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2006年9月18日 (月)

帝切についての記事

本日2稿目です。

朝日新聞の記事です。
帝王切開、なぜ増える 20年で1.6倍に(朝日新聞)

『秋篠宮妃紀子さまが6日、帝王切開で悠仁(ひさひと)さまを出産した。厚生労働省の抽出調査に基づく推計では、この20年あまりで国内の帝王切開件数は約1.6倍に増えた。全体のお産数は約2割減っており、帝王切開が占める割合は7%から15%に上がった。背景には、初産の高齢化でリスクの高いお産が増える一方、経膣(けいちつ)分娩(ぶんべん)(いわゆる自然分娩)での予期せぬ事態を避けたい医療者側の思惑があるようだ。
 千葉県の主婦細田恭子さん(41)は3人の女の子を帝王切開で産んだ。長女と次女のときはいずれも経膣分娩の予定だったが、陣痛が弱いなどの事情で急きょ切り替えられた。「事前に調べる時間もなく、準備も知識もなかった」という。
 帝王切開には、紀子さまのように母子の状態によって計画的に行う場合と、経膣分娩に時間がかかりすぎるなどして急きょ行われる場合がある。母親の意識を残す局所麻酔が多く、最近は術後の見た目を考えて、おなかを横に10センチほど切るケースが増えている。入院は10日から2週間程度。5日ほどで退院する経膣分娩よりは長くかかる。
 部分前置胎盤や骨盤位(逆子)、以前に帝王切開で出産している場合の判断は、医師によって異なる。
 聖路加国際病院(東京都中央区)では、入院が長くなる、出血が多ければ輸血が必要、次のお産も帝王切開になる率が高まるといったリスクを説明するが、それでも帝王切開を希望する母親が増えているという。
 厚労省のデータによると、02年は国内のお産の約15%が帝王切開だ。元愛育病院長で主婦会館クリニック(東京都千代田区)所長の堀口貞夫さんは「6〜7人に1人のお母さんはおなかに傷がある。ちょっと異常な事態」と心配する。
 高齢出産などリスクの高いお産が増えているのも事実だが、お産をめぐる医療訴訟の増加や、産科医やお産を扱う医療機関の減少で不確定要素が多い経膣分娩を避ける傾向が強くなっていることも原因だという。米国立保険統計センターの統計(03年)によると、訴訟社会米国での帝王切開率は27.5%に達している。
 麻酔など医療技術の進歩で帝王切開の安全性は確実に増した。帝王切開は「管理できるお産」という考えは、医師だけでなく、親の側でも増えている。「裁判で『帝王切開をしていれば事故は防げた』という判例が増えれば、経膣分娩を怖がる医師がいても一概に責められない」と堀口さん。
 日赤医療センター(東京都渋谷区)の杉本充弘産科部長は「逆子の経膣分娩などは医師に経験と技量が必要だ。お産が減り、熟達した医師が減って、お産の現場での医師教育も出来なくなっている」と指摘する。

 「増加は好ましくないが、必要なケースもある。その場合、お母さんの心に傷を残さないことが重要」と杉本さんはいう。同センターでは、母子に危険が無ければ、帝王切開で取り上げた赤ちゃんはすぐに母親に抱かせる。夫が手術に立ち会うこともできる。杉本さんが担当する帝王切開の8割は夫立ち会いという。「帝王切開は第二の産道。ただ安全なだけでなく、よりよい帝王切開をする責任が医療側にもある」
 冒頭の細田さんは、長女のお産後に「普通の女性ができること(経膣分娩)ができなかった」と涙がこぼれたという。知人に「産道を通っていない子は我慢強くないらしい」と言われたことをホームページ「くもといっしょに」に書き込むと、大きな反響があった。
 ホームページは、今ではお産の情報が飛び交う交流の場になっている。「帝王切開が増えて欲しいとは思わないけれど、帝王切開だからといって、お母さんが頑張り足りなかったなんて思わないでほしい」と細田さんはいう。』

最近はどうしてもマスコミから流れる情報に過敏となっている様です。
「初産の高齢化でリスクの高いお産が増える一方、経膣(けいちつ)分娩(ぶんべん)(いわゆる自然分娩)での予期せぬ事態を避けたい医療者側の思惑があるようだ。」という部分には朝日新聞の「悪意」を感じてしまいます。緊急での帝王切開が増えることにより、救われている母児は恐らく20年前よりも多いはずです。(私見ですが...)

「母親の意識を残す局所麻酔が多く、」という部分は、ちょっと新聞側の理解が足りていないかもしれません。全身麻酔で行えば、お母さんの意識はなくなり、ストレスは減るかもしれませんが...産まれた赤ちゃんはお母さんに使用された全身麻酔剤が胎盤を通して移行するためsleeping baby(眠ったように息をしない赤ちゃん)となる可能性があります。呼吸がなければ、即座に新生児科医が気管内挿管を赤ちゃんに行うことになります。ですから、帝王切開の時には局所麻酔や腰椎麻酔が多いのだと理解しています。(もちろん、母体の状況によっては全身麻酔に移行せざるを得ないことはあります。)

「帝王切開だからといって、お母さんが頑張り足りなかったなんて思わないでほしい」とのことですが、現在はそういうことは少ないのでは...私は30ウん年前に経膣分娩で出生しましたが、かなりの難産で吸引分娩でした。しばらく啼泣がなく、いわゆる新生児仮死であったとのことです。私の父は、難産であったことから出生前に選択的帝王切開をしてくれと申し入れしていたそうで、ちょっとトラブルとなった様です。結構、いなかで30ウん年前にそのような認識ですから....母児ともに健康であれば、それが一番であると感じます。今も一人、妻のお腹の中で赤ちゃんが育っていますが...何よりも、母児ともに無事であってほしいと思う日々です。

さて、この記事の中で問題となっている帝王切開率について、日本15%、訴訟社会のアメリカ27.5%、訴訟社会かどうかはわからない大韓民国は38.5%(2004年)だったようです。→朝鮮日報記事

追記です。

記事の中で、『「帝王切開だからといって、お母さんが頑張り足りなかったなんて思わないでほしい」とのことですが、現在はそういうことは少ないのでは』という記述がありますが...これは、現在でも実際に家族内の感情として問題となることがある様です。「頑張りきれなかったから帝王切開になった」という誤った認識をどうか持たないでほしいと願います。そして、「帝王切開によって母児とも無事で分娩を乗り越えられたのだ」という、positiveな気持ちに変えていければいいな、と思います。

ある産婦人科医のひとりごと:帝王切開、なぜ増える 20年で1.6倍に (朝日新聞)にも参考になる記事があります。

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