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2006年7月28日 (金)

公立病院の行く末

2006年7月28日 晴れ
凄まじく暑いです。

さて、公立病院を取り巻く環境は徐々にそして確実に悪化しています。診療報酬改定、医師不足などなど...。良い影響をうける事柄を探すのが難しい状況となっているようです。公立病院は自治体が設立し、いわゆる私立病院がやろうとしないであろう、不採算な医療を「政策医療」などと呼び、自治体からの補助を受けながらやってきた一面があります。しかし、昨今の地方自治体の台所事情では、それを維持することもできなくなってきている様です。
そして、公立病院の運営形態が議論されます。1.地方公営企業法全部適用、2.地方独立法人化、3.完全に民営化する、などといった方策です。静岡では、県立の3病院が独立法人化されることとなった様です。(この中には、静岡県立こども病院も含まれる様です....)

記事は毎日新聞から県立3病院:「独立行政法人化を」検討会が最終報告 知事、08年度実施検討 /静岡です。

『県立総合病院、こころの医療センター、こども病院の県立3病院の今後の運営について考える有識者会議「県立3病院運営形態検討会」(座長、広部雅昭・県学術教育政策顧問)は26日、石川嘉延知事に「3病院を地方独立行政法人化し、県民の医療ニーズに応える改革を推し進める必要がある」と最終報告した。石川知事は「官の公共性と民間の効率化の両方の追求には、独立行政法人化と思っていた。08年度から実施できるよう検討したい」と述べた。
 地方独立行政法人は県の定める中期目標(3〜5年)に従い、別の法人として公共サービスを提供する。人事権や予算などの裁量が拡大されるため、医師の採用などで迅速な対応が可能になる。最終報告では、「医療制度改革などの大きな環境変化に対応し、自律性、機動性、柔軟性のある病院運営を実現するため、全職員が非公務員となる地方独立行政法人化が必要」と提言。質の高い医療を提供しながらも運営の効率化を進めるとともに、民間病院では採算が取れない結核病床確保などの政策医療を継続することなどを求めた。また移行にあたり、健全な労使関係の確立、法人の経営状況などを県民に明らかすることなどへの配慮も求めた。
 一方、県職員組合の鈴木博執行委員長は最終報告を受け「県民ニーズに逆行するもので、県当局は県民医療に責任を持つならば、白紙の状態から病院の将来の方向を真剣に検討すべきだ」と表明。秋にかけ職員の署名活動を行うなど、独立行政法人化反対の活動をしていく方針を明らかにした。』

独立法人化は病院の職員の身分が公務員から法人職員に変わります。また、地方公営企業法全部適用よりもさらに、指揮系統が簡素化され「風通し」が良くなります。しかし、県とは別個の組織となりますので、その経営のためならば、県のいうことを聞かなくても良いことになるのではないか?と思います。そうすると、不採算の部分は経営上切り捨てる方向へ流れていき、本来公立病院が担っていた政策医療は「どうなるの?」ということになるのではないかと...危惧してしまいます。

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コメント

医療での不採算部門は病院経営の目の仇になされます。べつに病院経営じゃなくとも不採算部門はどこでも目の仇にされます。

不採算部門があればどうしたらよいか?立て直すか、切り捨てるかです。立て直すとは医療では採算の取れる診療報酬を設定する事になります。

ところが診療報酬は公定価格で国が決定します。その公定価格で採算が取れないとは一体どう解釈すればよいのでしょうか。

「そんな医療はするな」と素直に受け取ればよいのでしょうか。国が意図的に採算を取れないように設定しているのですから、そんな医療を行なうものが莫迦だとも言いたいのでしょうか。

医者は採算の為に医療を行なっているのではなく、患者の病気を治療するために医療を行なっています。ここで常に採算を念頭において医療を行なっているものは稀です。患者に必要なので行なっているのです。

それが意図的に不採算にさせられている事は不可解な事です。病院に「経営感覚」なるものの導入がうるさく言われています。経営感覚とは不採算部門を切り捨てることになりますが、医療ではその部門が無くなれば不便ではなくて、患者の生死に直結します。

不採算部門は、医療では意図的に作られていると事の意味合いを、考え直した方が良いと思います。

投稿: Yosyan | 2006年7月29日 (土) 12時03分

はじめまして。
今回の記事が気になったのでコメントさせていただきます。
僕も以前、地方公立病院に勤めていたことがあります。その地方には、2つの地域中核病院がありましたが、その一方が赤字改善の為と称して大改革を行いました。その病院は黒字に転換しましたが、いわゆる不採算部門の切捨てを大々的に行いました。つまり、赤字になる様な大きなオペはしなくなり、夜間救急を縮小し、麻酔科さえもなくしました。その結果、患者さんの中には、わざわざ遠くの病院にかからなければいけない人もでてきましたし、今まで救急車で10分でいけたものが、40分もかかるといった事態が起こりました。また、僕が勤める公立病院に大きな負担がかかることとなり、患者数が増えすぎてパンク寸前でした。赤字も増えました。

不採算部門を切り捨てるということが、どういうことを生むかということを、行政が認識していなかった証拠です。
今後、甘い目論見のもと、こういった黒字転換を目指す病院が増えることが考えられますが、全く本末転倒です。止めてもらいたいものです。

投稿: doradora | 2006年7月29日 (土) 15時04分

こんばんは
Yosyan先生

いつも、適確なコメントをありがとうございます。

<「そんな医療はするな」と素直に受け取ればよいのでしょうか。国が意図的に採算を取れないように設定しているのですから、そんな医療を行なうものが莫迦だとも言いたいのでしょうか。

そうですね、悲しいことですが現在の設定では「小児医療はしてはいけない」ということになる様ですね...残念ながら....(悲)

静岡県立こども病院も独立法人化の時代ですので....

