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2006年7月

2006年7月31日 (月)

予定

2006年7月31日 晴れ
猛暑です。

今後、このブログにてとりあげたいと思っている項目です。

小児の心肺蘇生
ネフローゼ症候群

などを近く取り上げてみたいと思っております。

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2006年7月30日 (日)

乳児における終末期医療

本日、2つ目の記事です。

先ほど、新聞をみると第一面にこのような記事が...

赤ちゃんの延命治療中止 淀川キリスト教病院(共同通信)

『大阪市の淀川キリスト教病院が2005年までの7年間に、治る見込みがない重い病気で死期が迫った赤ちゃん8人について、「あと1、2時間以内」と判断した時点で両親の希望を受けすべての延命治療を中止していたことが29日、病院のまとめで分かった。
 親が赤ちゃんを抱っこして安らかな最期を迎えられるようにするためで、同病院の船戸正久小児科部長は「治療よりケアを重視し、親と一緒に過ごす時間を最大限、大切にすることを『看取(みと)りの医療』と考えている。赤ちゃんにとって一番よい選択を両親と話し合うことが大切」としている。
 赤ちゃんの終末期医療をめぐっては、本人の意思確認ができず治療中止は難しいとの指摘がある一方で、過剰な延命治療を見直す動きも広がっている。』

生まれたての赤ちゃんには意思を表示することはできません。そして、重篤な先天異常をかかえた児にはさらに、難しいといえます。現在のこれほどまでに進歩した日本の新生児医療をもってしても、救命できない新生児の一群があります。それは、先天異常とされる群で、染色体異常症の一部、無脳症などの脳形成異常、Potter症候群といわれる先天的に(機能する)腎臓が形成されず、羊水が過少となり肺の成熟が得られない群、先天性横隔膜ヘルニアといってお腹と胸を分けている筋肉の膜(横隔膜)が一部破れていてお腹の臓器が胸に入り、そのため肺の低形成を来す群などが含まれます。

そういった新生児はいろいろな手を尽くしても、救命することが難しく...治療の過程で死期がおおよそ予想できることもあります。その場合に、その児の両親は何を望んでいるか?が問題です。恐らく、「死ぬまでに一度でいいから、この胸に抱いてあげたい」と考える方は多いのではないか?(私見です)と考えます。老若男女を問わず、人間にとって辛い人工呼吸のチューブを入れたまま抱かせてあげるのか?状態は厳しいけどチューブを抜いた楽な状態で抱かせてあげるのか?これは、人間としての「優しさ」の問題となると思います。

もちろん、最低レベルの必要条件があります。この児が、手を尽くしても助からない児であること、そして、死期をある程度正確に予測できること、両親がその状態を充分理解でき、肌で感じていること等だと思います。

ここまで書いてきましたが、重大な問題が横たわっています。日本の法制度の中では、尊厳死は法的に擁護されないということです。現状が続くならば、この問題は将来にわたって「家族の気持ちにこたえようと頑張った医師」の逮捕やマスコミによる虐待を生み続けるでしょう。

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とうとう...

2006年7月30日 晴れ
今日は地域の輪番で、病院の日直してました。外は34℃の高温で...熱中症と思われる救急車が数台...溺水まがいの子供も一人...結構な忙しさでした...。

さて、ついに、こんな記事が....
全国初…株式会社の診療所、横浜にオープン(読売新聞)

『構造改革特区で全国初となる株式会社の診療所「セルポートクリニック横浜」が29日、横浜市中区にオープンした。医師不足や診療報酬の引き下げなどで苦しい経営の中小病院は多いが、同診療所は、株式発行でまとまった資金を調達でき、高額機器を導入した先端医療が可能になる。
 医療法は、公的な役割の大きい医療機関について営利目的の開設を認めていない。神奈川県は、経済活性化や県民の健康増進のためにバイオ産業の集積を目指しており、その一環として株式会社の再生医療機関開設を可能にする特区申請を国に行い、昨年7月に認可された。
 経営するのは、同区に本社のある再生医療ベンチャー企業「バイオマスター」。同社は2002年の設立以来、様々な組織や細胞に分化する「幹細胞」の基礎研究を大学と共同で進めている。』

営利目的の診療をする診療所。ついに、出現です。これからの展開を注意深く見守っていきたいと思います。
このような診療所は一部の方々には福音となるでしょう。しかし、大多数の中間層には恐らくメリットはないのでは?そして、再生医療などの最先端の領域のみに限ると「良い面」が強調されてくるのではないかとも考えます。

一般診療では、間違っても導入してほしくない方式であると思います。

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2006年7月29日 (土)

予防接種のとり違い2

2006年7月29日 晴れ
今日もうだるような暑さでした。海や山などの行楽地で溺水などの事故が多発している様です。少し話は脱線しますが、特に溺水などでは、その転帰に大きく影響するのは「by-stander CPR: そばにいる方の心肺蘇生」と言われています。かなりの一般の方が、気道確保、人工呼吸、心臓マッサージなどのBLS: basic life support, 一次救命処置を学ばれていると思います。溺水などの事故に遭われた方で意識のない方などには、学ばれた知識をいかんなく発揮していただければ、その方を救命できるかもしれません。そして、できるだけ多くの方にBLSを学んでいただければ幸いと感じます。

さて、本題に戻ります。以前、拙ブログでも取り上げましたが、同様の予防接種とり間違いです。
予防接種で児童11人に別ワクチン 石巻市立雄勝病院(河北新報)

『石巻市立雄勝病院(狩野研次郎院長)で小学6年生対象の「ジフテリア・破傷風2種混合(DT)ワクチン」の予防接種をした際、雄勝、船越両小学校の計11人の児童に、誤って「麻疹(ましん)・風疹(ふうしん)混合(MR)ワクチン」を接種したと、市が27日発表した。接種量が少なく、副作用などの健康被害はないという。』

MRワクチンは麻疹と風疹の弱毒化した生のウィルスを混合して注射する予防接種です。また、DTワクチンはジフテリアと破傷風の菌からでる病気のもとの「毒」を取り出して極微量注射する予防接種です。どちらも「2混」と表記されます。そして、通常小学6年生に射つのはDTの方で、0.5ml注射すると激しい局所反応を起こすことが稀にあり、0.1mlを注射しています。ということで、小学6年生に誤って、MRワクチンを0.1mlづつ射っていったとのことと解釈します。麻疹風疹に罹患歴のある場合やワクチン歴があって、体内に有効な麻疹と風疹の抗体を持っている場合はMRワクチンのウィルスは速やかに排除され特に副反応は起こらないと思われます。しかし、そうでない場合は、約1種間から2週間の間程度に発熱したり、発疹が出現したりなどのよくみられる副反応が表れることがあります。また、通常のワクチン接種に伴い発生する、ごく僅かな重篤な副反応(例えば脳炎などのいわゆる100万回接種に1回程度の副反応)はゼロとはいえません。(ただ、他のワクチンでも、これは同じ程度の発生率と考えます。)

しかし、このワクチンとり違いは以前より予想されたもの(同じ「2混」という表記)であり、やはり「確認が足りなかった」と言わざるを得ないのではないか?と考えます。残念な出来事です。
このようなミスを犯さない様、糧とさせていただきます...。

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2006年7月28日 (金)

公立病院の行く末

2006年7月28日 晴れ
凄まじく暑いです。

さて、公立病院を取り巻く環境は徐々にそして確実に悪化しています。診療報酬改定、医師不足などなど...。良い影響をうける事柄を探すのが難しい状況となっているようです。公立病院は自治体が設立し、いわゆる私立病院がやろうとしないであろう、不採算な医療を「政策医療」などと呼び、自治体からの補助を受けながらやってきた一面があります。しかし、昨今の地方自治体の台所事情では、それを維持することもできなくなってきている様です。
そして、公立病院の運営形態が議論されます。1.地方公営企業法全部適用、2.地方独立法人化、3.完全に民営化する、などといった方策です。静岡では、県立の3病院が独立法人化されることとなった様です。(この中には、静岡県立こども病院も含まれる様です....)

