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2006年9月 6日 (水)

ネフローゼ症候群_腎2

ネフローゼ症候群の続きです。

前回は腎臓の大きな目で見た解剖と機能について説明しました。一つの腎臓に尿を生成する単位→ネフロンが約100万個あるということでした。そして、一つのネフロンに一つの糸球体(尿のもと原尿を血液から濾過する装置)があります。そして、ネフローゼ症候群は、その糸球体が病変の首座となります。

Kidney2

左の図は、その糸球体を模式図で示したものです。輸入再動脈から濾過される血液は糸球体(血管のかたまり)に入り、輸出再動脈より出て行きます。糸球体からは絶えず、原尿が濾過されています。そのスピードは前の記事でも示しましたが、成人の腎臓では実に180ℓ/日=125ml/分という大きなものです。
そして、矢印の先の写真は「電子顕微鏡」という、通常の「光学顕微鏡」よりも、もっともっと細かい部分まで見える顕微鏡によって撮られた、糸球体の表面(走査電子顕微鏡)、糸球体の壁の切片の写真です。糸球体の表面には、凸凹がありますが、これは上皮細胞という特殊な細胞の「足」が複雑に絡み合っている状態を表しています。切片の写真では、US:尿腔(つまり原尿が濾し出される空間)、GBM:糸球体基底膜(尿腔と血管腔を分けている膜)、E:上皮細胞、End:内皮細胞(血管腔をうらうちする細胞)、Cap:血管腔という略語で表されています。

そして、原尿が血管腔から尿腔に濾し出されるわけですが、通常は血液中のタンパク質は、ほとんど尿腔へ濾し出されることはないのです。(ほとんどという意味は、一部の小さな分子量のタンパク質は通ってしまうからです。)そして、ネフローゼ症候群の児は、この写真のうちE:上皮細胞の足のあいだに形成される「スリット膜」やGBM:糸球体基底膜に障害があり、尿腔へ血液の大事なタンパク質が漏れ出てしまうというのが病態の基本です。

どうして、そんなことが起こるのか?全てが解っているわけではありませんが、次回には、そのお話をしたいと思います。

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