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2006年10月

2006年10月14日 (土)

証拠?

本日2稿目です。

北朝鮮の地下核実験に関しての報道です。

放射性物質確認、米政府が日本に伝える…北の核実験(読売新聞)

『米政府は14日、日本政府に対し、今月9日の北朝鮮による核実験実施発表を受けて米軍機が行っていた放射性物質の採取・分析により、大気中から微量の放射性物質が確認できたと伝えた。日本政府筋が14日、明らかにした。
 ただ、米政府は、分析は暫定的なもので、北朝鮮の核実験が確認できたわけではないとしているという。米側は引き続き分析を進め、核実験によるものかどうかの特定を急ぐことにしている。
 核実験実施発表後、日米両政府は、航空自衛隊のT4練習機や、米軍のWC135偵察機などで放射性物質の集じんを進めていた。これまでT4機では採取に至らず、地震波の分析では揺れが小規模だったため、核実験が実施されたかどうかの確認はできていない。』

<北朝鮮核実験>「米軍検出」で日本政府も情報収集(毎日新聞)

『<抜粋>北朝鮮の核実験をめぐっては9日、同国が「実験成功」を発表。しかし、核実験全面禁止条約機関(CTBTO)準備委員会は13日、特別会合で放射性物質は検出されていないとの観測結果を報告した。日本でも36都道府県などが観測を行ったが、放射性物質は検出されておらず、地震波のデータだけでは核実験か大量の爆薬を使ったものか判定できない状態が続いている。【古本陽荘】
 ◇核爆発で検出される放射性元素は——
 検出されると核爆発の疑いが濃いとされる放射性元素は、バリウム140やジルコニウム95、ヨウ素131などだ。核実験全面禁止条約(CTBT)に基づく核実験の監視体制で、観測の標的としている。
 日本原子力研究開発機構によると、これらは核爆発などの核反応で生じる一方、自然界にはほとんど存在しない。比較的短期間で他の元素に変わってしまう性質があるため、過去の核実験や原発事故の影響で残っていることも考えにくいという。
 また、地下核実験でほとんどの放射性物質が地下に封じ込められた場合も検出されやすい元素としては、キセノンやクリプトンなど「希ガス」と呼ばれる元素の放射性同位体がある。気体で、他の物質に吸着されにくい性質もあるため、岩のすき間から地上に出てくる可能性があるとされる。』

事前に中国へ連絡のあった核実験の規模は4キロトンであったと聞いたことがあったような、なかったような...でも地震の規模から推定すると1キロトン程度であったようです。ここで、核実験においては1キロトン程度の小さな爆発を起こすのは実は非常に難しいとのことです。恐らく、当初予定していた爆発の規模は4キロトンであったが、起爆が一部うまく行かず1キロトン相当の爆発で終わってしまったというのが真相なのではないかという見方がでてきています。

よって、核実験は行われた。しかし、予定した規模のものを得ることができなかった。そして、北朝鮮の核爆弾の技術は「発展途上」であるということであると思います。でも、それでも恐ろしいことですね....

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2006年10月12日 (木)

核のブラフ?

本日2稿目です。

北朝鮮関連の記事です。
追加制裁に踏み切れば対抗措置 北朝鮮の日朝交渉大使(共同通信)

『【平壌12日共同】北朝鮮の宋日昊日朝国交正常化交渉担当大使は12日までに、平壌で共同通信と会見し、核実験発表を受け日本政府が追加制裁に踏み切れば「必ず対抗措置を講じることになる」と述べた。発足間もない安倍晋三政権に対しては「首相の言動を注意深く見ている」と話し、対北朝鮮政策について今後の出方を注視する構えを示した。安倍政権の評価では非難を抑制、日朝関係の再構築に取り組む意欲をにじませた。』

数回にわたる、弾道ミサイル発射実験と1回の核実験のあとのコトバです。脅し(ブラフ)としては相当な力があるものとおもわれ、今後の動向を注視です。世界がこのブラフに負けた時には雨後のたけのこのように、核保有国が増えるのではないかと....