記事は毎日新聞から県立3病院:「独立行政法人化を」検討会が最終報告 知事、08年度実施検討 /静岡です。

『県立総合病院、こころの医療センター、こども病院の県立3病院の今後の運営について考える有識者会議「県立3病院運営形態検討会」(座長、広部雅昭・県学術教育政策顧問)は26日、石川嘉延知事に「3病院を地方独立行政法人化し、県民の医療ニーズに応える改革を推し進める必要がある」と最終報告した。石川知事は「官の公共性と民間の効率化の両方の追求には、独立行政法人化と思っていた。08年度から実施できるよう検討したい」と述べた。
 地方独立行政法人は県の定める中期目標(3〜5年)に従い、別の法人として公共サービスを提供する。人事権や予算などの裁量が拡大されるため、医師の採用などで迅速な対応が可能になる。最終報告では、「医療制度改革などの大きな環境変化に対応し、自律性、機動性、柔軟性のある病院運営を実現するため、全職員が非公務員となる地方独立行政法人化が必要」と提言。質の高い医療を提供しながらも運営の効率化を進めるとともに、民間病院では採算が取れない結核病床確保などの政策医療を継続することなどを求めた。また移行にあたり、健全な労使関係の確立、法人の経営状況などを県民に明らかすることなどへの配慮も求めた。
 一方、県職員組合の鈴木博執行委員長は最終報告を受け「県民ニーズに逆行するもので、県当局は県民医療に責任を持つならば、白紙の状態から病院の将来の方向を真剣に検討すべきだ」と表明。秋にかけ職員の署名活動を行うなど、独立行政法人化反対の活動をしていく方針を明らかにした。』

独立法人化は病院の職員の身分が公務員から法人職員に変わります。また、地方公営企業法全部適用よりもさらに、指揮系統が簡素化され「風通し」が良くなります。しかし、県とは別個の組織となりますので、その経営のためならば、県のいうことを聞かなくても良いことになるのではないか?と思います。そうすると、不採算の部分は経営上切り捨てる方向へ流れていき、本来公立病院が担っていた政策医療は「どうなるの?」ということになるのではないかと...危惧してしまいます。

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2006年7月27日 (木)

FIREBIRD

2006年7月27日 晴れのち雷雨
今日も夕立でしたが、昨日にくらべ雷、雨とも弱かった様です。瞬間的停電はみられず、病院中を駆け回り業務端末を点検するはめには遭いませんでした。

さて、先日の記事:手術中の出来事?にトラックバックいただきましたMIKKO先生のブログ:FIREBIRDを御紹介。

カリフォルニアに行かれ、現在医学研究中の様です。カリフォルニアの爽やかな感じとワインの情報、日米での医療環境の差などについて詳しく記述されています。リンクにも入れておきますので、興味のある方はどうぞ!

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2006年7月26日 (水)

知事の言葉

2006年7月26日 晴れのち雷雨
凄まじい雷雨。瞬間的な停電が数回起きて、病院の業務用の端末コンピュータを切って回るような事態でした。

さて、都道府県において、その最高責任者ともいえる「知事」の言葉は非常に重いものです。地方公共団体の首長の中では、最高といってよい権力を保持しているものと考えています。

毎日新聞の記事:県立安芸病院の医療死亡事故:公表問題で知事「公益性実現が必要」 /高知では、同県の橋本知事が非常に重い言葉を発しています。

『県立安芸病院で医療ミスが起き、患者が死亡した問題で、県病院局が遺族の意向を理由に1年以上も公表しなかったことについて、橋本大二郎知事は25日の定例記者会見で、「どこでどういうことが起き、どうすれば防げるかを公開の場で議論できないのは、『個人情報保護』と言ってもおかしいと思う」との考えを述べた。
 同局は先月の県議会文化厚生委で、「県立病院医療事故公表基準」の見直しを検討する考えを表明。現在、全国的な状況を調べながら検討作業を進めている。
 橋本知事はさらに「遺族への配慮は当然必要だが、公益性を実現するためには制度的、仕組みとしてこのままではいけない」と言及した。同局県立病院課は「知事の発言がどういう意味合いのものなのかを確認しながら、現在、取り組んでいる作業を進めていきたい」と話した。』

個人情報保護法の理念は、「個人情報を、公開する、あるいは、公開しないということをその情報を持っている個人あるいはその係累が決めることができる」ということであると思っています。(間違っていたら御指摘ください)
この法を改正しない限り、「遺族が公開を拒否した個人情報を公開した場合」は法律違反となります。橋本知事はこの「重い言葉」で法律を改正せよといっているのでしょうか?

私の勤めている病院でも、個人情報保護法が施行される直前には、相当の勉強をしました。警察から電話で患者の特定を求められても、「令状はあるのですか?」と確認すべきである、とまで徹底されているのです。病院にある個人情報は非常に価値の高いもので、これは漏れた場合大きなリスクとなります。当然、厳しく保護されるべき情報です。そして、我々医療人は、患者さんの権利を最優先に日夜働いているのではないでしょうか?
特に医療過誤の情報は共有されるべきで、今後の進歩の糧とするべきであるということは充分に理解できるのですが...患者さんやその家族が公開を拒否された場合は、「それに従うのがスジである」としか自分には考えられません。それほど、患者さんと家族の意志は医療において重要なのです!

橋本知事が発せられたこの重い言葉は、「医療過誤を少しでも減らすため」に必要なことかもしれませんが、その言葉を実現するためには、「自ら国政に携わり個人情報保護法を改正するよう」、お願いする次第です。

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2006年7月25日 (火)

手術中の出来事?

2006年7月25日 晴れのち雨 
雷を伴って激しく降る....

昨日は、当直でした。外来が17時30分ごろに終了すると...院内のPHSが震え出しました。まずは、脳内出血で昏睡の高齢者の患者さん、CT上も著しい血腫で脳室内に穿破し水頭症を来たしていました。次は、高所に上り作業中の高齢者の患者さんが転落し、座骨骨折、頬骨の骨折、外傷性の小さな脳内血腫、僅かな大動脈解離にて入院。過換気症候群の若年男性。つぎつぎと40分ほどの間に搬入され、その後も断続的に朝まで患者さんが....寝る暇はなかったです。何とか、本日の外来、病棟をこなして帰ってきました....。久しぶりに、「鍛えられた」当直でした。というわけで、昨日の更新はちょっと無理でした...

さて、新聞記事から...
嘔吐物で手術患者死亡、栃木の病院が処置ミス?

『 栃木県鹿沼市の上都賀総合病院で今年4月に直腸がんの手術を受けた同県内の男性(70)が、手術中、肺に嘔吐(おうと)物が入ったことなどから容体が急変し、6月に肺炎で死亡していたことが25日わかった。
 病院側が嘔吐物の処置を誤った可能性もあるとみて同県警も業務上過失致死の疑いで捜査を始めた。
 病院によると、男性は4月21日、腫瘍(しゅよう)の摘出手術を受けた。手術中、口の中に嘔吐物が見つかったため、気管内吸引などを行ったが、容体が悪化。 別の病院に搬送されたが、6月に肺炎で死亡した。
病院は「医療ミスの有無は警察の捜査中でコメント出来ない。患者の遺族に対しては、誠心誠意、対応しており、示談交渉も行っている」と話した。』

この手術の術式がどうだったのか?(現在では比較的早期のものについては内視鏡的に手術することができます: EMR: endoscopic mucosal resection , 内視鏡的粘膜切除)が問題ですが、通常、ある程度進行した直腸がんに対してはその浸潤している部位により、低位前方切除やMiles手術という、お腹を開けて行う手術を施行すると思います。そして、そういった手術であれば全身麻酔で気管内挿管して麻酔を維持しながら行うのが普通です。そして、気管内挿管してあれば、仮に吐物が口の中にあったとしても(「仮に」というのは、予定手術であれば、行う前日の夜から絶飲食でお腹の中を空虚にしておきますので、吐くものは通常ないのです)気管と口の中はチューブで仕切られていますので、気管の方に流れていく可能性はないと思われます。なぜ、このようなことが起こったのか不思議です....

