« 離島医療 | トップページ | 研修医の先生のブログ »

2006年6月30日 (金)

貴重なコメントをいただきました。

2006年6月24日 曇りのち晴れ
明日が地域の輪番のため、今日はフリーでした。

拙ブログの記事:それぞれの病院の役割に以下のような貴重なコメントをいただきました。書き込まれた方は、ハンドルネームやその内容から類推しますと非常に骨のある立派な小児科医であると思われます。現在の小児医療の問題に関して鋭く指摘されており、拙ブログを読まれた方にも一緒に考えていただきたく、コメントをここにコピーさせていただきました。

『Yosyan先生
兵庫県立こども病院は本当に最低の小児病院でしたね。阪神大震災で受診患者がまったくいなかったのみならず、すぐそばで起きた明石花火大会事故の心肺停止小児患者を一切受け入れなかったのですから。小児病院というのは三次医療をやるぞ、と言いながら実は自分の診たい患者を診ているだけなんですよ。
がんセンターと小児病院を同じレベルで扱うのは間違いです。がんセンターはがん診療に特化している病院で、もちろん小児もいますよね。小児病院は小児診療に特化しているだけで既に特別な病院なのです。決して「小児の難病」のみに特化すべきではないと思います。小児病院と名乗りながら子どもを分け隔てなく受け入れるわけでもなく、特殊中の特殊病院として存在し、それを周りの住民のみならず小児科医も受け入れている・・・笑止千万ですね。』

『behubehu先生
小児病院はすべての子どもに開かれるべきだと思いませんか?あなたのような小児科医が大多数を占めているために、日本の小児病院が腐ったままなのです。兵庫も、千葉も、私が知っている小児病院は、本当にお寒い小児病院です。自分の専門分野の診たい患者だけ一生懸命で、救急患者を毛嫌いする、「何のための小児病院なの?」と問いかけたくなる病院でしたよ。表面上は最後の砦を気取ってはいますがね。』

私は実は「小児病院」というところで働いた事がありません。そして、私のいる自治体には、公的な小児病院はなく、中央の病院の小児科が重症の患者さんを一手に引き受けてくれています。私はそこで働いた事はあるのですが、重症児を持つとほとんど1週間家に帰れないなどというのが当たり前の状態でした。その当時に比較すると、若干人員は増えており、少しゆとりができてきたものと思いますが....それでも、病院の小児科は青色吐息でやっているのが実情であると感じています。

日本の医療はfree accessですので、ちょっとした感冒などの発熱でも、ナショナルセンターといわれる国立の基幹病院に受診する事ができます。しかし、欧米ではそうでないところが多い様です。北米では、予約のない患者さんは基本的にERで診ることになっているようですが、そうするとトリアージの過程で軽症とみなされた患者さんはどんどん順番が下がり数時間待ちということもざらであるとも聞いています。

さて、小児病院ですべての子どもに開かれるべきであるという思想はすばらしいものと思います。私も、現在の小児病院が北米型のERの機能を備え(単に機能といいますが、人員や予算も必要以上に潤沢である必要があります)ており、受診される患者さんも「軽症ならば数時間待つ事もあります」という前提を理解していただければ、是非そうするべきであるとも考えています。

しかし、現状は「小児科医さま」が御指摘のごとく、『本当にお寒い小児病院です』の状況ですので、いきなり1次から3次まで小児病院でまかないなさいということは困難なことではないかと思います。

ただ、「小児科医さま」が仰る...
<阪神大震災で受診患者がまったくいなかったのみならず、すぐそばで起きた明石花火大会事故の心肺停止小児患者を一切受け入れなかったのですから。
というのは、実情を知りませんのでどういった事情であったのか?コメントする事はできませんが、小児病院側が納得できる理由なく受け入れを拒んだとすれば悲しいことであろうと感じます。

この記事はしばらくの間、拙ブログのトップに置いておこうと思っています。忌憚ない御意見をいただければ幸いです。

|

« 離島医療 | トップページ | 研修医の先生のブログ »