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公的病院の医師不足

2006年10月12日 晴れ
秋晴れが続いています。

地域における医師不足は、いよいよきわまってきているようです。三重県では県立病院で定員割れです。
県立志摩病院:4医師退職の意向 県議会委、院長が窮状訴える /三重(毎日新聞)

『県南部の医師不足が深刻化する中、県立志摩病院(志摩市阿児町)の田川新生院長が、10日開かれた県議会予算決算特別委員会で「今年度内に少なくとも4人の医師が退職の意向を示している」と述べ、地域医療の窮状を訴えた。
 志摩病院では現在、28人の医師のほか、山田赤十字病院(伊勢市)から常勤で派遣されている医師2人が産婦人科の外来診療を行っており、計30人が勤務している。田川院長は「医師不足で全く休みが取れない。若い医師は、年に1〜2カ月間は(最新医学の)勉強をする時間が欲しいと訴えているが、それもできない」などと現状を報告し、30人のうち4人が退職の意向を示していることを明らかにした。その上で「地域医療が崩壊し、パニックにならないと、この状況は改善されないのではないか」と、今後の医療体制について危機感を示し、行政が早急に医師確保対策を講じるよう求めた。
 県病院事業庁によると、同庁が経営する県立4病院の医師数の現状(10月1日現在)は、▽総合医療センター(四日市市)が定数70に対し58人▽こころの医療センター(津市)が同15に対し13人▽一志病院(津市)が同8に対し3人▽志摩病院が同36に対し28人—といずれも定数に満たない。人口10万人当たりの医師総数(04年度調査)でも県内は、全国都道府県でワースト12位の176・8人で、全国平均の201・0人を下回っている。』

田川院長の「地域医療が崩壊し、パニックにならないと、この状況は改善されないのではないか」ということばが重く響きます。私の勤務している病院でも医師の定員は満たされていません。徐々に真綿で首をしめられるようにボディブローが効いてきている様です。

医師の偏在?医師数の絶対的不足?地域医療の魅力の減少?いろいろな要因が絡み合っているようですが....
日本の地域医療は崩壊へと動きつつある様です。

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2006年10月11日 (水)

因果関係?

2006年10月11日 晴れ
秋晴れが続いています。少し、空気は乾燥気味です。

さて、医療訴訟の関連の記事です。ソースは毎日新聞。
川口総合病院医療ミス訴訟:6800万円支払いで和解 /埼玉

『◇原告側「全面的に認められた」
 川口市の済生会川口総合病院で採血時、誤って注射針で右腕の神経を傷つけられ、後遺症が残ったなどとして、東京都内の元派遣社員の女性(31)が同病院を経営する「社会福祉法人恩賜財団済生会」などを相手取った損害賠償訴訟(請求額約7500万円)が10日、東京地裁(佐久間邦夫裁判長)であり、病院側が女性に6800万円を支払うことで和解した。女性の親族は「医療ミスが全面的に認められた」と和解を評価している。
 訴状などによると、女性は99年7月、交通事故のけがの治療で同病院に入院。採血の直後に、しびれや激痛で右腕が動かせなくなった。医師らは「痛みは気のせい」などと無理やり右腕を動かすなどしたが、約2カ月後、別の病院で関節が硬直する「右上肢反射性交感神経性ジストロフィー(RSD)」と診断された。女性は現在も後遺症に苦しみ、仕事につけないでいるという。
 和解後、会見した女性の親族は「RSDは国の難病に指定されてないことや、後遺障害の認定基準が実態に合っていないなどの問題があり、解決に時間がかかった」と話した。同病院は「当院の採血に過失はないものと考えるが、患者さんにも過失がないことは明らかで、非常にお気の毒であると考えている」とコメントした。』

本当にお気の毒な患者さんです。後遺症がこれから少しづつでも軽快されていくことをのぞみます。
また、「医療ミス」という表現は問題があるのではないか?と考えます。

RSDは非常に診断の難しい病態であると考えます。
『4. 複合性局所疼痛症候群(CRPS)
 骨折、捻挫、打撲などによる組織損傷をきっかけとして、痛覚過敏、灼熱痛、浮腫、皮膚の変色と皮膚温の変化及び発汗異常などの症状を呈する難治性の慢性疼痛症候群。タイプ1と2があり、それぞれ反射性交感神経性ジストロフィー(RSD)、カウザルギーとも呼ばれる。タイプ1は神経損傷を伴わないのに対し、タイプ2では明らかな神経損傷を伴う。年齢・性別に関わらず発症するが、特に若年女性に多い。』(日本臓器HPより)

