は約2500件だ。日本の医師の平均労働時間は、59歳まで週60時間を超えているが、欧米で週60時間を超える年代はない。この状況で、なぜ、「OECD平均より医師数が少なくていい」と言えるのか。
 医師になって17年目の女性からの年賀状に、「今年の目標は、精も根も尽き果てる働き方をせずとも安全な医療を提供できること」とあった。現場の医師は、自分の健康や金もうけではなく、過労による医療事故を一番恐れているのだ。
 さらに、医療の高度化によって治療や投薬が複雑になり、複数の専門医が一人の患者に対応することが求められている。団塊の世代が高齢化すれば、受診者数も爆発的に増える。今の態勢のままでは、適切な医療を受けられない「医療難民」だらけになる。
 だが、実態を知らない患者は「高級ホテル」のような医療を求める。「ビジネスホテル」の戦力しかないのに、だ。私は外科医になって28年、家族ではなく患者最優先で生きてきた。女性医師の中には、結婚をあきらめた者も多い。そこまで頑張れない医師が現場を離れ、開業医や非常勤医になる「立ち去り型サボタージュ」を起こし始めた。
 問題は、この現状が国の政策に生かされていないことだ。世界は、安全な医療のため医師を増やしているのに、日本だけが背を向けていいのか。医学部定員を現在より50%増やし、GDP(国内総生産)比で8%の国全体の医療費支出を主要7カ国(G7)並みの10%へ引き上げることを求めたい。今、対策を取らねば、一番不幸になるのは国民だ。【構成・永山悦子】
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 ■人物略歴
 ◇にしむら・しゅうぞう
 京大経済学部卒。86年から同学部教授。副学長。医療経済学専攻。61歳。
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 ■人物略歴
 ◇ほんだ・ひろし
 弘前大医学部卒。89年から済生会栗橋病院外科部長、01年から現職。52歳。
毎日新聞 2006年9月25日 東京朝刊』

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コメント

働きすぎでburn outしていくのはどうも医者に限らないようですね。一時期の猛烈社員ではなく、会社が猛烈に働かせる受動的猛烈社員が増えているようです。そのわけは、ここ10年の不況で新入社員をとれなかった会社が景気上向きとともに急に業績アップをねらって動き始めても、動ける社員が限られ、一人一人への負担が増しているためのようです。周りを見渡しても会社員はみな飲むわけではないのに午前様・・・大変な時代になっていますね。みんな疲労して、イライラして少しのことでも相手を恨みエゴを貫く、そんな時代のようです。

投稿: クーデルムーデル | 2006年10月 2日 (月) 08時46分

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