コメント

befu先生、Yosyan先生
辛口コメントかもしれませんが、先生方の文章を読ませていただいていくつか感じたことを再度書かせていただきます。

Yosyan先生
先生は兵庫県立子ども病院で初期研修から6年間いらっしゃったとのことですが(blogを読ませていただきました)、一般診療や救急診療を全く行わない子ども病院において、小児科医のスタートとしての十分な研修ができたとお考えですか? よく、「生まれた子どもは最初に見たものを親と認識する」といいますが、小児科医人生において、最初にどのような研修を受けるかはその後の医師としての価値観にも影響を及ぼす大きな問題だと私は思っています。私は、日本の子ども病院が一般診療・救急診療を行わないことは、単に医療サービスを提供していないだけでなく、「将来を担う小児科医の教育に(特に初期教育に)全くといっていいほど貢献していない」点だと思います。三次医療・難病診療ばかり行って、救急診療を行わない病院でバランスのとれた良医を輩出できるとは到底思えません。まさに、専門医のためだけの病院なのです。Yosyan先生は日本の子ども病院の教育に対する役割をどのようにお考えになりますか?

また、兵庫県立子ども病院が救急医療を始めた経緯は先生もご存知のことと思いますが、明石花火大会事故で心肺停止患者(確か、3~4名いましたよね)を受け入れなかったことに端を発しています。それが、「県からの突き上げでやむなく始めた」ですか・・・・まあ、その程度のものなのでしょう。兵庫県立こども病院は心臓外科や小児外科の領域では国内最高峰の病院であることは周知の事実ですが、でもそれだけの子ども病院なんですよね、残念ながら。

befu先生
「長野県立子ども病院は県の宝、一般診療は高度医療の妨げになるので方針の撤回をお願いしたい」との発言は、長野県全体を包んでいる空気を表してるように思います。でも、問題の本質はどこにあるのでしょうか? 小児医療従事者として目指すところが本当にそこでいいのでしょうか? 長野県立子ども病院が名実共に「子どものための」病院になるために、「小児科医」として訴えないといけない部分は他にあると私は思います。確かに、救急専属医もいない現状で一般診療・救急診療を始めることは自殺行為でしょうしお勧めしませんが、だからといって解決法が「救急診療お断り」でいいのでしょうか。 

例えば、先生がご自分の施設に「微熱・腹痛・嘔気」が主訴の患者が受診したとします。全身状態は悪くないが、微熱の割りに頻脈だしⅢ音を聴取するし、ひょっとすと心筋炎かもしれない、と判断したとします。CXRで心拡大もなく、不整脈もなく、CKも300台でどっちつかず・・・でも、心筋炎は怖い・・・ このようなケースを先生ならどうしますか? 「中央の総合病院小児科」へ送りますか?、あるいは子ども病院に送りますか? befu先生の直近の子ども病院は、このような「三次・重症患者と決まっているわけではないが、開業医・一般病院勤務医が心配に思うので診てほしい、と思う患者を24時間365日速やかに受け入れる」医療文化をもっていますか? 心筋炎はつい今まで歩いていた患者が突然心室細動に至る可能性がある超緊急疾患です。「重症」になってからでは遅い疾患です。治療にあたって人工心肺のバックアップが絶対に必要な疾患です。もし、先生の直近の子ども病院が「疑い」の段階で引き受ける体制がないのであれば、それは「子どものための病院」ではないのでしょう。befu先生はどのようにお考えになりますか?

投稿: 小児科医 | 2006年6月25日 (日) 01時27分

befu先生
追加させてください。先生のおっしゃる、「小児病院が小児心肺蘇生患者を断る納得いく理由」って何ですか? 

投稿: 小児科医 | 2006年6月25日 (日) 10時26分

こんばんは
小児科医さま

今日は地域の輪番で、病院は日直が私一人でした。再び貴重なコメントをいただきありがとうございます。また、レスが遅れ申し訳ありません。

コメントに対する返答とは少し離れますが....今日の私の仕事は....
朝8時30分から午後5時まで小児科の外来をしながら、病棟の患者さんもみて、成人を含む患者さんの救急車の対応までをこなします。ちょうど、前日の当直との切り替わりの時間に高齢者の「嘔吐下痢症」という触れ込みの患者さんが救急搬送されてきました。私は救急室に向かっている途中でしたが、病院のストレッチャーに移した途端に意識消失し心拍が触れない状態となり、看護師さんからPHSに連絡がありました。モニター上、心室細動でDC200J一発で戻りましたが、呼吸が不安定のため気管内挿管し12誘導心電図で前壁の心筋梗塞が疑われ循環器内科の先生を呼び出して診ていただきました。いなかの病院ですので、このような事も小児科医ですが診ています。
そして、この処置中に実はもう一本救急隊より電話があったのですが....その状況を説明していただいて、申し訳ないが他の受け入れ先を確保していただくように御願いしました。

