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2006年7月25日 (火)

手術中の出来事?

2006年7月25日 晴れのち雨 
雷を伴って激しく降る....

昨日は、当直でした。外来が17時30分ごろに終了すると...院内のPHSが震え出しました。まずは、脳内出血で昏睡の高齢者の患者さん、CT上も著しい血腫で脳室内に穿破し水頭症を来たしていました。次は、高所に上り作業中の高齢者の患者さんが転落し、座骨骨折、頬骨の骨折、外傷性の小さな脳内血腫、僅かな大動脈解離にて入院。過換気症候群の若年男性。つぎつぎと40分ほどの間に搬入され、その後も断続的に朝まで患者さんが....寝る暇はなかったです。何とか、本日の外来、病棟をこなして帰ってきました....。久しぶりに、「鍛えられた」当直でした。というわけで、昨日の更新はちょっと無理でした...

さて、新聞記事から...
嘔吐物で手術患者死亡、栃木の病院が処置ミス?

『 栃木県鹿沼市の上都賀総合病院で今年4月に直腸がんの手術を受けた同県内の男性(70)が、手術中、肺に嘔吐(おうと)物が入ったことなどから容体が急変し、6月に肺炎で死亡していたことが25日わかった。
 病院側が嘔吐物の処置を誤った可能性もあるとみて同県警も業務上過失致死の疑いで捜査を始めた。
 病院によると、男性は4月21日、腫瘍(しゅよう)の摘出手術を受けた。手術中、口の中に嘔吐物が見つかったため、気管内吸引などを行ったが、容体が悪化。 別の病院に搬送されたが、6月に肺炎で死亡した。
病院は「医療ミスの有無は警察の捜査中でコメント出来ない。患者の遺族に対しては、誠心誠意、対応しており、示談交渉も行っている」と話した。』

この手術の術式がどうだったのか?(現在では比較的早期のものについては内視鏡的に手術することができます: EMR: endoscopic mucosal resection , 内視鏡的粘膜切除)が問題ですが、通常、ある程度進行した直腸がんに対してはその浸潤している部位により、低位前方切除やMiles手術という、お腹を開けて行う手術を施行すると思います。そして、そういった手術であれば全身麻酔で気管内挿管して麻酔を維持しながら行うのが普通です。そして、気管内挿管してあれば、仮に吐物が口の中にあったとしても(「仮に」というのは、予定手術であれば、行う前日の夜から絶飲食でお腹の中を空虚にしておきますので、吐くものは通常ないのです)気管と口の中はチューブで仕切られていますので、気管の方に流れていく可能性はないと思われます。なぜ、このようなことが起こったのか不思議です....

確かに、酸性度の強い胃液が気管内に入り、肺に達してしまうと、1.機械的な窒息、2.後に起こる化学的肺炎で呼吸不全となることが考えられ生命の危機に陥るに充分な出来事となります。

新聞の記事からは詳細を得ることができませんので、想像することしかできませんが...
1.直腸がんがかなり進行しており消化管を塞いでいた→腸閉塞(イレウス)を起こしていた。そして、食べたものが胃の中に残りやすかった?通常では充分な絶食時間をおいたが、胃の中に残った食物が逆流し、残念なことに何らかの形で気管に入ってしまった...
2.進行していない内視鏡でとれる直腸がんを、気管内挿管せずに鎮静して処置している途中に患者さんが嘔吐して、それが気管内に入ったなどの可能性があるのではないか??などと考えます...。

記事では「処置ミス?」とのことですが、もう少し詳細が明らかにならないと...ミスなのかどうか?はっきりはしないと感じます...。

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コメント

トラックバックありがとうございます.田舎の病院の外科系じゃ,この手の医療トラブルは,あってもこれまでは,家族が表立って文句を言うことはなかったように記憶してますが,どう見ても,今後こういう警察がらみの事例は増えるでしょうね.医療事故用の保険も値上がりするでしょうし,医者の給料を上げねばならんでしょうが,医業収入が減っては,どうなるんでしょうね.医者は,性善説ということにして,同じ事故ということで,自動車事故のように患者側が,保険に入りますか.

投稿: MIKKO | 2006年7月27日 (木) 14時59分

こんばんは(なのかな??)
MIKKO先生

こちらこそ、トラックバックありがとうございます。どんどん診療報酬は削られていますが、総医療費は増えているといった、厚生労働省が意図する方向には進んでいません。

<今後こういう警察がらみの事例は増えるでしょうね
御存知とは思いますが、福島県での産婦人科医の不当逮捕事件が大きな問題となっています。確実にこのような事例が増えていくでしょう...。

医療の安全のためには、恐らくもう少し医療にお金をかけないといけないのですが...厚生労働省の立派なお役人さんたちには、それが理解できない様です...。

投稿: befu | 2006年7月27日 (木) 22時33分

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受信: 2006年7月26日 (水) 17時16分

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