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2006年8月24日 (木)

1人で再開...

2006年8月24日 晴れ
お盆の時期も過ぎ、帰省客の患者さんは遠のきました。マイコプラズマ肺炎と伝染性単核球症が流行中です。現在入院患者さんは3名。

産科医不足のため、休診となっていた隠岐の産科の話です。
隠岐病院に産婦人科医師1人着任(中国新聞)

『常勤の産婦人科医師が不在となっている島根県隠岐の島町の隠岐病院で、静岡県の産婦人科医師が常勤することになり二十三日、着任した。二十四日から週五日の外来診療を再開する。中止されている院内出産については、病院を運営している隠岐広域連合は「複数体制が望ましい」として再開は未定。
 着任したのは、静岡県御殿場市の病院に勤務していた船津雅幸さん(52)。報道などを通じて隠岐病院の状況を知り、今月一日、病院長に赴任を申し出た。十一月からは県立中央病院(出雲市)から複数の医師の派遣が決まっているため、任期は十月末まで。
 隠岐病院の産婦人科は常勤医の不在以降、県立中央病院の医師による週一日の外来診療としてきたが、週五日を通しての診療と、夜間の救急外来や入院に対応できるようになる。
 隠岐病院は常勤産婦人科医師が確保できなくなったため、四月中旬、院内出産への対応を断念。その後、県が新たに医師一人を確保し、十一月から複数の常勤医師の派遣を受けて再開するとしていた。妊婦は現在、本土に渡って出産している。
 隠岐広域連合は二十三日、医師派遣を前倒しし院内出産を早期に再開できるよう、県に要望した。』

出産(分娩)はいつ何時来るかわかりません。そのため、産科医師はいつでも病院に行ける様に拘束されます。胎児仮死徴候(注1)などの緊急帝王切開の適応の場合は、もうひとり産科医の先生が必要です。つまり、分娩を扱っている病院では実質2人が毎日拘束されている状態なのです。日本産科婦人科学会では、産科施設に最低限必要な産科医の数を3人と提言しています。これは、2人が拘束されて、やっと残りの一人が休めるといった状態だからであると聞いたことがあります。それほど、産科医の仕事は厳しいといえると思います。

(注1)お腹の中の赤ちゃんが何らかの原因で酸素不足に陥り、状態が悪くなった徴候。NSTという胎児心拍と母体の腹緊をモニターする方法で判断する。

さて、ここで52歳の産科医師の先生がひとりで着任されました。ひとりでは、分娩を扱うことは難しいでしょう。緊急時の対応を...とのことですが、これを突き詰めると24時間、365日病院のそばから離れられない、究極の拘束状態となります。
11月からは複数体制を組むとのことですが、前述のごとく、2人では不十分で、最低3人以上の規模でないと持続できる体制としては難しいのではないか?と考えてしまいます。

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コメント

この先生は12月に開業予定で、それまでの開き期間に隠岐赴任を申し出られたそうです。
二ヶ月間の期間限定ですね。
11月から県立病院の医師二人が赴任予定でしたので、それまでは週一度同じく県立病院から医師一人が順番で検診してつないでいます。

隠岐病院はこの医師の赴任にあわせて、複数医師にするため11月からの派遣を一人でいいから前倒しにして欲しいと要望していると記事にありました。

投稿: S | 2006年8月25日 (金) 08時02分

また取り上げられるでしょうが、横浜の事件も強烈ですね。直接的には横浜の産科に止めを刺すのは間違いありませんし、全国の産科の崩壊に拍車をかけるのも容易に予想がつきます。

投稿: Yosyan | 2006年8月25日 (金) 11時15分

こんにちは
S さま

貴重な情報をありがとうございました。この赴任された先生が、2ヶ月のあいだ無事に職責をまっとうされることを望みます。

投稿: befu | 2006年8月26日 (土) 10時11分

こんにちは
Yosyan先生

触れるのをよそうかな?とも思いましたが...次の記事にしております。

絶滅危惧種を乱獲しているようなものですね....(悲)

投稿: befu | 2006年8月26日 (土) 10時12分

地元の新聞では、たまたまこの医師の診療開始の日に隠岐に来ていた県知事と握手する写真が載っていました。

開業前の二ヶ月を離島の医療のために働いてくださる気持ちは素晴らしいと思うのですが、その記事の中に「県立病院からの医師派遣の前倒しを検討すると約束した」とあり、善意の申し出によって赴任の前倒しをこんなに簡単に約束する知事に驚きます。
現場にはちゃんと聞いているのでしょうか。
政治的パフォーマンスを感じてしまうのは、うがちすぎでしょうかね。

投稿: S | 2006年8月26日 (土) 11時41分

こんばんは
Sさま

コメントのお返事が遅くなり申し訳ありません。
このようなパフォーマンスは、特に次回の選挙が近くなると...頻度が高くなり、よりセンセーショナルなものとなる様です。次回の選挙はいつでしたっけ?

投稿: befu | 2006年8月28日 (月) 22時36分

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