確かに、酸性度の強い胃液が気管内に入り、肺に達してしまうと、1.機械的な窒息、2.後に起こる化学的肺炎で呼吸不全となることが考えられ生命の危機に陥るに充分な出来事となります。

新聞の記事からは詳細を得ることができませんので、想像することしかできませんが...
1.直腸がんがかなり進行しており消化管を塞いでいた→腸閉塞(イレウス)を起こしていた。そして、食べたものが胃の中に残りやすかった?通常では充分な絶食時間をおいたが、胃の中に残った食物が逆流し、残念なことに何らかの形で気管に入ってしまった...
2.進行していない内視鏡でとれる直腸がんを、気管内挿管せずに鎮静して処置している途中に患者さんが嘔吐して、それが気管内に入ったなどの可能性があるのではないか??などと考えます...。

記事では「処置ミス?」とのことですが、もう少し詳細が明らかにならないと...ミスなのかどうか?はっきりはしないと感じます...。

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2006年7月23日 (日)

大野事件の続き

2006年7月23日 雨
雨が降り続いています。九州南部で河川の氾濫などがおこり、多数の死傷者が出ている様です。早く、この災害が終息することを祈るのみです...。

さて、福島県立大野病院産婦人科医不当逮捕事件の公判前整理手続きが始まり、検察と弁護側は真っ向からぶつかっている様です。

大野病院医療事故:全面対決の構図に−−公判前整理手続き /福島(毎日新聞)

『 県立大野病院の医療事故で起訴された産婦人科医の加藤克彦被告(38)の公判前整理手続きが21日始まり、弁護側が全面否認の方針を示したことで、法廷では被告弁護側と検察側が真っ向から対立する構図となった。
 午前10時から始まった手続きには裁判官3人、検察官3人、弁護士8人と加藤被告が集まり、1時間50分間行われた。
 手続き後に会見した加藤医師の弁護団は総勢11人。加藤医師が手術用はさみで胎盤をはがしたことについて弁護団は会見で「そうした措置は珍しくない」と述べた。また、大量出血も「胎盤をはがしたあとの出血量は異常に多いわけではなかった」とし、大量出血の原因については「まだ分からない」と述べた。
 弁護側は検察側に起訴状などに関する求釈明に応じるように求めており、この日も再度要請した。福島地検は「釈明の必要があるものは釈明した。まだ手続きの途中で、この時点で弁護側が『検察側が十分に応じていない』と発表することは早計であり、誠に遺憾」との見解を示した。』

以前の記事でも申し上げましたが無罪となり「不当な逮捕拘留をおこなわれた」ケースであると社会一般に広く認識していただきたいと望んでおります。

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2006年7月22日 (土)

呼び出し...

2006年7月22日 雨
無菌性髄膜炎が流行中です。今日は午前中、地域の輪番で、腸炎と髄膜炎疑いの児が入院。
それからも、断続的に携帯が鳴って準夜帯に肺炎の児も入院....さすがに、少し疲れました。

さて、紫色の顔の友達を助けたいというブログは今後の医療と司法の関係を考える上で一度は読んでおくべき内容を含んでいます。

ブログのタイトル【紫色の顔の友達を助けたい】は、ブロガー自身もASD:心房中隔欠損という先天性心疾患で手術を経験したということですが、同じクラスにチアノーゼを示す顔色をした友達がいたそうです。その当時、ASDの手術は問題なく施行できていた様ですが、その友達の心臓病(何らかのチアノーゼ性心疾患だと思われます)は、その当時では根治手術ができなかったということです。その経験から、小児心臓外科医を目指し、そしてなられました。その後のことについては、ブログを参照していただければ幸いです。

これからは、余談ですが...10年から15年前ではほとんど根治できなかった先天性心疾患が現在では根治できる可能性があるといったそんな病気と手術の関係というのがあります。例えば、TGA: transdisposition of great artery完全大血管転位に対するJatane手術、HLHS: hypoplastic left heart syndrome左心低形成症候群に対するNorwood手術などは本当に輝かしい「病児に対する福音」でしょう。

その進歩の裏には、新生児期の本当に細い血管を丁寧にそして正確に、なおかつ素早く縫合し、手術を成功させるための努力を日夜続けている、小児心臓外科医の姿があります。その姿に、尊敬の念と感謝の気持ちを表したいと思います。

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2006年7月21日 (金)

はじまりました。

2006年7月21日 雨
福島県立大野病院産婦人科医不当逮捕事件に関連して動きです。

<帝王切開死亡事故>第1回公判前整理手続き行う 福島地裁(毎日新聞)

『福島県立大野病院で帝王切開手術中に女性(当時29歳)が死亡した医療事故で、業務上過失致死と医師法違反の罪に問われた同病院の産婦人科医、加藤克彦被告(38)の第1回公判前整理手続きが21日、福島地裁で行われた。弁護側は、無罪を主張する方針を示した。初公判は10月ごろの見込みという。』

いよいよ始まりました。「無罪となって欲しい」と願います。

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2006年7月20日 (木)

恐ろしい手技

2006年7月20日 雨 雷を伴って激しく降る
豪雨の被害は更に拡大しています。現時点で14人の死亡が確認され、いまだ10人の方の行方がわかりません。亡くなられた方の御冥福を祈ります。

さて、残念な記事です。まずは、19歳という若さで、この世を去らなければならなかった、この専門学校生の患者さんに深甚なる哀悼の意を表します。

治療ミスで専門学校生死亡、東海大病院医師を書類送検(読売新聞)

『神奈川県警伊勢原署は19日、治療ミスで入院患者を死亡させたとして、東海大学医学部付属病院(伊勢原市下糟屋)の耳鼻咽喉(いんこう)科男性医師(30)を業務上過失致死の疑いで横浜地検に書類送検した。

 調べによると、医師は2002年5月11日、交通事故で入院していた同県平塚市の男子専門学校生(当時19歳)の気管にできた肉芽を取り除く際、薬品をつけた棒で患部を焼き切ろうとして、棒の先端部(約2センチ)を気管内に落とし、循環不全と心不全で、同月28日に死亡させた疑い。

 病院からの通報で、同署が治療行為と死亡の因果関係を調べていた。病院と遺族は同年8月に和解しているという。』

気道の手術や処置は非常に難度の高いものが多く、危険がつきまといます。小児では異物の誤嚥で気管支に異物がつまった場合に取り除くことが必要ですが、これは非常に難度が高く、ヒヤヒヤしながら行うものです。過去には、取り除く途中で気管に異物が落ちて閉塞し、窒息にて術中に亡くなってしまうような事故も起こっている様です。

記事には詳細が記されていませんので、これだけの情報ですべてを評価することはできませんが...「気管にできた肉芽を取り除く際」という記述から、何らかの原因で呼吸に影響を与えるほどの肉芽が気管にできて、それを取り除いて呼吸を楽にさせることを目的に手術したのではないか?と考えられます。(また、手術を行わない場合はそれにより、呼吸が障害されて死亡した可能性もあると思われます。)よって、手術の適応自体は問題なかったのではないか?と憶測します。

しかし、手術の結果は目標と反したものとなってしまいました。「棒の先端部(約2センチ)を気管内に落とし」というあってはならない出来事が起こり、(全ての情報がないのではっきりとはいえませんが)窒息した可能性があると思います。それが、遠因となって術後17日で残念ながら亡くなられた。ということかもしれないと考えます。

その後は、「病院と遺族は同年8月に和解しているという。」との記述から病院、そして執刀医は家族に対して誠意ある対応をしていたのではないか?と思われます。しかし、ここになり医師の刑事責任を追及する、書類送検になったとのことです。背景に何があるのか?わかりませんが、ここまでする必要があるのでしょうか?

