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2006年9月18日 (月)

医療訴訟と鑑定医

2006年9月18日 曇りのち雨
台風は通り過ぎましたが、午後より雨になりました。今日は一日freeです。が、先ほど感染性腸炎と思われる患者さんが入院。診察と指示をしてきました。

さて、拙ブログ:大野事件の続きには多くのコメントを寄せていただき、ありがとうございますした。一部、私の言葉が足りなかった部分がありましたので、ここで補足させていただきます。

福島県立大野病院での産婦人科医逮捕事件は、これまでの報道及び種々の情報収集から考えると、業務上過失致死、及び医師法違反により、逮捕拘留されたことについては不当であったのではないかと考えています。そして、私が、このブログを書き始めようと考えたきっかけは、「この事件が起こったから」にほかなりません。

このブログの冒頭、2つ目の記事に医療の限界という拙文がありますが、この中で
『医療上のミスを隠蔽したり、功名心にとりつかれた末に起こった事故や現時点での医療のレベルに著しく遅れた処置によって起こったできごとは許すべきではなく、当事者に厳正な処分が必要と感じますが...臨床医が『患者さんのために精一杯がんばったのだけれども、結果として亡くなられてしまった』というような事象に対して、刑事罰をもってのぞむのは余りに慈悲のないことだと思います。』と述べました。
一定のレベルをもった医師が、「これはあんまりだ。」「この事故には医療側の過失がある。」と判断するものについては、法的に制裁が待っている。これは当たり前のことですし、そうすべきであると考えています。

鑑定医については、どういう経緯で選ばれるのか?については、余り詳しくはないのですが...鑑定医と協力医について考えたことがあり、拙ブログ:協力医について拙ブログ:医療崩壊に対する対策2にいろいろな議論があります。

その中のコメントの一つモトケンさま(元検事で現在弁護士をされています)のコメントを引用させていただきます....
『法律家というものは、他の専門分野についてはかなり権威に弱いです。
 というか権威を頼る傾向があると言ってもいいと思います。
 つまり、医療過誤問題については権威のある(ありそうな、または、あるように見える)医師の見解を重視することになります。
 医学または医療に無知な検察官としては権威しか判断基準がないとも言えます。
 また、これは本来客観義務を負っている検察官としてはとてもまずいことなのですが、被疑者寄りの意見は信用しない傾向があります。
 私も年を取ったせいか、最近の若い検事には特にその傾向が感じられます。
 臨床の場での過失の有無・程度は臨床の実情・実態を前提にして判断すべきであるのに、ご指摘のように臨床と乖離した「権威のある」判断を示された場合は、検察の判断が単に臨床の感覚とずれるだけでなく、誤った、つまり過失を否定すべきであるのに肯定する判断をしてしまう蓋然性が高くなってしまいます。
 とりあえずこれに対する対処としては、被疑者の立場に立たされた医師を応援するために、極めて多忙とは思いますが、多くの臨床医が意見書を作成して検察に提出することが考えられます。
 しかし多くの意見書が集まったとしても、上述の理由により1通の名誉教授の肩書きのある鑑定書には負けるかもしれません。

 元検の立場としては、現役の検察官が現場の声に耳を傾ける謙虚さと自らの判断の影響力を洞察する視野の広さを持つことを祈っております。』
というコメントから考えて、やはり大学教授等の社会的に権威がある医師に依頼することが多い様です。

また、東海地方の医事紛争を手がけている弁護士さんは、どうも上越地方の大学教授?に鑑定医を依頼することが多いのではとの情報もあります。

ここからは、私見でありますが....我々、一般臨床医が日常行っている診療レベルで「過失あり」「過失なし」の判断を下すべきであると思っています。クーデルムーデルさまの経験された一件は、まさに一般の診療レベルで判断する事例であると思っておりますが....鑑定となると、記名を行い裁判で有効となる文書を書く行為です。いろいろな影響を考えると、難しい決断を要すると考えます。
記名なしで、コメントを寄せる医師は鑑定医に対して協力医と呼ばれることが多い様ですが、これも相当不足している様です。一般臨床をしている医師が多くこれに参加して、一定のレベルの判定を下すことができるようになれば現状を打開できるかもしれません。

すいません、長文となりました。^ ^;

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コメント

befu先生、ありがとうございました。やはり自分の中にある感覚と相違なかったのですね。裁判に当たる人にとって誰に重きを置くかは当然肩書きで決められることなのでしょう。
その他に協力医というものがあるとは知りませんでした。昨今の医療訴訟で実際の医療現場に則さない意見が出された時に、おかしいと声が挙がっているのも一つの協力医ですね。ドクターズブログも盛況ですから、そういったところから声を出していくのもこれからはよいのかもしれませんね。

投稿: クーデルムーデル | 2006年9月19日 (火) 16時14分

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