うちの病院は救急告示をしていますが、残念ながらこのように重症者の処置が重なりstaffも器材も、場所も確保できない場合は別の医療機関を探していただく様、お願いしております。

小児科医さまはこれだけの崇高な理論を展開されており、いままでの御経験も当方に比較してもすばらしく御積みになっておられると認識させていただいております。同様な状況が小児病院でも起こるならば、それは「小児病院が小児心肺蘇生患者を断る納得いく理由」となることは御理解いただくに難くないと考えております。

また、もう一つですが私は、兵庫県立こども病院に勤務した事がありませんし、明石花火大会事故での現場にも居合わせておりません。ですから、受け入れを拒んだ背景等についても全く存じ上げておりません。
もしかすると「小児科医」さまは、その現場におられて「心肺蘇生を要する患者さんの受け入れを正当な理由なく拒んだ」のを見ておられたのかもしれませんが...少なくとも「私には」批判する権利はないものと考えております。

また、症例として御呈示下さいました「心筋炎疑い」の患者さんですが...私であれば「心筋炎」を疑えば、もちろん高次医療機関へ自分が同乗の上、救急車にて搬送いたします。そして、中央の総合病院の小児科は快く受けていただけると思っております。そして、記事の中でも申し上げましたが、私の住んでいる自治体には公立の小児病院は存在しません。ですので、残念ながら小児病院と総合病院の小児科を比較検討する事ができませんでした。

経験している症例数や年数など、恐らく「小児科医」さまは私より上であろうと思っております。御呈示いただきました「心筋炎」の患者さんについても、私はこれだけの情報で疑えるか?といわれると....こころもとない部分もあります。これからも、いろいろと御指導いただけましたら幸いに存じます。

投稿: befu | 2006年6月25日 (日) 23時33分

befu先生

抑制の効いたコメント、ありがとうございます。先生は私が「崇高な理念」を言っているとおっしゃいましたが、これは現在の状況を直ちに変えようと思って言っているわけではありません。私は、自分達の「孫の代までに」は何とか現状が良い方向に変わってほしいと思っています。自分達の代、子ども達の代までに現状を好転させるには現状があまりに貧困ですよね。将来を考えると、誰かは理念を述べなければならないと思います。理念以上のものを形作ることは困難ですよね。

私も小児科医ではありますが、成人の救命救急センターレジデント(1年)、成人麻酔・集中治療(3か月)、小児麻酔・集中治療(1年)、産科(3か月)の研修は受けております。このような研修を希望したときに、医局の同僚からは「そんな無駄な時間をなんで?」と言われたものです。私の周りにいる小児科医は、他科と交わることなく医局の中で純粋培養されている人ばかりですが、私は諺の如く「急がば回れ」だと実感しています。befu先生もただの小児科医ではないようですので、そのあたりのニュアンスはお分かりいただけるのではないかと思います。

私が成人救命救急・麻酔・集中治療の研修を通じて考えたことのひとつは、「小児救急医療の質の低さ」です。小児科医は小児救急を「量」の問題として捉えています。例えば、初期救急に患者が殺到し激務である、とか、病院勤務医の負担が大きく云々など・・・確かに、小児科医が疲労し閉塞感に満ちていることは事実です。しかし、そればかりに目を奪われて、実はその質の問題が議論されていないことに、成人救命救急を学んで気付きました。小児医療の教育の中心であるべき大学病院や小児病院で救急医療が行われていない現状では、小児救急医療の質の向上など見込めるはずもありません。成人救命救急医が小児科が行う小児救急を馬鹿にしている姿をみて、本当に悲しくなりましたが、事実だと思います。

