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2006年10月11日 (水)

因果関係?

2006年10月11日 晴れ
秋晴れが続いています。少し、空気は乾燥気味です。

さて、医療訴訟の関連の記事です。ソースは毎日新聞。
川口総合病院医療ミス訴訟:6800万円支払いで和解 /埼玉

『◇原告側「全面的に認められた」
 川口市の済生会川口総合病院で採血時、誤って注射針で右腕の神経を傷つけられ、後遺症が残ったなどとして、東京都内の元派遣社員の女性(31)が同病院を経営する「社会福祉法人恩賜財団済生会」などを相手取った損害賠償訴訟(請求額約7500万円)が10日、東京地裁(佐久間邦夫裁判長)であり、病院側が女性に6800万円を支払うことで和解した。女性の親族は「医療ミスが全面的に認められた」と和解を評価している。
 訴状などによると、女性は99年7月、交通事故のけがの治療で同病院に入院。採血の直後に、しびれや激痛で右腕が動かせなくなった。医師らは「痛みは気のせい」などと無理やり右腕を動かすなどしたが、約2カ月後、別の病院で関節が硬直する「右上肢反射性交感神経性ジストロフィー(RSD)」と診断された。女性は現在も後遺症に苦しみ、仕事につけないでいるという。
 和解後、会見した女性の親族は「RSDは国の難病に指定されてないことや、後遺障害の認定基準が実態に合っていないなどの問題があり、解決に時間がかかった」と話した。同病院は「当院の採血に過失はないものと考えるが、患者さんにも過失がないことは明らかで、非常にお気の毒であると考えている」とコメントした。』

本当にお気の毒な患者さんです。後遺症がこれから少しづつでも軽快されていくことをのぞみます。
また、「医療ミス」という表現は問題があるのではないか?と考えます。

RSDは非常に診断の難しい病態であると考えます。
『4. 複合性局所疼痛症候群(CRPS)
 骨折、捻挫、打撲などによる組織損傷をきっかけとして、痛覚過敏、灼熱痛、浮腫、皮膚の変色と皮膚温の変化及び発汗異常などの症状を呈する難治性の慢性疼痛症候群。タイプ1と2があり、それぞれ反射性交感神経性ジストロフィー(RSD)、カウザルギーとも呼ばれる。タイプ1は神経損傷を伴わないのに対し、タイプ2では明らかな神経損傷を伴う。年齢・性別に関わらず発症するが、特に若年女性に多い。』(日本臓器HPより)

専門家ではありませんので...詳しくはありませんが...痛覚を伝える神経(感覚神経)と交感神経(自律神経の一つで血管の収縮に関与する)が異常なつながりをもってしまい、外傷により一定期間痛みを感じて治癒後は痛みと組織の血管収縮が治まってしまうというところが、長期にわたり痛み及び血管収縮が続くためその患部の萎縮まで発展する病態であると思われます。
この患者さんの場合、交通事故で入院されていたとのことですが、採血後に異常な痛みを感じていること等から採血との因果関係を認めたということだと思います。

しかし、この病態はいつ何時も起こりうるものです。採血しかり、交通事故により骨折や打撲でも...結果が重大なだけに何らかの救済が必要ですが、この患者さんが「交通事故の打撲により起こった」と判断されていれば、救済されていなかったことになります。

「医師らは「痛みは気のせい」などと無理やり右腕を動かすなどしたが、」との部分が本当であれば、医療側にも反省すべき点はあるかもしれませんが...救済のための訴訟、そして和解であれば...別な手段で行うべきであると考えます。→無過失補償制度など....
そうすれば、患者さん、そして、医療側双方とも非常に辛い法廷での闘争を経ることはなかったのではないか?と思います。

現実の世界には、「過失の存在しない」つまり誰にも責任を押し付けることのできない事故があります。そして、日本では残念ながら、そのような災禍を被った方々に充分な補償をしてあげれる制度は今のところ存在しません。

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コメント

患者さんはお気の毒ですが、過失ではないですね。言ってみればどういうところに針を刺しても同じ事は起こりうるわけで、普通の医療行為が運悪くこうなってしまったということでしょう。
やり場のない怒りを裁判でというのはどうかと思いますし、先生の言うように過失のないところでの補償があってよいと思います。

投稿: クーデルムーデル | 2006年10月13日 (金) 09時28分

クーデルムーデルさま
こんばんは

コメントありがとうございます。

『過失』を作らなければ補償できない日本特有の問題が横たわっているように思います。訴訟という辛いハードルを超えて、はじめて補償されるというのは、双方にとってあまり良いことではないと感じます。

投稿: 管理人 | 2006年10月13日 (金) 23時12分

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