専門家ではありませんので...詳しくはありませんが...痛覚を伝える神経(感覚神経)と交感神経(自律神経の一つで血管の収縮に関与する)が異常なつながりをもってしまい、外傷により一定期間痛みを感じて治癒後は痛みと組織の血管収縮が治まってしまうというところが、長期にわたり痛み及び血管収縮が続くためその患部の萎縮まで発展する病態であると思われます。
この患者さんの場合、交通事故で入院されていたとのことですが、採血後に異常な痛みを感じていること等から採血との因果関係を認めたということだと思います。

しかし、この病態はいつ何時も起こりうるものです。採血しかり、交通事故により骨折や打撲でも...結果が重大なだけに何らかの救済が必要ですが、この患者さんが「交通事故の打撲により起こった」と判断されていれば、救済されていなかったことになります。

「医師らは「痛みは気のせい」などと無理やり右腕を動かすなどしたが、」との部分が本当であれば、医療側にも反省すべき点はあるかもしれませんが...救済のための訴訟、そして和解であれば...別な手段で行うべきであると考えます。→無過失補償制度など....
そうすれば、患者さん、そして、医療側双方とも非常に辛い法廷での闘争を経ることはなかったのではないか?と思います。

現実の世界には、「過失の存在しない」つまり誰にも責任を押し付けることのできない事故があります。そして、日本では残念ながら、そのような災禍を被った方々に充分な補償をしてあげれる制度は今のところ存在しません。

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2006年10月10日 (火)

移植再開

2006年10月10日 晴れ
マイコプラズマ肺炎が流行中です。

さて、臓器売買の疑いで話題となっている病院で生体腎移植が再開された様です。

事件後初の腎移植手術 宇和島の徳洲会病院(共同通信)

『愛媛県宇和島市の臓器売買事件の舞台となった宇和島徳洲会病院は10日、事件発覚後、初となる生体腎移植手術をした。病院は、1日に発覚した事件で本人確認の甘さが問題になったため、これまでなかった倫理委員会を設置。この日の手術について6日に身元の確認や文書で患者に説明し同意書が作成されているかなどを審査した。今後、原則としてすべての移植手術を倫理委で審査する方針。』

倫理委員会なかったんですね...。叩かれましたが、今後は問題なく続けることができるでしょう。

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2006年10月 9日 (月)

標的?

2006年10月9日 晴れ
気持ちのいい一日ですが...お隣の国では、戦慄の実験が...。

核分裂から得られるエネルギーは、核分裂の際に失われる質量に光速の自乗をかけて得られる値で、実に大きなものです。核爆弾に使用される材料は、ウラン235という比較的不安定なアイソトープをある一定の割合まで濃縮されたものや、プルトニウムというものを使用しますが、その製法はそこまで難しいものではないようで、技術者は世界各国にいるようです。

恐らく、北朝鮮にはイランなどから技術が流入していると思いますが、核爆弾の材料を作ることができ、起爆に必要な技術も既に取得した様です。北朝鮮は本日、地下核実験を実施したと発表しましたが...韓国での観測で実験に伴う地震波が検知されていることから、恐らく本当に実施されたものと考えます。

日本に届く(ひょっとすると、アラスカにも届くとされる)射程を持つ弾道ミサイルと核爆弾。脅威以外の何ものでもありません。

北朝鮮、核実験実施と発表=北東部でM3.5規模の地震(時事通信)

『【ソウル9日時事】北朝鮮は9日、朝鮮中央通信を通じ、核実験を実施したと発表した。同通信は「われわれの科学研究部門は地下核実験を安全に成功裏に行った」と報道。「科学的で綿密な計算によって行われた今回の核実験では、放射能流出のような危険が全くなかったことが確認された」と伝えた。
 韓国政府によれば、北朝鮮北東部の咸鏡北道花台で同日10時35分(日本時間同)、マグニチュード3.58−3.7規模の地震波が探知された。韓国政府は直ちに盧武鉉大統領主宰の緊急安全保障閣僚級会議を招集、対応策を協議している。
 北朝鮮は3日の核実験予告の声明発表にもかかわらず、米国が直接対話に応じる姿勢を見せなかったため、米国に譲歩する考えがないと判断したもようだ。8日の日中首脳会談で北朝鮮に対する厳しい方針で一致したことも影響を与えたとみられる。9日の日韓首脳会談、10日の労働党創建61周年に合わせた可能性もある。』