気管に肉芽ができて場合によると肉芽により窒息したかもしれない患者さんに、それを取り除くために必要な手術を行って、残念なことに薬液のついた棒の先端を落としてしまい窒息させてしまった。それが遠因となり、患者さんは不幸にも亡くなってしまった。主治医は「何とかしてあげたい」と思い、この困難で恐ろしい手術にのぞんだのではないでしょうか?民事上の責任は生じると思いますが....業務上過失致死という罪状はふさわしくないような気がします。

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2006年7月19日 (水)

医師は不足している

2006年7月19日 雨
日本列島には前線が停滞し、各地で豪雨の被害が報告されています。現時点でこの豪雨で10人の方が亡くなられ、16人が今も行方不明であるとのことです。被害に遭われた方々には、心よりお悔やみ申し上げるとともに、被災地の被害がこれ以上拡大しないことを祈るばかりです。

さて、今日はこのような記事です。
地域、診療科の偏在解消を 医師不足で厚労省検討会(共同通信)

『医師不足の解消などを協議している厚生労働省の「医師の需給に関する検討会」は19日、「長期的には必要な医師の供給は満たされるが、地域や診療科によって偏在があり、医師不足解消のための取り組みが必要」とする内容を盛り込んだ最終報告書案をまとめた。
 報告書案は週48時間労働で現在の医療レベルを満たすために必要な医師数を27万7000人と試算。2004年度の国内の医師数は26万8000人で、将来は供給の伸びが需要を上回るとの見通しを示した。
 一方、医師不足が指摘されている診療科については「休日夜間診療を、開業医にも分担させる」(小児科)、「病院外来で助産師が妊婦健診や分娩(ぶんべん)の介助をする」(産婦人科)など医師の負担を軽くする対応を求めた。』

現在の医療レベルを満たすための医師数をどうやって算出したのでしょうか?27万7000人の中には、リタイヤした医師や結婚出産で働けない時期のある女性医師をどうやって計算に組み入れているのでしょうか?
以前の記事でも示しましたが、日本はOECD加盟国の中で、ほぼ最低レベルの人口あたりの医師数を示しています。27万7000人という試算が狂っているのならば、供給の伸びが需要を上回るとは言えないでしょう。

厚生労働省は必要な医師数について問題のある認識を示し続けています。偏在ではなく不足なのです。

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2006年7月18日 (火)

溶血性尿毒症症候群

2006年7月18日 曇りときどき晴れ
このような記事が目に止まりました。

<O157>4歳女児が死亡 京都(毎日新聞)

『京都府山城北保健所は18日、管内の4歳女児が、病原性大腸菌O157のため死亡したと発表した。府によると8日に39.5度の高熱と下痢が伴ったため12日に入院、14日にO157が検出された。溶血性尿毒症症候群を発症し17日夜に死亡した。保健所は「集団感染の可能性は低い。感染ルートは調査中」としている。』

溶血性尿毒症症候群:HUS; Hemolytic-Uremic syndromeはO-157:H7等の腸管出血性大腸菌感染やその他の感染症、放射線治療や薬剤、また原因がなく自身の体質により起こる、1.破砕赤血球を伴う溶血性貧血、2.血小板減少、3.腎機能障害を主徴とする疾患で、小児の急性腎不全のうち最も多い原因とされています。

その原因は、腸管出血性大腸菌による腸炎が多く、下痢を伴うことからD(+)HUSと表現されることもあります。腸管出血性大腸菌感染によるHUS(D(+)HUSのことが多い)は、そのほとんど(90%)が1.貧血に対する補助(輸血が必要ならば行う)、2.腎機能障害に対する補助。つまり、体液量の管理、電解質の管理を行い、必要ならば透析を行う。ことで自然に軽快していくことが多いとされています。

以前より、血漿交換という治療法がHUSの治療法として知られていますが、D(+)HUSでは「効果的である」という証左に乏しく、腎機能障害の進行した児に施行する際には透析等の体液量の管理が必要となるため、現在では積極的に用いることはなくなりつつあります。腸管出血性大腸菌感染以外の原因によると思われるD(-)HUSでは、血漿輸注や血漿交換が効果的である群があるとされています。抗血小板剤やガンマグロブリンの効果も評価されましたが、どれも著効するものではなさそうです。

しかし、病気の過程で、脳症を起こしたものについては著しく予後不良で、数十%の死亡率であるとされています。また、合併症として怖いのが、突然の呼吸障害と腸管の穿孔で、これも著しく予後が不良となります。これらの原因ははっきりとはわかっていませんが、血管内に血栓が形成され血液の循環が止まるのが原因では?とする先生もおられます。

参照した記事の患者さんは、本当に残念なことながら、脳症などの致死的となる合併症に見舞われたのだと思います。今後、検証が進み、HUSの予防と脳症についても救命につながるような治療法が開発されることを望みます。

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2006年7月17日 (月)

多忙でした...

2006年7月17日 晴れのち曇り
暑い一日でした。今日は地域の輪番で、午前午後とも外来。
連休の最終日ということもあってか?恐らく50人以上は診察したと思います。
入院は小児が2人、成人も2人。外傷が多かったです。

さすがに、疲労蓄積して5時ごろには、フラフラしながら入院患者さんのカルテを記入。当直の医師に交代したとたん、救急車が2台連続で来ました。一人は吐血でHb 6.0、一人はバイクの単独事故で上腕骨骨折...当直医と消化器内科の医師が緊急で内視鏡している間にバイクの事故の患者さんの診療を残業でやっていました。

これで、本日の朝から数えると6人目の入院。ハイペースですが地域の第一線の病院てのは、大抵のところがこんな感じなんでしょうね....。

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2006年7月16日 (日)

猛暑! _熱中症

2006年7月16日 晴れ
暑い一日です。昨日も相当な暑さでした...

新聞の記事から....

熱中症で3人死亡 県内では18人病院搬送(神戸新聞)

『兵庫県内各地で最高気温が軒並み三〇度を超えた十四日、県内で十八人が熱中症とみられる症状で病院に運ばれたことが、神戸新聞社のまとめで分かった。いずれも症状は軽いという。屋外で作業中の人が多く、神戸市兵庫区で八十八歳の女性が路上で倒れるなど、お年寄りも目立った。
 熱中症は全国でも相次ぎ、愛知、長崎県などでは三人が死亡。栃木県では高校野球の応援をしていた女子高校生八人が、病院に運ばれた。
 各地の警察や消防などによると、午後二時すぎ、愛知県稲沢市の畑で倒れた男性(88)が死亡。同じころ、長崎県大村市の市営アパート敷地で倒れていた女性(60)も死亡した。午後三時半ごろに埼玉県上尾市の建設現場で倒れているのが見つかったアルバイト男性(29)も死亡した。
 横浜市や神奈川県藤沢市では、光化学スモッグが発生、小中学生や教職員九十一人が目やのどの痛みを訴えた。
 神戸市消防局は「乳幼児や高齢者、体調が悪い人のほか、激しい運動をする人は特に注意を」と呼びかけている。』

熱中症は、「暑熱環境下にさらされる、あるいは運動などによって体の中でたくさんの熱を作るような条件下にあった者が発症し、体温を維持するための生理的な反応より生じた失調状態から、全身の臓器の機能不全に至るまでの、連続的な病態」と定義されています。その状態により、① 熱痙攣(heat cramps) ② 熱疲労(heat exhaustion) ③ 熱射病(heat stroke)と古典的には分類されますが、現在では 安岡正蔵 他5名(1999)による、Ⅰ度からⅢ度にレベル分けする分類を用いているようです。
その中で、Ⅲ度に相当するのは古典的に「熱射病」とされる状態ですが、1.これは体温を調節する機能が失われ、体温が止めどなく上昇する。2.循環や意識にも大きな障害を及ぼし、DIC:播種性血管内凝固症候群(注1)やMOF:多臓器不全(注2)を起こして死の転帰をとるものとされています。参照した記事の中で、亡くなられた方は、この熱中症Ⅲ度(熱射病)を起こしていたのだと思われます。

