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2006年6月19日 (月)

豪州での医療

2006年6月19日 晴れ
徐々に暑くなってきています。ヘルパンギーナが流行し始めました。

毎日新聞の記事’06記者リポート:オーストラリアの医療を視察 「人間的」な体制充実 /富山を読みました。

『富山市の婦人科医、種部恭子さん(41)ら医療関係者を中心に有志10人が、家庭医(GP)を中心にした質の高い医療システムで知られるオーストラリアの医療事情を、このほど8日間にわたって視察した。』
オーストラリアは恐らくイギリス型の医療形態であると思います。しかし、イギリスでは「鉄の女」サッチャー首相の時に極めて厳しい医療改革を押し進め、現在ではほとんどの医療者が士気を殺いでしまい、いわゆる医療崩壊に近い状態であるといわれています。そして、その状態を憂えて医療費を増額するように動いていますが、一旦壊れた医療システムはなかなか戻らないという状態であると聞いています。「質の高い医療システム」とのことですので、オーストラリアでは幸いなことにイギリスのような医療崩壊は起こっていないとのことなのでしょうか。

『オーストラリアでは、日本のかかりつけ医にあたるGPと、大病院の専門医にきっちりと分業化。大病院にはGPの紹介がなければかかることができず、風邪や骨折で大病院を受診する人はいない。』
日本の医療はfree accessといわれる形態で、高度専門医療をやっているナショナルセンターにも近くの普通感冒の患者さんが受診できます。この功罪はありますが、ある程度の分業化を進める必要はあるものと考えています。

『また日本では軽く見られている「代替医療」も盛ん。アロマテラピー、音楽、アニマル、アート、カラー、はり・きゅうなど、170種類以上といわれ、一行が訪れたオースティン病院では、心臓疾患の集中治療室でアロマテラピーを導入。病気は技術で治すのが基本だが、治らない痛みや心の痛みを取るために、代替医療を積極的に取り入れているのだ。また「回想療法」では、認知症のお年寄りに自分の人生を回想してもらい、本人と介護者が尊厳ある人間同士として向き合う努力がなされている。』
日本でも、音楽療法などについては一定の資格が設けられるなど、代替療法も一部には認められてきているかもしれません。しかし、問題は「治癒する見込みのある悪性疾患に対して、現在の医療を否定して、代替療法を施し、病気が進行して手の施しようがなくなった時点で通常の医療機関に紹介する」というような例が少なからずみられることです。このような施設がみられるかぎり、日本では代替療法、代替医療が本当に認められることは難しいかもしれません。

『日本には、まだ患者側に大病院志向があり、死生観を持たない人も多いので、全部をすぐに取り入れるわけにはいかないけれど、代替医療などできるところから取り入れたい」と話している。』
先述の通り、代替療法は一部では認められてきていると思います。適応を充分に考えた上で、現在の医療とともに施行するのは患者さんのためになると考えます。

追記です。天にいたる波も一滴の露より成れリ:女性先端医療科、ってナンだ?に代替医療についての記述があります。

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コメント

トラックバック、ありがとうございます。
日本の代替医療、ことにがんにおける「奇跡の治療」神話の代表に免疫療法がありますが、がん患者は免疫療法のクリニックを受診すると、まず当然のことながら、治療法についての説明を受けます。そして次に患者が迫られる選択は、百万単位の治療費を振り込むか、振り込まないか、なのです。
もちろん結果が出なくても、「免疫療法の主治医」ななんの責任も取りませんし、免疫療法以外の経過についても何の処置も行いません。
私も代替療法のすべてを否定しているわけではなく、お考えには賛同いたします。

投稿: 志治美世子 | 2006年6月20日 (火) 09時09分

オーストラリアの医療がイギリス型の転落をしているのは有名です。ニュージーランドも同様だったはずです。それがこんなに美しい記事になって報告されているのにやや戸惑いを禁じ得ません。

私が歪んでいるのかもしれませんが、どれほど突っ込んで取材をしたのかがかなり疑問です。設定された見学コースを見ただけでは実態は分かりません。そんなコースの見学だけの取材なら北朝鮮だって地上の楽園に変わります。

評価できるところもあるでしょうが、そのままイメージごと鵜呑みにするのは、もう少し情報を集めてからの方が良いような気がします。どうも最近この手の記事に疑り深くなってしまい申し訳ありません。

投稿: Yosyan | 2006年6月20日 (火) 16時56分

こんにちは
志治美世子 さま

コメントを頂きありがとうございました。自分も小児例ではありませんが、ガンに対して代替療法をされて、最終的にこちらの病院に紹介された患者さんをみたことがあります。

こうしたevidenceにもとずかない治療は、少なくとも現在の治療を否定してまで行うことはないのでは?と感じてしまいます。

投稿: befu | 2006年6月20日 (火) 17時15分

こんにちは
Yosyan先生

コメントありがとうございます。

なかなか表現に難しく...ちょっと逆説的な意味をもたせたつもりでしたが....

観光に近いツアーであれば、医療の裏まではなかなか目が届かないでしょうね。

投稿: befu | 2006年6月20日 (火) 17時35分

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