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2006年7月 5日 (水)

川崎病_診断

2006年7月5日 雨ときに雷雨
北朝鮮が夕方に更にもう一発ミサイルを発射した様です。

2日間あけましたが、川崎病の続きをいきます。今日は診断についてです。
Nelson Textbook of pediatrics, 16th ed.から

Diagnosis.
The diagnosis of Kawasaki disease is based on demonstration of characteristic clinical signs (Table 166-1). The diagnostic criteria require the presence of fever for at least 5 days and at least four of five of the other characteristic clinical features of illness. Atypical or incomplete cases in which a patient has fever with fewer than four other features of the illness and then develops coronary artery disease have been described worldwide. Atypical cases are most frequent in infants, who unfortunately have the highest likelihood of developing coronary artely disease.

(訳)
診断
川崎病の診断は表166-1に示す、特徴的な徴候が表れることによりなされる。診断基準は最低5日間持続する発熱と5つの川崎病の特徴的な臨床徴候のうち4つまでがみられた場合とされている。非典型例や不全例といわれれるものは、発熱がみられその他の川崎病の徴候が4つ未満しか満たさないもので、冠状動脈病変を合併したものと世界中で記述されている。非典型例は乳児に最も多く、そして不幸なことに乳児は冠状動脈合併症をともなう確率がもっとも高いとされている。

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川崎病の診断は、臨床徴候によりなされます。(1)5日間以上持続する38℃以上の発熱。(2)両側の眼球結膜(注1)の充血(ほとんどは眼脂を伴わない)。(3)口腔咽頭粘膜の発赤、口唇の発赤、苺舌。(4)四肢末梢の変化。急性期には硬性浮腫(注2)、回復期には膜様落屑(注3)。(5)非定型発疹。(6)頚部リンパ節腫脹。のうち、発熱を含む5/6以上を満たせば川崎病と診断されます。
典型例では5日以前にこの診断基準を満たして、診断治療と進むことができますが、病気の常ですが、「非典型例」「不全型」などといわれる一群が存在します。特に、生後6ヶ月程度までの乳児例に多いのは、「不全型」で川崎病の徴候が揃わず、「何だかわからない高熱が続く」という状態となることがあります。臨床的によく熟練された小児科医は、「川崎病では??」という勘をもって、冠状動脈病変がないか?心臓超音波をみることがありますが...中には、何だかわからないうちに発熱が持続し、気付いた時には冠状動脈瘤ができているということもあります。そういった意味で、「川崎病の(早期)乳児例は非常に診断の難しい一群である。」との認識を持たなければなりません。

また、年長児で合併しやすいのは、肝臓酵素上昇です。特に、胆嚢炎を合併しやすいともいわれており、年長児で発熱、肝臓の値の上昇、黄疸などを認めた場合は、川崎病も念頭におき診療にあたるよう研修医の時分に教わりました...。

(注1)眼球結膜:いわゆる白目のこと。
(注2)浮腫:むくみのこと。
(注3)落屑:皮がはげる状態。

治療や合併症については、明日以降とします。

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コメント

先生に質問です。
5ヶ月になる息子が発熱から8日目に川崎病と診断されました。入院から5日目の衝撃の上、その日の午後に受けた心エコーで環状動脈瘤が発見されて、初めて診断がおりました。もともと通っていた小児科の先生から川崎崎病の疑いあるのでということで大きな病院に転院しました。

小児科の先生に診ていただいたときは完全に5つの症状がありました。(4日目でしたが、高熱、発疹、赤い目と、唇、手足の腫れ)それに加えBCGの後も赤かったことも考えるとなぜ不全型としてしまったのかという疑問はいまだに残っています。
不全型という病院側には不満があるままです。
総合病院では川崎病とは思えないのでウイルス感染ということで血液の検査でウイルス感染があるかどうかを調べてからという
ことを優先しておいて、川崎病の疑いを無視していた(忘れていた?)と考えております。どう思われますか?
先生は乳児の川崎病を診たことがありますか?

投稿: しおみ | 2006年7月21日 (金) 00時20分

こんばんは
しおみ さま

コメントありがとうございました。御質問をお受けしましたが、この川崎病シリーズの最初に記しました通り、私は一般の小児科医であり川崎病を専門に診ている医師ではありません。また、現在治療を受けられている患者さんに対しては適切に返事を返せるかはわからないとしております。以上のことを御了知の上、以下の返答をお読みください。

まず、「乳児の川崎病を診たことがありますか?」との御質問ですが、この病院に勤務し始めて約6年となりますが、この間10例の川崎病の患者さんを診療しました。そのうち、3例が乳児例です。本記事の中でも触れましたが、いずれも診断にやや苦労しました。

「小児科の先生に診ていただいたときは完全に5つの症状がありました。(4日目でしたが、高熱、発疹、赤い目と、唇、手足の腫れ)それに加えBCGの後も赤かったことも考えるとなぜ不全型としてしまったのか」とのことですが、川崎病の診断基準の中では、やはり発熱は5日なのだと思います。ですから、この時点では川崎病とは診断できない(でも強く疑うでしょう)ということになります。ただし、5日目以前で強く川崎病を疑うものについて、その時点で治療すべきか?すべきでないか?で現在もかなりの議論のあるところです。

「不全型という病院側には不満があるままです。」
よくよく、病院側、主治医の先生とお話をするべきだと思います。そして、納得のいかない点は残さず質問して詰めておくべきであると思います。そして、病院側、主治医の先生にはそれに答える義務があると思います。

不幸にしてできてしまった冠状動脈瘤が、治療により退縮し、後遺症を残さず治癒されることを願ってやみません。

投稿: befu | 2006年7月21日 (金) 22時14分

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