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2006年9月 8日 (金)

ネフローゼ症候群_腎3

ネフローゼ症候群の続きです。

前回までで、腎の解剖、ネフロンの中の糸球体と糸球体の壁のところを勉強しました。ネフローゼ症候群では糸球体の壁の部分が病態に大きく関与しています。

Photo_3

左の図は、マウスの糸球体の壁を電子顕微鏡でのぞいたものです。糸球体の壁は、内側から血管腔→内皮細胞→基底膜→上皮細胞→尿腔の順に並んでいます。内皮細胞はあまり、蛋白が漏れるのを防止する力はないものと考えられている様です...(しかし、一部の学説では「さにあらず」とも)、基底膜はコラーゲンにより細かな網目を形成しており、網目より大きな分子をせき止めます。(これを分子のサイズにより保持することから「サイズバリア」ともいいます。)また、基底膜はそれ自体が陰性に荷電しており(つまりマイナスの電気を帯びていること)、血清蛋白質の中の重要な成分であるアルブミンなどの陰性に荷電した蛋白を電気的にせき止めます。これを、分子の大きさでせき止めるサイズバリアに対して、「チャージバリア」とも呼びます。
上皮細胞はその表面が陰性に荷電しており、チャージバリアの役目を果たします。また、上皮細胞の足の間に形成されるスリット膜はジッパーのような構造をしていて、非常に小さな穴が開いています。これがサイズバリアとしての役目を果たしているとされています。スリット膜の構成成分のうちの一つでネフリンという蛋白がありますが、これは生後すぐから多量の蛋白尿を示し、腎不全へと進行するフィンランド型先天性ネフローゼとの関連があるとされています。

Slit_1

ちょっと、専門的すぎる話となってきてしまいました。少し話を戻しますが、成人の1日の糸球体濾過量は180ℓです。いままで、説明してきた「蛋白をせき止める機構」がなければ、計算上1日に10,000g以上の蛋白が漏れ出ることとなります。3.5g/日以上がネフローゼの基準ですので、如何に糸球体の壁が頑張っているか?がわかると思います。この、蛋白をせき止める機構が様々な原因で破綻した場合にネフローゼ症候群が起こります。

次回からは、実際の病気について説明します。

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コメント

はじめまして。
フィンランド型先天性ネフローゼ症候群の子の親です。
知名度が皆無に近いこの病名を、専門誌以外で見つけて、ちょっと嬉しくなりましたので、ご挨拶に来ました。
今、小学校2年生。CAPDを始めて3年9ヶ月、献腎待機中です。

投稿: いさぴょん | 2006年9月27日 (水) 09時45分

いさぴょん さま
コメントありがとうございます。

フィンランド型先天性ネフローゼ症候群の、お子様の親御さんなのですね。私の拙い記事にレスをいただきまして、ありがとうございます。

自宅でのCAPDはいろいろと大変ですね...腎移植が早期にできますよう祈っております。頑張ってください。

最近は、時流の話題に乗っておりまして、ネフローゼについては止まっておりますが、疾患について数稿でまとめてみたいと考えております。また、お寄りください。

投稿: 管理人 | 2006年9月27日 (水) 22時07分

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