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2006年7月26日 (水)

知事の言葉

2006年7月26日 晴れのち雷雨
凄まじい雷雨。瞬間的な停電が数回起きて、病院の業務用の端末コンピュータを切って回るような事態でした。

さて、都道府県において、その最高責任者ともいえる「知事」の言葉は非常に重いものです。地方公共団体の首長の中では、最高といってよい権力を保持しているものと考えています。

毎日新聞の記事:県立安芸病院の医療死亡事故:公表問題で知事「公益性実現が必要」 /高知では、同県の橋本知事が非常に重い言葉を発しています。

『県立安芸病院で医療ミスが起き、患者が死亡した問題で、県病院局が遺族の意向を理由に1年以上も公表しなかったことについて、橋本大二郎知事は25日の定例記者会見で、「どこでどういうことが起き、どうすれば防げるかを公開の場で議論できないのは、『個人情報保護』と言ってもおかしいと思う」との考えを述べた。
 同局は先月の県議会文化厚生委で、「県立病院医療事故公表基準」の見直しを検討する考えを表明。現在、全国的な状況を調べながら検討作業を進めている。
 橋本知事はさらに「遺族への配慮は当然必要だが、公益性を実現するためには制度的、仕組みとしてこのままではいけない」と言及した。同局県立病院課は「知事の発言がどういう意味合いのものなのかを確認しながら、現在、取り組んでいる作業を進めていきたい」と話した。』

個人情報保護法の理念は、「個人情報を、公開する、あるいは、公開しないということをその情報を持っている個人あるいはその係累が決めることができる」ということであると思っています。(間違っていたら御指摘ください)
この法を改正しない限り、「遺族が公開を拒否した個人情報を公開した場合」は法律違反となります。橋本知事はこの「重い言葉」で法律を改正せよといっているのでしょうか?

私の勤めている病院でも、個人情報保護法が施行される直前には、相当の勉強をしました。警察から電話で患者の特定を求められても、「令状はあるのですか?」と確認すべきである、とまで徹底されているのです。病院にある個人情報は非常に価値の高いもので、これは漏れた場合大きなリスクとなります。当然、厳しく保護されるべき情報です。そして、我々医療人は、患者さんの権利を最優先に日夜働いているのではないでしょうか?
特に医療過誤の情報は共有されるべきで、今後の進歩の糧とするべきであるということは充分に理解できるのですが...患者さんやその家族が公開を拒否された場合は、「それに従うのがスジである」としか自分には考えられません。それほど、患者さんと家族の意志は医療において重要なのです!

橋本知事が発せられたこの重い言葉は、「医療過誤を少しでも減らすため」に必要なことかもしれませんが、その言葉を実現するためには、「自ら国政に携わり個人情報保護法を改正するよう」、お願いする次第です。

追記です。拙ブログで関連した記事を書いております。ご参照ください。

遺族の感情

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コメント

「遺族の情報」と「ミスが起こった事」は切り離せないのでしょうか。私がその立場なら「家族の事は公開して欲しくない」、けれども、「病院でミスが起こった」事は公開して欲しいと思います。ですが、その様な時に、個人情報を秘匿したままでミスがあった事のみを公開できない、と言われれば、では「公開しないで下さい」と病院に希望を出してしまいそうです。ひょっとして現時点では匿名で医療ミスを発表するかしないかは病院側に委ねられているのではないでしょうか。それとも医療ミス発表時点で警察の方から遺族情報が流れてしまうのでしょうか。亡くなってしまえば人権は消え、遺族への配慮のない取材は当たり前の時代ですから、マスコミ攻勢は怖いです。

投稿: 白神 | 2006年7月27日 (木) 11時51分

個人情報保護法も厄介な法律ですね。良い面もあるのでしょうが、現状では負の面の方が目立っている気がします。

問題なのは保護する範囲が非常に曖昧なことです。施行前から「こんな時は・・・」的な懸念が多々ありましたが、それについての明快な線引きは遂に示されず、現在でもそうだと思います。

今回の知事の発言も、この次に似たようなケースがあり、知事発言にそって情報を公表し、その事が個人情報保護法違反に問われ、これに敗訴したら誰が責任となるのでしょうか。知事が全責任を背負ってくれるのでしょうか。どう考えても病院です。

せいぜい知事は「遺憾である」と記者会見をすれば終わりです。他人に法律違反の可能性があることを強制するならば、その事が引き起こす責任問題も十分配慮して発言すべきでしょう。

知事も記者会見で花火を打ち上げるだけではなく、法務省に知事として正式に問合せ、今後は類似のケースでは法律違反になるかどうかを明瞭にさせてから発言すべしです。強制させて罪となれば「あかんかったか」で済まされたら困ります。

投稿: Yosyan | 2006年7月27日 (木) 13時14分

こんにちは
白神さま

コメントありがとうございました。

<「遺族の情報」と「ミスが起こった事」は切り離せないのでしょうか。

切り離して、公開することは可能と思います。そして、警察にも刑法上の「守秘義務」はありますので、警察から個人情報が漏れることもあまりないのではないか?と考えます。

しかし、同じ病棟に入院している患者さんなどは、出来事を記憶している場合があり、報道がなされるとマスコミの方も医療施設の周囲を重点的に聞き込みしますので、特に田舎の場合にはそちらから、患者さんの情報が漏れて集中的に取材されるなどといったことがあるかもしれません。

記事にも書きましたが、病院にある個人情報は非常に貴重な価値の高いものですし、医療においては患者さんやその家族の思いが最も重要です。患者さんやその係累の方々の感情を最優先に公開するしないを決めるべきです。

ただ、これがミスの隠匿につながるようではいけません。基本的にミスの情報は公開するとして説明するべきで、その上で「どうしても公開してほしくない」という方々だけにこういった対応を限るべきであると考えます。

投稿: befu | 2006年7月27日 (木) 18時37分

こんばんは
Yosyan先生

コメントありがとうございました。

まったく、仰る通りと思います。知事は非常に大きな権力を持っていて、都道府県職員はその言葉に背くことは許されないといって過言ではないでしょう。

その知事が「遺族が公開に反対しても公開せねばならない」といっているわけですから、次は絶対公開ですね。

病院の職員は板挟みとなります。

投稿: befu | 2006年7月27日 (木) 22時50分

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