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2006年7月 4日 (火)

兵庫県での状況

2006年7月4日 曇りのち雨
時々は雷を伴って激しく降るような一日でした。

さて、兵庫県でも産科、小児科医の減少と、事態を克服するための集約化が進んでいる様です。九州では、大学に入局する産科の研修医が激減し、地域の産科医療が崩壊する一歩手前の状況です。地域での周産期医療の崩壊が現実味を帯びて感じられます。

産科空白地帯 県内に12市町(神戸新聞)

『出産施設の空白地は相生、たつの、加西、朝来、淡路、加東市、猪名川、播磨、市川、佐用、香美、新温泉町。市町立病院での再開を目指すのは、加西、加東市と香美町で、たつの市は開設を検討している。』
神戸市を抱える、兵庫県でもこれだけの数の空白地帯があるんですね...

『加西市立加西病院は、医師二人がほかの病院に移ったため、今年六月から分(ぶん)娩(べん)の取り扱いを休止した。存続を求める約二万人分の署名が出され、病院側は神戸大などに医師派遣を依頼するなどしたが、確保できないまま。同市の出生数は年間四百人以上あり、不安の声が上がる。』
これは、産科医療の集約化の過程で生じたことであると認識しています。現状では、より安全な分娩を得るためには「集約化やむなし」であると思います。(これは、日本産科婦人科学会から公式に提言されております。)

『香美町立の公立香住総合病院も、二〇〇五年三月で分娩を休止。町民は近隣自治体で出産せざるを得ないが、同町は「病院まで時間がかかり、妊婦や家族は心配を抱える。雪が積もればさらに負担が大きい」と話す。』
産科を取り巻く現状を考えると、実働の人数は減少する一方で、新入の産科医は少なく、進行性に状況は悪化しています。産科医の過重労働、そして周産期におけるトラブルは即、訴訟や刑事訴追に直結する。このような状況が改善されない限り、この人員減の傾向は止まらないのではないか?と考えます。当面は、地域での産科医療を根絶やしにしないために集約化を進め、状況が好転するのを待つしかありません...。

『子どもを取り巻く医療では、全体の七割にあたる三十一市町が、産科・小児科の医師不足、夜間や休日の小児救急体制の整備・維持を課題に挙げた。

 医師不足は全国的な課題で、都市部でも深刻。「小児科医の減少や新人医師が小児科を敬遠するため、二十四時間の救急体制の維持が難しくなっている」(姫路市)「休日夜間急病診療所の小児科が近い将来維持できない可能性が高い」(尼崎市)などと答えた。』
恐らく、住民の方々の小児科に対するニーズは、24時間の診療ということではないか?と思っています。それを受け止める仕組みを作るためには、残念ながら現状は余りに貧弱です。これを実現するには、小児科の入院ベッドをもった病院に、北米でいうER(緊急救命室)を別建てで併設し、ER及び病院小児科に充分なskillを持ったスタッフをそろえることが必要です。これを、まじめに行おうとすれば各都道府県に1つ程度のセンターができるかどうか?であろうと思いますし、当然それにかける医療費も大変なものになるであろうと思います。
因に、アメリカではこのようなERで小児の時間外、救急も診ている様ですが、対GNP比の医療費比率は日本の約2倍です。そして、日本に比較して病院の集約化が極めて進行しているため、センター病院へのアクセスはかなり難しい、そして医療保険に加入していない方もいるので、日本の様に平等に医療を受けることはできません。

厚生労働省は、現状の医療費を増やすことはせず、アメリカ型の医療を、現在のFree accessの部分は変えずに行うようにする。という算段の様ですが...これは到底無理な話で、病院の厳しい集約化を進め、更に医療費を増やさないと実現できるものではないと考えます。

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コメント

兵庫県も播磨内陸部、但馬の医療情勢は厳しいものがあります。私の故郷も人口が一応8万ありますが、産科は開業医が一軒のみ。既に市民病院からは産婦人科も小児科も消滅しました。お隣の母校のある町も市民病院から産科は消滅、開業産婦人科も一軒だけだったような気がします。

故郷の市民病院ですが、老朽化で建替えの話はあるそうですが、集約の話もあり、診療所レベルに縮小の噂も真剣にささやかれています。産婦人科、小児科だけでなく他科も逃散傾向にあるとの事です。

但馬となるともっと悲惨で、あそこは北が公立豊岡、南が公立八鹿の二大病院が中核として支える構図なのですが、南の公立八鹿から櫛の歯を引くように医師が逃散し、生き残っている公立豊岡の負担が激増、ドミノ倒壊の可能性がささやかれています。基幹病院がそんな状態ですから、他の病院の惨状は推して知るべしでしょう。

比較的安泰のはずの神戸を中心とする阪神間ですが、今春に社会保険中央病院、西宮市立中央病院、神鋼病院と有力どころが次々と産婦人科を閉鎖。さすがに大都市部なので影響は少ないですが、お膝元でさえ隙間風が吹き込んでいます。

小児科は産婦人科よりマシですが、時間外救急を充実させるほど需要を掘りおこすの悪循環にはまりつつあり、開業医主体で支えている急病診療所は高年齢化もあり、尼崎ほどではないにしろ、先行きは「どうなるのだろう」と言うところです。

投稿: Yosyan | 2006年7月 5日 (水) 13時54分

こんばんは
Yosyan先生

コメントありがとうございました。

<小児科は産婦人科よりマシですが、時間外救急を充実させるほど需要を掘りおこすの悪循環にはまりつつあり、開業医主体で支えている急病診療所は高年齢化もあり、尼崎ほどではないにしろ、先行きは「どうなるのだろう」と言うところです。

どこも、大変ですね...このままだと、病院小児科の集約化を厳しく進めざるを得ない状況となり、各都道府県に小児科を診る病院が1つづつなどということも起きそうですね...

厳しい時代です。

投稿: befu | 2006年7月 5日 (水) 22時49分

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