(注1)DIC, disseminated interavascular coagulation; 播種性血管内凝固症候群。血液は通常血管内では凝固(固まる)することはないが、何らかの原因で大量に血液を凝固させる因子が血管内に入った場合は血管内でも凝固が進行していく。これにより、重要臓器の血流が阻害され多臓器不全を起こし、更に必要な凝固因子を消費してしまうため全身の出血傾向が出現する。早急に手を打たないと救命できない重篤な状態である。
(注2)MOF, multiple organ failure; 多臓器不全。肝、腎、脳、肺、心などの重要臓器が複数、充分な機能
を発揮できない状態となること。

熱中症の応急処置と予防法についてまとめられたサイトを御紹介しておきます。
熱中症の応急処置
熱中症の予防法

意識障害を伴うような熱中症はⅢ度(熱射病)ですが...従来は皮膚に発汗を認めないものと思われていました。しかし、熱射病の一つの形として運動中に生じる「努力性熱射病」というタイプがあり、この場合、皮膚に発汗を認めていても熱射病を生じるということがわかってきました。熱射病の診断に、「発汗を認めない」という項目が重要な部分を占めていましたが、発汗の有無を問わず診断し早急な処置を行うことが必要です。
また、発症後20分以内で体温を効果的に下げることができれば、ほとんどの場合救命できるともされている様ですので、積極的に一般の方々にも教育を広げていき、早い段階での適切な処置がなされれば死亡例を減らすことにつながるのではないかと考えます。

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2006年7月15日 (土)

崩壊は進行中

2006年7月15日 晴れ
気持ちのよい一日でした。今回の連休は、17日(月)が輪番となっているため、土日が休みとなっています。しかし、入院の患者さんは5人いて、病棟には回診に行きます。

徐々にそして確実に地域医療の崩壊は進行中です。邑智病院:曽田院長、年度末の辞意示す 「医師探しと業務に疲れた」 /島根(毎日新聞)

『◇後任選びに全力−−抜本的な対策必要
 邑南町の邑智病院の曽田一也院長(51)が、今年度末で辞職する意向を示していることが、13日に同町の矢上公民館で開かれた住民説明会で明らかになった。「医師探しと医師としての仕事に心身ともに疲れた」のが原因とされ、後任の院長のめどは立っていない。県内の離島や山間部では深刻な医師不足が次々と問題になっており、根本的な対策を迫られている。【細川貴代】
 邑智病院は邑智郡で唯一の救急指定病院。本来9人いた常勤医が今年4月から7人に減り、医師不足が深刻化。入院患者の受け入れ数が、4月から減少するなどの影響が出ている。
 曽田院長は90年4月に就任し、17年目。今年4月にも外科医が不在になる危機に直面し、島根大医学部や県を訪れて要望を重ねていた。邑智郡公立病院組合管理者の石橋良治・邑南町長の説明によると、曽田院長は先月13日に石橋町長を訪れ、「一身上の都合」として辞表を提出。理由を「医師探しと、病院管理者、医者としての仕事に心身ともに疲れた。こんな状態では医療事故につながりかねない。考えた末の結論」と話したという。
 住民説明会には110人が参加。石橋町長は「これ以上、無理に引き止めれば、院長をさらに追い込んでしまう。早く後任を見つける事が住民の安心・安全につながる。後任探しに全力を傾ける」と話した。』

地域にある病院は、医師定数確保のための努力を最大限で行っているところです。しかし、その努力にも関わらず、医師を確保できず診療科閉鎖や場合によっては閉院も止むなしとの事例が散見されます。また、地域にある自治体立病院には経営効率(つまり、赤字ではだめ...)という難題も課されます。現在の自治体立病院院長はみなさん非常に苦しい境遇なのでは?と察するところです。

そして、弱い部分から淘汰が進み、徐々に進行して「おらが町には病院はなくなってしもた...」というところが、どんどん増え続けることになるのでしょう...。それが、国民全体の希望する将来像であれば、これはドンドン押し進めるべきだとは思いますが....。

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2006年7月14日 (金)

川崎病_治療

2006年7月14日 晴れ時々雷を伴う激しい雨
昨日の記事でも書きましたが、いろいろな感染症が蔓延しています。外来患者さんの数は徐々に増加中...。

しばらく、休んでいた「川崎病」ですが、今日は治療についてまとめてみます。

Nelson textbook of Pediatrics 16th ed. P.726

Treatment. Patients with acute Kawasaki disease should be treated with intravenous immune globuline (IVIG) and high-dose aspirin as soon as possible after diagnosis (Table 166-2). The mechanism of action of IVIG in Kawasaki disease is unknown, but treatment results in rapid defervescence and resolution of clinical signs of illness in most patients.

(訳)治療:川崎病急性期の患児は診断がつき次第、できるだけ速やかに免疫グロブリン静注(注1)と高用量のアスピリン(注2)による治療を受けるべきである。(表166−2)川崎病における免疫グロブリン静注療法の作用機序についてはわかっていないが、ほとんどの患児で素早い解熱と臨床症状の消退をもたらす。

(注1)免疫グロブリン静注:免疫グロブリンは血液中の血清という部分にある蛋白の一つで、外界から体に入ってきた病原体にくっついて免疫反応を起こし病原体を溶かしたりして駆逐するもの。ここで指すのは人間の血液から、免疫グロブリンのみを精製して薬としたもので、いわゆる血液製剤の一つ。表166-2で示されているのは、「免疫グロブリンを体重1kgあたり2gの量で10〜12時間かけて点滴する」という治療法。
(注2)高用量アスピリン:アスピリンは鎮痛解熱剤として古くから使われている薬剤。作用機序から、低用量では血小板の作用を低下させ、高用量では炎症を抑える作用が強く出る。表166-2では、川崎病急性期で使用する量として80〜100mg/kg/日を示されている。

IVIG reduces the prevalence of coronary disease from 20-25% in children with aspirin alone to 2-4% in those treated with IVIG and aspirin within the 1st 10 days of illness.

(訳)免疫グロブリン静注療法は冠状動脈病変の発生率を低下させる。10病日までで検討すると、アスピリン単独で治療した場合20から25%の患児に冠状動脈病変がみられたのに対し、アスピリンに免疫グロブリンを併用した場合は2から4%にしか冠状動脈病変がみられなかった。

Aspirin is decreased from anti-inflammatory to antithrombotic doses (3-5mg/kg/24 hr as a single dose) on the 14th illness day or when a patient has been afebrile for at least 3-4 days. Aspirin is continued for its antithrombotic effect until 6-8wk after onset, when the ESR has normalized, in patients who have not developed abnormalities detected by echocardiography.

(訳)アスピリンは14病日の時点か、3−4日無熱の状態が続いた時点で抗炎症作用の量から抗血小板作用の量(体重1kgあたり3から5mg/日)へ減量される。そして、その抗血小板作用を期待して心臓超音波で冠状動脈の異常が進行していないされた患児では、発症後6から8週まで使用される。

Occasional patients do not respond to an initial IVIG infusion or have only a partial response. Strong consideration should be given to re-treatment of these patients with an additional infusion of IVIG, although the effecacy of such treatment remains unproven. The use of corticosteroids in Kawasaki disease remains controversial and is not generally recommended at this time.

