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2006年8月11日 (金)

厚生労働省の大なた

2006年8月11日 晴れのち激しい雷雨
今日の雷さんにはほんと、ヤラレました。まずは、日中の外来時間内の15分以上にわたる停電。瞬間的に停電が数回。そして、病院の避雷針と思われる部分への落雷...おかげで、院内の電話が故障。オーダリングシステムという医師が検査や投薬を指示するコンピュータシステムと医事会計のシステムとの間の連携が壊れ、5時以降にそれぞれサーバーの再起動を行わなければなりませんでした...。
でも、決定的にダメージを受けたのが、電話だけだったというのが救いかもしれません...。コンピュータがやられていたらと思うと「ぞっ」とします。

さて、今日は沖縄タイムスの社説から。「介護難民」を危ぐする

『「介護難民」という言葉が、にわかに現実味を帯びてきた。
 医療費削減のため政府が、療養病床の再編に大なたを振るおうとしているからだ。すでに七月から、これら病床の診療報酬が引き下げられ、閉院を余儀なくされる病院や退院を迫られる患者が出始めている。
 療養病床は、慢性の病気を抱えて長期に入院する高齢者のための病床だ。
現在、医療保険を使う医療型が二十五万床、介護保険を使う介護型が十三万床ある。
 厚生労働省は二〇一一年度末までに介護型を全廃し、医療型を十五万床に削減する方針を決定した。療養病床に入院できるのは、治療の必要性の高い患者に限られ、必要性の低い人たちは、自宅や介護保険の老人保健施設などに移ることになる。

 治療が終わった後も、家庭の事情などで入院し続ける「社会的入院」の解消に異論はない。しかし受け皿を用意しないままの再編は、患者や家族に負担を強いるもので、社会的入院の本質的解決にならない。
 県医師会の調査によると、県内の療養病床に入院している高齢者の半数が、介護施設や在宅への移行の対象という。
 共働き家庭が多く家族の介護力が低い、介護保険施設もいっぱいで受け入れ先が少ない、常時ヘルパーを利用する余裕がない、という現状を考えると不安が広がる。
 今回の療養病床の急激な削減は、財政を優先するあまり、拙速にみえる。地域の対応も追いついていない。
 もともと家庭の事情から入院している患者が多いのだから、在宅へ移すのは容易ではない。地域の中で、療養病床が果たした役割も見極めなければなるまい。

 少子化でますます弱まる家族の介護力を誰が、どう補うのか。「支援診療所」の充実など、在宅療養を応援する体制を整えなければ、行き場のないお年寄りが増えるだけだ。
 家族頼みでは解決しない。』

本当に「大なた」です。厚生労働省は医療費を削減するため、まずは介護保険で介護にかかる費用を切り分けました。介護で使える病床を認めました。しかし、最終的には医療の必要な療養病床を残し、介護目的の療養病床を全廃するという方針です。あぶれた方々は、在宅へという導きです。
記事の中でも触れていますが、共働きも増え、在宅の介護力は国が期待したほどのものではないかもしれません。昔のように、大家族の中でおじいちゃん、おばあちゃんがいるといった風景が理想的ではあると思いますが、現在は核家族化が進行し、各々の家族の事情というものも生じてきている様です。悲しいことですが、血縁の方々からも受け入れられないお年寄りも現実にはいるし、高齢者二人、あるいは独居で生活する方も増えています。そういった方々へのサポートはどうするのでしょうか?机上の論理だけでは、real worldは動いていかないと思います。

今日は、小児科とはちょっとかけ離れた話となってしまいました。

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コメント

こんにちは すぎと申します。
コメントをいただきありがとうございました。

介護の問題はすでにひとごとではなく、自分自身の身近な問題へと移ってきました。

難しい問題ですね。
時々介護疲れでの悲しいニュースもありますし、もう少し住みやすい制度が出てこないものかと思います。

また、勉強させていただきますね。

投稿: その症状!起きろ糖尿病予備軍 すぎ | 2006年8月12日 (土) 01時02分

医者の中では少数派になりますが、介護保険にあまり縁がない診療科ですので、詳しいとは言えませんが、介護保険の目的自体に無理があるとは常々感じていました。

是非の議論があろうとも、障害のある高齢者の介護は施設への流れは明白です。その流れに棹をさして、家で見るのを理想とするというのは、時計の針を逆に回すように見えて仕方がありません。

その流れに沿ってでしょうが、障害者を頑張って家で見るのを美化する話がしばしば持ち上げられますが、美談の影に、どれだけ介護に疲弊した話が転がっているかは誰でも想像がつきます。

こういう事こそ現場で苦労を重ねている人間の話を参考にするべきだと思うのですが、聞く耳は持たないというか、便利つんぼに終始するのですね。

投稿: Yosyan | 2006年8月12日 (土) 15時10分

こんばんは
すぎ さま

コメントありがとうございました。
これだけ、日本人の寿命が延びてきて、リタイヤした後の時間が長くなっています。中には、いろいろな病気のため生きていくためには相当の介護が必要な方々がでてきますね...

そういった方々をどうフォローしていくのか?が問題であると思います。もちろん、「介護予防」の考え方が必要ですが、現実には介護が必要な方々を100%なくすことは不可能であり、現在の状況では、介護が必要な方々の多くが施設介護を受けられているものと思います。

その部分を、「削ってしまおう」というのが厚生労働省の思惑です。今後、大きな社会問題となるのでは?と考えます。

投稿: befu | 2006年8月12日 (土) 21時17分

こんばんは
Yosyan先生

いつもコメントありがとうございます。
<こういう事こそ現場で苦労を重ねている人間の話を参考にするべきだと思うのですが、聞く耳は持たないというか、便利つんぼに終始するのですね。

そういうことですね。机上の論理を振りかざして、それを現実の世界に適用する。多分、恐ろしいとは思わないのでしょう彼らは.....

投稿: befu | 2006年8月12日 (土) 21時22分

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