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2006年6月13日 (火)

病院の懐具合

続けて、時事の話題をもう一つ....ちょっと脱線します。

55医療法人、廃業に追い込む=高金利で貸し付け、業者逮捕−警視庁

『門田容疑者らは78の医療法人に違法な貸し付けを行い、うち55法人が返済に困り、廃業に追い込まれたという。』
昨今の、診療報酬改正で診療収入は軒並ダウンという状態です。何とか食いつないでいくために、ヤミ金に手を染める病院があってもおかしくはないでしょう....開業医の先生方の悲哀が感じられます。

しかし、出資法違反(高金利)とはどの程度の金利か?ということですが...

出資法第5条第2項
『前項の規定にかかわらず、金銭の貸付けを行う者が業として金銭の貸付けを行う場合において、年二十九・二パーセント(二月二十九日を含む一年については年二十九・二八パーセントとし、一日当たりについては〇・〇八パーセントとする。)を超える割合による利息の契約をし、又はこれを超える割合による利息を受領したときは、三年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。』
つまり、貸し付けを生業としている業者が、年率29.2%の利率を超えた金利で貸し付けを行ってはいけないということでしょうか?住宅ローンが利率3%程度ですから、その10倍を超えて貸し付けていたのでしょうね....

更に、消費者金融での金利で問題となるのは....
利息制限法第1条
『金銭を目的とする消費貸借上の利息の契約は、その利息が左の利率により計算した金額をこえるときは、その超過部分につき無効とする。
  元本が十万円未満の場合          年二割
  元本が十万円以上百万円未満の場合     年一割八分
  元本が百万円以上の場合          年一割五分
2  債務者は、前項の超過部分を任意に支払つたときは、同項の規定にかかわらず、その返還を請求することができない。』
ですが、消費者金融は平気でそれを超えて利息を要求してきていました...そのカラクリはちょっと難しくてわかりにくいです。アイフルの一件で少し変わってきたのでしょうか??

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コメント

これらの医療法人の問題は、高利貸しからお金を借りたことです。高利貸しから金を借りれば、その後の事業継続は不可能なことは常識です。医療の専門家であっても、経営能力はないという所が多いということの実証です。経営能力というのは、一つの技術です。医療のことがある程度理解できる経営の専門家をトップに据えることが必要です。

投稿: 流風 | 2006年6月14日 (水) 05時13分

befu先生が例に挙げられている医療法人の殆どは一人医療法人だったはずです。うちもそういう所に含まれると思います。幸いにしてヤミ金に手を出すような経営状態になっていませんが、とても経営のプロを雇うような余裕はありません。

経営のプロはボランティアで来るわけではありません。ましてやトップに据えるとなればそれ相応の給与が必要です。給与分は医療収入で賄う必要があります。つまり経営のプロは自らの創意工夫で自分の給与分を稼ぎ出し、その上で医療法人の利益を上乗せしないと存在意味がありません。その条件が満たされないなら不要の人材です。

診療所の収支は立場上よく知っています。最大の経費は人件費です。これは蹴っても殴っても減りません。減らせば看護婦はいなくなります。彼女らは売り手市場の人材です。ついでに家賃や開業資金の返済も工夫の余地はありません。

後は光熱費、水道代、材料費、薬剤費、事務コストになりますが、これに占めるコストをたとえ半分にしても正直なところ微々たる物です。ゼロにしてもトップに据える経営のプロを雇う給与は出てきません。