今日は、医療にはほとんど関係のない話題でした...。

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2006年10月 8日 (日)

機械化により減らせるミス

2006年10月8日 晴れ
お月様がきれいです。空気が澄んできました。

さて、処方薬を作るために人間の手を介していたのが機械化されるとミスが減るのか?ということですが...
減る様ですね...。しかし、もとの処方が間違っている場合はこの限りではないでしょうけど。

医療事故、前年度比半分に 京都市立病院、昨年度(京都新聞)

この記事の中で、抜粋した部分は
『事故減少の要因の一つは、投薬などへの自動化システム導入。これまでは、薬剤師が医師の指示を受け、手作業で薬をこん包していたが、2004年12月から、コンピューターに患者データを入力すれば薬が出てくるようになった。これによって、注射で薬を投与する際のミスが前年度の109件から22件に激減した。』

すごいですね、こんなシステムができているなんて...病院の薬剤師さんはかなり減りそうですね...。
転記によるミスなどは、機械化することにより、ミスを減らすことができるのでは?と考えます。同時に、医療でのミスは患者取り違いなどの因果関係のはっきりしている単純なミスと、気管内挿管の手技の未熟性などによる挿管失敗などの複雑なミスとがあるように思えます。(それをミスというべきかどうかは不明ですが...)機械が肩代わりできる単純なミスは機械化することによりなくすことができると考えますが...複雑なものはどうやって救うのか?大きなシステムで考える必要があると思いました。

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2006年10月 7日 (土)

後押しするエネルギー

2006年10月7日 晴れ
風が強かった一日でした。今日は娘の運動会で近くの小学校に行っていました。そこには、自分が治療した子供たちもいっぱい居て、言葉をかけてくれます。

また、中には重症で生死をさまよった児もいます。そんな児が、通常の児と同じように、走ったり跳んだり、大声を出したり...そういう場面を経験すると、やはり「小児科医は止められないな」と感じます。

世知辛い世の中となり、いろんな辛いこともありますが....もう少し頑張ってみようか?と思いました。

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2006年10月 6日 (金)

泣きっ面に蜂...

2006年10月6日 曇り
<事実をモディファイしたフィクションです>
●ヶ月のBabyが不明熱にて入院。非常に機嫌が悪く、ややグッタリで哺乳力も低下していました。血液検査にてCRPは強陽性で感冒様症状はありませんでした。大泉門の膨隆はなく、顔色は良好。血培をとって、ルートをキープして、腰椎穿刺が必要か?と思っていたら...検尿でWBC >100/HPF。抗生剤静注にてずいぶん改善しました。

尿路感染症では、敗血症に至った症例を2例ほど経験しています。いずれも、VURの高度な例で、1例は両側ともにVUR Ⅴ度のタイプでした。乳児期に逆流防止術(Kohen法?)にてVURは消失。通常の生活を送れています。

さて、話は変わりますが...生体腎移植にて臓器売買の可能性を指摘されている病院での続報...
「腎臓売買」病院に診療報酬返還請求へ(読売新聞)

『腎臓移植の臓器売買事件の舞台になった宇和島徳洲会病院(愛媛県宇和島市)で行われた手術の多くが、診療報酬請求の要件を欠いていた疑いが強まったとして、愛媛社会保険事務局は4日、返還請求の方向で調査に入ることを決めた。
 腎移植を含む24分野の手術を健康保険で行うには、病院で手術を受けるすべての患者に文書による説明が必要だが、同病院は生体腎移植手術で口頭の説明しかやっていなかった。調査で確認されれば、返還額は手術料だけで数千万円にのぼるうえ、腎臓以外も含めた多くの手術が保険でできなくなり、病院経営に大きな影響が出そうだ。
 今年4月に改定された診療報酬制度では、腎移植、肺がんなど24分野の手術について、保険適用の条件として〈1〉その施設で行う手術すべてで、患者に文書を交付して内容を説明する〈2〉各分野の手術の1年間の実施件数を見やすい場所に掲示する——など4項目の施設基準を定めている。これらをすべて満たし、社会保険事務局へ届けた施設でないと手術料を請求できない。』