成人救急医が「小児救急の質の低さ」を真正面から指摘した論文もとある本に掲載されています。悲しいですが、私も読んで「その通りだ」と思わずにはいられませんでした・・・。今、手元にありませんので、後日紹介致します。

投稿: 小児科医 | 2006年6月26日 (月) 02時15分

上記の論文です。

「小児初期救急への挑戦」 へるす出版  2005
Ⅲ これからの小児救急医療体制構築への挑戦
17.「ER型救急医」と小児救急

一部、引用させていただきますと、

・・・・小児救急の問題が、小児科医のマンパワー不足と体制に焦点が当てられて討議されてきているが、私は別のもうひとつの視点で大きな不安を感じている。それは、日本の小児科医の救急診療における能力(質)の問題である。・・・・・・

なかなか、痛烈です。一読をお勧めします。

投稿: 小児科医 | 2006年6月28日 (水) 12時19分

こんばんは
小児科医さま

御教示ありがとうございます。早いうちに入手して読んでみたいと思います。

小児科医様のコメントの中で...
<小児医療の教育の中心であるべき大学病院や小児病院で救急医療が行われていない現状では、小児救急医療の質の向上など見込めるはずもありません。

という記述がありますが、この部分が小児科医さまの一番訴えたい部分ではないのか?と勝手に想像させていただきました。
今後、日本の小児医療の中で乗り越えなければならない一つの問題と認識します。

そして、以前のコメントの中で小児科医さまが
<確かに、救急専属医もいない現状で一般診療・救急診療を始めることは自殺行為でしょうしお勧めしませんが、だからといって解決法が「救急診療お断り」でいいのでしょうか。

と仰っていますが、小児病院の現状では『今は止むを得ない』状態ではあるが、『将来にわたってはこれではならない』と思います。小児科医さまのような篤き志を持った方が声を上げつづけ、現状を打破し、小児病院にERを併設できるような動きにしていくことが必要であると感じています。

話は若干変わりますが、小児科医さまは御自身のblogをお持ちでしょうか?個人のblogはマスコミに比較して明らかに力はありませんが、真実の情報を流すことができると思っております。私のblogでお示しされたことを、訴え続けるために御自身のブログを運営されることを願います。
(もう既に運営されているのであれば申し訳ありません...)

とりあえず、この記事は6月30日(金)まで私のブログのトップに置いておきます。それ以降は、順次順位を下げるように致します。

投稿: befu | 2006年6月28日 (水) 22時09分

もし、私の考えや行おうとしていることが的を得ているとすれば、
次にすべきことは、
「仲間を増やすこと」
「モチベーションあふれる若手を育てること」
すなわち、「教育」だと思っています。
幸い、私の周りには意欲あふれる研修医・レジデントがいます。彼らを育てることが私の役目のひとつだと認識しています。
私の孫の世代には小児医療がまともになっていることを願い、
理念を掲げつつも、小さなことからこつこつと、まずは若手の教育から頑張りたいと思っています。私自身のblogはありません。不特定多数に訴えることも必要だと思いますが、私は次世代を担う若手に期待したいです。お年を召された方の退場を待ちつつ、新しい力の台頭を待っている、といったところでしょうか。

投稿: 小児科医 | 2006年6月29日 (木) 01時15分

突然お邪魔しました。医師ブログをみてまわっています。
子育て中の内科医です。
すごく真剣なやり取りがなされていたので
読みいってしまいました。
このような小児科医が世の中にいらっしゃると知っただけでも
うれしい限りです。

投稿: モモ | 2006年6月29日 (木) 18時51分

こんばんは
モモ先生

コメントありがとうございました。
今後とも、拙ブログをよろしく御願いします。

投稿: befu | 2006年6月30日 (金) 22時26分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/101068/10661934

この記事へのトラックバック一覧です: 貴重なコメントをいただきました。:

» [医療] [へなちょこ医者の日記]
http://swedenhouse-oita.cocolog-nifty.com/pediatrics/2006/06/post_9134.html 難しい問題だとは思いますが、三次救急をやる病院は三次救急に特化する必要はある気がします。 ただ、その際に1次あるいは2次救急に特化した病院・診療所・急患センターが必要だとは思います... [続きを読む]

受信: 2006年6月25日 (日) 02時28分

« 離島医療 | トップページ | 研修医の先生のブログ »