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2006年9月29日 (金)

ネフローゼ症候群_疾患分類

2006年9月29日 晴れ
清々しい天候が続いています。

しばらく、お休みしていたネフローゼ症候群の記事ですが、今日から再開してみたいと思います。腎臓病の分類はいくつかのカテゴリーがあります。一つは組織の分類です。これは、腎臓の一部を採ってきて顕微鏡でのぞいて画像で診断するものです。腎臓の一部を採る方法は、腎生検といって現在では腎臓病の治療になくてはならない診断法となっています。
また、薬の効き具合から分類する方法もあります。発症する時期により分類する方法、腎臓自体に病気のもとがあるのか?体の方に問題があるのかなども分類する方法になります。以上の方法を用いて、小児のネフローゼも分類されてきました。

大きく分けて、小児期に発症するネフローゼ症候群は1.特発性(特発性とは体の方に原因となるような病気が見当たらず、ネフローゼ症候群が起こってくるもの。)、2.症候性(体の方に原因となる病気があるもの)、3.先天性(生後3ヶ月以内に発症するもの)などに分類されます。
小児期では、1.特発性が約90%を占めています。2.症候性はアレルギー性紫斑病(Schonlein-Henoch紫斑病)や全身性エリテマトーデスに伴う腎障害でネフローゼに至ったものが多く、それぞれ紫斑病性腎炎、ループス腎炎と呼ばれ約10%を占めます。3.先天性ネフローゼ症候群は非常に稀な疾患で、多くのものがフィンランド型と呼ばれる組織型を示します。

そして、一番多い特発性ネフローゼ症候群は組織によって、表のような分布を示します。

Classification

小児の中で一番多いのは、「微少変化群」で約83%を占めていますね。これは、光学顕微鏡(つまり通常の顕微鏡です)でみると、腎臓の組織の中にはほとんど変化を見いだせないということです。ただ、変化が全くないわけではなく、電子顕微鏡というもって小さな部分まで見える顕微鏡を使用すると、糸球体の尿腔側にある上皮細胞の足突起が癒合(くっついている)しているように見えることがあります。

薬に対する反応性で分類するものは、ステロイド感受性、ステロイド抵抗性などがあります。(もっと詳しく、頻回再発型やステロイド依存型などと分類することができますが、それはまた今度ということにします。)ステロイド感受性というものは、ネフローゼ症候群に対してプレドニゾロンという副腎皮質ステロイドという薬を2mg/kg/日で連日投与して4週間以内に寛解(尿蛋白が消えること)するものを指すとされています。

小児のネフローゼ症候群のうち90%はステロイド感受性とされています。そして、その組織は微少変化群が大半を占めるとされています。さらに、微少変化群でステロイドの効きがよいネフローゼは再発に苦しむことはありますが、年齢が上がるにつれ自然に再発も少なくなり、腎不全になって透析をしなければいけないということはほとんどありません。

今日はここまでとします。次回は微少変化型ネフローゼについてまとめたいと思います。

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コメント

だいぶ昔、異常に子宮底の大きい妊婦がいて、胎児も羊水量も異常ないのになぜだろうと思っていたら実は先天性ネフローゼで巨大胎盤だったという例を経験したことがあります。それまでそんな病気があることさえ知らなかったのでびっくりでした。転院してから疾患が明らかになったので組織形はわかりません。フィンランド型かもしれませんが。

投稿: 山口(産婦人科) | 2006年9月30日 (土) 15時20分

山口(産婦人科)さま
コメントありがとうございます。

先天性ネフローゼ症候群はその診断基準の中に出生体重の25%以上を占める胎盤重量(巨大胎盤)という項目があります。恐らく、胎生期より始まる蛋白漏出により起こるのであると考えられています。

病理学的には、生後3から8ヶ月時に特徴的な尿細管の嚢胞状拡大が認めらるとされますが、これは先天性ネフローゼに特異的ではないとされ、現在ではネフリンといわれる腎糸球体のスリット膜形成に関わるとされる蛋白の遺伝子NPHS1に変異がないか?を調べる様です。

非常に稀な疾患ですので、私も経験はありません。

投稿: 管理人 | 2006年9月30日 (土) 20時56分

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