「泣きっ面に蜂」というか「泥棒に追い銭」というか...「これでもか」というぐらいにヤラレテいますね。生体腎移植自体は失敗したわけでもないのに...。

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2006年10月 5日 (木)

副?作用

2006年10月5日 雨
何だかわからない、(注1)HPS(hemophagocytic syndrome:血球貪食症候群)を伴いやすいウィルス感染症が流行している様です。ここ最近で同様な患者さんが2例ほど入院しています。幸いにして、経過は良好です。

(注1)ウィルス感染症による同病をVAHS: virus associated hemophagocytic syndromeウイルス関連血球貪食症候群とも呼ぶ。

さて、薬は毒より産まれるもので、その扱いによっては副作用に苦しむことがあります。医師は「望む」作用と、副作用とのバランスをとりながら治療を進めます。そして、どんな薬にも副作用はあり、全く副作用のない薬はありません。
また、副作用と行っても普遍的にも望ましい「副作用」というものもあり得ます。関節リウマチ:RAで通常持続的に使用されるNsAIDs:非ステロイド系抗炎症薬(いわゆる鎮痛解熱剤;痛み止め)では、アルツハイマー型認知症に発症を予防する副?作用があるのでは?ともいわれています。

今日の記事では、フルバスタチンという高脂血症治療剤(コレステロールの薬といったほうがいいかもしれません)が、脳梗塞後の記憶障害に対して効くのでは?とのことです。ラットでの実験レベルでのはなしですが.....

脳梗塞の記憶障害に 高脂血症治療薬有効 阪大大学院チーム解明(産經新聞)

『高脂血症の治療薬として使用されているフルバスタチンに、脳梗塞(こうそく)に伴う記憶障害の症状を緩和させる働きがあることを、大阪大大学院医学系研究科の森下竜一教授(臨床遺伝子治療学)らのチームが解明した。ラットを使った実験では、脳の血管や神経の回復も確認された。日本人の死因の上位を占める脳梗塞の画期的な治療薬となる可能性が出てきた。
 森下教授らは脳梗塞の患者と同じ症状で実験するため、人工的に脳梗塞の状態にしたラットにフルバスタチンを3カ月間投与。その後、避難台を設置した水槽で泳がせ、避難台の場所を覚えさせる実験を実施した。
 避難台に到達するスピードを計測したところ、フルバスタチンを投与したラットは4日間で到達時間を約15秒短縮したが、投与しなかったラットはほとんど短縮できず、投与したラットが避難台の場所を記憶するなど、学習能力を回復していることが分かった。
 また、2種類のラットの脳を摘出して調べたところ、フルバスタチンを投与したラットは、脳梗塞で減少した脳の血管の数が正常に近い状態に戻ったほか、脳神経も再構築されたという。
 フルバスタチンは悪玉コレステロール値を下げる薬として広く使用されているが、森下教授らはその抗酸化作用の強さに注目。森下教授は「実用化までさらに臨床実験を進める必要はあるが、脳梗塞に有効な治療薬となるだろう。認知症の改善効果も期待される」と話している。6〜7日に広島市で開かれる「第25回日本認知症学会学術集会」で、今回の研究結果を紹介する。』

これで、フルバスタチンは売れ筋となるのでしょうか??

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2006年10月 4日 (水)

生体腎移植にまつわる報道

2006年10月4日
一日、更新できませんでした。少し天候は下り坂です。急激な気温の低下から、気管支喘息の児の入院が増えています。

さて、ある病院で行われた「生体腎移植」について、臓器売買の可能性が指摘されています。日本では献腎(死体腎)移植は例数が極端に少なく、血縁間における「生体腎移植」が相当数行われていると考えられます。特に、小児で末期腎不全となり透析導入された患者さんは、両親のうちどちらかから腎臓を移植することも多いのではないかと思われます。移植の結果、免疫抑制剤の内服を続けなければならないことや、免疫抑制に関連した感染症の発生などもありますが、透析に比べQOL(Quality of life)は格段に良好です。

