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2006年7月13日 (木)

診断は難しい

2006年7月13日 晴れ ときどき 激しい雨
グングン気温はうなぎ上り!すでに夏です。ヘルパンギーナ、溶連菌感染症、ヘルペス性歯肉口内炎、伝染性単核球症、水痘などなど感染症がどんどん増加...外来の人数も増えてきました。外来は17時には終われません...

ココログは、この時間でも結構スイスイ。気持ちよく動いてくれます。

さて、今日はこんな記事が....
誤診で4630万賠償命令(共同通信)

『熊本県山鹿市の消防職員の男性が2カ所の入院先で肺塞栓症を心疾患と誤診され死亡したとして遺族が病院を運営する山鹿市と日本赤十字社に計約9570万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、福岡高裁は13日、訴えを退けた一審熊本地裁判決を変更し、同市と日赤に計約4630万円の支払いを命じた。西理裁判長は「心電図などから肺塞栓症を疑うべきだった」などとして医師の過失を認定。』

肺血栓塞栓症は非常に重症な経過をとることもある厳しい病気です。俗に、「エコノミークラス症候群」といわれるものは、飛行機などの室内で長時間椅子に座った姿勢を続けることにより、下肢の静脈内に生じた血栓(注1)が、心臓に流れ、そして肺動脈を塞栓(注2)したものとされています。同様に、何らかの原因で下肢、あるいは腰の部分に血栓が生じて、それが心臓、肺動脈に流れ塞栓したもの全体を肺血栓塞栓症といいます。(つまり、エコノミークラス症候群は肺血栓塞栓症の一部となります。)

(注1)血栓:血管内に生じた「血の塊」。
(注2)塞栓:血栓等で血管が「つまる」こと。その部位から下流の血流は途絶えてしまう。

症状は、酸素を血液中に送り込む肺の血流が途絶えるような徴候で、呼吸困難や失神、胸痛、ひどい場合はショック(注3)、突然の心肺停止などと「かなり幅が広い」といえます。また、前期の症状は、まず急性心筋梗塞に酷似し、その他うっ血性心不全などにもよく似ています。疑って診断をつけるためにはかなりの臨床経験を要するのでは?と考えます。

(注3)ショック:血液の循環がうまくいかなくなり、末梢の組織が酸素不足になる状態。

胸部レントゲンでは、肺血管陰影の減少などをみることが多いですが、これは余程注意深くみないと見つけられません。また、心電図では右心系の負荷所見をみることが多いのですが、典型的な所見を示すものはなかなかないようです。診断の決め手となるのは、肺血流シンチグラフィー(注4)、肺血管造影などですが、造影剤を用いた肺CTでも「造影欠損」から診断できる場合もあります。

(注4)肺血流シンチグラフィー:放射性同位元素を用いて、肺の血流を確かめる検査。

最近、私が主治医をしたわけではありませんが、高齢者の方で「失神」からこの病気を診断したケースがありました。救急車にて搬入されたのですが、原因がしばらくわからず、2日後にとった造影CTにて診断ができたというものでした...。このように診断が難しい病気についても、民事訴訟で医療側が敗訴することがみられるようになりました。医師に期待される知識のレベルは時代とともに高くなっていくのだと...感じました。

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