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2006年7月 2日 (日)

川崎病_概念

2006年7月2日 晴れのち雨
午前中は晴れ。梅雨の晴れ間に少し外に出る事ができました。

今日から「川崎病」について少しまとめてみたいと思います。いつものように但し書きですが...私は小児科一般を診ている小児科医ですが、川崎病に関しては一般レベル以上の経験や知識を持ち合わせていないと考えております。ここで述べる事柄は、あくまで一般的に認知されており、教科書に載っているレベルのものです。特に現在治療中で、専門の先生方に診療を受けている患者さんに対しましては、質問に適切に答えられない可能性がありますので、その部分を御了知いただきたく存じます。

概念としては、1967年に当時日赤中央病院(現在の日赤医療センター)小児科におられた川崎富作先生が遷延する高熱、眼球結膜の充血、四肢末梢の変化(初期には浮腫【むくみ】、回復期には膜様落屑【皮が剥げる事】)、リンパ節腫脹【腫れる事】、苺様舌【舌の表面が苺の表面のようにブツブツすること】、発疹などを呈する一群を報告されました。それが、現在では川崎病(KAWASAKI DISEASE)として世界共通の病名で呼ばれています。

日本人に多く、発症は2から3歳にかけて多いとされています。病気の原因については、いろいろな説がでては消えていく状態で、はっきりとはわかっていません。ただ、川崎病は同時期、同地域に群発する傾向があり、何らかの内因性の因子(いわゆる体質)と、何らかの感染などが重なり合って生じるものではないか?と考えられている様です。

病態は、全身の血管炎【血管の壁に炎症が起こり、いろいろな症状を起こす病態】と考えられており、血管が存在する全ての器官を巻き込んだ症状が出現する可能性があります。肝臓や腎臓の障害、けいれんなどの脳の障害、重症の場合に生じる播種性血管内凝固症候群、ショック【血液の循環ができなくなる状態】など、あらゆる症状です。しかし、通常一番問題となり、その転帰を決定づけるものは心臓を栄養する冠状動脈の合併症です。
川崎病では全身の血管に異常を起こすことが考えられますが、どういう訳か?特に冠状動脈が侵されやすいのです。血管の壁に炎症が起き、壁が弱くなります。そうするとその部分が横の方向に腫れてくることがあります。そして、形成されるのが「冠状動脈瘤」です。

瘤のように広がった冠状動脈瘤の中では、血液の流れるスピードが急速に落ちます。血液は性質上、流れるスピードが低下すると固まりやすいという性質を持っています。よって、この瘤の中で、血の固まり【血栓】が生じ、大事な心臓を栄養している冠状動脈の血液の流れがストップしてしまうこともあります。そうなると、心筋梗塞【心臓の筋肉が一部分死んでしまうこと】が起こり、重篤な状態となります。また、非常に稀ですが、巨大な冠状動脈瘤の場合、一部が破れてしまう【冠状動脈瘤破裂】ことがあり、この場合は心臓を包んでいる膜(心膜)と心臓の間に血液がたまり、心臓が圧迫され血液を送り出すことができない状態となること【心タンポナーデ】があります。この場合も、非常に重篤で考え得る処置を、早急に行っても助けることができないということもあり得ます。

現在は、この病気の原因は不明ですが、かなりの割合で効果を発揮する治療法がわかってきており、冠状動脈瘤を形成することは少なくなりました。でも、早期の乳児例などでは診断を付けることが非常に難しかったり、治療が奏効しなかったりする患者さんもおられ、まだまだ難しい問題をはらんでいる。そういう病気です。

診断や治療については、明日以降としたいと思います。

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