血縁のある親→子間の生体腎移植は臓器売買とは全然かけ離れた存在と考えます。そこには、私利私欲はほとんど関係せず、子供の窮状を「何とかしたい」という気持ちがあるだけのようにも感じます。過熱した報道では、ときに「生体腎移植→汚い」とでも感じさせるような記事もあるように思いますが...生体腎移植には別な面もあるということを理解していただきたいと思います。

読売新聞の記事です。

『愛媛県宇和島市の総合病院を舞台にした患者側と臓器提供者(ドナー)による臓器売買事件で、国内の生体腎移植をめぐり、ドナーを「親族」に限定した日本移植学会倫理指針の“網”を逃れるため、両者の関係を偽装したりする実態が、患者らのカウンセリングにあたってきた医師の証言でわかった。
 手術前に患者がドナーと偽装結婚する例もあり、病院側は学会指針より厳しい独自規定を設け、自衛を図っている。
 証言したのは、東京女子医大腎臓病総合医療センターで35年間にわたり腎移植患者らのカウンセリングを担当してきた精神科医、春木繁一さん(65)(松江市)。
 偽装結婚があったのは約10年前で、夫婦は腎臓移植を控えた中年女性と、ドナーになる予定だった「夫」。手術前のカウンセリングの際、夫婦の態度に疑問を抱いた春木医師が、夫婦と繰り返し面談を重ねていたところ、女性の前夫から「2人は偽装夫婦」と“告発”する手紙が届いた。』

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2006年10月 2日 (月)

悲しい出来事

2006年10月2日 曇りのち晴れ
悲しい出来事がネット上で繰り広げられています。このブログは、小児科医の本当の声が聞けるものの一つでした。ブロガーは私からみてもかなりの凄腕の小児科医であると思います。(あくまでブログ上の情報からですが...)

一部の辛辣な言葉使いはありましたが、それはそのブロガーのやり方であり、一つの表現方法であったと考えます。悲しい出来事です。世の中にはいろんな方がいるのですね.....

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2006年10月 1日 (日)

机上の論理

2006年10月1日 雨
久しぶりに雨でした。明日から、2人体制に移行です。

さて、眠らない医者の人生探求劇場・・・・(薬はやってません):何だろう?この京大教授は?というブログの記事を読みました。

このエントリーで紹介されている記事は、現場の認識と余りにかけ離れているように感じます。拙ブログ:医師は不足しているでも取り上げましたが、日本はOECD加盟国の中でほぼ最低レベルの人口あたり医師数を示しています。そして、提供する医療のレベルは、その一つの指標と考えられる平均寿命や乳児死亡率などから考えて、世界でもトップクラスにあると考えられます。また、病院の1ベッドあたりの職員数はアメリカの約5分の1とされており、いかにその現場が忙しく、そしてギリギリの効率で回っているのか?を垣間みることができると思います。

机上での論理は、時に「危うい」と感じます。現場を見てほしい!心底、そう思います。

闘論:医師不足の理由 西村周三氏/本田宏氏(毎日新聞)