(訳)稀に、初回の免疫グロブリン静注で効果がない、あるいは効果が限定的であるといった患児がいる。そのような患児においては、追加の免疫グロブリン静注を強く考慮されるが、その効果についてはわかっていない。川崎病における副腎皮質ステロイドの使用については論争のある部分であり、現時点では一般的に勧められるものではない。

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川崎病の治療についてまとめると....
1.作用機序はわからないが、ほとんどの患児で免疫グロブリン静注の効果があり、冠状動脈病変の出現も抑制する。
2.同時に急性期ではアスピリンを高用量で用いて抗炎症作用を期待する。また、解熱後は低用量で発症後6から8週まで使用する。(冠状動脈病変を合併しない場合)
3.初回の免疫グロブリン静注で効果がない場合は、追加の免疫グロブリン静注を考慮する。
4.副腎皮質ステロイドは現時点では広く勧められるものではない。
ということになります。

これから先は、補足ですが....
免疫グロブリン静注(日本ではガンマグロブリンと呼ぶ方が一般的です。)を受けた川崎病の患児のうち約15%が不応例(つまり効果がない、あるいは効果が限定的)であるとされています。それらの患児に対しては、ガンマグロブリンの追加投与や抗炎症作用のあるウリナスタチン(商品名:ミラクリッド)という薬を使うことが多い様です。発熱が長期間持続すると有意に冠状動脈病変の合併割合が増加することがわかっており、何とかして病勢を抑える様、治療します。
また、ステロイドの投与については、これまで「冠状動脈病変の合併割合を増加させる」とされ、川崎病には「禁忌」とされてきましたが、ガンマグロブリンとステロイドパルス療法(注3)の併用などで治療効果がでる可能性を指摘した文献もあり、今後の検討が待たれるところです。
アスピリンについては、小児領域では川崎病や若年性リウマチなどの病気以外ではほとんど使用されなくなっています。それは、アスピリンとインフルエンザや水痘の罹患の組み合わせで「有意にReye症候群という脳症をひき起こす率が高くなる」という結果がでており、アスピリンとReye症候群との関連が考えられているからです。川崎病で冠状動脈に病変をのこした場合、アスピリンも長期投与となりますが、この場合もインフルエンザや水痘に対して慎重な対応が求められます。

(注3)ステロイドパルス療法:メチルプレドニゾロンという副作用の比較的少ないステロイド薬を用いて、限界に近い大量のステロイド薬を1日おきに点滴する治療法。1日おきに使用することにより、副腎に与える影響を小さくして治療できる。

とりあえず、川崎病に関しては本日の記事でおしまいにしたいと思います。

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2006年7月13日 (木)

診断は難しい

2006年7月13日 晴れ ときどき 激しい雨
グングン気温はうなぎ上り!すでに夏です。ヘルパンギーナ、溶連菌感染症、ヘルペス性歯肉口内炎、伝染性単核球症、水痘などなど感染症がどんどん増加...外来の人数も増えてきました。外来は17時には終われません...

ココログは、この時間でも結構スイスイ。気持ちよく動いてくれます。

さて、今日はこんな記事が....
誤診で4630万賠償命令(共同通信)

『熊本県山鹿市の消防職員の男性が2カ所の入院先で肺塞栓症を心疾患と誤診され死亡したとして遺族が病院を運営する山鹿市と日本赤十字社に計約9570万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、福岡高裁は13日、訴えを退けた一審熊本地裁判決を変更し、同市と日赤に計約4630万円の支払いを命じた。西理裁判長は「心電図などから肺塞栓症を疑うべきだった」などとして医師の過失を認定。』

肺血栓塞栓症は非常に重症な経過をとることもある厳しい病気です。俗に、「エコノミークラス症候群」といわれるものは、飛行機などの室内で長時間椅子に座った姿勢を続けることにより、下肢の静脈内に生じた血栓(注1)が、心臓に流れ、そして肺動脈を塞栓(注2)したものとされています。同様に、何らかの原因で下肢、あるいは腰の部分に血栓が生じて、それが心臓、肺動脈に流れ塞栓したもの全体を肺血栓塞栓症といいます。(つまり、エコノミークラス症候群は肺血栓塞栓症の一部となります。)

(注1)血栓:血管内に生じた「血の塊」。
(注2)塞栓:血栓等で血管が「つまる」こと。その部位から下流の血流は途絶えてしまう。

症状は、酸素を血液中に送り込む肺の血流が途絶えるような徴候で、呼吸困難や失神、胸痛、ひどい場合はショック(注3)、突然の心肺停止などと「かなり幅が広い」といえます。また、前期の症状は、まず急性心筋梗塞に酷似し、その他うっ血性心不全などにもよく似ています。疑って診断をつけるためにはかなりの臨床経験を要するのでは?と考えます。

(注3)ショック:血液の循環がうまくいかなくなり、末梢の組織が酸素不足になる状態。

胸部レントゲンでは、肺血管陰影の減少などをみることが多いですが、これは余程注意深くみないと見つけられません。また、心電図では右心系の負荷所見をみることが多いのですが、典型的な所見を示すものはなかなかないようです。診断の決め手となるのは、肺血流シンチグラフィー(注4)、肺血管造影などですが、造影剤を用いた肺CTでも「造影欠損」から診断できる場合もあります。

(注4)肺血流シンチグラフィー:放射性同位元素を用いて、肺の血流を確かめる検査。

最近、私が主治医をしたわけではありませんが、高齢者の方で「失神」からこの病気を診断したケースがありました。救急車にて搬入されたのですが、原因がしばらくわからず、2日後にとった造影CTにて診断ができたというものでした...。このように診断が難しい病気についても、民事訴訟で医療側が敗訴することがみられるようになりました。医師に期待される知識のレベルは時代とともに高くなっていくのだと...感じました。

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復活!

2006年7月13日 晴れ

ココログ復活です。

レスポンスも良いようです!

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2006年7月 9日 (日)

ココログの調子...

2006年7月9日 晴れ
台風のおかげか?晴れのよい天気です。気温もグングンうなぎ上りで...35℃は超えたのでは??というところです。

さて、医療の話題とは全く関係のない話題ですが、ココログは今、絶不調です。とにかく動きが遅く、投稿もできないこともあります。この障害に関して7月11日14時から7月13日14時までメンテナンスを行うということですが、その間は投稿不可となります。その間は更新できないことを、お知らせいたします。

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予防接種のとり違い

2006年7月8日 雨時々雷雨
今日は地域の輪番で午前中は外来でした。

このような記事が...目にとまりました。<予防接種ミス>乳幼児10人に予定外ワクチン 体調不良に(毎日新聞)

『北海道津別町が民間病院「津別病院」(同町、近藤益夫院長)に委託して4月18日に行った予防接種で、10人の乳幼児に誤って予定外のワクチンを接種し、うち6人が発熱などの体調不良に陥っていたことが3日、分かった。』

『町などによると、当日は看護師4人が13人の乳幼児(生後3カ月〜6歳8カ月)に3種(ジフテリア・破傷風・百日ぜき)混合ワクチンを接種する予定だったが、このうち10人に対し、誤って麻しん・風しん混合ワクチンを接種したという。
 ワクチンは当日の午前中に町内の薬局から25本が納入された。同院はすべて3種混合ワクチンと思い込んだが、発注していない麻しん・風しん混合ワクチンが10本含まれ、このすべてが接種に使われた。発注外のワクチンが紛れ込んだ原因は調査中だが、近藤院長らは「すべてのワクチンを確認すべきだったが、怠った」と、対応の不手際を認めた。』

現場に居たわけではありませんので、どうしてこの様なことが起こったのか?は正確にはわかりません。ただ、ワクチンの箱の色が違うので通常は、「何か変だ」と異常に気付くような気がしますが....ワクチンの管理や接種について経験の少ないチームであったのか?と考えます。

因に、私の勤めている病院では、ワクチンは接種を受ける予定の児の体温などを計測し、射てそうならば溶解しています。溶解後は、それぞれの注射器にワクチンの箱に付いている「ワクチンの名前とロット番号の印刷されたシール」を貼っています。溶解したワクチンの箱には、有効期限が書いてありますので、それをカルテ、母子手帳、問診票に記入しています。結構な暇がかかりますが、全部自分で記入していて、期限切れのワクチンが紛れ込んでいたのを気付いたことや、麻疹ワクチン予定の児に水痘ワクチンを接種しようとしていたことに気付いたことがあります。

