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2006年9月23日 (土)

修学旅行での災難...

2006年9月23日 晴れ
清々しい天候でした。明日が、地域の輪番となっており、今日は午前中に入院患者さんの回診。その後は、少し足を伸ばしてきました。→次の記事で紹介します。

さて、修学旅行で中国に渡航した際にO157:H7による集団感染が発生しております。
唐津の高校食中毒:ノロウイルスやO157を検出 /佐賀(毎日新聞)

『中国に修学旅行に行った唐津保健福祉事務所管内の県立高校の生徒らに集団食中毒のような症状が出た問題で、県は22日、生徒らが病原性大腸菌O157やノロウイルスなどに感染していたと発表した。下痢などの発症者は73人になった。
 健康増進課によると、病原菌を検出したのは▽O157が12人▽ノロウイルス3人▽腸管毒素原性大腸菌1人。22日現在、8人が通院しているが、全員快方に向かっているという。』

全員症状は快方に向かっているとのことで、何よりであると思います。海外旅行中に下痢を伴う割合は、渡航先を特定しない場合は5割程度、渡航先を発展途上国に限った場合は7〜8割程度といわれています。これらの下痢症状を、特に旅行者下痢といいますが、そのうち2割程度をいわゆる感染症が占めているとされています。(参考資料1)

また、旅行者下痢を起こす原因菌は「帰国時に下痢をしていた例からの分離菌はETEC(毒素原性大腸菌)が約45%,次いでサルモネラ(11%),腸炎ビブリオ,キヤンピロバクタ一,プレジオモナス,赤痢菌などである。旅行者下痢症既往者ではサルモネラが約27%,次いで腸炎ビブリオ,キヤンピロバクタ一,プレジオモナス,ETECなどの順となっている。欧米の研究者の報告でも急性期患者ではETECが優位を占めている。」(参考資料2)とされています。

旅行中の注意としては...「発展途上国では不完全な上水設備,水道管の破損など水道水が衛生学的に保証できない。生水と氷は不可,必ず1分以上煮沸したものを飲む。高地では沸点が下がるが80度Cでも1分間加熱で下痢の起因微生物はすべて死ぬ。煮沸した水は自然に冷却し,歯磨きにも、その水を使う。」ということで、結構、水が問題となる様です。今回の事件で水や食物などのうち何が原因であったかは定かではありません。

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コメント

リスク多いですよね。昔、NEJMにソウルオリンピックに行くのに日本脳炎ワクチンをうってみに行くべきかという論説があり、日本も含まれていてムギュって思ったんですけど、HibもHAVも予防接種せずに中国に行こうというリスクを教育委員会は判らないでしょうね。おまけに、日本脳炎ウイルスはとまっちゃっているし(高校生は構わないか?)
中国が鎖国しているうちに高校を了えて良かった。

投稿: sionoiti | 2006年9月24日 (日) 14時32分

せっかく旅行に行ったのにかわいそうですねー。
こちらもTBさせていただきました。

ところで、O157も、腸管毒素原性大腸菌のうちの一つの様な気がするんですが。
わざと分けて書いてあるんですかねー。

投稿: Dr. I | 2006年9月24日 (日) 17時27分

こんばんは
shionoitiさま

日本の予防接種行政は明らかに遅れています。先進国ではOPV(oral polio vaccine)はVAPP(vaccine associated paralytic polio)のため、IPV(inactivated (or injection) polio vaccine)に変更になっています。

また、Hib, Pneumococcus, HAVに関しても遅れをとっているといわざるを得ません。水痘ワクチンも定期接種になっていないなどなど、現時点では政策自体に問題があるのでは?と考えています。

>HibもHAVも予防接種せずに中国に行こうというリスクを教育委員会は判らないでしょうね。おまけに、日本脳炎ウイルスはとまっちゃっているし(高校生は構わないか?)

外国に渡航するというリスクは、なかなか浸透していない様です。野口英世の最期は美談ですが、よくよく考えるとそれだけのリスクが横たわっているということが見えるはずだと思いますが....

投稿: 管理人 | 2006年9月25日 (月) 21時47分

こんばんは
Dr. Iさま

コメントありがとうございます。

>せっかく旅行に行ったのにかわいそうですねー。
ホントかわいそーですね。

>O157も、腸管毒素原性大腸菌のうちの一つの様な気がするんですが。
これは、ちょっと調べました。

<特集>下痢原性大腸菌に定義についてまとめてありました。

ETEC:腸管毒素原性大腸菌は易熱性毒素(LT)または耐熱性毒素(ST)を産生する菌だということです。

また、VTEC:ベロ毒素産生大腸菌、或はEHEC:腸管出血性大腸菌と呼ばれるものは、その名のごとく、ベロ毒素(或は志賀毒素とも呼ばれる)を産生し、血性下痢やHUSなどを起こすものとされているようです。

同じ「毒素」と名前に付きますので、一緒のような気がしますが、どうも違う範疇に入る様です。

投稿: 管理人 | 2006年9月25日 (月) 21時58分

はじめまして。Dr. Iのページからやってきました。

他のコメントで指摘されている通り、中国に修学旅行に行くことのリスクを理解していなかったのは大きな問題ですね。海外で日本と同じ衛生状態を期待することは不可能です。

さらに中国や韓国では国を挙げて歴史教育を通じて、嫌日感情を国民に植え付けています。「日本からの修学旅行客に不衛生な食事を提供して困らせてやろう。」と思いつく人間がいても不思議ではありません。うがったものの見方かもしれませんが・・・。

せっかくの修学旅行で食中毒とは気の毒な高校生ですね。でも食中毒になってしまったついでに、食中毒の原因と予防、途上国に旅行するときの注意点について勉強する機会にしてほしいです。将来、旅行をするときにきっと役に立つと思います。頑張れ、高校生!

投稿: kitty | 2006年10月 8日 (日) 05時55分

こんにちは
kittyさま

コメントありがとうございます。

>せっかくの修学旅行で食中毒とは気の毒な高校生ですね。でも食中毒になってしまったついでに、食中毒の原因と予防、途上国に旅行するときの注意点について勉強する機会にしてほしいです。

まったくその通りと思います。辛い思い出でしょうが、衛生状況の勉強の糧としていただければ幸いですね....

投稿: 管理人 | 2006年10月 9日 (月) 15時54分

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