『地方の公立病院や産婦人科など勤務が厳しい診療科で「医師不足で、満足な医療ができない」との悲鳴が相次いでいる。ただ、医師は年間3500人以上も増えている。医師不足の根源的な原因は、絶対数が足りないせいなのか、それとも都市部や特定の診療科に偏っているせいなのか。専門家2人に聞いた。(題字は書家・貞政少登氏)
==============
 ◇「偏在」こそが問題 病院経営改革も必要−−京大教授・西村周三氏
 医師の需給を考える際、最も注目すべき問題は「偏在」だ。東京、大阪などの大都市には十分な医師がいるが、地方の公立病院は必要数を確保できない。産婦人科や小児科など特定の科の医師の不足も目立つ。
 日本の人口当たりの医師数は、OECD(経済協力開発機構)加盟国の平均より少ないが、医師と看護師など他の医療職との仕事の分担は国によって異なり、この比較だけで日本の医師が足りないとは言えない。日本の医師総数は年約1・6%の割合で増えているが、どう増やすかには科学的根拠が必要だ。
 英米では、どんな病気が増えているかや医療技術の進歩に伴う各診療科の勤務時間の変化などを、かなり詳しく分析し、医師の需給予測をしている。一方、日本は旧厚生省の検討委員会が76年、「2025年には医師が1割程度過剰になる」と予測。医学部の定員削減などが始まった。
 しかし、推計は粗いものだった。高齢化社会の到来や患者ニーズの変化を考慮していなかった。勤務が過酷な病院や診療科を若手医師が避けたり、結婚や育児との両立に悩む女性医師が増えたことも想定外で、現在の偏在につながった。
 いまこそ、国は地域性や医療技術の進歩も踏まえた緻密(ちみつ)な予測をし、偏在を解消しなければならない。
 医学教育では、「どこで働くどんな医師を育成するか」という視点が不可欠だ。政府は、医師不足が深刻な10県の大学医学部の定員増を認めたが、定数だけ増やしても根本的解決にならない。地方の大学の医学生が、必ずしも地方にとどまるわけではないからだ。
 まず、国・自治体と大学が十分に協議し、地域の医療ニーズを分析して、育成すべき医師像や数、診療科の配置を検討すべきだ。
 病院経営の改革も欠かせない。勤務医は、忙しい診療科でも、そうでなくても給料があまり変わらない。こうした不合理な報酬体系を見直し、忙しい診療科の医師には勤務に応じた給料を支払い、不公平感をなくしていけば、忙しい科への医師の誘導も可能になる。
 医師不足が深刻な全国の公立病院では、報酬体系や医師間の役割分担を抜本的に見直すため、条例で病院長に一定の裁量権を与えることも、解決の一手になる。【構成・大場あい】
 ◇絶対数抑制が主因 学部定員5割増急務−−済生会栗橋病院副院長・本田宏氏
 1980年代以降、日本の医療行政は医療費削減が最優先になり、全国の医師数はカネの観点から検討され、医師数抑制が当然の流れとなった。この政策が現在の医師不足を生んだ。つまり、日本の医師は絶対数が不足しているのであって、「偏在が原因」というのは事実誤認だ。日本の医師数は約26万人だが、OECD加盟国の人口当たり医師数の平均にあてはめればまだ12万人少ない。全都道府県がOECD平均に満たず、どこへ行っても医師が足りないのが実態だ。
 日本の医師の過重労働ぶりも示したい。日本の医師1人当たりの年間外来対応数は8000件以上、OECD平均は約2500件だ。日本の医師の平均労働時間は、59歳まで週60時間を超えているが、欧米で週60時間を超える年代はない。この状況で、なぜ、「OECD平均より医師数が少なくていい」と言えるのか。
 医師になって17年目の女性からの年賀状に、「今年の目標は、精も根も尽き果てる働き方をせずとも安全な医療を提供できること」とあった。現場の医師は、自分の健康や金もうけではなく、過労による医療事故を一番恐れているのだ。
 さらに、医療の高度化によって治療や投薬が複雑になり、複数の専門医が一人の患者に対応することが求められている。団塊の世代が高齢化すれば、受診者数も爆発的に増える。今の態勢のままでは、適切な医療を受けられない「医療難民」だらけになる。
 だが、実態を知らない患者は「高級ホテル」のような医療を求める。「ビジネスホテル」の戦力しかないのに、だ。私は外科医になって28年、家族ではなく患者最優先で生きてきた。女性医師の中には、結婚をあきらめた者も多い。そこまで頑張れない医師が現場を離れ、開業医や非常勤医になる「立ち去り型サボタージュ」を起こし始めた。
 問題は、この現状が国の政策に生かされていないことだ。世界は、安全な医療のため医師を増やしているのに、日本だけが背を向けていいのか。医学部定員を現在より50%増やし、GDP(国内総生産)比で8%の国全体の医療費支出を主要7カ国(G7)並みの10%へ引き上げることを求めたい。今、対策を取らねば、一番不幸になるのは国民だ。【構成・永山悦子】
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 ■人物略歴
 ◇にしむら・しゅうぞう
 京大経済学部卒。86年から同学部教授。副学長。医療経済学専攻。61歳。
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 ■人物略歴
 ◇ほんだ・ひろし
 弘前大医学部卒。89年から済生会栗橋病院外科部長、01年から現職。52歳。
毎日新聞 2006年9月25日 東京朝刊』

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