ただ、これをやっていると、予定の児が多くなると、めちゃくちゃ時間がかかるようになります。多くの接種をこなされるところではちょっと難しいかもしれません。

また、今回のケースでは不活化ワクチンであるDPT(ジフテリア百日咳破傷風ワクチン)と生ワクチンであるMR(麻疹風疹ワクチン)の2種類の混合ワクチンをとり間違えたことになりますが、接種可能年齢が違います。DPTは生後3ヶ月から、MRは1歳以降となります。どの年齢の児に接種したのかははっきりしませんが、どちらのワクチンも副反応として発熱は充分に考えられるものであり、MRに関しては(導入されたばかりなので)データはありませんが、接種後10人に1人は約1週間後から2週間までの間に発熱や発疹がみられることが多いのではないか?とも思っております。
「乳幼児10人に予定外ワクチン 体調不良に」というタイトルで、予定外ワクチンと体調不良が「さも」因果関係がある様に感じられますが、その因果関係は恐らくあまりないのでは?と考えます。
でも、とり違いは、いけません。同様のことが発生しないようにシステムを改める必要があります。

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2006年7月 7日 (金)

「誤診列島」という書物

2006年7月7日 雨
七夕なのにお空はドンヨリ。
<七夕は年に一度、おり姫星(織女星、西洋風には、こと座のベガ)と、ひこ星(牽牛星、西洋風には、わし座のアルタイル)が天の川をわたってデートすることを許された特別な日とされています。(Astro artsより)
という特別なに日なのに...などと思いながら....

昨日は、当直でちょっと忙しく、更新できませんでした。

さて、以前より少しづつ読み進めていた「誤診列島」ですが、このほど読み終わりました。著者の中野次郎氏は日本の医学部卒業後45年にわたりアメリカのでの医療に従事してきました。

この書物の中では、主に1.アメリカと日本との間にある医学教育の大きな差。2.アメリカの医療の現場の差。3.日本の医療の大きな問題点である「薬の問題」。などに鋭い指摘をされている様です。

この書物から、「アメリカの医学教育には学ぶ点は多い!」という感覚を受けます。ただ、医療の現場に関しては、この書物の中ではアメリカでの医療保険に入れない方々のことについては余り多くは触れられていないこと、市中病院のERの状況等も忠実に再現されているのか??とは感じました。

ただ、最後の「あとがきにかえてー」では...
『さらには、ノンフィクション・ライターの医師や病院批判等の著書にも、激しい憤りを感じました。なぜなら、彼らの批判の対象である臨床医が、いかに絶えず決断を迫られながら、診療に従事しているかという苦悩に対する認識が、まったく感じられなかったからです。』とのフレーズがあり、感覚を共有することができます。

この書物が訴えたいことは、日本の医学教育における制度不備、また、日本の医療における制度不備であり、問題の根底には厚生労働省も大きく関わっている。ということではないか?と考えます。

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2006年7月 5日 (水)

川崎病_診断

2006年7月5日 雨ときに雷雨
北朝鮮が夕方に更にもう一発ミサイルを発射した様です。

2日間あけましたが、川崎病の続きをいきます。今日は診断についてです。
Nelson Textbook of pediatrics, 16th ed.から

Diagnosis.
The diagnosis of Kawasaki disease is based on demonstration of characteristic clinical signs (Table 166-1). The diagnostic criteria require the presence of fever for at least 5 days and at least four of five of the other characteristic clinical features of illness. Atypical or incomplete cases in which a patient has fever with fewer than four other features of the illness and then develops coronary artery disease have been described worldwide. Atypical cases are most frequent in infants, who unfortunately have the highest likelihood of developing coronary artely disease.

(訳)
診断
川崎病の診断は表166-1に示す、特徴的な徴候が表れることによりなされる。診断基準は最低5日間持続する発熱と5つの川崎病の特徴的な臨床徴候のうち4つまでがみられた場合とされている。非典型例や不全例といわれれるものは、発熱がみられその他の川崎病の徴候が4つ未満しか満たさないもので、冠状動脈病変を合併したものと世界中で記述されている。非典型例は乳児に最も多く、そして不幸なことに乳児は冠状動脈合併症をともなう確率がもっとも高いとされている。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

川崎病の診断は、臨床徴候によりなされます。(1)5日間以上持続する38℃以上の発熱。(2)両側の眼球結膜(注1)の充血(ほとんどは眼脂を伴わない)。(3)口腔咽頭粘膜の発赤、口唇の発赤、苺舌。(4)四肢末梢の変化。急性期には硬性浮腫(注2)、回復期には膜様落屑(注3)。(5)非定型発疹。(6)頚部リンパ節腫脹。のうち、発熱を含む5/6以上を満たせば川崎病と診断されます。
典型例では5日以前にこの診断基準を満たして、診断治療と進むことができますが、病気の常ですが、「非典型例」「不全型」などといわれる一群が存在します。特に、生後6ヶ月程度までの乳児例に多いのは、「不全型」で川崎病の徴候が揃わず、「何だかわからない高熱が続く」という状態となることがあります。臨床的によく熟練された小児科医は、「川崎病では??」という勘をもって、冠状動脈病変がないか?心臓超音波をみることがありますが...中には、何だかわからないうちに発熱が持続し、気付いた時には冠状動脈瘤ができているということもあります。そういった意味で、「川崎病の(早期)乳児例は非常に診断の難しい一群である。」との認識を持たなければなりません。

また、年長児で合併しやすいのは、肝臓酵素上昇です。特に、胆嚢炎を合併しやすいともいわれており、年長児で発熱、肝臓の値の上昇、黄疸などを認めた場合は、川崎病も念頭におき診療にあたるよう研修医の時分に教わりました...。

(注1)眼球結膜:いわゆる白目のこと。
(注2)浮腫:むくみのこと。
(注3)落屑:皮がはげる状態。

治療や合併症については、明日以降とします。

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2006年7月 4日 (火)

兵庫県での状況

2006年7月4日 曇りのち雨
時々は雷を伴って激しく降るような一日でした。

さて、兵庫県でも産科、小児科医の減少と、事態を克服するための集約化が進んでいる様です。九州では、大学に入局する産科の研修医が激減し、地域の産科医療が崩壊する一歩手前の状況です。地域での周産期医療の崩壊が現実味を帯びて感じられます。

産科空白地帯 県内に12市町(神戸新聞)

『出産施設の空白地は相生、たつの、加西、朝来、淡路、加東市、猪名川、播磨、市川、佐用、香美、新温泉町。市町立病院での再開を目指すのは、加西、加東市と香美町で、たつの市は開設を検討している。』
神戸市を抱える、兵庫県でもこれだけの数の空白地帯があるんですね...