規模の大きい病院であればプロは有効に作用しますし、有力私立病院ではとうの昔に経営に参画しています。ただし零細開業医の一人医療法人では別世界の話だと考えます。

投稿: Yosyan | 2006年6月14日 (水) 13時40分

こんばんは
流風さま Yosyan先生

コメントありがとうございました。今日は何だかアクセス数もかなりの勢いで伸びております。

さて、まずはお二人に同時にレスする失礼をお許しください。

この記事はマスコミから流れる情報を、脚色することなくとりあげておりまして、廃業となった医療法人の詳細については理解できておりません。その部分はご了解ください。

流風さまのいわれる...
<医療の専門家であっても、経営能力はないという所が多いということの実証です。
はまったくもってその通りでして、私のいる公的病院もやはり『赤字』体質で、3つの選択肢のうち一つを選択させられました。地方公営企業法一部適応から全部適応という変化です。病院の人事権、予算権などを今までは首長が握っていて風通しの悪い状態でしたが、トップに経営手腕の高い(他の公的病院を立て直した実績のある)医師を据えて、責任と権限を集中し経営立て直しをはかっています。

臨床を全力でやっている臨床医は経営的な観念がうすいのはある程度は仕方がないことで、そのための補完する人材が必要というのもわかります。

そして、Yosyan先生のいわれる
<規模の大きい病院であればプロは有効に作用しますし、有力私立病院ではとうの昔に経営に参画しています。ただし零細開業医の一人医療法人では別世界の話だと考えます。
これも、全く仰る通りで...経営コンサルタントのようなpart-timeの相談役を御願いできても、full-timeのCEO(というのかは?)というのは零細医療法人では無理でしょう。

そして、これら廃業に追い込まれた医療法人は放漫経営であったのか?また、個人の多重債務者によくあるとされる、生活資金の枯渇のために仕方がなくヤミ金から借りざるを得なかったのか?その部分も新聞からは明らかではありません。特に後者であれば、『遠かれ近かれ廃業する運命にあった』とみるべきかもしれませんが...そうすると、この新聞ネタは少しバイアスがかかっていると、見ていかねばならないのかもしれません。

投稿: befu | 2006年6月14日 (水) 22時15分

世の中にはこういう話もあるということで話を聞いてくださいね。

例えば経営が立ち行かなくなった医療法人に救いの手を差し伸べようと言う人物があらわれます。自分が資金も注入しましょう。その代わり経営にも参加しますよと。当初のうちは資金繰りがよくなって皆大喜び。彼は信頼を得て実権を握ります。そしてもっと収入を上げなくてはと設備投資も始め。。。。ところが彼が注入したという金は、一部単なる見せ金で、多くは診療報酬などを担保にした借金、設備投資を高く払ったことによる裏金というわけです。基本的にヤミ金もグルでしょう。彼が得た収入のほとんどは、保証人である理事長の借財に。損害賠償をするとしても、彼はすでに多重債務者であったりもします。

投稿: 公立副院長 | 2006年6月15日 (木) 08時23分

 今回も、ヤミ金は病院の乗っ取りをたくらんでいたようです。
 診療報酬を押さえられているために、病院側は言いなりにならざるをえず、売上を上げるために会議室やリハビリ室をたたんでベッドにしていたそうです。

投稿: M.T. | 2006年6月15日 (木) 11時51分

診療報酬債権を譲渡担保で、とかやっていたのでしょうね。多少高い利息を払ったから潰れたというわけではなくて、潰れそうな弱みに付け込まれていろいろ搾り取られたということなのですよね。

投稿: 公立副院長 | 2006年6月15日 (木) 14時03分

こんにちは

公立副院長 先生
M.T.先生

貴重なコメントありがとうございました。お二人に同時にレスする愚をお許しください。

公立副院長先生の言われる
<ところが彼が注入したという金は、一部単なる見せ金で、多くは診療報酬などを担保にした借金、設備投資を高く払ったことによる裏金というわけです。

につきましては、医療の世界でもこういったことが起こってきているのだなと実感できます。(失礼ながら、おそらく実例をモディファイされていると推測しております)

M.T.先生の
<今回も、ヤミ金は病院の乗っ取りをたくらんでいたようです。

公立副院長先生の
<潰れそうな弱みに付け込まれていろいろ搾り取られたということなのですよね。

ということが、今回の報道の真相ではないか?とも感じます。様々な方々のご意見、大変参考になります。

投稿: befu | 2006年6月15日 (木) 18時01分

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