投稿: befu | 2006年7月29日 (土) 21時15分

こんばんは
doradora先生

コメントありがとうございます。

<また、僕が勤める公立病院に大きな負担がかかることとなり、患者数が増えすぎてパンク寸前でした。赤字も増えました。

どこかが良くなれば、近くの別の施設が割を食うということですね...。ちょっと脱線しますが、日本はGNP比で医療費が米国の約半分、病院の1ベッドあたりの職員数は訳5分の1、人口1000人あたりの医師数はOECD加盟国の中で最低レベルだそうです。そして、その国の医療や保健のレベルを反映している平均寿命は世界一です。

現在の状態でもアップアップの状態であると思うのですが、更に公立病院には効率化を求める。何か矛盾しています。もっと、削らなくてはならない部分が医療の他にもあるのでは?この国の中に....そう思ってしまいます。

投稿: befu | 2006年7月29日 (土) 21時24分

そうなんですよね。そもそも不採算部門なんてのがあるのがおかしな事で、それ正常な状態なら自治体病院は赤字前提で国から補助がでて当然だと思います。
経営努力はするべきでしょうけど、前提が間違っていると思います。

投稿: physician | 2006年7月30日 (日) 00時50分

こんにちは
physician先生

まったくおっしゃるとおりです。赤字がでるのは構造的に仕方がない...とすれば、その部分は公費で負担すべきですよね...。

都道府県の債務残高が増加してきた背景には、公立病院が積み上げてきた赤字のほかにもイロイロと原因があるのではないか?と思うところがあります。

そのしわ寄せで本当に必要な部分が削られるとしたら、不幸せなことですね....

投稿: befu | 2006年7月30日 (日) 13時29分

 私の家族がかかっている公立病院も医師がとても忙しそうで、昼ごはん食べているのかなという感じです。こういう感じだと、治療の方もちゃんとやってくれるのかなと不安になってしまいます。地方の場合、病院の選択肢が事実上ないところもありますから、公立病院がしっかりしてくれていないと困ってしまいます。わけのわからない土建行政にお金を注ぎ込み、そのつけを病院にまわすのはやめてほしいです。

投稿: 患者の家族 | 2006年8月12日 (土) 01時31分

こんばんは
患者の家族さま

コメントありがとうございます。
<私の家族がかかっている公立病院も医師がとても忙しそうで、昼ごはん食べているのかなという感じです。

私は幸いなことに、昼ご飯は何とか食べれることが多いのですが、同僚は恐らく食べれていないでしょうね...公立病院も効率化を求められて、ギリギリの人数で目一杯やらないといけない時代です。それが破綻すると、診療科の再編や閉院となるのだと思います...。悲しいことです。

<わけのわからない土建行政にお金を注ぎ込み、そのつけを病院にまわすのはやめてほしいです。

必要な工事と必要でないものを選別してやっていただきたいところですが...議会は、土建屋さんが席巻しているところが多いのではないかと....構造的な問題ですね...これは...

投稿: befu | 2006年8月12日 (土) 22時31分

初めまして。私の病院が公立病院と合併するのではと噂されています。もし合併となるとどうなるのでしょうか?給与は下げられ、今の職場での地位もなくなるのでしょうか?また、新病院で公立病院の方と一緒に働くのも色々と人間関係で困る事もあり心配です。

投稿: akabeko | 2006年8月23日 (水) 20時42分

こんばんは
akabekoさま

コメントありがとうございました。
最近では、医師会病院などの準公的病院と公立病院の合併という話をよく耳にします。合併により、いろいろな変化が起こるとは思いますし、人間関係を一から作っていかなければならないという苦労もあるでしょう。

しかし、akabekoさまが働かれている病院は、その地域にとって恐らく重要な位置を占めており、合併してでも残すべきであるという、お考えなのだと思います。

仮に合併になったとしても、どうか苦しい時期を乗り越えられて地域に医療を提供してくださる様、願う次第です。

投稿: befu | 2006年8月23日 (水) 23時32分

お返事ありがとうございます。私の病院、実は私立病院なんです。入社する前は運営だけ関わるような話でしたが、現在は廃院、統合へと進むようです。ですのではっきり言ってこの先心配です。

投稿: akabeko | 2006年8月23日 (水) 23時52分

こんばんは
akabekoさま

準公的病院でない民間病院と公立病院の合併は例がないようです。いろいろな制度が、二つの間に違いとして横たわっています。

これから、全てのプロセスが終了するまで大変と思います。心配になられることも、うなずけます。経営母体がどのような形になるかで、変わってくるとは思いますが、独立行政法人となると、特に公的病院から来られた方は、給与面で辛い思いをされる可能性があると思います。人事面は、どちらがイニシアチブをとるかで変わってくるものであると考えます。

前のコメントでは
<どうか苦しい時期を乗り越えられて地域に医療を提供してくださる様、願う次第です
とエールを送らせていただきましたが...いまはakabekoさまがよりよい人生を送ることができるような道を選択されるべきであると感じております。

余り、無理をなさらず、頑張っていただけましたら幸いに存じます。

投稿: befu | 2006年8月24日 (木) 23時46分

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今日のエントリーはbefu先生のブログに寄せさせて頂いたコメントからの流用です。自分のコメントですので盗用には当たらないでしょうが、befu先生お気を悪くしないでください。 医療には不思議な事に黒字部門と赤字部門があります。赤字部門で昔から有名なのは私もやってい... [続きを読む]

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