『加西市立加西病院は、医師二人がほかの病院に移ったため、今年六月から分(ぶん)娩(べん)の取り扱いを休止した。存続を求める約二万人分の署名が出され、病院側は神戸大などに医師派遣を依頼するなどしたが、確保できないまま。同市の出生数は年間四百人以上あり、不安の声が上がる。』
これは、産科医療の集約化の過程で生じたことであると認識しています。現状では、より安全な分娩を得るためには「集約化やむなし」であると思います。(これは、日本産科婦人科学会から公式に提言されております。)

『香美町立の公立香住総合病院も、二〇〇五年三月で分娩を休止。町民は近隣自治体で出産せざるを得ないが、同町は「病院まで時間がかかり、妊婦や家族は心配を抱える。雪が積もればさらに負担が大きい」と話す。』
産科を取り巻く現状を考えると、実働の人数は減少する一方で、新入の産科医は少なく、進行性に状況は悪化しています。産科医の過重労働、そして周産期におけるトラブルは即、訴訟や刑事訴追に直結する。このような状況が改善されない限り、この人員減の傾向は止まらないのではないか?と考えます。当面は、地域での産科医療を根絶やしにしないために集約化を進め、状況が好転するのを待つしかありません...。

『子どもを取り巻く医療では、全体の七割にあたる三十一市町が、産科・小児科の医師不足、夜間や休日の小児救急体制の整備・維持を課題に挙げた。

 医師不足は全国的な課題で、都市部でも深刻。「小児科医の減少や新人医師が小児科を敬遠するため、二十四時間の救急体制の維持が難しくなっている」(姫路市)「休日夜間急病診療所の小児科が近い将来維持できない可能性が高い」(尼崎市)などと答えた。』
恐らく、住民の方々の小児科に対するニーズは、24時間の診療ということではないか?と思っています。それを受け止める仕組みを作るためには、残念ながら現状は余りに貧弱です。これを実現するには、小児科の入院ベッドをもった病院に、北米でいうER(緊急救命室)を別建てで併設し、ER及び病院小児科に充分なskillを持ったスタッフをそろえることが必要です。これを、まじめに行おうとすれば各都道府県に1つ程度のセンターができるかどうか?であろうと思いますし、当然それにかける医療費も大変なものになるであろうと思います。
因に、アメリカではこのようなERで小児の時間外、救急も診ている様ですが、対GNP比の医療費比率は日本の約2倍です。そして、日本に比較して病院の集約化が極めて進行しているため、センター病院へのアクセスはかなり難しい、そして医療保険に加入していない方もいるので、日本の様に平等に医療を受けることはできません。

厚生労働省は、現状の医療費を増やすことはせず、アメリカ型の医療を、現在のFree accessの部分は変えずに行うようにする。という算段の様ですが...これは到底無理な話で、病院の厳しい集約化を進め、更に医療費を増やさないと実現できるものではないと考えます。

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2006年7月 3日 (月)

看護師さんの業務量

2006年7月3日 晴れのち雨
暑い一日でした。外来はエアコンなしではいられない状態でした....

さて、以前に拙ブログ:多忙による影響として看護師さんの業務量が増加し、それがミスを導いているかもしれないとの記事を書きました。

そして、最近の記事でも看護職員の業務量、7割が増えた 京都医療労組連が実態調査(京都新聞)で同様の問題が取り上げられています。

その中で、『京都医療労働組合連合会はこのほど、京都府内の組合員の看護職員を対象にした労働実態調査で、業務量が増えたとの回答が約7割と、5年前の前回調査より20ポイント近く上昇したとする調査報告を発表した。過去3年間に医療ミスやヒヤリとした「ニアミス」の経験者は9割近くに上り、看護現場の厳しい状況が浮き彫りになっている。』との記載があり、看護師さんの多忙さと、医療ミスやニアミスとの間に関連を示唆する内容です。

また、『「十分な看護が提供できているか」との問いには「できていない」が65・7%(同55・6%)と上昇。理由の上位には人員不足や業務過密が並んだ。また、医療事故が起きる原因についての問いには、「医療現場の忙しさ」が86・7%で突出。「交代制勤務による疲労」が39%、「看護の知識や技術の未熟さ」は38・6%だった。』とも記されています。

私の勤務する病院でも、いつも看護師さんは走り回っている状態です。一人一人の患者さんに充分時間をとって、看護を提供したいと思っても、日常業務はそれを許してくれないように感じます。欧米に比較すると、病院の1ベッドあたりの病院職員数は約1/5であるとされていますが、これは確実に医療現場へ影響していると感じます。

ここから先は私見ですが、医療ミスはその行為を施行した医療者の技術不足などにより起こることもありますが、その上級者がしっかりと監督できるような、少しのゆとりがあれば、かなりの数の「技術不足」によるミス、事故を防ぐこともできるのではないか?とも思っています。医療者の平均収入を上げるのではなく、患者さん一人に関連する医療者の数を増やすために、医療費が若干の伸びを示すことは必要なことではないか?そう、思えます。

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2006年7月 2日 (日)

川崎病_概念

2006年7月2日 晴れのち雨
午前中は晴れ。梅雨の晴れ間に少し外に出る事ができました。

今日から「川崎病」について少しまとめてみたいと思います。いつものように但し書きですが...私は小児科一般を診ている小児科医ですが、川崎病に関しては一般レベル以上の経験や知識を持ち合わせていないと考えております。ここで述べる事柄は、あくまで一般的に認知されており、教科書に載っているレベルのものです。特に現在治療中で、専門の先生方に診療を受けている患者さんに対しましては、質問に適切に答えられない可能性がありますので、その部分を御了知いただきたく存じます。

概念としては、1967年に当時日赤中央病院(現在の日赤医療センター)小児科におられた川崎富作先生が遷延する高熱、眼球結膜の充血、四肢末梢の変化(初期には浮腫【むくみ】、回復期には膜様落屑【皮が剥げる事】)、リンパ節腫脹【腫れる事】、苺様舌【舌の表面が苺の表面のようにブツブツすること】、発疹などを呈する一群を報告されました。それが、現在では川崎病(KAWASAKI DISEASE)として世界共通の病名で呼ばれています。

日本人に多く、発症は2から3歳にかけて多いとされています。病気の原因については、いろいろな説がでては消えていく状態で、はっきりとはわかっていません。ただ、川崎病は同時期、同地域に群発する傾向があり、何らかの内因性の因子(いわゆる体質)と、何らかの感染などが重なり合って生じるものではないか?と考えられている様です。

病態は、全身の血管炎【血管の壁に炎症が起こり、いろいろな症状を起こす病態】と考えられており、血管が存在する全ての器官を巻き込んだ症状が出現する可能性があります。肝臓や腎臓の障害、けいれんなどの脳の障害、重症の場合に生じる播種性血管内凝固症候群、ショック【血液の循環ができなくなる状態】など、あらゆる症状です。しかし、通常一番問題となり、その転帰を決定づけるものは心臓を栄養する冠状動脈の合併症です。
川崎病では全身の血管に異常を起こすことが考えられますが、どういう訳か?特に冠状動脈が侵されやすいのです。血管の壁に炎症が起き、壁が弱くなります。そうするとその部分が横の方向に腫れてくることがあります。そして、形成されるのが「冠状動脈瘤」です。

瘤のように広がった冠状動脈瘤の中では、血液の流れるスピードが急速に落ちます。血液は性質上、流れるスピードが低下すると固まりやすいという性質を持っています。よって、この瘤の中で、血の固まり【血栓】が生じ、大事な心臓を栄養している冠状動脈の血液の流れがストップしてしまうこともあります。そうなると、心筋梗塞【心臓の筋肉が一部分死んでしまうこと】が起こり、重篤な状態となります。また、非常に稀ですが、巨大な冠状動脈瘤の場合、一部が破れてしまう【冠状動脈瘤破裂】ことがあり、この場合は心臓を包んでいる膜(心膜)と心臓の間に血液がたまり、心臓が圧迫され血液を送り出すことができない状態となること【心タンポナーデ】があります。この場合も、非常に重篤で考え得る処置を、早急に行っても助けることができないということもあり得ます。

現在は、この病気の原因は不明ですが、かなりの割合で効果を発揮する治療法がわかってきており、冠状動脈瘤を形成することは少なくなりました。でも、早期の乳児例などでは診断を付けることが非常に難しかったり、治療が奏効しなかったりする患者さんもおられ、まだまだ難しい問題をはらんでいる。そういう病気です。

診断や治療については、明日以降としたいと思います。

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2006年7月 1日 (土)

研修医の先生のブログ

2006年7月1日 晴れのち曇り

今日は地域の輪番で午前中、外来です。気候もよくなり、ずいぶんと患者さんの数は減ってきました。

さて、少しblogのサーフィンをすると研修医の先生のブログが...どうも将来は地域医療に挺身される予定のようですので、あのJ大学の後輩か??などと....

こちらです→はなこのしっぽ

立派な医師になられることを祈っております。がんばれー!

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